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 > かたゆき さんの口コミ一覧。11ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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201.  インターステラー 《ネタバレ》 
僕のこよなく愛する『インセプション』という傑作を撮ったクリストファー・ノーラン監督の最新作にして3時間に迫るSF大作ということで、久し振りにわざわざ映画館へ――。結論を言うと、無茶苦茶面白かったです。圧倒的なスケールで描かれる壮大な世界観、イマジネーションが奔流のように迸るスタイリッシュで洗練された美麗な映像、哲学的で難解なお話なのにそれを微塵も感じさせない考え抜かれたストーリーテリング……。特に、あの1時間経つと地球時間では7年もの年月が過ぎる水の惑星から帰ってきた主人公が、あの僅かな時間で既に27年も経っていたと知ったときの絶望感といったら凄まじかった。地球時間と宇宙時間のずれを見事に対比させることで、今まで誰も見たことのないような壮大なアクションシーンを創り上げたところなんか、さすが『インセプション』のクリストファー・ノーラン!ブラックホールを越え、予想だにしなかった世界へと迷い込んだ主人公が知る驚愕の真実には度肝を抜かれました。そして、最後に彼が娘との約束を果たすシーンは切なくてちょっぴり泣きそうになっちゃったし。そんな綺麗な円環を閉じながらも、物語は新たな旅立ちの余韻を残す希望に満ちたラストシーンを迎えます。ただただ圧倒されてしばらく席から立ち上がれませんでした。最近、この世界は結局唯物論であり、人間はDNAを運ぶための単なる容れ物にすぎないのではないか。愛だの神だの幸せだといった概念は、所詮は人間が作り出した生きるための勝手な理由付けなのだろうという虚無的な考えに捉われがちな僕なのですが、人間はそんな絶望を乗り越えうる素晴らしい観念(想像力)を持っているということをあらためて教わったような気がします。僕はこの作品から生きる希望のようなものをほんの少し得られました。個人的な好みで言えば『インセプション』の方に軍配が上がるけれど、こちらも映画史にその名を燦然と刻むだろう傑作と言っていい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-01 22:40:05)
202.  縞模様のパジャマの少年 《ネタバレ》 
ホロコーストという未曾有の狂気が嵐のように拡がり始めた第二次大戦中のヨーロッパ大陸。立派なドイツ軍軍人である父と共に平穏な生活を送る8歳の少年ブルーノは今回、父の転勤によってドイツ郊外へと引っ越すことに。家族と共に新たな地で新生活を営もうとするブルーノ。だが、そこはユダヤ人という〝劣等民族〟を数多く収容する絶滅工場の隣地に建つ官舎だった――。何も知らない無垢な少年であるブルーノは、そこで常に〝縞模様のパジャマ〟を着て有刺鉄線の向こうで暮らす同い年の少年シュムールと出会うのだった。有刺鉄線越しにケーキやボールの遣り取りを交わし、次第に友情を育んでゆく彼ら。だが、過酷な現実がそんなブルーノとシュムールを呑み込んでいく……。20世紀において人類のもっとも愚かな過ちであるホロコーストという悲劇を、8歳の少年の純粋な目を通して描き出すヒューマンストーリー。政治的な背景を徹底的に排除し、何も知らない子供でもそんな悲劇的な史実を理解できるように何度も練られたであろう分かりやすい脚本の力もあり、最後まで引き込まれて観ることが出来ました。主人公ブルーノを演じた少年のナチュラルな演技も巧く、おかげでラストの衝撃の結末にも心を揺さぶられました。うん、素晴らしい良作であった……と、言いたいところなのだけど、観終わって冷静に考えてみると、この衝撃のラストを撮りたいがあまり、脚本の粗が目立つところが玉に瑕でしたね、これ。やっぱりあんなに簡単に収容所に入れちゃあかんでしょ。それに後半10分の展開が急ぎすぎで説得力に欠けます。もっと時間が長くなってもいいので、ブルーノが何度も収容所に進入して冒険を繰り返していたという展開にした方が、2人の友情ももっと深く描けただろうし、衝撃のラストももっと嫌な余韻を――それこそ誰もがもう二度とこんな悲劇を繰り返さないと心から思えるほどの最悪な余韻を残せたであろうに。惜しい。とはいえ、何も知らない子供にも分かりやすくホロコーストの残虐性を描いたドラマとして、なかなか良く出来ていたと思います。多くの子供たちに本作を観てもらい、『アンネの日記』や『ライフ・イズ・ビューティフル』といったさらなる素晴らしい作品を手にとるきっかけになってくれればと切に願います。
[DVD(字幕)] 6点(2014-11-25 20:22:08)
203.  ホビット/竜に奪われた王国 《ネタバレ》 
ロードオブサリングの感動再び!と勢い込んで観たものの、確かに映画としてはある一定の水準に達してはいるのだけど、さすがに原作のボリュームを考えるとこちらも同じような枠組みで三部作にするにはやっぱり無理があったんじゃ…、と思わせた前作。――今回、続編である本作を鑑賞してみて、そんな僕の懸念は残念ながら確信へと変わっちゃいました。壮大な世界観、世界の存亡を懸けた血湧き肉踊る躍動的なストーリー、個性豊かな魅力に満ち溢れたキャラクターたち…。前シリーズに横溢していたそんな魅力があらゆる面でスケールダウンしちゃってますって、これ。やっぱりスピンオフという位置づけで一作だけですっぱり終わらせちゃうか、それとも90分位の尺で三部作としちゃうか、どちらかにしたほうが良かったと思います。もう、今作の中盤からクライマックスに掛けての半端じゃない「頑張って引き伸ばした感」は観ていて痛々しくさえありました。そして、主人公ビルボをはじめとする髭もじゃドワーフたちにほとんど魅力が感じられないせいでいまいちストーリーにのめり込めないってトコがもう致命的ですね。冒頭から襲い掛かってくる巨大毒蜘蛛の群れだとか樽を活用したドワーフたちの脱出シーンだとか、細部の映像のクオリティの高さは相変わらず良かっただけに残念っす!!最終作が公開されればもちろん観るけれど、うーん、今からちょっと期待薄な予感が…(笑)。でも、一縷の望みにかけて次作を待ちたいと思います。頑張れ、ピーター・ジャクソン!!
