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しったか偽善者さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 75
性別 男性
自己紹介 かなりゆっくりですが、気まぐれにぼちぼちレビューしていきます。文章がヘタクソで背伸びして書いてますが大目に見てください。ストレス発散のため感情の捌け口として、ささやかな自己満足でレビューしておりますが、結果的に皆様を楽しませ、映画鑑賞のお役に立てれば幸いです。安っぽい正義感をふりかざしたような偽善的自己陶酔レビューが多いです。
「すべての作品を尊敬する謙虚な姿勢を失うことなく」、楽しみながら、かなり感情的なレビューをしております。クソ映画の弾劾は覚悟と労力を要し、めんどくさいので、あまりする気がありません(すべきなんでしょうけど)。基本的にお薦め作品の賞賛です。

大島渚「悦楽」、オリヴェイラ「神曲」、若松孝二「処女ゲバゲバ」など自分が新規登録要望した作品をレビューしてません。申し訳ありません。内容あるレビューをしたいと思ってたら腰が引けて時間がたってしまいました。とりあえず形だけでもこれからレビューしていきます。

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評価順12
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1.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 
・・・意外に点数低いなぁ。私は世間の絶賛とアカデミー8部門受賞という本作の権威を笠に着て、大激賞のイヤらしいレビューをしますけど・・・みなさん泣きませんでしたか?。私はボロ泣きでしたよ。単純だからでしょうか?。/途中主人公が示唆するように、あの4択のクイズ番組って出題範囲などなく問題内容に出題者の恣意が許されてるので、解るわけない問題出すことなど簡単なわけで(極端なこと言えばみのもんたのプライベートな事柄出せばいい)、欺瞞に満ちたものです。最終的には出題者も左右できない「運」に結果が左右されるいいかげんなものです。安全な高みからうろたえる無知で貧乏な金目当ての解答者を小バカにする醜悪なものです。でも、それってこの世界そのものみたいじゃないですか!。だからこそ、少なからず冷酷な現実に拒絶され続ける我々はインドの視聴者たちと同様、身勝手に主人公を応援し、豊かなくせに彼に自らを重ね、世界を変えたいと願うのです。ムンバイのビル群を見下ろしながら今「世界の中心」にいるという兄のセリフは自己肥大の傲慢さから出たのかもしれませんが、あのシーンには妙な説得力とスケール感がありました。この映画には世界の核心、世界の全てが描かれているという錯覚(そんなわけないけど)を抱きました。本作は最高のエンタメであると同時に突き抜けた崇高さがあると私は勝手に思ってます。/前半のスラムの場面に顕著な全編に渡る疾走感と溢れる生命力は絶妙の音楽とポップな映像に支えられています。もはや風格漂う王道の派手さ、悪趣味さ、カッコ良さじゃないでしょうか?。オペラでも恥ずかしいような純愛は、当初より示される「運命」的な(作られた)全体の構成からすれば当然のこと!。所詮戯れの作り事であることを忘れさせる壮絶な展開をファンタスティックに染め上げるラスト。その快感の余韻は極上!。鑑賞後、なんかこう生きる気力みたいなもんが湧いて元気が出ました。映画ってそれが最高で、それだけでもいいんじゃないですか?。自己満足でもいいです。なんか今後0点もつけられそうな映画ですけどね・・・。 
[映画館(字幕)] 10点(2009-04-24 20:53:47)(良:5票)
2.  父、帰る
いや、ほんとこれいいんじゃないでしょうか・・・。父をソ連に見たてる政治的解釈やキリストに見たてる宗教的解釈をしたり、「イワン」=イワン・カラマーゾフと論じたり、水のイメージなどからタルコフスキーの影響を論じたり・・と、学者や評論家や映画通はすでに様々な視点からこの映画を語り尽くしていることでしょう。本作はそういうことが可能な豊かな表現の作品である反面、少々「あざとい」とか否定的な意味で「高尚」だとか正直私は思います。それはそれで魅力であると知ったかで勘違い野郎の私なんかは感じるのですが・・。しかし、本作はそうした隠喩にまみれた高尚な作品であっても、ストーリーは意外とシンプル(寓話化された単純さ)で結構強烈に心を揺り動かされます。