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民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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1.  紙の月 《ネタバレ》 
ぶっちゃけ単なる「ヒモ男に入れ込んだバカな中年人妻の不倫話」です。でもこれがお金や欲望、そして善意にまつわる奥深い話になっており、吉田大八監督の演出力に舌を巻きます。 この映画には主人公が本質的に二人いる。一人は勿論、宮沢りえ演じる営業マンの梅澤。そしてもう一人は小林聡美演じるベテラン社員の隅さんです。この二人は恐らく観客の持つ二面性をそれぞれ片面ずつ表しているキャラクターだと思います。それぞれが頭の中の天使と悪魔だと考えれば実に分かり易い。「横領しちゃえばいいじゃない。お金なんて所詮は価値のない偽物よ。唯の札束よ。自由になりましょう」と囁くのが梅澤、「お金じゃ結局自由になれないわよ。人間落ち着く所に落ち着くようになってんの」と囁くのが隅さん。私は観ながら「梅澤みたいには行動できんなぁ……」と思っていましたが(大多数の人はそうでしょう)、梅澤が隅さんに「もっと怒ればいいのに」と言うのも尤もな様に思える。本来唯の紙切れに過ぎないお金に縛られている私達はどうしてもモラルの壁を乗り越えてしまった梅澤にどこか憧憬を禁じ得ない。しかし最後にそんな夢は醒めます。この瞬間の描き方が実に皮肉となっていて素晴らしかった。ヒモ男は若い女を作っていて破局。いやらしいと思っていたお客には枕営業を仕掛けようとしたら「今まで通り真面目にやればいいんじゃないかな」と逆に諭された。隅さんには「お金で買える自由はここが限界」と気付かされる。それでも彼女は窓から飛び出して偽りの自由で生きることを選んだ。ラストシーン、タイで自分が募金した相手の男の子は、別に募金があろうがなかろうが立派に大人に成長していた。彼女の善意はまるっきり無意味なものだった。自由でもなければ、善意にもならず、単に無意味な人生。それが彼女が選んだ偽りの自由の結果なのでしょう。リンゴを無言でほおばる彼女の眼からはそんな人生に対する呪詛すら感じる。 まあ流石にあんな突発的な逃亡の末に、タイまで逃げられるのは無理有り過ぎるとも思ったのですが。もうちょっと上手い見せ方は無かったのかな。
[映画館(邦画)] 8点(2014-11-24 23:15:21)
2.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 《ネタバレ》 
観終わった後に真っ先に思ったことは「尺が足りてない……」ってこと。いや、脚本も良く出来ていて一見はキチンと始まりから終わりまで綺麗に収束していると思うのですが。なんたって個々のキャラクターが魅力的すぎる。正直テレビシリーズか何かで1クルー使った様な作りの方が良かったかなーと思いました。こういうチームもので宇宙を股に掛ける大冒険なのだから、一つ一つの惑星で魅力的な面々が段々と登場し、各々の勝手な動機(金儲け、復讐、等々)により、仕方なくチームを組む。当然チームワークはバラバラですが、シリーズ終盤で悪役が銀河を滅ぼせる力を持ってしまい遂に一致団結!……となればアガると思うのですが、今回の2時間の映画ですと、たった1時間で彼らが一致団結するまで持っていくので正直唐突に感じました。「お前らそんなに仲良かったの?」って。 少なくとも悪役のロナンがなぜあの惑星の人間を根絶やしにしようとしているのかの理由は絶対に必要でしょう。悪役の動機なんだから。父と祖先を殺されたとかセリフで説明されても具体性がないので分かりません。あとはガモーラとネビュラの関係性も映画だけだとイマイチ分からない。確執があるなら映画内で描いてくれないと因縁っぽい対決にも燃えない。 あとそろそろラスボスが「強大な力をもってるのになぜか使わない」って展開止めませんかね。ラストバトル近くで軍隊が敵の戦艦をシールドで守って抵抗し敵幹部も焦ってるので「やった!」と思っていると、終盤近くになって急にラスボスが杖振るだけで全壊するって……。最初からやれよ。若しくは、その杖を振るにはパワーをチャージする時間が必要とかの時間的な制約を付けるとか工夫してほしい。最後に仲間で手を繋いでいってパワーを制御できるって理由も良く分からん。ロナンが「一体どういうことだ、なぜそんなことができるんだ」って驚いてましたが、私も全く同じ気持ちでした。それに対する主人公の答えが「俺たちはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだからな!」ってそれ理由か? お気楽なナンバーの数々は作品の軽いテンションとマッチしていてとてもよかったです。ランナウェイズの「チェリー・ボム」で出撃するって新しいですね。ここは燃えました。
