41. ミスター・ロンリー
《ネタバレ》 哀しきそっくりさん人生は、集団でやってもやっぱり寂しい。大勢の仲間と共にのどかな田舎で自給自足の生活を夢見ても、結局誰もがどこまでも孤独という寒々しい現実がひしひしと伝わる。ネガティブな空気でお腹いっぱいになりかけて少々うんざりしたが、ラストで救いがあってよかった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-05-29 13:09:46) |
42. 2001年宇宙の旅
別に無理して理解する必要はないと思う。少なくとも、この時代にほぼ映像と音楽だけで人の力の及ばないもの:宇宙への畏怖を強烈に描き出し、それが今なお多くの人々を震撼させる力を持っていることは実感できた。理解できないからつまらないのではなく、理解できないからこそ無性に惹かれる、そういう映画だと思う。自分でもこれを面白いと思える自分の感受性がむしろ意外だった。ちなみに本作鑑賞後、この映画を観る前から大好きだったD.Bowieの名曲"Space Oddity"と、安野光雅氏の名作絵本「あけるな」の2作が、今まで以上に味わい深く楽しめるようになり、自分にとっては一粒で三度おいしい有り難い映画である。 [DVD(字幕)] 10点(2009-05-29 13:00:34)(良:1票) |
43. やわらかい手
《ネタバレ》 やわらかい手、って最初は主人公の孫の手のことだと思ってた(笑)。老境に入ってなお、土壇場で自分の奇跡の一芸を見いだせるなんて人生は面白い。こんな「芸は身を助ける」はフィクションでしかありえないからこそ、映画を観る楽しみをしみじみ感じた。やむにやまれず孫の為に自尊心を犠牲にした主人公が、結果的に女の強さと自信を取り戻し、最後には自分の為に生きる道を選ぶのが清々しい。終始重くて暗い画なのに思いがけず後味の良い作品だった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-14 09:46:51) |
44. 転々
《ネタバレ》 東京人にはロケ地のそれぞれに自分なりの思い出もあったりするので、このゆるいストーリー展開の合間にふと遠い目になったりして、一粒で2度おいしい映画(笑)。お堀端を歩くと目と鼻の先に警視庁があることを知っている者にとっては、そこを歩く二人の姿に「あ~あ、ついにここまで来ちゃったのか」という別れの予感を切なく感じとれるわけだが、知らない人には最後の別れがやたら唐突に思えたのではないかと思う。イケメン役をさせると妙にダサいのに、こういう役をすると俄然良い味出してくるオダギリジョーの不思議。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-03-13 13:05:01)(良:1票) |
45. 戦場のメリークリスマス
《ネタバレ》 20年ぶりに見て泣いた。ボウイが見たいだけだった若かりし頃は何度見ても「超豪華キャストによる超珍作」でしかなかったが、ようやくテーマの奥深さが分かるようになった。戦争によって「集団で発狂した」日本軍に虐げられつつも、憎むべきは「お前らの神」であり、その殉教者として日本人を理解しようとするローレンスと、悪魔と呼ばれようとも誇りを失わず信念を貫き、自らの行動によって「汝の敵を愛せ」とヨノイに伝えて死んでいったセリアズ。そのどちらをも受け入れず理解を拒む狂信的な日本兵達。戦時下の極限状態にあって、東西の文化や宗教観・人生観を隔てる深くて暗い川の奔流にただただ流されていく男達の葛藤と悲劇が、あくまでも美しく描かれている。ただし、監督の美学を貫いた結果やたら難解な映画になってしまっていて、肝心のテーマが伝わりにくい。少なくとも主演男優は化粧映えよりも滑舌の良さで選ぶべき(笑) [CS・衛星(字幕)] 9点(2006-09-06 10:48:50) |
46. チャーリーとチョコレート工場
一言で言うなら、予想以上に原作に忠実だった。それでいて監督をはじめとする制作陣の原作への深いリスペクトがバートン一流のこだわりとなって作品中に満ちていて、双方のファンである私は始めから終わりまで感激の思いが絶えなかった。特に、チャーリーとその家族のライフスタイルは完璧といってもいいぐらい原作に忠実に再現されていた。ただ、原作でのイノセントな奇人ウォンカ氏を演じるにはデップはやはり美しすぎた。その異質な存在感のせいでウォンカ氏が奇人変人どころか狂人に見えてしまい、結果的に作品のカラーはかなりブラックなものになっていた。ところがそこに原作にないウォンカ自身の生い立ちストーリーを絡めることで、最後にはこのブラックさが一転してハートウォーミングなエンディングにつながるというバートンファンのツボを突いた展開にうならされる。原作を大切にしつつしっかりバートン風味が効いているという監督の職人芸に拍手。マイナス1点は今回はコドモ同行につき吹き替えでしか観られなかったため。 [映画館(吹替)] 9点(2005-10-11 23:42:00) |
47. ヴェロニカ・ゲリン
《ネタバレ》 悲劇性が強調されがちなテーマだが、これほどまでに家族や自分を危険に陥れてもなお自分の好きな仕事に全情熱を捧げられたヴェロニカは色んな意味で幸せだったはずだ。脚を撃たれてもなお「やっぱり自分の読みは正しかった!!」とアドレナリンを放出しまくってハイになっている彼女はいいが、本当に辛いのはその彼女をただ見守り無事を祈るしかなかった周囲の人間達だったろうと思う。フリッカーの演技はリアルでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-18 00:40:38)(良:1票) |
48. 普通じゃない
ユアンのダメ男っぷりはなかなか良かったけど、可愛い気のないキャメロンは本当に可愛くない。自己保身のためなら殺人だって犯しかねない天使というのは初めて見た。彼らのキャラは面白かったが、他に見るところ無し。クライマックスの「ハートに矢」は笑うべきなのか、感動すべきなのか・・ワケワカラン。さらにエンディングでダメ押しされた。 3点(2004-12-10 23:53:26) |
49. 抱擁(2002)
地味ながらストーリーも映像も音楽も美しく後味もとてもよい良作。G・パルトロウは芸術家の血を引くインテリ女性の役にぴったりだが、相手のA・エッカートはちょっと若すぎ明るすぎ?でもそのやんちゃなところがなければこの話は成立しなかったわけでこれでいいのか。最後の「誰も知らない」エピソードも◎。 8点(2004-10-09 12:08:14)(良:1票) |
50. モンテ・クリスト伯(2002)
原作を読まずにオリジナル脚本のエンターテイメントとして観る分には充分面白い作品だと思う。いつも思うがカヴィーゼルのきれいな瞳は虐げられる純朴な男にはまる。この映画を観て面白かった人はぜひ原作も読んでみて欲しい。超長編ですが飽きずに読める傑作ですよ。 8点(2004-10-09 10:17:03) |
51. シェフと素顔と、おいしい時間
出発便のトラブルで航空会社の用意したホテルで一晩を過ごしたことがあるが、スケジュールは気になるし、急に招集されたり開放されたりで気が休まらなかった。あの時のイライラを思い出した。そんなシチュエーションでも大人の恋愛が成立するおフランスの粋はさすがである。単純なストーリーなのでこの時間の短さががちょうどよかった。 5点(2004-10-08 12:18:06) |