[DVD(字幕)] 5点(2014-10-31 19:40:13)(良:1票)
204.  ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界 《ネタバレ》 
「ねえ、聞いて。あたし、世界がこのまま終わってしまうなんて絶対に嫌。だから、あのキューバの核ミサイルのこと、なんとかしよう。あたしたちに出来る精一杯のことを」――。1945年、広島に原爆が投下された年に、ロンドンの同じ病院で生を受けたジンジャーとローザ。それから17年後の1962年、以来ずっと共に過ごしてきた2人はいつも一緒に居る親友同士となっていた。それぞれに問題を抱えた家庭環境から逃れるかのように、彼女たちはお互いの存在に大きく依存してゆくのだった。だが、感受性豊かなジンジャーがキューバ危機によってもたらされた「世界はこのまま終わってしまうのかも…」という強迫観念に捉われると、そんな2人の関係も少しずつ亀裂が生じ始めてゆく……。17歳の2人の少女の、文字通り今にも壊れてしまいそうな危うげな日々をリリカルな映像でもって綴った青春物語。うーん、なんだかこれまで大量に創られてきた思春期少女の青春を雰囲気重視で描いた過去の色んな作品(ソフィア・コッポラとかガス・ヴァン・サントとかの)の影響をモロに受けちゃってますね~、これ。ただ、そんな過去作に比べるとちょっと(いや、かなり?笑)センスが不足しているせいで、こちらはまったく新味のない平凡な作品となってしまってます。唯一新しいと思えるのは「核戦争勃発の危機により、もしかしたら世界は明日にも終わってしまうのかも」という、当時の社会に漂っていた現実的な閉塞感を物語の背景にしているところなのだけど、残念ながら巧く機能しているとは到底言い難い。それに後半、親友の父親に惹かれていくローザという展開もあまりにも単調過ぎるうえに、いまいち心理描写が希薄なせいで一向に感情移入できず、終始睡魔が…。主役を演じた2人がなかなかのかわい子ちゃん(エル・ファニング、いつの間にかなかなかの美少女に育っててびっくり!)で、そんな彼女たちのちょっぴり百合っぽい淫靡な雰囲気がけっこう良かっただけに残念!
[DVD(字幕)] 4点(2014-10-12 23:15:56)(良:1票) 《更新》
205.  キック・アス ジャスティス・フォーエバー 《ネタバレ》 
当時、若干11歳のクロエ・グレース・モレッツちゃんが演じたヒットガールのポップでキュートな可愛さでもって僕のロリコン魂を完全に燃え上がらせてしまった前作から早や数年――。この度、期待に胸と何処かを高鳴らせながら、ようやく続編である今作を鑑賞してみました。いやー、クロエちゃん、すっかり〝女の子〟から〝女〟へと成長してしまいましたね~。仕方のないこととは言え、一抹の寂しさを感じざるをえない僕なのでありました。こういうのを日本的情緒でもって表現すると〝もののあはれ〟と言うのでしょうか(笑)。さて、そんなすっかり成長してしまったヒットガールちゃんなのですが、やっぱり前作でのその強烈な個性でもって観客に絶大なるインパクトを残したことを思えば、さすがに今回はいたって普通のどこにでもいるような正義のヒーローになっちゃいましたね、これ。前作で爆裂していた彼女の魅力って、社会のくだらない常識やモラルなんかを軽々と踏み越えて退屈な大人たちをぼこぼこにする幼き少女という、他を寄せ付けない爽快なまでにぶっ飛んだキャラクター性にあったと思うのだけど、この「女の子として普通におしゃれしたい!恋だってしたい!なのにヒーローにならなきゃいけないなんて…」というあまりにも凡庸な悩みに揺れ動く今回の彼女って、ちょっと常識的に過ぎて魅力が半減しちゃってますって。やっぱりヒットガールちゃんと言えば、危険な放送禁止用語を連発し常にナイフやマグナムを恋人に、ちっぽけな常識やモラルなんかとは無縁の孤高のロリキャラであってほしかった。と、ここまで書いてきて気付いたけれどこの映画の主役って確かキックアスでしたね(笑)。今回も主役であるはずの彼がいったい何をしていたのか、観終わってすぐだというのにほとんど記憶に残ってません。そんなわけで、「キックアス」ってヒットガールちゃんの魅力だけが最高に素晴らしかったのであって、そんな彼女の魅力が半減しちゃえばあとには5点程度の映画しか残らなかったんだなー、ということを再確認させてもらいました。でも、大きくなったとはいえクロエちゃんはこれはこれで可愛かったので+1点っす!