[映画館(字幕)] 6点(2014-09-17 07:15:02)
3.  ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 《ネタバレ》 
三部作として作られた映画の場合、大抵一作目、二作目が傑作・良作であることに対して、三作目が平板な作品に成り下がってしまう場合が散見されると私は思っています。多分ですが、それは完結編として無理にでも終わらせてしまわなければならない、シリーズで撒いた全ての種を全て回収しなければならないという脚本上の必然から来ていると思われます。 本シリーズも例に漏れず、そういうバランスの作品になっていて、無理矢理にでもガメラが発生するメカニズムとそれに呼応して目覚めるイリス、マナの不足によって大量発生するギャオスが描かれますが、メカニズムを明らかにしたことによりガメラの神秘性が薄まってしまっていることは否定できません。 最後の打ち切りみたいな終わらせ方も個人的には好きではありませんでした。
[DVD(邦画)] 5点(2014-08-19 19:55:26)
4.  ガメラ 大怪獣空中決戦 《ネタバレ》 
95年というとCG技術が徐々に進化を遂げ、それに伴い特撮技術の軽視(衰退ではない)が進んだ時期だと何となく想像できます。そんな中で作られた平成ガメラ三部作のその一作目。まあ兎に角素晴らしい出来の映画だと思います。巨大な生物ガメラとギャオスが街の其処に居るという実在感、ハードな都市破壊描写、政府と鳥類学者との舌戦、等々明らかに「大人の鑑賞に耐え得る重厚な特撮映画」を目指しているのだなと思い、その志には心底感心しました。 とりわけ、終盤の化学工場の上で繰り広げられるガメラとギャオスの最終決戦は素晴らしく、主人公たちと一緒にガメラの戦いをまさに対岸から観ていると錯覚する程の実在感ある名場面でした。
[DVD(邦画)] 8点(2014-08-19 19:48:19)
5.  怪獣大戦争 《ネタバレ》 
本多猪四郎がメガホンを取っていることもあり、終盤の街でのゴジラ&ラドンの大暴れは見応えがあります。また人間ドラマも子ども向け映画にしてはちょっとほろ苦いテイストとなっており、水野久美演じる(美しい!)波川とグレンとのロマンスが良い塩梅です。ニック・アダムスは「バラゴン」でもそうでしたが結構いい演技しますね。 ゴジラのシェーは絶対笑っちゃいますよね、あんなの。個人的には作品の個性として受け止めてます。ああいうアホみたいなゴジラが観れるのもこの作品の魅力(?)。
[DVD(邦画)] 7点(2014-07-27 22:30:27)
6.  渇き。(2014) 《ネタバレ》 
問題作であることは間違いないものの、私はこの映画を支持したいです。『下妻物語』『嫌われ松子の一生』で築いた中島哲也ブランド、『告白』でかなり趣を変えたものの、支持者は多い。私が観た劇場には平日であるにも関わらず可也の人数が入っていたし、その主な客層は幅広い年代の女性でした。 今回の映画は少なくとも今までの中島哲也の作品みたく可愛らしいビジュアルは無い。若しくは、可愛くてもそれは狂った世界を表現するためのツールに過ぎない。拳・脚・金属バット・銃・ナイフによる暴力、シャブやコカインをキメるティーンネイジャー、売春を強要される少年・少女たち。まあそりゃ拒否反応を示す人も居ますわな。 但し、今までの中島哲也ブランドで獲得した観客を捨てても、作りたいものを作ったであろう監督の制作姿勢は支持したいし、個人的にはインモラルな映画は基本的に好物ですので、終始面白かったです。脚本も良く練られていて、割と項数が多い原作のある部分を省略したり、一つに纏めたりと、そういう原作との差異を確かめながら観るのも中々。 しかしこの映画のビジュアルを100%支持する気持ちにはどうしてもなれません。暴力やセックスをポップな感覚で描くという手法は今ではよく見られますが、やっぱり凄く軽い感じに見える。痛みがこちらに伝わってこない。聞き馴れた言葉ですが、ファッションとしての暴力やセックスという印象がかなり強かったです。なのであまり心を鷲掴みにされる様な力は残念ながらこの映画からは感じられませんでした。 加奈子のキャラクターが原作とかなり変更されている(簡単に言うと極端に頭がどうかしちゃってる娘になっている)のも残念な点でした。
[DVD(邦画)] 7点(2014-07-01 07:18:28)
