1. ゲド戦記
《ネタバレ》 テレビで久しぶりに観たが、少人数による舞台劇みたいだった。実力のある背景スタッフの参加がもったいない。アニメーターによる演技、役者による声も「大根」だと思った。特にウサギ(香川照之)が酷かった。 「主人公・アレン」は狂ってる。主人公なのに目的が不明なまま進み、最後までワカンナイ。またどんな王子で、なぜ父親の王を刺したか。行動の全てがワカンナイ。ハイタカオヤジが何者かなど、重要なこと全部がワカンナイ。 ヒロインも頭がおかしい。どんな形であれ、「命をかけ救ってくれた主人公」に礼を言うのが礼儀。だがその逆の態度で去り、再会しても嫌ってばかり。それが屋外でずっと直立不動で歌い、あっさり仲直り。本当に狂ってる。そして「実は竜でした」って、伏線なしだから唖然。馬鹿らしくなった。 王から奪った「呪いで抜けない古い剣」を映画の最後に抜き、ボスの腕を切る。どんな剣か不明のため、何も感動がない。なぜ抜けたかも不明だし。それに(クモの魔法による)心臓の傷みはどこに? 余談だが、あの剣は「父親・駿のチカラの象徴」と思った。 監督は「命は何より大切だ」と言いたいようだが、それはまるで西崎Pが『ヤマト』で繰り返した「テーマは愛です」みたいで、空虚な言葉。 そして腹が立つのが、監督が映画内でもパンフでも、「いまの世の中、人間がおかしくなっている」と主張していたこと。おかしいのは吾朗自身だし、主人公は真性のキチガイ(父親を刺したのに、立派な父と評し、刺した理由が不明だから)。 演出経験なしに劇場用アニメを監督。そして「観客のほとんどを失望させた」が反省がない。全然ないと思う。「ごめんなさい」と王子様は言わないってわけか。「王子・吾朗」は、この監督一作めでは脚本を書いたが、二作めの『コクリコ』では「王・駿」が脚本を担当。脚本を書かない監督は「作家」じゃない。三作めも演出家に徹するのか(実は楽しみ)。★自信をもって0点! 【追記 2017年12月】 今年から、宮崎駿(王様)が新作長編アニメを制作中らしい。 吾朗(王子様、もうすぐ51歳)は何をしているのだろう。 『コクリコ坂から』は2011年夏に公開されたが、長編次回作の噂を聞かない。 【追記 2021年12月】 長編アニメ『アーヤと魔女』は昨年末にTVで放送され、今夏に劇場公開され、今年また放送される(12月31日午後3時5分からNHK総合で再放送)。『アーヤ』の原作は海外の小説で、今回は吾朗監督は脚本欄に名前がない。つまり彼は映画監督ではあるが、作家ではないのだろう。宮崎駿監督は作家であり、ジブリで脚本を他人に任せたことは一度も無い筈である。 [地上波(邦画)] 0点(2014-01-18 03:26:02)(良:3票) |
2. 天空の城ラピュタ
《ネタバレ》 主人公パズーは、炭鉱で働く一人暮らしの少年。 いつか、父親の追い求めた天空の城ラピュタに行くことを夢見ている。 そんなパズーのもとへ、美少女シータが舞い降りた。ラピュタは本当にあったんだ! 少年パズーの大冒険が、いま始まる! 映画『ナウシカ』の次回作は何だろう。 当時、月刊アニメージュの最新記事がとても楽しみだった。 宮崎駿はまだ四十代半ばだった。 【追記 2017年2月11日】 さて、ストーリーというのは「受け手主義の人」にとって、二度目は退屈だ。 この映画の話は、分かりやすく消化・吸収しやすいから尚更。 それでたぶん、『ラピュタ』は退屈という感想が多いのだろう。 だが「創り手視点」で観る癖がついてる人にとって、この映画のスジは興味深い。 確かに初見でも予想しやすいスジだが、驚きのエピソードも多いので感心してしまう。 何より、各キャラのバックストーリーの存在が楽しい(つい想像してしまうのである)。 [映画館(邦画)] 10点(2016-08-13 08:22:27)(良:2票) |
