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1.  プレデターズ(2010) 《ネタバレ》 
この作品を観る方というのはおそらく、というか間違いなく本家を鑑賞され、シュワちゃんの人類最強ぶりとプレ様のご尊顔に感銘を受け、『2』で妊婦に手心を加えられるプレ様に親近感を覚え、『AVP』で有志以前は神とあがめられたプレ様に更なる関心を覚えつつも人間(含む製作側)のお粗末さに落胆し、『AVP2』では落胆を通り越しもう続編は見まいと決意しつつ劇場を後にした方々でしょう。本作を観られる際は、本家に敵うものではなく設定を楽しむ作品であることに留意しつつも、製作・ロバート・ロドリゲスという言葉に一抹の希望を抱えながら劇場に足を運ばれたことと思います。私の場合、その希望は一瞬で潰えました。なぜか戦場のピアニストが地球代表の殺し屋で、裸足のヤクザとプレ様がチャンバラ合戦。そして異様に肥えて臭そうなモーフィアス・・・。ジャングルの地形を生かした罠や泥パック、見えない敵への一斉掃射など本家へのオマージュがところかしこにちりばめられており、間違い探しのように見つけて楽しむことはできるといえばできるのですが、新たな発見もなく(あ、ありました。プレ様は犬を飼っています)、驚くべきアクションもありません。更に驚嘆したのが、映画冒頭では館内に7人ほどの観客がいたのですが、エンドロールが始まる頃には私1人でした。これぞプレデター(ズにあらず)!
[映画館(字幕)] 4点(2010-11-22 00:21:53)(笑:4票)
2.  キック・アス 《ネタバレ》 
近年のアメコミの映画化作品はほぼ網羅してきましたが、そんな中でもオールタイムベストの作品です。オタク少年が瀕死の重症を負い無敵のヒーローに生まれ変わるのかと思いきや、これは真の主人公を引き立てるための前フリ。強さとカッコ良さの片鱗もない「キックアス」で中だるみ感が最高潮になるタイミングと共に、ヒットガールとビッグダディが登場し一気に物語が加速します。アメコミにおけるヒーローの役割と自問自答は「キックアス」が引き受け、強さとカッコよさはヒットガールが担うことでメリハリがつき、過去のヒーローものへのリスペクトもそこかしこに見られ、映画館の大画面でビッグマックを頬張りながら鑑賞するのに最適な作品です。何よりの魅力はヒットガール。子供が蟻やバッタの足を抜いて遊ぶのと同じように悪人を撃ち、斬り、倒してゆくシーンで受ける爽快感が、他の「成人ヒーロー」とは明らかに異なるのは、超人的な戦闘能力を持つ少女という設定からでしょう。典型的なヒーローは、戦闘能力を持ってしまったがゆえの苦悩を持ち、明確な殺意で敵と対峙するというのがお約束ですが、ヒットガールには戦闘能力はあっても殺意とそれにまつわる苦悩が皆無です。ヒットガールを養成した父親がそれらの苦悩を担い、父の武器(父の戦闘能力も高いですが、苦悩するヒーローとしてバットマンに似せた姿で登場するのが興味深いです)として遺憾なく戦闘能力を発揮する存在になっているのです。ヒットガールにとっての「出動」は、父によって徹底的に仕込まれた身体能力を発揮する運動会のようなものでしょう。続編が製作されるそうですが、父を亡くした後、ヒットガールがいかに苦悩しながら更にアップしたであろう戦闘能力を発揮するのを観るのが楽しみである反面、ただ苦悩する普通のヒーローモノに成り下がってしまうのは避けて欲しいですね。
[映画館(字幕)] 10点(2011-02-27 13:05:33)(良:3票)
3.  Kids Return キッズ・リターン
