1. エイリアン
《ネタバレ》 美術も音楽も俳優も演出も十分な予算が費やされており 公開当時にこれを見た人々の記憶に深く刻まれているのは分かる。 ただ、こういう特定のジャンルのエポックメイキング的作品は 懐古補正とかもあって平均点8超ということがよくあるのだけど この作品は超えていない。 その理由は脚本、もっと言うと登場人物の判断力欠如ではないだろうか。 物語の緊張感を保つためにはキャラクターをピンチに追い込むことが重要だとして じゃあどうやってピンチに追い込むかという話なんだけど ・敵を強大にする ・偶然の連続で事態が悪化する ・味方がミスをする などの手法がある中で、下にいくほど脚本の難易度が下がっていく。 この作品が採用したのもその手法だった。 ・指揮系統や規則を逸脱した判断 24時間の消化処理の前に開放するなど(一人は極秘指令のためだが他は感情優先) ・組織の目的と実装の不一致 地球外生命体の持ち帰りが最優先事項なら消化24時間ルールは撤廃しておくべきでは? また、ロボットが宇宙船を単独操作可能ならそもそも人間不要では? ・判断力の欠如 3人体制で警戒しながら探索していたのに、猫の捕獲は一人で適当にやらせる 緊急時で他の二人が危険な中退避処理を勧めているのに、一人猫を回収に行く始末 猫が大切なら置いてくべきだし、愛玩なら優先順位つけて割り切るべきでは? といった様子で枚挙に暇がない。 だいたい重要なところでは判断が間違っていると思っておけばいい。 結局のところ、人間側の言動があまりに知性を感じさせないので 「エイリアンすごい」というより危機意識欠如して危険な目に遭った人を遠目で見ている気分になってくる。 新社会人に見せてどこがよくなかったか議論させる教材にはいいかも。 まあ昔の脚本なんてツッコミどころだらけだし危機意識も今とは違うから野暮だけど。 船体を突き破る酸の演出とか、全編に及ぶ不気味な雰囲気はよかった。 [インターネット(吹替)] 5点(2019-10-02 02:49:13) |
2. スリー・ビルボード
《ネタバレ》 はっきり言うと、クソつまらんかった。 覚悟完了したババアがひたすら遂行していく話かと思ったら 怒りの連鎖の虚しさを知る物語。 新人警官は、差別主義で怠慢な態度を改めて義心を覚える。 白人署長は、最期まで善人として描かれる。 この作品を評価している文章を見ると、先の読めない展開、 重いのに笑わせるコメディ、ババアと警官の成長ドラマあたりが長所らしい。 個人的には、期待(絶対的な意思でやりきる行動力)を裏切られる展開、 特に笑えないコメディ、応援できない人物の成長と本当にどうでもよかった。 これで感動できる人もいるらしいけど、自分は無理だった。 だって、最初に具体的な目標(復讐とか)が設定されて 視聴者は「目標が(どのように)実現されるのか!?」って期待して見るのに 「これは自分の心の精算の話だったんだ」って収まったらカタルシスがないじゃん。 そういうのは予想外の展開じゃなくて期待外れって言うんだよ!! 仮にその心変わりに物語の力点を置くなら せめて目標を実現できる状況(復讐対象に銃を突き付けるとか)を作った上で、 あえてそれを選ばないという方がカタルシス得られるし心変わりが伝わってくる。 できない状況で諦めるのと、できる状況でやらないのは全然違うだろ! まーこれは好みというか見る側の人生観の問題なのかも。 自分は何でもある程度はシロクロはっきりさせたいし はっきりすることを期待して物語を読むし。 笑えるかどうかについては、アメリカの文化的背景への理解が必須。 あと結構見る人に解釈を委ねてくる。 ・真犯人は自白した男だったけど黒人署長に隠蔽されたのか。 ・白人署長が自殺した本当の理由は、真犯人を突き止めなられない事情があり 看板を機に覚えた良心の呵責に苛まれたからか。 あたりは意見が分かれそう。 低身長の人物が出てきて、昨今のポリコレ風潮から マイノリティ属性は善人として描かれるだろうと思ったら案の定なのも 「ノルマ達成!」って実績解除された感じ。 自分も看板、立てていいですか? [映画館(字幕)] 3点(2018-03-05 01:07:10)(良:3票) |
3. エクス・マキナ(2015)
緊迫感ある雰囲気と美少女?との出会いというストーリーが非常にラノベ的でいい。 エヴァは主人公(=童貞)好みに仕上げられたというが、個人的にも刺さったので主人公に共感できた。 哲学的な内容が人を選ぶかも。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-27 02:19:19) |
