21. 鍵泥棒のメソッド
良く練られた脚本を体現する香川、広末、堺のアンサンブルが見事。記憶を失くしても気質は失くしていないコンドウがアパートの一室をごみ溜めから整理整頓された居住空間として、購入した本をしっかり読み込む。ノートに記された文字に「自力で着実に生きる」強烈な意志を感じました。健康で努力家な彼と仕事熱心の彼女の顛末に心地良さを味わえました。二人の引き立て役であった桜井演じる堺雅人特有の腑抜け感もいい塩梅でした。 [DVD(邦画)] 8点(2013-06-30 15:07:40)(良:2票) |
22. 會議は踊る
天下国家を語る作品であれば貧相なストーリーでしょう。しかし、市井の人々に共通するのであろう、クリステルの束の間の時めきを魅せる作品として、そんな粗を掻き消しています。「ただ一度だけ」に心底見惚れ、映画の醍醐味をしみじみと味わいました。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-12 22:59:04) |
23. 華麗なる賭け
生涯愛に溺れる事はない男、虚無の中で生きる男。マックィーンの一挙手一投足に身悶えするひと時でありました。彼以外でこの男を演じられる者はおりません。 [DVD(字幕)] 8点(2011-09-02 23:48:55) |
24. カリフォルニア・ドールス
本作は、プロレスを楽しみたきゃプロレスを観ればいいというプロレスものとは一線を画す出来栄えです。決戦に到るまでの巧みな話の盛り上げ方、じっくり魅せてくれた決戦模様。三人組同様に観る者を楽しませる精神に満ち満ちた作品に大いに満足しました。 [映画館(字幕)] 8点(2010-09-23 17:58:30) |
25. 怪談(1964)
色彩が言葉に表し難い素晴らしさであり、容赦ない厳しさと幻想が混ざり合った光景が、触感にまで迫ってきます。そして、登場するそれぞれが抱く無念の計り知れない深さも胸に押し寄せてきました。スタッフが作り上げた極上の舞台で豪華役者陣が入魂の演技を見せる。相乗効果が傑作を生み出しており、映画という文化の良さを実感させられる作品です。肩透かしを受けた四話目が割愛されていれば満点でした。 [映画館(邦画)] 8点(2009-09-15 00:12:48) |
26. 怪物團
《ネタバレ》 オープニングの演出に見世物小屋の観客となったかのような気分にさせられます。数多くの正真正銘の畸形の方々の第一印象は正直息を飲むものがあります。しかし、決して怪物ではありません。この世に生を受けて懸命に生きているのです。真の怪物はクレオとヘラクレス。二人の笑い声は常にグロテスクでラストのクレオの成れの果ての姿はその醜い心が剥き出しになった正視に堪えない恐ろしさでした。私の中ではホラー映画ではなくサスペンス映画であり、まさに「空前絶後」という形容がピタリと当てはまる作品でした。 [映画館(字幕)] 8点(2009-07-16 00:27:53) |
27. 髪結いの亭主
《ネタバレ》 深刻ぶらず心地よさだけを求める事を信条とする表面上の穏かさとは裏腹の激しい心情を持つ夫婦の朝も昼も夜も離れずに暮らす10年の歳月。客は「今は魅力でも何時か消える、魅力を感じなくなったら他のを探すだけ・・・」と語ります。苦楽を共にする、表裏一体の愛憎。これらの心地よくない部分を受け入れる事を拒否した女房の幕引き。残された亭主の佇まい。浮世離れしたお伽噺にほろ酔い加減の心地よさとほろ苦さを噛み締める作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2008-05-18 14:49:04) |
28. 仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督)
