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風小僧さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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自己紹介 現在の技術で作られた映画を観る目線で過去の映画を見下すようなことは邪道と思っている。できるだけ製作当時の目線で鑑賞するよう心掛けている。

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1.  怪獣ゴルゴ 《ネタバレ》 
 穏当に言えば行方不明になった我が子を親が捜し連れ帰る、辛口でいえば誘拐された我が子を奪還する物語、と言えばいいだろうか。親子の愛情という一本の筋を通したストーリーが良い。このプロットは後の「モスラ対ゴジラ」”卵を返してください”や海底原人ラゴン、「大巨獣ガッパ」に繋がる。親ゴルゴの行動は自然の摂理に従った行動と言える。   ゴルゴの造形はゴジラ型で、上半身に重量感があり古代生物然とした風貌に魅せられる。だが下半身は貧弱で物足りない。口をパクパクもいただけない。   特撮は見ごたえがある。ロンドンの街中で子供を捜し歩くシーンは出色の出来で、特にピカデリー劇場のゴルゴ出現場面は見事の一語に尽きる。逃げ惑う人々のパニック描写や崩れ落ちたビルの下敷きになる人々もリアルで丁寧な作りである。     1960年代、少年漫画雑誌に“ゴジラの隙をうかがっている怪獣”として紹介されたことを思い出す。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-02-25 13:34:14)
2.  ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
 第二次世界大戦中、イギリスを率いてドイツ軍と戦った典型的な“有事の宰相” チャーチルの物語。平時に向かないことは終戦後の総選挙で敗れたことが示している。人間的に好かれないことが大きな要因かなと感じる「人間チャーチル」演出は好意的に評価したい。  気になるのはジョージ6世の描き方。「英国王のスピーチ」ではドイツに対し毅然と対決の演説だったが、本作では途中で思いを変えたか初めは融和的な姿勢にみえる。どっちが本当?   地下鉄に初めて乗り、一度庶民から意見を聞いただけで戦争への決断を下すのは安易な演出で都合がよすぎる。また、ナチスとの対峙においてアメリカの存在が重要なはず。ルーズベルトとの電話1本で終わりじゃ物足りない。もっと貴重なエピソードが盛り込まれてもよかったのでは?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-05-28 20:42:52)
3.  ナイト・オン・ザ・プラネット 《ネタバレ》 
人生の交差点ともいえるタクシー内での一期一会。  【ロサンゼルス】 全く異なる世界の住人である女性同士の出会いがもたらす運命の行く先は…微かに残るアメリカンドリームだが、それを断るタクシー運転手の誇りに現代性をみる。 【ニューヨーク】 黒人と移民の出会いを通じて彼らに暖かな視線を送る。黒人のお節介なアメリカ人気質が良い雰囲気で、犯罪志向に走らない描写が良い。 【パリ】 アフリカ人同士の差別意識や、アフリカ移民と盲人というマイノリティ同士の出会いを描く。立場の違いで「ああ言えばこう言う」やり取りが秀逸。意見は違っても大きなトラブルに発展せず、敵意は見せないコミュニケーションが心地よい。盲人といえど対等な立場で皮肉も交える自然な会話が印象的。 【ローマ】 イタリア艶笑喜劇の悪い面を見せられているようで面白くない、マシンガントークも上滑り気味で全然乗れない、乗客の神父のように具合悪い気分で笑えない・・・・・以上の“ない”3連発。 【ヘルシンキ】 市井に生きる人々の不幸自慢(?)を赤裸々に描く。人生の悲哀を感じさせるがもうひと捻りほしかった。さりげなく”夜明けもある”ということが示されたのは好ましい。    総じて人生賛歌である。が、登場人物の喫煙シーン見せ過ぎには辟易。意図はわからなくもないが、(製作年を考慮しても)過剰なタバコ演出には違和感が残る。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-03-05 14:36:29)
4.  スラムドッグ$ミリオネア
