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1.  世界最速のインディアン
まず、監督の手腕とアンソニー・ホプキンスの演技力に拍手。実在の人物の人徳をそのまま映画にしても、こうもうまく映像化できないだろう。偽善ではない「せめてこの爺さんだけは夢をかなえさせたい」という良心のかけらを満喫できる逸品ではないだろうか。純粋で無防備な老人を心から応援したり、わずかでも思いやる周囲の人々の配役も絶妙だ。彼らも十分すぎるほどの作品に説得力を持たせてくれているのだ。隣人の家族はもちろんん、モーテルの黒人ゲイ店員、ベトナム戦争に向かう兵士、途中で知り合うインディアンや老婆、レース仲間、競技委員、おまわりさん…。ともすれば「アメリカも捨てたもんじゃない」といいがちだけど、国の問題じゃないことが見れば見るほどわかってくる。特に旅立つ前に経験するバイク野郎たちのエピソードは素晴らしい。後に心優しき人々が登場する方向性を示唆してくれるだけに、とても重要な役割なのだ。実話ものが氾濫する昨今ではあるが、やはり題材選びは重要であることを再認識。この作品は興行的に当たらなかったかもしれないが、題材選びとしてはふさわしいものだと思う。「悪役がいない」と成立しない映画は確かにある。多くはサスペンスやアクション、サクセスストーリーなどだ。しかしこの映画のテーマはそれではない。つい助けたり、優しくしたくなる「夢を追う老人」のストーリーなのだ。アンソニー・ホプキンスは特別なメークはしていない。つまりレクター博士とほとんど同じはずなのに…その老人を演じているのだ。拍手いや脱帽の一言。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-03-14 02:11:46)
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