7.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 
アニメーション、ストーリー、共に素晴らしい作品だと思います。まずアニメーションですが、本作ではかぐや姫が泣きじゃくるシーンが二回ある。一回目は赤ん坊の頃で、二回目は月に帰りたくない心の丈をブチまける場面。姫は思い切り顔を崩して泣きじゃくる。その顔はとても写実的です。しかしその前後の例えば目の間に垂れてきた蜘蛛を寄り目で見つめるシーンや、成長した後の姫はとても漫画的な可愛らしさに満ちている。しかも背景は中国画に良く見られるような抽象的な画です。その写実的表現と漫画的表現、抽象的表現が完全に違和感無く同居している。見せ場でもあろう姫が宴を飛び出し野を駆けるシーンの疾走感も素晴らしかった。 ストーリーも申し分無いものでした。『竹取物語』は元来月の住人である姫と周囲の人間を通して、当時の貴族社会を風刺した作品なのですが、その"身分の差"という点も十分に描きながら、姫を主役にすることでオリジナリティも十分に感じられるものとなっています。新たに付け加えられた要素は"自由"について、もっと限定して言えば"生命賛歌"でしょう。月からの使者の容姿から容易に想像できるとおり、月の世界は謂わば極楽浄土です。老いもなければ苦しみもない。しかし姫は生や死が蔓延る地球に憧れて、罪人としてその地に落とされた。姫は帝から逃げ出す際に月に迎えの信号を発してしまいますが、 捨丸と再会して気づいたことはやっぱり生や死がある世界の方が素晴らしいということ。それは宮内で貴族的生活に辟易していた姫自身も反映している。そして観客も同時に気付いてしまうのではないでしょうか。「辛かったり、楽しかったり、生きたり、死んだりするから人生なんだ」ということに。何故なら誰でも"ここではないどこか"を目指して生きているのだから。現状がどれだけ肉体的にも精神的にも満たされているからと言って、そこに甘んじている事は本当の生の実感には繋がらないでしょう。監督は「今日性があるのかは分からない」とコメントしていますが、人が自由を求める限りいつの時代にも通じるテーマだと思います。 まさか『竹取物語』から話の大筋を変えずにこれだけ深いテーマに到達する作品とは思っていませんでした。
[映画館(邦画)] 9点(2013-11-28 02:07:46)(良:1票)
8.  ガッチャマン 《ネタバレ》 
観終わった感想は「ひっでぇな、コレ」という感じでした。完全にブッ壊れてる映画ならネタにもなりますが、変に真面目振ってる所があるから、余計に救い様がない。 まあ監督がブッチャケ親の七光りの佐藤東弥、脚本が『二十世紀少年』三部作の渡辺雄介ですから(どちらもテレビドラマご出身の方です……)、碌な映画では無いだろうと思ってはいたのですが、想像以上でした。 私はガッチャマンに関しては何の思い入れも知識もなくて、珠に朝の「おはよう忍者隊ガッチャマン」を見てキャラの名前を知っている位のモンですが、映画が作られたコンセプトは分かります。スーツのデザインからして「ああ、日本版ダークナイトをやりたいのね」というのは丸分かりで、主人公が何が正義なのか悩む点も似ています。でも最後の結論が真逆なのでチャンチャラ可笑しいですが。最後に「俺たちは助けたいから助ける、やりたい様に(自由に)やる」って、それベルク・カッツェの主張と同じやん! 個人的には全編を支配しているご都合主義的展開、ディテールの甘さ、演出力の欠如、お世辞にも上手いとは言えない役者の演技等、笑える点が多かったので、バカ映画としては結構楽しめました。期待値が元からゼロだったのが良かったのかも知れません。 特に酷かったのが下らないテレビ屋的な、音楽が盛り上がれば観客の感情も上がるだろうと思っているであろう浅薄な演出で、物語の序盤でパーティー会場に潜入する(そもそも国際的な機関なんだからパスくらいあるだろ)場面で、指紋と人相が一致するかどうかでサスペンスを盛り上げようと思っているのでしょうが、音楽のボリュームを上げて緊張感を出そうとしているだけでコントみたいです。私は笑いました。その後にパーティーの参加者が全員マスクを着けてる衣装の理由も無いよなぁ。『ダークナイト ライジング』オマージュ?衣装と言えば適合者の子供たちが無駄にダボダボの服着せられてましたけど、何ですかコレ?『スター・ウォーズ』のパダワンのつもり?だっせえセンス。ちょっと考えるとこんなツッコミどころが無限に出てきそうなので止めときます。 それから剛力彩芽演じるジュンのキャラがマジで怖かったです。健に対して好き好きオーラ全開の上、甚平と竜もそれを囃し立てる。完全に外堀埋められてるし!こんなに働きにくい職場ってないぞ!
