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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 《ネタバレ》 
前作は悲しい過去から幸福をもぎ取る楽しい作品だったが、本作は幸せから始まり悲しみを乗り越えるような締めくくりだった。  のどかな田舎の一本道を走って来る一台の車。その車上でイチャつく若いカップル。愛し合う二人は人気のない森で抱擁と口づけを交わし、銀河中を揺るがす“種”を植えていく。  一気に時代もブッ飛び屋上で獲物を待ち伏せ、誰も踊らないなら代わりに踊ってやるぜとばかりに画面中を駆けまわり、うねり狂うバケモノ相手に死力を尽くす「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」がバックを飾る! 完全にマスコットと化したグルートであった。  外がダメなら中にブチ入り、弱点見つけてブッた斬り。気を引くために全身金メッキ(造形はフリッツ・ラング「メトロポリス」も思い出す)からヤバイの盗んで鬼ごっこ、ゲーセンみたいな大艦隊、喧嘩しすぎて馬鹿がバンジー、姉御が人命救助で木っ端微塵。相変わらず人間辞めてる映画だね本当(褒め言葉 オマケに重武装で銀河を駆けるクレイジーサイコ「ムーンライト」ネーチャン付き!クレイジーなんてレベルじゃねえ! まさかシルヴェスター・スタローンやデビッド・ハッセルホフまで登場してくるたぁビックリだ。スタン・リーはまあファンタスティック・フォー辺りが助けてくれるだろ(テキトー   だが今回の主役はそんなスタローンに檄を入れられるヨンドゥのオッチャンだ。ブルーカーペットが運んでくる依頼、怪しさ100%の救い主、ブスの基準も惑星も宇宙もブッ壊れそうなトンデモ展開。  密林でゴロツキどもに喰らわす“大歓迎”、思わぬ下剋上・一撃で抉られちまったもの。  虚ろな瞳が見つめる“氷漬け”、服を着せられ蹴り飛ばされるプライド、ドン引きするしかない目的。クラグリン「転職しよう」。 「男の勲章」を取り戻したなら、赤い閃光を奔らせ船中にクソ野郎どもの“雨”を降らせよう!!テイザー…えっと…誰かアイツの名前考え直してやれよ。  仲間のためなら何百回のワープにも耐えてみせらあ(凄まじい変顔)、何だかんだ言って付き合ってくれるヨンドゥの漢ぶり。グルートとロケットがコントをしている間もウオオオオッ(ドゴーンッ)!  その“息子”も家族との想い出が詰まった「ハート」で惑星ごとねじ伏せ殴り合う一騎打ちへ。例え神だろうが知った事か、母ちゃんの仇のヤリチンクソペ●ス野郎なんざゼッテーぶっ殺す!!!  …でも本当にとりたかったのは仇じゃなかったかも知れない。 束の間とは言えキャッチボールをし、音楽や夢を語り合った「欲しかったもの」から最後の最期まで貰えなかった言葉。本物の父親がくれなかったものを、“オヤジ”が命の輝きとして残していくなんてなあ。  銀河にバラ撒かれたクッソ汚ねえ「種」よりも、死者を送り出す「花火」の方が何億倍も美しい。エンディングの“オヤジ”の表情はズりいよチクショウ…。
[映画館(字幕)] 9点(2017-06-06 04:21:37)
2.  怪盗白頭巾 前篇 《ネタバレ》 
・「河内山宗俊」の特典として収録されていたものを見た。  何やら怪しい算段をしてそうなオッサンと老人。 そこに障子を開き刀を上にかざしながら突入する怪盗白頭巾の一味!!  刃が空を斬り、その直後に捕り手たちが群をなして迫り来る。  白頭巾は仲間を逃がして殿を買って出る。 障子に隠れ、敵が来た瞬間に浴びせる一撃。 複数の捕り手と切り結び、斬られた敵が障子とともに倒れたりして、フィルムは終わる。
[DVD(邦画)] 9点(2017-04-24 18:42:26)
3.  彼女と彼女の猫 《ネタバレ》 
