Menu
 > レビュワー
 > すかあふえいす さんの口コミ一覧。2ページ目
すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123456
投稿日付順123456
変更日付順123456
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  ファニーとアレクサンデル 《ネタバレ》 
この映画は、愛のドラマでもあるし「狼の時刻」のようなホラーでもある。 水の激しい流れで各章は始まる。 まるで人生が流れるように、2年かけて一つの家族のドラマを群像劇風に描いていく。 プロローグのアレクサンデルの幻視体験と一人舞台に始まり、聖夜(性夜)の祭り、家族の死、家族の再婚、新しい生活とアレクの受難、主教の苦悩とアレクの悪夢、そしてエピローグの新しい命の誕生。 冒頭のアレクが見る幻。動くはずのないものが動く恐怖、死神が予告する死の恐怖。 愛情をまんべんなく注く父親や母親。 子供達に文字通り“臭い”ジョークを飛ばして愉しませる。オナラでろうそくを消すシーンは爆笑。 愛情が注がれた子供達は、メイドと枕を炸裂させて聖夜を楽しんでいる。 うら若き母親と中年気味の父親もベッドを粉砕するほど性夜を(ry そんな楽しき夜も、父親はもっと身近に家族達といたいと嘆く。まさか不幸な形で彼の望みが現実になるとは。 父親の代わりとして現れる、悪魔の様な主教がアレクを苦しめていく事になる。 母親は子供達を養うために止む無く再婚を選ぶ。 主教も厳しく子供達にあたるが、それも新しい父親として子供達を立派に育てようとする想いが空回りしているのかも知れない。 舞台の装いを止めさせたのも、父の死という辛い記憶から残された人々を解放しようとしての事だったのかも。 だが、アレクは憎悪を抱いてしまう。 冒頭の動くだけの人形は、人の化身となってアレクの話し相手となる。 亡き父親もその一人として彼を見守る。アレクは未だに前の父親が忘れられない。 それはアレクの寂しさ故だ。妹のファニーがいるだけじゃ寂しさは収まらない。ただ家族の愛に飢えている。 しかし、見守るだけで彼を直接助けようとはしない。 「いるだけならさっさと成仏しちまえよっ!」とばかりにブチ切れるアレク。 主教の家を焼いた業火は亡霊が放ったのか。それとも単なる偶然なのか。それは解らない。 アレクは自分のした事を悔やむ。本当に祈った事は、こんな事じゃなかった。ただ暖かい愛が欲しいだけだったのに・・・。 クライマックスは、新しい命の誕生、主教とアレクが“再会”するシーンで締めくくられる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-07 00:49:12)
22.  赤い風船 《ネタバレ》 
アルベール・ラモリスによる最高に可愛らしいファンタジー映画。 セリフがほとんどないのにこんなに面白い映画を撮れる。無粋なセリフはいらないのだ。冒頭に出て来た犬のように、少年の目の前に現れる風船はペットのように、人間のように感情豊かな姿を見せる。 ガス灯から風船を“救い出す”シークエンスから始まり、風船は意思があるように自ら浮いたり降りたりする。 乗船拒否されれば、勝手に少年を追うだけだ。 濡れたレンガの路地の上を飛んでいく風船、 尻尾のようになびく紐、 白と赤のコントラスト、 傘から傘へ移って行く少年。 赤い風船は青い風船に惚れ、青い風船も赤い風船に反応する。これが伏線になろうとは・・・。  他の子供達は、赤い風船と少年に“嫉妬”して彼らを追い回す。 階段や路地における追走劇のスリル! 通りすがりの婆さんのオフェンス。 ちょっとしたファンタジーとか短編とか子供向けの映画とナメてかかっていたらコレだ! まさかここまで面白いとは思わなんだ。  子供達は赤い風船を“さらう”。男の子たちに混じって女の子がいない事も不思議だった。まるで一人の女を取り合うように。 綱引きや柵のやり取り、訪れる“死”。 少年の悲しみが起こす風船、風船、風船の奇跡。 空の向こうに消えていく美しいシーンだが、本当に死んだのは果たして・・・。 この映画の後に「白い馬」を見るのが最高なんです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 01:08:50)(良:1票)