[映画館(邦画)] 3点(2013-08-26 00:23:54)(笑:2票) (良:1票)
9.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
堀越二郎は少年時代から海外の飛行機雑誌を読むほどの飛行機マニア。彼は夢で何度もイタリアの飛行機設計者カプローニ伯爵と邂逅する。この夢の内容ですが、恐らくカプローニ伯爵は主人公の憧れであり理想の男だったのだと思います。夢の中でカプローニ伯爵は「発明設計は戦争の道具を作るのではない、夢にかたちを与えるのだ!」と言い、彼の飛行機には爆弾の代わりに客間が乗っている。夢の中でカプローニ伯爵の飛行機に乗っている人は皆にっこり幸せそうに笑っている。彼は本当に純粋に飛行機という乗り物が好きなだけだった。 でもその技術は戦争に使用され、彼の設計した零戦は一機たりとも戻っては来なかった。戦争は根こそぎあらゆるものを奪い去った。それでもなお夢の中で菜穂子に「生きて……!」と言われ生きていく。この世が生き辛いのはどの時代でも当然のこと。それでも私達は生きなければいけないという強いメッセージを感じました。 基本的に零戦の誕生にまつわる話がメインで、菜穂子とのロマンスは短いですが、短い時を懸命に生きた二人はしっかりと描写されていたと思います。何より宮崎駿が主人公と菜穂子の初夜をちゃんと描写したことには驚きつつ感心しました。刹那的に生きた二人を描くには絶対に必要なシーンだったと思うので。 最も心配だった庵野秀明の演技も、まあハッキリ言って周りの役者さんに比べると下手なのですが、劇中の堀越二郎が"好青年だけど変人"と描写されているため、それほど気にはなりませんでした。
[映画館(邦画)] 8点(2013-07-20 15:03:04)(良:1票)
10.  華麗なるギャツビー(2013) 《ネタバレ》 
この期に折角なんで原作も読んで挑んだのですが、大変原作に忠実な作品だったと思います。名台詞や名場面に数えられる場面は大体押さえられていたので、原作ファンからは結構好評なのではないでしょうか。 原作者のフィッツジェラルドは所謂「失われた世代」の作家として知られていて、第一次世界大戦を経てキリスト教圏がモラルを喪失していった様を作品に込めた作家の一人です。『グレート・ギャツビー』も正にそこがテーマで、欲望の街ニューヨークでの貴族的階級への憧れを主人公のニックが、侮蔑と嫉妬をギャツビーが表しています。しかしニックは最終的に訪れるデイジーのギャツビーへの裏切り、特権階級の人々の醜悪さを嫌というほど味わい、そういう生活から離れていくという、一種のイニシエーションを主人公が経る話であるというのが、まあ一般的なこの物語の読み解き方です。 そう考えると『ムーラン・ルージュ!』でデカダンな社交界の人々を描いたバズ・ラーマンがこの原作を映画化したのも納得です。ギャツビー邸で開かれる乱痴気騒ぎや、キャサリンやマートルらとアパートの一室で踊り狂うシーンは、成程実に虚飾に塗れたシーンとして結構衝撃的です。 しかし個人的にはこういうパーティーのシーンで余りにもニューヨークの人々が白痴の様に描かれ過ぎている為か、デイジーがあれ程彼女に尽くしたギャツビーを身の保身の為に易易と裏切ることで、普段華やかに映る上流階級の裏に見える卑しさ・虚栄が浮かび上がるラストのインパクトがやや薄れてしまったように感じました。 それからコレは完全に私の問題ですが、とにかく1カットの間隔が短く、しかも色彩が強い為か目が疲れました。測ってみると1カットの長さは長短はあれ、大体0.5~1.5秒/カットくらいで、そんなにチャカチャカした映像にして意味はあるのかと少々辟易しました。まあ、そういう映像編集のスピード感がこの監督の売りだということは分かりますが。
[映画館(字幕)] 5点(2013-06-23 17:28:34)
