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FSSさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 854
性別 男性
自己紹介 <レビュアー引退について>

他の方にとってはどうでもいい事ですが(笑)、
こちらでのレビュアーを引退させて頂きます。
理由はあまり映画自体を見なくなった事と、
結局、映画以外にもレビューを書けるAmazonが
レビュー投稿の中心になってしまった事ですね。

長い間、お世話になりました。 2021/11/27
   
<ジャンルの好みについて>

・好きなジャンルは「ホラー」「サスペンス」「ミステリー」。
・嫌いなジャンルは「ミュージカル」「恋愛」「韓国映画」「感動押し付け系」。
・どちらでもないのは「アクション」「SF」「コメディ」「時代劇」。

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1.  エスター 《ネタバレ》 
これも「エクソシスト」みたいな悪霊系かと思いきや、まさかのオチ。ただネタバレが早いので、正体が分かってからは返ってエスターの恐怖感は半減。エスター本人は静かに暮らしたいのか、新しい家族をめちゃくちゃにしたいのか、何がやりたいのかいまいち伝わらなかった。ラストも生死は不明にして、また別の施設で絵を描いている「エスターっぽい少女の後ろ姿」を映してエンドにした方が良かったのでは。エスターとマックスを演じたふたりの女の子の演技力には脱帽。
[インターネット(字幕)] 6点(2017-12-30 01:54:32)(良:3票)
2.  薔薇の名前 《ネタバレ》 
舞台となる石造りの修道院の寒々しい景観といい、当時のキリスト教の閉鎖性や堕落を象徴するかのような入り組んだ暗闇の迷宮といい、その雰囲気は最高。多分、一部の撮影以外は本物の修道院を借りているのだろうが、海外はこういうロケーションに不自由しないから羨ましい。  ただミステリーとして見ると、特にこれと言って特筆するようなトリックも謎解きも出てこないので、いまいち物足りない。実際、事件の真相もありがちで特に意外性のあるものではない(この手の「宗教がらみ」のミステリーって、たいていは動機も「異教がらみ」というオチが多い)。  また、この作品におけるテーマの描き方も中途半端。理性と論理的判断によって導かれる「真実」と「合理主義」に従う事を至上としながら、自己保身のためにその信念に背を向け、無実の人間を死に追いやった過去に悩むウィリアム。その忌むべき過去を引きずりながら、そして今また理想と現実を秤にかけなくてはならない事件に直面する。  しかし残念ながら、ストーリー展開にご都合主義的な部分が多く、「苦悩すべき選択や葛藤」にほとんど直面しないまま話が進んでしまう。そして事件は少年が始めて経験した女性関係ともうまく絡む事もなく、何となく成り行きで問題解決してしまい、この事件が二人にとっての「真の成長」や「過去からの脱却」をもたらす結果にはなり得ていない。その辺の中途半端さが残念。  PS.少年の名前「アドソ」が、変にネット慣れしてくると、「名探偵コナソ」とか「ドラゴソボーノレ」のような意図的な誤表記かと思ってしまう。そんな刷り込みが出来てしまった自分がイヤ。
[ビデオ(字幕)] 5点(2007-08-13 01:56:52)(良:1票)
3.  マルホランド・ドライブ 《ネタバレ》 
