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1.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
嫌がる子供にたいして、母親が無理やり宮崎作品を見せようとする光景がいずれ社会現象を起こすと予言したことがあります。いつしか、宮崎アニメは、芸術や子供の学習教材へと変貌し、無垢なる子供たちが、宮崎作品が出るたびに、泣きながら、親の接待をさせられる。まさにこの作品は、親にとっては「立派な作品」であり、子どもにとって「最低のアニメ」と言えるでしょう。むしろ、これを面白いと言うガキは末恐ろしいと思う。精密な殺人マシーンは大好きなのに、人殺しは大嫌いって、子どもに対するジョークとしては悪質すぎる。真に受ける子供さんもいるだろう。そもそも戦闘機や大和など殺人の道具でしかないものをカッコいいとほざく輩は頭が悪すぎる。今の時代、そのカッコいい戦闘機に殺されるのはいつだって小さな子供なのだ。1つ確かなことは、72歳の老人には、子供が愛するアニメを創作する気はさらさらないということです。しかもファンタジーとは正反対に、厳しい現実「死」が描かれている。結核で口から血を飛ばしながら、のたうちまわって苦しむ妻の前で、平気でタバコをガンガン吸う主人公。お前こそ肺がんでくたばれよ。彼の興味は殺人マシーンを作り上げることのみ。それを「夢」と称し、正当化している姿に怒り心頭だ。あげくのはてに、死期を悟った象のように、ひっそり姿を消す妻と対比して、殺人マシーンが完成して飛び上がって狂喜する主人公。どうか貴様に罰が当たりますようにと祈ってしまった。主人公の棒読み口調がさらに私のイライラをヒートアップさせてくれる。これを純愛とのたまうならば、完全に男尊女卑である。本来、宮崎作品とはすなわち、女性たちの、女性による、女性のための物語である。シータ、ナウシカ、キキ、クラリス、宮崎監督を一躍有名にさせた輝かしいヒロインたち。主人公が女性であることが宮崎作品の生命線だったのだ。その恩をあだで返すように、引退作品でまさかのヒロイン殺し。私が許せない点はこの一点に尽きる。
[ブルーレイ(字幕)] 1点(2014-07-31 21:21:21)(笑:1票) (良:5票)
2.  海炭市叙景 《ネタバレ》 
なるほど、たしかに暗い。つい最近、18切符で、その函館に行った。かなり衰退していた。観光雑誌でみる函館とはあまりにも違い過ぎた。しかし映画の映像は、そんな函館の衰退よりも、そこで暮らす人々の「家」にスポットを当てている。まず一話。兄妹が暮らす家、そこは星飛雄馬の家にあるような、ちゃぶ台が置いてある。家の中なのに、よほど寒いのか、2人とも厚着をしている。そのうえ、光が全く射さない暗い家。私がそこに住んだら、おそらく一か月間でうつ病になる。ちなみに兄は自殺した。さもありなん。第二話。立ち退きを迫られる老婆の話。おそらく老婆は死ぬまでその家で暮らすだろう。しかし、くたばっても、死後1か月は死体が発見されない気がする。それでいいのか?そんな家、捨ててしまえよと思う。三話。プラネタリウムで働く低収入の男が、妻と息子から、死ぬほど嫌われている話。男は妻や息子と会話しようと試みる。しかし空気のように無視される。だったらなぜ離婚しないのか?無性にイライラする。老婆にせよ、プラネタリウム男にせよ、お前らは何にしがみついているのだ?お前らは故郷に執着しているのか?いや違うだろうな。お前らは家族に執着しているのだろう?しかしお前らに言いたい。家族なんて家電となんら変わらない。次に4話。妻に暴力をふるうDV夫の話だ。夫は血が出るまで妻を殴る。妻は精神的に病気になって息子を虐待する。完全に壊れた家電家族だ。地方の衰退という1つのメタファーを通じて、どの章も、崩壊家族が描かれていた。しかもこの手の映画で必須であるはずの、家族の再生が描かれていない。もし、お前らが故郷から脱出するだけならば、単純に電車やバスに乗ればすむだろう。しかし、お前らにとって、それが本質的な受苦からの解放につながるのか?それは不可能なのだ。映画は何の解決策も示さずに幕を閉じる。この映画は不幸の大バーゲンセールでもやっているのか?
