1. バベル
こういう準オムニバスは各々のエピソードの出来が命。子供達を起こして証言してもらえばいい話じゃん…と思った辺りから、無理に悲惨さを煽るような展開にウンザリしてきた。モロッコのエピソードはまだいいとして東京が酷すぎ。高層に住む成金、家族揃って著しい情緒不安定、頭の中の大半が性欲、麻薬使用に何の躊躇も無い…ここまで揃っていると日本人ではなく例のアッチの人のような気がする。こんなんに東京代表されてもなぁ。そもそも「バベル」と言うからには、例えば発端は同じなのに言葉が違うせいで全く違う結末になった…とか何らかのアイデアがあるかと思ってた。これでバベルなら「トラフィック」や「ナイト・オン・ザ・プラネット」辺りの方がよっぽどバベルだ。何か薄っぺらいです。3点くらいにしようかと思いましたが、メキシコの結婚式のシーンが良かったのでとりあえずこの点数。 [DVD(字幕)] 5点(2009-09-12 21:03:37) |
2. 発禁本-SADE
昔、サドの小説を読んで気分が悪くなったことがある。「官能小説」というより「スプラッタホラーの元祖」といった印象。ただ作品中であれだけ発散できていれば、逆に日常では案外普通っぽい人だったのかな…と映画を観て思いました。(何だかカッコよく描かれすぎな気もしますが。) セットや美術がかなり本格的で、人間性を無くしてしまったようなガチガチの革命派闘士をはじめ様々な人物描写も見事。「フランス革命」を舞台にした文芸大作という風格で意外と見応えありました。エロ映画的な売り方をされてるのがちょっと勿体無い感じ。…ただどう見てもこれはR-18ですが。w [DVD(字幕)] 7点(2005-09-25 12:51:19) |
3. パリ、テキサス
小津安二郎へのリスペクトを公言するだけあって、穏やかでしっとりとした筆致はとても心地良いです。ただ小津氏のそれが「日常生活を凛として営む人々」を描いているのに対して、本作は「だらしない生活を送る人々」をオブラートで優しく包んである…といった印象を受けない事もないです。それが悪いというわけではなく、日本人と西洋人の根本的な信条の違いのようなものが垣間見える気がして興味深い。 6点(2004-12-19 10:08:43) |
4. 8 1/2
茫洋とした祝祭空間。やらなきゃいけないけどなかなか出来ない…というような気だるい焦燥感は何となく解かるものがあります。レポート締切り間際に見そうな夢? 個人的に、こちらは絢爛で色彩感覚溢れるオーケストラ(モノクロだけど)、「バートンフィンク」はシブいアヴァンジャズという感じ。 7点(2004-03-09 20:50:00) |
5. バンカー・パレス・ホテル
どうやってホテルに入るのかわからない所が個人的にツボでした。たまたま「アンダーグラウンド」と一緒に借りて、あまりの似てさ加減にビックリしました。欧州人の発想の基幹にこういう感覚があるのかなという感じ。 6点(2004-01-11 22:29:31) |
6. 薔薇の名前
1300年代のイタリアという滅多に見ることのない舞台。豪壮で陰鬱なゴシック~ロマネスク美術が素晴らしく、迷路のような大図書館探索シーンなどは圧巻。個人的には夢幻美という点で「ブレードランナー」と双璧をなす映画です。邦画も「八つ墓村」辺り、こういうスケールで撮れないものかなぁ… 9点(2003-12-30 13:31:39) |