シニカルでぺダンチックな評論家的視点などやっぱりどうでもいいと思える非常に真摯な作品です。自己満足かもしれませんが鑑賞後の余韻がたまりませんでした。どういう余韻かはうまく説明できないのですがボ~ッとなってしまいました(どういう余韻が残るか?というのが私の映画評価で大きな比重を占める基準です)。静かでゆったりしていますが決して退屈ではありません。ハリウッドのけたたましさに慣れきっていてもそれほど不満を感じないでしょう。あえて謎だらけのまま放り出すやり方が成功しているかどうかというのがやはり大問題だと思いますが私個人はこの映画に関してはあれで良いと思います。ソ連やキリストや父親などというのは得体が知れない謎だらけの存在だというのを表現しているのではないでしょうか?。すっきりしないのがこの作品の魅力的な味だと思います。映画館で観てからかなり時間経っちゃったけど、気まぐれに今になって思い出しながらレビューしました。でも、あのなんともいえない薄暗い美しくわびしい映像は大きなスクリーンで観て良かったなぁ・・と自己満足してます。
9点(2005-03-12 22:22:04)(良:3票)
3.  誰も知らない(2004)
実在の事件の「真実」が我々にとって意味するものとはなんでしょうか?。裁判の判決理由の事実認定さえも一義的には「真実」を明らかにしません。また、事件に利害関係のない私など大多数の人間は恣意的に、いいかげんに、無責任に事件を解釈評価します。つまり、乱暴を承知で言えば、こういう新聞に載った事件なんてのは「真実」など人の数だけあり、なおかつ所詮他人事なのです。誰もがあの兄弟たちのアパートの他の住人と同じです。この映画のヒューマニズムも傍観者は加害者というような説教的な意味では所詮無責任だと思うのです。極端な例えですが、我々があの子供たちを見る目とアフリカの餓死する子供たちを見る目はどう違うのでしょう?。本作には当事者を傷つけるという問題もあります。人物を美化したこの映画でさえも実在の当事者に対する私刑のような面を持つことは否定できないでしょう。罪を犯せば法や社会の公正なルールに則って罰せられるべきなのは当然ですが、あの母親も我々他人の無責任な正義感や義憤によって被害を受ける理由はないでしょう。この映画だって無責任な傍観者なのです。しかし、にもかかわらずこの映画のヒューマニズムにはワイドショー的義憤とは全く違う特別な何か、心に訴えかけるものを感じます。私は映画に引き込まれ、痛みを感じ、感動する他ありませんでした。本作は事件の裏に優しく居心地の良い美しい世界を見出しました。限りなく無条件に互いが信頼し愛し合う共同体はまるで一個の人格のように外部がズカズカ入り込むことで傷つき、外部を自ら拒絶します。あまりに危うく脆く痛々しいユートピア。見たことのない美しく同時に醜い不自然に閉塞した世界。無慈悲な仕打ちによって突き落とされたひどい生活の中にしかこんな世界は現れないという皮肉な逆説でしょうか?。事件について私はほとんど知りませんし、私のこの文章も無知のまま匿名で書く全く無責任なものです。私は他人事として、映画として、あの不思議な世界に感動するのみです。
9点(2004-12-15 00:02:40)(良:3票)
4.  チャップリンの殺人狂時代
あまりに直球勝負な戦争や軍備への強烈な批判。メッセージを直接しゃべってます。ラストにあの幾つかの名台詞を言うためストーリーを冗長に積み重ねているとさえいえるかもしれません。しかし、現代の我々にとっては、前振りとして作りこまれた(?)人間味溢れる作品世界こそ重要な意味を持つのではないでしょうか?。30年銀行勤めの末、大不況のリストラで失業した主人公。この設定が他人事でしょうか?。あの連続殺人犯はいかにも今のニュースに出てきそうです。本作品は、現代社会の様子が時代を超え抽象化されて示され、アイロニカルでユーモラスな現代の寓話として普遍性を持つに至っていると思います。自らの立場を賭けた捨て身のチャップリンの表現に偽善などとケチをつけるには相当な覚悟がいるでしょう。私はシニカルな鑑賞態度は好きじゃありません。不条理な世界にあえて善や悪の姿を説得力をもって差し出す表現こそ心を打つのです。それを正面から受け取りたいです。チャップリンの説得力は最強です。主人公が法の手から逃れようとするスリルもたまらず、サスペンスとしても上出来で十分楽しめます。おばさんたちへのキザな口説きの美辞麗句も面白いですね。
10点(2004-01-24 22:00:55)(良:3票)
