1. ポトフ 美食家と料理人
《ネタバレ》 トラン・アン・ユン監督作の中で最低の出来。 あれだけ鮮烈な映像を撮り続けてきた監督なのに本作の映像は凡庸だし、相変わらず人が簡単に死ぬわ、しかもジュリエット・ビノシュの体型が気持ち悪いときている。 料理に関する鼻につく蘊蓄を筆頭に、嫌味で妙にイラつく映画。 [インターネット(字幕)] 2点(2025-04-22 00:24:58) |
2. 愛、アムール
《ネタバレ》 ミヒャエル・ハネケという監督は人間が見られたくないもの、見せたくないものを描くのが好きだよね。 悪趣味と言われてもおかしくはない。 ラストシーンは自分にとっては相当きつかったね。 父親を病気で失った身としては精神的に堪えるシーンだったし、涙が出た。 二度と見たくない映画だけど、低い点数は付けられない。 愛するからこそ介護をしようと決めたのだろうけど、愛する人だからこそ日に日に弱っていく姿を見るのが耐えられなかった。 おそらくそんな心境だろう。 最後、家を出た後トランティニャン爺さんはどこに向かったのかが非常に気になる。 [DVD(字幕)] 7点(2025-04-20 17:17:17) |
3. 黄金時代(1930)
《ネタバレ》 関連性のないシーンが続き、よく分からないなあと思いながら見てたらいつの間にか終わってた。 別に面白いとかつまらないとかの内容ではない。 意味が分からないだけだ。 1930年にこれだけ露骨な性描写をしたのは凄い。 それがとにかく凄い。 だからこそ物議を醸したのだろうけど。 これはオーパーツ映画だね。 こんなはちゃめちゃな映画が1930年に作られたなんて! さすがは『アンダルシアの犬』を撮った監督だあね。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-04-09 21:50:54) |
4. ニーチェの馬
《ネタバレ》 「映画はエンターテインメント」という、世間の大半の人が映画に期待するものに対して、真っ向から挑んだタル・ベーラの意欲作。 ストーリーはほとんどないに等しく、父と娘の生活が淡々と描かれる。 しかも同じシーンの繰り返しが多い。 ジャガイモを食べるシーンとか、父の着替えを介助するシーンとか、井戸水を汲みに行くシーンとか。 この作品を見ていて想起されたのはロベール・ブレッソンのモノクロ作品だ。 だけど残念ながら、この作品はブレッソン作品には遠く及ばない。 ブレッソン作品ほど映像に力も無いし、内容に感銘も受けない。 娯楽性ばかりに重きを置いた映画の在り方に一石を投じようとした姿勢は評価したいが、この内容だと高い評価も付け難いものがある。 (追記) 冒頭、馬が登場するシーンのインパクトが絶大。馬自体は汚れているのに画は美しい。その芸術性の極みにプラス1点。 [DVD(字幕)] 6点(2025-04-06 18:01:42) |
5. ナンバー・ゼロ
《ネタバレ》 眼があまり見えない70歳の婆さんが、自分の生い立ちを二時間近く延々と話す内容。 どうやらジャン・ユスターシュの祖母らしいのだが、この婆さんの人生に興味のない自分にとっては、まさに拷問の様な時間だった。 途中でリタイアしかけたが、どうにか根性で最後まで見た。 映画という趣味を嫌いになりかけた二時間だった。 [映画館(字幕)] 0点(2025-03-20 19:52:17) |
6. アリックスの写真
《ネタバレ》 自分が撮ったピンボケ写真について熱心に語る女性。 その話をただ聴かされる。 自分の写真に酔いしれた女性の話に付き合わされている感じがしていささか苦痛。 [映画館(字幕)] 2点(2025-03-20 19:47:31) |
7. 不愉快な話
《ネタバレ》 今日は早稲田松竹という映画館でジャン・ユスターシュの映画を4本見たのだが、これが一番マシだった。 女子便所を覗く話で、変態性もあって楽しめるのだが、同じ内容の話を2回繰り返す意味が分からない。 2回目はさすがに飽きた。 [映画館(字幕)] 6点(2025-03-20 19:43:29) |
8. 豚
《ネタバレ》 田舎の農村で豚を飼っていて、その豚を屠殺してソーセージを作るまでの過程を撮影したドキュメンタリー映画。 豚を屠殺しそれをさばく映像は他でも見たことがあるので、全く驚きも新鮮味もなかった。 [映画館(字幕)] 4点(2025-03-20 19:40:02) |