 クイズ番組の構成を映画の構成に応用し、格差社会の実態を描いた娯楽作。  貧困から一発逆転のサクセスストーリーはまさに“ボリウッドのインディアン・ドリーム”てか?「面白いストーリーに社会問題を織り込みアカデミー賞受賞!」の王道を行く。  元になったクイズ番組の、もったいぶって気を持たせる演出に嫌悪感を抱いたので本作も好みじゃない。出来すぎの展開だったが最後のダンスは楽しめた。  かつてプレイボーイとしてテレビのワイドショーをにぎわせたアノ俳優が、子役時代にやらかした“肥溜めにドボン!”のエピソードを思い出した。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2022-10-09 16:20:38)
5.  マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙
 首相になってから晩年の認知症まで、新聞やテレビニュースで知り得たサッチャー像は想像どおり。周囲の男どもを叱咤したりフォークランド紛争での対決姿勢などは報道された情報をなぞるだけのような印象で、自分の想定を超えるものではなかった。  ”女性宰相の奮闘物語”という意味合いに価値があるのだろうが“人間サッチャー”には深く斬りこんでいない。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-09-25 20:33:09)
6.  ハンニバル(2001) 《ネタバレ》 
 前作よりレクターの強烈な個性を可視化し、より刺激的であろうという思惑がみえみえ。メイスンの顔をこれでもかと見せたり、ポールのロボトミー痕らしきシーンが象徴的だ。  心理的な綾はみられず、ひたすら猟奇を強調した悪趣味が目立つ。レクターが自らの手を切断して逃亡という点も、クラリスに対する偏愛としてはあまり説得力がない。  鑑賞後、タラの白子や羊の脳みそ(スクレイピーの心配ない)に対する食欲は減退せず。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2021-10-24 13:43:23)
7.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 
 要はかけがえのない1日を大事にしようということなんだね。プロットはよくできており人生論として共感できる点があるものの、何度もやり直しができるというのは弱点でもある。もうひと工夫、制約があってもよかったかな。失敗してもやり直せる人生では深みが出るわけがない。手塚漫画を継承と触れ込みの小説「火の鳥」を読んで、過度のループ展開に飽き飽きしたことを思い出した。  親父のスピーチが最良だったということはラストへの布石。親子の愛情を淡々と綴り、何気ない毎日でも尊いものだと気づかせてくれる。  ひょっとして、ボリス・ジョンソンはこの映画を観てサミット会場を選んだ?……………知らんがな。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-06-27 20:14:43)
8.  127時間 《ネタバレ》 
 題材が異色で、実話を映画化した重み・説得力がある。自力で生還するために残された方法として、腕をいつ切るのかいつ切るのかと思いつつ観賞。  非日常のアクシデントだが、対応するさまが身に覚えありで、脱出しようとしてもがくさま、工具を落として取れそうで取れないなど、日常のDIY等でも体験する「あるある」感があってイタい。蟻だの鳥だの自由に動き回る動物との対比が尚更イタい。   この種の映画は長い一人芝居をいかに退屈させずに見せるかが重要。本作は「翼よ!あれが巴里の灯だ」のように回想シーンを活用し、幻想を織り交ぜてサバイバルサスペンスの緊迫感を持続させている。自由に動き回れるとはなんと素晴らしいことかと改めて実感。終盤に自分を見つめ直すシーンが出色で身につまされる。脱出後に駆けつけた人たちの、心配そうな表情もいいね。  教訓を得る映画として人生の参考にはなるが、腕を切り落とす過程が観ていて痛々しく、1回観ただけで充分かな。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-03-28 11:47:44)
9.  小さな恋のメロディ
 少年と少女の淡い恋を描きながらイギリスの階級社会を風刺。いたずら・好奇心・性への興味等、子供たちの行動がリアルで生き生きしている。  大人と子供、親と子の関係性が一面的なきらいはあるが、価値観の対立をユーモラスに見せる点はいいね。ダニエルとメロディの“結婚”を応援する子供たちの反乱は、階級社会に染まった大人の固定観念を破るような、少年少女によるミニ革命というメルヘンだ。  「メロディ・フェア」や「若葉の頃」の流れるシーンが秀逸。瑞々しい映像にマッチしたビージーズの音楽が、さわやかで心に残る。
[映画館(字幕)] 7点(2021-03-14 13:52:55)
10.  エイリアン 《ネタバレ》 