リンチワールド全開。このいかにも「見た人の数だけ解釈の仕方がある」、と言わせたい作り方には賛否両論あるのは当然かも知れないが、まあ、あえてリンチの仕掛けた、夢と現実、虚構や妄想が混沌と入り混じる不可解な世界に遊び、フロイト的な夢の解釈をするもよし、フローチャートでも書いて独自の解釈をするもよし、という楽しみ方をするのが本道だろう。  この手の作品の見方は、アニメの「新世紀エヴァンゲリオン」などに対する見方にも通じるけど、単に一方的にストレートな情報を与えられて、老若男女、何も考えなくても泣いたり笑ったり出来るような作品とは違い、作品に仕掛けられた複雑で多様な情報から重要なピースを探し出し、時にはパズルのように組み合わせたりして、「自分から」積極的に作品の謎を解いたり、テーマを解釈していこうとする「意欲」や「知的好奇心」が無いと楽しめないタイプの作品と言える。  確かにあまりにも展開が不可解で不親切なので万人向けではないが、少なくとも、そうした謎解きを楽しめる程度には色々と「情報」が与えられている作品である。  破綻していそうで破綻していない、解釈できそうで解釈できない、そんなギリギリの内容が、ある種の人間の好奇心を刺激して止まない作品。  
[ビデオ(字幕)] 9点(2007-07-18 15:21:33)(良:1票)
4.  まぼろし 《ネタバレ》 
「愛する人を失った現実」をどう受け入れるかというテーマは、古今東西、映画に限らず小説でも漫画でも基本中の基本と言ってもいいほどよく扱われるもので、今作もそんなテーマの典型的作品。主演女優のシャーロット・ランプリングの演技は素晴らしいが、内容自体はそこまで絶賛するほどのものではない。前述したようにテーマ自体がありがちだし、何よりストーリー展開が平板すぎる。  一見、サスペンス風味だが、謎解き要素は皆無で、フランス映画特有のスローなテンポと地味な演出のせいで、見ている間はかなり退屈。二時間近くシャーロット・ランプリングの陰気な顔を見させられるのも辛い。  夫が失踪したのか溺死したのかという点は最後まで暈してあるけど、周囲の反応や状況、警察の検死報告などからすれば、ラストの解釈は色々あれど、失踪という可能性はまず無いだろう。従って「夫が死んだ事実を受け入れられない妻の現実逃避の物語」と結論するしかない。  しかし、現実の無常観や寂寥感は出ているが、夫婦としての日常が描かれておらず、お互いの感情なども語られないうちに夫が行方不明になるので、どちらにも感情移入がしにくい。あえて夫婦の背景を深く描かなかったのかも知れないが、やはり映画として見ると、どうしてもドラマ性は弱くならざるを得ない。  ラストを褒める向きもあるが、この手のストーリーなら、「ご想像にお任せします」というオチはむしろよくある定番のパターン。  駄作ではないが、21世紀に作られた作品にしてはテーマに目新しさが無く、演出も地味すぎると思う。  PS.加えて言えば、こういう現実を受け入れられず、いつまでも引き摺るのは男性。女性はこういう現実に対する割り切りは早いよ。連れ合いが死んで長生きするのが女性、後を追うように死ぬのが男性だからね。
[地上波(字幕)] 6点(2007-07-02 15:04:46)
5.  最後通告 《ネタバレ》 
現代の「神隠し」として、十二人の子供が行方不明になるという話。概して「神隠し」とは、子供が自分の「存在理由」を見失っていることに起因するらしいが、そういう意味で、「何か」の問題提起を促すための作品のようだが、なんとなく思わせぶりな雰囲気作りに終始していて、結局、作中では具体的な解決は何もされないまま。「行方不明の謎」で引っ張っておきながら、「解決無し」という終わり方には、途中経過がダラダラしているだけに余計に腹立たしく感じる。  出来るだけ好意的に解釈しても、「子供がいなくなると困るでしょ」、「だから大人がガンバってもっと良い世界を作ろうよ」というような、抽象的な理想論の押し付けにしか思えない。「具体的代案」無くして、そんな事わざわざ言われても、「だからどうした」としか言い様がない。  こんな監督の独りよがりで自己完結的な内容では、伝えたいものも伝わらないのでは?