溢れるエネルギーをボクシングに注ぐ者、極道者として生きることで己の過回転を防ぐ者。 ハムスターの運動器具で体を動かすだけでは足りず、何かを手に入れ何者かになるため足掻くけれども何が欲しいのかわからないという焦燥感が強烈に匂い発っています。冒頭、高校のグランドで向かい合って自転車に二人乗りするシーン。ペダルは漕げるものの方向が定まらずフラフラとしながらも、授業中に堂々と走り回る姿が本作の雰囲気を見事に表現しています。彼らは何者でもないがゆえに何者にでもなれるのです。北野武監督で一番好きな作品です。音楽も素晴らしい。 
[DVD(邦画)] 9点(2010-12-26 00:38:57)(良:2票)
4.  フォーリング・ダウン 《ネタバレ》 
例えるなら激しく音漏れしている人のヘッドホンを引っこ抜き耳元で「やかましい!」と叫ぶ、携帯電話での情報交換に余念のない人に「車内での通話はご遠慮下さい」と睨みつける、日々感じるストレスに正面から立ち向かい自力(脅し含む)でストレスを解消するイカレクレマーの映画です。電話のための両替を拒む店主にキれ、マクドのモーニングセットを食べるために銃を持ち出し、自分が正当なクレームをつけていることを強調して暴れまわりこちらも応援目線で観てしまいますが、興味深いのが彼もまたキれる他人に出くわすところ。視点を変えれば彼は権利を主張する他人から迷惑を受ける可能性のある一人であり、少し他人よりもクレームの声が高いだけでしていることは同じなのです。皆が感じる些細なストレスがこの映画に充満していて、その熱量がハンパありません。ロバート・デュバルでさえ鬱憤を爆発させるその一人になっています。ただ難点は、衝動的な殺人を犯し一線を踏み越えてしまった際、その背景がうかがえ知れる心理的な描写がなかったところです。この描きこみが明確であれば『タクシードライバー』クラスの映画になりえたかもしれません。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-26 00:12:20)(良:2票)
5.  瞳の奥の秘密
久しぶりに「いい映画を観たなぁ」という余韻を味わいながら劇場を後にすることができた良作です。未解決事件の謎解きというサスペンス形式をとりながら自ら封印してしまった淡くも激烈な想いを解きほぐしてゆく話です。さして興味が湧きそうなストーリーでもなく、アルゼンチンという自然豊かな国柄を感じさせるような景色は皆無で、9割方屋内でのロケですが、本作を稀な作品にしているのは演技とカメラワークです。25年前と現在を演じわけ、かつ両方の場面でそれぞれに魅力的なヒロインと主人公。顔のクロースアップが多用され、言葉では埋められない表情の奥にあるものを読み取ろうと観る側も目を皿にして画面を追いかけることになりますが、熟達した演技でその視線に応えてくれます。タイプライター、写真立てといった小物が表情を的確に補足する役割を果たしていて、映画的演出とご都合主義的演出のはざまでギリギリの均衡を保っています。空撮からスタジアムに降りてゆくシーンや尋問シーンでの長回しも緊張感があり、パブロというおとぼけキャラの存在もあいまって、エンタテイメントとしても上質な出来栄えといえるのではないでしょうか。ただ致命的な難点があります。終盤、妻を失った男が主人公に「もう忘れることだ」と諭す場面です。原語「Nao pensa mais」に対する字幕がそうなっていますが、英語でいうと「Do not think anymore」という意味であり、日本語では「もう考えるな」と訳すべきではないでしょうか。「忘れる」という言葉には「自分にとって痛みを伴う出来事=忘れたいという思いを起こさせる事象」という主観的な判断が加えられているのに対し、「考える」という言葉には、その考えられるべき事象がどのようなものであるか、主観的な判断が加えられる以前の状態を指す言葉といえると思います。本作の核が「考えるつもりはなくても考えてしまう」「なにもしないでおこうと思っていてもしてしまう」ことに突き動かされる者たちの物語であり、忘却がテーマではないはずです。この点について-1で8点献上いたします。
