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プロフィール
コメント数 2387
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  スパイダー パニック! 《ネタバレ》 
ノリはもう『トレマーズ』という感じのB級モンスター映画の王道です。細かい理屈はともかくとして、巨大化した蜘蛛たちが田舎の町を群れとなって襲撃!というシンプルな構成ながらもスピーディな展開で飽きさせない面白さがあります。アサイラムあたりのZ級とは違って人物設定などもきちんと造りこまれているのも良し。巨大化したと言ってもタランチュラ以外はせいぜいセントバーナード犬ぐらいで、蜘蛛としての分別は守ってすぐ殺せるのも好感(?)がもてます。でも群れとなって追っかけてくるところなんかは蜘蛛嫌いには卒倒ものだろうし、集合体恐怖症の方も要注意です。オスがメスに贈り物をして気を引くというコガネグモの習性を上手くストーリーに取り入れたりして、この監督きっと蜘蛛好きなんだろうな(笑)。ティーンのころのスカヨハが出ているところも得点が高い、今じゃ彼女がB級やインデペンデント映画に出演するなんてとうてい考えられなくなりました。所々に仕掛けている映画ネタや陰謀論ネタも、センスの良さが感じられます。けっこう死人が出ているのになんか笑えちゃう、ってところも『トレマーズ』風味がありました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-11-18 23:32:17)
2.  透明人間(2020) 《ネタバレ》 
“ドラキュラ伯爵”“フランケンシュタインの怪物”“狼男”、この三つがユニバーサルが産み出した定番のホラーモンスターですが、彼らよりちょっと影が薄いのがこの透明人間。そりゃあただ透明になっただけで本質は普通の人間ですし、H・G・ウエルズの原作があるが映画化されると三大モンスターとは違ってそれぞれ独自のキャラ設定になっているし、どの作品も製作当時の時代が反映されたリブート的なストーリーになっている。いわば普通の人間が透明になってどんな悪さをしでかすかが透明人間映画のキモなんですが、この映画ではなんと透明ストーカーになっちゃうんですね。ソシオパスの天才科学者が透明スーツを開発して逃げ出した恋人に付きまとうわけですが、そんな世紀の大発明、もっと違う使い道があるだろう(笑)。それでも恋人の就職面接を邪魔したり妹に成りすましメールを送って仲たがいさせたり、いかにもストーカー気質野郎がやりそうなことで、あまりに陰湿でゾッとさせられます。ひとつ前のヴァーホーヴェン版の『インビジブル』がCG多用のやり過ぎぐらいのグロさだったけど、低予算を逆手にとったような誰もいない空間を見せるパン撮影が多用されていて、ヒロインの心理的な動揺も同時に表現出来て上手いなと思いました。監督があの『ソウ』シリーズの産みの親であるリー・ワネルですから、極力CGに頼らず緻密な計算に基づきながらも手造り感もある映像には工夫が見られます。ラストに向けての文字通りのサプライズは天才科学者の兄弟関係だったと言えますが、あの展開にはやっぱ腑に落ちないところがありますよね。でもいちばん私が震えたのは物語が進行するにつれてどんどん険しくなってくるヒロインの表情で、ラストのカットなんてもう鬼の微笑みでした。 ヒロインが宿した科学者の子種、この後いったい彼女はどうするんだろうか、とふと考えると怖いものがあります…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-11-03 22:32:44)
3.  マトリックス 《ネタバレ》 
作品は観たことなくても“マトリックス”という言葉は知っている人が多いという、二十世紀を閉めるに相応しい『2001年宇宙の旅』なみにSF映画を変革させた金字塔じゃないですかね。その世界観はサイバーパンクの思想が色濃く反映されていて、ウィリアム・ギブソンの『ニューロマンサー』の影響がやはり大だと思います。そこにジャン・ボードリヤールの哲学と東洋哲学およびメシア思想をぶっこんだって感じですけど、続編からアドバイザーを打診されたボードリヤールからは「君たちの私の哲学理解は浅い」と断られちゃったそうです。この東洋哲学思想も色濃い世界線にキアヌ・リーヴスを抜擢したのは大正解で、彼の表情表現力の低い当時の演技力(まあ大根役者ってことです)が返って謎めいた雰囲気があっていいんですよね。