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feroさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 204
性別 男性
年齢 46歳
自己紹介 専門は邦画とヨーロッパ映画(特にフランス)。気に入った監督や俳優がいればひたすら観つづけるので、どうしても同じジャンル・国に集中してしまうようです。(だからあまりハリウッドを観ない。)

最近引っ越してしまい、なかなか映画を気軽に観ることができなくなりました。撮りためたビデオとDVDばかりになりますが、観たものは書き込んでいこうと思っています。

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1.  アララトの聖母 《ネタバレ》 
「負の連鎖」という言葉がある。虐げられた怨念が攻撃に変わり、攻撃された側はまた怨念を蓄積させて攻撃する。いつまでも終わらない戦争の根底には、この「負の連鎖」があると思う。この映画の中で、トルコ大使暗殺未遂で殺された父親、映画を観ていて大使役を憎むラフィなど、「負の連鎖」がまだまだ続いているんだなと感じた、そして、何より この監督にはそれに対する問題意識があるのかな?平和を望んでいるのかな?と疑問に思った。この映画には被虐はあっても、それを先につなげる意志がない。なんだか、進歩のない映画だと思ってしまう。 戦争という題材はとても難しい。どうしても片方の立場から描くことになるし、他に伝えたいことがあっても、歴史考証的な部分に間違いがあればなんだか威力不足となる。一方的に他者を非難するような描写を行ってしまった場合は、観てる側に違和感を残す場合が多い。そういう目で観た場合、やっぱりこの映画は失敗なのではないだろうか。 トルコに対して一方的に非難しており、歴史考証も「映画の映画」という手段で切り抜けており、説得力がない。(アララト山が見えないという会話は、「この映画の戦争シーンはフィクションですよ!という告知なのだろうか?」)本当は戦争とは違うことが言いたいのかもしれないが、それすらはっきりしない。 「映画の中に映画がある」という入れ子構造もあまり意味をなしていない。監督にとっては非常に身近なリアルな世界なのかもしれないが、観るものにとっては、それも普通のフィクションであり、観る側と作り手側に意識の差が生じている感覚がある。 最後まで、監督が何を示したいのか、何をアピールしているのかわからなかったこともあって、この映画にはちょっと失望した。もう一度観ればよくなるものなのかもしれないが、もう観ないと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2005-06-27 14:05:23)
2.  青い車 《ネタバレ》 
すごい映画に出会ったと思いました。主演3人は非のうちどころのない演技というほかありません。まずARATA。金髪にサングラス、さらに無表情な顔でどのように演技するのかと興味がありましたが、口ってセリフを言わずともあれだけ表現できるんですね。屈折の度合いを見事に表現していました。格好も違和感なく、目の傷も生々しかったです。リスカの跡がもう少しリアルだと良かったなと思います。次に、麻生久美子。本当に彼女は監督によって変わりますね。心優しさの中に逞しさが表現されていて、一本筋の通った美しさがあったと思います。事故後のシーンは「あれ?出すんだ」と思いました。最後に宮崎あおい。もう完璧。唸るしかありません。10代の飽きっぽさ、自信のなさ、悲劇のヒロイン願望と、センチメンタル趣味。そして最後に現れる本当の悲しみ。この単純じゃない感情の揺れを、細かく表現できていたんじゃないでしょうか。いや、もっと複雑な心象を描いていたのに、20代の僕には嗅ぎ取れなかったのかもしれない、そうまでも思います。彼女は日本のトップ女優へ着実に近づいていると思うのは僕だけではないはずです。この若く美しい10代のうちに奥田瑛二の「少女」みたいな映画に出て欲しいと切に思っています。 ストーリーとテーマソング、カメラワークも素敵だったと思います。内容を完全に把握できたかと言えば僕にも自信はありませんが、リチオの心の中を100%説明するのは本人にもできることではなく、あえて言えば原作のよしとものみぞ知るといった所でしょう。子供をさらわれかけたトモロヲの行動と、その後のベンチでの会話など、細かく笑ってしまう部分もあり、緩急をつけたストーリー進行が良かったと思います。じっくり考えて映画を噛み締めてみたい人にお薦めの映画です。