[DVD(字幕)] 6点(2014-09-12 18:14:50)(笑:1票) (良:1票)
206.  マリーゴールド・ホテルで会いましょう 《ネタバレ》 
マリーゴールドホテルにようこそ。英国式の伝統建築で建てられたここでは、インドでの優雅で洗練されたバカンスを約束します――。亡くなった夫の借金を返すため家を売ったイヴリン、子供のころの親友に会って謝罪したいグレアム、長年の夫婦生活の末に酷い倦怠期を迎えているダグラスとジーン、足を骨折し手術を受けようとしている酷い人種差別主義者ミュリエル、生涯現役を自任しパートナー探しに余念がないノーマン、息子夫婦と上手くいかず家を飛び出してきたマッジ…、人生の終盤を迎えインドの郊外に佇むうらぶれたホテルへと偶然やって来た彼ら。「広告と全然違う。こんなの、詐欺だわ!」当然のようにそう抗議するものの、支配人である若いインド人に強引に説得され仕方なくチェックインすることに。そんな寂れたホテルでいろいろと不満を覚えながらも、みんなで共同生活を送るうちに彼らは次第に第二の人生を謳歌していくのだった。初老の域に差し掛かり、自分のこれまでの人生を見つめ直すことになる彼らのインドでの生活を、洗練された美しい映像と音楽の数々で描き出すハートウォーミングなコメディ作品。ここ最近、ハリウッドでは静かなインドブームが続いてますね。「恋におちたシィクスピア」で有名なジョン・マッデン監督が新たに挑んだのも、そんな若いエネルギーに満ち溢れたインド社会に触れて再び生きる活力を得ていく初老の男女を軽妙なタッチで描いたヒューマンドラマでありました。ただ、ちょっと軽すぎますかね、これ。あくまで個人的な傾向なのだけど、こういう登場人物誰もがみんなちゃんと幸せになって終わる薄味作品ってあまり好きではありません。確かに、映画としてよく出来ているとは思うのですが、「やっぱり人生って幾つになっても素晴らしい!」というこの作品のテーマはちょっと凡庸に過ぎると思います。理不尽で残酷な現実社会に翻弄され人間として壊れてしまった人(インドのスラム街にはそんな人がたくさん居るはずです)なんかを、その片鱗でもいいのでもう少し直視する視線が欲しかったですね。それにこの全編に漂う、いかにも英国風のお上品な雰囲気にもいまいち馴染めませんでした。これはもう好みの問題なのだろうけどさ。
[DVD(字幕)] 5点(2014-08-22 12:08:20)
207.  17歳のエンディングノート 《ネタバレ》 
末期の白血病を患う17歳の少女テッサ。懸命な治療の甲斐も空しく、とうとう主治医から余命数ヶ月であることを告げられるのだった。深い哀しみの底に沈み込む彼女だったが、それでもなんとか前向きに生きようと死ぬ前にしたいことのリストを作る。「無免許だけど車の運転」「いけないことだけど万引きしてみたい!」「なんとかして空を飛ぶ」「とことん酒を飲んで酔っ払う」「ドラッグだってやっちゃう!」「そして誰とでもいいからセックスをする」…。大の親友と共にそんな刹那的な毎日を過ごすテッサだったが、ある日、障害のある母親と一緒と暮らす青年アダムと出逢う。純朴で心優しい彼に次第に惹かれてゆくテッサ、しかし無慈悲にも彼女の病はどんどんと悪化の一途を辿ってゆくのだった――。過酷な運命に翻弄される17歳の少女の葛藤と青春、そして切ない恋心を瑞々しく描き出す青春ラブストーリー。最初こそ、そんな彼女のいかにもな自己憐憫甚だしい卑屈キャラっぷりにけっこうイライラさせられたりもしたのだけど(テッサが友達と笑いながら万引きするシーンはいくらなんでも不愉快千万!)、それでもアダムと出逢ってからのテッサが様々な葛藤を抱えながらも少しずつ心を開いてゆく繊細な心理を詩的で美しい映像と音楽の数々で描く後半部分はけっこう良かったですね。もうすっかり成長してしまったダコタ・ファニングちゃんが、難病に苦しむ可憐な少女を頑張って演じていて、そこも素直に好感持てました。ただね~、さすがにちょっとベタ過ぎじゃないっすか、これ?実話を元にしたかどうか知りませんけど、このいかにも「不幸な自分に酔いたい若い女の子たちの願望に応えてあげました」って感じの超ベタベタなストーリー展開には、もうすっかりおじさんとなってしまった僕としては観ていてちょっぴり(いや、かなり?笑)気恥ずかしくなっちゃいました。もう少し大人目線なシーンがあっても良かったように思います。よくよく考えたらけっこう悲惨なお話なのにあくまでポップで明るい雰囲気を最後まで維持した、この監督のセンスはなかなか良かっただけに惜しい作品でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2014-08-19 00:54:00)
208.  落下の王国 《ネタバレ》 