23.  白い馬(1952) 《ネタバレ》 
アルベール・ラモリスは「赤い風船」が最高に面白かったが、俺はこの「白い馬」もかなり愉しむ事が出来た。 とにかく馬の凄さを堪能できる一篇だ。 まるでサイレント映画の活劇がそのままトーキーに移ったような作品だった。 白黒の美しい画面の中を、馬たちが時に荒々しく、優美に駆けて行く。 草原を、湿原を、砂漠を、浜辺を走って走って走りまくる。  牧童たちは、野生の馬の美しさに憑りつかれている。 特に野性の馬たちを束ねる白馬の美しさにだ。 まるで西部劇さながらに馬を追い立てる。 人間のために乗馬され、かつての仲間を追う馬たちの心境はどんなものだろうか。 「早く仲間になっちまえよ」とか、それとも「捕まったら俺たちみたいになるぞ早く逃げろ」とか思っているのだろうか。  捕まっても大の大人4人を相手に大暴れの逞しさ。 「!誰が貴様らの奴隷になるものかっ!俺は自由に生きるんだ」とばかりに柵をブチ破り脱走。  後の「花の慶次」における松風である。  船を漕ぐ少年は最初傍観者だが、彼もまた白馬に心を奪われた一人だった。 牧童たちが無理矢理馬を従わせようとしたのに対し、少年は馬に“認められる”まで喰らい付いた。 白馬は少年を認める。印象深いシーンだ。 彼は馬を救うべく匿うが、交流も束の間で手当てしたばかりの身体でまた走り出す。 妹涙目。イチイチ破壊される柵涙目。じいさん爆睡。  ドラムが白馬と牧童たちのチェイスを盛り上げる。 馬同士の喧嘩も凄い。顎で馬の皮膚をむしるようにちぎる。 草むらにかくれた馬の炙り出し、炎の中を駆け抜ける馬と少年。 白馬がウサギを追うシーンが可愛かった。  渇いた土に弾痕のように刻まれる足跡。 いよいよ牧童たちとの追走劇もクライマックスだ。 水面、フラミンゴの群、距離感が掴めないチェイス。  馬は海を泳ぐワケじゃない。脚を動かして海の中を“駆けて”ゆくのだ。何処までも。 
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 01:04:58)
24.  眼には眼を 《ネタバレ》 
アンドレ・カイヤットはヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を二度も受賞した存在であるが、最近まで彼の存在は忘れ去られていた。 フランス本国やアメリカでもカイヤットの名は余り聞かない。 知る人ぞ知る存在にすぎなかったカイヤットだが、TUTAYAからもDVDが出たし、今最も再評価が進む作家の一人だ。 というより、非常に日本人好みの映画なのかも知れない。  この「眼には眼を」は一言で言うと、“逆恨み”を極限まで高めた究極とも言える映画である。 復讐者も意地っ張りだし、それに対峙する医者もどうしようもない頑固者。意地と意地のぶつかり合いだ。 「あんたが殺したって言ってんだろ!!」 「あれは事故だっつってんだろうがっボケェ!!」 馬鹿VS馬鹿。 人々の葬儀の様子からはじまるファースト・シーン、画面は病院へと移る。 医者たちの淡々としたやり取りが、やがて壮絶な意地の張り合いへと発展していく。 不幸な偶然が重なり起こる“死”。 助手の「先生なら助けられた!」という一言も妙に突き刺さる。 それと同時に医者の周りで異変が起き始める。 冷たくなった女の顔、その顔が移った写真、 無言電話、 無言で何かを語りかける車、 時々姿を見せるサングラスの男の不気味な影・・・。 アンリ=ジョルジュ・クルーゾーのような徐々に緊張感を高めていくスリルだ。 撤去した筈の車が元通りになっているのもゾッとする。  120kmが空耳で300kmと聞こえた俺は病院行った方がいいのかも知れない。  翌朝よそよそしくなる妹も怖い。 それにしても、長くいて現地語を殆ど覚えていない医者も医者だけど。 ま、密室で付きっきり、通訳もいればそんな気も起こらないだろうか。 それにしたって通訳を連れて来なかったのはおかしい。 せめて帽子くらいは被ろうぜ・・・。  ナイフ投げのシーンやゴンドラの異様な緊張。 医療器具を落としたのも絶対“ワザ”とだろう。 復讐者の変質的な嫌がらせもエスカレート。家族もいるのにこの男は・・・酷い野郎だ。  砂漠の様な場所を延々と歩き続ける。 出血多量になろうがそれすら演技にしてしまう恐ろしさ。 復讐者の体力も凄まじいが、医者も気力でふんばる。 動物の死骸が腐っていく様子が恐ろしい。   医者は余りに絶望的な“良い旅”へと出掛けていく・・・。 
