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1.  ある戦慄
夜の街を疾走する列車に被るロック風オープニング曲が非常にクールだ。  生々しいモノクロ・ロケ撮影による夜の都会の濡れた街路や、神経症的キャラクター群、そしてその濃い影が印象的なノワールスタイルを特徴とする前半部。  これから乗り合わせることになる登場人物たちの個性が列車の進行とカットバックされつつ簡潔明瞭に描写分けされていく。  そして密室劇となる後半部でもまた車両内の計18人それぞれを過不足なくドラマに関与させ、二部構成でサスペンスを醸成していく手捌きが巧みだ。  列車内はアメリカ社会の縮図と化し、その舞台劇的設定の中に人種差別・所得格差・同性愛・都市犯罪等々の社会問題を浮かび上がらせていくが、それはあくまでショットの力強さによる。  俳優の顔面と直近で正対するカメラの圧迫感が秀逸だ。 その時、視線を返されているのは観客自身である。  同性愛描写に関するコード改定が61年。 黒人問題を描いたラリー・ピアースの前作『わかれ道』が64年。 そして66年の新コード採用によって、アメリカの内包する苦悩が赤裸々に曝け出されている。 
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-15 22:48:19)
2.  悪の階段 《ネタバレ》 
主舞台となる一軒屋のセットが外観・内部空間ともに実にシュール(美術:中古智)。題名通り階段を頻繁に採り入れた画面構成は斜めのラインや仰角アングルが錯綜し、不安定感が横溢する。光源を抑えて陰影を強調したシャープなローキーの照明設計も素晴らしく、硬質なノワールムード抜群である。巻頭の寝床シーンで男女の表情を斜めから捉えたローアングルのショット、西村晃絶命シーンの白い手の動き、深夜に不動産屋裏手の草むらを歩く団令子を捉える俯瞰ショット、ジュラルミンケースへの表情の映り込みや真上からのキーライト効果など、こと照明に関しては全編が印象的な見せ場の連続といってよい。金庫破りのバーナー音や、工場の稼動音、ウイスキーを注ぐ水音を強調した音響のサスペンスも申し分なし。そして崖から海への車の落下、一軒屋の大炎上と、スペクタクルも極上。砂丘のロケーションを活かした『太陽がいっぱい』(1960)風のラストもしびれる。
[映画館(邦画)] 10点(2010-05-09 22:16:42)
3.  アパートの鍵貸します
アレクサンドル・トローネによる秀逸な美術セットと、ドラマとを効果的に組み合わせた構図と撮影が実に巧妙だ。ワイルダーの真骨頂ともいえるパースペクティブを存分に利かせたシネスコ画面のレイアウトによって、広いオフィスはより広く、狭いエレベーター内はより狭く見えるような緻密な空間設計が為されている。広い空間ではエキストラの雑踏を自在に捌き(パーティシーンのスペクタクル、)、閉所では人物の所作、表情、小道具によってそれぞれ画面を活気づける(主演二人の手の動作、割れたコンパクト、ラケット、トランプ)。鋭角的で無機的なオフィスの造型は企業の殺伐とした序列社会を視覚的に具現し、ジャック・レモンのアパートの玄関セットが生む凹凸と遠近と陰影は彼をその暗がりに小さく押し込め「卑小さ」を際立たせ、夜の公園の異様に長いベンチはその奥行きが彼の哀愁の深さを伝えるメタファーとしても機能する。写実と誇張の絶妙なバランス感覚に立った画作りがドラマの中でうまく活きている。また、当時普及してきたテレビに対する映画人としての対抗意識(CM批判や「アンタッチャブル」人気)を仄めかすギャグや洒落た台詞を随所に散りばめたユーモア感覚もさすが。シャーリー・「マクレーン」の台詞「the wrong guy in the wrong place at the wrong time」は『ダイ・ハード』シリーズ中の台詞の元ネタだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-09 22:21:59)
4.  青べか物語
自身が転居を繰り返した山本周五郎は、その小説の中でも名もなき風来坊の物語に本領を発揮した。同じく、転居を繰り返し撮影所を転々とした川島監督も仮住まいの宿を好んで映画の舞台とした。その意味で、これは非常に相性の良い原作小説と映画であるように思える。映画冒頭とラストで浦粕橋を渡る流れ者としての主人公が、常に「出て行く」ことを前提として共にキャメラの側に背を向けて歩いているのは象徴的だ。原作は三十二の章から浦粕町という町自体とその住人たちの暮らしぶりを描出したもので、「場所」「移動」への拘りという意味でも川島的題材といえるだろう。映画の中でも、干潟や水路を航行するべか船の叙情、フランキー堺が新妻を乗せて川沿いを飛ばすバイクの疾走感がリズム感を生み、快い。原作の中でも最も映画的なエピソードのひとつといえるのが老朽汽船の船長の回想を描いた「芦の中の一夜」だと思うが、水路を進む蒸気船と、それを土堤の上で見送りつつ追いかける桜井浩子を船の側から捉えた幻想的な移動ショットなどは格別に美しい。また、「移動」に関連して川島作品のひとつの特徴である「脚」のカットは、乙羽信子夫婦の挿話に絡んで登場する。この部分は原作には無いため、歩行障害を患った川島監督自身あるいは新藤兼人による直截な創作エピソードという事になろう。山本周五郎と川島監督の半私小説的挿話の混交と、岡崎宏三の優れた情景ショットによって幻想的な趣の強い作品になっている。
[映画館(邦画)] 9点(2008-11-21 22:19:07)
5.  アデュー・フィリピーヌ 《ネタバレ》 
冒頭のテレビショー収録現場の活気に満ちた描写から始まり、全編がひたすら新鮮味あふれるショットの連続。開放的なロケーションの中で横へ横へ、奥へ奥へとカメラが自由奔放に進み行く快感。二人の女性が披露する、演技の枠を超えたナチュラルな表情や身振りの圧倒的な素晴らしさ。ダンス場面での謎めくようなカメラ目線、微妙な嫉妬心を覗かせる硬い表情、港へと走る車の後部座席でみせる純真そのものの破顔一笑などなど、他愛ない仕草の中に浮かび上がる人間味が劇の進行と共に魅力を増す。埠頭での別離の場面は、最高潮の情感に満ちた素晴らしいロングショットの連らなりに揺さぶられずにいられない。船上と対岸に別れた三者を、船上の位置から交互に収めていくカメラの距離の見事さ。前半ではアフレコが効果的に使われているが、ここでは逆に現場録音と思われる雑踏の喧騒と汽笛によって彼らの別れの台詞は聞こえない。それだけに表情と視線が雄弁さを増す。防波堤を駆け登り、手を振りながら走る二人の姿が最高に美しい。
[映画館(字幕)] 10点(2008-10-13 19:45:46)
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