3. スペル
《ネタバレ》 男性なら、となりに、美女や美少女が座ったら嬉しいものです。 でも! 実はオカマとわかった瞬間、嬉しくないものでしょう。 さて、この映画はサムライミ監督作です。それを前提に観たかどうかで評価が大きく変わります。 原題は「私を地獄へ連れて行って」です。 観る前にタイトルでネタバレしてる馬鹿映画、コメディ映画なんですね。 さてあらすじ。 主人公は、老婆の住宅ローン延期(三度目)を断ります。 その理由は、いま出世争い中で、上司から決断力を試されているからです。 私の知る限り日本の会社員は、主人公と同じ事をして出世していくものでしょう。 だから主人公はごく普通の会社員であり、何も悪い事はしていない、そのはずなのです。 って、アメリカが舞台の映画ですが。 がっ! 老婆は死の呪いをかけました。三日後に確実に死ぬ恐ろしい呪いです。 ひでェ~婆ァです。 ところで主人公は結婚前の若い女性です。 金持ちで優しいフィアンセもいます。 そんな将来ある主人公を、老婆はものすごく苦しめたあげくに殺したわけです。 ラミアの呪いを知った上でかけたのだから、殺したと同じことです。 だから老婆は徹底的に悪人です。 主人公は何も悪くないのです(現代社会的には)。 主人公は子猫を殺しましたが、命が助かるなら誰でも同じことをするはず! みんな、牛豚鶏の身体を食べてるでしょ? 何が悪いんでしょう? 仕方なかったのです。 もし私が老婆と同じような立場なら……、主人公をすごく怨むことでしょう。 が、殺すなんてとんでもない。せいぜいが、一週間寝込む程度の呪いで充分です。 これはあくまで映画で、面白ければ良いのです。 私は最高に楽しみました。だから10点満点なのです! [DVD(字幕)] 10点(2016-06-27 16:20:56)(良:2票) |
4. ペーパー・ムーン
《ネタバレ》 傑作! 何度でも観たくなる。 脚本がいい。セリフがいい。役者も何もかも全てがいい。 だが待てよ。二人は詐欺師だ。 この二人は、金持ちか悪人にしか詐欺はしないって? それは違う。 金持ちに見える貧乏人がいるのが現実だ。個人の判断は、個人の判断でしか……ない。 9歳の女児なら可愛いが、19歳の女詐欺師はもう可愛くないよ(フィクションなら別だが)。 二人のピークは映画の中の間であって、これから明るい未来はない気がする。 そんなふうにしか生きられない人たちがいるのは、仕方がないことかもしれないが。 現実の詐欺師って、映画のようにステキじゃない気がする。いや、そうだろう。 だがこれは映画だ。現実なんて関係ない。いい映画だね。何度でも観たくなる。 ところで、主役の女児の腕毛がすごいね。まるで毛深いおっさんだ。 【追記】2016年11月28日 女児の腕毛は別に珍しいことじゃない。 白人の美人女優でも腕毛の処理を全くしない人が多いみたい。 東洋人の毛深いおっさんより、白人の美人女優の方が毛深い気がする(色が薄いから気づき難いが)。 [DVD(字幕)] 10点(2016-09-15 11:02:51)(良:2票) |
5. 時をかける少女(1983)
《ネタバレ》 この映画は、たぶん、ヒロインの芳山を演じた原田知世の映画。 知世を観るためだけにある映画だと思う。 と同時に、相手役の青年の祖父母のやりとりを観るとき、とても悲しくなる。 「土曜日の実験室」 1983年当時の、いろんな思い出が蘇る映画。 個人的に大好きな映画。 さて、筒井康隆の原作を読むと、映画とは違う印象でした。 この映画は、たぶん、これから五十年もしないうちに価値が大幅に下がる気がします。 でもいいんです。それがアイドル映画というものでしょうから。 【追記】2017年3月12日 エンディングが好きだ。大好きだ。歌と映像が好きだ。 若手俳優の演技は棒だし、映画のクオリティは低いのだろう。 それに、原田知世の写真集を買いたいと思ったこともない。 でも、大好きな映画なのは、同世代だからなのかもしれない。 [DVD(邦画)] 10点(2015-09-27 15:55:05)(良:2票) |
6. クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王
《ネタバレ》 1992年4月から放送され、現在も放送中のTVアニメ『クレヨンしんちゃん』劇場版の第一作め。それがこの『アクション仮面VSハイグレ魔王』で、テレビ放送開始の翌1993年7月に公開された。テレビ版は三つのエピソードで構成される30分番組。そのため映画版も同様にする案があったらしい。 さてこの映画、長女ひまわりが出てこない(出るのは1997年公開の五作目から)。原作やTVアニメ版と違って、主役のしんのすけは特別な存在として描かれる。しんのすけが自分で考えて行動するストーリーになっている。家族とじゃなく、仲間とでもなく、一人(と一匹)で敵に立ち向かっていく(20年くらい観てないから記憶で書いた)。 泣けるぜっ そんなスペシャルな作品に「10点以外」はありえない。 だから★10点差し上げる。 [レーザーディスク(邦画)] 10点(2018-07-24 12:07:31)(良:2票) |
7. じゃりン子チエ
原作とテレビ版を楽しんだ。この映画版はテレビ放送で観た。 どれも面白いが映画版は声優に違和感がある。チエとテツはテレビ版と同じで最高だけど。 この映画版(1981年4月公開)があるから、テレビ版(1981年10月から)がある。 大塚氏の著作を五冊読んだ。会って話したこともある(名刺もらった)。 テレコムの原画マンを確認する私にとって、この映画は「良いもの」。 この感覚は私のような、アニメ技術が好きな者にしか分らないだろう。 ところで私はビールが好きでワインは飲まない。千円と十万円のワインの違いが全く分らないだろう。 だからワインの悪口は言わないというか、言えないし、言いたくない。 アメリカのテレビには『ザ・シンプソンズ』があるが、日本のテレビには『じゃりン子チエ』がある。 [地上波(邦画)] 8点(2016-02-25 11:09:55)(良:2票) |
8. 容疑者Xの献身
《ネタバレ》 「好きな人を助けたいなら殺人OK」と推奨する映画。 なぜなら、主人公による殺人を「美談」にしてるから。 私はホームレスは嫌いで、近くにいたら息(呼吸)を止める。 でも殺してもいいとは思わない。だって同じ人間じゃないか(棒読み)。 ところで、ゴダイゴのヒット曲『ビューティフルネーム』が好きだ。「♪なまえ、それは、もえる、猪木」。 たぶん石神は、殺したホームレスの人の「名前」を知らない設定。 「愛する女性を救うため仕方がないんだ。あんたが誰か知らないが、悪いが死んでくれ!」 「はァ?」 今敏監督の映画『東京ゴッドファーザーズ』が好きだ。 ホームレスといってもね、色んな境遇の人がいると思いますよ。挑戦して大失敗、保証人で夜逃げ、家出など。 殺人は起こる。だって人間だもの。 でも、人を道具扱いして殺した男の物語を「美談」にしてるこの映画はね、やっぱりね、ダメですよ。 ★文句無し、躊躇なく0点! 【追記】 サム・ライミ監督作『スペル』の主人公の女性は、死の宣告を他人に肩代わりしてもらえる人を探す。たとえばホームレスを見るとき、迷い、罪悪感を感じる。 だが、この映画の主人公の男は、愛する女性が逮捕されないためにホームレスを殺し、罪悪感がない。テレビ放送ではそう思ったし、主人公はホームレスの人生を完全に無視していた。それが人間の現実かもしれない。だが映画でそれは困る。 【追記2 2024-05-15】 難病の幼い我が子(娘)の手術費用のために、本を読まない男が、大金だけを目的に「名前も作品も知らない人気小説家」の家に強盗に入って大金を得る。