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 00:43:11)(良:1票)
25.  コロッサル・ユース 《ネタバレ》 
これは、本当にデジタルで撮られた映画なのだろうか。 まるで昔のカメラで撮ったかのような奥行きと映像美が拡がっているではないあ。 そう、今の時代には失われてしまったロスト・テクノロジーとでも言うべきか。   「ペドロ・コスタ」は、絶望に沈むある街で生きる人々を描くのだ。  消えゆく孤独な魂、消えていく土地の哀しみを・・・。  かつてロバート・フラハティは「極北のナヌーク」を撮った。 イヌイットと生活を共にし、彼らの生きた姿をフィルムに残した。  日本の小川紳介もまた。  ペドロ・コスタは、この時代にその域まで己の精神を研ぎ澄ました作家と言えよう。  作品は一見すると楽しみづらいかも知れないが、ドキュメンタリーとしても、一つの娯楽としても是非とも見て貰いたい作品だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 18:32:28)
26.  ラ・ジュテ 《ネタバレ》 
クリス・マルケルによる傑作SF映画。  近未来の廃墟となったパリ。その地下で拘束される男が過去(観客から見た“現在”)と現在(観客から見た“未来”)を時間旅行する物語。 何処かディストピア小説を思わせる構成は、後の「12モンキーズ」にも受け継がれている。  「フォトロマン」と呼ばれる白黒のスチールを連続して映す手法(要は紙芝居(ry)は、後のゴダールや押井守の「紅い眼鏡」など様々な映画に影響を与えたという。  冒頭の空港と女性の記憶、目覚めればそこは戦争で廃墟と化した街。  実験が繰り返され己を失いそうになる主人公。彼は世界を救う救世主となるのか、それとも時の奴隷のまま終わるのか。  別の時代から来て出会う男女が見つめるセコイアの木。 このセコイアの木が「めまい」と「12モンキーズ」を繋げていく。 「12モンキーズ」では劇中の映画の中に「めまい」が出てくる。それぞれに共通する事は、全員脳味噌の中をぐるぐる掻き回されているという事だ。  鳥の膨大な鳴き声と共に目覚める女性・・・あのシーンにはどういう意味があったのだろうか。  博物館の幻想的な雰囲気・・・“凍った太陽とある女”の記憶で締めくくるラストは切ない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-03 19:35:16)
27.  夜と霧 《ネタバレ》 
第二次世界大戦下、アウシュビッツ強制収容所で起きたユダヤ人の虐殺。 その出来事を記録したフィルムや写真を再編集して一つの映画にしたアラン・レネの短編。  同じナチスの非道を記録したミハイル・ロンムの「ありふれたファシズム・野獣たちのバラード」は、虐げられた人々よりも実行した関係者たち、ヒトラーの演説を冷静に聞く聴衆の分析といった部分に視線が向けられていた(それでもホロコーストや吊るし上げなど虐殺の記録は多い)。  この作品は戦争の悲劇性や、実行者の罪を問おうという趣旨はありません。あくまでありのままの事実を淡々と記録した映像なのです。   現在(撮影当時)の収容所跡地を映したカラー映像、そして過去の出来事を白黒のフィルムで映していきます。   収容所に列車で連行されていく人々。前半15分は収容所での生活、後半15分は人々が殺された“後”をひたすら映していくのです。 髪を剥ぎ、首を切り、炎で焼き尽くす・・・どうしたらこんな惨い事を平気で行えるのか、同じ人間が人間にこのような事をできる・・・考えただけでも背筋が寒くなる光景が続きます。   骨と皮になった人々、折り重なるようにして山盛りになった死体、炎で焼かれ黒焦げになった人間・・・まるで人間が家畜を屠殺するように人間の死体が重ねられているのです。 もっと怖いのは、それを黙々と埋葬する人々の映像。ブルドーザーで死体の山を埋めていく、皮と骨だけになった遺体を運ぶ人間の姿。彼等はあの光景を生で見て、何を思ったのでしょうか。   初見で眼を背けなかった人は、立派です。私はこのような映像を見る度に眼を背け、逃げ続けてきました。