むかしむかし…、と言っても20世紀初頭のロサンゼルス。郊外にある静かな病院で、左手を骨折し退屈な入院生活を送る幼い少女アレクサンドリアは、同じく両脚を骨折し入院生活を余儀なくされた青年ロイと出会う。ほとんど娯楽などない毎日に退屈しきっていたアレクサンドリアへ、ロイは戯れに即興の作り話を聞かせ始めるのだった。「想像してごらん。絶海に浮かぶ蝶の形をした無人島に佇むのは、弟を殺された黒人奴隷、愛する妻を奪われたインド人、孤立へと追い込まれた爆発物専門家、貴重な蝶を標本にされた生物学者、今まさに弟を処刑されようという仮面の男…、彼ら5人はそれぞれの理由により邪悪な総督オウディアスに復讐を固く誓った男たちなんだ」。ロイが語り少女が耳を澄ます彼らの復讐の物語は、次第に病院内の現実社会へとどんどんと侵食してゆく――。いかにもターセム・シン監督らしい、オリエンタルな雰囲気が濃厚に漂う映像と悪趣味紙一重の極彩色で美しい衣装の数々で描かれるのは、そんな摩訶不思議な世界が画面の端々にまで横溢するヒロイック・ファンタジーでした。確かに、この監督にしか描き出せないだろうエキゾチックな映像美が凄いことは認めますけど、あまりにも我が道を行き過ぎてて、中盤辺りから僕はもうお腹いっぱいになっちゃいました(笑)。それに、「こんな映像を撮りたいんだ!」という監督の情熱が先走りすぎたのか、ストーリーの至るところに「?」な部分がたくさんあって、いちいち映画に入り込めません。「だって、結局はロイの即興の作り話なんだもん」って言い訳されてもさー、こういう荒唐無稽なお話だからこそ(映像だけじゃなく)脚本の細部にまで拘って欲しかったです。観る者を圧倒するこの唯一無二のエキゾチックな世界観が好き!って人の気持ちも分かるのだけど、昔から僕はこの監督とはあんまり相性がよくないんだよね~。うーん、5点、ごめんなさい!
[DVD(字幕)] 5点(2014-08-02 21:54:32)
209.  ビザンチウム 《ネタバレ》 
娼婦として自由奔放な生活を送る母クララと共に、まるで世間の目から隠れるかのようにひっそりと暮らす美しい少女エレノア。200年前に起きたとある悲劇をきっかけに、彼女たちは誰にも言えない暗い秘密を隠し持っていた。そう、エレノアとその母クララは永遠に歳を取らない呪われたヴァンパイアだったのだ――。ある日、200年前からそんな彼女たちを追う謎の集団に見つかってしまうものの、すんでのところで逃げ延びたエレノアたちは、一人の孤独な男が支配人を務める寂れた元ホテル〝ビザンチウム〟へと転がり込むのだった。そこで新たに娼婦たちを集め娼館を開業しようとするクララ、永遠に続くかのようなそんな母親との鬱屈した日常からいつか逃げ出したいと願う娘エレノア、そして淫靡な秘密を抱えた彼女たち親子に振り回される周りの孤独な男たち…。かつて、トム・クルーズ&ブラット・ピットという豪華なキャストで製作した「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」という映画を世界中でヒットさせたニール・ジョーダン監督がふたたび挑んだのは、そんな妖艶な雰囲気が濃厚に漂うゴシック・ホラー作品でした。確かに、これまでのキャリアに裏打ちされたであろう、この全編に横溢するグロテスクでありながらどこか怪しげな美しさに満ちた世界観は秀逸だと思うのだけど、個人的に昔からこの監督とは微妙にセンスが合わないんだよな~。「インタビュー~」ももちろん観たし、この監督のそれ以外の代表作も何作か観てきたのだけど、いつもなんだか作りが優等生に過ぎていまいち僕の心には響かないのです。もう少し下世話な部分や、他の映画にはないこの監督ならではという観る者の心に深く突き刺さるような突出した演出とかがあればもっと良かったと思うのだけど…。でも、これはもう完全に好みの問題ですね。繊細でスタイリッシュな映像の中に、200年にわたって生き続ける母娘の確執を濃厚に描いたゴシックホラー作品としてなかなか良く出来ていたと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2014-07-24 22:11:07)
210.  悪の法則 《ネタバレ》 
麻薬組織と繋がりのある企業の顧問弁護士として、今まさに引き返せない悪の道へと手を染めようとしている男。何も知らない美しい彼の妻。金と女のためならどんな手段でも平気で行う強欲な経営者。淫乱で謎の多い怪しげなその彼女。そして、何もかも分かったように斜に構え全てを冷笑的に見つめる男…。果てしない欲望と愚かで醜い性欲を抱えたそんな彼らが互いに騙し騙され破滅へと向かってゆく姿をシニカルに描き出すピカレスクロマン。「エイリアン」や「ブレードランナー」といったSF映画の名作を数多く残してきたものの、「グラディエーター」辺りから世間での高評価とは裏腹に僕の中では確かにその映像の美しさやスケールの壮大さなどは認めるものの、いまいち心に響くものが乏しい作品ばかり撮ってきたリドリー・スコット監督。現代アメリカ文学の重鎮マッカーシーの原作を映画化したという今作も、やはり哲学的で難解な作品でありました。でも、この華がありながらちゃんと実力も兼ね備えた豪華な役者陣が織り成すミステリアスなストーリーと、 淫猥な雰囲気がこってり濃厚に漂うこのダークな世界観はけっこう良かったかも。特に、フェラーリのフロントガラスに無毛つるつるのあそこをねっとりぐっちょり擦り付けて絶頂を迎えちゃうキャメロン・ディアスの文字通りのカーセックスシーンはめちゃくちゃエロかったっすね~。久し振りに、映画を観ながら僕の股間がエキサイトしちゃいました(笑)。まあ、見事なまでに最低の人間ばかりが登場する、胸糞悪~い後味最悪な映画ではあったけど(最後に送り付けられるあのDVDの中身なんか、想像しただけで吐きそうやし笑)、全ての人間の根源には必ず悪があるという事実を冷徹に見つめながらもどこかコミカルでエネルギッシュに描いたこの作品、うん、けっこう見応えあったっす。リドリー・スコット、ちょっぴり見直したよ!
