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プロフィール
コメント数 181
性別 男性
ホームページ http://ha2.seikyou.ne.jp/home/Kazuma.Kohara/jversion.htm
年齢 54歳
自己紹介 最近は録画した映画を見るだけで目いっぱいになってしまいましたが、学生時代に購入したテレビがとうとう壊れ、やっと買い換えた液晶テレビとHDレコーダーのおかげでそこそこ映画生活も充実しています。ここでみんなの映画評を確認するのも習慣になりました。

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評価順12
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1.  フラガール
まともに批判する気も起きないくらい質の低いいい加減な映画。はじまった瞬間につくりものくさい背景に唖然とし、その後、リアリティのかけらもない、専門学校の新入生が、何でもいいから書いてみろといわれて書いたようなベタなセリフが延々と続いていく。きちんと描けば面白そうな題材だし、実力のある俳優さんをこれだけつっこんでできたのがこれかと思うと悲しくなる。
[地上波(邦画)] 0点(2007-10-19 23:18:40)(良:3票)
2.  トイ・ストーリー2
大量生産品として個人のオリジナリティを持たないばかりか、しばしば何らかのイメージの代理品でしかなく、それでいて壊れるまでの有限な存在であって、しかもその価値は限定された他者に決められてしまう、というおもちゃがもし語りだしたら・・・。そんなイフを実によく描き出している。そして上記のような設定は、人間中心のヒューマニズムにある一種の「欺瞞」さえも暴き、葛藤させ、考えることを迫る。そうしたおもちゃたちの中に、さらにいろいろな立場(博物館行きのレアな一品としての価値と、特定の子どもに愛されることで獲得されたオリジナリティという価値の対立など)がおかれ、生き方の選択が迫られていく。隙のない構成、ほのかな笑い、いろいろな面から見て、とても良くできた映画だと思う。それでいてすごく感動したとは言えないのは、やはり舞台設定としてのアメリカでは、自分自身のおもちゃとのつきあいの記憶のノスタルジーが呼び起されないから、なのかもしれない。
[DVD(吹替)] 7点(2012-01-10 17:53:57)(良:3票)
3.  虹の女神 Rainbow Song 《ネタバレ》 
予備情報なしに、「意外に豪華なキャストなのね」くらいのつもりで見たんだけど、岩井さん脚本ということで、納得。『Love Letter』以来の原点回帰で、ストレートなラブロマンス。自分で撮るにはいまさらってことで、熊澤さんに任せたんだろうなぁ。 何もわかっちゃいない男の子の期間限定のうぶい感じが好きになってしまった、女の子のせつない思いを、純粋にとりだすのに、ヒロインを殺してしまって回想っていうのは、そういえば『Love Letter』と同じ手ではあるけれど、この距離感のとりかたは絶妙で職人芸の域に達している。 役者たちの演技も見事なんだけど、観客をお話に100%入り込ませるというよりは、あくまで「上野の芝居」「蒼井の芝居」「小日向の芝居」を見せるというスタンスも良かった。相田翔子もあてがきの芝居で、彼女の果たすべき役割を十二分に果たしていたと思う。あの章があれだけの長さがなくて、そのままエンディングになだれこんじゃっていたら、ラストの盛り上りはなかったはず。冒頭のシーンにふたたび戻ってきたときに、相田との不思議な関係で一息ついてという距離感があってこそ、「ああ、あの冒頭の携帯メールのシーンはこういう状態だったのね」という発見があり、またコーダとしておかれたエピローグが生きてくる。 さらに、劇中劇をはじめから最後まで全部見せちゃうという、ふつうなかなかやらない暴挙にでるんだけど、「ああ、このシーン、あそこで撮ってたんだよなぁ」とか、「練習してたこのセリフこうなったんだ」とか、「クランクアップのあのシーンはこういうことだったんだ」とか、ちらりちらりと見せ続けていた予備情報がうまくここでつながるっていうように作っていて、それにはすっかりやられた。 しかもこの劇中劇、死んだヒロインの元気なところをエンディング近くの、しかも通夜葬式の真っ最中で見せるっていうんだから、ふつうなら間違いなく、泣き落としにくるところが、するっと流して、盛り上りを最後の最後までとっておくというのも心にくい演出だった。ホルスト「惑星」の妙に平坦な素人くさいシンセのBGMの使い方も見事。 最後に死んだ彼女の手書きのメッセージが見つかるっていうのも、『Love Letter』の焼き直しではあるけれど、やっぱりいいね。小津にとっての父娘ものみたいなストーリーなんだろうな。 