 SFホラーの記念碑的作品。宇宙船内の密室劇は起伏があって面白いものの、テンポがのろい。指揮命令系統が部門ごとにはっきりしなかったり命令を無視したりのバラバラ。  リプリーの役回りは従来の添え物的ヒロイン像を脱している。冷静沈着だが時には動揺し、感情を発露しながらも戦う姿を通じ、新たな女性像を確立した。  ねっとりした体液を垂らす粘着質のエイリアンは斬新な造形に見えるが、かつてO・ウエルズのラジオドラマ「火星人襲来」で、V字型の口から涎を垂らす情景が語られており、昔からモンスターに対して抱くアメリカ人のイメージが具現化されたのかなと感じた。部分的に見せられると不気味だが、最後に全体像を見たら「化物の 正体見たり 枯れ尾花」で、なあんだと言う気分。  猫のジョーンズは和みキャラという印象。緊迫感を和らげ、最終的な生存には一安心する。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-02-14 14:57:22)
11.  クリスタル殺人事件 《ネタバレ》 
 先にテレビ版「ミス・マープル」を観たため粗筋は承知で鑑賞。緩い展開でミステリーとしての緊迫感に欠けるが、豪華な俳優陣の演技を楽しめる。愛情劇で締めくくるため後味は悪くない。  R・ハドソンとE・テーラーは「ジャイアンツ」の共演を思い出させ、「たるみよたるみよドリス・デイの顔へ飛んでいけ」のセリフに対するR・ハドソンの反応が楽屋落ちで面白い(ハドソンとドリス・デイはコメディ映画で共演し友人同士)。加えてゲーブル(でか耳)、ヒューストン監督、キューカー監督等、ファン心理をくすぐるセリフもご愛敬。  E・テーラーとK・ノヴァクの皮肉の応酬・罵り合いが見ごたえあり。ノヴァクはちょっと軽い印象かなと思うが「ミステリアス・キム」をかなぐり捨て、場を盛り上げている。  キスで風疹に感染とは昨今のウイルス感染を想起させる。くれぐれも濃厚接触にはご注意を。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-19 18:24:51)
12.  キリング・フィールド 《ネタバレ》 
 カンボジア内戦の実相を捉えた臨場感・緊迫感が秀逸。ドキュメンタリー調の中にもドラマを織り込んでおり、戦争に巻き込まれた人々の苦悩がよくわかる。  大使館に避難する人々とプールで泳ぐ風景との鮮やかな落差。クメールが進攻してプノンペンに近づけばVIPはのうのうと車で逃げる。逃げ惑う人との対比はいつの世も変わらぬ権力者と弱者の関係。  後半1時間は新生カンボジアの過酷な実態を垣間見る思いだった。「解放者だと思ったら新たな弾圧者だった」・・・歴史は繰り返す。  プランの逃走時、墓標のような枯れ木群が現れ足元には白骨が・・・作品を象徴するシーンが主題を訴える。音楽は時に邪魔している。「イマジン」含め終盤の感動を誘う演出は、それまでの流れから脱線気味の印象。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-26 17:47:43)
13.  シャイニング(1980) 《ネタバレ》 
 舞台設定は面白い。カメラワークが秀逸で、冒頭の滑らかな映像美は見事。  タイプライターで小説を打ち始めた途端、主人公の表情が険しくなる。このおっさん、変貌が早すぎ。J・ニコルソンの怪演というより自己満足の顔芸。  ホテルそのものが悪霊の佇まいだが“館の怪異”が食い足りない。全体的な印象は「柳の下のエクソシスト」だな。音楽も時に鬱陶しい。  ジャックとダニーの追いかけっこが大きな見せ場となっているが、怖さの超人を目指すかのようなニコルソンの芝居を長々と見せられればスリルに慣れるし飽きる。足を引きずりながらということもあり冗長だ(撮影技法のアピール?)。妻役S・デュヴァルはコメディーが似合いそうで、恐怖に相応しい配役と感じない。最期の“いきなり氷漬け”も、なんかコメディー。  ホテルに着いたジャックが徐々に変貌した方がジワジワ迫りくる恐怖を醸すと思うし、ダニーを追い回す展開をテンポよくすればホラーとしての迫力は高まっただろう。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2019-03-17 11:29:40)
14.  ブラジルから来た少年