[映画館(字幕)] 8点(2011-04-09 01:10:46)(良:2票)
6.  冷たい熱帯魚 《ネタバレ》 
台風の影響で計画していた九州旅行がキャンセルになり、やり場のないエネルギーをぶつけるには『キック・アス』で最も信頼できる監督の一人になったマシュー・ボーン最新作の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』よりも、欲と欲がぶつかり合い過剰なエネルギーが横溢する園作品こそ、旅行キャンセルのフラストレーションを受け止めてくれるのではとの主張が通り、妻と名画座に観に行ってきました。『愛のむきだし』と同じく「愛」と「家族」をテーマとしているものの、B級要素を放り込んだごった煮大ほら話であった前作に比べて物語のスケール感は後退しましたが、血糊とエログロは大幅に増量して吹きこぼれ寸前の作品を、でんでんという悪役でフタをしたのが本作です。村田夫妻のかもし出す過剰さ、悪役としての突き抜け方とケレン味は秀逸で、でんでんと黒沢あすかには万雷拍手を贈りたいです。バラバラ殺人を「ボデーを透明にする」と言い換え、輪ゴムにこだわるB級感覚とハッタリに賭ける過剰さこそ園作品の真骨頂であり、私が本作に望むものでした。のび太が眼鏡を外してスーパーサイヤ人化する終盤を過ぎてからのハチャメチャな展開も園作品のお約束で、作品のモチーフとしても、映画への取り組み方にせよ「やりたいことは、やれ」という一貫した姿をスクリーンで大写しにして示す様子に私は安心して鑑賞できました。一方妻はグロ要素に拒否反応を示し、作品選定と鑑賞料金について説明責任を追及されてしまいました。
[映画館(吹替)] 8点(2011-07-19 15:51:00)(笑:2票)
7.  エリン・ブロコビッチ
そこそこ楽しめました。実話ベースの訴訟モノという触れ込みでシリアスな作風かと思いきや、「何をしてもダメだった自分がライフワークを見つけて自己実現するまで」を描いた遅咲き青春コメディといった印象を受けました。巨大企業を相手取った裁判ではいたずら電話がたまに掛かってくる程度のライトな妨害工作で済むはずもなく、ジュリア・ロバーツを主役にした時点でコメディ路線へ軸足を置くことにしたのではないでしょうか。子供の面倒もそこそこに仕事へのめりこんでゆくジュリアと、子育てを押し付けられて家出してしまうハーレー乗りのヒモ男(バイカー)の対比は「イクメン」も楽な仕事ではないなと思わせられます。汚い言葉を平気で連発し、気の強い女性を演じたジュリアが意外にもはまり役だった、というよりジュリアのおっぱいが主役の映画ともいえます。
[地上波(字幕)] 5点(2011-03-13 15:26:28)(良:1票)
8.  Vフォー・ヴェンデッタ 《ネタバレ》 
ヒーローに救われるべき一般大衆をナタリー・ポートマンひとりに集約したのは、饒舌な「V」の身の上を語るうえで有効に機能している一方、作品世界の広がりを犠牲にしていると思います。近未来、管理社会の英国で生活している一般大衆のサンプルがナタリー・ポートマンひとりでは、彼女だけの特別な事情に目が奪われ、一般大衆の目線が感じらません。カタルシスの掛けどころである終盤、「V」の私怨を晴らすための花火と一般大衆の求める正義の爆破が重なり合い、この2つが同時に炸裂して強烈な映画的快感に身もだえするべきところですが、一般大衆側のたきつけが甘く、「V」の恨み節しか炸裂しないのです。赤と黒の色彩や見応えのあるアクションシーンや物語展開など、アメコミ映画として安心して観られる作品ではありますが、面白くなる要素が散りばめられているだけに欲張って観てしまいました。
[DVD(字幕)] 7点(2011-03-26 13:58:34)(良:1票)
9.  初恋のきた道