[地上波(邦画)] 8点(2009-10-03 01:30:05)(良:3票)
4.  崖の上のポニョ
子育て中の身として、男の子のしぐさひとつひとつがかわいらしくて仕方ありませんでした。一番印象的なのは、瓶の中に閉じ込められてしまったポニョを力づくでなんとか外に出そうとする場面。未来少年コナンからの定番だった極端なオーバーアクションは控えめで、子どもらしいしぐさを一つ一つ丁寧に描こうとしていたのが良かったです。たぶんそうしたオーバーアクションがすでにアニメの定番の記号的なリアリティーになってしまっていることに対する、本家としての抵抗の試みなのではと感じました。 一方、中盤の嵐のシーンの海の描写には、先日みた北京オリンピック開会式のマスゲームのような過剰さを感じました。そこまでやらなくても、子どもならではの冒険を演出できたのではないかなぁ。あんまりやりすぎるとかえって、あの状況の中で家に帰ることを優先するリサの、大人としての分別のなさが却って浮いて見えてしまいます。 手垢のついたクラシック音楽の転用のような音楽にも、にやりとはさせられるけれど、オリジナルで新しくて聴いたことのないような、それでいて優しく美しい音楽はもう久石さんには期待できないのかなという気にさせられました。 終盤は、リアリズムの代弁者としてのおときさんの辛らつなつっこみで、おとぎばなしの世界に大人の視点のまま連れ込むのに成功しているように、僕の目には感じられました。「千と千尋」の冒頭のトンネルが引用されるのも、物語的なイメージの深みを加えるのに有効な働きをしていたと思います。 もっともそれでも、人魚姫の枠組みを、成人への通過儀礼などまだまだ遠い先にあり、セクシャルな存在とはとてもいえない五歳の男女にあてはめることの無理はどうしても感じざるを得ませんでした。 全体としては、子どものリアルなしぐさをじっくり観察し、あますことなくその魅力を表現したところに、この作品の最大の美点があるように思います。最初から最後まで涙の乾く間もないほど涙腺の緩みっぱなしの映画でした。 
[映画館(邦画)] 9点(2008-09-01 17:14:02)(良:2票)
5.  Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?(2004)
 テレビでオリジナルをやっていた後に見たので、どこをどう料理したのかというのが鮮明に見られた。オリジナル版の笑いの基底が、「日本人が、欧米人みたいにダンスをする」ということの距離感にあるので、そうした構造を取り払った後で、表面的に類似するエピソードをどのように位置づけているかが、リメイク版の最大の見所になるはずだった。しかしピーター・チェルソムは、その点で大きな冒険をしていない。同じエピソードががらっと意味を変えるというようなシーンはひとつも見られなかった。その代わり、日本とアメリカの文化の共通点を引っ張り出して、その共通点を基底にして、同じような意味を引き出せる部分を利用する、という作り方をしている。  オリジナルで渡辺えり子が演じたキャラのハリウッド版は、彼女の笑いを研究しつくしており、そっくりさんを見るのと同じような面白さがある。竹中直人の笑いの換骨奪胎ぶりもなかなかに楽しい。竹中の演じた会社の内と外のギャップを、「ユダヤ的orドイツ的生真面目さ VS. ラテン的情熱」の対照に上手に置き換えているのは見事。  ただし同じエピソードに同じような意味づけができそうなものをわざわざ変えている部分には納得のいかない部分もいくつかあった。その一番の点はジェニファー・ロペスの役づくり。第一に、彼女がはじめひたすら主人公に冷たくふるまうということは、後の展開のために絶対必要な線だったはず。また場末のダンススタジオで仕事をしている自分に対する納得のいかなさも、リチャード・ギア演じる主人公のダンスへの情熱から力をもらう、という後の展開のためにやはりなくてはならなかった。もしかしたら監督は、ジェニファーに、「表面的な普通さの下の葛藤」を表現させるという二重の演技を期待していたのかもしれないが、僕にはそれは見てとることができなかった。  またハリウッド版<渡辺えり子>についても、シングルマザーでダンス道楽のために全人生をかけているという人物像は、アメリカでもそれなりに説得力があるだろうに、彼女のサブストーリーは、メインとなるストーリーの陰で無視されている感があった。  そういう意味では、周防監督の<脇役の一人一人までの物語を同時に語りつつ、全体を構成していく>というポリフォニックなストーリー展開の妙をあらためて感じさせられた。  
[映画館(字幕)] 5点(2005-05-09 14:25:33)(良:2票)
6.  ゲロッパ!
