1. レディバード・レディバード
《ネタバレ》 英国の話だけど、我が国にとっても全く他人事でない案件。子どもへの虐待を防ごうと行政が家庭に介入することの限界もほんとに良く似ている。すごく考えさせられた。 いや本作のケースはどうしたらいいですかね?日々報道で子どもの虐待事件を耳にするたび、震えるほどの怒りを覚える身としては英国社会福祉局の言い分も良くわかる。たしかにこの母親は子どもに安全な環境を用意できていない。暴力男の元に舞い戻るなどその最たるもので、典型的なDV被害者の行為なのですね。母親本人も情緒不安定で、嘘も多い。強制的に子を保護しないと死なせてしまうと、世論の高まりでできた法律を遵守するのは役人として当然の職責でありましょう。 でもなあ。この母親の不幸な成育歴や地域社会の荒れっぷりを見てると、この人一人のせいばかりでもないと思っちゃうんですよね。隣人が悪意で証言したりと、運も無い。なにより役人が産院にまで赤ん坊を奪いに来るなど、これはちょっと機械的、暴力的に感じる。母親は子どもに愛情を抱いているけれど、彼女の環境がうまく健康的に働いていないのです。さて、一体どうすれば。 行政と個人と、どちらかの主張に偏ることなく問題を開陳してみせたケン・ローチ監督のバランス感覚の良さが光ります。大人は必見の、社会の課題です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-02-15 00:18:46) |
2. レイニング・ストーンズ
《ネタバレ》 ああーこりゃまたケン・ローチらしい・・。また私の「仲間」がやられている、と思った。貧困と不運に。まだしも健康でガッツがあってユーモアも友人もあるから陰惨というほどではないけど。でも首の皮一枚だ。 ほんとに、真面目で信仰心もあって娘のために必死で、友人の子を思ってヤクの売人に怒りを爆発させる良き人間がなぜこうも経済的に窮しているのだ。かつての大英帝国の社会のひずみは深刻だ。 このお父さん、ケン・ローチ作品のなかでも群を抜いて運が無い。もっとも、一度きりの娘の聖餐式に服から靴まで一式揃えようという分不相応な出費はなあ。神父さん曰く「分別の無い」行為で自分の首絞めちゃってるわけで、いやおとーさん、そこはレンタルで良いと思うよ?周りも皆そう言ってるじゃないですか。かくして彼の運は坂を転がり続け、とうとう自暴自棄に一線を越えそうになるのですが告解された神父さんが実に良いんだ。Fワードを吐きながら真に正しい方向へ父親を諭す様はロックなキリストのようだった。 ラストも監督ったら冷や冷やさせてくれちゃって。バンかよ!お父さんの運もようやく上がり始めたみたい。ケン・ローチらしい匙一杯分の粋な締め方でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-10-18 19:54:55) |
3. レ・ミゼラブル(2012)
ミュージカルは苦手なのでおそるおそる鑑賞したけど、ストーリーの有名なことに助けられたのと、カメラワークや演出がわりと映画的なので、台詞までが歌であってもさほど抵抗を感じずにすんだ。革命前夜、各人の想いが歌に乗って交差する場面はついこちらも気持ちが高揚しちゃったりして。 だけど、R・クロウだけ歌キビシイなあとかヘレナ・B・カーターは近年こんな風貌の仕事多くないすか ああ眺めのいい部屋は遠くなりにけりとか、もっぱらこんな瑣末なことを感想としながら観賞していたワタシをレ・ミゼラブルファンの皆様どうぞお許しください。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-08-19 01:11:08) |
4. レズビアン・ヴァンパイア・キラーズ
レズビアンのヴァンパイアだからね。何をかいわんやのB級映画だろうことは百も承知で観たんだけれど、いやーもっとばかばかしくてもいいのに、と思ってしまった。この手の映画にしては美術もしっかりしちゃって、お姉ちゃんたちもそこそこ美形でその上期待されるようなエロさもありませんし。B1/2級映画といったとこでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2013-06-27 00:07:33) |
5. レイヤー・ケーキ
《ネタバレ》 あ?なんだなんだ分かりづらいぞ。麻薬を巡って入り乱れる人物相関図が作れません。私の頭が悪いのか脚本が失敗してんのか。ただ、ダニエル・クレイグのオーラが007級の色気を放ってる。さすがです。指の長い手も身体つきも色っぽい。麻薬戦争を勝ち抜いたのに、最後に女のいざこざで三下に撃たれちゃうってのがなんか皮肉が利いてて良い。うんさすがだダニエル。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-03-19 23:40:50) |