 クローン技術を使っても全く同じ人間を作れないとはよく言われること。「新たなモーツァルトやピカソが誕生」するためには環境を同じにしなければ不可能、という要素が加わるためだが、少々雲行きが怪しくなってきた。  クローン人間の作成は倫理を無視すれば技術的に可能な段階に達している。そして、現代の技術では不可能だがそう遠くない時期に意識や記憶の移植が可能になるとのこと。そうなれば(ヒトラーの時代には間に合わなかったが)、やがてどこかの国の独裁者をクローン+意識・記憶移植でコピーする悪夢が現実にならないとは言い切れない。そういった意味で、この映画は時代を先取りした怖さがある。  老優二人の鬼気迫る競演は見ごたえがあった。特にG・ペックはメンゲレの狂気をオーバーアクトで魅せてくれる。  ドーリング家の鏡に映る数多くのエリック(ヒトラーのクローン)は作品のテーマを暗示する名場面。テレビ放映当時、「ヒトラーのクローン役の子供が可愛くない」という意見に対し、「ヒトラーの子供時代が可愛いわけがない」と反論があったが、後者の意見に1票。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-09-02 14:20:10)
15.  グッドナイト&グッドラック
 1950年代に全米を揺るがしたマッカーシズムと闘うジャーナリストたちの物語。表層的な再現ドラマの域を出ない印象。タバコ燻らせ上目遣いのマロー役は、ハリウッドお得意の“そっくりさん芝居”。  古い時代の空気を醸成する技法として、モノクロ映像による表現が効果的だと長らく思っていた。しかし、この手法はあくまで特定のテーマに限ると最近思うようになった。カラー化以前、映像は白黒でも現実は色彩豊かな風景なのだから、と。本作を観て特に感じるのは、記録映像の活用にこだわるあまり、マッカーシーの動きが見えないこと。カラー撮影で彼の行動をもっと掘り下げれば、歴史を学ぶだけでなく現代を学ぶことにも繋がるのではないか。硬派な題材はジャーナリズムに対する昨今の風潮にも警句を発する価値があるだけに、突っ込み不足が惜しい。  テレビの理想を語る場面は示唆に富むが、M・バール、E・サリヴァン、S・アレン等の番組、良かれ悪しかれそれらもひっくるめてテレビなのだ。まあ、テレビの現状(特に地上波)を見るにつけ「娯楽と逃避のためだけの道具」になりつつあるとは思うが……。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-05-27 13:51:36)
16.  ニューヨーク1997
子役のイメージを脱したK・ラッセルがマッチョに変身。L・V・クリーフやE・ボーグナインなど脇役陣のクセ者ぶりが楽しめる。中でもミュージシャンのI・ヘイズは意外な怪演。大統領役がD・プレザンスというのは「?」だな。  監獄が舞台とはいえ退廃的でごみごみした近未来は好みじゃない。まあこの世界観が後の映画に影響を与えたんだろうけど、未来は多少でも希望がなくっちゃ。  時限付き大統領救出という題材はいいが、起伏の乏しい展開で中だるみ気味。オックス・ベーカーは小道具(武器)を使わず、殴る・蹴るの方がお似合いだ。  救出された大統領の身だしなみは風刺を感じるし、テープをすり替えて捨てるところは爽快感があった。でも、世界平和につながるならちょっと惜しい気が・・・。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-10-30 20:18:34)
17.  アバター(2009)
 飛ぶ、跳ぶ、走る、躍動感あふれる映画である。  3Dが先にありきか、テーマを表現するための手段としての3Dかで評価は分かれるが、後者の心意気と解釈する。めくるめくような映像美で社会性を包んだ上質のエンターテイメントと感じた。  ベトナム戦争や「ソルジャー・ブルー」の問題意識を想起させる場面もあるが、よりマクロ的な視点で、人類史上繰り返される異文化との衝突をいかに克服するか、さらには自然と人間の共生が主題として提起される。本作はパンドラをめぐるナヴィ、アバター、地球人の関係を通じてこの課題を問いかける。相互理解による共存がなければ征服と屈従しかないのが現実。終盤の、理念と矛盾するような派手なドンパチは通俗的だが、ハリウッド映画ならではの娯楽性と受け止めた。  ラストで「エイリアンは去った」の言葉が象徴するように、ナヴィ(そしてパンドラ)からみればスカイピープルこそがエイリアン。似たような印象の映画もいくつかあれど、自然と人間の共生を問うた点は鉄腕アトム「赤い猫」と通底する。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-09-25 14:06:12)
18.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
