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プロフィール
コメント数 44
性別 男性
自己紹介 ただの学生
よかったら、ふぉろーみー

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1.  キック・アス
高校の時に、沖縄に行きました。そこで沖縄戦の語り部さんとガイドさんの話を聞きました。沖縄戦の凄惨な部分は家族同士で殺しあったことらしいです。アメリカ軍に捕まったら捕虜にされると吹聴されていたので、自決の道しかなかったのです。しかも海岸線は米兵が取り囲んでいるので森の中で。ナイフや手榴弾もない為、錆びたカミソリで木の枝で石で素手で。こんなもので死ねるわけもなく息絶え絶え殺しあったそう。互いに泣きながら首を絞める。まさに生き地獄。これが沖縄に埋もれかった記憶。語り部さんとガイドの方はこの事実が途切れることを頻りに心配していました。そして泣いていました。僕は広島出身の為小学校の時から戦争教育は盛んに受けている方だとは受けている方ですがやはり衝撃は大きかったです。誇張はあるのかもしれません。一種のパフォーマンスかもしれません。主観的な記憶は非常に怖い。だから語り部さんの話、ガイドさんの話を鵜呑みするつもりは毛頭ありません。でも地に根付く"悲しみ"ではなく"怒り"を感じました。ただ最後のチャンスかもしれない当時の声を聞けたのは非常に幸運だったと思います。 なかなかこういう映画を最高だと評価するのは躊躇いがあります。でも世間一般として熱狂的な人気を呼んでいることは正直怖い現象です。なかなか不安定なこのご時世。戦争については憲法、政治、経済などなど多面的に考えるべきですが、もっとシンプルに倫理的な問題として捉えることは非常に大切だと思います。日本人としての真価が問われている時期だと思います。 ハッキリ言います。殺しをエンターテインメントにする映画は本当に嫌いです。相当な偏見を持っています。この映画は特に酷い。自信を持って0点です。この世から消え去って欲しいレベル。これをエンターテインメントとして許容してしまうなら、映画をこの世から消すべき。
[DVD(字幕)] 0点(2012-02-03 19:47:56)(笑:2票) (良:3票)
2.  火垂るの墓(1988) 《ネタバレ》 
清太の過信、軽率な行動の数々には目に余るものが確かにあるのだけど、14歳の僕ならどうしただろうかと考えてしまう映画 。そして、もし大人なら、清太にどんな言葉をかけれただろうかとも思う。映画を見るときは、恥ずかしいことに大体自分のクズ度は棚に上げて、一々の言動に文句を垂れがちなのだけど、今作は何か人のこと言えないなぁって気分になったかな。何かそういう見方をしてしまう特殊な映画でした。経験なくして、成長なんかあり得ないってのは僕の持論なのだけど、人の痛みは痛めつけられて初めて、分かる。親心は親になって初めて、分かる。清太は節子の死をもって、自身の甘さを心の底から悔いて、思い知ったと思う。あの沈痛な面持ちは筆舌に尽くしがたい程。でも、清太も間も無く、夭折する。これが“火垂るの墓”で一番、残酷なシーンだと思った。自分を正しく知ること、置かれている境涯を知ること、そして、そこで何をするかを判断することは非常に困難だと思った。 これで、何度か観たことになるのだけど、親戚のおばさんがおにぎりを握り終わった際に、手についた米粒を舐めるシーンで、毎回胸を突かれる思いがします。
[地上波(邦画)] 5点(2015-08-26 17:49:35)(良:3票)
3.  おおかみこどもの雨と雪
若干20歳の子供から見れば、素直に感動出来ました。母親の強さ、暖かさははっきりと描かれていたと思います。優しい子になって欲しい、頭が良い子になって欲しい‥贅沢なことに願いはドンドン増えていきますが、"元気でいて欲しい"のこの一言が親が子に込める一番の切なる願いなのだと思います。ハナが雪との別れ際に放った言葉、そして満面の笑顔は素敵でした。 今年から一人暮らしを始めて、トイレットペーパーを自分で買い足すことに新鮮味を感じる身にとっては広島にいる両親のことを思い出すばかりです。母さんの作る料理を「まずくはないけど美味しくない」と言い、太っている母さんに「デブだね。」と言い、浪人した時に「80万あったら車が買えたわ」とボヤく母親に「なら働いたら全額返してやるわ」と喧嘩腰に突っかかったこともありました。情けない。本当に申し訳ない。「体に悪いから炭酸のジュースはもう買わん」というくせにいつも冷蔵庫には炭酸のジュースがそこにありました。そんな僕に甘すぎる母親に本当に感謝してます。昨日はクリスマス。母さんと父さんだけ。結構心配だ。親が子供の幸せを願ってくれるように子供も親の幸せを願っています。遅いですが、メリークリスマス。早いですが、来年も良いお年を。いつか大きくなった姿を見せれたらと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2013-12-26 23:53:02)(良:3票)