ずばり本作はチャン・ツィーのプロモーション映画です。農村にたたずむチャン・ツィー、走るチャン・ツィー、料理をするチャン・ツィー、泣くチャン・ツィー、そして恋するチャン・ツィー。そんなとこ見せてどないすんねんという突っ込みは無用。お互いのどこになぜ惹かれたのかというプロセスは無視。初恋の相手となる都会からやって来た先生はチャン・ツィーとはどう考えても不釣合いな姿ですが、彼もまた引き立て役。映画に関するあらゆる要素がチャン・ツィーの一挙手一投足を余すことなく魅力的に映し出すために構成されている作品なのです。例えば、餃子。チャン・ツィーは先生に手渡すために様々な料理をこしらえ、弁当にして先生に渡します。汗だくになりながら一生懸命餃子を包んで蒸す姿をチャン・ツィー観て、一緒に鑑賞していた私の妻が思い出したように台所仕事のため席を立ちましたが、しばらくして妻が戻ってきたとき、チャン・ツィーは出来上がった餃子を持って先生に渡すために疾走していました。こけて弁当が割れ餃子が散らばり、涙する姿。鑑賞後の感想は「あーあ」といったところです。ただし、邦題だけは極めて秀逸だと思いますよ。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2011-04-23 12:16:07)(良:1票)
10.  トランスフォーマー
子供の頃、誕生日にコンボイのおもちゃを買ってもらったど真ん中の世代です。アニメも観ていました。マイケル・ベイが監督ということでマックを頬張りながら話半分で観ていたところ、ビッカピカのスターリントラックからコンボイへ変身するシーンで目が覚めました。タイヤが足の方に移動してフロントガラスが胸の部分に上がり、同時に頭の部分が出てきて折りたたまれた腕も現れる……。映画化にあたって、ツジツマが合い、かつ格好良く見せられるパターンを考え、何度となく試行したのでしょう。その過程を考えるだけでおもちゃを手にしていた時の感覚がよみがえります。戦闘シーンは非常に迫力があり、スローモーションで何度も再生して楽しみたいほどですが、敵味方の判別がつきにくかったところが唯一残念でした。陳腐なドラマパートは解説なしでの途中からの鑑賞を可能にし、圧倒的な映像に手に汗握るというこの持ち味こそがハリウッドの醍醐味。洋画劇場にて吹き替えで見るのに最適な愛すべきバカ映画です。マイケル・ベイはローランド・エメリッヒと通じるところがありますね。
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-30 20:11:59)(良:1票)
11.  ノーウェア・ボーイ/ひとりぼっちのあいつ
焦燥感を煽るタイトルとジョン・レノンの少年期を扱った作品との触れ込みから、孤独な少年が行き場のない感情を音楽で表現してゆくうちに才能に目覚めるまでを描いた青春モノと想像していましたが、かなり趣が異なりました。史実かどうかはわかりませんが、作中で描かれるジョンは厳格な育ての親の元で成長した彼はひとりぼっちでもなんでもなく、偶然出会った育ての親の影響でエルヴィス・プレスリーなどロックンロールを知り、バンドを組んでライブをするうちに女子にもモテ出し虚勢を張ることを覚えたそこらへんの軽そうなバンドマン、という姿でした。本作の核は音楽ではなく、ジョン育ての母と産みの母を受け入れるまでが物語となっています。しかしながら家出したかと思いきや自室のベッドで朝を迎えて気まずそうな顔で母と顔を合わせたり、ねだってギターを買ってもらったりと、劇中のジョンは私が持っている孤高の天才というイメージとはかけ離れており、ある意味彼も普通の人間だったのだなと思わせられました。ビートルズ周辺を愛する方にはこれ以上ない作品かと思いますが、出自をめぐるドラマに感情移入できず、この時代にさしたる関心もない自分には退屈な作品でした。唯一、2人の母と共に日光浴するシーンは素敵でした。やはりタイトルは改め『マザーズ/ジョン・レノンと二人の母』としてはどうでしょうか。
[映画館(字幕)] 4点(2011-04-23 12:13:55)(良:1票)