9点(2004-12-24 01:41:39)
3.  愛を止めないで
うーん、うーん、うーん。フランスではこれはアリの部類に入るの?日本とフランスの文化の違いをまざまざと見せつけられた作品でした。具体的にはストックホルム症候群の映画ということになるのですが、拉致された運転手・教師はともかくとしてラジオを聞いている一般の人たちの反応がなんだか薄い。「恋人に会う為に・・・」ということには好意的ですらある。なんだかなー。国民性の違いというわけですが、僕にはちょっと救われない映画に思えました。シャルとイヴァンの共演ですが、なんとイヴァンが主演ということで、貴重な作品とも言えるかもしれません。
5点(2004-05-13 23:15:02)
4.  アカルイミライ 《ネタバレ》 
「浮遊するポストモダン」この映画に解説をつけるのならば、さしずめこんなタイトルにするだろう。日本のポスト近代への移行が、共同体の解体に伴い、規範を壊し続けているとしたら、そこに生み出されるものは何であろう?その答えが、真水に生きるクラゲと、街を闊歩する少年達だ。フワフワと漂うクラゲ、そして、フワフワと生きる少年達は、一見してただ流されるだけの存在でしかない。社会から外れ確固とした意思を持つわけでもなく、気分だけで生きる彼ら。それが日本のミライだと言われれば、多くの人は戸惑うに違いない。海でしか生きられないはずのクラゲは、水槽という閉じた系から、あるとき外界へ流れ出す。それはこれまで淘汰さてきたはずの存在が社会に溢れだしたこの10年を模している。宮崎勤、宅間守、数多くの不可解な事件が世を騒がせた。オタク、トラウマ、家族崩壊、、、メディアは理由を探し社会は憎むべき者を探して彷徨った。「責任能力を有する」つまり「正常」な彼らがなぜ平然と「異常」な犯罪を犯したのか。そのパラドキシカルな問いに向かい合えない我々は、「不可解」の一言で片付けてきた。しかしクラゲの毒に理由があるだろうか?クラゲの心がわかるだろうか?それは、完璧なる断絶である。守のように社会の規範や価値観から離れたアウトロー(宮台真司は『脱社会的存在』と呼ぶ)は、我々の言葉では語ることができない。これは村上龍の示すような、楽観的アウトローの姿ではない。真水の東京で生きる力を獲得しても、クラゲ(=アウトロー)は危険で駆除されるべき存在でしかない。しかし未来を予言する仁村は確信を持って答える。「彼等はきっと帰ってくる」と。アウトローと共生することのできる唯一の存在である少年達の胸には、戦いの中で死んだゲバラがイコンとして刻まれている。彼らは「アカルイミライ」を支え歩き続ける。(それがエンディングで示されたようにフィクションだったとしても!)黒沢清の提示したミライ。それは日本のポストモダン像に他ならない。過去を生きる者達は傷つきながらも「許す」のだろうか。それとも、徹底的な駆除を試みるのだろうか。この映画のタイトル「アカルイミライ」は近代批判、または、ニヒリズムではない。我々はそれを受け入れるしかない。黒沢は淡々とそれを描いている。
[DVD(字幕)] 9点(2004-02-29 06:12:52)(良:1票)
5.  アデルの恋の物語
この映画を観ると、アジャーニが「可愛いだけじゃダメかしら」な女優でないことがよくわかる。彼女の演技はまさに鬼気迫るものがある。20年以上もキャラクターを変えずにフランス映画界のトップの位置をキープしている事も、当り前のように感じてしまうから不思議だ。それにしても、アデルという”振り切れた”女性を演じるとアジャーにはスゴイ。といっても、振り切れていないただの可愛い女性を演じさせてもスゴイからなんとも言えない。とにかくスゴイと感嘆させられてしまう。しかも、ピンソン中尉というそう上等ではなさげな男に絡めとられてしまっているところが悲劇というか喜劇だ。誰の言葉も聞かない、相手のことも理解していない、将来のことも考えない、頭の中は愛という名のもとに放出され続けるドパーミンで飽和している。そんな彼女の喜劇的な行動がいとおしくもあり、ピンソンの側にたてば憎らしくもある。実際に起きた事で本屋の男という妙なキャラクターを登場させてしまいよくわからない部分もあったが、総じて面白い映画だったと思う。