[DVD(字幕)] 0点(2012-09-17 23:00:37)
3.  借りぐらしのアリエッティ 《ネタバレ》 
小人の大きさが、ありんこやだんごむしとさりげなく比較されている。つまり彼女は意外と大きいのだ。残念なのは冒険をしないことです。「冒険」あってのジブリだと思う。ラストでアリ子がナマズを見て興奮するシーンがあったが、本当の冒険はそこからはじまる予感があった。如何せん90分は短すぎる。翔くんが、小人にたいして「君は滅びる運命だ」と言った言葉は、多くの観客の顰蹙を買っているようだ。しかし、私はあえて彼を擁護しよう。そもそも翔くんは口下手だ。彼の言葉を超訳すると、「君らはぼくと同じ運命なんだ」ということ。この気持ち分かる?毎日、病気で苦しい思いをして、生きることに諦観を持った少年が、滅びることを認めないアリ子に対して、「どうせ頑張ってもぼくと一緒でムリなんだよ!」という怒気も含まれている。彼はただ、怖かっただけなのだ・・。翔くんがアリ子のことを心臓の一部だと言ったのは、アリ子をすべて理解した後である。これは人間の心臓を、生きるための原動力と捉えたメタファーなのだ。また私がこの台詞を超訳しよう。「君はぼくの生きるための原動力だ」と、翔くんはアリ子にお礼を言ったのだ。小人ゆえにアリ子の動きは常に何かによじ登ったり、ジャンプしたり、ダイナミズムだ。そんなダイナミズムな動きそのものが「生」を象徴している。そして生きることに諦観を持った翔くんは、生の象徴たるアリ子の姿をて、みるみるうちに再生していく。翔くんが自暴自棄で言った台詞→君はどうせ(ぼくと一緒に)滅びるんだよ。でもこの台詞を彼が口にすることは二度とないでしょう(泣)最後はもう涙ボロボロでした。 
[ブルーレイ(邦画)] 9点(2011-08-15 11:01:20)(良:1票)
4.  彼とわたしの漂流日記 《ネタバレ》 
面白い。泣いた。笑った。おそらく10年後にはツタヤで掘り出しモノの作品として紹介されるに違いない。無人島を都会のど真ん中に持ってきたアイデアの勝利といえる。リアルティはさほど重視されておらず、「都会の無人島」は、大勢の人に囲まれながら、孤独を抱える現代人のメタファーになっている。従って共感しやすい。周りが人でいっぱいで賑やかなのにその無人島から出られない男、バカバカしくも、観客はその男の境遇に自分自身を投影させてしまうことになるだろう。男は自殺をしたかった。なのに無人島で暮らすうちに生に対する執着が強くなってくる。そもそも人はなぜ自殺するのでしょうか?生存本能が希薄になるからです。もはや現代人は水を手に入れただけで歓喜することはできす、衣食住を手に入れた喜びも忘れ、次は愛や地位、名誉、自己実現、さまざまなモノを欲しがり、行き着くところはどこなのか分からない。精神の充実と引き換えに動物としての本能が失われつつある。男があひるの中に住む場所を見いだしたときの喜びや、自作で食料を手に入れたときの涙は、生きる本質だということである。一方ひきこもり女のほうは、当然のことながら、無人島よりも快適な生活をおくっている。欲しいものはマウスをクリックするだけで簡単に手に入る。が、生きる希望を失っている。対極にある2人の生活を眺めていると、ストレス社会を行きぬくためのヒントが見えてくる。人は何か大きなモノを失ったほうが逆に生命力が増大することがある。もし自殺する暇があるならば、その前に一度全部リセットしてみるのもいいかもしれない。韓国で年2回行なわれる対北朝鮮想定の訓練を取り入れたことも斬新なアイデアだった。女の表現した言葉を借りるならば、韓国が誰もいない「月の世界」に変る瞬間だ。そんな雰囲気のなかで、主役の2人の男女がはじめて出会う。なんと映画の終わるラスト5分前である。閉じ込められて出られなかった男と、自らを閉じ込めて出るのを怖がっていた女、2人がお互いの作り出した無人島から脱出し、月の世界で出会う─。単なるコメディではみられない暗示に満ちた作品になっている。これは高得点だ。無人島に出前を持っていた仕事熱心な青年にも加点しておこう。