12.  スタンドアップ
シャーリーズ・セロンがダメ夫から逃げて、働き始めた実家近くの鉱山でのセクハラ訴訟モノです。私の鉱山の男とは「保守的な反面仲間のために命を賭すことも厭わない義理堅い男たち」というイメージが『わが谷は緑なりき』で培われていたのですが、そんな祖先の墓に泥を塗りまくりの野郎共が女鉱夫にセクハラの限りを尽くします。そんな糞野郎共のなかで尋常ではないほど際立つ美貌のシャーリーズ・セロンが訴訟を起こし奮闘するのですが、『エリン・ブロコビッチ』のように訴訟にまつわるドラマの描きこみが薄く、物足りない鑑賞感でした。シャーリーズ・セロンの演技に+1で6点献上。
[地上波(字幕)] 6点(2011-03-14 21:01:55)(良:1票)
13.  スターシップ・トゥルーパーズ
いやぁ、これはすごい映画を観てしまいました。二時間中だるみなし、期待を大きく上回る作品でした。 先日、引越しをしまして、新居で入浴していた時のことです。小さなハエが側面のタイルに張り付いていました(水をかけたくらいでは死なず、そのくせ同じ場所に戻ってくるアヤツです)。見つけるたびにはたいていたのですが、浴室の扉を開けるたびに目に入るタイルの黒い点が気になってきました。妻が排水口を確認するよう言うので、バスタブの側面を取り外し排水口を覗いてみると、ちょっと想像もつかない数の小さなハエが。そのとき私は全裸でした。ハエと私を比べると、体格では数百倍、腕力では比較にならないほどの差がありますが、彼らがかくも短期間で繁殖し、我が新居に住みついていることに戦慄を覚え、すぐに蓋を閉めました。翌日、会社帰りにバスマジックリンを買い求め、めったにつけないコンタクトレンズとゴーグルを装着し、敵の巣目掛けて引き金を引いたのです・・・・・・。 その際、学生の頃洋画劇場で見たこの作品を思い出したのです。当時は、エイリアン退治をしようとして逆に蹂躙される未来の軍隊モノ程度の認識と記憶しかありませんでしたが、『トータル・リコール』や『ロボコップ』を経由してポール・バンホーヘンという監督が何者か知ったうえで本作を鑑賞すると、俄然面白かったです。全編から匂い立つ胡散臭さと予定調和は現実世界に対する皮肉であり、戦闘シーンはそれを打ち消すかの如くのリアリズム路線で突き進みます。このどうしようもない予定調和と、手足内蔵脳みそが乱れ飛ぶ戦闘シーンのリアリズムが絶妙に絡み合い、本作を稀有なものにしています。 
[DVD(字幕)] 9点(2010-12-11 13:23:44)(笑:1票)
14.  ハート・ロッカー 《ネタバレ》 
アクション好みの会社の同期が良かったというので名画で観にてきました。本作品だけではさして目新しさを感じない作品だったかもしれませんが、同時上映の『マイブラザー』を観たことにより、戦場に行くことを職業とする人々の感覚が胸に迫ってきました。イラク・バクダッドで爆弾処理班のチーフを務める主人公は、経験と勘にものをいわせて修羅場を乗り切り続けます。彼が死なないのは職業的能力の高さの現れであり優秀な兵士であることが伺えます。舞台となるイラクは、戦争は終結しているとはいえども、米兵は常に狙われているという緊張感と、爆弾がいつ炸裂するかというスリル、そこそこ迫力のあるアクションシーン(中盤の狙撃シーンは良い)で中だるみしません。印象的だったのは帰国し妻と行動を共にする場面です。シリアルを買っておくように伝えられた彼は、数多くのシリアルが並ぶ棚からひとつを選ぶことができません。自宅のキッチンで妻に職場(戦場)での出来事を話している際、にんじんを切るよう頼まれた際、実に不満気に、ぎこちなさそうに包丁を手に取る姿です。知悉している装備からひとつを選ぶこと、訓練と実戦で得た経験から命令を下すことはたやすくできても、日常生活における選択と実践ができない。狙撃シーンで新兵に飲み物を持ってくるよう指示するシーンとの対比が印象的です。命令することに慣れていても、命令されることはなく、職場(戦場)での有能さを軽くあしらう妻への苛立ちのようであり、制服(戦闘服)を着ていないことへの落ち着きの無さの現われのようでありました。再び職場(戦場)へ戻る彼は、仕事中毒でもなんでもなく、煩わしい家庭から遠ざかろうと仕事に逃げるサラリーマンの姿のようであり、某大国の姿と重なるようでもあります。『マイ・ブラザー』と続けて観たことによる+1点で、6点献上。