そもそもこの作品、アイアンズが出演しているので観ました。頭はクール、ハートは熱いアラミスを優雅に演じる姿には満足しました。そして、初めて観たガブリエル・バーンは衝撃でした。眼差しがたまらなく、もうメロメロです。突撃シーンや最期のシーンは胸をかきむしるような、のたうちまわるような(初めてビデオで観た時、部屋で転がっていました。)たまらない気持ちになります。いい歳して何ですが、時々観ては喜んでいます。何時か劇場で観てみたいです。 8点(2004-01-15 15:26:19) |
29. 崖
《ネタバレ》 フェリーニ作品に腰が引けるのですがリチャード・ベースハート出演に釣られて恐る恐る鑑賞。 心配は杞憂に終わった良作でした。詐欺師3人一体となっての騙しの手口で貧しい人々のなけなしの金を巻き上げるのに血圧計が振り切れる。外道生活から抜け出すべく後戻り出来た妻子持ちで若いリチャード・ベースハートと出来なかったブロデリック・クロフォード。48歳が強調されておりましたが、一回り上の私はどないなるんや! しょんぼりします。 救いの無い結末ですが因果応報、止む無しなのでしょう。 私的には「道」>「崖」≧「カビリアの夜」であります。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-03-26 16:12:24)(良:1票) |
30. ガンパウダー・ミルクシェイク
《ネタバレ》 書籍の中の武器に高原由紀を思い出したのは私だけでしょうか。 監督はひょっとしてコミックを読んだのでは・・・ 他愛ないお話でしたが切れ目無いアクションを楽しめました。男性陣がスタンフィールドっぽい奴以外軒並み雑魚キャラなのが残念ですが、ミシェル・ヨー&アンジェラ・バセットの活躍がオバチャンの目には輝いて見えました。 三味線屋勇次のような荒技はリプレイタイムでありました。 [DVD(字幕)] 7点(2023-03-03 16:46:51) |
31. 華麗なる大泥棒
《ネタバレ》 オープニング、あぁこの音楽は、思った通りのモリコーネ。早くも期待が高まります。 当時としてはハイテクだったのか、微妙な道具を使っての金庫破りが何だか微笑ましい。 エメラルドを巡る悪徳警官との対決はオマー・シャリフのねちっこい好演もあってなかなかの見応え。 ベルモンドのアクションは通常運転ですが、ダンプから多数のブロック片(?)と共に斜面を転がり落ちる姿は、バスター・キートンを思わせる不死身の男ぶりでした。 不必要に長いシーンが何カ所かあって、全然華麗ではなかったものの、ルパン三世の元ネタと言われているのも納得な良作です。 [映画館(字幕)] 7点(2022-09-11 01:35:28) |
32. かもめ食堂
フィンランドの食堂らしくイッタラ製テーブルウェアがふんだんに見られてウットリ。お高いけれど少~しずつ揃えていきたいと思った次第。食堂の雰囲気にピッタリとマッチした小林聡美の孤高のサムライで且つ人情も持ち合わせているかのような振る舞いが絶品でした。先日の「おにぎり騒動」を聞き及ぶにつけ、本作から潤いや許容を感じるところです。良作。 ガッチャマンの歌は3番まで覚えている私は善人なんですかね? [インターネット(邦画)] 7点(2022-01-03 19:59:33) |
33. 影の車
《ネタバレ》 岩下志麻&加藤剛の瑞々しく上品な語り口に+2点。不倫ものとしてかなり単調な筋立てで取調室での告白も早くに想像できるもの。6歳の男の子の目を盗んで体を重ねる二人の脇の甘さが何ともはや。因果が巡るような不倫に走った原因が妻との暮らしの味気なさ(何一つ疑いを持たない小川真由美の脳天気ぶりがナイス)というのに、他作で意味不明だった「クタクタになって帰ってくる亭主の為に家はバーよりも魅力的な場所であるように」の答えを見たところです。潜在意識を表したかのような映像は今一つでしたが、すごく手間とお金をかけているというのに「へぇ」であります。 [DVD(邦画)] 7点(2021-10-18 12:17:00) |
34. ガンヒルの決斗
