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プロフィール
コメント数 180
性別 男性
自己紹介 「刑事コロンボ」旧作全作品批評終了。
「チャップリン長編映画(一時間を越える本人登場作品のみ)」全作品批評終了。
「名探偵コナン」映画……15作品のうち14作品終了。
「黒沢映画」……まだまだ

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評価順12
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1.  街の灯(1931) 《ネタバレ》 
この映画の主題はなんだろうか。はっきりとはわからないが、一つには人間の二面性を描きたかったのだと思う。例えばあの酔っぱらい紳士。酔っているときはチャーリーを恩人だと思い(実際恩人なのだが)金でもなんでも惜しまないくせに、シラフになると途端にチャーリーを忘れて追い出してしまう。そしてもちろん最後の場面、自分を助けてくれた親切なお金持ちが実は目の前の見すぼらしい小男だとわかって、ヒロインは「あなたなの……?」とつぶやく。いろいろ解釈が分かれる場面であるが、男の格好など一切かまわず抱きついて涙してもいいぐらいの場面であることを考えると、やはりヒロインはチャーリーに対して冷めてしまったのだと私は思う。結局はシラフになった紳士と同じなのである。チャーリーは人間の残酷さを知っている。だから正体を知られずに立ち去ろうとしたのだが、映画は二人を再会させる。 だから私はこの映画を悲劇であると見る。冒頭の演説の場面、ボクシングの場面など笑える場面が満載でありながらその笑いの中に人間の持つ歪んだ一面を描いたものであると見る。チャーリーの無償とも思える愛情と比べてその対比が余りにも見事なので、この映画は今後さらに年月が経過しても古くならないだろう。
[地上波(字幕)] 10点(2008-08-22 06:09:00)(良:4票)
2.  どですかでん 《ネタバレ》 
原作未見。期待して見始めたが、開始の音楽がなんか予想外に軽いし、いきなり「ナンミョーホーレンゲーキョー」ではじまってかなり泡食った。どうでもいいような話がいくつも続くし、初のカラー作品だからとは言うものの、あの赤と黄色の対比はどうもしっくり来なかった。貧乏って、もっとくすんだ色だろうに。正直、前半で一時鑑賞を中断した。 が、思いなおして見てみると、不思議に一つ一つの話にぐいぐい引きずり込まれるのだ。あえて言えば本作の主題は「人間の愚かさ」である。どれもこれも救いようがない話だし、機知に富んだ話もあることはあるが(劇薬を飲む話)、結局のところ語られるのは人間の愚かさであり無力さである。こうなった原因はなんだろう。貧乏か。社会か。差別か。いや、何が原因であれ、この愚かさもまた人間の本質なのだ。 ここには「生きる」や「赤ひげ」のような美しく感動的で力強い結末など存在しない。誰かがちょっと手を貸してやれば助かるような子供ですら実にあっけなく死んでしまう。妻が改心して戻った話も、夫が一つでも言葉をかけてやれれば妻は救われるのにそれができない。哀れである。その哀れな中に美しいものが見える瞬間がないでもない。例えばかつ子が酒屋の配達をする男との別れ際に「ごめんなさい」とつぶやくセリフ。この相手に全く届かない(すでに自転車で去ってしまっているから)セリフが、はかなくも美しい。悪妻を非難された男が憤る場面もそうだし、他人の子供だとわかっているのに「みんな父ちゃんの子供だ」とにこやかに宣言する父親の姿も美しい。が、よく考えるとこの美しささえ、愚かさと同居している。 話としてまとまっていないとは私は思わなかった。むしろ人間の醜悪さを描く上で、この形式は逆に効果的ではないだろうか。醜悪なまたは弱々しい人間が醜悪な事件を重ね、そしてどの話も救いらしい救いがないまま物語は進行する。母の信心にもかかわらず毎日毎日何も変わらず走り続ける六ちゃんの電車のように。 あと一つ気になったのは根岸明美の長ゼリフの場面、役者の動きといいセリフといいカメラの動きといい、映画よりも舞台くさく、しかも素人くさかった。 さらに死んでしまう子供はかわいいけどセリフが……。どうしてもしゃべらなければならない場面以外は、ただうなずくだけでもよかった気がする。
[DVD(邦画)] 10点(2008-08-13 08:46:49)(良:3票)
3.  ハウルの動く城 《ネタバレ》 