[DVD(字幕)] 10点(2011-01-15 20:57:52)(良:2票)
5.  カールじいさんの空飛ぶ家 《ネタバレ》 
なぜこの映画がつまらないのかといえば、主役の男2人が魅力に乏しいからです。楽天の元監督、野村のように陰気臭い老人と、中日落合の昔の息子のように生意気な子供を見せられて、あなたはどう思いますか?この2人の冒険を純粋に応援したいと思いますか?何よりも致命的なのはヒロインがいないことです。ピクサーよ、おまえたちは間違っているぞ。むさ苦しい男だけの人間劇など誰が観たがるというのだ。ナウシカしかり、魔女の宅急便しかり、偉大なアニメの基本は偉大な女性が輝きを放っているのだ。皮肉なことにこの映画が最高に輝きを放っていた瞬間は、エリーという女性が登場したほんの数分間だけでした。あとはメタボのデブと、むっつりジジイの冒険を長々と見せられる。バカ男2人に、敵もバカ男。窒息させる気か!本来は生意気なガキが冒険を通して、だんだん「良い子」に変わっていくのが物語の鉄則のはずだが、こいつは最後まで好感度ゼロのままだった。そもそもあんな大冒険をしておいて、こいつ、まったくやせていない。お前は唾液だけで太るのかよ。それから私は3D映画レビューの第一人者です。その私があえて言わせてもらうと、本作品の3Dは質が低い。本格的な3Dは高所恐怖症の人が観られないくらいリアルです。おそらくピクサーはストーリーを重視したのだと思う。ストーリー重視と、視覚重視は両立しない。ストーリーや、人間描写のために、視覚効果をそり落とすか、視覚効果のために、ストーリーを変更するかの、二者選択をしなくてはいけないからです。悪いことにこの作品をどっちつかずになっている。つまり一貫性がないのだ。3Dならば、視覚効果のために、物語の内容を犠牲にしても、王道を突き進むべきだ。いや、むしろ、それが3D映画の宿命だ。3Dは、究極の映像を見せる為に、あらゆる犠牲の上に成り立っているのだ。3Dとは、美術である。科学である。 そして未来である。  確実にいえることは1つ。これは「3D元年」を象徴する作品ではないということです。 
[映画館(吹替)] 2点(2009-12-23 21:19:48)(笑:1票)
6.  崖の上のポニョ 《ネタバレ》 
崖の上のポニョよりも、崖の上の一戸建てのほうが気になったのは私が現在マンションを購入しようと考えているからなのかもしれません。自然フェチの家族がザバイバル生活を楽しんでいるだけなのか、それともよほど坪単価が激安だったのでおもわず衝動買いしてしまったのか、いずれにせよ、あんな所に住む家族は、物好きを通り越してクレイジーです。海辺なのに空の色は常に薄暗く、リサの狂気じみた運転は、ほんの一瞬、カリオストロにおけるルパンの無謀運転を思い出して愉しくてわくわくしてくる。でもそんなことを言ったら、また道徳に厳しい立派なご両親のお怒りを買うだろうか?それもまた痛快だ。ふふふ・・。リサのドライブシーンは間違いなく血沸き肉踊る。モラル違反承知であえて言わせていただくなら、リサ、ブラボー!母親は偉大です。1つ気になる点がある。リサとポニョママらの存在感に対し、父親たちの影が薄い。子から嫌われるポニョパパと家庭に存在しない宗介パパは、宮崎監督自身の姿に間違いない。監督の息子が隠喩を用いて、父親殺しの物語を作ったことからも分かるように、宮崎氏の息子に対する暗澹たる思いが、作品の中で鈍い鉛色の空色となって表現されている。私は子供にとって父親は必要ないとずっと言い続けてきました。母親さえいればいいのです。ラストシーンの「あの世」は、母親と老人たちが全員死んだと解釈します。現実の厳しさを教えられました。でもアニメを通して勉強させないでください。