5.  嫌われ松子の一生
監督が中谷美紀を下手クソと罵倒してたそうですが、この監督そんなに偉かったの?と思ったのは私だけでしょうか?。「下妻物語」で少し売れたけど、世間的には彼女の方が知名度あるだろうし、CM作ってるようなギョーカイ人が自分はゲージツもできますと映画作ってるようでヤな感じです。しかし・・・これは面白いです。不覚にもここ最近では一番涙出ました。私はある程度以上涙こぼれたら、人を泣かせることだけでも凄いと思うので基本的に低い評価しません。こんなもんで泣くのかと軽蔑されても全然かまいません。たしかに一瞬のインパクトが全てのCMの連続のようだし、語り手の重複やストーリーの不満など違和感を感じることも多かったですけど、思いっきり自分の土俵で相撲をノビノビと取っているようで好印象です。ミュージカルシーンはミュージッククリップみたいでケバケバしく稚拙で悪趣味かもしれないけど、それが魅力的じゃないですか。「ムーラン・ルージュ」的悪趣味さですね。とくに刑務所でのシーンが昂揚感あって好きです。丁寧な作りこみと観客に刺激を与えることに対する熱意をこそ評価すべきと思います。おそらく本作はオヅやミゾグチやヤマナカやナルセなどといった偉大な先人の映画の延長線上にはないかもしれません。いや、映画じゃないって言う人も多いんでしょう。でも、私にとっちゃそんなのどうでもいいことです(そんなこと言えるほど「映画」とは?なんて判っちゃいないので)。最後に内容について少し。人殺してる主人公を簡単には肯定できませんが、結果的に彼女の存在により救われた人(龍やめぐみ)がいるわけで、それを外から眺めて知ってる観客の我々から見れば彼女の人生に価値がないなんて全然思えないし、波乱万丈の人生を過ごせたことだけでも十分彼女は幸せじゃないでしょうか?。若くして職を失ったとか、人殺して刑務所に入ったとかで「人生終わった」と言いますが、実際は本人全然そんなこと考えちゃいません。勝ち組や負け組みなどという言葉が流行る現在において彼女の強さは羨ましいです。私は松子の一生が嫌いどころか愛おしいです。キャプラの某作品より本作の方が素晴らしき哉人生って私は思えますね。褒めすぎかな?。
[映画館(字幕)] 9点(2006-07-10 22:51:08)(良:2票)
6.  死刑台のメロディ
高校世界史では1920年サッコ・ヴァンゼッティ事件(アナーキスト弾圧の冤罪事件)とでも習ったんでしょうか?。確かに覚えてたけどその程度だったような気が・・。でも、先生はこの映画のことは教えてくれなかったな・・・。/この映画はアラが多いです。いくらでもイチャモンつけれるでしょう。まず、やはりイタリア語に違和感あります。また、妙に暗さと深みと品があってアメリカらしくありません。いかにもやり過ぎでわかり易過ぎる台詞や場面も多いです。まあ、謎だらけらしいこの事件の映画にあまりにリアリティ求めたり、法的な突っ込みを入れ過ぎるのは野暮だと思うんですけどね。しかし、法廷場面の躍動感に心震わせはじめると、そんなのどうでもよくなりました。単純で偽善者な私はもう降参です。日本人はあまり外国人差別や人権に関しては人のこと言えませんけどね。/しかし、本作のモリコーネの音楽、ジョーン・バエズの歌は素晴らしいですね。ラストの主題歌も良いけど、被告二人の家族宛の手紙を歌詞にしたらしい劇中歌も美しく切なくて良いです。これ結構前に観たんだけど、レビュー書いてたら感動湧き上ってきて10点にしか思えないんだよなぁ・・・また勢いでつけちゃったかな、10点。/本作はアメリカでロケ妨害があってそれを避けながら撮影したらしいけど・・やっぱアメリカ人は頭にくるかな、これ観て。 追記:やっぱ勢いでつけたな・・・9点。
9点(2004-02-06 00:15:52)(良:2票)
7.  シンドラーのリスト
人類史上指折りの悪行を描くのにお涙頂戴のシーンを入れてエンタメとして描くとは何事か?という批判は無視できないと思う。不必要にハラハラさせて安っぽくて不謹慎というのもあながち間違いではないかもしれない。賞狙いの意図や技巧的な部分のあざとさを感じ取れないこともない。でも、私は学生の頃、本作を観て映画館で泣いた。シンドラーが列車に水をかける行為にすらジーンとした。そのことで今でも私は恥ずかしいとは思っていない。単純なバカと思われても結構だ。本作は監督の出自からして、己の信念とアイデンティティをかけて作った映画であるに違いない。感情的に作った映画だろう。そこに不誠実な所は感じられない。スピルバーグのカメラは登場人物目線で、まるでその場で見ているかのような、いわば現実以上の臨場感、リアリティを映し出す。