とにかくわけがわからない映画。声優がどうこうよりも、あまりにもいろいろな場面で「?」になるので、ついていけない。説明不足につきる。この映画が公開されたときに「わけわからん」という批評に対して「自分の理解力不足を映画のせいにするな」という反論があったのだが、最近では「ストーリーは重視しない映画」とか「ストーリーを気にする向きにはおすすめしません」なんていう意見が聞かれるようになった。しかしそれはいくらなんでもひどい言いぐさだ。ストーリーがなくていいのなら、音楽や映像だけ流していればいいじゃないか。映像が美しい、音楽がいい、それ「だけ」で満点がつくのなら、もはや映画にシナリオはいらない。というか映画である必要すらない。こんな意見がまかり通るようになったのがもしかしてここ最近の宮崎作品を弁護するためだとすると、まことに罪深い作品だと思う。
[DVD(邦画)] 0点(2008-07-27 04:45:21)(笑:1票) (良:1票)
4.  シン・ウルトラマン
どういうわけか、私の目にはウルトラマン(かっこよかった)と怪獣(なぜ変な当て字…?)と、それにたくさんの大根しか見えなかった。よくしゃべる大根だな、と思って見ていた。一緒に見ていた子供が映画開始から15分ほど経って「お父さんが日本の映画好きじゃないって言ってた理由がよくわかった」と言った。二人して笑いあった。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-11-19 12:24:53)(良:2票)
5.  刑事コロンボ/白鳥の歌<TVM> 《ネタバレ》 
「悪人じゃない」ってコロンボは言ってるけど、ちとおかしい。だって二人も殺してるんですよ。しかも奥さんを殺害する動機はまだしも、若い女性を殺害する動機はちょっといただけない。身勝手でしかないじゃないか。それにコロンボにしても「なぜ妻殺しのために『関係ないはずの』女性まで巻き込んだのか」という疑問は当然出てこないとおかしい。そして「死んだ妻は夫の弱みを握っていた」「一週間前から若い女性歌手の交代を命じていた」という情報が加わわれば、実は若い女性は「関係ない」わけではなく、犯人は最初から「妻と若い女性」の二人とも殺そうとたくらんでいたことがコロンボなら推理できるだろうし、さらに「妻が握っていた夫の弱み」の内容もたやすく想像できると思うんだけど。 それともしパラシュートを使ったと確信してたなら、実際に山岳警備隊に捜査させてもよかったんじゃなかろうか。遠くに捨ててしまった魔法瓶はともかく、パラシュートは骨折した犯人が墜落現場近くまでやってきている以上、そう遠くには隠していないはずだと推理できる。しらみ潰しにやればそのうち見つかりそうな気もする。 ラストは別のある作品とパターンが同じなんだけど、空港の部分でしっかり謎をかけてあるために「今のはなんなんだろう」という疑問が持続するため、そんなに物足りなくない。 それにしても「軍隊では何やってたんです」と質問して「パラシュートの整備だ」という答えを聞いた直後のコロンボの「なるほど、それか……」と辻褄があった表情をするのが実にうまい。演技力に感心してしまう。
[DVD(吹替)] 6点(2009-05-10 04:49:18)(良:2票)
6.  刑事コロンボ/黄金のバックル<TVM> 《ネタバレ》 
本作はトリックとしての面白さに欠けるし地味なので凡作と評価されているようだが、この寒けがするような恐ろしい雰囲気は他のどのコロンボ作品にもないもので、一種特別な作品だと思う(強いて言えば「黒のエチュード」が多少似ている)。その原因となっているのが舞台となったこの古めかしい美術館の雰囲気であり、さらにはこの事件のずっと以前に起きたもう一つの殺人事件である。特に後者はコロンボによってその真相が解明されて行くことで犯人の心の闇が浮かびあがるような仕組みになっている。最後の場面、ジェニーに向かって「私がパパを殺したというのは嘘ですよ」と言い、コロンボに「嘘をついたんでしょう?」と犯人が詰め寄るのはほとんど脅迫のような懇願であり、絶対にジェニーにだけは真相を知られたくないという犯人の悲痛な叫びともとれる。だがこのセリフは単純ではない。なぜならジェニーを陥れたのはそもそも犯人にほかならないのであり、解釈が難しい。逮捕は免れないと思った犯人がこのときだけはジェニーを思いやってそう言ったのだと仮定しておこう。ポアロと違ってとことん筋を通すコロンボが常にも似ず「おっしゃる通り、嘘ですよ」と嘘をつくのは、あるいは犯人のその気持ちを汲んだようにもとれる。「コロンボさん、手をとって下さる?」というのは恐らくは犯人の感謝の気持ちであると同時に「どこへ行くにも殿方のエスコートが必要だ」という姉の言葉が下敷きになっている。全編に流れる音楽も雰囲気にぴったりだ。ああそれからもう一つだけ、この話は邦題より原題(「古めかしい殺人」)の方がいい。
