121. インセプション
新しい作品ですが一気にトップテン入りしてしまった映画です。冷静に筋を追えば結構穴が多いストーリーですが、複数ある矛盾を無視したくなるほどスタイリッシュでカッコいい映画です。マトリックス以来の衝撃! 映像の見せ方や理論部分もよく練られていて、想像力を掻き立てるストーリー展開は見事です。本読みが好きな人(妄想するタイプの人)には高得点だと思いますが、反対に直感的なタイプの人には「?」が多く出る脚本なのは否めません。何となく的から外れたことになっていても情緒的な映像や音楽、雰囲気で押し切られてしまっているような危うさ(強引さ)があり、そういった部分が合わない人にはとことん合わない作品だとも思います。 夢の階層が深くなるにつれ時間が20倍の速度で過ぎてゆき、数階の階層に降りると50年くらい暮らしていたことになるなんて素晴らしい発想です。惜しいのはホテルの階層まではコダワリまくっていたクールな演出が、雪の階層で一気に普通のアクション映画になってしまった点です。雪の階層で独創的な映像を持ってきてくれていたらもっと素晴らしかったような気がします。 途中で挟み込まれる印象的なシーンとして、年寄や病気の人が夢の世界に住んでいるというシーケンスは素晴らしい。毎日寝に来ている訳ですが、本人たちは夢の中が不自由のない理想の世界であるということです。これは現在のネット時代、オンラインゲームへの比喩とも考えられる非常に素晴らしいメッセージだったと思います。 不思議なことに何度も見たくなる映画で、私は二回連続で鑑賞しました。この映画は高評価と低評価が混在していますが、あまり深く考えすぎないことがポイントだと思います。整合性が合わない部分は華麗にスルー、何となく判ったような気になってファンを気取るのがノーラン作品の正しい鑑賞方法だと思われます。とにかく、、近年まれにみるインナーSFの傑作です!! [ブルーレイ(字幕)] 10点(2014-04-08 14:09:02) |