21. アパートメント(1996)
《ネタバレ》 よく出来た謎解きドラマです。でも、それだけです。主要人物である男女4人ですが、ロマーヌ・ボーランジェ演じるアリスが唯一人、人間味を発揮していただけで、あとの3人は都合よく配置されていた、という感じです。特に、肝心の、ヴァンサン・カッセル演じるマックスの行動は理解不能。そもそも、リザを重要な仕事をすっぽかすほど愛していたの? だったら、リザが姿を消したときにもっと必死に捜せばいいじゃん! かと思えば最後はなにかい、アリスちゃん選ぶんかい? いや、じゃなくって、やっぱ婚約者かい!! と、まー、次々呆れさせてくれるんです。しかし、この映画は「謎解きありき」で作られたと考えれば、そういう疑問はむしろ瑣末なことなんでしょう。おかげで、やたら作りこみすぎです。マックスとリザが、会いそうで会わずにすれ違いを繰り返すところなんか、鼻白むのよ。ただ、謎を解きたい、というのは人間の根源的な欲求ですから、人物造詣なんかお粗末でも、「たった一つの謎」だけで最後まで引っ張られちゃうんです。で、見終わった後、残るものは何もない。「あー、アリスちゃんは、そんなにマックス君が好きだったのねー」という感想を除いては。それにしても、マックスにしろアリスにしろ、一目ぼれだけであそこまでの執念って、それも不可解といえば不可解。フランスじゃ、ああいう恋愛の始まりはフツーなんですかね。とにかく、イロイロ不満が残る作品だけど、モニカ・ベルッチが相変わらずの美しさで、それが鑑賞の目的の一つだったんだから、ま、いいか・・・、とも思うわけです。 [DVD(字幕)] 6点(2008-09-08 11:12:43)(良:1票) |
22. アリゾナ・ドリーム
何とも、評価のしづらい映画であります。面白くないのか、と問われれば、一応面白いです。じゃ、分かるか、と問われれば、よく分かんないです。テーマが、タイトルにあるように「夢」であることは分かります。でも、それだけです、と言っても良いくらい。クストリッツァ監督は、人が宙を舞う画が好きですね。この映画にもやっぱり出てきました。この監督の撮る画は、ホントに心に残る美しいものが多いです。美術もセンスを感じ、動物も多用し、視覚的に飽きさせないのです。さすがだな、と思ったのはやっぱり音楽ですね。使い方がうまい。こういうところが「よく分かんないんだけど、何か面白いんだよね」という感想になるのでしょうか。悲劇的なラストですが、その後のサカナが泳いでいく画がどこか暗示的で、後味は悪くないものになっています。 [DVD(字幕)] 6点(2008-07-22 16:01:25) |
23. アルカトラズからの脱出
初めて見たのは、20年前、アメリカに2週間ほど遊びに行った時に字幕なしのレンタルビデオでだった。もちろん、字幕なくては何を言っているのかゼンゼン分からない英語力だったのだが、字幕がなくても内容が分かってしまう、というのがこの映画であった。つまりセリフでストーリーが転がっていくわけではなく、いかに脱走を実現させるかまでが微に入り細に入り描かれる。その過程に手に汗握りドキドキしながら見入ってしまったのだ。見終わった後、感動とは異なる、何とも形容しがたい感慨を覚えたものだった。その後、何度も日本でTVオンエアを見たけれど、最初のイメージはやはり変わることなく、何度見てもついつい最後まで見てしまうのだ。渋く冷静な、それでいて仲間には義理人情に厚い男と、イーストウッドの持つアウトローな正義漢(ダーティハリーのまんまだね)のイメージが符合し、彼の魅力が存分に引き出されていると思う。この頃の彼が、やっぱり一番渋くてカッコイイ。数ある脱獄モノ映画の中で、随一の名作だと思う。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-07-10 15:58:46)(良:1票) |
24. 嵐が丘(1992)
見ながら「うーん、ヘレナ・ボナム・カーターが適役なんじゃないか?」と思っていたのですが、同じことを思った方がやはりいらっしゃいましたね! これこそ、彼女の出番の役だと思うんですけど。ヒースクリフ、最後までレイフ・ファインズに見えなかったけれど、これがデビューだったのですね。でもちょっとイメージ違うんだよなぁ。ま、どうにもならないことにケチつけても仕方ないですが、映画としてはのっぺりしていてつまんなかったです。もっと愛憎絡み合う濃厚な人間関係が展開されて欲しかった・・・。でも、独特の暗い雰囲気と、音楽は良かった、ということにしておこう。 [ビデオ(字幕)] 5点(2007-09-10 16:30:49) |
25. 悪魔のような女(1955)
よく出来たサスペンス。初見時は二転三転するストーリーにドキドキしながら見ました。でも、一度見たあとも、何度見ても良く出来てるなー、と感心し、飽きません。ただ、私はあのダンナに全く魅力を感じないので、何でそこまでして・・・、とシモール・シニョレに共感出来ないのです。あまりの閉鎖的空間でまともな恋愛対象の男がいないから彼女の審美眼が狂ってしまったか・・・、などと邪推してしまう。この辺り、もう少しイイ男でワルそうな役者を使ってくれていれば、文句なしに満点なんだけれど。 [ビデオ(字幕)] 9点(2007-08-01 15:54:50) |
26. 愛を乞うひと
程度の差はあれ、実の母親に折檻された経験のある者にとって、これは客観的に見られない映画です。なぜ豊子が照江にあそこまで暴力を振るうのか最初は分からないのだが、徐々に明らかになっていくにつれ、豊子も哀しい人なのだと思わざるを得ない。特に後半は自分の体験とオーバーラップし涙で画面が見えなかった。あんな母親にでもやはり愛されたかった娘・・・。哀しい。哀し過ぎる。照江から深草へ連鎖しなかったのはまだしも救いであるが。公開時、劇場にも見に行ったのだが、なぜかその時はここまで心に残らなかった。というより、衝撃が強過ぎてショック状態だったような気もする。母親と精神的に訣別することの苦しさが蘇り、今度見るには勇気がいるだろうなー、と、見終わった後、しばし呆然としてしまったのでした。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-07-26 10:44:10) |
27. アメリカン・ビューティー
さして面白いわけではないのだけれど、かなりイタい映画。ベッドで隣に横たわる夫がふと気が付けば自慰にふけっているシーンには笑えました。こういう夫婦、洋の東西を問わず結構多いんでしょうね。ケビン・スペイシーより、奥さん役のアネット・ベニングの方が光っていたと思う。ミーナ・スヴァーリも魅力的。でも、感動したわけではないので、いささか低めの点数で。 [DVD(字幕)] 6点(2007-07-11 14:47:13)(良:1票) |
28. アマロ神父の罪
映画を見ながら“怒る”ってほとんど経験ないのですが、これはもう、“怒りが込み上げる”ばかりの映画でした。内容の是非? そんなもの、クソ食らえ!って感じです。男だ女だ、と別段騒ぐ気はないけれど、こーんなバカ男は、この手で葬ってやりたい!! とにかくサイテー。公開時に劇場に見に行けなくて残念、と思っていたけれど、見に行っていたら配給会社に怒りの電話をしたかも・・・、です。見に行かなくて正解でした。 [DVD(字幕)] 0点(2007-06-18 17:14:52) |