1. グランド・イリュージョン
《ネタバレ》 ジェシー・アイゼンバーグが、冒頭から「ソーシャル・ネットワーク」よろしく早台詞をまくしたてる。 その時点で自分自身を含め健全な観客は、この映画の“ミスリード”に引っ掛かっていたのかもしれない。 “マジック”を描いた映画になかなか良作はない。 マジックというエンターテイメントは、鑑賞者の目の前で見せるからこそ驚きがあるわけで、映画というそもそもが“つくりもの”の世界の中でいくらびっくり仰天の奇術を見せたとて、驚ける筈がないからだ。 今作においても、主眼を“マジック”に置いている以上、その障壁は免れない。 実際、繰り広げられる数々のイリュージョンに対しても、「まあこれが実際に目の前で行われた凄いだろうね」と一歩引いた立ち位置で観ざるを得なかったことは確かだ。 ただ単に、映画世界の中で壮大なイリュージョンを繰り広げて「スゴイでしょ?」という作品であったならば、極めて駄作と言わざるを得なかったろうけれど、この映画の場合は、全編に渡るテンポの良さと、キャスティングの巧さで、そういったマイナス要素をカバーし、映画としての質を高められていると思う。 この映画の中では当然ながら数々のマジックシーンが描かれるが、マジックショーそのものの魅力は、冒頭の4人の路上マジシャンたちの登場シーンに集約されている。 彼らの鮮やかなマジックの手腕をいきなり見せつけられて、観客は「ああ、これからこいつらがとんでもないイリュージョンを見せるのだな」と強く認識させられる。 先に記した主演俳優の早い台詞回しも含めて、この“見せ方”が映画全体に効いている。 もちろん端からマジックの「タネ」もとい、映画の「オチ」を先取りしようと“ステージ”に対して斜めから映画を観たならば、わりとすぐにネタバレしてしまうかもしれない。 ただそういう観方は、マジックを観るにしても、映画を観るにしても、「無粋」というものだ。 勘ぐること自体は結構だと思うけど、娯楽として真っ当に楽しみたいのであれば、きちんと真っ正面から観て、気持ちよく騙されることも大切だと思う。 [映画館(字幕)] 7点(2013-11-02 00:09:34)(良:2票) |
2. グッドナイト&グッドラック
正直、「赤狩り」というアメリカ史上に残る“事件”について明るくないので、いまひとつ詳細を理解しきれなかった部分はあるが、権力による紛れもない“弾圧”に対する力強い“ジャーナリスト魂”に奮える。 「言葉の強さ」なんて言いふらされたことかもしれないが、あらためて、人間にもたらされた最大の武器は、剣でも銃でも爆弾でもなく、“発言の勇気”なんだと思った。 世界に対し自由を謳うアメリカという大国の実情は、闇と愚かさに溢れている。だがそれでも、この国が世界中から愛される理由は、どんなに闇にまみれても、いつの時代もエド・マローのような人間が力強く存在するからだと思う。 [映画館(字幕)] 8点(2006-05-27 00:37:55)(良:2票) |
3. クリムゾン・リバー
ジャン・レノ&ヴァンサン・カッセルのフランス二大俳優に新進気鋭のマチュー・カソビッツの組み合わせによるサスペンスということで大いに期待したが、結果は散々だった。冒頭から中盤にかけてのサスペンスフルは雰囲気よく緊迫感も絶大だったが、サスペンス映画においてもっとも重要なラストの顛末があまりにお粗末であった。問題はやはり盛り上がりに欠けた脚本の完成度の低さだと思う。 3点(2003-12-13 21:13:58)(良:1票) |
4. グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版
美しい映像というのは作品を語る上でよく出る言葉であるが、この映画の場合、素晴らしいものは、その美しい青である。海というものはその存在のみで美しく、素晴らしいものだが、その魅力を100%映像として引き出すのはとても難しいことだと思う。この映画の偉大なところは、海の青を、その魅力を全力をもって映しつけ、主人公の海に対する狂おしいほどの純粋な思いを描き出したことである。 8点(2003-10-16 01:36:26) |
5. クリフハンガー
断崖絶壁の雪山をTシャツ一枚で動き回るスタローンの超人ぶりはインパクトがあり、アクション映画としては大いにアリだと思う。ああいう設定はアクションスターというポジションを確立している俳優だからこそ出来る離れ業である。雪山という設定や悪党のボス役のジョン・リスゴーの悪役っぷりが良いエッセンスになってなかなかオリジナリティのある映画に仕上がっていて面白い。 7点(2003-09-28 01:37:11) |