我が子は海外で手術をして、大成功してニュースにもなるという話。酷いことに、男は強盗の時に小説家の幼い娘を「顔を見られた」という理由で殺していた……。 犯人の男は身勝手だが、父親として、我が子を助けるために必死で強盗をした。もし逮捕されれば、我が子は殺人者の娘ということで非難されるため、絶対に捕まるわけにはいかない。犯行を有耶無耶にするため男はある行動をして成功し、犯行は永久にバレることはない…という話。 さて、もしそんな小説がヒットして、さらに感動作として映画もヒットすれば、その映画を観る小説家や小説家志望者が大勢いるだろう。だけど、どんなに映画が面白かったとしても、小説家とその娘が被害者だから、小説家や小説家志望者たちはとても不愉快な気分になるような気がするのである、たぶん東野圭吾氏も。 【小情報 2024-05-15】 文藝春秋の「オール讀物」2005年9月号の405頁で、この『容疑者X』の作者東野氏が自作『容疑者X』について「会心作です」と語っている。 [地上波(邦画)] 0点(2014-06-16 06:20:37)(良:2票) |
9. 銀河鉄道999
《ネタバレ》 松本零士の世界、『999』原作を熟知してるかどうかで、評価が大きく変わるのかもしれない。臭い台詞が楽しめるかどうか、音楽のタイミングに痺れるかどうかでも、評価が大きく変わる気がする。少年向けだから、そうじゃない人には何も残らないのかもしれない。が、ここまで完成度の高いアニメ映画はめったにない気がする。ダイジェストなのに、そうなっていない奇跡のアニメ映画。 エメラルダスって誰? トチローって日本人で、設計技師で大金持ち? 二人は恋人? ハーロックはなぜ強いのか? ハーロックだから。 理由は他に全くないのだが、それが受け入れられるかどうか。 つまりムチャクチャな設定がいっぱい詰まってるから、知らない人には意味不明の気がする。「男なら、負けるとわかっていても戦わなくてはいけないときがある」など、松本美学がたくさん詰まってる映画。 エンディングの歌は、この映画と120パーセント「シンクロ」していて、「21世紀のジブリ、押井守、細田守などのなんちゃってアニメ」とは全くの別次元(時代もあるだろうけど)。これが少年向けファンタジーアニメの王道でしょう。さらに付け加えるなら「男のロマン」のアニメ映画。★10点差し上げる。 [DVD(邦画)] 10点(2018-07-22 22:05:40)(良:2票) |
10. アフロ田中
《ネタバレ》 この『アフロ田中』を観て、『タクシードライバー』を思い出した。田中は三人の女性と関わる(デブ、ユミ、アヤ?)。どの女性も無神経で自己中。特にヒロインは自分から誘っておきながら、最後にアレだもん。●ピュアな女性に出会ったことは一度もないが、ピュアな男はいっぱいいる。●最初から最後まで笑った。男たちが共感する映画。DVDのコメンタリーも楽しんだ(原作者・監督・主演)。何かがちょっとだけ足りないので9点。 <追記>感想を書いてから約二年、6人による低い評価ばかりが並んでる。この映画、童貞マインドをもつピュアな若者(主人公の男)に共感できないタイプなら、見ない方が良いのかもしれない。だけど好きな人には「何度観ても楽しい映画」なんだよね。★9点から10点に変更する! [DVD(邦画)] 10点(2013-12-31 03:13:33)(良:2票) |
11. おおかみこどもの雨と雪