[地上波(吹替)] 7点(2009-06-18 05:02:51)(良:2票)
7.  天空の城ラピュタ
平凡。ど~ってことないアニメ。普通のテレビアニメを見る延長線上で行けてしまう。見終わっても何にも残らない。人間の心にまるで迫れていない。というか、お人形さんみたいにつくられたキャラクターばかりだ。とはいうものの最近の作品(ハウル・千と千尋など)ほど酷くはないのでもう少し点数は高くてもいいのだが、ここでの平均点の高さにたまげるのでこの点数。
[地上波(邦画)] 2点(2008-08-22 06:26:21)(笑:1票) (良:1票)
8.  火垂るの墓(1988) 《ネタバレ》 
これもジブリ作品ってことになるのかな? だったら宮崎アニメを全然評価しない私にとってはジブリ最高傑作ということになる(全部見たわけじゃありませんが)。戦争の悲劇を描いた良質の作品だと思うのだが、私にとって非常に興味深い(というか驚いた)のは、この作品を嫌悪する人が大変多いということである。その多くが「主人公の行動が解せない(許せない)。結局自業自得ではないか」というものだが、少なくとも戦争が起きたことについては主人公少年に責任があるわけでは全くなく、仮に主人公少年の行動が「悪」だったとしても、戦争という「巨悪」に比べればそんなものは無視していいぐらいの「小小小……悪」にすぎないわけで、当然この映画は「戦時下でうまく立ち回れなかった主人公少年の行動の愚かさ」より「戦争という超大悪が生み出すある一つの悲劇」を描きたかったものであると私は解釈している。それを「主人公少年が愚かだから腹が立つ」というのは、例えば世の中が間違った悲劇的な方向に向っていく真っ最中に「よりとるに足らない小さな小さな出来事」の方に腹を立ててしまって一番怒るべきことに怒りを発することができない姿でしかない。そうか、もしかするとこの主人公少年の行動は「観るものを試す」リトマス試験紙なのかもしれない。
[地上波(邦画)] 8点(2011-10-28 02:43:51)(良:2票)
9.  市民ケーン
非常に評価が高い本作だが、正直古すぎるし長すぎるし地味すぎる。黒澤の「生きる」が全然古さを感じさせないのと好対照。ラストシーンは確かに訴えるものがあったが……。 それと邦題。確かに「シチズン」は市民なのだが「市民」という言葉は少なくとも日本語ではこんな使い方(「課長・島耕作」のような使い方)はしないはずだ。さらに「しみんケーン」(「み」にアクセント)と発音されるとますます違和感が増す。「一市民・ケーン」とするべきである。
[ビデオ(字幕)] 4点(2008-08-22 05:29:45)(良:2票)
10.  モダン・タイムス 《ネタバレ》 
人間には二種類ある。どん底を経験すると人間性まで落ちてしまう人間と、かえって人間的に成長し温かみや豊かさを増す人間である。チャップリンのすばらしいところはどんなに深刻な内容でもそれを見事な喜劇にして表現できることにある。この主題だっていくらでも深刻な劇にしようと思えばできるのに反対に最高に笑わせる映画になっている。何もかも失って「死にたい」というヒロインに「死ぬなんて言わないで」というラストの暖かさはどうだろう。決して希望を捨ててはならぬ……チャップリンが言いたかったのは文明風刺よりもむしろこちらの方だろう。人生で繰り返し鑑賞したい映画の一本である。
[DVD(字幕)] 8点(2011-10-13 11:45:27)(良:2票)
11.  シュレック 《ネタバレ》 
オープニングが汚すぎる(笑)。発想はいいけどここまで汚くしなくても……。評価する人もいるし評価しない人もいる吹き替え、私の評価ではドンキーは十分合格だがシュレックはまるでだめ。関西弁がどうこうではなくもっと野太い声で粗野な感じじゃないとあわないだろう。終始かすれ気味の声質で、まるでカセットテープに録音したヒスノイズがひどい音楽を聞いてるみたいな気になる。お話はそこそこ面白いが、単なるパロディってだけでそれ以上の心に訴えかけるところに欠ける。それと「本当の姿」が化け物ってのはおかしいじゃないか。生まれたときは人間だったんだろうから。「ふさわしい姿」の間違いなんじゃない?