成長するときは勝手に頑張りますからどうぞご心配なく。説教が聞きたいときは、近くのお寺に駆け込みますからそれも結構です。いぜんわたしは、「宮崎アニメは立派だから観なくてはいけませんよ」といって、ムリヤリ嫌がる子供の腕を引っ張って、映画館へ連れて行こうとする母親の姿が社会問題を引き起こすと予想したことがあります。しかし監督も同じ危機意識を持っていたようです。本作品をひとことで評するならば、原点回帰です。子供のアニメが戻ってきました。足りないものは「冒険」だけです。もしかすると宮崎アニメは復活するかもしれない。監督は一番大切なことに気がついた。次回作に期待します。私に言えることは1つしかない。とりあえず長生きしてください。 
[DVD(字幕)] 7点(2009-08-11 22:08:08)
7.  隠された記憶 《ネタバレ》 
衝撃のラストシーンという言葉だけが1人歩きしたような作品ですが、ここのレビューを読んでいると犯人は子供だったという意見が多い。でも違うと思う。しかしそんなことは3流の推理小説と同じようにどうでもいいことなんだと思う。監督の伝えたいことと、キャッチコピーがまったくあっていないほうが私には衝撃でした。ちなみに自己顕示欲の強い監督がつくった映像は、まるで映画愛好会の素人がつくった映画と判別がつかない。わたしは冒頭のパフォーマンスが気に食わない。ああいう映像を撮って人に見せておいて「意味がワカラナイ」と文句をいうと、ちゃんと観ないキサマが悪いのだと逆ギレする素人がいますがそれと変わりません。それに私はウォーリー探しを楽しむために映画を観ているわけじゃありません。以上です。 
[DVD(字幕)] 5点(2007-10-15 21:05:07)
8.  かもめ食堂
これはドロップアウトした人たちの物語でした。彼女たちがうらやましい。ふつう、あんな意味不明な理由でフィンランドに行きますか?しかしこのバカらしいまでの彼女たちの行動力にわたしは感動すら覚えます。普通はこんな真似はできません。なぜなら、わたしたちは、家庭があって仕事があって、常になにかに縛られて生活している。そして時間がなくて忙しいという理由をでっちあげて「やりたくてもできないのだ」と自分に言い聞かせている。でも、疲れてしまって、どうしようもなくなってしまったら、無責任になって、なにもかも放り出して、ちょっと行方不明になってみるのも、楽しいかもしれません・・・・・。これは、まさにドロップアウト疑似体験映画です。今やる気十分でバリバリ仕事をしている人が観てもピンとこないかもしれませんが、時間に追われる毎日に少し疲れと疑問を感じている人が観たならば、そこからなにかヒントが生まれてくるような気がします。 私たちは生活を維持していくために、歯を食いしばって毎日働いていますが、かもめ食堂の女性たちの「働く」という意味はちょっと違う。彼女たちにとって「仕事」とは、好きな人と毎日会ってぺちゃくちゃと話をするための口実です。なんて魅力的なのでしょうか。 人間は、やろうと思えば、なんだってできる。疲れきってノイローゼになって追い込まれて自滅するくらいならば、思い切ってドロップアウトしよう。世界地図を広げて、目をつぶって、さあ、指を指してみましょう!この映画をみて真似した人も多いのではないでしょうか?私もやってみました。北朝鮮でした。 
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-03-26 19:28:55)(笑:4票) (良:2票)
9.  カンフーハッスル