ストーリーに組み込まれている世界線や表現は確かにアニメや過去作からの引用が感じられますけど、あのバレットタイムの創りだす映像の凄まじさには初見の当時の観客が度肝を抜かれて熱狂したことはムリもないです。 この第一作ではネオが目覚めるというか神の領域に踏み込んだところ終わるわけですけど、シリーズ始めのキャラ紹介的な位置づけとしては手堅いかなと思います。そして『2001年…』と並んで多大な影響を及ぼしたのは、「この世界は闇の勢力やディープステートに操られているんだ」と唱える陰謀論者に対してじゃないでしょうか。出来の良い映画の影響力は、恐ろしいものがあります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-04-29 23:12:20)
4.  レッド・プラネット 《ネタバレ》 
月なんかとは違って火星には一応大気らしきものが存在するので、映画の世界では米国でも砂漠の岩山地帯で赤色フィルターをつければ撮ればロケで火星が再現できるからちょっと経費的には安く上がりますね。まして本作では登場人物が六人だけですから単なるB級SFかと思いきや、火星探査船やら細かいディティールにはCGとはいえカネをかけています。でも脚本というか設定自体はかなり?で、酸素が切れそうになって苦しみながらヘルメットを脱いだら「息が出来る、酸素が有る!」にはちょっと唖然としました。だいたい、20年ぐらいで地球の高山程度の濃度とはいえ酸素が火星の大気に満ちるわけないですよ。太古の地球だって原初の生物の光合成で酸素が上昇するのに、何億年も時間がかかっているんですから。なんでハブが破壊されていたのかは判らずじまいだし、何十年も前のロシアの捨てられた探査船がちゃんと作動するってのもご都合主義です。あの犬型ターミネーターみたいなロボットだけは面白い要素だったけど、なんであれが人間を襲うようになったのかはイマイチ意味不明でした。まあ唯一の楽屋オチネタは、キャリー=アン・モスの名前が“ボーマン船長”というところかな。きっと彼女、地球に帰還した時は妊娠六か月だろうな(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-10-10 22:27:49)
5.  パラサイト・バイティング 食人草 《ネタバレ》 
典型的な低予算B級ホラーと舐めてかかってはいけません。製作はドリーム・ワークスでエグゼクティブプロデューサーはベン・スティラー、音楽グレーム・レヴェル・撮影監督ダリウス・コンジとスタッフも一流です。『シンプル・プラン』のスコット・スミス書いた小説が原作ですけど、ピラミッドの頂上というほぼ限定された空間は、独創的な映像アイデアだと思います、予算も節約できますしね。この映画の上手いところは、必要最小限の情報しか観客に与えないことでしょうね。ピラミッド自体はマヤ文明の遺跡らしいけどなぜその周囲にだけ食人草が生えているのか、原住民たちは若者たちをすぐに殺さずにピラミッドの頂上に追い詰めたのか、そもそも連中は何者なのか?こういう不条理とも言うべきストーリーテリングは自分の好物です。モンスター・ホラーと言っても食人草自体は積極的に攻撃してくるわけでもないのですが、着信音を音声模写(?)して獲物をおびき寄せるところなんか、はっきり言って荒唐無稽ですけど昆虫が使う擬態が連想されてゾッとします。けっきょく本作で怖いところは食人草よりもドツボにはまって自滅してゆく五人の運命で、これはほんと文字通り痛々しい。“石で骨を粉砕してナイフを使って両脚を切断”なんて、良くこんなこと考えつくなと感心してしまいます。この映画は、食人草よりも極限に追い詰められた人間がとる痛々しい行動に恐怖する種類のホラーなんです。B級ではありますが、掘り出し物と言えるホラーなんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-21 19:41:10)
6.  エイリアン:コヴェナント 《ネタバレ》 