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-01 08:40:18)(良:1票)
211.  路上のソリスト 《ネタバレ》 
LAタイムスという超一流新聞社で、多忙な毎日を過ごす敏腕記者ロペスは、ある日、路上でバイオリンを弾くホームレス・ナサニエルと出会う。その奇矯な言動と特異な格好とはうらはらに、彼の奏でる美しい旋律に興味を引かれたロペスは、思わずコラムで彼のことを取り上げるとそれが静かな反響を巻き起こすのだった。本格的にナサニエルの過去を調べ始めたロペス、するとそこにはかつてその才能を認められ将来を嘱望されながらも統合失調症によって悲惨な現実を生きざるをえなかった彼の哀しい人生があったのだった――。静かな正義感を胸に秘めた新聞記者と路上という自由で孤独な世界に生きる元ソリストとの、人生の再生をかけた友情を淡々と描き出すヒューマンストーリー。とにかく抑えた演出と全編を彩るクラシックの名曲群のおかげでとても美しい静謐な雰囲気に満ちた、ジョー・ライト監督らしい佳作だと僕は思いました。実話を元にしているということもあり、二人の友情物語が変にドラマティックに描かれていないところも好印象です。統合失調症を発症し、四六時中続く幻聴に次第に追い詰められてゆく若き日のナサニエルと、その後、心がすっかり壊れてしまいホームレスとなった現在の彼を見事に演じ分けたジェイミー・フォックスの熱演もなかなか見応えありました。それにしても、こういう適切な治療を受けられずホームレスとならざるをえなかった統合失調症患者は果たしてどれくらいの割合で居るのでしょう。ナサニエルのような哀しい人生を歩んでしまった人を少しでも減らすために、公的機関のサポートがもっと充実されることを願うばかりです。ただ、映画としては最後まであまりにも優等生な演出が続くためちょっとパンチに欠けるかなぁというところが若干気にはなったけど、この気品に満ちた作品世界に僕は最後までしっとりと浸ることが出来ました。ジョー・ライト監督とは、どうやら相性が良いようなのでこれからも観ていこうと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2014-06-24 19:04:54)
212.  めぐりあう時間たち 《ネタバレ》 
1923年、英国、精神の病を患う人妻ヴァージニア・ウルフは閉塞感漂う田舎で「ダロウェイ夫人」という小説を執筆していた。1951年、ロサンゼルス、郊外の一軒家で一見幸せそうな生活を送る一児の母ローラは何もかも捨てて逃れてしまいたいという抑えきれない欲求に苦しんでいた。2001年、ニューヨーク、長年出版社で編集の仕事をしているクラリッサはエイズを患う初老の作家であり自らの私生活でも因縁浅からぬ関係があるリチャードの文学賞受賞記念のパーティーを開こうと奮闘していた。そんな時間も空間も超えた全く関連性のなさそうな3人の女たちの、人生の転機となったとある苦悩の一日を重層的に描く文芸作品。かつて文学青年だった時代に、世界の有名な文学はだいたい読んだつもりになってましたが、この「ダロウェイ夫人」はその名前はもちろん知っていたのだけど恥ずかしながら未読のままでした。確かに、そんな原作を読んだことのない僕のような人間でも、この綿密に考え抜かれた編集や、実力派の役者陣が織り成す熱演、全編に漂う上品で静謐な雰囲気とで、ちゃんとこの暗鬱な世界へと惹き込む監督のセンスはなかなか秀逸だと思います。ただ、この女を家庭という牢獄へと縛り付ける男社会の論理に必死に抗おうとする三者三様の女たちという、この全編を覆ういかにもなフェミニズム臭には若干辟易させられましたけどね。20世紀初頭のウルフは入水自殺し、近代を生きるローラはなんとか死なずに逃げ出し、そして現代を生きるクラリッサは逆に男を自殺に追い込む…。この、時代の変遷と共に強くなる女たちという、フェミニズムの戦いとそれがもたらした功罪を充分勉強させてもらいました。だからといって、映画として良かったかというと、まあ6点かなってのが正直な感想ですけどね。取り敢えず、こういう映画を観るとやっぱり結婚は人生の墓場だって思い知らされるんだよね~。うーん、やっぱ、いつの時代も女って面倒臭い(笑)。ただ、結婚しない人生はもっと墓場だったかもって、最近思い知らされることが多くなった独身生活38年目の僕なのでありました(泣)。
[DVD(字幕)] 6点(2014-06-03 00:29:20)(良:1票)
213.  危険なメソッド 《ネタバレ》 