7点(2004-02-15 18:55:00)
6.  アナザヘヴン 《ネタバレ》 
サイコサスペンスだと思って見たのですが、結末がまったく面白くない終わり方で?という印象です。冒頭はその路線でいっていたのに、液体が出てきて冷めました。CMの印象が強かったのが、逆に残念に思います。
4点(2004-01-21 00:29:57)
7.  アンナ・オズ 《ネタバレ》 
シャルロット・ゲンズブールのサイコサスペンスものということで、かなり期待してみたんですが、中途半端で何も解決してなくて、がっかりしてしまいました。どうにもわからん映画です。大まかなプロットとして、シャルロット演じるアンナが夢の世界に現実を侵食されていくというストーリーがあるのですが、それ以外にも眼を売り買いする盗賊や、壊れてしまった家族、パリの現実世界を襲ってくる男、精神科医の診察など、たくさんの小プロットがあるわけなんですが、その全てがまったく解決していない。もう終わって「え?」です。他にも正装してアンナが船に乗って行った先はどこなんでしょうか?結末のベニスのアンナとマルクとの出会いは何を示すものなのでしょうか?もうわかんないっ!それでも、各俳優の演技はなかなか良かったんですよ。特にトマ。彼がいい表情を見せてました。シャルロットも大人の女優さんになりましたね。二人のアンナを上手く、しかもほんの少しの違いで演じ分けていたところに、幼いころからフランスのトップ女優を長く続けてきたキャリアを感じました。
5点(2004-01-18 23:36:37)
8.  雨上がりの駅で
最後の、コラの笑顔がとても素敵です。本当に、この最後のシーンまでコラは憎たらしいはすっぱな女なんですが、最後の最後に最高の笑顔を見せてくれました。それには、その前のコジモの絶妙とも言える演技が効果的に効いています。ちょっと気になるのは、少しテーマが陳腐かな?いろいろとエッセンスは散りばめてあるのですが、匂わすだけで終わっていました。それは、作品の現実味という点ではいいのですが、コラの喧嘩だとか、コジモの巻き起こす騒動なんかがあっても良かったんじゃないかと思います。登場している兄も、どういう位置付けなのかわかりませんね。それにしても、コラ役のアーシア・アルジェントのビッチな女役は上手いなと思います。険のある美人で、スタイルが良くて、ズバズバものを言う性格で、とにかく憎たらしい。そう悪い映画ではないな、という印象。
6点(2003-12-24 11:48:17)
9.  紅いコーリャン
壮絶な映画ですね。最後の日本軍へ特攻していくシーンが凄く熱が篭っていて手に汗握りました。前半のちょっとおどけた雰囲気から後半一気に変化するので驚きます。日本人が単純な言葉しか話せないのは、しょうがないことなんですが、ちょっと興ざめ。今でも中国の田舎では「バカ」と「メシメシ」(訛ってミシミシに聞こえる)という日本語は浸透しています。中国で言葉が通じないと思って「バカ!」なんて言ったら大変なことになるので注意です。(関係ない)
7点(2003-12-13 13:20:35)
10.  Undo “アンドゥー”
山口智子の縛られている美しさには戦慄さえ覚える。僕は決してそんな趣味はない(と思う)のだが、かなり長い期間縛られて虚空を見つづける山口智子の映像が消えなかった。あのワンシーンだけで僕は満ち足りる。
8点(2003-12-03 22:21:59)
11.  あの夏、いちばん静かな海。
こんな、殺人だとか事件が特に起こらず、日常に近い形で淡々とストーリーが消化される映画って個人的に好きなわけですが、さらにシンプルにシンプルに無駄を削ぎ落としていった、そして重要な表情や演技を丁寧に丁寧に描写していく映像は、素晴らしい、実に素晴らしい、と思う。主役二人は話さないし、脇役は下手だし、そこらへんはなんともダメなわけですが、それでこれだけのモノを作りあげるんですね。いや素晴らしい。