[ビデオ(字幕)] 0点(2007-06-15 23:46:49)
6.  8人の女たち 《ネタバレ》 
これも世間的な高評価が理解できない作品のひとつ。  「ブラックユーモアミステリーミュージカル」とでも言えばいいの?ミステリーにミュージカルを加えるというのは斬新かも知れないが、予想通り、どちらも中途半端な結果になっている。こんな中途半端な作品の何をどう楽しめば良いのかさっぱり分からない。  ミステリーとして見ても、最初の死体発見のシーンで本当に死んでいるか確認しない地点で、だいたいオチが読める。その後も普通のミステリーなら当然あるべき連続殺人事件やミステリアスな不可能犯罪に発展するでもなく、真面目なのかふざけているのかすらも判然としない、緊迫感に欠けた罵り合いがダラダラと続くだけ。  「これはミステリーでも、ミュージカルでもない」という見方もあるが、それなら何故「ミステリーでもあり、ミュージカルでもある」という徹底した作りに出来ないのか?謎に対する論理的考察をする気が無いなら、最初からミステリーという体裁を取る必要もないだろう。  そうかと言って、ブラックユーモアやコメディとして見ても、やけに人間関係や背後事情がドロドロとしていて、どこにもユーモアの要素など見当たらない。小粋な皮肉やジョークひとつ出てこない、女同士のヒステリックなだけの「罵り合い」が見ていて非常に不愉快。  そのくせ物語の途中で、何の必然性も無く思い出したかのようにおざなりなミュージカルが割り込んでくる。今まで口汚く罵り争っていた者同士が、突然、歌って踊るなんて、あり得ないだろ。状況もへったくれもない、必然性の分からないミュージカルシーンには唖然とするしかない。  ミュージカルやコメディが悪い訳じゃない。問題はジャンルとして「どっちつかずの中途半端なマネ」をしている作品が嫌いなだけ。何をやるにしても「徹底」する事が出来ない作品に魅力は無いし、何かを訴えかけるだけの説得力や潜在力を持たせられるとも思えない。駄作。
[ビデオ(字幕)] 0点(2007-06-15 23:42:12)
7.  ナインスゲート 《ネタバレ》 
「中途半端」。この一語に尽きる。  ホラーとしてもサスペンスとしてもどっちつかずだし、悪魔の書を巡る「オカルト風味の謎」も、「金田一少年の事件簿」や「名探偵コナン」にでも出てきそうな程度もので、ミステリーの謎解きとしてもありがちで低レベルなもの。  怪しげな「組織」や「陰謀」がらみと言うほど大げさでもなく、結局は金持ちの個人収集家同士の本の奪い合いでしかない。  それでいて「悪魔の書」に魅入られていく「人間の愚かしさや恐ろしさ」にも焦点が当たっていない。とにかく、その辺の突っ込みが甘い。  また、他の人の指摘にもあるように、単に調査するだけの立場だったコルソが、自分の命の危険も顧みずに、調査を続行しても利益が無い「悪魔の書」の謎解きに懸命になっていくプロセスに、納得できる動機が感じられなかった。  すべてが嘘ではなく、真実も隠されているという終わり方や、謎の女の正体をはっきりさせないのも、「見ている者に解釈を任せる」と言うと聞こえは良いが、結局、きちんと結末を描かないで済ませようという安易さが見える。  おまけに、お粗末なワイヤーアクションのおかげで、せっかくの作品の重厚な雰囲気も非常に安っぽいものになってしまっている。  ミステリーとして悪魔の書を巡る「人間の思惑が絡んだ謎解き」に特化するか、それが出来ないなら、ホラーとして「不可知的な存在が絡んだ恐怖演出」を徹底するべき。
[ビデオ(字幕)] 4点(2007-06-03 05:42:08)
8.  フラッド 《ネタバレ》 