無重力を表現した宇宙空間の映像美は見事で、TDLの「スター・ツアーズ」を体験した時のような快感を味わった。技術先行の画面に、2人の会話劇で人間関係が描写される展開は秀逸。無音(?)の大宇宙では軽口をたたくことも重要なコミュニケーションと映る。 娘を亡くし夫と別れた女性宇宙飛行士が宇宙に一人取り残され、一時は死を覚悟しながらも、帰還に向け生への気力を取り戻すという設定に現代性をみる。マットの生還(幻覚)からラストに向けての展開はハリウッド映画の王道であり、悲惨な結末を迎えるリアリズムよりずっといい。 ライアンとマットのロープでのつながり(へその緒のような)やISS内部での胎児ポーズ、そして涙の粒が浮遊するシーンはそれぞれ印象深いが、強調し過ぎの感あり。 地球に帰還し、カプセルが着水した湖でライアンが脱出した際、水中でカエルが彼女の前を横切る。さらに虫が飛び鳥がさえずる芸の細かさ。その後、彼女は陸に上がり、四つん這いから徐々に立ち上がって大地を踏みしめ(彼女の再起を暗示)、最後に2足歩行する。ここで原題「Gravity」の意味する重力の体感が示される。駆け足で生命の誕生~進化を表現したような感じだ。着水場所を湖にしたのは「猿の惑星」を意識したのだろう。が、むしろ子宮形状の入り江(海水≒羊水)に着水し、ウミガメ(4足)の登場、そして陸上へ、さらに2足歩行となった方が胸にストンと落ちる。カエル君の登場は唐突な感じだった。  無重力の宇宙空間、女性の自立、中国の人工衛星の役割、数々の障害を乗り越えて危機からの脱出等、マーケティング・リサーチはバッチリ(若干の皮肉込み)。「生」と「死」、「進化」や「再生」をめぐる91分間で、過去の映画に対するオマージュや生命をめぐるメタファーの詰め込み過ぎも感じる。終盤は生き残ったS・ブロックの一人芝居を見る思いだったが、彼女に魅力を感じないんだよなあ。
[地上波(吹替)] 6点(2016-07-03 12:41:18)(良:1票)
19.  英国王のスピーチ
 英国王ジョージ6世の吃音矯正に悪戦苦闘する姿、その過程で育まれる彼と言語聴覚士との友情を描く。  吃音に悩むジョージがライオネルの指導の下、歌や下品な言葉使いを用いて矯正に悪戦苦闘。この辺の演出はさじ加減の難しいところだが、王室といえど人間味を感じさせるユーモラスな描写で、戸惑ったり怒ったりしながらライオネルに信頼を寄せる展開がいいね。  長兄のエドワード8世が即位後まもなく「世紀の恋」で退位したため、ジョージは国王に即位する。エドワードとシンプソン夫人との交際を冷淡に描いているが、親ナチスということを考えればやむを得ないところ。まあ美人でなくても社交界ではモテる人もいるということか…。  国王となったジョージのスピーチは、戦争に突入する時期でもあり国民を奮い立たせる一役を担ったことだろう。ラストの演説シーンは見ごたえがあった。「感動」とまではいかないが。  わがスピーチのお手本は佐々木良作(ユーモアのセンス)、雷門ケン坊(寿限無の早口)、そして黒沢良(TVドラマ「アンタッチャブル」のナレーション)だ。とりわけ黒沢良さん風のエキサイティングな語りは説得力大。発音の悪いどこかの首相はスピーチの内容より、まず発声の仕方を訓練したほうが良いとエモいます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-02-28 13:33:04)
20.  マダムと泥棒 《ネタバレ》 
イギリス流ブラックユーモアの逸品。とぼけた味わいの老婦人役K・ジョンソンが男優5人を食っちゃった。冒頭、警察署に現れた彼女がいつもの調子で宇宙船の話をし、署員をうんざりさせるのだが、これがラストへの伏線になっている。 現金輸送車強奪を計画した5人組が彼女を利用してまんまと成功する。犯罪の実行を決めるにあたり、力だけが取り柄の大男にキャスティング・ボートを握らせるところは民主主義の皮肉を感じさせるシーン。5人組は盗んだお金を運ぶ際にうっかり彼女に見られ殺そうとするが果たせず、お互いの疑心暗鬼で結局殺しあうことに。婦人が亡夫の話をする場面では、A・ギネス扮する教授登場のシーンがホラーっぽかったので、ひょっとして彼女が夫を殺したのでは?とまで思わせるようなブラックな展開。今の映画だったらそこまでありかな? ラストで彼女が真相を警察に届けても相手にされず、盗まれた大金を返さなくてよいと言われる。ここで冒頭の伏線が回収される。いつものほら話と署員が軽く受け流すのも当然で、若干の疑問は感じつつも、見事に「やられたなあ」と感じた。盗まれたお金も保険で補てんされるし、実害は保険料がちょっと上がるだけ、というのも社会風刺気味。関口宏主演の土曜ワイド「殺しの連鎖反応」(傑作!)を思い出した。上司が次々死亡し最後は主人公が得するブラック・コメディだが、この映画と関係なかったかな?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-21 16:24:52)
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