7点(2003-12-03 22:14:45)
12.  あの子を探して
悔しいなあ、こんな「感動するための映画です!」って子供・貧困モノは苦手なはずなんですが、素直に感動してしまいました。演出が上手いですね、ホントに、だからこそ悔しい。しかも中国の都市間の格差や中国の人情・非人情を上手いこと織り込んで、ただのヒューマンじゃなくて社会派の一面を作ってる。上手いな。それにしても、役者はホントに素人なんだろうし、役名が本名だし、まったくすごい映画です。鼻タレ坊主が小憎らしくていい。可愛い先生がまた生意気でいい。その生意気な娘が泣き出すとさらにいい。最後は無理矢理ですな。
7点(2003-12-03 22:09:25)
13.  赤い橋の下のぬるい水
ファンタジーなのか、コメディーなのか、しかしきちんとしたドラマになっているところは、今村昌平監督なんだろうなと思います。それにしても、変な映画つくりましたね。水がチロチロと排水溝を流れるシーンなんて、なんか妙なエロチシズムが感じられます。ベッドシーンにはまったくエロさがないんですがね。面白い映画だと思います。原作者の辺見庸は、本当にこんな感じの映画を書いたのかな?「ものを食う人々」だっけ?しか読んでないので意外でした。
6点(2003-12-03 22:00:53)
14.  甘い嘘
ジャン=ユーグアングラードは、やっぱり短髪で、「ちょっと頼りないけど恋をしている男」という設定が似合う。そして職業は芸術系で、売れない。この映画の中では、ミシェルが美しいですね。やっぱりフランス映画では美しいヒロインがいなくては始まらない。そして見事に艶やかさとコケティッシュな魅力も持っている。素晴らしい。ストーリーは、単純なものではなく、きっちりと練り込まれているのが好感です。パリの街並みも美しいし、クレマンスは十分怖いし。いい映画。最後の、ギメ氏の元愛人のセリフが素敵。
7点(2003-11-26 00:03:34)
15.  青いパパイヤの香り 《ネタバレ》 
一つ一つの日常の生活の中に観るべきもの、美・哀・喜・奇などがあり、女性は炊事などの仕草が何より美しいのであるというコンセプト、というより監督の信念が伝わってくるような作品だった。しかし、それが伝わってくるのは後半部分。前半の主人の失踪や、姑の行動から発展がなかったことにちょっと不満が残る。末っ子との関係もあやふやなままで終わってしまいましたし、何が言いたかったのかわかりません。前半の少女時代から、後半の女性へ変化した瞬間は、はっとするほど美しく感じる。奉公先の少女が、主人にも可愛がられて本当に美しく成長し、最後に幸せをつかみ子供を宿す。いい話だ。
6点(2003-11-21 00:42:49)(良:1票)
16.  アメリ
緑と赤をオーバーにしている画面がとても新鮮で、見ていて飽きなかった。現実にはありえないくらい素敵な部屋、凝りに凝った調度品、一つ一つの物が、出てくるハトまで素敵に見える。どのシーンも、乙女心をくすぐる、可愛さと皮肉に満ちていて、とても、良い。僕は男だけれど、それを超えていいなと思わせる大道具小道具さんの働きと、カメラワーク・演出がありました。アメリの行動は、その動機や、突発的な動きに予測がつかないことが多い。それを、「理解できない」と拒否してしまう人も多い。しかし、だいたいにおいて自分以外の人間をそう理解・予測できないことは実生活でも実証済みである。映画の中の人だけ自分にも理解できないといけないと考えるのは傲慢でもある。さらに、行動の動機がわかるようなことでは、アメリから発散されるこの最高の”エスプリ”(自分でも何だかわからずに使ってしまうが、)は到底得られないと思う。普通に考えても、日本からだいぶ離れたフランスの、文化も気候も食べ物も違う国で、しかも若い女で、さらにかなりエキセントリックに育った変人の考え方が理解できないのは当然だし、理解する必要もないと思われる。アメリの思考回路が理解できなくても、映画を観る洞察力不足だと非難されることはない。