いやー、皆さん“『プロメテウス』のストーリーを忘却してしまった”告白の嵐で、自分は少し安堵してしまいました。なんせ「そういやマイケル・ファスビンダーが出てたよな、でもエリザベス・ショウって誰だったっけ?そうかノオミ・ラパスが演じたキャラか、でもラストで二人が生き残って旅立ったってことらしいけど、ヤバい、全然記憶がないぞ…」とわが身にゲシュタルト崩壊が起こったのかと慄いてしまってましたから(笑)。本作は『プロメテウス』と時間的間隔を空けずに鑑賞することがコツなのかもしれません。 感想はひとこと、リドリー・スコットも老いたというか才能が枯渇しちゃったのかな?となります。だいたいウォルターとデヴィッドが揃ったところでもうオチはバレバレでしょう。ヒロインにはリプリーみたいな凄みが無いし(この女優さんは、名脇役サム・ウォーターストンの娘なんですね、たしかに親父さんの面影は濃厚でしたがちょっとミスキャストでは)、やはり代理船長はじめ乗員たちの判断や行動はおバカすぎです。『プロメテウス』以降舞台が未知の惑星というオープン・スペースになりましたが、『エイリアン』ストーリーはその密室性が成功した秘訣であると正しく理解してるリドリー・スコットは、本作ではエイリアンが本格的に登場するシークエンスをすべて夜にして王道に回帰しようとしましたが、いかんせんただ暗いだけの映像にしかなりませんでした。シリーズの前日譚という設定なのでフェイス・ハガーが飛び出してくるところなどエイリアン関連のネタは何度も見せられてきた類のものなのでデジャブ感が濃厚、そろそろ新しいアイデアを出してもいいんじゃない?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-06-12 22:08:46)
7.  ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 《ネタバレ》 
監督が『プリデスティネーション』のスピエリッグ兄弟で、同作で強烈な印象を残してくれたサラ・スヌークも出演とくれば、どうしても期待しちゃいます。 題材は有名なウィンチェスター・ハウスで、30年以上も屋敷を増築させた未亡人サラをヘレン・ミレンが演じるとなれば、けっこう怖いんじゃないかと身を正して観始めました。ヘレン・ミレンが初めて姿を現すシーンは期待通りの不気味さでしたが、ストーリーが進むにつれてどんどん良心の呵責に苦しむ普通のおばあちゃんになって行くのにはちょっと期待はずれでした。彼女が魔女的な怪演を観せてくれるのかと思いましたが、デイム・ヘレンを引っ張り出してきてそんな三流ホラーみたいなことは、さすがに出来なかったんでしょうね。サラ・スヌークもごく普通の母親で、これなら別の女優でも良かったんじゃないでしょうか。後半の亡霊が正体を現すきっかけは明らかに1906年のサンフランシスコ大地震で、こういう史実やサラ・ウィンチェスターの実際のエピソードが上手く取り入れられた脚本だと思います。後半は単なる亡霊バトルのアクションですが、前半の心霊ホラー・パートもよく考えたら突然デカい音で脅かす例のパターンが多かったのはちょっと残念です。 サラが増築を続けた理由は実際もこの映画の通りだったみたいです。でもそんなこと言ってたら、最近鬼籍に入ったAK47を開発したミハイル・カラシニコフとその一族はどうなっちゃうんでしょうかね。旧ソ連の大戦後における最良の工業製品はカラシニコフAK47であると、現在のロシアでも賞賛されているぐらいですから、何をかいわんやです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-11-18 23:01:48)
8.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
屈辱の『サンダードーム』から30年、突如としてマックス・ロカタンスキーが我々の前に帰ってきた!老いぼれてしまったメル・ギブソンは当然使えないとして、二代目マックスを拝命したのがトム・ハーディ、まるでこの人はマックスを演じるために俳優を職業にしていたかのような馴染み具合です。冒頭でいきなり愛車を分捕られて泣き別れ、鉄格子のマスクをつけられて人間輸血袋にされるなどはけっこう今までのマックス像を塗り替えるような展開でした。そしてシリーズの特色だった女気のなさもシャリーズ・セロンや美形アマゾネス(?)を活躍させることでついに汚名返上となったわけです。でもそんな俳優たちの演技に目を向ける余裕がないほどの驚異的なカット数、映像の放つ情報量はすさまじいレベルに達しています。もちろんCGのヘルプもありますが異形のバギー&タンクローリー&バイクの実車を使った迫力は息をのむほどで、そもそもこの映画の三分の二は疾走シーンなんじゃないかな。マックスにフラッシュバックする過去やフュリオサが片腕を喪失した事情など、細かいことは敢えて語らないストーリーテリングも好きです。 ほんとに「行って帰ってくる」だけの単純なお話しなんですがこれは『2』以降に共通したコンセプトで、それを35年かけてここまで昇華させたジョージ・ミラーは大した奴です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-03-18 21:48:39)(良:1票)