夜梅くらいに面白い。シンチーが投げたナイフが壁にあたり、はねかえって、自分の肩に刺さるシーンは、かなり笑いました。デブの相棒が投げたナイフも、同じくシンチーの体にザクっと突き刺さる・・あのバカらしさに、泣くほど笑いましたね。ナイフが突き刺さったときのシンチーの顔の表情を思い出すだけで、社内で働いているときでも、思い出し笑いをしてしまいます。シンチーという人がだんだん分かってきました。この人の笑いは、徹底的にバカを追及することだと思う。その笑いは、下品で毒があり、まさにチャップリンのクソ上品で、クソ知的な笑いとは対極にある。シンチーはこれからも、毒をたっぷり含んだ笑いで、わが道を突き進んで欲しい。私はシンチーを支持する。 それと、戦闘シーンは、あの有名なマトリックスや英雄(ヒーロー)よりも、断然このバカ映画のほうがレベルが高いと思ったのは私だけでしょうか? ありえねーくらいに、すげーです。 あの至近距離で拳銃の弾を掴み取るシーンも大いに笑わせてもらいました。達人たちも、みんな個性的で最高ですね。これはかなりの掘り出し物の映画です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-01-04 17:55:00)
10.  カポーティ 《ネタバレ》 
カポーティというと「天才・ゲイ・アル中」という三拍子が揃ったスキャンダラスな作家というイメージが私には強かったのですが、この映画をみると、巧みな話術によって社交界から持て囃される華のある男という面白い一面も見せている。一見すると一流作家としての矜持を誇っているかのように見える主人公ですが、カポーティの本質はやはり子供のころのトラウマに根ざしており、彼の母親は母性本能の欠如した女だったので、わが子の顔を見るのが嫌で仕方なかったようです。したがって親の愛情を受けずに育った彼は異常なほどに他人から愛情をもらうことに執着し、名声に飢えていた、その飢えが「野心」となり、彼の揺るぎない創作意欲の原動力となっていたことも事実だと思う。歴史的な傑作「冷血」が生まれた背景には強烈な野心があったことは疑う余地もないのですが、その野心とはカポーティが持つトラウマの裏返しだったと考えます。そしてこの不幸な作家と同じく愛情不足で大人になってしまった凶悪犯人ペリーに対する不思議な友情も非常に丁寧に描かれており、ペリーを助けたいけど、早く処刑という結果が出てくれないと本が完結しないというジレンマ、助けたいけど死んで欲しいという相反する矛盾、その葛藤がうまく表現されていて不思議と違和感を感じませんでした。この作家は人格破綻者ではあるけれども、けっして冷酷な偽善者ではなかったと思う。カポーティーという作家は野心家であるがトラウマを抱えた孤独な人間、そして繊細な性格の持ち主であるが華やかな饒舌家でもある。こんな複雑で奥深い人間をどうやって役者が演じることができるのだろうか?見事に演じきってしまったフィリップ・シーモア・ホフマンに脱帽。 
[映画館(字幕)] 9点(2006-10-25 18:16:33)(良:2票)
11.  カノン 《ネタバレ》 
バッフェルベルのカノンの音楽をバックにして、泣きながら抱き合う父娘のシーンは、男に愛情があったことを証明しているのではないと思います。あれは男の、動物としての本能的な「性欲」を表していました。 父が娘の乳房を揉み続けるラストは、「これから近親相姦が実行されますよ」と監督が暗示しているのです。これが我々に挑んだ監督の狙いでしょう。人間は動物です。 モラルというものは、人間が動物とは違うという証明のような類だと考えます。 もし父親が、実際に近親相姦後に、娘を殺し、自分も自殺していたならば、彼はモラルを犯したことに耐えられなかったということになります。 しかし現実的には、彼は娘を女として愛し、なおかつ、これからも生きていこうと考えている。つまり彼はモラルを完全否定し、動物である自分を肯定したのです。 すべてを本能に委ねたのだと思う。 私たちは動物とは違って精神性が高いので「心で人を愛する」ことができると考えがちですが、愛する相手は必ず異性です。男は女を愛し、女は男を愛する。それじたいが、動物的な本能ではないでしょうか。
[DVD(字幕)] 0点(2005-12-31 19:38:51)