それは人の自由です。ですが、この映像を撮った人々は眼を背けずに何十分も何時間も骸となった人々を見続けたのでしょう。そう思うと、逃げてはいけないのだと考えるようになりました。   今ではこういう映像に慣れてしまったのか、見たその日の夜にうなされて寝付けないなんて事は少なくなりました。それだけ私が血も涙も無い人間になってしまったのでしょうか。時々自分が怖くなります。   彼らを殺した人間は、その手でまた飯を喰らっては人を殺していたのだろうか。考えるだけでも恐ろしく、本当に悲しい事です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-21 20:52:52)
28.  あこがれ (1958) 《ネタバレ》 
トリュフォーが「大人は判ってくれない」で長編デビューする以前に撮られた短編。 物語は自転車を漕ぐ美しい“あこがれ”の女性に憧れる子供たちが、“あこがれ”の女性と男性が愛し合っている様子を見て“嫉妬”する様を描く他愛の無い話だ。 トリュフォーの映画にはよく子供が出てくる。 木漏れ日の中、自転車を気持ちよく漕ぐベルナデッド・ラフォンが可愛い。あのロケットおっぱ(ry 子供たちが銃で撃ち合う“ごっこ”遊びは微笑ましいけど、徴兵され本当に戦場で殺し合う人間たちを暗喩しているのだろうか。 水を撒いている人間のホースを踏むイタズラはリュミエール兄弟やチャップリン作品へのオマージュか。 テニスをする“あこがれ”たちの横でタバコを回し呑みする悪ガキたち。ボールを取りにくる“あこがれ”にちょっかいを出したりする。 子供たちの“嫉妬”はエスカレートし、“あこがれ”の女性が男性とキスしたり抱き合ったりしている茂みを発見して邪魔しようとする。男性は邪魔するが、子供たちは楽しそうだ。 そんな男性はやがて徴兵され彼女とはなればなれ。 徴兵や戦争は後の「夜霧の恋人たち」や「終電車」といった作品でも触れられている。 穏やかな日常を描いて良い作品だった。この映画の後に「アメリカの夜」や「大人は判ってくれない」といった作品を見るのが楽しいのです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-17 21:21:10)
29.  賭博師ボブ 《ネタバレ》 
メルヴィル作品が苦手という人にオススメな作品。メルヴィルファンにとっては佳作という人もいると思うが、逆にメルヴィルが苦手な人はこの初期のハードボイルドで彩らないウェットな作風が気に入るのかも知れない。  「海の沈黙」に続くジャン=ピエール・メルヴィル最初の傑作であり、後のフィルム・ノワールの傑作群に先駆けた作品。 初期の頃だからか、後のハードボイルド風の作風は抑え目。しかし、老いて尚も眼光鋭い賭博師の生き様が刻まれている。 解りやすく言えば、「仁義」で人生を“賭けた”強盗を襲撃する筈の男が、息抜きに寄ったカジノにハマッてしまい計画そっちのけになってしまうという話。 あれよあれよとツキが回り、止められない止まらない。 そんなボブの元に警察が。「まさかバレた!?」と思ったら参考人として逆に警察に保護されたようなもの。刑務所から出たら大金をポンだぜ? 「強盗なんて博打よりも、カジノでやる博打の方が面白いぜ!」と言わんばかりだ。メルヴィルのこだわりが感じられる美術も良いが、小悪魔イザベル・コーレイを初めとする女性陣や署長たちとの友情が心に染みる逸品。
[地上波(邦画)] 9点(2014-06-14 21:32:50)
30.  ゲームの規則 《ネタバレ》 
過大評価だ!・・・と言いたかったのに、何でこんなに面白いの。いやマジで。 個人的にジャン・ルノワールの最高傑作が「ピクニック」で一番好きな映画でもある事は間違いないが、この「ゲームの規則」もすげえ面白い 「大いなる幻影」よりもずっと面白いし、ブルジョワ共の狂騒と没落していく様子を愉快に描いた傑作コメディだ。 第二次大戦開戦前夜、戦争の足音も聞こえずオープンな性と浮かれきった貴族たちの危うさが生々しく描かれる。 社交場での絶えない笑い声、裏舞台で本音を洩らすように辛辣に語り合う人々、ユダヤ人に対する使用人たちの声など皮肉たっぷりの会話も怖い。 大陸を渡った英雄も、この狂騒に包まれた社交場では一人の人間でしかない。 まず、ファースト・シーンで一気に引き込まれる。