9.  マッドマックス サンダードーム
どう考えてもこの映画はティナ・ターナーを起用してゴージャスに盛り上げるのが製作意図だったはずなのに、盟友バイロン・ケネディの事故死で意気消沈していたジョージ・ミラーのせいでピンボケな映画になってしまいました。彼女が演じたキャラは善なのか悪なのか良くわからんところが魅力的なキャラですが、ストーリーの中盤以降は存在しないも同然になってしまったのはこの映画の大失敗です。サンダードームでマックスと差しでタイマンぐらいしてほしかったな。実はわたくし公開直後にビデオで観てるはずなのに、見返すまでずっとバータータウン内で物語が進行していたと思っていました。つまりマックスが砂漠に追放されてからのストーリーが記憶から欠落していたのですが、確かに後半部分のパワーダウンでは印象に残らなかったのは無理もないでしょう(ひょっとして途中で観るの止めたのかな)。マックス自身もほとんど活躍しなかったしね。 マッドマックス三部作で最低作という汚名を残してマックスは伝説の中に消えていったけど、30年たってジョージ・ミラーはシリーズを再始動させて借りを返せたわけです。さあ、いよいよ『怒りのデスロード』を観るぞー!
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-01-28 23:37:48)
10.  アイアン・スカイ 《ネタバレ》 
フィンランドのオタクがクラウド・ファンディングも使って製作した低予算映画にしては、よく出来ているんじゃないですか。とても750万ユーロ(円換算では10億にもならない)が全予算とは思えない映像、やはりCGの力は偉大です。ナチの宇宙船やメカに漂うレトロ感はよく感じが出てましたが、ナチの逆襲というプロットも含めて既視感が濃厚で目新しさはないです。だけどギャグネタはかなり強烈なインパクトがあったんじゃないでしょうか。黒人を薬品で白人化させる、これは今のハリウッドじゃ絶対に使えないネタです。サラ・ペイリンにクリソツな合衆国大統領、まあこれは笑ってもいいでしょう。でもいちばんインパクトがあったのはこれでもかとカリカチュアライズされた国連の様相で、ヘリウム3なる鉱物を巡って巻き起こる壮絶な乱闘プロレスには爆笑させられました、サラ・ペイリンのピンヒールで殴られたらそりゃ血を見ますよ。そして北朝鮮とフィンランドのネタもね(笑)。 そういや、「続編製作中!」というインフォメーションもあったけど、どうなったんでしょうか?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-06-26 22:59:04)(良:1票)
11.  ハクソー・リッジ 《ネタバレ》 
考えるに、現役映画監督の中で戦争映画を撮るのがいちばん上手いのは、メル・ギブソンなのかもしれません。リアリティーやストーリーテリングの巧みさではスピルバーグやイーストウッドの方が勝っていますが、臨場感と巧妙な脚色と観る者を引きずり込まずにはいられないヒロイズムに関しては、文句なしで当代一でしょう。とは言え、これだけバッタバッタと日本兵が殺される(アメリカ兵も負けず劣らずの大損害ですが)シーンが連続すると、さすがに気分が悪くなってしまいます。そして凝り性のギブソンのことですから、人体損壊シーンが多いことにも辟易させられます。個人的には『プライベート・ライアン』の“ブラッディ・オマハ”の方がはるかにショックを受けましたけど、スピルバーグの方が見せ方については巧みだったんでしょうね。監督がこの人だからと警戒した宗教色は、さほど気になりませんでした。同じ部隊のアメリカ人からも異常視されるぐらいですから、このデズモンド・ドスという人の信条は日本人の私らには理解できるはずもありません。でも「この人は狂信者ではなく、普通の若者だったんだよ」ということを前面に押し出したかったギブソンの演出意図は、それなりに成功したんじゃないでしょうか。しかし銃は握らなかったといっても戦争そのものは否定せずに、自ら志願して戦場に赴くんですから、やはりこの宗教観を理解するのは難しいです。『ヨーク軍曹』を撮ったハワード・ホークスが生きていたら、この映画を観てどういう感想を持ったか想像してみると面白いです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-05-16 23:48:17)