《ネタバレ》 なぜこの映画が嫌いなのか。●名無しの旦那(狼男)は、どういう人生だったのだろう。天涯孤独で友人が「一人も」いなかった。そして東京の国立大学で無断で聴講中、(同じく)天涯孤独な女子大生・花(主人公)から声をかけられて付き合い始めた。●もし私が狼男なら、子供を作ることに躊躇する。だがこの狼男はすぐに作る。「できた」んじゃなく、凄く作りたかったんだと思う。●在学中の女子大生に二人も産ませて、育児放棄。家を無断でしばらく出て、あっけなく事故死する。●もし私が親なら、「特殊なDNA」を伝えた子供たちに申し訳なく思う。「産ませてすまん」と罪悪感に苦しむだろう。でもこの狼男は逆だと思うんだ。●無口の設定のようだが、どう育ってきたのか。それを子育てする「花」に色々と詳しく話すだろうし、義務だと思って色々とノートをつけるだろう。子育てを放棄しているんだからね(そう見えた)。●この映画、無責任な男女が何も考えず子作りした話だと思う。美談にしてるけど「逆だ」と思うから嫌いなんだと思う。●主人公・花は、二人の子供たちを実は祝福していないし、できないと思う。産んだことには罪悪感は全く感じていないようだ。むしろ、(旦那と同様に)狼男の遺伝子をつないだことを誇らしく思っているように思う。そこがね、何か嫌なんだな。「いいお母さん」のフリしているけど、あんたには「化け物!」と言われて阻害される恐怖がワカンナイと思うんだな。ふつうの人間だからね。●それで大ヒットでしょ。21世紀の宮崎アニメみたいに、「ブランドを有り難がる層」による大ヒットとしか思えない。だから腹が立つんだと思う。●この映画の脚本を書き、監督した細田守が大嫌いだ。さらに小説版を3種類も出していることに呆れる。でも売れてるらしい。「他に読む本あるでしょ」って思う(余計なお世話か)。 <追記> <注意>『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のネタバレ有り。 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の主人公は、息子のことを心配する。遺伝のことで、産んだことを自責する。それが親だと思う。だが、この『おおかみ』の両親は狼人間の遺伝子をつないだことを誇らしく思っている(ように見えた)。 現実に「おおかみ人間の遺伝」はない、存在しない。だから他の何か(国籍や部落)を意味しているのだろう。 『桃太郎』の鬼が、白人を意味しているように。 [地上波(邦画)] 0点(2013-12-21 02:08:06)(良:2票) |
12. 真夏の方程式
《ネタバレ》 ある弁護士が言ったそうだ。「法律なら、いかようにも解釈してみせましょう」。●この映画、発端は、若い頃モテモテだった妻の浮気と妊娠である。隠した結果、家族三人の全員が罪人だ。二人も殺されている。緑岩荘は「地獄の旅館」だと思うし、幼い少年まで巻き込んでいる。●前作『容疑者Xの献身』は、ホームレスの命を屁とも思わない連中が、互いに思いやり叫び合う映画だった。今回は、「平穏な家庭を維持するためなら、殺人も冤罪も仕方ないよね」って家族が出てくる。善人を装う、臆病で卑劣な、秘密主義の家族である。●雪のふる中、15歳くらいの少女が、さっき出会ったばかりの悪女を、包丁持って追いかけて刺し殺した。「でも真面目で利口で優しい子なんです」「えっ?」■脚本の福田は、壮大な実験をしているのかもしれない。「涙なんて簡単に流せますよ」って。★もしそうなら愉快なので、10点差し上げる。実際、成功しているようだし。■追記■2週間、お遊びで、51人中「唯一人」の10点にしてた。でも、やっぱり0点。★当然だよ♪ [地上波(邦画)] 0点(2014-06-22 02:21:31)(良:2票) |
13. ナポレオン・ダイナマイト