冒頭の闇夜、熱狂的に騒ぐ民衆がひしめく場面から物語は始まる。 車の衝突音だの、銃の発砲音だの音楽とかマジでうるせえ。 「大いなる幻影」や「十字路の夜」はパンッパンッとリアルな音だったが・・・拳銃の発砲音まで狂騒してやがる。 「大いなる幻影」では静かに泣くように発砲音は小さかった。この映画は、貴族たちの笑い声のように音がデカい。 食事会の場面や、その後のパーティーで起こる騒動、時折現れる人形の不気味さとカオス。 狩りの場面は、とても神秘的で俺が好きな場面の一つだ。貴族たちのスポーツとして、余興として、滅びゆく貴族たちの絶頂が垣間見れる場面でもある。 林にわんさかいるウサギや鳥たちを、木に棒を打ちつける音で林の外へと追い立てていく。まるで祭りの囃子のようにカンカンカンと。 猟銃を持った狩人たちは、獲物が出てくる瞬間をひたすら狙う。 獲物が出た瞬間に一斉射撃。爆音が辺りに響きまくり、次々と獲物は地に倒され堕ちてゆく。本当に撃ち殺しているのだから凄い。 まるで戦争映画みたいだ。 銃声が響く中で情事にふけようとする男女の様子が印象的。  後半のパーティーでの騒動も笑いが止まらない。 浮気をする召使の男女二人、それにブチ切れて拳銃片手に走る森番との追いかけっこ。それを咎められてショボーンと涙まで流して落ち込む姿の可愛さは何なのだろうか。仲直り?する場面は最高に微笑ましい。  で、熊の着ぐるみに入って何してんだよルノワールは(爆)
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-08 20:17:48)
31.  恐怖の報酬(1953) 《ネタバレ》 
クルーゾーは「悪魔のような女」の方が好きだが、この作品も傑作。ねっとりした恐怖を味わうアンリ=ジョルジュ・クルーゾーの問題作。 ストーリーは至極単純、職にあぶれた男たちが「金のためならなんだってやる」という映画。 金も無く餓死するくらいなら、死んでもいいから一時の金と食事にありつける仕事を引き受ける。それがこの街の男たちだ。 ファーストシーンから素晴らしく汚い(褒め言葉)出だし。虫の群れにそれで遊ぶチ●コ丸出しの子供。 一瞬「これ別の映画?」と戸惑ってしばらくすると、おっぱいの飛び出そうな女の子が酒場の床を拭いているではないか! よかった!フランス映画だった!!(安心するところがおかしい)  最初1時間はひたすら登場人物の掘り下げ。 この丁寧すぎる掘り下げが後の恐怖を盛り立て、尚且つ酒場での緊迫したやり取りや燃え盛る油田の描写など退屈させてくれない。 毒蜘蛛?そんなもん足で殺っちまいな!  そして残り1時間30分に渡る恐怖の大仕事。 油田の火災にはニトログリセリンの大爆破が一番(どういう事なの) わずかな振動でも全てを吹き飛ばす悪魔の液体ニトログリセリン。 時限爆弾はまだ猶予があるが、今度の爆弾は何時でも運び屋を皆殺しに出来る。常に体にまとわりつくような粘っこい戦慄。 “橋”のスリリングな出来事からマリオとジョーのコミカルなやり取りで癒された。 もう完全にヒロインですジョーのおっちゃん。 仕事を受けた運び屋は二組、ニトログリセリンという爆弾は人の心も破壊するのか? しかしニトログリセリンは岩も破壊すれば、人の心の壁も破壊し、一時の安息も破壊する・・・恐怖を味わう間も与えずに。 爆風で吹き飛ぶ巻煙草、焼け焦げた爆発の跡の生々しさ、屍人の骸が眠る黒い沼、ぶらんぶらんの足、そして踏ん張る杭。 それでも男たちは仕事をやり遂げる。たとえ最後の一人になろうとも。 ただ一つ言えるのは、爆弾が人を殺すのでも、車が人を殺すのでもない。 それを扱う人間が一番の殺人者なのだから。 ・・・でも正直言わせてくれ。あんな終わり方したら恐怖を通り越して笑っちまうよ。だからこれだけは言わせて欲しい「クソワロタ」と。 何だったんだよ今までのカッコイイ主人公は。俺も思わず卒倒したくなったわ。俺の涙を返してくれ。 そんなワケで、俺はウィリアム・フリードキンの「恐怖の報酬」の方が好きです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-07 23:48:18)(良:1票)
32.  列車の到着 《ネタバレ》 