[映画館(字幕)] 6点(2010-12-26 23:19:30)(良:1票)
15.  容疑者Xの献身 《ネタバレ》 
妻のレコメンドで観てみました。うーん。何で邦画は(お金も掛かり有名俳優を起用した作品は特に)こうもテレビっぽいのでしょう。福山の大げさなキャラ立て、狂言回しとしても実際にも映画に何一つ貢献しない柴崎コウ、警察組織の胸元についている嘘くさいステッカーなど、芸術性の無さにがっくりしてしまいます。それはさておき本題ですが、ままあといったところでしょうか。私は犯人究明よりも堤真一がいかに松雪泰子に救われるに至り、身代わりとなることを決意したのかに興味が湧きました。ラストで2人の出会いがフラッシュバックされ、松雪泰子の登場で堤真一の完全な献身が断ち切られるのは出色の出来でした。ただ、福山が真相を究明できるのか・できないのかについてはまったく関心が湧かなかったですねぇ。彼は各種の犯行(殺人)の道徳的是非には興味がなく、真実を追究するために警察の手伝いをしているようですが、 福山は愛を知った堤真一への嫉妬から真相を暴いたように感じたのは、穿った見方ですかね。本作で最も不幸なのは惨殺されたうえに身の上ひとつ顧みられないホームレスですが、論理的でないとうそぶき愛という主題に取り組むことすらしない福山はそれに次いでいるのではないでしょうか。
[DVD(邦画)] 5点(2010-12-26 01:09:32)(良:1票)
16.  仁義なき戦い
ヤクザモノと聞いて鑑賞に難色を示す妻に、日本版の『ゴッド・ファーザー』らしいよ、と説得して、そうであることを期待しつつ共に鑑賞。冒頭からやられたらやり返すという倫理をひたすら実践してゆき、赤鉛筆のような血しぶきを上げながらぽんぽん人が死んでいきます。その殺しの倫理が実に無邪気かつ罪悪感のないものであり、時に中学生のように純真に見えてきて、複雑に入り組んだ抗争図と、登場人物の苦悩がいつしかかすんでしまいます。私たちの関心は、松方弘樹はいつサングラスを取るのだろうとか、当時梅宮辰夫はアンナが生まれたばかりだったのだろうかとか、田中邦衛はいつ北の国に帰るのかに注がれたのでした。戦後直後という舞台設定、公開年が1年だけ異なるという類似点の多い『ゴッド・ファーザー』では、血の繋がった家族の安全を脅かすものは誰であろうと全力で排除するという信条を貫くマフィア一族が描れていましたが、人情を何よりも信じる一匹狼の極道者が仁義無き組織に挑むという構図は、実に対照的でした。
[DVD(邦画)] 3点(2010-11-28 22:59:07)(良:1票)
17.  JUNO/ジュノ 《ネタバレ》 
16歳で望まない妊娠し出産するまでを描いた現代風の映画として観ると強烈に不満な出来の映画ですが、少女が愛を見出すまでを描いたコミカルな青春映画として観れば、そこそこの出来だと思います。終了15分前までは前者の映画とみなして耐え忍ぶ鑑賞を続けていましたが、里親となるはずだった夫婦が離婚する場面を目撃し、ジュノの父親に向かって「愛し合う2人が永遠に一緒にいることはできないのか」と問い、「外見や性格ではなく、自分にとっての太陽だと言ってくれる人と一緒になりなさい」と諭す場面でやっとこの作品がのみこめました。軽いノリでセックスをしたため、事の以前に意識するはずだった恋に本気になるのはクールではないと決め込んでいたジュノが、自分に宿った新しい命と9ヶ月間過ごすことで、恋と「誰かと一緒にいること」が一気に結びつく場面です。