4.  横道世之介 《ネタバレ》 
横道世之介の映画ではなく、横道世之介についての映画でした。時には恋のキューピッド、時には親友、時には恋人となり、相手を和ませるような存在である世之介は、まさに作中に登場する世之介の隣の部屋で鳴るベルと重なります。存在が当たり前がゆえに、存在を忘れて、なくなったときには凄く寂しく感じられます。いい奴ほど自然体過ぎるから有り難みって感じさせてくれないからね。そして、そんな世之介は人助けをしたが故に電車に引かれて、亡くなりました。作中では詳しくは語られませんが、どのような死に際だったかは映画を通して見れば、容易に想像出来ます。そのための2時間越えの映画だったと思います。なにより、人の為に死んでしまうなんて世之介らしい死に方ではありませんか。危険を省みず、咄嗟に線路に飛び出したんだろうな。世之介は加藤の真似をして、カロリーメイトを頬張り、赤ちゃんを見れば、すぐに母に感謝の電話してしまうそんな単純な奴だから。そして、本当、世の中って残酷だなってつくづく思う。この前、母と夕飯食べながら、ニュース見てたら、事故で救助しようとした人が二次的に犠牲になったっていうニュースが流れてて、そのとき、母が「あんたはそんな立派なことせんでもいいんよ」ってボソッと言ってたのを凄く思い出した。そんなことがあったから、ラストの世之介の母の手紙は胸に刺さった。 優しく、立派な息子だったから誇りに思うとか、運命として割り切るには酷すぎる。本当酷。
[DVD(邦画)] 6点(2014-11-05 04:57:35)(良:3票)
5.  おもひでぽろぽろ 《ネタバレ》 
分数の割り算のエピソードが物語るように、タエ子は小学5年生のときから、あれこれと考え過ぎな性格で、ちょっと被害妄想気質のヒロイン。良く言えば、感性が鋭いといえるかな。実際、割り算には等分割と包含割の二種類の意味があるがために、分数の割り算を等分割で考えてしまってはイメージしにくいのです。ようするに、彼女の疑問は軽々しく唾棄出来る屁理屈ではなく、めちゃくちゃ良い疑問なのです。少なくとも、“ひっくり返すだけ”で分数の割り算が出来ることなんかより、百万倍の価値があるのです。そんな彼女には汲々と働いて、家路につくのを繰り返す都会暮らしは明らかに向いていないように見えます。だから、山形は彼女の心の聖域だったというわけです。“大人になるということ”は逃げる勇気を持つこと。人はなかなか変われません。ならば、変わる必要はない。環境を変えてしまえばいい。そして、心の赴くまま、素直に進めばいい。一つの立派な決断だと思います。 初恋?初キュンの嬉しさのあまり、空をすいすいと泳いで、布団に着地するシーンはアニメならではであって、その飛翔感たる思いがよく伝わってくるとっても好きなシーンです。
[地上波(邦画)] 5点(2015-08-26 01:10:54)(良:2票)
6.  ハリー・ポッターと賢者の石 《ネタバレ》 
小学一年生の時に母と姉と一緒に見に行きました。そりゃあ本当にワクワクしましたよ。魔法でレンガが動くシーン、箒で空を飛ぶシーン、巨大チェスのシーン。こんな世界があるのかと魅せられました。作品の完成度の不出来はあるけど、僕にとっては大人にとってのスタンドバイミーであったり宇宙戦艦ヤマトと同じです。幼い頃に感じた興奮は他には代え難いものです。
[映画館(吹替)] 8点(2014-03-24 22:16:52)(良:2票)
7.  レ・ミゼラブル(2012)
泣いちゃいました。初めてです。俺も映画見て泣くようになったんだなって。驚きました。終始、セリフではなく、歌です。状況説明ではなく、溢れる想いを体で表現します。その声、それ以上に表情に感動しました。平穏の時代ではなく、革命期に生き抜いた彼等にしか歌えない歌、表現出来ない顔だったと思います。悩み、苦しみ、笑い、必死に生きた市民が良き未来を見据え、国家を憂い革命を起こす姿は鳥肌がたちます。そんなフランス革命期を感情を一面に押し出すミュージカルで演出するのはピッタリだと思います。この感動を言葉にするのは凄く難しいです。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-10-11 11:08:01)(良:1票)