人間はみな、例外なく、グロテスクで間抜けだ。マンガやアニメでは「人間が綺麗なもの」として描かれることが多い。だが、そんな人間は「いない」。みんな鼻糞ほじってる。ははは。笑うしかない。日常には変な間(ま)がいっぱいあって、どーしよーもない。そんなことを「面白く」切り取って見せてくれた映画だと思う。旧タイトル「バス男」は、それはそれで良かった気もするが、でも腹は立つ。★10点! [DVD(字幕)] 10点(2015-07-18 00:51:48)(良:2票) |
14. 喜劇 愛妻物語
《ネタバレ》 2022年、映画の中古DVDをたくさん買った。 でも買うだけで観ていない。 『喜劇 愛妻物語』(2020年)は2022年に観て、一番良かった映画。 主人公の男(売れない脚本家)は迷惑な男だ。 でも結婚して子供もいて、怠惰な毎日で、本当に迷惑な男だ。 男が怠惰な生活ができるのは、妻が稼いでいるから。 しかしこの男、画面の中にいるぶんには愛嬌があって楽しい。 映画の中で、最初から最後まで楽しませてもらった。 喜劇だけど、映画のスタイルとしてはコメディじゃない。 小説で、直木賞と芥川賞のどっちかといえば芥川賞である。 直木賞はエンタメで、芥川賞はエンタメじゃない。 さて、マイナスなのは一人娘の女児に個性がなかったこと。 でも、出しゃばりゼロだから夫婦二人に集中できて良かったのかも。 夫は、今の日本社会から見れば人間の屑だろう。 映画だから笑える。もし男の親や親戚だと笑えない。 しかし屑がいるから、世の中は面白いのだ。 暴力とか窃盗とかの犯罪者の屑は社会の迷惑。 しかしこの映画の主人公の男には子供がいて育てているし、犯罪者や不倫男と比べたら立派な男、かもしれない。 [DVD(邦画)] 9点(2023-01-09 18:06:40)(良:1票) |
15. インスタント沼
《ネタバレ》 初めて気付いたが、感想じゃなくて「一口コメント」と書いてある。知らなかった。 さてこの映画、いつもの三木聰監督の映画だった。主人公は雑誌の編集長。部下がいて、なんだかすごく偉そうな我侭な女(関わりたくない)。母親と暮らしてきたが、その母が死に(死んでない、笑)、雑誌は休刊して、なんだか退社。一人ぼっちになったので、顔も知らない父親に会いに行く。父親はまるで詐欺師の愉快な古物商の男。ガラクタばかりの店だが、そこに美人の未亡人が現れて……。 主人公の女性は、急に人生が下降した。何で? そう思って、なんか知らないが努力する話。雑貨屋を開店したり。で、相棒は大人しめで技術系のパンクロッカー。でもとっても親切な男。つまりこれ、バディムービー。 ラストは、明るく楽しく「テーマ」を演説して終わる。反則だ! でも三木聰の映画だから全てオッケー! とても面白かったけど、面白いだけだったので「★10点」は差し上げない。 [DVD(邦画)] 8点(2018-05-20 22:18:50)(良:1票) |
16. 百万円と苦虫女
《ネタバレ》 主人公の若い女性が家出して、引越を続けながらいろんな仕事をするのが面白かった。 そして最後に男ができて、だけど男女はすれ違って会えない(会わない)。それが良かった。 主人公は正直者だ。 桃娘だったっけ? 拒否するとこが痛快だった。 他の人も書いてるが、カキ氷の才能は確かに愉快。 他人に褒められるというのは嬉しいものだ。遺伝子に組み込まれてるから? たまにはこんな、ふつうの人たちの映画が観たい。 たぶん製作費は、ハリウッド大作映画の一万分の一以下だろう。 内容のない大作の洋画より、内容のある低予算の邦画が観たい。今作がそれ。 [DVD(邦画)] 7点(2016-12-22 13:03:38)(良:1票) |
17. イージー・ライダー
《ネタバレ》 さァ、いきなりネタバレだ。主役の二人は、ラストで銃殺される。田舎者のおっさんたちから、理不尽に銃殺される。理由は「髪が長いから」「何者か分からんから」。こんなの日本じゃありえないよな。って違うな。日本社会そのものだ。だって日本社会でのベストは、「考えるな」「ルールに従え」だから。なんて考えていたら、「たぶん世界中どこも同じ」と思えてきた。なぜなら、脳は世界中でみんな一緒だから。それに人間の脳は、十万年、全く変わっていないんだってさ。 [DVD(字幕)] 8点(2015-11-05 13:16:14)(良:1票) |