「人間は、男も女も真面目な人もちゃらんぽらんな人もじいさんもばあさんも子供たちも、みんなみんなセックスしたいがために生きとんねん!!」という身も蓋もないリビドー論を確立し、近代における精神疾患治療を飛躍的に向上させた、偉大な精神分析学者であるフロイト(ちょっぴり独断と偏見入ってます笑)。彼の忠実な弟子でありながら、考え方の違いによりのちに袂を分かつことになるユング。精神疾患を患い、そんなユングの患者となる若く美しい女性ザビーナ。長年にわたる彼らの三者三様の愛憎とプライドと性衝動が複雑に絡み合う心理ドラマ。かつてグロ映画界の巨匠として名を馳せたものの、最近はなんだか分かりにくい良く言えば芸術的、悪く言えば退屈な作品ばかり撮っているクローネンバーグ監督、史実をモデルにしたという今作もそんな例に漏れず、最後まで淡々と続く作品でありました。うーん、せっかくフロイトとユングという魅力的な題材を扱っているのだから、そんなシニカルな理論を生み出した彼らの隠された人間的な部分に焦点を当てるとか、最初は患者であるザビーナが回復するにつれて次第に妖艶な魅力を発揮し周りの男たちを狂わせていくとか、あるいは人間の性の深淵をシュールに描き出すとか、そんな他にはない突出した演出が欲しかったですね。過去のクローネンバーグなら確実にそんな方向に作品を仕上げただろうに、そうしなかったのはこれがあくまで史実を元にした作品だからか、あるいは彼が単純に歳取っただけなのか、残念ながら僕は後者としか思えないんだよね~。うーん、最後まであまりにも淡々と続くため、僕にはちょっぴり退屈な作品でありました。おっぱいちょろ出しキーラ・ナイトレイのお尻ペンペンシーンに+1点!
[DVD(字幕)] 5点(2014-05-30 20:59:18)
214.  ペネロピ 《ネタバレ》 
私はペネロピ、魔女の呪いを掛けられたウィルハーン家の一人娘なの。どんな呪いかって?それはね、大きな豚の鼻を持って生まれてきちゃったんだ――。そんな大きな豚鼻のせいで、長年ウィルハーン家の大きな屋敷の奥深くでひっそりと生活してきたペネロピ、彼女の呪いを解く方法は良家の心優しい男性と結婚することだった。しかし、その醜い鼻のせいで、お見合い相手は彼女の姿を見るとみんな逃げ出してゆくばかり。そんなおり、スクープを狙う新聞記者が、ギャンブルのせいで落ちぶれた良家の息子をスパイとして雇いそのお見合いへ潜入させるのだった。だが、彼の存在がペネロピの硬く閉ざされた心を次第に変えてゆく…。正直、こういう“ほんわかほのぼのファンタジー”は個人的に苦手なのだけど、豚鼻クリスティーナ・リッチちゃんと鋭い目線がダンディなマカヴォイ君が主演だし、ジャケットもちょっぴりダークな雰囲気だし、「もしかしたら…」と思い、この度鑑賞してみました。なんだけど、いやー、見事に大失敗(笑)。この、何も悪いことが起きず誰一人心の底からの悪人も出てこない、こういう軽~いタッチのロマンティック・コメディってやっぱり苦手っす。豚鼻を見て窓を蹴破って逃げ出す男たちにも、「いやいや、現実には豚鼻じゃなくても逃げ出したいくらいブチャ〇クな人って大勢居るじゃん!それくらい我慢しろよ~」と思わず突っ込んじゃいました(笑)。それに、この「人間は見た目じゃなくて中身が大事なんだよ、うむうむ」という、まるで学校の道徳の教科書を無理やり読まされたようなあまりにも薄っぺら過ぎるテーマにも辟易です。うーん、僕はやっぱりティム・バートンやギレルモ・デル・トロみたいにあくの強~い、時には反道徳的ですらあるダークファンタジーの方が好みですね。でも、こればっかりはジャケットだけじゃ分からんし、地道に観て発見していくしかないんだよね~。こういうのが好き!って人には、ごめんなさいなんだけど、僕は3点っす。豚鼻でもクリスティーナ・リッチは充分可愛かったけどね。
[DVD(字幕)] 3点(2014-05-26 19:39:04)(良:1票)
215.  トランス(2013) 《ネタバレ》 
高級な絵画をオークションにかける会社で働くサイモンは、ゴヤの大作「魔女たちの飛翔」が落札にかけられるその日、仲間たちとある計画を実行にうつすのだった。それは大胆にもその高額な絵画の強奪。しかし、彼の予想外の裏切りによりそんな絵画は何処かへと隠されてしまうことに。当然のように怒り狂うリーダーの拷問にもなかなか口を割らないサイモン。なぜなら彼は、頭を強打されたことで記憶をきれいに失ってしまったのだった。仕方なく、リーダーは催眠療法士の美しい女性を利用して彼の失われた記憶を甦らせようとするのだったが、各々の隠された思惑と過去の出来事が複雑に交錯し、事態はどんどんと思わぬ方向へと転がり込んでゆく。催眠状態に陥った一人の男の隠された深層心理を極彩色でポップな美しい映像と軽快でノリの良い音楽とで、スタイリッシュに描き出す映像作家ダニー・ボイルらしい佳品でありました。