12.  マッドマックス2
およそ30年ぶりの再鑑賞でしたが、「もっと大掛かりなお話しだったんじゃね?」というのが、改めての感想です。三作目の『サンダー・ロード』と記憶がごっちゃになってたのかもしれませんが、それだけ初見の時の受けた衝撃が大きかったのかな。今まであまり観返してこなかったのはこういう埃っぽい映画が生理的に苦手だったからですけど、世間では三十年で本作の評価はうなぎのぼり、いまや映画史に残る存在になってしまいました。そりゃ本作がなければ『北斗の拳』は今の世に存在してなかったかもしれないと思うと、『ブレードランナー』と並ぶ80年代が生んだ「後世の文化に多大な影響を与えた映画」であることは間違いなしです。 ラストの「その後マックスの姿を見かけることは二度となかった」というモノローグは渋すぎです、でも私たちは4年後にこの荒廃した世界の片隅で繰り広げられるマックスの違う物語を観ることになるんですけど、それはまた別のお話し。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-03-25 22:07:23)(良:1票)
13.  ソウ6 《ネタバレ》 
ホフマン刑事がどんどん前面に出てくるようになりました。そりゃジグソウの後継者なんだから当然のことでしょうけど、この人ジグソウに較べるとあまりにやることが雑なうえにお間抜けなので、腹が立ちます。考えてみりゃジグソウはあまりにも用意周到過ぎて辟易となるぐらいですから、ホフマン君の方がリアルな存在と言えるのかもしれません。 本作のゲームは、自分にはシリーズ中で屈指の痛さだった感じがしました。まるで『ベニスの商人』のシャイロックの要求みたいなオープニング・ゲームは、直視できないぐらいです。でも観続けていると疑問に思わざるを得ないのは、この冒頭に出てくる本筋に関係ないゲームは、いったい何なんでしょうね?単なる観客に対するサービスと解するしかないでしょう。ホフマン刑事のキャラも単なるサイコパスになってしまってますけど、彼の行動には何かウラがあるのかと観続けて来た者としては、がっかりです。あとアマンダの秘密やジルの共犯関係などは、いかにもシリーズ製作中の後付けという感じがプンプンです。ここら辺は、連続TVドラマシリーズの手法と一緒ですね。 ラストのサプライズはさすがに「そうだったのか!!」と唸ってしまいました。観客でこの人間関係を予測できた人は、果たしていたでしょうかね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-29 22:59:54)
14.  キングコング: 髑髏島の巨神 《ネタバレ》 
コング、それにしてもでかくなったもんだ、ピー・ジャク版の五倍以上の大きさじゃないかな。懐かしの東宝特撮の南海ものを彷彿させるような怪獣プロレスに徹するところは清々しいぐらいです。でも敵役のオオトカゲ獣が怪獣と言うよりも妖怪に近い感じがして気持ち悪いことこの上なし。しかもこいつはよく見ると前脚しかないという奇妙な体型で、こんな生物が進化の道筋でどうして誕生したのか、夢想してみるのも楽しいかも。初代コングに対するリスペクトもきちんとあって、ピー・ジャク版にも登場したカニ蜘蛛がこれまた巨大化して御目見え、初代コングではカニ蜘蛛のシーンは残酷すぎるとカットされたのは有名なエピソードです。 ベトナム撤退直前の米軍ヘリボーン部隊を護衛に従えて髑髏島に乗り込むまでのストーリーテリングは、テンポも良く説得力があって申し分なし。でもやはり注目すべきなのは裏ストーリー、そうです、コングとサミュエル・L・ジャクソンと男と男(というかオス)の命を懸けた壮絶な対決!序盤でのコングとサミュエルのご対面シーンの迫力あることと言ったら、コングに対等に眼を飛ばせるのはやはりサミュエルしかいませんよ。後半ではほとんど『地獄の黙示録』のカーツ大佐状態でしたが、せめてお得意の決め台詞“Mother Fucker!”を最後まで言ってあの世に旅立って欲しかったです(笑)。 ジョン・グッドマンも実にあっさり喰われてしまうし、どう見ても死亡フラッグが立っていた黒人青年と中国女が生き残るのは意表を突かれましたが、よく見ると例によって中華資本が入っているのでしょうがないですかね。ラストを観れば続編を撮る気は満々なのが判りますが、どうも東宝特撮がらみの怪獣が出てくる雰囲気がプンプンします。キングギドラという説もありますけど、私はゴジラじゃないかと思います。ついに『キングコング対ゴジラ』の夢のリメイク実現!となるんでしょうか?