「ラ・シオタ駅への列車の到着」。 リュミエール兄弟が撮った短編群の作品の一つ。 駅のホームで列車を待つ人々、遠くからグングン手前に近づいて来る列車。それを待ちかねたように近づき、止まった列車に乗り込んでいく。 列車の先頭は劇中二度と出てこないが、ファーストシーンの列車のインパクトと人々の移動が最後まであの黒い物体を「列車」だと観客に認識させる。  このドキュメンタリーの先駆けでもある1分にも満たない“一瞬”が、今の映画の“一瞬”の積み重ねに繋がっていく。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-02 02:10:52)
33.  暗殺の森 《ネタバレ》 
ベルトルッチ初期の傑作。人によっては「ラスト・エンペラー」ではなくこの作品がベルトルッチの最高傑作だという人もいるそうだ。確かにそれほどの作品なのだろう。俺は最後まで余り好きになれなかったが。 第二次大戦前夜のイタリア。 主人公のマルチェロはファシスト組織の一員として暗殺の任務をこなす日々を送るが、幼き日のトラウマと優柔不断な性格で冷徹な殺し屋に成りきれずにいた。 まあ、殺しを部下に任せている事・銃もまともに撃てないなんて随分「中途半端」な殺し屋だ。 新妻となるアンナはマルチェロの裏仕事を知らない。 マルチェロも何処かファシストから足を洗いたさそうな表情を見せる。殺し屋一筋のマンガニエーロはそんなマルチェロをため息をもらしつつ護衛する。 マルチェロを励ます(?)マンガニエーロの姿はちょっと応援してしまう。 当の本人は殺しよりも魅力的な人妻にメロメロだ。いや夢中なフリと言うべきか。いや本当に惚れていたのかも。  母親の情夫、恩師の人妻・・・まったく嫌な事件だったぜ。やるせない。 車の中から“あの人”を見つめる姿なんてもう・・・ね・・・。  マルチェロが見た「アイツ」はソックリさんか本物か。それは解らない。  戦争によって狂い、戦争によって心を“抹殺”されていったマルチェロは今後どのような人生を歩むのか。そんな事を思うラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-20 23:12:24)(良:1票)
34.  さよなら子供たち 《ネタバレ》 
ルイ・マルの自伝的要素がこもった傑作。 この映画は、銃弾を1発も撃つことなく戦争の悲劇を伝える。 電車、駅、別れの挨拶を交わす母と子。クリスマス休暇を終えて寄宿学校に戻っていく子供の姿から、この映画は始まる。 学校では、人々の合唱が校内を包む。 寝静まる前のベッド、子供たちは新しい生徒への“挨拶”も忘れない。 窓の外で睨みを効かす軍人が、戦争を静かに物語る。 竹馬での遊び、空襲警報が続く中も防空壕で勉強を続ける熱心な教師。爆撃音が遠くで響く様子が怖い。 ピアノのレッスンでは、美しい女性が優しく教えてくれる。 空襲が続こうとも、ピアノの音色は度々響き渡る。 時々出入りする若い軍人たちもまた、寄宿生と年齢が少ししか違わない“子供”たちでもあるのだ。 森の中でのおにごっこは、まるで戦場を行くように描写される。今軍人として殺しあっている兵士もまた、彼らの様に遊びまわる子供時代があっただろう。 フランソワ・トリュフォーの「あこがれ」でも、そんな事をふと思ってしまうシーンがあった。 おにごっこの果て、洞窟の中に隠された探し物。 不安定な足場、徐々に暗くなる空の色が不安を煽る。 仲間と再会し一安心したのも束の間、薄暗い森の中には猪以上の獣も潜んでいるだろう。 そんな獣のように眼光を光らせる軍人に助けられるシーンは面白い。 食事の席で軍人たちが交わすやり取りが怖い。戦争はまだ終わらない。 劇中で流される「チャップリンの移民」でゲラゲラ笑う子供たち。俺もついツラれて笑ってしまう。 ピアノのカップルも口付けを交わす。 少年たちは戦争もなんのそので友情を深めていたが、その平和な日々は突然終わりを迎えてしまう。 ユダヤ人というだけで“別れ”なければならない悲しさ。 神父たちが「さよなら子供たち」と言い、壁の向こうに消えていくシーンが忘れられない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-20 19:48:29)
35.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