[DVD(吹替)] 4点(2009-03-17 06:36:49)(良:1票)
12.  七人の侍
「生きる」と並び称される黒沢作品だが、個人的には「生きる」の方に断然軍配を上げたい。率直にいってこの作品は私には長すぎて中だるみしてしまう。もちろんつまらないわけではないが、世間での評価に今一つ納得できないでいる……。というわけで映画の方にあまり感動できなかったのだが、何かの本でみかけたこの映画の志村喬の写真に私は大変驚いた。「生きる」の志村しか知らなかったので、この映画で侍大将を演じていると知って「あの地味な印象(生きるの主人公)しかない役者が侍大将?」という違和感を(映画を見る前は)感じていた。ところが写真の志村を見て私はうならされた。風格があって堂々たる侍の姿がそこにある。たった一枚の写真でなるほど侍だと思わせるこの姿、いやはやこの役者は凄いなぁと感服させられた。
[インターネット(字幕)] 8点(2016-10-22 16:10:19)(良:1票)
13.  映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 はばたけ 天使たち 《ネタバレ》 
ドラえもん自体は子供のときから漫画やテレビでいくらでも見てきたけど、新ドラはまるで見る機会がなかった。子供が見るので自分も一緒に見るようになったのは昨年ぐらいからか。最初は違和感があったけど、慣れたらむしろ昔の声優陣より今の方がしっくりくるようになった(しずちゃんだけは、昔の声の方がかわいいです……)。  当然旧作・新作含めてドラ映画は全く見たことがなかったので、これが自分の人生初めてのドラ映画となった。もちろんリメイクだなんてことも知らず、20年ぐらい前の旧作オリジナルも知らず、原作も知らず、子供と一緒に何の気なしに見ただけなんだけど……  面白いじゃんこれ。ぐいぐい引き込まれる。オチがちょっと無理矢理というか「この手を使えばどんなピンチもほぼ切り抜けられる」的な、考え方によっては極悪非道(笑)なオチなのでアレだったけど、別れの場面はとっても感動的だったし、かなり見直しました。でも評価みたら「ドラ映画最高傑作」とあるので、ああそうかなるほどねぇいつもこんなに質が高いわけではないのかななどと思ったり。  来年は、子供と一緒に映画館に行こっと!   追記:オリジナルが存在することを知ったので気になって見てみましたが、映像や音声に格段の違いがあって、リメイクを先に見ちゃうとオリジナルは……なんというかその……気の抜けたビールみたいな……。戦闘場面の迫力など余りにも違いすぎる。20年も前なんだから仕方ないけど、映像以上に音楽がオリジナルは明るすぎ軽すぎ。キャラクター追加も大成功しているし、そのためにリルルの変心が自然に描かれているところもうまいし、リメイクの方に軍配を上げます。ただ最後は旧作も十分感動的だった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-12-04 02:01:11)(良:1票)
14.  チャップリンの独裁者 《ネタバレ》 
チャップリンはヒトラーと同年同月生まれで(4日しか誕生日が違わない)身長までほぼ同じだったという。本人に扮するというアイディアはそこから出てきたのかどうか知らないが、床屋との一人二役というアイディアは秀逸である。さすがにチャップリンだから笑わせる場面が多くて、いきなり敵陣に一人で侵入してしまう場面、飛行機で水を飲むシーン、デタラメなドイツ語の演説(笑)、ハンガリー舞曲第五番などなど思い返すだけでも笑える。かなり肥満した部下やこれまたお調子もののムッソリーニ(ナパローニ)と合わせてコントばかりなのだが、冷酷な部下(ゲッベルスがモデルだろう)の存在がうまく引き締めている。 が、もちろん本作は単なるコメディではなく、いささかその後の展開を考えると物語的には破綻していると思われる最後の演説が核心となる。どうしてもチャップリンはああいいたかったのだ。全世界に向かって。そして母に向かって(ハンナはチャップリンの母の名前である)。そのメッセージは極めて率直でわかりやすいので、それをどう受け取るかは、あえて論評する必要はないだろう。……ただ、チャップリン亡き後数十年経過した2010年現在いまだ世界は悲惨である。インドや中国など内面に大きな問題を抱えた国が勃興しているのはよいことでは全くない。なぜならどこかで決着をつけねばならず、その決着には流血も予想されるからだ。またルワンダ虐殺をみてもいかに我々が白人中心の人種差別から逃れられないかがよくわかる。安っぽいヒューマニズムで満足することは、もはや我々には不可能なのだ。誤解のないように書いておくと、私はチャップリンが安っぽいと言っているのではない。それを我々が安っぽく解釈してはならぬと言いたいのだ。なおチャップリンは「もしナチスの実態を知っていれば、こんな作品は作らなかった」と言っているそうだが、それを差し引いてもこれをつくった勇気はやはり称賛に値すると思う。この作品以降、チャップリンはアメリカ追放までアメリカの一部の勢力ににらまれ続けることになる。追加:上記投稿からなんと12年が経過した(ここも長寿ですねほんと)。そして「2022年現在いまだ世界は悲惨である」と付け加えなければならない。露宇戦争(勝手に命名した)は戦火の止む気配がなく原発までもが攻撃の対象となる危険も出てきた。世界は二分され、10年前に「問題を抱えた国」と指摘したインドや中国はロシア側につき、このまま第三次世界大戦に突入するという意見すらある。国内もコロナで疲弊し、ロシア制裁からくる影響を受けじり貧となっている最中に元総理が凶弾に倒れ、その後で政治とカルトとのありえない関係が明るみとなり、移民が増え格差が広がり凶悪犯罪が増えつつある。日本は、世界は本当にどうなるのだろうか(2022年9月10日)。
[DVD(字幕)] 9点(2010-07-15 08:00:03)(良:1票)
15.  ライムライト 《ネタバレ》 
全編を流れるのは老いがもたらす悲哀である。かつてどんなに勢力を誇っても、老いからくる衰えはどうしようもない。必死で過去の栄光を取り戻そうとする主人公の芸人がチャップリン本人と重なって見えるのも自然なことだと思う。 が、考えてみると不思議だ。普通の老人ならともかく、チャップリンは世界の喜劇王ではないか。確かにアメリカを追放されるなど困難な時もあったが、それで没落して死んだわけではなし、金銭的にも名声も人からうらやましがられることはあっても、他人をうらやむ必要はない。悲嘆にくれる必要はないのだ。それにカルベロは年の若いヒロインとの結婚を最後まで拒絶して死んでいくが、チャップリン本人は何度も結婚・離婚を繰り返し、最後の妻は30歳ほども年下であった。だから同じ芸人でもカルベロはチャップリンとは似ても似つかないとすら言えるのである。 これはひょっとすると「仮定」なのかもしれない。現実のチャップリンは大成功をおさめ、世界の喜劇王となった。だがもし芸人として名前がそこそこ売れても、それだけだったとしたら……?  成功した途端周囲を見下し馬鹿にする人間がいる一方で、どんなに出世しても苦しく貧しかったときのことを忘れないという人もいる。現実のチャップリンと劇中のカルベロは正反対の境遇にあるが、チャップリンが重なって見えるのはチャップリンがもちろん後者に属していたからだろう。 本作でもっとも感動的な場面はヒロインが歩けるようになる場面である。もうとっくに怪我自体は治っているが、ヒロインには歩くだけの勇気がない。カルベロがいかに励まそうと心を閉ざしてしまっている。だが、あるときカルベロが珍しく失意のどん底に落ち、ヒロインは彼を何とか励まそうとする。いつもの役割が逆になるわけだ。そして心から相手を励まそうとしたときに、自分でも思いもしない力がわき出て、ふと気がつかないうちに歩けるようになる。もっとも力強い勇気は他人を思いやることによって生まれるものなのだと教えているのである。「I'm walking!!!!」の絶叫とともにこの場面は忘れられない。
[地上波(字幕)] 10点(2008-08-24 14:49:18)(良:1票)
16.  刑事コロンボ/愛情の計算<TVM> 《ネタバレ》 
ラストの逮捕劇のあまりのお粗末さにコロンボシリーズ(もちろん旧作)の中での最低作品として2点を献上する。いくら犯人を逮捕するためだとは言え、完全なでっち上げで息子を逮捕するなんて無茶すぎる。コロンボの逮捕劇はかなりキワドイものが多いが、それが犯人に向けられているのならともかく関係のない息子と被害者の妻が愛人関係にあったなどというでっち上げはまことにいただけない。裁判やったら負けるどころの話じゃないと思う。大体あんなでっち上げで犯人が音を上げる必然性がないではないか。だからせめて「本当は愛人関係ではないけど、そう思われても仕方がない状況があった(モテルには行ってないけど、モテルの近くで密会していたとか、一度だけ息子が奥さんにキスしようとしたところを誰かに見られていた、など)」ぐらいの設定がほしかった。それまでが非常にいい出来だっただけに残念。それにラストの音楽は「野望の果て」などのラストの音楽と同じだけれども、この作品のラストの場面には全然合ってない。
[DVD(吹替)] 2点(2009-04-20 16:49:21)(良:1票)
17.  刑事コロンボ/策謀の結末<TVM> 《ネタバレ》 
感心してしまうのは犯人の大物ぶりである。「彼との友情が芽生えているようね」とオコンネル夫人から揶揄されるほどコロンボと打ち解け合う犯人なんて、そうそういない。念願だった武器密輸の計画がそれも成功寸前でコロンボに見破られてしまったのに怒りも取り乱しもしないのは大したものだ。もっとも刑務所に入るなんてこの男にとってはなんでもないことだろうし、逮捕されて信念が変わるわけでもない。結局「ちっ。次はうまくやってやるさ」程度のものだったのかもしれないけど。それにしてもコロンボの執念なくしては完全解決しなかったわけで、たまたまコインが残っていた幸運(んなことあるわけねーよ、と思った)も味方した。でもこれ、物凄いニュースになる事件だよねほんと。アメリカを代表する企業や有名な詩人がアイルランド紛争に加担していたというのだから……。それと本作はいかなるわけか小池朝雄の吹き替えが残っていないそうで、ファンにとったら残念無念である。私はこの作品を放映当時カセットテープに録音して数十回は聴いたはずなので、いまだにセリフがはっきりと思い出せるのだが残念ながらテープは行方不明になってしまった。民間で私のように録音した人がいるのではなかろうか? 何とか完全版が出てほしいものだ。   2013年1月2日付記 最近になって待望の小池版音源が見つかり最新のブルーレイで発売された。喜びに堪えない。あの時代に民間で記録された方がいてそれが長年月保存されても十分実用に耐えるものだったとは何たる偶然・幸運だろうか。本作の「コインが残っていた偶然」に匹敵する(笑)。このセットには「新刑事コロンボ」も収録されているようだが脚本家が交替しつまらなくなった新コロを個人的には続編であるとは考えていない。本作の実質的続編は同じ脚本家によって製作された「ジェシカおばさんの事件簿」だろう。森光子の吹き替えで3シーズンほど放映されたが、本国では全12シーズン250話以上も製作されておりその出来ばえはまさに「コロンボの続編」である。誰が犯人だかわからない正統的なミステリーだが人間描写のうまさ、温かさ、面白さはコロンボ同様の折り紙付き。日本語版も廉価で売られているが本国版も捨てがたい。シーズン1など日本版は数話省略されているなどの違いがもある。コロンボ人気に比べて日本でかなり不遇なのが個人的には残念。
[地上波(吹替)] 6点(2010-04-02 06:42:50)(良:1票)
18.  カーズ 《ネタバレ》 
ピクサー作品はこちらの要求が高くなってしまうので本作はちょっと残念だった。もちろん面白いのだが、何か全体的にいま一つな気がするのである。まず、これは人によって差があるだろうけど、自動車の擬人化ということ自体がなんかしっくりこない。まだ昆虫とかオモチャの人形なら男女がはっきり描き分けられるが、さすがに車ではそれは無理だ。男女がわからないわけではないが、女性らしさを描くためにはもっと「女らしく」デフォルメしないと無理だろう。サリーとマックイーンの再会の感動的な場面がいま一つに思えた(より正確にはやや奇妙または滑稽に見えた)のもその影響があると思う。