8.  永遠の0 《ネタバレ》 
反戦というよりかは“戦争の風化”の方に重きを置いているように思いました。この一点というか、“関心を持つ”ということには非常に共感をするのですが、ストーリーは恐ろしく説明的で、相変わらず三浦春馬は爽やかミュージカルを絶賛公演中であるし、ラストの方は激甚なカオス状態であるし、僕には見るに堪えない出来でした。映画を観るなら、原作者の生い立ちも見ろと言いますが、百田尚樹はどうもいけ好かないのはなんででしょうかね。彼は何かを分泌しているのでしょうかね。週刊誌は相変わらず反日が大好きなようで、テレビはこぞって戦後70年特番の嵐で、雁首揃えて中国、韓国は歴史問題に拘泥するわ、政府は集団的自衛権を抑止力だと言い張るわで、戦争問題が経済問題やビジネスの隠れ蓑となってしまっているのは本当に悲しく思います。どちらにせよ、これ観て、戦争に少しでも関心を持って、原爆ドーム行くなり、おじいちゃんに話聞くなりして、感動の涙も忘れるくらいのただただ恐ろしいだけの先の戦争の記憶について目を逸らすことなく、考えることに繋がるのならば、この映画の価値も生まれるのかなと思います。
[地上波(邦画)] 2点(2015-08-16 02:15:18)(良:1票)
9.  紅の豚 《ネタバレ》 
主人公が人だったら痛い映画になっていたのに、豚にすることがジブリのすごさ。爽快です。
[DVD(邦画)] 6点(2011-12-25 18:51:30)(良:1票)
10.  そして父になる 《ネタバレ》 
本当の子供とは血の繋がった子なのかそれとも共に過ごした子なのか、そしてどちらを選ぶのかを問う映画では決してなく、まさしくタイトル通り「父になる」、父とは何かを問う映画だったと思います。福山雅治はどちらの子にも失格の烙印を押され、父親の責任、意義、そして素晴らしさを子供達から学んだように見えます。こんな僕が父になっていいのか?でも、父になりたいと切に願う僕にとって胸を打たれるような映画でした。結局父とは何かは分かりませんでしたが、もしいつか我が子を授かう日が来れば生涯をかけてちゃんと我が子を愛せているのか、ちゃんと父として務めているかを、そして父になるとは?ということを自分の心に常に問うて生きていかなければと気持ちを新たにさせられました。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2015-02-06 15:46:10)(良:1票)
11.  ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1
悲しい時は踊れば笑顔に出来るなんて。ハリー、勉強になるなぁ。
[映画館(字幕)] 6点(2015-02-27 22:30:37)(笑:1票)
12.  情婦 《ネタバレ》 
衝撃のラスト!?に目を奪われがちですが、ウィルフリッド卿が胸ポケットに忍ばせている葉巻を目ざとく見つけて依頼を引き受けるシーンや警察に葉巻を渡すと思いきやどさくさに紛れてネコババするシーンや鏡の反射を使いナイフの場所をヘルムに示唆するシーンのように本筋からは離れた一瞬のシーンから高い完成度の脚本による細かな演出と監督自身の今作への愛着が全体に行き届いていることが伺えます。痒い所に手が届くというかこういう気配りが堪りません。またこれらのことがウィルフリッド卿という人物について考え、愛着を持つことにも大きな作用を働かせています。ネタバレ厳禁というストレートなメッセージからも監督が本当に多くの人に楽しんでもらいたいという映画大好きな一人のファンとしての気概を感じます。
[DVD(字幕)] 6点(2015-03-15 13:32:18)(良:1票)
13.  苦役列車
最後の最後に貫多はやっと変わることができた。それは月日が流れたからでもなく、殴られて裸で捨てられたからではない。同類だと思って憐れんでいた高橋が夢に向かっていたからだ。変わる機会はいくらでもあった。正二に「お前はいい奴だよ。」と言われた時。康子に振られた時。高橋が怪我した時。元彼女とあった時。正二に見放された時。そして父親が性犯罪をした時。僅かな気持ちの変化はあったけど、人生を諦めていた。三年後、映画の冒頭と同じで、ソープから出てくる。努力をするわけでも、父と同じように犯罪に手を染めるわけでも、自殺するわけでもなくただただ漫然と不満を抱えながら過ごしていた。でも、最後に変わることが出来た。パンツ一丁で本を書くシーンは原作にはありません。山下監督はどんなダメな奴でも、運が悪いやつでも変わることができる。人が変わることは本当に本当に難しいけど、変われる。変わっても99%無駄に終わるけど、成功するかもしれない。監督はそういう希望を表したかったのだと思います。原作を書いた西村賢太は映画のリメイクを厳しく非難しています。彼は人生の不条理さを徹底的に表しています。変われない人は一生変われない。負け組だと。辛いけど、原作の方が現実だと思います。人はそう簡単には変われない。でも、そんなのは嫌というか、真っ向から立ち向かってやりますよ。若いうちぐらい夢を見てやりますよ。そして、絶対、叶えてやるし。