本当に撮りたいものをエンタメ畑で鍛え上げられた腕で撮った彼によらなければこんな心のこもった映像作品は作れないだろう。思うに、本作を貶める一方で客観的であるかのようにみえる冷静で多角的なドキュメンタリーを過大評価すべきではない。「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いに論理的に答えるのは不可能だが、この映画は個人の尊厳を踏みにじる行為が悪であるのは間違いないと理屈抜きに観客に確信させる。虐殺や人種差別の悪逆非道を憎む当然の感情を呼び起こし、その正当性を確認する。本作が偽善ならば偽善のどこが悪いのだろう?。この映画の力の前で偽善と言うのは空しいと思う。 その衝撃と強度によって芸術は倫理を支える力があると私は信じる。
[映画館(字幕)] 10点(2008-08-27 19:21:21)(良:2票)
8.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
この映画には真に尊敬できる人生の先輩が命がけで何かを後輩に伝え残そうとする姿が描かれている。本作のウォルトとタオの関係は、もはや生ける伝説であるスターが、ひよっ子のような新人俳優に本気で何かを伝えているスクリーンの外の姿と重なって見える。それだけでも感動的だ。差別用語連発の偏屈な主人公だが、この映画を観て、彼が「理屈抜きに」尊敬すべき素晴らしい人間だということに異論を唱える人はいないはずだ。ハリー・キャラハン刑事が「理屈抜きに」強烈に強く正しくカッコイイのと同じように。人権大好きでサヨ的心情の持ち主である軟弱な自分にとっては、イーストウッドは偽善に対して鋭い何かを突きつけてくる巨大すぎる憧れの強者だ。ラストの主人公の行動は、微塵も暴力反対的なものなどではない。理屈じゃないのだ。あれほど崇高な自己犠牲であると同時にあれほど完璧な復讐でもある行為なんてあり得るだろうか?。イーストウッドは評論家などにやたら好かれているように思えるし、彼をけなす文章など自分は読んだことないが、それも仕方ない。理屈じゃ太刀打ちできないんだから(と理屈をこねている自分・・・)。自分は「ミスティック・リバー」がこれまで最高かな?(まだ観てない彼の作品多いんですけど・・・)と勝手に思っていたが本作の方が上だと思う。圧倒的に感情を揺さぶられボロ泣きだったのだから。/・・・・などと、興奮したままの勢いで、みなさんの高得点にも便乗して恥ずかしい賞賛をしてしまいましたが・・・最近映画館で泣いてばっかり。気に入った映画はパンフ買うんですけど最近買ってばっかり。どうしたんだろう?・・・・。残念だったのは休日で結構客多かったのにほとんど年輩の方(みんな泣いてた)ばかりだったこと。中高生こそこの映画を観るべきです。自分がタオくらいの年齢のときにこれを観てたら、たぶん今より少しは良い方に人生変わってたと思います。
[映画館(字幕)] 10点(2009-05-02 01:01:43)(良:2票)
9.  大いなる幻影(1937) 《ネタバレ》 
この映画は、作品世界自体が「大いなる幻影」であるという切なさが心に迫るってくるし、優しさがキャラクターに溢れていて(悪人がほとんど出てこない)、それぞれの人間関係に胸を打たれた。おそらく幻影であろう男女の再会を願ってやまない。反戦映画としても素晴らしいと思う。でも、こういう映画って評価しにくいなぁ・・褒めるしかないみたいな・・アラを探すこと自体映画そのものにツバ吐くことに思えるし・・。しかし、そういう権威としての地位を確立してるのも、その権威自体も作品の力だと思う。私は映画の完成度、歴史的意義、読んだ評論、時代背景など個人的感動とは無関係とも思える要素も、その映画の評価とは切り離せないと思ってるし、名作をありがたがる自己満足など非難してもしょうがないと思っているので、自分はそういういやらしい権威に媚びた意識が感想に影響したことをおおいに認めて10点。豪華キャストの名演技、パイオニア的映像テクニック。そういう解説本に書いてたことへの賛美も含めて10点。
10点(2003-12-05 19:14:50)(良:2票)
10.  時をかける少女(2006)