4. 時計じかけのオレンジ
《ネタバレ》 暴力、強盗、レイプを繰り返す15歳の少年アレックスに対して それら行うと吐き気を連想させる洗脳工作を行うが世論の反発に合い、 国家が主体となって元のアレックスに戻すという、全体主義や体制を皮肉ったような作品。 40年近く前の作品だが、冒頭の原色背景→アレックスのアップの雰囲気で傑作の匂いがあり 当時の世相を加味しても大変インパクトを与えた作品と言えるだろう。 とにかくアレックスの奇抜なキャラが立っており、「名作」というより「怪作」とかの方が近いかも。 「オレンジ」とは人間という意味で、規律を遵守するロボット人間的な意味らしい。 (または、「時計仕掛けのオレンジ」で奇抜な人という意味?) [DVD(字幕)] 5点(2017-07-27 02:08:01) |
5. シャイニング(1980)
《ネタバレ》 映像、音に圧倒的な力があり惹き込まれる。 スタンリーキューブリックが天才というのはなんとなく分かる。 重低音を流して緊張感を持たせており、カットも普段はあまり頻繁に切り替わらないのにホラーシーンでは 一瞬だけ不気味なカットを挿入させるなど、メリハリが聞いている。 シナリオ上は人間の狂気にフォーカスしていて、狂っていくジャックとそれに怯えるウェンディ、ダニーというシンプルな構図。 説明不足だが人数が少ないため混乱することはないと思う。 今回見たのは119分版だが、143分の方が評判がいいらしい。 ダニーが超能力を獲得する過程が描かれているらしく、確かにその方がいい気がする。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-07-27 01:26:43) |
6. 月に囚われた男
《ネタバレ》 面白かったし、緊張感もある。 でも最後のテロップはない方がいいと思う。 ガーディはなぜ企業を裏切ってサムに協力してくれたのか、 普通に考えると企業に従うよう設定されているはずなので そこでエピソードというか根拠があればもう少し入り込めたかも。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-25 11:45:55) |
7. ターミネーター
充分に面白いのですが、先に2を見たので相対評価になってしまいます。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-25 10:48:55) |
8. バットマン リターンズ
《ネタバレ》 ティム・バートンの世界観がふんだんに披露されるので、それが合うか合わないかで分かれる作品。 個人的にはクリスマスに暴れるクレイジーなピエロ、不気味だが愛嬌のあるペンギン、 ツギハギの衣装に謎の魅力を持つキャットウーマン、という時点で惹きこまれた。 ノーマン作品よりティム・バートンのバットマンの方が好き。 ストーリー自体は、悲しみを背負ったペンギンとキャットウーマンという共通項があるものの 三つ巴のような展開に乏しく、二人の悪役によりストーリーがファジーになってしまった印象。 ペンギンとキャットウーマンの目的がいまいち見えないため、 バットマンも「街を守る」という漠然とした存在になり、バットマンの弱点や葛藤はあまりない。 (知人女性がキャットウーマンと発覚してから戦うか戦わないか!?みたいなシーンもほぼないし) ペンギンはたしかに悪いことしたんだけど、境遇が不幸すぎるし 「名前を知りたい」「女を抱きたい」が目的だとしたらちょっとかわいそうすぎる気がする。 面白いのだけど、世界観の勝利みたいなところがあって、脚本自体は普通だったかも。 スーファミのバットマンリターンズは相当に再現度が高かったらしい。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-23 10:56:04) |
9. 英国王のスピーチ
ストーリーは淡々と進むが、治療法が具体的に示されたことと 演技力のよさで惹きつけられる。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-23 10:25:36) |
10. ゴーストライター
《ネタバレ》 面白かった! アラやツッコミどころこそあるものの、全編に漂う緊迫感、不穏な空気から目が離せない。 奥さんがCIAでCIAが黒幕(イギリス政府をアメリカCIAが支配している)というのは分かるような分からんような…。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-22 07:38:07) |