12.  過去のない男
主人公の男は最初から記憶を失っていなかったと思う。暴漢たちに頭を叩かれたことを、逆に利用して記憶喪失のフリをしていたと考えます。 この映画のタイトルを変更するなら、ズバリ「ピアノマン」が良いでしょう。
[DVD(字幕)] 7点(2005-09-19 18:40:01)
13.  カラーパープル(1985)
暗い映画と思って、観るのを敬遠している人もいるかもしれませんが、じつはとても軽い映画なので、素直に見ることができます。黒人差別や近親相姦を扱った映画でも、スピルバーグにかかれば、ここまでさわやかになってしまうものなのかと唖然とさせられます。 映画に重みというものを感じませんが、それはある意味では、観やすいと言えるのかもしれません。 黒人差別や女性差別、家族の葛藤、貧富の差別などあらゆる社会的な問題を、正月に売られるおめでたい福袋のようにまとめられる才能は、さすがに商業的センス抜群のスピルバーグ監督ではないでしょうか。 真面目なテーマを扱った映画なのに娯楽性もあり、最後はしっかり感動できるようになっています。ウピーを知っている人が、この映画の彼女をみると、大人しすぎて気味が悪く思うかもしれませんが、あとはなんの違和感もなく観られる映画です。
[DVD(字幕)] 5点(2005-04-16 00:39:59)
14.  カンダハール 《ネタバレ》 
「妹と出会う」というラストを作らなかったからこそ、これはアフガニスタンの現状を伝えるための映画だというメッセージが鮮明になって分かりやすかった。それにただ悲惨な人間たちを映し出して「世界にはこんな場所があるんだよ」というだけの物語ではなく、「なぜこのような悲惨な状況が生まれたのだろうか?」という問いかけも見えてくる。 地雷によって片足を失った者たちは確かに被害者だが、この映画では、彼らはエゴイストで食わせ物の一面を持っている。 そういう汚さを監督は何度も何度も意図的に映し出している。 そして主人公に、「こういう状況になったのは他でもなく、この場所にいる人間たちに問題があるのかもしれない」と言わせている。 印象的だったのがハクという少年たちが宗教を学んでいる場面。 体をくねらせながら祈る姿は悪い新興宗教を見ているようで気味が悪い。この宗教の先生は、神さまを愛する気持ちを教えるよりも悪魔を憎む気持ちを教えていた。 悪魔とはようするに、自分たちと違う宗教や自分たちと違う民族、また違う考えを持ったものたちのこと。 そういう悪魔を憎むように教えている。 戦争の原因は「貧困」だといわれ、「宗教戦争」「民族戦争」は永遠になくならないなどと言われている。このアフガニスタンは「貧困問題」「宗教問題」「民族問題」この3つの問題がすべて揃っている。 そして子供たちは毎日、宗教という名のもとに憎しみを植えつけられている。まったく救いがたい状況だ。 この問題の解決は、「誰かが救ってやること」ではなく、「アフガニスタン自らが変わろうと努力すること」だと思う。そうしない限り永遠に続くのではないかと感じた。
[映画館(字幕)] 8点(2005-02-06 13:56:44)
15.  カッコーの巣の上で 《ネタバレ》 
組織に身をおくものなら、あの病院の患者に共感できる部分はあると思います。会社にはあの婦長の役割を果たす重役が必ずいます。多くのサラリーマンはそんな絶対的な管理者の前に自分の意見を言えずに自分の心を殺しながら働いている。 そこには人間の尊厳などなく組織の歯車に過ぎないという事実がありますが、それを反発する手立てもなければ気力もない。 マクマーフィは精神病の患者の無気力と怠情に驚いていましたが、これは人を管理することが本能となっている組織が抱えている病根なのだと思う。異常と正常の違いなど紙一重。 恐るべきはロボトミー手術。この映画をみてはじめて知ったけど、昔は暴れるものを鎮めるために脳に傷をつけて大人しくさせるという手法が本当に用いられていた。 異常者だから仕方ないという理由によって。 最後は安楽死を肯定しているようであまり好きではありません。 医者が意識不明患者を「苦しかろう」と解釈して勝手に殺すのと同じようなものです。人間の尊厳がなければ生きていても仕方ないと言うけど、いったいその尊厳は誰が決定するのか?他人が勝手に決めて殺していいはずがないはずです。