「面白いか」「つまらないか」で言えば、間違い無くつまらない作品。  単にボートに乗ってドンパチやってるだけで、せっかくの「洪水」という設定をほとんど活かせていないのが致命的。中盤、保安官が悪役に転職すること以外、ストーリー展開にも意外性や起伏が無い。撮影するのは大変だったろうけど、二時間近くもやるには、これではさすがに内容が薄すぎる。  また、アクション演出にしても、よくあるご都合主義の連続で途中で飽き飽きしてくる(ギリギリで助かるに決まっている牢や手摺での時間稼ぎシーンや、殺せる時に殺さないせいで何度も窮地に立たされる主人公たちにウンザリし、そして当たり前のように主人公たちには弾丸が当たらない緊張感ゼロの銃撃戦にウンザリetc.etc)。  案の定、悪役に徹しきれないモーガンフリーマンのキャラも中途半端だし、そもそもミスキャスト。肝心の主人公とヒロインに至っては、見終わった後に彼らがどんな顔だったすら思い出せないくらい印象が無い。おまけに敵キャラもチンケな小物揃いで、悪役としての魅力が無いから、作品として引っ張っているものが「洪水」以外に何も無いという有様。  洪水という舞台設定の手間の割りに、作品の面白さとして還元されていないのが痛い。その手間に免じて+1点しときましょか。
[地上波(吹替)] 4点(2007-05-22 18:53:44)
9.  -less [レス] 《ネタバレ》 
ホラーと言うよりは怪談。ある程度、この手のジャンルを見慣れた人なら、最初の事故になりそうなシーン以後の不条理な展開を見た地点で、すぐオチの見当がついちゃう。  肝である恐怖演出にあまりセンスが感じられないし、細かい事だけど、登場人物の行動などにもあまり納得できない部分が散見された。例えば、何度も出てくる乳母車に腹を立てているのに、丁寧に手で押して脇に退けるとか(道に迷ってイライラしているところへ、あんな気味の悪いことが起こったら、その不安やストレスを吹き飛ばす意味も込めて、乳母車を蹴っ飛ばすんじゃないかな)、また、あんなに暗い直線道路なのにヘッドライトをハイビームにしないとか、黒い車を見失ったのに横の脇道にはまったく注意を向けないとか…。微妙な所だけど、人間心理としてちょっと不自然に感じた。この辺の演出にもっと細かい気配りが欲しい。  「ジェイコブズ・ラダー」や「マルホランド・ドライブ」以前に出ていたら斬新だったかも知れないが、こう言うサプライズ作品は、先例があると途端に凡作に見えてしまうから難しい。  もちろん模倣が悪いわけではないけれど、出来ればもう少し予想を裏切る展開や工夫が欲しかったし、それをやる気概をこそ見せてもらいたかった。 
[DVD(吹替)] 6点(2007-05-20 23:25:33)
10.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
古典的名作群に対する敬意は払うとしても、やはりミステリーやサスペンスといったジャンルは、マジック(手品)やTVゲームと同じで、アイデアと技術に支えられている部分が大きいので、ごく一部の例外を除き、どうしても古典よりは、色々な技術革新による表現の多様化、過去のアイデアの改案と取捨選択などを経て作られた新しい作品の方がより面白いと言わざるを得ない。  特に今作は「現実の皮肉」というテーマを描くために、ミステリーやサスペンスとしてのリアリティを犠牲にしているような、粗いご都合主義が目につく。完全犯罪を目指している割には、ロープを忘れていったり、硝煙反応を無視していたりと、思いっきり致命的なミスを連発。その上、犯行時刻の前後に、人目につく行きつけのカフェで、真っ昼間に不倫相手と待ち合わせをするなど、ちょっとあり得ないようなマヌケな行動の数々に、序盤から呆れてしまう。  また、車を盗んだあげく、人殺しまでしてしまうアホカップルなど、起こる事件のすべてが「トラブルのためのトラブル」でしかなく、そこが製作者の狙いだと分かっていても、そのあまりに無理のある行動の数々に最後まで感情移入できず終い。  些細な偶然の積み重ねが現実というものを作り上げ、それゆえ現実は脆いのだとするテーマは分かるものの、こうした登場人物全員のやる事のアホさ加減に、その説得力も薄れ気味。
[ビデオ(字幕)] 5点(2007-05-18 16:59:04)
