1. ターミネーター4
《ネタバレ》 ターミネーター…シリーズにしては安かった。 なぜこんなに「安さ」を感じるのかというとやはり、今回の「主役」であるべき人造人間マーカス役の俳優が「薄」かったからではないかと思ふ。 今回は、カイル・リースが若すぎるために主役としてのボリュームを持ちえず、また、本来なら唯一のビッグネームであり絶対的スターとして物語に君臨するべきクリスチャン・ベールが、「ジョン・コナー」であるにもかかわらずその役割を果たすようになっていない。この理由は単純に出番が少ないからということだけではない。だいたい妻の出し方もあまりにも適当だ。これでは夫婦の関係もよくわからないので、ジョン・コナーという人を描くというふうには作られていないのだ。 この作品の主役は人造人間マーカスであるように作られているのだ。 けれども、肝心のジョン・コナーはクリスチャン・ベールであるわけだから、薄い俳優が演じるマーカスをヒーローとするにはそちらの引力が強すぎるというところもあり、そうかと思えばカイル目線になってみたり、どうも軸があっちこっちしているからマーカスに照準をしぼって感情移入するというところまで行くことができない。また、観客が「見たい」と期待している「コナーとカイルの関係」についても描写が少なすぎる。不完全燃焼型映画。 そして、マーカス役の俳優が予想以上に薄いことがとてもいけなかった。 ほとんど記憶に残らない顔をしている。 それならそれでそういう役柄があるだろうに。 クリスチャン・ベールと張り合って、自分のほうに観客を釘付けにするということには、なっていない。 するとこの話は「誰が」ヒーローなのか、ということがはっきりしないまま突然「心臓移植」に突入して終わるとかいう、お粗末な脚本なのである。 う~んなんというか、少ない出番でもクリスチャン・ベールを引っ張り出すことが出来なかったとしたら、「ターミネーター」という名前がついていようが完全なB級として消えていくタイプの映画。 作品全体としてはB級でいいのだが、ベールが出たことによって辛うじて「Bの上」くらい。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-10-16 00:34:36)(良:1票) |
2. タロットカード殺人事件
《ネタバレ》 老いてからのウッディ・アレン作品をいくつも見ていますと、ある知人の言葉がよみがえります~。 その人は広告デザインの仕事をしていましたけど、「人のクリエイティビティは20代で終わる。30代以降は、20代に貯めたアイディアをアレンジして食いつぶしていく」ものなのだそうです。 なんだかこの言葉が最もあてはまるのはウッディ・アレンなのではないでしょうか。 そら、「マッチポイント」のような異色作も出しましたが、アレとて「20代の遺産」だと思います私は。70過ぎて思いついたものではなかろうて。 さて、金髪で若くてガタイのいい女と絡むというマンネリパターンを繰り返しているここ数年ですけども、いいかげん飽きてきた感じは否めない。それなりに面白いですよ。もちろん他の作り手のものとは一線を画していますけど、ハッとするような場面もありますけども、この先何本撮ろうとももう「新しいもの」は出てこないということに今さら気がついたのでした。 アレン作品を見るたびに期待していたのだが、悲しいけれどもカレには一応の見切りをつけるしかない。70過ぎれば「20代の遺産」を食いつぶしても当然ですよね。 ジョー・ストロンベルのパートだけは非常に面白かったです。逆にヨハンソンとヒュー・ジャックマンが絡みだすと極端にスピードが落ちたうえつまらなくなりました。最も寒かったのはヨハンソンとアレンの絡み部分で、見た目がどうとかいうよりも「無理」という言葉が浮かんだ。 ジョー・ストロンベルを前面に出してカレを主役にしたらよかったのでは~?カレだけがキャラ立ちしていてあとは霞んでいましたね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-09-30 15:26:38) |
3. ダイ・ハード4.0
