41. わらの男
《ネタバレ》 私も「鉄道員」よりも好きな作品と言いたい。 DVDの解説によると「わら(の男)」とは、わらでつまった頭を抱えているという、判断能力のないことを意味するらしい。 幸福な家庭を持つ男と、将来に夢を持たず、トト(宝くじ)を買い続ける美女。 全く別世界に住む、お互いの心が近づいていく過程がとても自然で、彼女がどの時点で主人公アンドレアを死ぬほど愛するようになったのか、もう一度観てみないとわからないくらいだ。 浮気に気付いた優しい奥さんの黙認が、アンドレアにとっては、とても痛々しいだろう。 因みに、この映画はハッピーエンドでは終わっていない。 それは、少年を間に挟んで泣きながら抱き合う夫婦。そのシーンに被さる妻の残酷なモノローグがこれからの未来を暗示しているからだ。 [DVD(字幕)] 10点(2010-04-17 13:54:19) |
42. 荒野の1ドル銀貨
裏切り、裏切り、裏切りの連続で、一体誰が誰だか全く分からない。 勧善懲悪を描きたかったのだろうが、主人公はやられるシーンが多くて、ストレスを感じる。 こんなラストシーンでは満足できない。 因みに、特典映像に、日本向けのジュリアーノ・ジェンマのインタビューがあったが、彼は今(2001年)でもとても魅力的だった。これだけでも必見の価値がある。 当時、全世界でヒットしたというが、私にとってジュリアーノ・ジェンマの最高傑作は「星空の用心棒」である。 一度ご覧あれ。 [DVD(字幕)] 5点(2010-02-08 01:59:11) |
43. 鉄道員(1956)
冒頭でお父さんが同僚をからかった時、横で爆笑している少年の顔が最高ですね。 私は他のレビュアーと違って、この時代に作られたイタリアのホームドラマは限りなく昭和のホームドラマに似ていると思います。 ただ一つ違うことは、日本のドラマは母親主体の所謂「母性愛」をテーマにしたものが多いのですが、イタリアは父を尊敬する息子という設定が主になっているものが多く感じます。もちろん例外も多々ありますが……。 父の尊厳は父親自身が固辞するものではなく、その家族全員が認めるもの。この時代のイタリア映画の多くにそれを感じます。 こんなお父さんだったら、ちょっとくらい酒飲みだろうと私は簡単に尊敬しちゃいます。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-09-04 21:35:58)(良:1票) |
44. 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)
《ネタバレ》 昔、ジャック・ニコルソン主演のリメイクを観て、とても面白かった記憶がありますが、本作は人間ドラマの心理状況が秒単位で変わっていくので、退屈される方は沢山いると思いますす。 冒頭で、調理中のフライパンの食べ物を掻い摘んでいたフーテンの主人公が、女に未練を求め、メソメソ泣き面を表していく展開は興ざめしてしまいました。全く感情移入できません。 女は「永遠の愛」を求めていたように話していたけど、結局は脂ぎった背中のデブ亭主と一生を共にするのが厭だっただけなんですね。 のんびりしたストーリーですが、細かい描写にしっかりと計算されていたものを感じることが出来て、それなりに観賞する価値はあります。 この作品の発展形が「夏の嵐」「イノセント」ではないかと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-12 07:28:13) |
45. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 何十年ぶりの鑑賞だろうか? 今回リマスターDVDでの鑑賞だが、画質がどうであれ、子供の時に観た時の印象は全く変わりない。 殺人を犯した主人公の行動を追いかけながら「いつまでも誤魔化せる訳ないだろう…」と思ったのも、あの時と同じ。 恋人も奪い取って、砂浜でサングラスを掛けながら陽射しを受ける主人公の姿は映画史上に残る名シーンだと思う。 コレクターズ・エディションを手に入れたので、死ぬまでにあと何回か鑑賞したい。 ところで最近鑑賞した殺人映画のほとんどが、金持ちに妬みを覚えた貧乏人の犯行というのが現代の無差別殺人とどことなく繋がっているようで怖い。 [DVD(吹替)] 9点(2009-08-06 09:11:58) |
46. 山猫