[CS・衛星(吹替)] 8点(2018-01-10 21:01:20)
15.  ゴーストシップ 《ネタバレ》 
ここのレヴュアーの皆さんからの酷評ぶりを読むと自分の感性に自信がなくなっちゃうんですけど、告白しちゃいますと私はこの映画嫌いじゃないです、いや好きかも(笑)。 まあここは誰もが納得すると思いますけど、つかみのワイヤー人体破壊ショーから幽霊船に乗り込むまではなかなかの雰囲気じゃないでしょうか。実際に可能かどうかはともかくとしても、あの胴体真っ二つ斬りは凄すぎます。生き別れした上半身が下半身を探す女性のカットなんて、ちょっとやりすぎだろって叫びたくなります。他にもいろいろとエグい死にざまのてんこ盛りで、あのナイス・バディのフランチェスカの殺され方なんかも、ちょっと痛すぎでしょ。ここはロバート・ゼメキスの残酷趣味がさく裂してますが、スピルバーグとそのお仲間たちはほんと人体破壊がお好きですねえ。 中盤になってくると尺を考えていたのかご都合主義アクションが目立ってきます。ここも誰もが気が付くように、ホラー演出は『シャイニング』の劣化版と言ってしまっても構わないぐらいで、キューブリックが生きていたらきっと激怒して訴訟をかけてきたと思いますよ。でもよく考えてみればもっとえげつなくパクっている元ネタがあるんです、そう『ザ・グリード』なんですよ。いわば『ザ・グリード』のモンスターがあのサタンの手下に置き換えられたようなもので、ラストの客船の爆発カットなんて『ザ・グリード』そっくりの絵面ですからねえ。でもグリード・モンスターと違ってサタンの手下はやっていることが意味不明すぎます。タグボートを爆沈させる魔力があるくせに客船を操ることができない、まあ彼の代弁してあげるとすれば「豪華客船とタグボートじゃ大きさが違いすぎるだろ、しょせんサタンの手下の俺じゃ手に負えないよ」ということでしょうか(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-04 21:19:47)
16.  マッドマックス
ピーター・ウィアーやピーター・ジャクソン、そしてジョージ・ミラーといい70年代にデビューしたオーストラリアやニュージーランドの映画監督に共通しているのはぶっ飛んだアナーキーさだと思います。彼らは今じゃそれなりの巨匠となっていますが、その中でもミラーだけはデビュー時の狂気をはらんだアナーキーぶりをまだ濃厚に発散している感じがします。この映画はアメリカじゃヒットしなくて日本でのバカ受けが世界に広まってカルトになったそうですが、考えてみれば本作がなければ偉大なる『マッドマックス2』も生まれなかったし、つまり『北斗の拳』も誕生しなかったしストリートファイターも存在してなかったかもしれないんですよ。 中身は非常に粗削りなB級アクション以外の何者でもないんですが、これほど観る者を虜にするB級映画は滅多にありません。あの衝突シーンはスタントに死者が出たとホラを吹かれてもそりゃ納得しますよ。この映画の素晴らしいところは、広大な地平線とそれに区切られた空が下手な役者以上に演技しているとしか思えないところです。デビュー作でこんな画を見せるなんて、やはりジョージ・ミラーはただものではなかったんです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-04 22:40:04)(良:1票)
17.  キラーカーズ/パリを食べた車
うーん、さすがにこれは私には理解不能でしたね。ただひとつ判ったのは、オーストラリア人が車を題材にしたらとってもヘンな映画になってしまう伝統が確かに存在するということでしょうか。そして今はすっかり名匠と呼ばれるピーター・ウィアーにもヤンチャな時代があったんだと判ります。まあこんな感じで下手にアートに走ってゆかないところが、オージーらしいんですかね。あのポンコツ車のドレス・アップぶりが、まるで『デス・レース2000年』みたいで笑っちゃいました、でもよく見ると本作の方が1年早く撮られているという事実が判明、実はロジャー・コーマン御大が目をつけるほど偉大なオリジナルだったのかも?