11.  カラスの親指 《ネタバレ》 
不満点から述べますと、まずこのテのコメディで上映時間が2時間以上もあるのは明らかに長すぎ。その割に最後の現金強奪シーンに至るまでのセットアップは異様に速い。これは恐らくですが作り手が主要5人に思い入れが強すぎるんでしょうね。主人公の身の上話や5人の奇妙な共同生活のシーンは物語にとって重要とはいえ、もっと短くても十分だったと思います。あとは役者さんの演技がまあ大変なことになっている。村上ショージの演技は頑張っているのはスクリーンから伝わるのですが、標準語の演技がどうしても浮いてしまっている様に感じました。映画の後半になるに従ってどんどん演技が上達しているのには笑ってしまいましたが。小柳友と石原さとみはバカップルという設定なのでしょうが完全に頭がどうかしている人たちにしか見えず。というか金無い金無いと言っているのに外見小奇麗すぎ。何着服持ってるんだ?しかも終盤で石原さとみが「いつまでこんな生活が続くのよ!もうヤダよ!」と言いますが、それまでに全く辛そうに見えなかったので超唐突に見えます。『ヘルプ』のジェシカ・チャステインみたいな底抜けの明るさは寂しさの裏返しという性格が石原さとみは表現できていません。阿部寛は唯一安定した演技で、彼が画面に入ると物凄く場面が引き締まっていて流石でした。 最後のどんでん返しはそれまでの膨大な伏線もあって「おおっ!」となりましたが、それにしても最後のエピローグに10分以上かけるのは長すぎでしょう。しかもそこで村上ショージが映画のテーマに関わる程重要な自分の心情を吐露するのはどうなんでしょう。もっとタイトに仕上げてくれたらより引き締まって優れた小品になったのでは無いかと思います。
[映画館(邦画)] 5点(2012-12-01 17:15:17)(良:1票)
12.  カーズ2 《ネタバレ》 
「Mr.インクレディブル」や「トイ・ストーリー3」を観たときにも感じたのですがピクサーの製作陣は本当にスパイ映画が好きなんだと思う。今作はイギリスの諜報部員まで出して完全に007の世界です。それに擬人化された車達が登場人物なので007のような改造された車がバンバン出てきてマシンガンをぶっ放すわ、空は飛ぶわで男の子ならテンション上がらざるを得ないでしょう。ベテランと新米のやり取りもこういうスパイ物では定番で見ているだけでやり取りが楽しい。前作のような叙情感を掻き立てるようなストーリーではありませんがピクサーのアクション映画にお馴染みのスピーディー溢れるチェイスやカメラワークに大変心躍らされました。ただ悪役の動機と落とし前に関してはもう少し上映時間を延ばしてくれても良いから描いてほしかったかな。
[DVD(字幕)] 7点(2012-10-08 21:36:46)(良:1票)
13.  鍵泥棒のメソッド 《ネタバレ》 
今までの内田けんじ作品は出てくるヤクザの描写が余りにもリアリティに欠けていて真面目に観れなかったのですが、今作くらい完全にコメディで通してくれたら全然オッケーです。今作のキャラクター造詣はとにかく無茶苦茶で、ヤクザが金を手に入れただけで簡単に手を引いたり、殺し屋が仕事前に暢気にクラシック聴いてたり、観客が主人公と思っている堺雅人演じる売れない役者が完全に人間の屑だったりします。とりわけ広末涼子演じるヒロインは見ず知らずのオッサンを自分の車で送ったり、数々の無茶苦茶な発言等の為、完全な狂人にしか見えないのですが、それらの現実ではまずありえないような人物描写も劇中の"メソッド演技"に掛けており、この話は完全にコメディでありつつ現実でもあるという作品のバランスにリンクしており上手いなあと思います。ただ皆さん絶賛されている香川照之の演技は個人的に余り好きになれず。最近の彼のオーバーアクトが演技力の高さと言われている風潮はなんだかなーと思います。だってある意味最もメソッド演技から遠い演技じゃないですか?
[映画館(邦画)] 7点(2012-10-08 00:39:12)
14.  岳-ガク- 《ネタバレ》 
真面目に映画を作ろうとしている意志は感じられました。過去の山での死亡事故を語らせることで主役二人のキャラクターに深みが生まれている。各キャストも概ねいい配役だったと思います。特に小栗旬はハッキリ言ってテンションも含め端から見れば狂人のような純粋無垢な"三歩"を上手く演じていたかと。また何人かの方が仰っている通り、死体をフォールする場面は衝撃的でした。問題は余りに監督の技量が足りていないことでしょうか。正に今のダメな邦画に蔓延している病理の見本市みたいな演出ばかりになってしまっていたと思います。まず映画なのに画面に動きが余りにも乏しいこと。特に会話場面ではキャラクターに全く動きが見られないばかりか、カメラも基本的に固定してピクリとも動かさず、カメラの視点を切り替えるだけ。だから山岳救助隊が通報を受けたシーンなどは事態は緊迫している筈なのに全く画面に切迫感が生まれていない。そしてその画面の動きの無さを誤魔化すために只管気分を盛り上げるために音楽を流しまくる。恐らくですがこの映画からBGMを取り除くと全然盛り上がらない映画になっていると思います。それってつまり音楽に全てを頼っているってことなんですよね。ホントに面白い映画は「ここぞ!」という場面で音楽を効果的に使っています。それからスローモーションをとにかく多用していること。本作では確か五回は同じようなスローモーションの場面があったと思います。明らかに多過ぎ。決定的な場面でスローモーションというのは定番の演出ですが一つの作品で何度もあると流石に食傷気味になってしまう。監督のフィルモグラフィを見ますと今までドラマの監督としてキャリアを積まれている方の様なので、また映画を撮るときがあったら是非映画的な演出を増やしてほしいと思います。流石にテレビ屋的な演出を二時間見続けるのは辛い。
[地上波(邦画)] 5点(2012-09-23 23:58:03)
15.  ガメラ2  レギオン襲来 《ネタバレ》 
ガメラシリーズを見るのは初めて、正直評価が高いという理由だけで手に取ったのですが非常に面白かったです。ガメラの超戦力でも歯が立たないマザーレギオンにか弱い人間達が立ち向かっていく展開の熱さは最高でした。同じ特撮映画のゴジラシリーズでもそうであるように怪獣映画はどんどん怪獣たちのプロレスごっこになることは常でありますが、個人的に怪獣映画に求める物は初代ゴジラの様に「強大な怪物たちに立ち向かっていくちっぽけな人間達の意地」ですので、大変面白く見ることが出来ました。自衛官たちカッコ良すぎだろう。3部作とも見たいと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2012-09-02 12:51:55)(良:2票)
16.  崖っぷちの男 《ネタバレ》 
実に観客のニーズに合った作品だったと思います。少なくとも私には合っていました。個人的にサクっと気軽に観れるサスペンスを期待していたので満足度は高かったです。お話は「フォーン・ブース」の様な街の限定された場所で起こるサスペンス。緊迫感は断然フォーン・ブースの方が電話などの小道具を上手く使っているので勝っていますが、本作は飛び降り自殺を図る主人公の話と同時に警察内での汚職とダイヤモンドの強盗事件が進行するので常にテンションが上がる仕組みになっています。ですから最後までダレることなく観ることが出来ました。それ程長くない上映時間も良いと思います。それだけ短い分、脚本に穴ぼこが幾つもあるのは仕方ないでしょう。興味深かったのはこういう娯楽映画でもリーマンショック時に金儲けをした人間が敵になっているということ。ゴリゴリの左翼的な映画を撮る監督ならまだしも、本作の制作は大会社ディズニー(の関連会社のブエナビスタ)。しかも舞台はニューヨークですので、昨年の"Occupy Wall Street"運動の影響力を強く感じました。まあそれだけ現代的な問題を孕み現実味のある話なのですから、もう少しドキュメンタリー映画出身監督らしいタッチで撮っても良かったんじゃないかと思いましたね。それから役者陣が総じて良かったです。コンサバ野郎のエド・ハリスを筆頭に、武骨な元警官のサム・ワーシントン、"Shit"と"Son of a bich"の台詞が超似合うエリザベス・バンクス、そして妙にエロいジェネシス・ロドリゲス、キャスト全員がそれぞれの役にピッタシでした。
[映画館(字幕)] 7点(2012-07-08 19:16:10)(良:2票)
17.  過去のない男 《ネタバレ》 
記憶喪失になった男が人生の再出発を切る、ただそれだけの映画。アキ・カウリスマキ監督の作品らしくそれ程大きな出来事は起きず、淡々と過去を無くした男の人生を描いていく。いつだって人生はやり直せるし別に過去に拘らなくって良いじゃないか!というのが監督の言いたいメッセージだと解釈しました。今までの作品を観るにそういう話をとる監督だしね。
[DVD(字幕)] 6点(2012-05-06 00:09:37)
18.  CUT(2011) 《ネタバレ》 
この映画から感じたもの、それは只々"狂気"です。映画ファンを自覚する殆どの方は、シネコンがテレビ局主導の邦画しか上映せず、メディアもヌルい客層しか呼ばない様な映画しか話題にせず、少しでも難しい内容の映画は世間からスルーされるこの映画界の現状に少しは憤りを感じたことがあると思います(勝手な想像で失礼ですが)。そのような映画界への怒りを只管にエスカレートさせたのが本作の主人公であり、私は彼の主張には非常に共感してしまったのですが、街中で怒りを叫ぶ彼から感じるのは狂気でした。その映画への愛が暴走してしまった人間の姿を、徹底的に無様に、且つ映画を愛する者にとっては非常に愛おしい存在として描いている点が素晴らしい。 借金の返済のために連日殴られ続ける主人公。彼の口からは常に彼が愛して止まない映画タイトルが零れ落ちる。そしてラストの主人公の存在そのものと言っていい映画100本ノック、このシーンは程度は違うであれ同じ映画を愛する者として感動せずにはいられなかった。インタビューによるとあの100本の映画は主人公のオールタイムベストであると同時に、アミール・ナデリ監督のオールタイムべストであるらしい。あの100本のリストを見ただけで監督が如何に映画を愛しているかが分かる。死ぬ程映画を観尽くしていないと絶対に作れないリストだ。ハッキリ言ってこの映画は「俺はこんなに映画が好きなんだ!どうだ!」というシネフィルのナルシシズムに満ちている。シナリオには実に自分勝手でご都合主義な展開が頻出する。普通の人が観て「なんだ、気持ちわりぃ」とか「どんなに映画が好きでも巨匠の名作には及ばないね」と思うのも納得の出来である。しかしどれだけその姿が滑稽で、狂っていて、傲慢なものであったとしても、只管に映画を愛する主人公と監督に涙せずにはいられない。
[映画館(邦画)] 10点(2012-01-21 20:56:14)(良:1票)
19.  怪盗グルーの月泥棒 《ネタバレ》 
完全に子ども向きにカテゴライズされた作品になっています。もう少しグルー自身のトラウマ、親との軋轢等を丹念に描けば面白くなったかも。折角キャラクターが立っているのに勿体無い様に感じます。あちらこちらを走り回るウンバルンバみたいなキャラクターが可愛い。
[DVD(吹替)] 5点(2011-09-24 22:12:27)
20.  ガタカ 《ネタバレ》 
私は、自分で言うのもなんだけど、結構親に期待されて育ったタイプだと思う。逆にその期待に応えられなくて自分の素質の無さに嫌気が差すことが少なからずあったと思う。今でも何をやるにも飲み込みが悪いと感じることが多いし、人よりも映画とか小説とかにチョッピリ詳しい位しか能が無いと思ってる。この映画「ガタカ」はそんな私の様な人間には福音であると思う。少なからず私にとってはそうだった。この映画の世界は最早人間の優劣は遺伝子、即ち生まれ持った素質によってのみ決まる世界。近未来という設定だが、今の世の中も同じことが少しは言えると思う。誰もが或る程度は社会にランクを付けられて生活している。それが時に学歴であったり、年収であったり、地位であったり、世間体であったりするだけのこと。そんな残酷な世界を見せてこの映画は始まるが、どんなに素質に恵まれなかった人間であっても、その未来だけは計り知る事が出来ないというメッセージで映画は終わる。この映画を観ると下らない運命なんて乗り切って生きようという気持ちがフツフツと湧いてくる。頑張ろう。
[DVD(字幕)] 10点(2011-09-23 13:03:13)(良:3票)
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