11.  シティ・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 
人間関係を含めた、自分の生まれた周囲の「環境」というものは、人格形成を始め、あらゆる面において最も影響を及ぼし得るものであり、先天的な資質よりも、こうした後天的要因こそが人間の精神性に多大な影響を与えるということを示す極端な例。  ただ、「与えられた運命をどう生きていくのか」という点においては、人種、年齢を問わず、万人に等しく与えられた普遍的な人生テーマと言えるだろう。与えられた運命に流れるままに身をまかせるのか、それとも自らの努力で人生を切り拓いていくのか。例えどんなに過酷な環境に生まれても、運命を切り拓く余地は誰にでもあるはずだ。運命と必然は表裏一体の関係性にある。カメラマンになった少年と、ゴミのように殺された少年の対比が、それを鮮明に浮き彫りにしている。 
[ビデオ(字幕)] 8点(2007-05-03 08:40:35)
12.  スズメバチ 《ネタバレ》 
駄作というほどではないが、決定的に「何か」が足りない作品。  まず、アクション映画であるためストーリー性が弱く、アクション面を見ても、単に銃撃戦が長々と続くだけなので、最初はハラハラしていても、中盤を待たずに飽きてしまう。作中のテンションとかけ離れて行くので、見ていてシラけてしまうのだ。この「観客」と「作中人物」のテンションをバランス良く維持して行くことが、どんなジャンルにとっても重要なことだと思う。  また「籠城戦」とは言え、宇宙とか地下施設のような本当の閉鎖空間ではないため、イマイチ閉塞感や絶望感に欠けている。密室ならではのドラマが足りない。  カメラワークなどを見ても、これまた凡庸なので、飽きやすさに拍車が掛かる。登場人物もありきたりで没個性的なキャラが多く、見た後に印象に残る人物が少ない。  ラストも意外な終わり方をするわけでもなく、尻つぼみ気味に終了。そもそも重犯罪人を乗せた護送車の所在を見失うという導入からして、リアリティの御し方にセンスが感じられない。  全体的にアクションとしてもサスペンスとしても中途半端。  警備員のおっちゃんのカッコ良さに+1点献上。
[ビデオ(字幕)] 4点(2007-04-17 12:49:58)
13.  戦場のピアニスト 《ネタバレ》 
いくらこれが戦争という現実に直面した無力な人間の姿だとは言え、人としてその生き様には何物も学ぶべきところが無い。「生きる事」は、単に「死なない事」とは違うはずだ。人間は生と死に意味を見出そうとするからこそ、本能だけの動物とは決定的に違うのであり、そこに人間としての「尊厳」や「価値」もあるのではないだろうか。 通常の反戦映画とは明らかに違うベクトルから戦時中の事実を描いたものであるとは言え、そこに「生き延びた」という事実以上の教訓を見出すことは難しい。後に何かを成す為に「今を生き延びる」というのは分かる。だが生き延びることよりも価値ある「何か」を見出すことも重要なのではないだろうか。それこそが宗教や道徳では答えの出ない「生きる意味」に通じるのではないだろうか。
[ビデオ(字幕)] 4点(2007-04-10 13:18:34)
14.  トランスポーター 《ネタバレ》 
導入は良い。でもそれだけ。  序盤以外、「運び屋」の設定がまったく無関係。いかにしてプロの運び屋として難しい依頼をこなしていくかと言う、アクションよりも頭を使う知的なストーリーだと思っていたので、中盤以降の内容の幼稚さには期待を裏切られた気分。  それでもアクションとして面白ければ文句も無いが、如何せんカーチェイスもカンフーアクションもキャラクターも、すべてが中途半端でどうしようもない。  この手の「ありがちアクション映画」の典型として、主人公にはどんな近距離でも絶対に弾丸が当たらないとか、そのくせ主人公の攻撃は百発百中とか、何度も銃を突きつけられていながら、いつまでたっても悪役は引き金を引かないとか、どんなに不利な状況でもテキトーになんとかなってしまうご都合主義的展開の連続にはもうウンザリ。  導入に1点。