《ネタバレ》 おおよその結末が浮かぶ冒頭シーンから「真昼の決闘」「決断の3時10分」よりお知恵拝借といった感ある展開で、カーク・ダグラス持ち味である「胆力」を唯々堪能する作品です。対する「剛の者」アンソニー・クイン演ずる父親の溺愛からの親馬鹿丸出しの人物像に脚本の物足りなさがあります。しかしながら、最後の対決は余韻が深い名シーン。敢えて息子の後を追ったように思えた姿が切ない。ただ、このシーンでの見世物の見物客のような演出は異議あるところです。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-22 02:36:14) |
35. 過去を逃れて
《ネタバレ》 本作から28年後に演じたフィリップ・マーロウを思わせるロバート・ミッチャムの若き姿が印象深い。カーク・ダグラスとの絡みが淡泊だったのが残念。全員を破滅に追いやる死神を演じたジェーン・グリアはバーバラ・スタンウィック程のアクの強さが無いのが本作では功を奏しているように思います。粋なラストシーンが余韻を残します。フィルム・ノワールの良作です。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-04-16 01:43:27) |
36. 間奏曲はパリで
どう見ても60歳には見えないイザベル・ユペールに魅入ります。一時の火遊びがバレた時の修羅場を見るのが嫌だなあ(フランス人の罵り合いは苦手)と思っていたら、使用人さんのアシストもあって洒落た結末になってホッとしました。数年前に首に謎の湿疹が出た身にとって何だか身につまされる作品でありました。死海の映像は映画でもテレビでも初めてで、へぇ、でした。 [DVD(字幕)] 7点(2020-04-27 02:45:43)(良:1票) |
37. 解散式
《ネタバレ》 深作監督が撮る任侠映画。本作から仁義なきシリーズへと移行する事を思うと、時代の流れに適応出来ない鶴田浩二と丹波哲郎二人きりの解散式が印象深い。和服から洋服に変わったところでやる事は一緒の悪方ども。内田朝雄、小松方正、金子信夫の憎ったらしさは、血圧上がりまくりの名人芸。本作で最も魅力的だった渡邊文雄の最期は唐獅子シリーズとは異なる監督の任侠に対する視線なのだろうか。そこからのど迫力(ここでも血圧上がりまくり)の殴り込みを経て結局誰も彼も皆が死んでしまった物語が侘しい。建設にまつわるこのような話は絵空事ではないように思えるところ。 [DVD(邦画)] 7点(2019-11-07 02:26:34) |
38. かりそめの幸福
《ネタバレ》 フィリップの犯行動機、自分を狙撃したフィリップを庇い愛してしまうクララの心情、共に分からずのめり込めません。しかし、ラストの映画館での対面は「沁みる~」ものでリプレイタイムとなりました。本作でのシャルル・ボワイエは「♪美しすぎて君が怖い、美しすぎて愛が怖い・・・♪」のメロディがずっと頭を駆け巡った、生身の人間とは思えない美しさでありました。 [DVD(字幕)] 7点(2019-08-19 08:58:12) |
39. 喝采(1929)
《ネタバレ》 トーキー初期の親子ドラマ。場末キャバレーでのラインダンスにおける脚だけショットは、小学生時分の口喧嘩「・・・大根足・・・」を思い起こさせるもので萎える。ヘレン・モーガン演ずる花形スターであるキティも微妙な美しさで興に乗れず。しかし、キティと娘エイプリルが互いに愛情を注ぐ姿が、憎まれ役ヒッチのスパイスが効いていて見応え充分。覚悟の服毒シーンの長回しは圧巻。切なさと明日への希望が入り混じる結末が余韻を残す良作。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-15 19:05:46) |
40. ガス燈(1944)
気の強さに鼻白む事が多々あるイングリッド・バーグマンを骨抜きにする伊達男シャルル・ボワイエ。とびきりのメロドラマに今日もキュンキュンと思ったのが、まさか、あんな形で骨抜きにするとは。威圧感満点のボワイエの酷薄な表情に見惚れたものの、生来の品の良さで極悪になり切れないところが何とも歯痒い。また、いたぶられるバーグマンの一本調子な演技に興に乗れず。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-01 00:57:18) |