愛の言葉で始まるファーストシーン、絵だけで殺人の様子を描き出す素晴らしい出だし。  ところがストーリーは3つに膨らんでいき、徐々に1つの事件へと結びつく・・・。   偶然が偶然を重ねる悲劇、ブラック・ユーモア的な感覚。  フランス映画は何から何までオシャレだ。フェチもエロも上品だから好き(イタリア映画も自由奔放なところが好きな俺である)。  特にこの映画は殺しの場面も上品。  血を見せないのが逆に残酷でさえある。  登場人物も何処か紳士的だから良いんだよね(フランス人なのに)。  パリっ子の粋な計らい(車をぶつけた相手を酒にさそってしまう、散らかしたゴミをちゃんと回収する、自殺の方法もシンプル)。  ある意味理想的で人間味のあるパリっ子がこの映画にはいるワケよ。  愛の言葉に始まり愛の言葉で終わる・・・本人じゃなく写真に向って言うシーンが印象的な映画だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-20 19:38:01)
36.  プレイタイム(1967) 《ネタバレ》 
ジャック・タチ最高傑作。 物語は前半後半に別れ、ユロが面会相手と中々会えないすれ違い振りが面白い。後半のアメリカ人観光客との触れ合いもそうだが、この映画はとにかくビル、ビル、ビル。ビルの美術が凄い。画面の隅々まで描かれる近代的なパリの様相は、見れば見るほどその凄さに圧倒される。 幅広い視野でその隅々まで見回していくような感覚。まるで「ウォーリーを探せ」だ。映像の美しさが何とも言えない。 そんな空間で複数のギャグが折り重なる衝撃は笑うしかない。  2時間たっぷりと見せてくれるが、ラスト5分の加速していくクライマックスは凄い。  
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-20 18:01:42)
37.  たそがれの女心 《ネタバレ》 
原題は「某夫人(特に名を秘す)」。マックス・オフュルスによる傑作。 二つの大戦によって滅び去った社交界の様相を蘇らせてしまうオフュルス。オフュルスの執念、それに応える女優陣の力強さ。 ダニエル・ダリューとシャルル・ポワイエの絡みも印象的だ。  社交界に渦巻く不倫から女たちの情念を描いていく傑作。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 17:49:12)
38.  天井桟敷の人々 《ネタバレ》 
第二次世界大戦下のパリで作られた傑作。 ナチスの支配下でも「映画まではナチスに奪われちゃいない」と叫んだ映画だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 15:41:25)
39.  抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より 《ネタバレ》 
ブレッソンによる収容所・脱獄映画の傑作。  ドイツ軍占領下のパリで、刑務所から脱出を図る主人公の様子を淡々と追っていく。 主人公が堅牢な監獄の中で脱出の準備を進めていく異様なまでの緊張感。 短いショットの連続で退屈させて貰えない。脱出に成功するんだろうけど、本当に無事に出られるのか?と否応なしにハラハラしてしまう。 危機の連続でこちらも息を呑む。それでも意思が揺るがない主人公の強靭さが頼もしい。 紐がロープになるまで、スプーンが鋭利なナイフになるまで神を心の支えにして耐えて耐えて耐え抜く人間の凄さを見せ付けられるような作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 14:41:24)(良:1票)
40.  シベールの日曜日 《ネタバレ》 
「レオン」、「グロリア」のルーツである傑作。俺はこの作品が一番好きだな。この映画は、本当の「失う事の痛み」を知る人間にこそ見て貰いたい。 戦争の後遺症に苦しみ男、そんな男に出会ったあどけない少女との交流。戦争の痛々しさと残酷さが、二人の交流からも感じられる。 ラストの幕引きは余りにも悲しすぎる。泣いた。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 11:49:16)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS