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1.  アウトレイジ(2010) 《ネタバレ》 
どこらへんが最高傑作なんじゃ。褒めるところがねーじゃねーか。ナメてんのかこら。  一昔前の堅気が想像するヤクザの世界をそのまま実写化した感じ。何がボッタクリバーだ何が英語をしゃべるインテリだ。テレビ並みに形式化して、事実上見せるのは暴力だけ。何が楽しいんじゃおどれらは。  今ならITヤクザを題材にせんかい。そして闇の世界の背景ににある、さらに巨大な闇を見事に絵に描いて見せんかい。それが可能な立場じゃねーか。TKO負けしてすかしてんじゃねーぞこの野郎。  今更これを作った動機を理解しかねる。以下略
[映画館(邦画)] 4点(2010-06-25 11:18:12)(良:4票)
2.  奇跡(2011) 《ネタバレ》 
(略) ごく大雑把に言えば、この映画はこの一人の少年の成長譚だ。序盤、「意味わからんわ」と彼は繰り返しつぶやく。なぜすぐにでも噴火するかもしれない火山の麓に住まなければならないのか。なぜわざわざ坂の上に学校を作るのか。父親や弟と離れ離れに暮らすという非日常的な状況に置かれた彼は、それでも長男らしく現実主義者である。目の前にある問題をまず解決することが「生きる」ということだと心得ており、少しでも矛盾を感じればそれを口に出さずにいられない。 (略) いっぽうこの映画は、人に対する思いやりの場面を多く映しだす。教室で、家で、図書館で、保健室で。それらは大人から子供たちへの気遣いという形だけではなく、博多ステージにおいては子供同士のそれとして見られる。あくまで日常的な行為として、ごく自然にやり取りされるそれらの振る舞いは、結局この映画のほぼ全編において描かれることになるのだが、監督はなぜそのことにこだわったのだろうか。 (略) トンネルの上に並び、いよいよ彼らがすれ違いの瞬間を迎えようとした時、兄の心の内に去来したのは過去に見た様々な情景だ。木の芽や、火山灰や、自販機の下で 100円玉を発見した時の感動や、肩に触れた先生の手の力強さや、きれいなコスモスの花や、犬っころの死だ。もし火山が大噴火すれば、それらすべてが灰になり消え去ってしまうかもしれない。そう悟った時、彼は「家族より世界を選んだ」のである。この地球上で、あらゆるものが生きて動いていることじたいが奇跡なのであり、いろんな場所で、それらと自分とたまたま邂逅することが、もうすでに奇跡なのだ。むろん自分もそのような奇跡の一員であり、自分と同じように他者も、地球上のいろんな出来事も消してしまってはならないのではなかろうか。兄はそう気づいたのである。  この映画、はっきり言ってたいしたショットはひとつもない映画だが、このフラッシュバックだけで千年生き永らえる価値を得た。そのくらい素晴らしいシーンである。 (略) ラスト、兄は風に指をかざして「今日は積もらへんな」とつぶやく。彼はもう境遇に文句をいうことはない。「意味わからん」の意味を理解しかけ、なんとか自然と共存していくことを選んだのである。実にきれいな終わり方であり、例の震災さえなければみごとな良作として心に残ったことだろう。 (略)
[映画館(邦画)] 8点(2011-09-12 22:30:20)(良:3票)
3.  悪人 《ネタバレ》 
結局変な人たちの映画だったの? 【以下バレ】  映像的には飽きもこないしなかなかいい線いっていると思わなくもないのだが、いかんせん殺人の動機が弱い。あのくらいの台詞でいちいち切れてたら社会人なんぞやってられんだろう。差別や格差を無理くり作り出して物語を捏造するという意味でなら、時代を写実しているといえなくもないが(皮肉だよ)。  物語の転換点となる重要なアクション描写(妻夫木と深津との最初の出会いや、殺してから橋の下へ落としたはずの行為)がどういうわけか端折られている。おかげで逃避行にも説得力がない(まるで「おかしな二人の旅日記」)。さらにどうしようもなく皮相的な大学生の会話や態度など気に入らない点はいくらもある。最後の灯台シーンも、人生崖っぷちの象徴のつもりならなんで崖そのものを映さんのかと思う。青い空に広い海じゃ心象風景と真逆じゃねーか。  妻夫木はその変態性を出すのが遅すぎるし、深津はまるで普通のおばさんで田舎の嫁き遅れの暗さをちっとも出せていない。ただ光る点もあり、とても丁寧なカメラマンの仕事もさることながら、満島ひかりの演技。方言を駆使しての快活なOL役は見事にどハマりだったし、何より死後橋の上で柄本の呼びかけに応じて出現した際の、(これは撮影の妙もあるのだろうが)筆舌に尽くせないほど多義的な表情。まさに映画でしか表現できないものであった。もし賞に価するとしたら、満島の方だったであろう。
[映画館(邦画)] 5点(2010-10-01 00:51:52)(良:3票)
4.  ノウイング 《ネタバレ》 
いやもうホントにもうなんというか、とんでもねーとしかいいようがない映画。 冒頭から少女の預言の紙がなんたらというよくありそうな展開が続き、でもまあよくできた映像だなあと思いつつ正直このテンションがいつポシャるか、いやいつ収束するかと見ていたわけだが一向にそうなる気配はなく、それどころか飛行機墜落から地下鉄転覆を経て映像的破綻もなく話はどんどん盛り上がる一方であり、いやこりゃたいしたもんだ、しかし盛り上がれば盛り上がるほどヘタな落ちでがっくりする率は高くなるわけで、いったいどうするつもりなんだと余計な心配しつつ固唾を呑んで見守る中、話は脇目も振らず「そこ」へと向かい、まさかまさかの蟻地獄的終末展開、そして続くラストの思くそ衝撃的かつ大霊界的大団円大音響映像を目の当たりにしてただ腰を抜かしてしまったわけだが、これはやはり私がいつものハリウッド風味予定調和(つまり何らかの方法で地球は助かる、ね)に知らず知らず慣らされていたせいか、それとも宗教体験ほぼ皆無なのが原因なのか、しかしこのラストは子供のころ怯えながら想像した終焉そのまんまでありいい歳して脳幹にもろに衝撃を受けたのかもしれず、ともかくすごく貴重と思える体験をしてしまったのは確かなのであり、やはりこれも映画を見続けてきたおかげであるなあと今日のところは書いておくことにする。しかしこの映画を作った人たち、いかれてますね。私はあなた方のことが大好きです。 
[映画館(字幕)] 8点(2009-07-15 18:17:47)(笑:2票) (良:1票)
5.  ザ・ウォーカー 《ネタバレ》 
30年も西へ歩き続けたら地球を7周ぐらいできてしまうと思ふ。 【以下バレ】 殺陣で首がポロポロ落ちるシーンやら食人で手が震えるといった爆笑もののセリフやら老夫婦の家ごと破壊される一連のシーンやら、面白いと思える箇所はちらほらある。だいたいこういう北斗の拳みたいな破滅後の世界というのは、私も基本的に好き(なぜだろう?)。だから前半はまあまあ。  だが肝心の本にまつわる意味性がイマイチ不明のまま終わってしまったのが残念。本がXXでしたというオチでもって、横へずらしてごまかして終わり。街の親分のセリフに「統治の為に本が必要」うんぬんという本質的なセリフがあんだからそこへつなげりゃよかった。  つーか、最後の方よくわかんなかった。図書館に収めてメデタシメデタシなのか? そんなんなら街の統治に役立てた方がよっぽどましだと思う。どうも私はデンゼルより、街の親分の言うことの方に説得力を感じてしまうのだが。  大体なんで彼は西を目指したの? それに、なんで街で弾が当たったのに平気だったの?  ハードな日々が続いているので、なんか見落としがあるかもしんない。もしあったらごめん。 
[映画館(字幕)] 6点(2010-06-25 11:13:10)(笑:1票) (良:2票)
6.  息もできない 《ネタバレ》 
監督したのは主演のヤン・イクチュンだということを観賞後に知ったのだが、まずもってそのことが最大級の衝撃だ。言っちゃ悪いが某ヤンキーボクサーそっくりの風貌の持ち主が、こんなに深みのある映画を撮ってしまうとは(いや別に顔で差別してるわけじゃなく、表現するものの高低差に唖然としたのだが)。 【以下もろバレ】 (中略) チンピラの話である。主人公は暴力をふるうことに躊躇しない。時にはコミュニケーションの手段ですらある。なぜそうするのか。彼が暴力の生み出す連環の中にいるからだ。自分の親父の暴力が招いた結果を知っていながら(=知っているからこそ)、その親父を許し難く、暴力をふるわずにはいられない。暴力は暴力を産む。その連環の中で生きる術は暴力の王でありつづけることしかない。だから彼は誰に対しても暴力をふるう。警官相手ですら躊躇しない。そして暴力をためらう女や後輩に対しては、生き残るためにためらうな、と叱責する。 暴力のない普通の世界は彼には受け入れがたい。だから彼は姉が苦手だ。しかし甥と戯れることには積極的である。また、ヨニというなぜだか生のままの自分との応答が可能な女と出会う。それらが徐々に彼を変えていく。 (中略) 漢江のシーンで、主人公はヨニの膝の上で泣く。つられてヨニも泣く。ヨニの涙は過酷な自分の運命を呪う涙だが、主人公の涙は運命を呪い続けることに挫けた涙だ。二人は互いの涙の事情を知らないが、にもかかわらず互いに何かを共感して泣く。さらに言えば、そんな二人の共通の未来が開かれたことを予感し、安堵して泣けた涙でもあると思う(むろんはっきりとした台詞があるわけではないので、すべて私の想像である。こんなことは観るもの各々が勝手に感じ取ればいいのである)。 しかしこのシーンはすばらしい。並の映画3本分ぐらいの価値があると思う。なぜこんなにすばらしいのか、よくわからないところがまたすばらしい。 ラスト、しかしやはり負の連鎖を断ちきることはできませんでしたというという、ヤクザ映画にお約束な終わり方で物語は終わる。これはやはり少々残念だと感じる。暴力の世界の人はそこから決して出られないみたいなことを露骨に暗示してしまっているからだ。むろん物語的にはその辺りに着地するしかないということはわかるが、もうちょっとズラした結論にしてほしかったと私は思う。むろん希望の持てる方向へである。 
[映画館(字幕)] 8点(2010-05-02 13:22:24)(良:3票)
7.  トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 
私はこのシリーズ好きでない。 【以下バレ】  ポテト夫人の目玉やゴミ回収屋や、他にもかなりあった伏線はいかにも「これぞ伏線」とばかりに機能しており、それがかえって作り手の「どう、僕らアタマいいでしょ」顔を連想させてなんかイヤだ。そのことが玩具という今更感情移入しにくいものたちの物語を見せられ、半ば強制的に感動させられるということへの違和感にどこかで通じている。カウボーイを理想の男として教育するというのも何か取ってつけたようだ。滋味がないのである。 
[映画館(吹替)] 6点(2010-08-31 23:52:00)(良:2票)
8.  3時10分、決断のとき 《ネタバレ》 
名作のリメイクだそうだが、こりゃ正統派な西部劇ではなかろう。カオスだ。なんてカオスなシナリオなんだ。 【以下思いきりバレ】 私はウェスタンについてまったく無知なのだが、いったい何をもって名作とされたのか。まさかキワモノとしてではなかろうか、と思えるほど、私は感動とは別種の感興を得た。 連行される途中でクロウが護衛の保安官をフォークで殺すのだが、殴られただけでたいした制裁も受けず普通に連行され続けるところがまず変だ。さらにクロウがまた一人殺し脱走しかけるのだが、にもかかわらずまだ手錠されただけの措置であるのがまた変だ。この映画は容疑者人権保護の喧伝のために作られたのか(この調子でもし護衛が一人もいなくなったらどうしようと思ったが、さすがにそうはならなかった)。 極めつけはクライマックス。何十人を相手に銃撃戦をするというカオスな破目に陥った主人公は、なぜ自分が逃げずに良心を貫き通すかを説明するのだが、状況が状況なだけに無理ありすぎである。そしてそれを聞いて納得した(?)クロウは銃弾の飛び交う中、なんと自分を獄中へ連行する列車へ自ら走り出すのである。ひと言「やめろ」と叫べばすむことなのに。さらにラスト、結局主人公が射殺されると、クロウは自分を救った手下たちをいきなりぶち殺す。ああ、なんてカオスな。このカオスさを乗り越えて何かを感じることは私にはできない。 つーかまあ、殺人鬼に対して一種のヒロイズムを感じることを強いるというひどい作品なのであるが、なんか徹底しているのでB級でも名作と感じる人は感じるのではないかな。 
[映画館(字幕)] 5点(2009-08-16 19:40:05)(笑:1票) (良:1票)
9.  万引き家族 《ネタバレ》 
 私が間違っていました。どうもすいませんでした。すばらしい映画です。  【強烈ネタバレあり】 (中略)  本来の日本の社会とは、この映画に出てくる柄本明の駄菓子屋さんのように、わかって いても事情を汲んで見逃す人たちの社会である。逆に飴を与えるなどし、時間をかけて 本人の気付きを待つことらへんに、落とし所を見出していたはずである。  そう、この映画はじつは祥太という少年の「気づきの映画」でもあるのだ。   「妹にはさせるなよ。これ」秘密のサインであったはずの、指をくるくる回す行為まで 見抜かれていた。  そのショックにより、少女の誘拐が世間で騒がれてすらまだ動き出さなかった、映画に おける「仮家族の物語」が、ようやく静かに動き出すのである。なんといきなり土砂降り の雨が降り出すのだ。このことは、この映画がじつは、タイトルに反して家族でなく 「少年を主観とする映画」であることの、最初の証左となる(映画とは量子だ!)。  ほぼ同時に安藤サクラは職場をクビにになり、フランキーとの交合に慰めを求めること になる。さらにその夜、花火大会の「音」だけを聞いて家族たちは「もう、(この物語 も)終わりだね」とつぶやくことになるのである。  (中略)   「最後の思い出」、と思ったかどうかはわからないが、家族は唐突に海へと向かう。  この場面において、海辺で遊ぶ家族を目で追いながらなにか言いたそうに口を動かす 樹木希林の「最期」のショットは強烈だ。  彼女は何を言いたかったのだろうか。いや、言おうとしなかったのだろうか。   希林の死後、少年は両親が犯罪を犯し、その年金やへそくりを搾取する様子をも目の 当たりにする。  気づきを経た少年は、もうそれらの行為を容認できない。そのことはフランキーから 車上荒らしに誘われても、参加しないことによって示される。少年は迷い始めた、という より、両親に対する明確な疑問を持った。   次の展開点のきっかけをもたらしたのは、またしても柄本明である。「忌中」という 字を読めなかったにしろ、駄菓子屋が休みであることを知った二人は、しかたなく二人 だけでスーパーへと向かうのである。  入店前、「ここで待ってて」と言ったにもかかわらずスーパーに入ってきた妹が、 見よう見まねで指を回し、万引きする素振りを見せる。それを見た少年は、ついに 「仮家族の物語」を自ら破壊することを決断するのである。   結果的に一家は拘束され、安藤サクラの「おたふく風邪泣き」という名シーンを経て、 仮家族は解散させられる。   サクラは面会に来た少年に対し、はじめて駐車場で出会った時の状況を伝え、フラン キーに対し「この子は私達とじゃだめなの」とつぶやく。彼女は少年の変化を見抜いて いたのだ。  少年は翌日、ラス前のバスのシーンで、フランキーに「わざとつかまった」と告白する。   バスの座席に座った少年は、フランキーの呼びかけにすぐには振り返らなかった。その 後しばらくたってから振り返るのである。ということは、少年にはフランキーの声が じつは聞こえていて、あえて無視したのだ。   なんというリアル。ごく僅かな動きと表情のみで、もう二度と会わないという決意の 固さを示した!     このように、この映画はけっして(一部で批判されているように)万引き行為を擁護 するような映画ではない。むしろ逆に、悪事に対する模範的な回答をしている映画だと 言うこともできる映画である。   少年がスイミーの物語に関して「でもそれじゃあ大きな魚が可愛そうだよね」と言った ように、現実は物語的明快さでは捉えきれない面が多々ある。映画はその多義性によって、 世の中のそうした面を逐一描写できる。   「複数の事象」を並行して示すことにより、世の中の複雑さ、価値観の多様性を同時に 示すことが可能な芸術が映画なのだ。観客である自分と、スクリーンの自分(たち)の 複数の視点や価値観や時空間が「同時に存在」していることが「実感」できること。その ことこそがまさに映画の快楽なのだ。   忙しいスケジュールの中、こんなにいろんな意味で最高級の映画を作り上げてしまった 実力には感嘆するしかない。  この監督は我が国の誇りであり、宝である。  おめでとう、そしてありがとう。  私も自分のいる意味について多少勇気をもらえました。   最後に、蛇足。先述したようにある立場からすればやむを得ないことかもしれないが、 ヒステリックな荒らし行為によってこのすばらしい映画の価値を少しでも損なうことは、 どうかなるたけ避けていただきたいと思う次第である。
[映画館(邦画)] 10点(2018-06-20 18:59:55)(良:2票)
10.  ソルト 《ネタバレ》 
とても面白いノンストップ・アクション。ただし主演がアンジーでなければボロクソだったかも。 【以下バレ】  冷戦が終焉を迎えスパイにとって明瞭な敵はいなくなった。いや冒頭に少し出てくる国や、あといくつかそういう国があるにはあるが、映画で描くにはまだ生臭すぎる。しかしスパイ映画は作りたい。その悶々とした気持を抑えがたく、作り始めたはいいがやっぱり話は破綻しましたという映画である。  見る側はだからそういう気持ちを分かってあげて、アンジーちゃんカッコいいねとだけ言ってあげるべきである。決して金髪にすると単なるオバちゃんだななどと言ってはいけない。ましてや最後らへんわけわかんねーなどと言うべきではない。面白いシーンもたくさんあったはずだ。もう忘れたけど。 
[映画館(字幕)] 6点(2010-08-31 23:53:00)(笑:2票)
11.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
正直私は『キル・ビル』で辟易したクチなので、まさかこんなに面白いとは思わず当惑している。こりゃー最高傑作と自賛するだけのことはある。たとえ一瞬でも馬鹿にしてごめん、謝るぜ。 【以下多数バレ】 いったいどういう風の吹き回しでこんなにタランティーノらしくない映画を撮ってしまったのか。いやむろん第1章や第4章での長々とした無駄しゃべりはレザボア以上の面白さだし、頭の皮剥ぎやらバットによる撲殺やらグロとギャグを混同した悪趣味ぶりも相変わらずなのだが、にもかかわらずこの映画はらしくない。むろん茶化すことが憚られるテーマであることはわかっちゃいるが、それにしてもシリアスすぎる。ユダヤ人を匿った親父は床を指差しながら涙を流すし、大佐の質問攻めから解放された女館主は一転して情動失禁するし、映写室で若い二人が撃ち合うシーンなどは、何をトチ狂ったのかと思えるほどメロメロシリアス演出なのだ。これじゃあまるで普通に手練れの名監督である。一方ギャグは空回り気味で、ブラピはただ眉をひそめてドナルド・ダックみたいな声でがなっているだけだし、イタリア人の真似する場面でもちっとも面白くない、将校殺しの中尉のアレも獣医もイマイチ。だいたい第2章以外はその手の演出自体が少ないのである。 だがこの映画の一番の見所はそうしたシリアスな場面でもギャグでもない。ブラピ以外の俳優陣、特に大佐と中佐と女優のキレキレの演技である。表情、それも目配せのレベルで見所多数。私は10回見ても飽きないと思う。むろん細部が完璧だからこそ結末が面白いのだが、しかしいったいどうやったらこんな演技をさせることができるのか。その理由もじつは台詞背景がシリアスであることと無関係ではないのではないか。思うにこの監督はこの作品で、まさに自らが追い求めてきた独自世界と古くシリアスな「映画」との見事な融合を果たしたのだ。古いフィルムを燃やし、映画館を破壊するシーンは象徴的だといえば大げさか。ショシャナの哄笑を浴びながらナチスが銃弾を浴び皆殺しにされる。史実を無視して総統をぶち殺す、この無茶苦茶なカタルシスはむろんタランティーノゆえであり、後進世代ゆえの呪縛から解放されかつ独自の世界との融合をようやく果たしえた、その気持ちがラストの台詞として表れたのではないかと思うのだ。  
[映画館(字幕)] 9点(2009-12-04 07:46:15)(良:2票)
12.  ヒーローショー 《ネタバレ》 
私は非常に好きだ。この映画。 【以下バレ】 登場する若者たちの顔がすべていい。その役柄にどんぴしゃりという顔立ちをしている。だが彼らを撮る撮り方は、なんというか徹頭徹尾イナタい。ギャグはメチャ寒いし司会の女はペチャパイだし、後藤の連れの恋人が登場して30秒で「うぃ」と言って去るのもショベルカーのパットンさんもラストのピンクレディーもなんか空虚だ。意味合いがありそうでない。リアリズムといえばその通りだが、しかしまるでギャグが空振りするような、「的を射なさ」という点で共通している。  (中略)  私の解釈はこうだ。まるで蜜のようなリンチの時間のように、濃密な時間というものはたしかにある。だが結局は、遊園地で家族と過ごすささやかな時間などと同じように流れ去るものなのである。なので一時的な、まるで自分が主人公になったような、映画的な時間のために何かをしでかしてしまえば、その後にずっと長く続く非映画的な時間に影響を及ぼすことになる。というか、辛い時間は死ぬまでずっと続く。「生き直させてくれよ」と福徳は後藤に懇願するが、それはじつは後藤の叫びでもあり、突っ走ってしまった登場人物全員の、またなにか取り返しのつかないことをしでかしてしまった者すべての叫びである。時間はいつも等しく流れるが、けっして巻き戻せない。だから若者よ、軽々しくヒーローになろうとするな、この監督はそう言いたいのだ。  たかが映画じゃないか。人生は映画的じゃない時間のほうがずっと長いのだ、気をつけろというメッセージ性。乱暴な若者言葉や、後藤によるたどたどしい恋人への独白などに見られるリアリズムの追求。ピンクレディーの曲に代表される「意味」の希薄さ。これらから見て、この映画は徹底して反映画を指向していると言っていい。しかしだからと言って、たとえばテレビや凡百の映画のようにつまらないということは絶対にない。むしろ私は、ダラダラと続く後半にこそどういうわけか映画を見ているという至福を多く感じた。かっこよさとは対局にある、イナタい事象をあくまでイナタく撮ることにこだわった監督が、ついにたどりついた結論的作品、と言ってしまっていいぐらいの出来栄えに、十分到達していると思うのである。
[映画館(邦画)] 8点(2010-06-25 11:16:17)(良:2票)
13.  アマルフィ 女神の報酬 《ネタバレ》 
なるほど、ヤル気見せてるわけね。いや混ぜっかえすつもりは毛頭ないけれども、でも何で今更なの? ひょっとして政権変わるから? でもまあこのくらい映画っぽい映像でこれからエンタテインメントしていこうってんなら、確かに少しうれしいかも。もう二度と観るかと思わせるような感動の押し付けシーンはないし、幼稚な台詞回しによるラブシーンもない。くどくど台詞で説明することをせず、なるべく映像からの情報のみで観客を引っ張ろうとする。特に冒頭シーン、観客はいま何が起きているかを知るためにスクリーンの隅々まで目を凝らし、耳を澄ますことを強いられる。テンポがいい。こちらが一つのことを理解するや否や、ぱっと画面が切り替わる、そんな感じだ。 が、むろん頭痛の種はストーリーだ。 【以下モロバレ】 天海祐希が鉄砲向けたときは思わずうつむいてしまったぞ。ド素人の女が警察相手にあんなことできるわけねーだろう。こんな映画とてもじゃないがガイジンには見せられない。失笑を通り越して激怒されるんじゃないか。 それにあの大臣、たとえ意図して悪党に政治資金を横流ししたのだとしても、佐藤浩市が復讐すべきなのは直接手を下した軍事政権の方であって大臣ではなかろう(仲間の外人たちにとってはなおさらだろう)。しかもその大臣を殺さない(結局誰一人死ななかったと思う)。大臣が失職したという記事を写してシャンシャンとしたいようだが、上の人間の首をすげかえても結局組織の本質は変わらずという現実世界の経験が想起されるので、逆にストレスは高まるばかり。つーか、そういう現実が嫌だからこそわれわれは映画館に行くのだ。向こうの脚本家ならおそらく小野寺昭か佐野史郎あたりを黒幕一味に仕立て、銃撃戦の末スカッと殺してみせるのではないか。それがエンタテインメントじゃねーか。悪者をやっつけずにカッコだけつけたってちっともスカッとしない。 …などと、日頃ハリウッドに馴致されている人間の一人である私などは思ってしまうが、しかし今の時代、そうほいほい人を殺す映画を作るわけにいかんのかも。もし2作目が作られるのなら絶対見るから、何らかの工夫を期待したいもんだと思う。いっそシリーズ化して、観客を教育しつつ徐々にステップアップしていくというのはどうでしょうか。 PS.他の人のレビューで気付いたが、ラスト近くのフィルムブチ切れは意図的なものだったのね。なるほど。 
[映画館(邦画)] 6点(2009-08-25 23:46:38)(良:2票)
14.  空気人形
こりゃポルノだな。昭和時代、場末のポルノ小屋に入場するとよくこんな映画をやっていた。どっ暗い、人が普段眼にしたくない現実の一面を撮って何か意味のあることをやっている気になるというあのエッセンス。人によるだろうが、私は共感しない。生理的にダメ。途中から「もうわかったから早く終わってくれ」と願うばかりであった。 エンドロールを見て原作があの自虐の人だと知り納得。やだよ。 こんな話にはもったいないほどの映像の質の高さには唸りっぱなしだったけどね。 
[映画館(邦画)] 5点(2009-10-01 19:55:19)(良:2票)
15.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
いやー危うくこのすばらしい映画を見逃すところだった。こりゃ今年のベストワン候補だな。映画館でひさしぶりに嗚咽を聞いた。すげー映画。 実の子が神隠しにあい、しかも警察から赤の他人を子供だといって無理矢理押しつけられるという、アメリカ版おしん(おばん)の如く苛められる主人公役を、てっきり色物な人だとばかり思っていたアンジェリーナ・ジョリーが思いきり好演技。見つかったの報せに泣きじゃくるシーンは大竹しのぶかと思ったが、職場では凛とし、裁判所ではか弱く、めりはりがとてもよい。そんなジョリーを苛める警部役もこちらが本当に殺意を覚えるほどの名演で、おかげで後半いかにもアメリカらしいやり方で一気に汚名を払拭していくシーンでは、すさまじいほどのカタルシスを満喫できる。事実にしたがったとはいえ、ありきたりのハッピーエンドじゃないところもいいし。 んで、5年後に見つかった子供が、なぜ今になって名乗り出てきたのか、その理由がまた泣かせる。「母と子の絆」なんぞというテーマをここまで堂々と貫き通せる監督が現在他にいるだろうか。まさかここまで巨匠になっちまうとはなあ。 本当にいいので、未見の方はまだ映画館でやってるうちにぜひ駆けつけをば。某黄色いバッジの映画なんて全然見なくていいから。  
[映画館(字幕)] 10点(2009-03-30 01:37:32)(良:2票)
16.  ジョーカー
グダグダじゃねーか。
[映画館(字幕)] 4点(2020-01-29 06:24:11)(良:1票)
17.  レディ・プレイヤー1 《ネタバレ》 
 この圧倒的な才能は、見事なまでに「見て快いもの」だけを峻別し、つなぎ合わせて魅せてくれる。   【ネタバレ】   悪いが「ブレードランナー2049」あたりの、不愉快なものをほぼナマで見せてしまう監督とは 真逆なのである。しかしそれは時に虚しい。    なぜならバーチャルでつかむ幸せは、現実ではない、という真実を覆い隠してしまうからだ。  幸せになれたとしても、それは宝くじ並みの確率でしかない。  この映画をまともに解釈すれば、そんなふうになってしまう。  見た目の快楽はごまかしじゃねーか。  普通の人はそう気づくはずだが、それに対するエクスキューズはなく、放置のままである。    その点、マンガではあるが「いぬやしき」ラストシーンでの、「僕は夢を実現するために機械に  なったんだ」とかいう叫びは、かなりいい線いっていると思う。  ぜひハリウッドに輸出して、まともな監督に映画化してもらいたいと思う。    未来は悪いことばかりではない、と思う。
[映画館(字幕)] 6点(2018-06-13 10:00:34)(良:1票)
18.  バンク・ジョブ 《ネタバレ》 
銀行強盗に成功するまでの前半、狙われる立場になって追いつめられていく後半、いずれもテンポよく進んで飽きさせない。主人公の過去や仲間との馴れ初めなど冗長な描写はなく、会話の切れ端で想像させるのみ。トンネルが完成するくだりなどあっけなさすぎて苦笑。まあよく筋がよく練られた結果であり、日本の映画によくあるようにエピソードがつぎはぎだらけになるよりはましだ。が、私から見て意外な展開、意外な落ちはひとつもなし。エモーショナルなところまではとても響いてこない。つまらないわけではないので見て損はしないが、すべてにおいてまあまあの映画。 まあ、こういう内容の映画が作られたということにおそらく意義があるのでしょう。政治的なことはよくわからんですが。
[映画館(字幕)] 6点(2008-12-30 00:16:26)(良:1票)
19.  重力ピエロ 《ネタバレ》 
痛い映画。主人公二人の演技も痛いし、とってつけたような謎ともいえぬ謎も痛いが、よくよく考えるに脚本が一番痛いと思う。だれか殺人の動機を教えて欲しい。鑑みるに「実の母を犯したやつが反省せずにしゃあしゃあと生きているのが許せなかった」ということかもしれないが、私が見た限り渡部篤郎演ずる男はたわけたことを言うがべつに殺すほどのやつではない。私刑を加えるというのであれば渡部が現在も何らかの重罪を犯し続けているという説得力がなくてはならない。バッドで殴り殺すシーンはいろんな意味で「最悪」である。止めようとした兄が飛び込んだら梁が落ちてきて偶然当たって死んだとか、何らかの形で意表をつかねばならない。百歩譲って殺してしまうことを許すとしても、必ず落とし前をつけるというのがハリウッドの掟である。弟も死ぬとか親父に自首させられるとか家族が崩壊するとか。狂気を野放しにするようなラストでは、大方の日本人に対してなんとなくの共感を期待するという甘え丸出しのポルノ脚本になってしまう。ここは日本だからそれでもいいなどとはまさか思っていないだろう。原作通りというのなら原作者が愚鈍なのだ。映画は映像を附加することで原作を大幅に上回る高次元の説得力を持ち、ゆえに映画はつねに原作より偉いのであり、話を変えることは何の問題もない。 惜しいと思うのはこの話が高度な映画になりうるということだ。「DNA」という明確なテーマがあり、家族を愛していながら凶暴性や絵の才能といった実父の血にあらがえないという葛藤に苦しむ男が、「自分のおかしさの原因はすべて実の父にあると思った」あるいは「原罪である実の父を殺せば自分や癌である父にも何らかの救済があり平和が訪れると考えた」といった実存的理由で狂いながら殺人に至る過程を、たまたま大学院で遺伝子の研究をしている兄の理性的な蘊蓄や推理を絡め、中途半端な謎や脚本に依らず逐一納得のいく解答の得られる物語に焼き直し、共感力を持つ高度な映像でもって見せてもらえたら、もしかして傑作になったかもしれないということは書いておきたい。冒頭5分間の映像はおっと身を乗り出したほどよかった。ないものねだりではないことを願う。長文失礼。
[映画館(邦画)] 4点(2009-06-14 00:46:27)(良:1票)
20.  ヒックとドラゴン 《ネタバレ》 
タチの悪い映画パート2。しかしこの夏のアニメの中でいちばん面白い。 【以下バレ】  猫とコウモリが合体したようなドラゴンも可愛かったが、何よりヒックらを乗せて龍の巣へ向かう時の、並行して飛ぶ何体かの龍の姿が雲の間から浮かび上がる映像や、無数の龍が巣穴を飛び交っている場面の映像などでもう私はノックアウトである。子供の頃に永井豪の漫画を読んでうけたあの衝撃をひさしぶりに思い出した。  『インセプション』を観た時も感じたことだが、作り手はおそらく自分らが子供時代にうけた衝撃をリアルに実写化(というのも変な表現だが、ぴったりくる)することに情熱を燃やしているのである。そのようなことが出来る才能や、技術面も含めた環境を同世代人として羨ましく思うし、うまくいった場合は思想がなんであろうが映画として不純だろうが、断固として支持する。  なんでナイトフェアリーだけ一頭だけなのとか、いくらひどい仕打ちを受けていようが自分らの女王に簡単に歯向かえるはずがないとか、あのラストはいくらなんでもないだろうとか、んなこたどうでもいいのである。
[映画館(字幕)] 8点(2010-08-31 23:51:06)(良:1票)

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