映画館で公開すぐに観たんですけど今さらレビュー。そしてアニメ初レビュー。この映画の「タイムリープ」は、それを行う者がある過去の一時点の自分と入れ替わるというもので、タイムマシンで移動した場合とちがって自らを他者?として見かけることがありません。そして意識はタイムリープ前と継続性があります。それまで居た世界は意識以外はリセットされ、新しい世界が進行するわけです(やり直しがきくこの世界で倫理は存在しないのでは?。たいしたことしない真琴はバカというより超人。)。とはいえ、脳内現象というわけではないので世界は物質的に存在し、その偶然性は支配できません。この世は思うようには行きません。まあ、こういう設定かな?・・・・と思って観ていたのですが、鑑賞後思いました。そんなSF設定なんてどうでもいい。これはいいかげんで青臭い、まさに青春映画だと。悠久の時を刻む世界の中でちっぽけな個人が行う人生の選択、個人の意思や想い。そのかけがえのなさ、大いなる可能性を本作は描いています。月並みでこっぱずかしい表現ですが、一度きりの人生における青春の一瞬の輝きの眩しさが身に染みて感じられました。それで私はOKです。
[映画館(邦画)] 8点(2008-06-17 01:53:34)(良:2票)
11.  イワン雷帝
面白い。とにかく面白い。ちっとも長いとは思わない。真の大河ドラマとはこの作品のことだ。評論家が有難がるための映画ではない。知ったかの私は映画の話になったら通でもないのに通ぶってこの映画を絶賛して人に薦めるが、それは本当にこの映画が面白くて心底その人に見てもらいたいから(余計なお世話)。印象に残る場面はたくさんあるが、例えば第一部のラスト、イワンの横顔のアップの向こうにロシアの果てしなく広大な大地が広がり、どこまでも人民の列が続いているかのように見えるあのショット。凄い。鳥肌もの。私は映像というものは基本的に自分勝手な感性でとらえているのだが、名作扱いの先入観があるにせよ、この作品には映像の力を圧倒的に感じさせられる。表現者でも評論家でもない私は技術論にはあまり興味はなく、美しさに感動しても美しいものを作る技術にそれほど思い入れはない(両者は不可分のものだろうが・・)。モンタージュ理論とかいうのも、作品が自分にとってつまらなかったり、美しくなかったりしたら知ったこっちゃない。しかし、エイゼンシュテインの技術が革新的で映画のお手本と賞賛されるのは本作が徹底的に面白く、映像が素晴らしいと感じられるからこそ、きっと技術が凄いんだろうなと納得である(他の監督の「市民ケーン」や「ゲームの規則」など技術が褒められる映画も同様)。美しさに心奪われた後に、美しいものを作る技術について知るのも奥深く楽しいことなのだろうが、作り手側の視点が不可欠と思われ、自分は腰が引ける。モンタージュ理論の中身などに踏み込んでいくのは将来の楽しみにしている。バカがばれるのでこの辺で能書きはやめよう。本作は個人的に小説「カラマーゾフの兄弟」と並んでに未完が残念で仕方ないロシアの芸術作品。プロコフィエフの音楽(「アレクサンドル・ネフスキー」も良いし、喜劇オペラ「三つのオレンジへの恋」も好き)がバリバリ使われてるのも個人的に嬉しい。ちなみにイワン死後の動乱時代を描いてるのがムソルグスキーのオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」(有名なオペラ映画がある。また知ったかぶり・・・)。
10点(2004-02-23 21:59:05)(良:1票)
12.  ダンサー・イン・ザ・ダーク
暗すぎる。あざとい。ビョークが美人じゃない・・などなど様々な不満の声(私の知人の意見。ミュージカル嫌いという人多数)。そのとおりでしょう。内容的に賛否別れ、おそらく否が多い作品かもしれません。カンヌでパルムドールを獲り、褒めないといけないという圧力に逆に反発したくなるような作品でもあります。しかし、万人受けの娯楽作でない重苦しい内容で、この驚くほどのレビュー数は無視できないのではないでしょうか?。あんなに実験的で挑発的で悪趣味で悪意に満ちた変態的作品なのに・・・。まぎれもなく既に映画の歴史に残ってしまっている作品じゃないでしょうか?。我らの時代の傑作の一つであり、リアルタイムで観たことを将来誇れる映画じゃないかとさえ私は思ってます(おおげさ?)。「正しい」映画の観方じゃないかもしれませんが、本作に関しては、ドグマ95がどうの、撮影がどうの、アメリカがどうのといったことは鑑賞後何年も経った今でさえ私にとってはどうでもいいことです。映画館、ただ真っ黒の画面、静寂の中に闇の底から流れてくる旋律、妙に不安な幕開け。その後の体験は唯一無二の激しくも神秘的と言っていいようなものでした。別の世界から響いてくる叫びのようなビョークの歌声。めくるめく鮮烈な脳内妄想ミュージカルシーンの開放的でありながら危うげな現実逃避。時を忘れました。映画館であんなにとめどなく涙が流れたことはありませんでした。どれだけ現実世界に拒絶されようが、あえて生きていく意味が人生にはある。そう感じました。この映画は強烈に人の心をかき乱すからこそ嫌われるんだと思います。勝手な思い込みの勘違いな自己陶酔と言われても全然かまいません。私はこの映画を陳腐だと評価することはとてもできません。