[DVD(邦画)] 7点(2014-03-08 18:38:34)(良:1票)
14.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 
狙い研ぎ澄まされていたはずのイーストウッドの照明、音、その他演出諸々が若干スベっているのでは、というのが第一印象。“フルメタルジャケット”を彷彿とさせる訓練シーンでは、虹が映ったり、西日が差し込むなど、いささか綺麗に撮られ過ぎてはないだろうかな。と思いきや、炎の揺らめきの陰影はやや甘い感じ。追いかけるのが主体のカメラ使いなのですが、待ちがなければ、スナイパーとターゲットの距離感が掴めない。ここら辺のサスペンス感も欲しかったところではないかな。 ただ、奥様の陣痛のタイミングはいいって思いました。 戦争映画という陥穽に陥ってはいないのは明々白々であって、やっぱり、そうだと決め付けるのはやや早計といったところ。山があったから山に登ったと登山家は言いますが、蛮人がいるから、スナイパーは蛮人を撃つとは言い切れない。映画的な要素を犠牲にしたとしても、そのバックボーンと煩悶と苦悩を描くあたり、クリス・カイルの敬意を最優先したのかと勘ぐってしまいます。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2015-11-08 13:16:08)(良:1票)
15.  ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 《ネタバレ》 
時折、あまりにも情緒的に取り乱すオスカーに共感することが出来る一方で、戸惑うことも多くありました。全体的に冗長な説明はないため、人物の表情だとか息づかいから人情の機微をはかることが出来て、より一層映画に深みを出していますが、その中でオスカーやオスカーの母をはじめとする不慮な事故に対して悲嘆に暮れる登場人物にどれだけ共感でき、思いを寄せられるかがこの映画を評価する上で非常に大切だと思います。その上で実際に起ってしまった事故を題材としているため、今作が独特な雰囲気にどうしてもなってしまっている点はどうしようもないことですが、事故に対して見る人の個人的な想いを拠り所にして説明を省いているのなら映画としての評価をとても難しいものとしていると思うし、個々個人によって大きく評価が分かれるのも仕方がないと思います。 私的には、世界観に置いてけぼりになることもありましたが、鳴り響く電話の緊迫したシーンの演出、多くの人との出逢いを生み出した父の残した鍵の謎の導入のアイデア、そしてなにより人と人との繋がりに不幸から立ち直る希望を見出したことにとても共感を覚えました。その希望に沿って、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」というタイトルもオスカーの感じる生きづらい世界を表しているだけでなく、大きな意味において煩わしくもあるが、それでも素晴らしい人間関係の難しさも表しているようにも感じました。
[DVD(字幕)] 6点(2013-09-25 22:36:22)(良:1票)
16.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
左右のスピーカーから話し声が聞こえてくる。奥から宇宙船が近づいてくる。開始1分で魅了されました。凄すぎる。なんか顔がにやけてしまいました。本当に映画館で見れて幸運でした。 
[映画館(吹替)] 7点(2013-12-16 19:05:59)(良:1票)
17.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