[ビデオ(字幕)] 1点(2007-04-09 22:15:22)
15.  ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版 《ネタバレ》 
<完全版のみの評価>  一般的には名作との誉れ高い今作も、感動させる事が目的で作られたようなあからさまな脚本には個人的にどうしても馴染めなかった。  時の流れの無常さ、その中で生きる人々の成長や挫折、男女の恋愛と別れ、郷愁と哀感etc.etc...。どれも映画や小説などでよく使われる普遍的なドラマの羅列でしかなく、その「泣かせるためにお膳立てされた感動の押し売り」がどうしても鼻につく(心の拠りどころである映画館が火事になったり、わざわざアルフレードを失明させたり…。こういう「人の不幸=乗り越えるべき試練=感動」、というような三段論法が押しつけがましく感じてしまう)。恋愛ドラマも、トトの一目惚れというだけで、ろくに心通わすイベントも無いのでは、後々の感動にも説得力が足りない。  少年時代、青年時代、そして、映画監督として成功を収めたサルヴァトーレの壮年時代という三部構成のせいでストーリー展開に統一感が無く、あまり必要があるとは思われないシーンがダラダラと続いて退屈。
[ビデオ(字幕)] 3点(2007-04-09 21:12:20)
16.  ブラック・ドッグ 《ネタバレ》 
いかにもアメリカ映画っぽい大味な脚本で、突っ込みどころやご都合主義は多いけど、あまり気にならないのは不思議。  悪役以外、登場キャラも全員憎めないし、基本的にハッピーエンドだから気持ち良く見終われる。  ただ、ラストでレッドが早速脱走してくるというプチどんでん返しは完全に蛇足。どうやって逃げてきたんだ。と言うか逃がすなよw。  それとタイトルの「ブラックドッグ」が内容とほとんど無関係というのもお粗末。ストーリーの重要なポイントに絡ませる事は出来たはずだから、その辺に拘らない(拘れない?)監督のセンスの無さが、この作品全体を安っぽくしている要因かと思う。  まあ、さすがに二度は見れないけど、何とか暇つぶし程度にはなるレベル。
[地上波(吹替)] 4点(2007-04-09 17:58:41)
17.  マレフィク 呪われた監獄 《ネタバレ》 
お、これは意外な当たり!見てみて分かったけれど、パッケージの「監獄が人を殺す」という内容紹介はほとんどデタラメ!この説明でだいぶ損してるよ、この作品。自分もこの説明で「また下らないB級作品か~」と敬遠してたから。  実際は、偶然、監獄の壁の中から見つけた「魔術書」に書かれている呪文を使って脱出を図ろうとする四人の囚人の密室劇。  と、正しく内容を説明してもB級臭さが強烈だけど、内容はしっかりと手間をかけて丁寧に作られているのが分かる作品。  何より、囚人の人物描写が秀逸。四人が四人とも、強烈な個性の持ち主(「本」に唆されて妻を殺した老人、何でも食べてしまい、可愛さのあまり妹まで食べてしまった青年、その青年を保護する母性本能に駆られたオカマ、そして唯一、常識的な主人公)。一見、色物キャラばかりだが、彼らの言動には考えさせられるものがあり、そこから彼らの歩んで来た人生と、抱え込んでいる「心の闇」が垣間見えるほど。  部屋の一室だけが舞台にも関わらず、先の読めない意外な展開に飽きる事無く見ていられる。そして、そんな彼らが魔術書の呪文を用いて、脱出した先に待っていたものは…。  ホラーと言うよりは、優れた人間ドラマと評したい。 
[ビデオ(字幕)] 9点(2007-04-09 17:57:33)
18.  隠された記憶 《ネタバレ》 