[映画館(字幕)] 10点(2003-11-29 19:38:26)(良:1票)
13.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 
ブラボー。パーフェクト。いまさらいろいろほめてもしょうがない大傑作ですがほめずにいられない。よく言われることですが、恐るべき脚本なんでしょうね。陪審制に関してですが、疑わしきは罰せずの原則や少数者保護の精神、証拠事実を大切にして議論を尽くし筋を通す姿勢などが不可欠の前提ですよね。そういうたてまえが十分に確保されていたら、ムカつく純粋培養エリート裁判官一人よりもそこらへんの十二人で判断する方がいい。私は陪審制賛成ですが、そういうたてまえが確保されそうにない今の日本で採用するにはプラスアルファがいろいろ必要だと思います。この事件の真相はまさに神のみぞ知るですが、神が有罪と知っていたとしても、陪審員が無罪としたのならこの少年は無罪なんですよね。だって人間の知恵では無罪としか考えられないんですから。長々と映画レビューで偉そうに自己満足で陪審制について書いてしまった。たまにはこんなのもいいことにしてください。
[ビデオ(字幕)] 10点(2003-11-30 21:47:17)(良:1票)
14.  大人は判ってくれない
私はマニアではありませんが、好きだ~という思い込みだけでトリュフォーファンを勝手に自称しております(一応全作品観ている数少ない監督の1人)。彼の作品に愛着を持ち、自分の中で大切にしているような多くの方々からお前なんぞにトリュフォーを語ってもらいたくねえよ・・と言われそうな気がして怖いですが(自意識過剰の被害妄想)、やっぱり好きなので勇気を出してこれから気まぐれにぼちぼちレビューしていきたいと思います。さて、私が最初に観たトリュフォー作品が本作ですが、学生時代の初見では正直退屈でした。ただ、ラストシーンはとても美しく感じられ印象的でした。正しいファンはドワネル君に自らを重ね、少年の心が痛いくらい判るのでしょうが、私は日本で恵まれて育ちましたし、家族の愛らしきものにも不自由してない良い子ちゃんだったのであまり判りません。判る気はするけどきっと判ってないでしょうし、判ると言うのは恥ずかしい。いまだに大人じゃないガキなんだけど・・。あの境遇を他人事と思えない人にとっては本作は凄まじいくらいに痛切なのでは?と想像することしかできません。私は、邪道かもしれませんが、「ドワネルもの」の一部として、そしてトリュフォーの人生の一部として本作を評価したいと思います。たしかに映画は純粋にそれぞれ一つの作品として評価すべきかもしれませんが、いったん彼の作品を通して鑑賞し、彼の人生についての知識を解説本などで多少なりともかじれば、彼という人間と作品を切り離して考えることは不可能になります。いわば魂の全力投球とでもいうような彼の人生が乗り移った映画たちは、所詮他人事ですが人間臭さやリアリティが半端じゃありません。「ドワネルもの」を全て見た後に本作のあの海岸シーンを想像すれば胸が締めつけられるような感慨を覚えること必至です。本作は作品単体としては好みじゃありません。トリュフォー他作品の偏執的な狂おしいほどの異形の愛、醜く恥ずかしい自己愛(そして脚フェチ)などといったモチーフには自分を思いっきり重ねられるんですが・・・このレビューで私の恥ずかしい思い入れだけは伝わったでしょうか?。
[映画館(字幕)] 7点(2008-06-12 02:16:54)(良:1票)
15.  さらば青春の光
ロックは聴かないし、映画の時代背景も知らないし、モッズって何?っていう自分なので、前半はなんてつまらん映画だろうと退屈して見てましたが、後半はせつなかったし、やるせなかったです。主人公のダメダメぶりが自分に重なってしまい結構つらかったです・・・・。
6点(2003-11-26 22:48:22)(良:1票)
16.  ゲームの規則