9. カルロス(2010)
《ネタバレ》 カルロスという国際テロリストの実話に基づく話を5時間かけてじっくり描き出す。 彼は何をした人なのか、何を成し遂げたのか、何をしでかしたのか、それが時系列で丁寧に語られる。 資本主義が跋扈する世界に革命を起こしたい、その一心で活動する人生には潔さがある。 (カルロスという人物が本当に女好きだったかは分からないが、性的なシーンが多すぎて辟易した。日本赤軍が出てくるのは興味深いが、使えない日本人扱いだったのには苦笑) [DVD(字幕)] 6点(2025-03-17 23:51:22) |
10. 牝犬(1931)
《ネタバレ》 ストーリー自体は相当良く出来ているのに、何故だか退屈感があった。 俳優たちも良い演技をしている。 それなのに退屈。 なんだか不思議、はんぶん不思議。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-03-16 13:28:23) |
11. 格子なき牢獄
《ネタバレ》 ネリーの若さあふれる肢体とスタイルに見惚れてしまった。 その魅力にやられるドクターの気持ちも分からなくはないが、婚約者が必死に仕事してるのにデートをすっぽかされたくらいで別れるとは情けない男だ。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-03-08 21:31:45) |
12. 熱波
《ネタバレ》 今はシワシワのお爺さんお婆さんでも若い頃があった。 若い頃はカッコよくて美しくて、それはそれは熱い恋もした。 そんな麗しき過去を回想する映画。 第一部は現在。 決して幸せには描かれていない。 ここを幸せに描いてしまうと、第二部で描かれる過去が大して輝かなくなってしまうので当たり前か。 他の作品でも同じことを書いたけど「老い=不幸」みたいに描く青春映画は嫌いではある。 第二部は美しい過去。 美男美女の恋絵巻が描かれるものの、不倫がらみで実はかなりドロドロしている。 好きな男と結婚したと思ったら、それ以上に好きな男に出会ってしまった女性。 その悩ましき状況が描かれる。 この作品全体に漂う幻想的とも言える空気感は好みなのでこの点数で。 [DVD(字幕)] 7点(2025-03-01 18:20:34) |
13. 悪魔が夜来る
《ネタバレ》 後半、題名通り悪魔が夜来るのだが、悪魔が夜来るまでがやたらに長く感じた。 悪魔が夜来た後は俄然面白くなり、その悪魔のオッサンの憎たらしさが物語にスパイスとして効いてくる。 悪魔が夜来る前は吟遊詩人とやらのジルがキザで嫌なくらい存在感があったのに、そのジルが小者に見えてしまうほどこの悪魔のオッサンの存在感が凄い。 しかし、その絶大なインパクトを持つ悪魔のオッサンさえも、アンナの若さと美貌の前には太刀打ち出来ず、しかもジルとアンナの愛に負けてしまう。 悪魔が夜来るまでが退屈なものの、永遠の愛を語らせたら映画史上でも随一だと思われる一篇。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-02-19 10:36:05)(良:1票) |
14. 我等の仲間
《ネタバレ》 宝くじという泡銭で得た幸福は、真の幸福ではないので成就しないという教訓なのかもしれないが、わざわざそこまで不幸のどん底に落とさなくてなぁという印象。 あの悪妻とその夫との関係、そして間男にあたるジャンの関係性は面白い。 あと銃を撃つ時のジャンの目に浮かぶ涙。 絶望とも言える男の哀しみを感じた。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-02-12 12:55:48) |
15. 旅路の果て
《ネタバレ》 過去の栄光を忘れられない俳優たちが住まう老人ホームが舞台。 人生の終末を描いた内容は楽しくはなく、しかも未練に満ち溢れていた。 終始セリフの応酬で息つく暇もなくガチャガチャとうるさい内容。 今さらだが、ジュリアン・デュヴィヴィエの作品とはあまり相性が良くないかもしれない。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-02-07 12:58:01) |
16. 世紀の光