DVDのインタビューで監督さん本人が解説しているように、基本的に「解釈お任せサスペンス」であり、そういう意味で評価が難しい作品。  ビデオを送ってきた人物が誰かという「謎解き」は本質ではなく、それは見る人にとって誰もが共感しやすい「自分の過去や罪にどう向き合うか」というテーマの表象なのだろう。  そのため、より見ている者が自分自身と対話しやすくするため、意図的に抑えた演出やカメラの長回しなどが多用されている。事実、見ている間、「こんな風景ってどこかで見たな」とか、「こんな状況なら自分ならこう言うのに」などと、登場人物と自分をダブらせながら見てしまった。こういう感覚は久々。  ただ、全編に亘って「ビデオの送り主は誰で、その目的は?」というミステリアスな謎掛けで引っ張っているだけに、その解釈を観客に丸投げしてしまうオチは、はっきり言って手抜き一歩手前と言わざるを得ない部分もある。そういう意味では本格ミステリーなどと比べれば、お手軽な作りと言える。  あえて解釈すれば、主人公の生家を知っている事やニワトリの首の絵などから、明らかに少年時代の出来事を知っている人物であるのは間違い無いはず。とすれば、あんな大昔の、しかも二人しか知らないはずのエピソードを知っていて、かつ、それを恨みに思っている可能性がある人物は、あの養子にしていた少年以外にいない訳で、さらに二人の「室内」でのやり取りまで隠し撮りされている以上、まったくの「第三者」が忍び込んでやっていたという可能性は、現実問題としてまずあり得ないだろう。それに加え、ラストシーンを見るに、父親に聞かされた過去の愚痴などから、彼(自殺した男)の息子が今回の行動を起こしたと解釈するのが一番妥当に思える。  まあ「解釈お任せ」という逃げ道を用意して、始めから伏線の回収を放棄している作品である以上、どうしても傑作とは言い難いが、見ている間は退屈しなかったし、それなりに考えさせられる作品として一度くらいは見ても損は無いと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2007-03-19 16:15:12)
19.  ユナイテッド93 《ネタバレ》 
書籍でもインターネットでもテレビニュースでも、いくらでも情報を得る事が出来る、あの前代未聞の歴史的テロ事件に関して、今さら中途半端に脚色された「ドキュメンタリー風味」の映画を見させられなければならないほど、我々はあの事件から何も学んでいないのだろうか?国家と民族のあり方やテロついて何も考えたりしていないのだろうか?  英雄的側面を強調する事で反論を封殺しつつ、何気に政治的プロパガンダに利用する事の方が、亡くなった被害者や遺族の方たちに対して失礼だと思う。 
[DVD(字幕)] 3点(2007-02-27 22:32:18)(良:3票)
20.  ロスト・ハイウェイ 《ネタバレ》 
まさに破綻へと堕ちて行くストーリー展開の酩酊感は独特。倒錯した妄想の世界でありながら、幻想的で陶酔的。「マルホランドドライブ」の原型的作品。個人的にこう言う不可解な雰囲気は大好き。  ただ、さすがに妻殺害後の展開は主人公の「脳内妄想」としか解釈の仕様が無いものであり、まともな説明はほとんど不可能。しかし、そうなると最早どういう演出や展開も許されてしまう訳で、この辺はきちんとした「伏線構築」や「論理的結末」を放り出している手抜きと背中合わせと評されても仕方ないだろう。はっきり言って、単に意味ありげで思わせぶりな演出をしているだけで、最終的にまとめる必要が無いなら自分にも撮れる。  この意味不明な部分も含めて、リンチ作品としての魅力は満載だが、せめて「マルホランドドライブ」くらいには論理的な考察が楽しめる脚本構成にして欲しかった。  序盤のテンポの遅さもマイナス。明らかに無駄に間延びしているシーンが多いので、その辺を編集すれば、あと三十分は短縮できる内容。この手の作品は疑問を持つ暇も無いくらいのテンポが重要。  PS.以前、「タモリ倶楽部」の空耳アワーでやっていた「混じぇて飲んでぇ」の曲がかかったのが笑えた。
[DVD(字幕)] 5点(2007-02-23 20:23:28)(良:2票)
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