「恐ろしいのは、人間誰しも言い分があるってことなんだ。」というのはここのレビューに当てはまる名言ですね。この世界映画史上の傑作と太鼓判を押されている本作を私ごときが拙いレビューすること自体恥ずかしいのですが、素人のたわいのない感想をお許しください。レビューのラインナップに箔をつけるゲスな意図がなきにしもあらずということを正直に告白します。しかし、いや、もう、圧倒されるばかりですね。これは。豊かな、あまりにも豊かな表現とでも言うんでしょうか。ゴダールは第二次大戦の予見で一つの時代の終わりだと批評したそうですが、哲学的に「祝祭(カーニバル)」とかうんちくたれることもできそうだし、現代社会へ引き付けての批評などいろんな語り口を許しそうで、とても一筋縄ではいきません。こう書くとスノッブな感じですが、評論家のものにしておくのが勿体無い面白さです。全く小難しくないハチャメチャなストーリーの裏に広大な世界が広がっているように見えるのです。観ている間はただ喜怒哀楽の波に飲まれるばかりですが、鑑賞後の余韻がこんなに豊かな作品てやっぱないですよ。元ネタの一つ「フィガロの結婚」と原作同じなあのオペラの神懸り的音楽から感じられる人間の優しさや人生の哀しさと似たようなものをこの映画の画面から感じるというのは大げさでしょうか?。ああ・・また作品の権威を笠に着た大絶賛をしてしまった。それにしても熊の着ぐるみ可愛くてしょうがないなぁ・・。
10点(2004-02-06 23:22:39)(良:1票)
17.  ボビー・フィッシャーを探して
将棋の羽生さん(この人はチェスも日本トップレベルと言っていい腕前らしい。)が入管法違反の疑いで日本で拘束されたボビー・フィッシャーさん(たしか今では無事アイスランド国籍を取得したと思いますが・・・違ってたら誰か指摘してください。すいません。)を救おうと小泉にあてた嘆願メール、「フィッシャーさんはチェス界のモーツァルトのような存在で、残した棋譜は100年後も色あせることなく存在する。可能ならば日本国籍を差し上げてチェスに打ち込める環境を提供することができないでしょうか?」・・・ということらしいです(以前ネットで見かけてコピーしていた文章を引用。新聞記事か何か。)。いくら才能があってもプロで通用するには人生を賭けたようなトレーニング(それも質の高い)に費やす時間や労力の膨大な絶対量が必要とされ、逆にいくらトレーニングしても才能がなければ通用しないのに自分の才能の限界も判らないまま少年時代に飛び込んでいかないといけないシビアな世界を本作は描いています。考えてみると、どんな世界も同様なところがあり、この映画は人間社会の一面をピュアな形で浮き彫りにしているのではないでしょうか?。芽が出ず無名のまま年を取ってチェス道場のようなところで世間から取り残されたようにチェスを指す人たちが登場しますが、あの姿を見れば映画後半の「もっと肩の力を抜いて」みたいな人間性回復のメッセージはちょっと説得力に欠けるような気さえします。温かい映画というよりも、かなり厳しく切なく痛い映画だと思ってしまいます。主人公と父親の姿は「お受験」やスポーツの特訓をしている当事者にとっては他人事とは思えないのでは?・・・。私は将棋の魅力がほんのちょっとは判るような気がする(気がするだけ)のですが、この映画はチェスの棋譜が判らなくてもチェスの魅力が判るような(気がする)雰囲気を映像上に醸し出しているようで好印象です。そうした魅力を多少なりとも表現しないとなぜあんなに人がチェスに没頭するのかが伝わらないですからね。本作は映像が全体的になんだか朝の陽光に包まれたように(照明あてすぎ?)明るくキレイで爽やかでいい感じです。
[DVD(字幕)] 8点(2006-07-10 22:56:39)(良:1票)
18.  素晴らしき放浪者
「黄金の馬車」や「ゲームの規則」などのように、うわぁ、おもしれ~と拍手してしまうような作品ではないと思います(そりゃ人それぞれでしょうが)。正直ドラマの盛り上がりには欠けると思うし、感動的な話でもないですし・・。喜劇ですが娯楽性がこの作品の真髄だとは思いません。私個人は笑えません(ど~せ笑いのセンスがないですよ。)。笑うどころか不快でした。既成の常識的価値観を揺るがす型破りに自由な人間の生き様を見せつけられるんですが、浮浪者を羨ましいとは思いませんから(強がりかも・・)、家の中を散らかすブーデュの振る舞いにコノヤロ~とひたすら腹が立ちました。自由すぎます。本屋の親父もブルジョワとはいえ、書生の名を「青春」と呼んで本をプレゼントしたり、不倫してたり、望遠鏡から一目でブーデュの「素晴らしさ」を見抜いたりと、なかなか洒落たおっさんなのですが、ブーデュとはサリエリとモーツァルトの違いがあります。この不快さは現実のしがらみにがんじがらめになってる私のルサンチマンから来るのでしょう。ブーデュみたいな奴実際にはなかなかお目にかかれないでしょう。存在しないかもしれない。でも、とても生々しく心を揺さぶられました。リアルです。本作は楽しむ作品というよりも心に突き刺さる芸術作品と呼ぶにふさわしい映画だと思います。河のシーンは言うに及ばず、さりげなくも艶やかな映像は素人目にも芸術的です。それにしてもラスト。それまで不快ですらあったのに結局幸福感を味わえました。自由人への憧れを描いても、現実の小市民が愚かとは言ってません。
