21. オリバー・ツイスト(2005)
人々が生きてゆく舞台の生々しさが伝わってくる目を見張るセットはポランスキーならではのもの。冒頭の病的な程に肥え太った大人達が、オリバーの「御代わりを・・」の申し出に激怒する姿。この如何ともし難い現実に僅か9歳のオリバーが翻弄され続けるのは当たり前で、母を思うこと、7日間歩いてロンドンに向かったこと、恩人に感謝し裏切るまいとする意志を見せる事だけで充分だと思います。小悪党フェイギンは彼なりに子供たちに愛情を注いでいましたが、ラストの命乞いする姿に子供たちの将来が重なり、やるせなさが募ります。作品のインパクト部分であろうビルの描かれ方が効果を果たしていない点が惜しまれます。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-15 20:42:31) |
22. 男と女II
20年の歳月を経て再会したアンヌとジャン・ルイ。演じるのは前作の2人なので、あの日のあの場所での回想シーンに時の流れを感じます。歳を重ねていくに伴い蓄積されるしがらみに拘束される者同士は、思慕の念と理性がせめぎ合い、正直な胸の内を素直に伝えられないものだと私は思います。ですので本作の2人には違和感がありました。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-24 21:20:49) |
23. 大いなる幻影(1937)
初めて観ました。ピエール・フレネーとエリッヒ・フォン・シュトロハイムの素晴らしさにジャン・ギャバンがかすんで見えました。生き方の美しさ、潔さ、強靭な精神に武士道に通じる騎士道を見せられて、思わず背筋が伸びてしまいました。国を愛するために人を愛する事を犠牲にさせる戦争の愚かさ、やり切れなさを痛感させられる作品です。 10点(2004-08-20 01:13:50)(良:1票) |
24. 男と女(1966)
二十年ほど前に観てジャン・ルイ・トランティニャンに一目惚れした作品。今回、久しぶりに観てもやはり素晴らしい作品だった。お互いに心にブレーキをかけながらも少しずつ惹かれあってゆく様子はもどかしいようだが、分別ある大人の恋というのはそういうものだと思う。ジャン・ルイがレースの車でアンヌのもとへ向かう途中のああして、こうしての独り言とアンヌが抱かれながら死別した夫を思い出しているシーンは当時は理解できなく印象に残っていたが、今回は解かる気がした。ジャン・ルイの140㎞/hで走るコーナーを139㎞/hだと負けて、141㎞/hだとスピンするという台詞は凄く印象深い 9点(2004-03-16 00:35:30)(良:1票) |
25. 鬼火(1963)
《ネタバレ》 アランが自殺するまで印象的な音楽とともに淡々と描かれていて、アランの心情が訥々と語られていた。「誰からも愛されなかった、誰も愛せなかった」昔の自分を思い出し、見ていて悲しくなった映画。 7点(2003-12-09 01:05:44) |