みなの評価がなぜこんなに悪いのかわからない、というのは普通の感覚を持ってないっちゅうことなんかなー。みんな芸達者やし、おもろない、という理由がようわからんわ。ちなみに私は太郎が「おまえにはわからんやろうけどな」っておやじさんの思いを代弁するところで泣きました。
9点(2004-05-13 20:54:59)(笑:1票) (良:1票)
7.  戦場のピアニスト 《ネタバレ》 
これがポランスキーではなくて、カンヌで賞もとってなくて、何にも期待していなければ、ポーランド人が英語をしゃべってるところで見るのをやめたかもしれない。(でもドイツ人はドイツ語をしゃべってるんだ、これが。)あるいは、すでに誰もが知ってるワルシャワのユダヤ人の歴史を、ポーランド分割からナチ崩壊までの5年間を、これからまた例のごとくの演出で三時間見せられるのだと覚悟を決めさせられるところで。ピアノを滅多に弾かないピアニストの映画だけど、その数少ないピアノのシーンのうちの一つは、逃亡生活の果てにたどりついた隠れ家にとうとう見つけたピアノを、命が惜しいために弾くふりですませてしまう。ピアノを愛するものなら、死んでも弾いてしまうところなんだろうが、そういうひとは実際死んでしまって手記も残せなかったのだろう。また、あの場面。やせほそり、筋肉の削げ落ちた指がたたき出す不自然に華麗な旋律。ピアノを弾く全ての人が、毎日の練習をさぼったとたんに訪れる「ああ指が動かない!」という思いを主人公は決して感じたりはしない。その間にあった5年間のブランクは彼の指にはおこりえない。妻いわく、この映画の教訓は「芸は身を助く」なのだそうだが、彼が自分から行動するのは、たった一度だけ。武装蜂起にいよいよ立ち上がらんとする友人に、唯一人自分勝手に逃亡の手助けをさせるその瞬間のみだった。あとはただ流されるまま、感謝もなく他者の好意に甘え、自分の食欲を満たすことのみにわずかながらの執着をみせていた。ピアニストとしての才能以外には、たしかにどこにでもいそうな人間のリアルな姿かもしれないが、そこにたとえば芸術家としての誇りなり、こだわりなり、生きがいなりといったものは見つけられなかった。あの戦争の前後において、彼は同じショパンの作品(これは僕のもっとも愛した作品でもあるが)を弾いてみせるが、ホロコーストの経験をその後者に聴く事ができるという人がいれば、お目にかかりたいものだ。
0点(2003-09-12 00:22:57)(良:2票)
8.  ナイト&デイ 《ネタバレ》 
前半、トムはどんな状況においても完全無欠にひたすらさわやかで、パニくるキャメロンを安心させようとするのに、状況はどんどんエスカレートしていく。後半はヒーローに対して絶対の信頼を持ってしまったキャメロンが悪乗りして、必ず助けにきてくれるはずのトムを危険にさらしつつも、トムは全くひるまずにあくまでもスマートにそれに応えていく。過去のトラウマやら、葛藤やらといったものは何も出てこないし、主人公には弱点の一つもなく、悪者はずっと悪者で、サスペンス的な展開は何もない。こうしたラブコメの味付けのためだけにアクションシーンが使われるというのは新鮮だったし、エンディングも気が利いていた。まさにこの二人の魅力を最大限に生かした映画。
[DVD(字幕)] 9点(2012-01-22 22:47:06)(良:2票)
9.  恋人までの距離(ディスタンス)
 続編ができたということで妻と一緒に改めて見直した。良い映画という印象は残っていたが、最初に見たときよりも一層深く感じるものがあった。  はじめて会ったときから不思議に話が合い、時間も忘れるくらい一緒に話し続けて、「好き」という気持ちがだんだんに高まっていくけれど、相手も同じように思っているのかわからなくて・・・、という不安と喜びに満ちた恋のはじまりの様子がとてもとても上手に描かれている。自分自身がそうした恋のまっただなかにあったときには、この映画は単にきれいな情景でしかなかったけれども、10年の時を経て見直すと、そうした記憶を強く刺激されるそんな映画に変わっていた。  僕の大好きな映画の多くは、心情の描写のために安易にBGMに頼ることをせず、その場の実際の音を効果的に用いながら、役者の演技にかけるという選択を取っているが、この映画もその代表例と言えるだろう。特にジュリー・デルピーの演技は映画的なドラマチックさとは別の意味での「恋の駆け引き」を見事に表現している。  