《ネタバレ》 別々の話が並行して語られるので非常に分かりにくい構成になっている。 何か変わった事をしてみようという監督の狙いなのだろうが、成功しているとは思えない。 タイの雰囲気を感じられるのは悪くないが、普通にオムニバス形式にするなどして、もう少し分かりやすくしてほしいところだ。 [インターネット(字幕)] 4点(2025-02-05 22:58:39) |
17. Black Girl(原題)(1966)
《ネタバレ》 フランスの裕福な家庭の乳母として、セネガルからやって来た黒人女性のディオアナ。 しかし実際に来てみると、乳母だけではなく料理に炊事に洗濯、掃除と奴隷のようにこき使われる。 しかも外出は許されず孤独を強いられる。 精神的に追い詰められたディオアナはバスルームで喉を切って自殺した。 黒人差別と人権蹂躙を、アフリカ映画の祖ウスマン・センベーヌが描いた鮮烈な作品。 セネガルのものと思われる歌声が、BGMとして終始流れているのが印象的。 [インターネット(字幕)] 7点(2025-01-25 20:19:11) |
18. 緑の牢獄
《ネタバレ》 かつて西表島には「緑の牢獄」と呼ばれる炭鉱が存在した。 そこで働く坑夫のほとんどは外国人で台湾人が多かった。 今や炭鉱の跡は西表島のジャングルに埋もれている。 軍艦島の炭鉱は有名でも、西表島の炭鉱はあまり知られていない。 西表島の炭鉱にまつわる生きた話を語る橋間良子氏。 この映画の主人公だ。 橋間さんは10歳の頃、親に連れられ台湾から西表島に越してきたそうな。 それから80年が経過し、西表島にある荒廃した家屋で一人暮らしをしている。 壮絶な人生を送ってきたであろうことは、シワやシミだらけの肌や身なりから伺い知ることができる。 台湾で生まれたのにその後80年もの間、西表島で暮らしてきた。 その苦労たるやいかほどのものか。 そして今は一人で暮らす日々。 どれだけの孤独を背負って生きているのか。 エンドロールで橋間さんの若い時の写真が映し出され、そこに「橋間良子氏に捧げる 橋間良子(1926-2018)」と字幕が出た時、なんとも言えない気持ちになった。 時間の重みを感じる良質なドキュメンタリーだ。 (追記) 炭鉱の管理者がモルヒネを扱う許可を持っていて、坑夫たちにモルヒネを売っていた。 坑夫たちはモルヒネ漬けになり賃金のほとんどをモルヒネと食費とで使い切ってしまうため、金銭的にいつまでも炭鉱を抜け出せない。 作中で語られるこのエピソードが怖すぎる。 このエピソードのせいで西表島の炭鉱の歴史は閉ざされたままなんじゃないかと勘繰ってしまうほどヤバい。 ヤバい怖いブラックなエピソード。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-01-18 20:08:59) |
19. ヴァニナ・ヴァニニ
《ネタバレ》 反体制組織のリーダーである男と貴族の娘が恋仲になるが、互いの立場や思想の違いなどから仲違いしてしまう…という悲恋のはなし。 女の方は男への愛を一番に優先しているが、それに対する男の方は反体制組織のリーダーとしての使命や仲間のことを第一に考えている。 まるで家族を一番に考える妻と、仕事最優先の夫との確執を見ている様だ。 政治的な話でもありながら、そこに宗教的な思想も絡む内容は、わたしにはとても重く疲れる内容だった。 [インターネット(字幕)] 3点(2025-01-10 13:32:54) |
20. のらくら兵
《ネタバレ》 大抵の作品は一度しか見ないが、珍しく2回目の鑑賞。 1度目に見た時、ワイワイガチャガチャしてるだけで全く良いと思えなかったが、あのジャン・ルノワールの作品だからと思って仕切り直した。 2回目の鑑賞でもワイワイガチャガチャの印象は変わらずではあったが、楽しくて平和な物語だなという印象が追加された。 楽しい作品であるが、個人的にはそこまで特別な作品とは思えない。 (内容とは関係ない小話) 本作はDVDで鑑賞したのだが、現在出回っているDVDはやたらに高価で手が出ない。鑑賞難易度高めかと思っていたが、たまたま東京は港区三田図書館に在庫があると知り、万難を廃して借りに行った。ネットで貸し出し状況を確認できるのだが、ずっと貸し出し中で予約をしてまでようやっと借りたDVDである。 [DVD(字幕)] 5点(2025-01-06 08:57:15) |