10点(2004-03-03 22:24:27)(良:1票)
19.  フィツカラルド 《ネタバレ》 
やっぱ点数低いですね。西洋至上主義的な傲慢さやオペラの高尚ぶった貴族趣味も鼻につくし、無意味な徒労というオチには脱力する人もいるでしょう(わざとそういう風に描いてますけどね)。音楽が流れる以上、オペラ嫌いだったら内容以前に拒否反応があるかもしれません。でも、やっぱり私は好きです。これは空前絶後の無茶苦茶なバカをやって、とんでもないバカを描いた映画です。こんな映画を撮ること自体が凄まじいバカで、この迫真のバカさ加減はちょっと真似できないでしょう。たしかにヘルツォークやキンスキーは病院行った方がいいかもしれません。他ではなかなか味わえないこのバカさ加減に私は感動しました。しかし、あのバカは笑えません。とても哀しい。資金繰りの情けなさも含めて夢見る主人公のマヌケな姿の哀れさがなんか痛くないですか?。最後船上のオペラで笑みを浮かべる主人公がとても笑える状況にないってことが怖くないですか?。人の迷惑考えず食堂でオペラのレコード流す主人公のように好きな映画を人に薦めたことないですか?。主人公の気持ちに共感してしまったらそれこそアブナイ人ですが、他人事とも思えません。ピーター・ジャクソン「乙女の祈り」でも感じましたが、甘いテノールの歌声は狂気や幻想によく似合います。船が登る時の「ボエーム」、着水時の「リゴレット」、急流での「ランメルモールのルチア」、そしてラストの「清教徒」。船の進行とともに流れる歌は不思議にマッチして美しかったと思います。オペラファン(カルーソーの輸入盤揃えてるようなマニアじゃないですけどね、CD持ってるけど)だから冷静に観れません。イヤらしい自己満足もあるのでしょうけど、やっぱ10点。
10点(2004-02-24 22:10:24)(良:1票)
20.  それでもボクはやってない
日本の刑事司法制度には代用監獄(最近では代用刑事施設って言うそうですが)というのがあり、自白の強要などが行われ易く、取調べの可視化が必要だと外国からも注文つけられています。それから判検交流といって、裁判所と検察には人事交流があり、そのことに多くの批判があります。また、裁判官の数が少なすぎて裁判官一人が抱える負担が大きすぎるということが問題とされています(映画の中で判事が居眠りしてましたが、私も実際に傍聴で何度もあんな光景見たことあります。)。そして、起訴された場合無罪になるのは奇跡的であり、ほとんど検察が被疑者を裁いているに等しいという現状があります。かように日本は司法制度全般に他の先進国と比べ特異な歪みがあります。そうした状況が何十年も変わらず続いているわけです。・・・・以上のようなことを大学で法学を勉強すると教わります。たぶん世の中の学生は皆こうしたことを知り、腹を立てると思うのです。しかし、俺がこんなことに腹立てても仕方ないし、俺なんかには何もできるわけないし・・・と思ってそこで終わりです。みんなおかしいと思ってるのになぜか何も変わりません。本作はその挫折して行き場のない青臭い憤りをそのまま映画にしたような作品です。その憤りをみんなに共有してもらおうとした作品です。そうすることにより本気でクソ真面目に諦めの先に突き抜けようとした努力と熱意の表れです。昔のサヨの学生運動の気取った勘違いの「正義」ではなく、漱石の唱える素朴な「道理」の実現を目指しているような愚直な映画です。映像や技術にいちゃもんつけるのは野暮に思えるような真っ直ぐな映画です(それがイヤな人も多いんでしょうけど・・・)。これには偽善者の私は心から拍手とエールを送らざるを得ません。この直球はど真ん中ストライクです。まあ、私の場合は自己満足の正義感に酔っているのかもしれませんけど・・・・。
[映画館(邦画)] 9点(2009-04-07 00:45:08)(良:1票)

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