《ネタバレ》 脚本がダメなところにもって、ワイズマンという若手監督の未熟さが露呈してしまったというか…。 FBIやNSAが全くの無力でなんにもしないところとか(だいたいトップがアラブ系アメリカ人だなんてあるわけないじゃん)、強引に娘人質エピソードに持ち込んだり、これだけの労力を投入した犯人の動機が不十分だとか現実味のかけらもない脚本であるのだが。脚本がダメダメであった場合でも演出で少しでもマシになったかというと全くそんなことはない。コロコロと人が死に、マクレーン本人もテロリストの仲間を次から次に殺していくのだが、その描き方がまさに「ここで死んでいるのは端役ですからご安心を。メインのキャラクターは決して死にません。」というようなものだ。…ゲームぽい。 バンパイア映画にCGや特殊メイクをじゃかすか使って喜んでいるのはそんなに不自然なことではないが(ワイズマンは)、ダイハードにそれを持ち込まれるとは。だいたいあの戦闘機は垂直浮上していなかったか? 映画というよりはサバイバルゲーム・ダイハードスキンヘッドバージョンを、コントローラー不要でプレイしてくださいつーような無味乾燥な後味である。しつこいようだがダイハードⅠはそのリアルさにおいて観客を釘付けにしたのであーる。 [DVD(字幕)] 3点(2008-07-22 20:32:42) |
4. ダメージ
《ネタバレ》 「ルイマルもエッチが枯れてきたか」と言った映画評論家がいた。ルイマルのことはよく知らないが、少なくとも「ミュージックフロムアナザールーム」のような「ケミカル」は全く感じなかった。だから「黒い髪」の「ショートヘア」は、「魔性の女」だと勝手に思ってるんだって。欧米人は。ラスト空港で見たら「普通の女だった」ってのが皮肉でいいですけど。そうそう。ビノシュみたいな安産型ならしたたかなはず。ちなみに「なぜかもてる女」(誰もが納得する美人を除く)って女の友達は果てしなくゼロに近い。 [ビデオ(字幕)] 5点(2005-12-18 00:01:54) |
5. ターミネーター
《ネタバレ》 当時は目を見張るような斬新な作品であった。今見てももちろん充分楽しめる。しかし、ありとあらゆるものが出ちまった今、残るかどうかはやっぱり「せつない部分」のある無しによるのだなあ。ビーンのせつなさよ。「1」はシュワちゃんの「非人間性」とビーンの「情けないほど人間」なところを対比して描いていたのが巧みであった。もどれないのに来ちゃってるし、来ただけで痛くてつらいしさあ、惚れてあげないとウソだよね。ドラマじゃ。図書館に「ターミネーターの謎」とかいう本まであって、驚いたのだった。せつない映画ベスト3には入れておこう。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-11-21 22:57:01) |
6. ターミネーター3
《ネタバレ》 今回TV放送でしみじみ見直してみたら、なんだ…とんでもなくよくできているじゃないか! やはりモストウ、あなどれない。 なにしろ、これは50%コメディだったのだ…しかも、「ドハハ」笑いを一切用いない(というか、1と2からの流れで使えなかったのだろう)中での、この笑いのセンス…すごい。 ローケンが瓦礫をはねのけてすっくと立ち上がるその無表情、これだけで、もう笑いがとれているじゃあないか。生まれたてのようなベビーフェイスに鋼鉄の肉体。ひとたび何かにぶつかれば、その効果音は「ゴン!」…みごとなコントである。とにかくローケン部分はほとんど笑えるのだ。 そして、シュワちゃん部分は、明らかに笑いをとる事を狙ったシーンではなく、ジョンやケイトとの会話部分に、見事なコントが盛り込まれている。その際のジョンのリアクションが難しかったことだろうと思う。だって、「ターミネーター」3部作であるからには、あからさまに「コント」だと分かってはいけないんだもの。 そして、「サルだサルだ」とバカにしていたジョン役のニック・スタールも、よく見ればそんなに悪くないではないか。 そりゃあ、オーランド・ブルームのようなホモくさい美形ではないにせよ、ジョン・コナーというキャラの程よくスレた感じがその目元あたりにちゃんと出ている。「放浪」してきた感じを出しつつ、なおかつコントと分からないようにコントをこなすということで、なかなかがんばっていると思う。 そしてシュワちゃん。やっぱりあの鋼鉄ボディはCGくさいよなあ、とか、スタント多用したんだろうなあ、とかいうことも、もう、どうでもいいんだどうでも。 だって、ターミネーターはシュワちゃんでなくてはならないのだもの。 もはや「3」においては、シュワちゃんはその老体にムチ打って、画面に映っているというだけで、許されるのだ。今回も、語り草となるようなキメのシーンもモストウはちゃんと用意してあったのだけど…銃弾を口からプッと吹いて「二度とするな」ってとこね。やっぱりモノマネはされないのかなあ。ちょっと残念。 3回くらい見ると、あまりの面白さにやめられなくなります。メチャメチャ笑えます! [DVD(字幕)] 9点(2005-11-13 20:37:22)(良:1票) |