いかにも賛否両論分かれそうな作品だろうけど、僕はけっこう好きですね、このまるで万華鏡の中へと紛れ込んだような独特の世界観。まあ、ストーリー展開や設定はよくよく考えたら突っ込みどころは満載ですけど、エンドロールが流れ始めるまで、このポップでサイケな映像で描き出された、一人の男の疾走感溢れる脳内トランスワールドに素直に酔いしれることが出来ました。ときおりはさまれるシュールなエログロ描写もなかなか良かったです(むちゃくちゃ顔の濃いヒロインの股間が全くの無毛だったという、なんじゃそりゃー!なフルヌードにはびっくり仰天ッ笑)。どことなく「エターナル・サンシャイン」を髣髴とさせるこの作品、うん、見事に僕の好みとマッチしておりました。ちょっぴりおマケして8点…、いや、やっぱ7点かな~。
[DVD(字幕)] 7点(2014-05-01 08:51:59)
216.  シェルタリング・スカイ 《ネタバレ》 
この美しい空を見上げてごらん、この茜色の大空はね、僕たちを守ってくれているんだ、宇宙という無限の虚空から――。結婚生活10年目にしてお互いの愛の微妙な擦れ違いに悩む夫婦キットとポートは、若い共通の友人ターナーを伴ってアフリカの大地へと降り立つ。「無計画こそが私たちの計画なの」と、原生的な生きるエネルギーに満ち溢れたアラブ人たちに混ざり、広大なサハラ砂漠をただ刹那的な愛を求めて彷徨うそんな夫婦の姿を雄大な大自然を背景に描き出す、ある愛の物語。赤を基調とした暖色系の美しい映像と情熱的で壮大な音楽(全盛期の坂本龍一教授の生み出す旋律が胸に染みます)とで、この倦怠期の夫婦が若い男を媒介に冷めた愛を再び燃え上がらせようとするというなんてことないストーリーなのに、なんだか哲学的で深い映画に仕上げてしまうところは、さすがベルナルド・ベルトルッチですね。とにかく砂漠の映像が美しいです。風が吹けばそこら中に砂砂砂、市場に行けば肉にたかる蝿蝿蝿、アラブ人はみんな髭髭髭、このひたすら濃ゆ~いのに何故か知的で高尚な雰囲気を漂わせる美しい世界観には、素直に酔いしれることが出来ました。ただ、そんな映像で綴られるストーリー自体はあまりにも淡々と進むため少々退屈なところはちょっぴり残念でしたね。それでも、このどんなに情熱的な愛であろうと崇高な人間の魂だろうと最後は何もかも無機質な砂へと呑み込まれて無くなってしまうんだと言わんばかりの無常観に必死で抗おうとする人間たちの根源的な苦悩を、ラクダが闊歩する雄大な砂漠のなかに象徴的に描いた、いかにもベルトルッチらしいなかなかの良作でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-24 08:46:40)
217.  ランズエンド -闇の孤島 《ネタバレ》 
アルツハイマーを患う元刑事を父に持つ、兄弟ジョーとクリシー。彼らもまた現役の刑事として、多忙な毎日を過ごしていた。ある日、12歳の幼い少女が無残な惨殺死体となって発見される。すぐに容疑者として逮捕された男は、過去に猥褻事件を起こし、なおかつ被害者のベルトのバックルを保持していた。「こいつが犯人に違いない…」そう確信する兄ジョーだったが、決定的な証拠に欠けるため釈放されることに。人の親として我慢ならなかったジョーは、酒の勢いを借りて釈放された彼を夜の孤島へと連れ出し激しく問い詰めてゆくうちに激高して思わず殺害してしまう。裁きを下しただけだと自分を納得させ、弟と共に死体を処理したジョー。だが、その後、図らずも真犯人が発見されてしまうのだった――。罪の意識に次第に追い詰められてゆく兄弟の姿を丹念に描いた重厚なサスペンス作品。前半、ちょっぴり散漫で分かりにくい演出が続き、「うーん、これはどうなんだろ…」と思って観ていたのだけど、真犯人が逮捕される中盤辺りから徐々に緊迫感が増していき、なかなか良かったですね、これ。過ちを犯してしまう兄弟、崩壊の危機へと向かう彼らの家族や恋人たち、少しずつ疑いの目を向け始める同僚の刑事、そしてアルツハイマーによって意識を混濁させながらもそれでも息子たちを助けようとするお父さん…、各々の思惑が絡み合う先の読めないストーリー展開は見応え充分でした。特に印象に残ったのが、殺された容疑者の母親。かつて猥褻事件を引き起こした息子を、信じてやれなかった自分に自責の念を募らせてゆき、必死に息子を捜してビラを配る姿など見ていてやり切れないですね。次第に狂気じみてゆく兄の精神世界の描写もなかなか好みでした。主要テーマとなるだろう無人島描写が最後まで上手く効果を発揮していないところが、若干気になったけど、重厚なサスペンスドラマとしてけっこう面白かったっす!