また役者の演技にかけるという意味では、ひとつひとつには直接意味の無い会話を積み重ねることで、発言の内容よりも、発話行為そのものが伝える関係性に目を向けさせる技術も際立っている。イーサン・ホーク演じる男の「軽妙洒脱な台詞」も、そのように見ればかえってリアルである。  ウィーンを舞台にしながらも、あえて観光名所をはずしながらロケを行うことで、「どこにいるか」よりも「誰といるか」をこのうえなく重視させる恋愛の心理を表現するとともに、ウィーン的にはごく普通の石畳の風景のなかにその街の魅力を上手に生かし、自分のテリトリーの外での出会いという旅のエキゾチズムを演出しているところがいかにも粋だ。  これだけで完結したストーリーとしてあり、続編は不要だったように感じるが、作られてしまった以上、好奇心には勝てない。今からとても楽しみにしている。少し時間をおいて見てみたい。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-08-10 17:17:41)(良:2票)
10.  ハウルの動く城
 もうすでにこの作品にがっかりしたという多くの人が同じようなことを書いているのでそれについて重複するような内容をさらに語る気はないが、とにかく二時間の長さにあまりに多くのことをつめこみすぎだと思う。時間にしておそらく半ばあたり、王様の城にたどりついたあたりで、さてこれをどう収まりつけるのか心配して見ていたが、やはり心配どおりそれらの謎は放りっ放しで、軽々しい「愛してる」とか「守りたいものができた」とかそんな言葉で無理やりまとめられてしまったように感じた。 とにかくひとつひとつの行動の動機の説明が弱すぎるし、対立が設定されてもそれが安易に解消されてしまう。たとえばソフィーにかけられた呪いにしたって、アシタカへの呪いなどと同じように相当深刻な問題なはずなのに何となく解決されてしまうようなものでしかない。そんなあいまいな動機による行動に共感しろと言われてもそれはとても無理ではないか。  一方、僕以外の「がっかりした」という感想を見ていると「映像は美しかったが・・・」ということが決まり文句になっているが、それについてさえも、たとえば「もののけ姫」などと比べ、より優れていたとは感じられなかった。花畑のシーンなどにしても、いわゆる「かきわり」をカメラがパンしているにすぎない感じで、「もののけ姫」のシシ神さまの森での、草花の一つ一つが本当に生きている森に「足を踏み入れた」感じは受けなかった。あるいは魔法がはたらくときに、光が集まってフォークダンスのようにぐるぐるまわるあの表現をひとつとっても、悪い意味でマチスの切り絵を思い起こさせるものだった。  よかった点といったら、題名にもなっている「動く城」の表現くらいで、スピルバーグにおける「恐竜を動かしたい」とか「自転車を飛ばしたい」とかの隠れテーマなんかと同じように、これを撮りたいがために、無意味なストーリーをでっちあげたように感じられた。  宮崎駿というブランドを抜きにしたら5点くらいはあげられる映画ではあるが、彼のファンに「警告したい」という意味で2点をつける。
2点(2005-01-23 15:30:00)(良:1票)
11.  チルソクの夏
ストーリーはベタかもしれませんが、演技が素晴らしかったし、下関の町並みにも風情を感じました。お父さんとのケンカのシーンはあまりにリアルで痛かったなぁ。久しぶりにぼろぼろ泣いた映画でした。恋愛を語るために、社会状況を利用することを僕は肯定します。それは社会状況を恋愛に還元することではないし、そのような印象も全く受けませんでした。
[地上波(字幕)] 9点(2006-07-19 11:10:22)(良:1票)
12.  ハッピー・フューネラル
アン・リーの「恋人たちの食卓」と共に、今年見た映画のベストを分かち合いそうな作品。 あらすじは配給のソニーピクチャーのHPで見ることができる。 http://www.spe.co.jp/movie/worldcinema/happyfuneral/top.html 上記のサイトで監督のフォン・シャオガンは「日本映画で例えて言うならば『男はつらいよ』的な国民的人気を持っている」と紹介されているが、ここから中国映画にありがちな大げさな演技と泥臭い演出、人情芝居を想像すると、それがすでに偏見でしかないことを冒頭の数カットで知ることになるだろう。すきのない完成度という点では、アン・リーに今一歩及ばないかもしれないが、この映画が中国で大ヒットを飛ばしたということに、今後の中国映画全体の可能性を感じさせる。「単なる人情劇でない」と書いたが、この映画の魅力の核となっているのはやはり、主要登場人物であるハリウッド映画監督タイラーと中国人カメラマン、ヨー・ヨーとの、常識的なモラルを超えた相互の敬意の交換だろう。そうした高次のヒューマニズムを、全ての役者の確実な演技力と美しい映像、劇中劇の効果的な使用とで見事に描ききっている。 