人生の主役はあなた自身だ、という言葉があります。まさにその通りで、その他大勢は皆脇役でした。唯一、瑛太が観客の役回りで私達の目線と重なります。よって主役は松子。シンデレラを演じるか、はたまた稀代な悪魔女を演じるかは松子の自由なわけです。しかし監督や脚本の全てを主演松子が担うわけではないのです。人生にストーリーの起伏を与えてくれるのはあくまで他人です。この思い通りにならない運命という歯がゆさこそが人生の難しさでもあり面白い所でもあるのです。しかし、何を演じるか、またどう感じるかは主役の主導権。それは一貫してファンタジー調に描かれる演出から容易に想像できます。煙がかったフィルター、ファンキーなフィルターは松子の感情にそのまま直結してゆきます。 裏切られた末に引きこもり、もう恋なんてしないと腹を決めたような松子は死に際、自身を姉と慕ってくれた妹に思いを馳せます。松子は決して愛を与えられていなかったわけではないと思うのです。ただ酸いを少々経験し過ぎて、自身を愛せなかったから、その自分を愛してくれる愛を素直に信じることが出来なかったのではないかと思います。 屈折した感情ですが、共感出来ます。 告白から始まり、中島哲也の映画はこれで4本目です。癖のある映画を撮られていますが、他の監督とは一線を画して、センスがあるのではないかと感じます。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-02 18:47:17)(良:1票)
18.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 
主演が三役を演じるなんてふざけている。気づいて見ればタイトルからふざけてた。妄想から越権行為を行うリッパー将軍。抑止力の意味を成さない「皆殺し装置」。徒労な活動を続けるスパイ。選民議論に熱を帯びる首脳陣。そして冷ややかな視線の中、自身の手と戦う博士。青天の霹靂、博士が叫ぶと同時に、こっちもふざけんなと心の中で絶叫するとともに物の見事に世界滅亡の後、無事終幕。一見重厚感のある空気感と間の抜けた科白のギャップが最高でした。歴史を振り返ったら呆れれるような私利私欲に塗れたことから大事件が勃発することもしばしば。人間の理性はそれほど不確かなもの。「ウザい」や「キモい」などの言葉をLINEやTwitterで使おうとしたら一旦警告サインを促すだけで使用率がグッと下がるらしいです。この大発明は馬鹿になりません。論理立てて相手を非難しても誰の心には響きません。なら相手に悟らせるユーモアこそ唯一の手段かもしれません。冷戦で一触即発の中放り込まれた今作によって第三次世界大戦が踏み止まったと思うのは少々大袈裟ですが、行動する前に一旦冷静に立ち止まって考えることは人を正しい行いに導いてくれます。反戦映画というより根源的なテーマをユーモアで伝えてくれる馬鹿な人類に送る最高の教育映画でした。
[DVD(字幕)] 7点(2015-03-13 01:44:59)(良:1票)
19.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
アンジーが息子の死を知るちょっと前に、観客にはその悲劇的事実を示す。主観的に演出を出来るシーンをここであえて引いて描く。逆に生き残った子のエピソードのように感傷的に描くシーンは多い。システムが汚職を生み腐敗を呼んで引き起こされたあり得ないような事件を語るにはあまりにも主観でも客観では語れません。それほど怒りのやり場がない事件でした。だからこそイーストウッドは希望をそっと代わりに残します。怒りを希望に。悲しみを希望に取り替える。あくまでそっと。 システムこそが人を蝕み人と人を傷つけ合わせますが、人を救うのは人であると思います。しかしそれは頑張れ、前を向け、それを息子も願っているはずだという強烈な励ましの中に埋もれる、あくまで自分のペースでと気さくに食事に誘う同僚や上司のような励まし。希望なんてない事件に、あえてかつそっと、希望を残しエールを送る今作は声を大にして好きだと言えます。エンドロールは人が歩き、電車が通る平凡な街を画面いっぱいに映す出す。ただそんな平凡の日常であるが奇跡的な日常をアンジーを願っていたかと思うと言葉がありません。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-06-13 22:00:33)(良:1票)
20.  山形スクリーム 《ネタバレ》 
めちゃくちゃな映画を作る時には、自分は確信的にめちゃくちゃにしてるよっていうサインを示すことが大事だと思います。めちゃくちゃな映画は学生でも作れる。でも、既存の概念を打ち壊すには精緻な計算がなされています。そこをはき違えてはいけないよね。どうやって作られたかは知らないが、何と無く面白そうじゃねっていうノリが悪い方向に出てんじゃないの。
[DVD(邦画)] 2点(2012-01-05 16:05:37)(良:1票)

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