ジュノは出産し、里親となるはずだった夫婦の離婚した妻に子を渡し、お腹の子の父親とよりを戻しめでたくハッピーエンド。恋をしている自分を認め、その思いを伝えることでひとつ強くなれた姿をサブカル感溢れる音楽に載せて贈る青春映画です。でもなんだかなぁ。それを語るための装置として望まない妊娠と養子縁組をフィーチャーするからには相当の覚悟ありやと思いきや、全編に渡るあっけらかんとした軽さは何なのでしょう。シリアスなシーンになるかと思うとすぐに軽妙な音楽が掛かって場面転換。ここまで徹してライトに描く必要が全く理解できません。昨夜見た韓国のドキュメンタリーで、抗がん剤の痛みに耐えながら末期がんのシングルマザーが2人の幼い子供を必死に育てる姿を観たせいか、ジュノというタランティーノばりにしゃべり続ける皮肉屋女子高生のその場をやり過ごすための空疎な言葉の連なりは当事者感が欠落していて、とても比べられるものではありませんでした。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2011-03-26 22:58:22)(良:1票)
18.  長江哀歌 《ネタバレ》 
ダム建設工事が進む長江上流の街をさすらう男女を別々の視点から描いた良作です。高低差のある町並みを静かに追いかけてゆくカメラワーク、ダム建設のために解体されてゆく家屋、汗ばむ男たちの裸体と大河のうねりが絶妙に組み合わさっています。映像の隙間の作り方が素晴らしく、携帯番号を交換するだけのシーンや、扇風機で胸元の汗を飛ばすシーンであっても、思わず見入ってしまう魅力がありました。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-22 22:31:37)(良:1票)
19.  ザ・ロード(2009) 《ネタバレ》 
原作既読です。荒廃未来系の作品が大好きで原作に非常に唸らされパンパンの期待で鑑賞しました。活字の合間から立ち上がる灰色の荒廃した世界を見事に映像化したことにまずは拍手を贈ります。小説の映画化はえてして脳内映像に勝ることが少ないなかではよく作りこまれています。ただ決定的に掛けているのはその見せ方。深い谷をつなぐ荒廃した高速道路、同じ角度で傾き連なっている電信柱など、親子ドラマの背景にしておくには余りに惜しいように思います。荒廃した世界にはショットを固定し、幾何学的な文明の遺物を連ねて映すだけで満腹になったと思うのですが何とも残念です。また、越冬するため荒廃した世界を南に歩いて下るという極めて途方のない感覚は映画では欠落しており、ストーリーは原作に忠実ではあるものの、ハプニングを連ねて飽きさせないように腐心した脚本家の苦心が伺えます。ただ、原作と異なる心地よい感動を得て映画館を後にできたのは、ラストでガイ・ピアース一行の女性(妻?)と少年が会うシーンです。女性が少年に笑いかけながら「あなたを見ていた」と告げたとき私は強烈な母性を覚えました。回想部分も含め全編を通して少年と母親との交流を描いた場面は(原作でも)皆無であり、父親に庇護され命を保証されてきたとはいえ、母親という存在がいかに子供にとって不可欠であるかを感じました。父親とは明らかに異なるやわらかな輪郭と全てを肯定するようなまなざしが非常に印象的です。荒廃した世界に生まれ、父、母、通りがかりの老人とカートを盗んだ男性が世界のすべてだった少年にとって、まさに新しい世界が開けたこのエンディングは素晴らしい余韻をもたらしてくれます。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-05 22:33:56)(良:1票)

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