私は大のヴィスコンティのファンで、二度目の鑑賞だが、相変わらずこれほど長丁場で眠気を誘う作品もない。 「途中で寝た」という人はレビューを書くことができないから、ここでの評価は最後まで鑑賞した人だけが書いたことに注意しなければいけない。 アラン・ドロンはどこで出演したのかと思うほど、出演した価値を疑ってしまう。 翻訳のせいかわからないが、ランカスター演じる侯爵が「山猫」と呼ばれるシーンはない。 私には、移りゆく時代を背景にバート・ランカスターの一人称の映画にしか理解できなかった。 本篇が終わり、テレビのチャンネルを変えたら、60歳の矢沢永吉が熱いロックを歌っていた。 本作で演じていたバート・ランカスターは当時50歳。…う~ん、いつの時代も常に変わっていることを身に染みて感じた。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-08-05 23:42:01) |
47. マレーナ
男と女の根っからの「本音」を描き切っています。主人公の少年を一番理解しているのは誰か、人物全てがユーモアたっぷりに描いていて、何度鑑賞しても飽きない映画です。 コメディではありませんが、全編、可笑しくてしょうがないです。 男性と女性の感想が全く違ってくる映画ではないでしょうか。 女性は、どれだけマレーナに…いや、それよりも、美しいマレーナに嫉妬する女性(おばちゃん)たちを自分に重ね合わせることはできるのでしょうか? 女性の方々に言いたい! マレーナに罵声を浴びせる女たちは、貴方たち、女性を映している鏡です。素直にそれを認めましょう。 この監督は鑑賞する側に皮肉な投げかけをしていますが、私は監督のそういう感性が大好きです。 しかし、こういったテーマは、日本では企画の段階で却下されるでしょう。 正直に生きる男性のみが賛同する映画だと思います。 因みに、ディレクターズ・エディションのDVDは、少年が想像するマレーナとのエロシーンが約10分追加されたものです。といっても私にはカットしなければいけないほどエッチなシーンとは思えませんでしたが……。 少年役の子はこの映画だけ出演して、また一般人(高校生)に戻ったということですが、一番綺麗だった頃のモニカ・ベルッチとあんなことができるなんて、全く「やりにげ」状態に思えてなりません。嗚呼、うらやましい……。 このバージョンには、吹き替えがないのが残念ですが、通常バージョンでもスケベさは充分伝わってくるのは監督の技量だと思います。 [DVD(吹替)] 10点(2009-07-08 00:20:08) |
48. 題名のない子守唄
同監督の「マレーナ」がよかったという理由だけで予備知識なしで鑑賞しました。 トップシーン、仮面を被った全裸女が三人並ぶという、異様な世界に驚きましたが、現在と過去(回想)が同時進行する展開。 散りばめられた伏線は一度鑑賞しただけで理解するのは難しいかと思います。 「マレーナ」もそうでしたが、本当は3,4時間くらいの長尺に編集したかったのではないでしょうか?話しが飛び過ぎています。 「マレーナ」や「アレックス」以上に男尊女卑を訴えられそうな、えげつないシーンがテンコ盛りですが、しっかりと母性愛のテーマが伝わってきます。 あまり話題にならなかったようですが、是非「完全版」の再発を希望します。 [DVD(吹替)] 7点(2009-06-14 03:29:05) |
49. 地獄に堕ちた勇者ども
《ネタバレ》 ママが何度も腕を上げ、湧き毛を強調しているのが気になってしょうがなかった。 感想は他のレビューと同じ。 未見の方は一応、同じ「卍」の腕章付けていても、突撃軍と陸軍ナチスは敵対関係にあることを知っておいた方が混乱しないかと思います。 それにしても40年前の映画かぁ…。あと10年で著作権がなくなるんですね。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-12 22:45:20) |
50. ソドムの市(1975)
芸術的要素を感じるとしたら、洒落たテロップのデザイン、エンニオ・モリコーネの音楽、清楚な若い女性が起用されているからで、モリコーネに関しては、作品の内容を知らずに曲を提供したとの事。となると、モリコーネ自身にも責任がある。 それらをオブラートとして包んで、同性愛者の変態監督が好き勝手に描いただけの代物。 この手のゲテモノを見たければ、ネットのアングラサイトを覗いて満足していればいい。 「映画」と呼ぶことすら吐き気を感じる。 因みに私がこの映画に関心を持った理由は、たまたま発見した新聞記事で、昭和54年、大阪の三菱銀行に強盗に入った男が、この映画に影響を受けた行為を女性銀行員達に強制したとのことで、調べれば調べるほど、監督、強盗犯が共通して鬼畜であるということだけがわかっただけ。以上! 終わり。 [DVD(字幕)] 0点(2009-01-16 17:32:52) |
51. 真夏の夜の夢(1999)
《ネタバレ》 あ~しんどかったぁ……。原作を映画で理解しようと思って鑑賞したのだが、2時間が20時間に感じた。シェイクスピアを勉強するんだった台詞の勉強にはなる。でも、これってハッピーエンドなの? 愛が感じられないのは私の解釈が間違っているから? なんだか、どこかの宗教団体の結婚式みたいだ。 [DVD(吹替)] 2点(2009-01-05 13:19:27) |