「こんな面白い考え方する人間がいる!」という気分で映画を観りゃいいのだ。それと、ドミニク・ピノン(気持悪いハンドテープのストーカーね。)に注目してください。もうこの存在感、最高です。なかなかいないとは思うけど、彼に着目した天邪鬼さんは是非、「溝の中の月」を観てもらいたい。(「ディーバ」にも出てるけどカッコよすぎ。)彼の怪優っぷりを堪能できます。話は変わるけど、この映画はサントラがとても素晴らしい。ヤン・ティエルセン。映画を気に入った人は、是非サントラも聴いて欲しいと思う。僕のチェンジャーには普通にヘビーローテとして入ってます。
9点(2003-11-04 02:37:07)
17.  青い夢の女
べネックス作品に期待できる映像の美しさは、及第点と言えると思います。青いフィルターをかけたような黄色と青色の飽和した色彩は観ていてうっとりとします。オルガの表情、服、仕草も蠱惑的で美しいと思います。しかし、やはりストーリーは物足りないですね。この監督は、こんなコメディを撮る人だったかなぁ?と、ちょっと疑問符がつきます。オルガの美しさはもっと多くのシーンで活用して欲しかったと思いますし、ジャンの演じるミシェルも、もう少しカッコよく悩んで欲しかったです。ブルーな映像を楽しむためだけの作品になっちゃいましたね。
6点(2003-11-04 02:22:00)
18.  IP5/愛を探す旅人たち 《ネタバレ》 
べネックス映画を観ていて感じることは、どんな時も、どんなシーンでも美しい映像を提供してくれる監督だな、ということだ。人物描写でも、自然描写でも、アップでも、引いても、それは変わらない。基調となる青色が観ている僕に心地よさを与え、黄色が刺激する。湖畔のシーンなど、とても幻想的なシーンを見せてくれる。ストーリーは、少々トリッキーで、疑問の残る部分もある。たとえば、何故あの老人は湖の上を歩けたのか?ファンタジックなシーンの演出としては素晴らしいが、「何者?」と思った。湖に現れるはずの娘達も、結局のところ普通のオバサンになってしまっているわけで、それを湖に入ることで捜し求める意味がよくわからない。疑問は、最後まで解決されないまま放置されてしまい、次の話へと進んでいくわけだが、結局のところどうでもよくなってしまう。クライマックスに近づくにつれて、話が現実的に進み、そして感動へつながるわけだが、その進み方もちょっと無理矢理な感がある。それでも、9点を付けるしかないと感じてしまうのは、映像と、ジョッキー役の少年の演技と、そして何よりイヴ・モンタン、とにかくイヴ・モンタンの最後の演技だろう。監督とイヴモンタンに敬意と賛辞をこめて、9点。
9点(2003-11-04 02:17:55)
19.  青い春 《ネタバレ》 
"青春"という言葉は、漠としてつかみどころのない、あの年齢でしか認識する事が出来ない言葉だと思う。高校を卒業して数年経って「あの頃は青春してたな」と思い出す時の"青春"は、実際に10代の僕が感じた"青春"とは異なっているだろう。あの時感じていた感情を、僕はいま「自分を認めてくれない社会への不満と将来の不安」と言葉にするけど、たぶんそんなに簡単に言い表せる言葉でもない。その時は確実に感じていた、けれどもはっきりと言い表せない、それが青春だと思っている。そんな"青春"の空気を見事に映像化したのがこの映画。冒頭の度胸試しから観客を虜にし、九條と青木を中心として話が進む。このメインキャストにおける起承転結に、木村・吉村のエピソードをクロスさせ、最初は爽やかですらあったシーンは気付けば"青春"という鬱屈に塗りつぶされている。だんだん暗くなってゆく展開の中で、九條が一人妖しく光る。繊細さと凶暴さ、それが美しさのなかで龍平が一段と映える。最後のクライマックスに鳴り続けるギターは、青木の存在まで切り裂く。 観終って、僕が初めてミッシェルのCDを買った日のことを思い出した。ミッシェルを聴かなくなった時、僕の青春は終わったのかもしれない。 
9点(2003-11-04 01:44:21)(良:1票)
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