11. アバウト・タイム 愛おしい時間について
《ネタバレ》 SFの部分が雑だし、タイムスリップの代償をそこまで払うことなく幸せを享受してずるいけど 最後のタイムスリップで、父親と浜辺で一緒に石を投げるシーンでボロ泣きしてしまった。 親子愛、家族愛は作中での描写が少なくても、普遍的な人生経験なので見た人の心を大きく動かしやすいのかも。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-22 07:33:28) |
12. ゼロ・グラビティ
《ネタバレ》 面白かった! 宇宙版「キャスト・アウェイ」という感じだけど、酸素と大地があるだけでも全然安心感が違うのだと実感。 「オデッセイ」を見た時、主人公の一人称視点だけで進めた方が面白いと思ったけど 前年にゼロ・グラビティが発表されたと考えるとしょうがないと言わざるをえない。 主人公がモタモタしてるように見えてストレスが貯まるので 「緊迫した場面でトロくさい」のは避けて欲しいと思った。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-22 07:24:48) |
13. インターステラー
《ネタバレ》 大作!という作品だった。映像はよく出来てるし話も面白い、 特にダレがちな中盤で地球民移住プランは最初から嘘だった(=今地球にいる人は全員死ぬ) という事実を突きつけられた場面での引き込む力はとても強い。 また、ハードSFでは希薄になりがちな「愛」を物語に絡めようとした点も評価できるが やや無理やりというかこじつけ感はあった。 なぜ「本を動かす」「秒針を動かす」程度の作用しかできないのか? キャラクターでは、主人公は特にミスや落ち度は少なく好感が持てる仕上がりになっている。 こういう作品では身内の内ゲバではなく、みんな有能だが過酷な状況という物語の方が絶対おもしろい。 ヒロインは最終的に正しい選択をしているのだがそれは結果論で、 あまりいいところ、魅力的な場面がなかったように感じる。 宇宙飛行士は最終的に主人公以外全滅させてもよかったのではないだろうか。 モノリスのような外面にユニークな会話術を持つ人工知能のTARSがやたらと人間臭くいい味を出している。 2時間40分という長さを飽きさせずに見せきったのは素晴らしいが、 全く縮める部分がないかというと、もう少し配慮の余地があったと思う。 例えば、息子の存在があまりうまく機能していない気がする。 娘を唯一の肉親とした(父親は娘の保護者としていてもいいが)方が お互いのかけがえのなさ、大切さが描けるし尺も縮められる気がした。 総評として、間違いなくよくできているのだが、愛をテーマに据えた結果やや散漫な構成になった感がある。 細かい説明は片っ端から除外して緊迫感と高級感を保ち続けた「2001年宇宙の旅」に一歩劣る印象。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-20 17:28:47)(良:1票) |
14. ファーゴ
コメディとしては笑えもせず、サスペンスとしては緊迫感がなくて、どうしたいのか分かりませんでした。 [DVD(字幕)] 2点(2017-07-20 16:38:08) |
15. スラムドッグ$ミリオネア
冒頭「なぜジャマールはクイズミリオネアで正解することができたか」という問いかけが与えられるのですが、 正解は私の想像を超えた、もっともつまらない理由でした。 名作かもしれませんが、私の人生観から著しく逸脱しているので好きになれません。 [DVD(字幕)] 1点(2017-07-18 21:04:54) |
16. アンコール!!
老夫婦のどちらも好きで応援してしまいました。 原題の「ソングフォーマリオン」でよかった気もします。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-17 01:19:48) |
17. オデッセイ(2015)
最初見たときは「終始主人公のみの視点の方が面白かったのでは?」と思ったのですが 少し前にゼロ・グラビディがあったと知って しょうがないかも?と思いました。 [映画館(字幕)] 8点(2017-07-17 01:18:32) |
18. 2001年宇宙の旅
素敵な点はたくさんあるのですが、冒頭の猿とワープのシーンを圧縮して2時間に収めて欲しかった…。 [DVD(字幕)] 9点(2017-07-17 00:49:13)(良:1票) |