それともう一つ「急がないでゆっくりとした旅もいいものだ」というこの作品の訴えかけに、そもそも自動車自体が合わない。電車とか路線バス(これは一応は車だが)とかだろうそれを言うなら。自家用車はエコにも反するし、これからは制限される時代が来るかもしれないのに。もちろんこれは公共交通機関が発達している日本と車社会のアメリカとの差があるのだが、自動車会社が片っ端から鉄道のレールを剥がしていって車社会になってしまったというアメリカの歴史を知っていると、どうも不勉強な映画にすら思えてしまう。 それと前半でマックイーンがトレーラーとはぐれてしまってから捕まってしまうまでの場面は緊迫感のある音楽が流れるのだが、「ミスターインクレディブル」でのダッシュの物凄い疾走シーンや「バグズライフ」の模型の鳥を操縦する場面、「モンスターズインク」の子供を取り戻そうとする場面と比べると非常に出来が落ちる。というより違和感がある。何が違うのかと言えば、「インクレディブル」等の場面はみな理不尽な攻撃によって主人公がピンチに立たされ、そこから逃れる場面であるのに対して、この映画のそれは自分がトレーラーにきつくあたったことによるいわば「自業自得」であることが決定的に違う。それゆえ感情移入できにくく、緊迫感をあおる音楽が妙にずれて聞こえるのである(もちろんラストのレースの場面ではそんなことはない)。
[DVD(吹替)] 6点(2008-08-20 08:34:02)(良:1票)
19.  刑事コロンボ/ビデオテープの証言<TVM> 《ネタバレ》 
最後の謎解きは面白みにはかけるけど逃げようがない証拠で、微妙な証拠のまま終わってしまう作品と比べたら実に明快である。ラストで奥さんが泣き崩れるような悲鳴を上げるがこれは吹き替え版だけに存在し、元作品には存在しない。非常に効果的であり、これを追加したことを評価したい。それにしても犯人の最後の悪あがきのセリフは奥さんならずとも唖然呆然、ひどすぎる。奥さんに同情。
[ビデオ(吹替)] 6点(2008-08-06 13:25:19)(良:1票)
20.  ダーリンは外国人
「日本人女性よ、日本人男性とではなく外国人男性と結婚しましょう!」ということになりかねない(なってる)人種差別プロパガンダ映画。誤解のないように書いておくともちろん国際結婚は人種差別ではないが、結婚相手を「人種」で決めるのは100%差別である。この差別に日本人はホント鈍感で、平気で「ハーフはかわいい」と言ったりする人間のなんと多いことか。何の資格も特技もない単なる「外国人」とのお見合いパーティがあるそうだが、お見合いパーティって普通は男性の方が参加費用が高いのに、これはなんと男性の方が安いのである。要するにこれは同じく男性側の費用が安い「医者・弁護士とのお見合いパーティ」と同じわけで、つまり日本人女性にとって「外国人男性(特に白人)」は、それだけで医者や弁護士と同じような存在であるわけなのだ。ぶっちゃけ白人男性様は日本人男よりも「ただ外国人であるということ、ただそれだけで」価値が上であると思っちゃってるわけ。ほんと物凄い人種差別で反吐が出るんだけど、それを指摘する人はほぼ皆無なのが呆れる。このトニーって人もなんとぶったまげることに「ジャーナリスト」なんだそうで、在日外国人たちの差別問題と戦ってきた経歴の持ち主だと聞いて二重三重にぶったまげた。よーするに外国人たちが「ひどい扱いを受ける」差別は許せないけど、「白人様と結婚してハーフのかわいい子供♪」という「ちやほやする人種差別」については、ぜーんぜん不問になっちゃうわけ。もちろんこの夫婦がそんなひどい差別夫婦ではないと思うが、言葉も通じないのに白人というだけで舞い上がって簡単に交際・結婚する女性たちが多いことを思うと、それに加担するような漫画を書いて映画まで出すなんて、ジャーナリストとしてはありえない行為である。「夫が外国人? だからなんなの?」というのがまともな感覚だろうに。
[映画館(邦画)] 0点(2010-07-18 08:56:20)(良:1票)

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