[DVD(字幕)] 9点(2005-01-10 23:45:59)(良:1票)
16.  花様年華
まず観ている最中に気を抜くと意味が分からなくなってしまうので注意が必要です。  この監督さんは、簡単なストーリーをこねくり回して意味もなく難しいものに作り変えてしまう天才だと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2004-11-14 18:03:00)
17.  ガタカ 《ネタバレ》 
生まれたときから、遺伝子によって自分の限界を知ってしまったら人間は努力などできるだろうか? 私にはできない。努力して運命を切り開こうとしても遺伝子によって自分を知りすぎているのだ。 だからユマ・サーマン演じる女性は、夢を諦めて生きている。 たぶん誰もがそうなるだろう。 しかしイーサン・ホーク演じる劣等な遺伝子の持ち主は、けっして諦めなかった。そして遺伝子が教えてくれた自分の能力を上回ってしまった。これは奇跡。 この対比する男女2人を恋愛関係にして映し出す姿はとても見事でそれ自体がこの映画の勝因だと考える。  注目のジュード・ロウは、優秀な遺伝子なのに、優秀でいられない自分に絶望して死んだ。 優劣が最も優先される社会に身をおく自尊心の強いジュードには、こうするしか方法がなかったのかもしれない。 ジュード・ロウがこの世界で生きる未来の人間たちの苦しみを1人で演じている姿が素晴らしかった。それに拍車をかけて全編を通して流れるあのもの悲しい音楽はこの作品にぴったりだった。久しぶりに感動した。
[映画館(字幕)] 9点(2004-03-21 13:16:41)(良:1票)
18.  学校
田中さんが本当に頭が悪そうな人間の役を演じていた。まるで地でやっているみたいだった。 すごい演技派の人だ。 、
3点(2003-11-29 02:52:59)
19.  ガンジー
DVDには色んな特典がついていて、この映画をより楽しむことができる。特典にはイギリスのTV局が、ニュースで実物のガンジーを報道しているリアルな白黒の映像が見られる。それを見ると、一概にイギリスが悪であり、ガンジーが正義だという偏見はなくなる。   インドという国を、DVDの映像で見るだけでも価値がある。ガンジーの非暴力は、良識ある支配者であったイギリスだから成功したのであって、ドイツのヒットラーなどの独裁者が相手では難しかっただろう。  メイキングではガンジー役の俳優が減量したと言っているが、本物に比べたら、やはり太っている。 顔は確かに似ている。しかし、太って筋肉質のガンジーに見えてしまった。
10点(2003-10-25 23:16:49)(良:2票)
20.  カリートの道 《ネタバレ》 
悔しい。カリートは助からないと思ってはいたが、もしかして・・という希望があったし、あともう少しだったのに!! まったく監督の思うままの観客になって観てしまったのだが、あの悪徳弁護士が、アイ・アム・サムの主人公と同一人物には見えないところが驚いた。
9点(2003-10-25 23:01:01)
0304.66%
1426.52%
2172.64%
3324.97%
4132.02%
5426.52%
6477.30%
710716.61%
811417.70%
913721.27%
10639.78%

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