18. 太陽の王子 ホルスの大冒険
《ネタバレ》 なつかしい映画。良い映画。 では、あらすじを。 強い少年が主人公で、彼の家族が全員死に、たった独りになって旅に出る。 そして人間の村に行き、村人たちと協力して悪魔を倒した。 大塚康生氏のキャラの絵と動きが好きなので、観てるだけで楽しい。 その大塚さんとこの『ホルス』を観たことがある。観終わって、大塚さんに感想を言って、そのあと一緒に酒を呑んだ。 ヒルダの歌をたまに歌ってしまう。 音楽もいいし、声優はほとんどが俳優さん(ジブリ映画と似ている)。 もしこの『ホルス』がなければ、高畑監督と宮崎監督の出会いはなかった気がする。 ルサンはピリアに首ったけ。ピリアはルサンに首ったけ(みんなで歌いたいもんだ)。 [地上波(邦画)] 8点(2017-02-04 01:32:05)(良:1票) |
19. es[エス](2001)
《ネタバレ》 ホラーと違い、身近にコワイ映画。コメディ要素がない。 このドイツ映画、金で雇われた男たちが、シミュレーション的に「権力を持つ側と従う側」にグループ分けされ、両者とも狂ってしまう話。コワイ映画だった。 リーダーに指名されたら、早ければその日の内ににリーダーの顔になる。勤務先の辞令も同じで、昇格すればその顔になるし、降格すればその顔になってしまう(たまに定年退職した元部長が、なぜか会社に来て偉そうに振舞って受付で相手にされないらしいが)。 さてこの映画、アメリカでの実話が元らしいが、ここ『みんなのシネマ』の感想で「日本人なら無事に2週間が終わる」と書いてる人が複数いる。私は、アメリカより酷い結果になると思う。看守と囚人、無作為じゃなく在日と分けたら、初日に実験中止かもと思う(笑)。シャイと陰湿さって裏腹。日本人がやさしいは大嘘だ(こう書くと2ちゃんねるで在日認定する「単純馬鹿」がいて嫌になる)。 「人は猿と全く違う」と思いたい。 でも現実はモチベーションが「猿と全く同じ」。本当に全く同じ。 男の目的は「女と権力」で、女の目的は「男と権力」。得られるなら何でもするし、すぐに裏切る。 そんな悲しい嫌な現実に、なんとなく気付く映画。すごく面白かったが、また観たくはない。 [地上波(吹替)] 10点(2014-07-06 13:18:02)(良:1票) |
20. タクシードライバー(1976)
《ネタバレ》 特別な映画。 幼い子供と親が観る映画じゃないし、若い男女が観る映画でもない。 いま再上映したら、意外に、気持ち悪いアニメオタクたちが、楽しそうに、おしゃべりしながら並んでいるかも。「トラヴィス、わかるー」とか言って。 ●「これは俺だ。映画の中に俺がいる!」。 そう思った人には評価が高い映画。 そうじゃないなら、わかんない映画。 で、俺にとってわかる映画。 ●初めてのデートでポルノに誘うなんて。 でも俺には、トラヴィスの行動がわかる。 同時に、ベッツィの反応も当然と思う。 そしてラストでベッツィが近寄ってくるが、トラヴィスはもう彼女に興味がない。不協和音、狂気の一瞬。ハッピーエンドじゃない。終わりの始まり。トラヴィスはまたやる。DVDコメンタリで監督がそう言ってるし、俺もそう思う。 ●町山智浩の『映画の見方がわかる本』(洋泉社)。その第7章は何度読んでも熱くなる。トラヴィスが「元海兵でベトナム帰還兵」というのは、銃を扱うための設定でしかない(P189)とあり、その通りだと思う。 ★特別な映画。10点! [DVD(字幕)] 10点(2015-06-19 07:55:07)(良:1票) |