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-11 00:14:13)
218.  アルバート氏の人生 《ネタバレ》 
19世紀、アイルランド。長年、ホテルの給仕として働いているアルバート・ノッブス氏には、とある秘密があった。それは、14歳のときに起きた悲惨な出来事をきっかけに女であることをひたすら隠し、ずっと男として生きてきたという悲しい過去だった。初老の域に差し掛かり、誰にもそんな事実を知られることなく、これから先も男として孤独に生きていこうとするアルバート氏。そんなある日、偶然にも同じような境遇で生きる男装の女性と出合い、彼女の幸せな生活に触れたことをきっかけに、アルバート氏は自分の孤独な生活を少しでも変えたいと願うのだったが…。数奇な運命を生きてきたある一人の女性の人生の晩秋を、淡々と描いた哀切な人間ドラマ。うん、地味ですけどなかなか良かったですね、これ。最初は多少の違和感が拭えなかったグレン・クローズの男装姿が、ストーリーが進むうちにどんどんと馴染んできてもう男にしか見えなくなってしまうのは彼女の熟練の演技力がなせる技なのでしょう(逆に中盤で見せる女もののドレスを着た姿の方が違和感ありまくりだったし笑)。そんな彼(女)が、ささやかな幸せを夢見て、騙されていることに薄々気付きながらそれでも必死で同僚をデートに誘おうとする姿は見ていて本当に切ないです。最後に、あの太った医者が思わず発する「アルバート、どうしてかくも哀れな人生を選んだのか…」という言葉に全てが収斂される、一人の女性の悲しい人生には深く胸打たれました。欲を言えば、もう少し彼女の悲愴感をドラマティックに描いてくれても良かったかなーとも思うけども、アカデミー主演女優賞候補も納得なグレン・クローズの抑えた演技が光るなかなかの良作だと僕は思います。アルバート、あなたの人生は決して哀れではなかったよ!
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-10 19:01:39)
219.  イノセント・ガーデン 《ネタバレ》 
謎の交通事故により、愛する父親を突然失ってしまい、哀しみに沈む18歳の多感な女の子、インディア。何故か哀しみの色をみせない母親と共に、葬儀へと臨んでいたらそこに長年疎遠にしていたチャーリーという叔父が現れる。怪しげな雰囲気漂うチャーリーとしばらく共同生活を送ることになったインディア。しかし、そこから彼女を取り巻く現実が徐々に歪み始めてゆくのだった…。人とはちょっぴり違う現実を生きる、精神的に不安定な少女の不穏な日常を詩的でとても美しく、だがどこか怪しい淫靡な映像で描き出した、まるでいびつな宝石箱のようなダーク・メルヘン。いやー、良いですね、これ。いままで履き続けてきた大小様々な靴に囲まれベッドに横たわるインディアや、床を這っていた小さな蜘蛛が彼女の脚を伝い、そしてそのスカートの奥に隠された領域へと忍び込んでいったり…。そんな、常に何処かで大切な何かが壊れてゆくようなセンス溢れる映像&音楽にかなり惹き込まれました。他にも、まるで作り物のような目をしたチャーリーの突発的に露わになる狂気描写や、何かをひた隠すように振舞う母親のいかにも不穏な行動とか(ニコール・キッドマンが良い感じ!)、そんな徹底的に現実感を排除した大きな洋館の中で繰り広げられる怪しいストーリーを、イノセントな少女目線で描き出したこの秀逸な世界観には、中盤、若干の中だるみがあるとはいえ、素直に酔いしれることが出来ました。欲を言えば、インディアがもう少し幼い年齢でも良かったかなーとも思うけど(え、誰がロリコンだって?笑)、もろ俺好みのこのダークで淫靡な作品、うん、なかなか良かったっす!
[DVD(字幕)] 7点(2014-03-30 07:52:41)(良:1票)
220.  フッテージ 《ネタバレ》 
デビュー作がベストセラーとなったものの、その後はスランプへと陥り、長い低迷期を迎えているノンフィクション作家、オズワルド。起死回生を図るため、未だ未解決となっている一家首吊り事件が起きた家を安く借り受け、取材も兼ねて家族とともにそこへ引っ越してくるのだった。しかし、屋根裏で謎の8mmフィルムを見つけたオズワルドは、そこに収められていた驚愕の映像に慄然とする。木の枝へと吊るされ無慈悲に動かなくなってゆく家族たち、さらにはぐるぐる巻きにされてプールへと沈められる家族や、車に閉じ込められ生きたまま燃やされる悲惨な家族たち…。すぐに警察へと通報しようとするオズワルドだったが、再びベストセラー作家となりたいという欲求に抗うことは出来なかった。どんどんとその凄惨な狂気の映像へとのめり込んでいくオズワルド、次第に彼の正気と現実が大きく揺らぎ始めてゆく。どこか「セブン」を髣髴とさせる不気味な8mm映像を中心に、リアルなスリラーとスーパーナチュラルなホラーとの狭間を絶妙のバランス感覚で描くこのセンスには、完全にやられちゃいました。いやー、怖かったっすね、これ。「も、もうやめて~」と何度も部屋の電気を点けそうになったし(それでも暗い部屋の中で最後まで観たのは、映画マニアとしての意地ですね笑)。じわじわと追い詰められていくイーサン・ホークの迫真の演技も良かったっす!最後、全てを操る存在がもろに姿を見せちゃうところはかなり蛇足感ありだけど、久し振りにこんな怖い映画と出会ってしまいました。これから観る人は、家族が寝静まったあとに、夜中に部屋を暗くして最後まで独りで観ることをお勧めします(笑)。 ほら、ぐっすり寝ているはずの家族の誰かが、暗闇であなたのことをじっと覗き込んでいるよ…。
[DVD(字幕)] 7点(2014-03-23 00:38:09)
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