9点(2003-11-15 16:32:50)(良:1票)
13.  少年メリケンサック
みなさん書いている通り、宮崎あおいの全力の演技が良かったです。オープニングのあたりのユースケとのかけあいもいい感じで、つかみはばっちりです。しかし、おじさんバンドの面々は、キャラ紹介が終わってからは、演技が一本調子で、裏がなく、人格としての深みやリアリティが感じられなかった。またストーリーとしては、バンドの演奏がどのように「最低」を抜け出せるのか、という重要なはずの転換点がうまく描けてませんでした。ただ「舞妓haaan」に比べれば、後半がいきおいだけでなく、それなりに「意外でかつ納得のいく」ような展開になっていたので、最後まで楽しく見られました。
[地上波(邦画)] 7点(2011-01-21 09:39:02)(良:1票)
14.  静かなる男
アイルランド旅行の前のお勉強と思って、まったく期待せずに借りてみたら、もう最高でした。 とにかくお約束的なエピソードと演技の連続でありながら、不思議に斬新で展開が読めず、やたらと盛り上がるのはどうしてなんでしょう。 女優さんの表情の作り方とかは、最近のディズニー映画そのもので、相当この映画を研究したんだろうという感じがしました。ちょっと男まさりだけど、実はけなげでかわいい、みたいなキャラクター設定も、そのまま借りてきちゃっている感じですし。 あと、脇役の動かし方や、殴りあって仲良くなるみたいなところは、宮崎映画の源流だなあと感じました。  ちなみに最初に書いたような事情でアイルランドの近代史などを勉強していると、この映画に描かれるプロテスタントとカトリックの融和が100%おとぎ話の理想郷であることがわかるんですが、そういうところも含めて、良い映画だったと思います。 一緒に「クライング・ゲーム」や「マイケル・コリンズ」などのアイルランド人監督の映画を見ると、この映画のそうした意味での凄さが伝わるような気がします。
10点(2004-07-27 19:46:46)(良:1票)
15.  厨房で逢いましょう
「料理には人を変える力があるのか」がこの映画のテーマだと思う。 映画だから味そのものは伝えられないのだけれど、料理の映像とそれを食べた人たちの表情にはそれだけの説得力があったように、僕には感じられた。 冒頭の、太ったコックが鴨の羽をむしり、その頭にいとしそうに話しかけるシーンからしてイっちゃってるけれど、映画のテーマをよく伝えている。この映画はほとんどそのコック(ヨーゼフ・オステンドルフ)と、彼の料理にほれ込んだ女性(シャルロット・ロシュ)の二人のやりとりだけで進むのだが、この二人の演技も見事で、通常ならありえなさそうな展開を「この料理ならそういうことも起こりえるのかも」ということを信じさせてしまう力を持っている。今調べてみたらこの女性は素人で演技の経験も何もなかったらしい。天性の才能もあったのかもしれないが、これだけの演技を引き出す監督はやはりすごい。これが三作目とのことだが、今後にも期待したい。
[地上波(字幕)] 9点(2010-03-16 23:25:25)(良:1票)
16.  硫黄島からの手紙
この戦争を描いて、右にも左にも流れず、戦争自体の悲惨さは大前提としておきながらも、その中での人の生き様を(それも敵である日本人の生き様を)きちんと描いているのは高く評価したい。 そしてそれを見せるために、「プロジェクトX」的な意味でのエンターテイメントの要素をぎりぎりまで省き、しかしそれでいて、観客が最初から最後まで、それなりに興味を持って見られるような要素も必要最小限に残している、そのバランス感覚が本当に素晴らしい。 たとえば、戦闘中にさしはさまれる、回想シーンのカットバックは、将兵が過去を振り返っているというレベルのリアリティを十分に残しつつ、観客にとっては過度の緊張から一時でも解放されるオアシス的な機能をうまく果たしていて、お涙頂戴的な作り物感を感じさせないのはさすが。 