[CS・衛星(字幕)] 4点(2017-02-08 23:38:16)
18.  キラー・エリート(2011) 《ネタバレ》 
話の内容が今一つ判りにくかったんですけど、ジェイソン・ステイサム主演で量産されている他のアクション映画と比べると水準は頭一つ抜けていたという印象です。椅子に縛り付けられたジェイソンが敵と格闘するシーンはさすがに見ごたえがあり、現役でこんなアクションができるのは彼だけでしょうし、いよいよ“21世紀のジャッキー・チェン”の領域に近づいたのかなと思いました。敵味方ともにいろいろとドジを踏むところがあって緊張感がそがれるという見方もありますが、私は却ってリアルな雰囲気がでてて良かったんじゃないかと思います。最初はデ・ニーロを使うような役じゃないよなと訝しく思ってましたけど、後半になるにつれて存在感がどんどん増してくるのはさすがです。 ジェイソンやデ・ニーロが所属していた組織って何だったのかは最後まで謎でした、やはりCIAなんでしょうかね。またSASが悪の秘密組織、まるでスペクターみたいな描かれ方をされているのは面白かったです。なかなかシャレたエンディングを観てると、これはジェイソン・ステイサム主演のラブコメもありなのかなと思ってしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-02 23:37:50)(良:1票)
19.  殺し屋チャーリーと6人の悪党 《ネタバレ》 
何と言いますか、邦題には勘違いなのか確信犯なのかは謎ですが、ひっかけがいっぱいです。まず「殺し屋」なんですが、このチャーリー・ウルフというキャラは殺しも営業範囲の便利屋というのが正解でしょう。ムダにカッコよい狙撃ライフルを持ってますけど、だいたい浮気妻の尾行・張り込みをする殺し屋なんて初めて観ました(笑)。自分が手を下さなくて済んだといっても、ターゲットの生死を確認しないとは杜撰極まりない。そんなお惚けサイモン・ペッグですけど、劇中では無慈悲にバシバシと人を殺すからちょっと奇妙な味わいがある物語に仕上がっています。そして「6人の悪党」ですけが、これ6人全員を悪党と言い切るのはかなり無理があるんじゃないでしょうか、とくにムキムキ・マッチョのガソリンスタンド屋くんなんかはね。この6人の中で私にツボだったのはギャンブル中毒の歯医者さんで、『ハング・オーヴァー』シリーズの歯医者のスチュを彷彿させてくれて傑作でした。なんか欧米の映画では歯医者がコケにされることが多いんじゃないかと思うけど、気のせいかな(笑)。 総括しますと『ファーゴ』のようないわゆるスモールタウンものということになりますが、ちょっとオフビートさが足りなかったところは失敗でした。でもオーストラリアのピーカン天気の中で繰り広げられるドロドロな人間模様というのも、ちょっと珍しいかなと思いますよ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-12-27 20:12:22)
20.  ジャンボ・墜落/ザ・サバイバー 《ネタバレ》 
マイフェヴァリットの『恐怖の足跡』系のカルトホラーということですが、うーん、ちょっと期待外れでした。いやね、作品自体の雰囲気は良いんですよ、冒頭とラストで女の子たちが“達磨さんが転んだ”みたいな遊戯をしているところなんてストーリーに関係ないんだけどなんか不気味な感じがします。悲鳴を背景効果音みたいに流すところなんて、Jホラー的な感性に通じるところも有りこれも雰囲気が良いです。でも後半の謎解きパートになるとあまりに強引な展開になってしまってダメですね。ここら辺の怖さは『恐怖の足跡』の足元にも及ばずと言うところです。 そう言えば同じく『恐怖の足跡』をパクった『シックス・センス』が有名ですけど、良く考えたらシャマランは“大事故から一人だけ生還”というプロットからすると『アンストッパブル』も本作のパクりと言えるんじゃないでしょうか。まさにこれぞ“パクりのドミノ倒し”、シャマランくんのパクり癖(というかイマジネーション)にはあらためて感心させられます。
[DVD(字幕)] 5点(2016-04-13 23:15:26)
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