この映画を見る人は、いったんアメリカ軍が上陸したら、その後は悲惨な戦いがずっと続くことを覚悟して見始めるんだろうけれど、映画の前半をまるまる栗林中将の人を食ったようなあっけらかんとした姿でぐっとひきつけ、そこにエンターテイメントの要素を集約しているのが素晴らしい。(エンターテイメント要素のない)戦闘シーンがはじまってから、観客が耐えられるストレスをきちんと計算尽くしているように思われた。 戦闘がはじまってからは、日本軍が圧倒的な物量差の中で、意外な抵抗を見せるということを、作品のエンターテイメント的な要素としてももってこられたのかもしれない。それをやらなかったのは、一つには「敵の」アメリカ軍に感情移入するアメリカ人の観客の反応を意識したからなのかもしれないけれど、結果的には、そうした盛り上がりを排除した結果、この戦争のなかで「とにかく生き延びよう」とするだけだった兵士が、「最後まで戦う」ことを選んだ将官の生き方、価値観に影響されていくというドラマが、よりくっきりと描けるようになったようにも思う。「二度あることは三度ある」という栗林の言葉が特に心に残った。 「ディア・ハンター」や「フルメタル・ジャケット」、「地獄の黙示録」などに比べれば、目を開かされるというような要素はあまりなかったし、「戦場にかける橋」のようなポジティヴな感動もなかったけれど、あの戦争を我慢せずに見られるレベルでフェアに描いていることを高く評価したい。
[地上波(邦画)] 7点(2009-09-03 02:05:18)(良:1票)
17.  戦場のメリークリスマス
大島渚はあんまり好きじゃないんだけど、あの曲がどんなふうに使われているのか見たくて見ました。音楽は意外にわざとらしくて、というか映画全体があまりにキッチュで、ちょっとついていけませんでした。日本人はこんなはずじゃないとわかっていて、それをあえてこんなふうにファナティックに描くのは、そもそもファナティックな世界をつくりたくて、その道具に使ったというだけなんでしょうね。「欧米人はどうせ日本人をこんなように見ているんだろうから」それを利用してやれ、みたいな。そういう意味では、「ラストサムライ」なんかより確信犯で潔いようには思うけど、やっぱりこの美学にはついていけない。坂本龍一とかビートたけしは、こういうの好きそうですね。楽しく演じたんだろうな。
[ビデオ(字幕)] 3点(2005-10-07 21:56:15)(良:1票)
18.  ハード キャンディ(2005) 《ネタバレ》 
予備情報なしに見た。出だしの面白さげな雰囲気にすっかり騙された。中盤以降、アップダウンのある展開を期待したが、結局ずっとずっと同じのりでただただうんざり。こんな作品をTVで放映するなら、これがどんなひどい内容か、たばこを買う人に対する警告と同じくらい解説をつけた上でにしてほしい。
[地上波(字幕)] 0点(2010-01-17 22:17:09)(笑:1票)
19.  アフタースクール 《ネタバレ》 
途中まで、出てくる人物それぞれにそれぞれのもくろみがあって、5つどもえみたいな、複雑な設定で、いったいどんなことになっちゃうんだろうと思わせながら、ラストでいっきにそれを単純な設定におとしこむという手腕は見事でした。キャストでみたんだけど、それぞれの役者が説得力のあるいい芝居をしてました。ただ、この「状況」のなかに外からまきこまれた格好になった○○が、最後にぐちを言うと、隠れ主人公に罵倒されておしまいというのが、ちょっとかわいそうな感じがしましたね。ここをもう一つ工夫すると、ずいぶん後味が変わってきたのではないかと。でも楽しかったです。
[地上波(邦画)] 8点(2011-01-21 10:04:11)(良:1票)
20.  郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)
ビスコンティはいつもそうだが、リアルすぎて重苦しい(じゃあ見なけりゃいいのに、と言われそう)。邦題は原作小説から直接とられており、その解説によると「アメリカでは郵便配達はいつも玄関のベルを二度鳴らすしきたりになっている」ことから発想を得ており、「郵便配達」ではなく「二度」ということがストーリーのなかで象徴的な意味を持っている。この映画の原題は英語にするとObsession。「とりつかれる」という意味で、良くも悪くもわかりやすい。「二度」というテーマもよく探せば残っている。
[地上波(字幕)] 5点(2007-07-16 21:52:22)(良:1票)

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