1999年制作のフルver.を見た。  白黒の画面の中を四季がめぐり、ナレーションによる語り。  雨が降りしきる外、傘の下で微笑む?猫との出会い。 猫だけ漫画のキャラの様にデフォルメされ、顔がハッキリ映されない彼女の衣服はかなり描き込まれている。  髪、化粧、人間である彼女には母親のようなぬくもりと憧れ、同じ猫の彼女(コッチもデフォルメ調)にはそんな姿を嫉妬されてしまう。  空を覆う雲、カーテンを揺らす風、倒された椅子、こぼれる涙、座り込んだ姿が伝える哀しみ。  撫でてくれる手、白い息を受け止める手、扉を開き今日も出ていく。  これの続編?にあたるのが「Everything Flows」版なのだろうか。
[DVD(邦画)] 8点(2017-03-26 14:02:37)
4.  ガールズ&パンツァー 劇場版 《ネタバレ》 
「可愛い女の子たちが戦車を乗り回す」という平和ボケも甚だしい…いや、そんな平和な時代を何十年と守って来た日本人にしか作れない映画の一系統がここにある。  というより、「大魔法峠」で原作以上に全方面に喧嘩上等(OPの燃え盛る国会議事堂とかの前でふざけくさったダンスを披露)なことをやってのけたあの水島努である。いいぞもっとやれ。  かつて戦場を蹂躙し夥しい都市と兵士たちを粉砕し血の雨を降らせたであろう戦車が、この作品では青春にすべてをかける少女たちを結びつけ、彼女たちの“戦車道”を創るため突き進み、身代わりになるように砲弾の雨から主たちを守り通す。   物語は、カップの底から茶柱が立ち上がる瞬間から始まる。  優雅に紅茶を楽しみ映るだけで面白い女たちの会話、銃口・砲身の向こうで轟音と土煙をあげながら平原を駆け抜ける戦車、戦車、戦車の群、それを天高く飛ぶ戦闘機の視線を通じスクリーンの向こうで歓声をあげながら見守る群衆。  蒼空の下、首に通信機を巻き、活き活きとした女たちの「前進!」の叫びとともに高らかに響き渡る音楽とタイトルバック、誇らしく刻まれたマークとともに突撃し、そんな状況でも紅茶と飯を喰らいながら不敵な笑みを浮かべる頼もしさは否応なしにワクワクさせてくれる。  砂地に密集して耐え続け、丘を駆け上がり騎兵隊の如く押し寄せ、ゴルフ場の森林から市街地・海岸線まで車輪跡を刻み、ドリフトし、エスカレーターや石段を降り、扉がせり上がる駐車場から現れ、海から上陸し、砲身を振り回し、ガードレールに火花を散らせ、地面をえぐり、弾痕を刻み、信号を薙ぎ倒し、砲撃で市街地を破壊し、看板ごとぶっ飛ばされ、ぶつかり取っ組み合い、横転し白旗と爆炎をあげる戦車たちの激突。 スコープ越しに確認する敵影・撃破、敬礼、突貫、玉砕、いや散ったらダメだろ、窓の外の蝶々、戦車乗りたちの視点で追い回す戦車同士によるチェイスのスピード、発砲禁止区域が物語る「ルール」のあるスポーツとしての闘争、狂喜乱舞する観客。  アニメーションという世界で荒唐無稽・やりたい放題・自由自在・縦横無尽に描くことを楽しんでいるアクションを見るがいい!「車両が頑丈」の一言じゃ済まないくらいの大爆発から生還するたくましさ、激しい風の中でも露出を防ぐ鉄壁スカート、瓦礫と化した水族館からひょこひょこ出てくるペンギンたちの雄姿!くだらないことで悩んでいるのがアホらしくなるくらい痛快だ。  25分に及ぶ戦いの後は、風呂場で汗と涙を流し健闘を称え鋭気を養う。   失われる居場所と宣告、荷造り、居並ぶ戦車と乙女たちに空から舞い降りる“助け舟”、青春を謳歌した箱舟との別れ、失われゆく士気、流れ着いた先に贈り届けられる「存在意義」。  ボッコボコでもパイプイスの山に埋もれようと何度でも立ち上がり続ける戦車魂、のどかな田園を駆け泥と愛情にまみれた想い出、復活をかけた「せいやくしょ」、居場所を取り戻すための約束。  戦車に通れない道はない、道がないなら創るまでよ! 74式戦車「作用」、昨日の敵は今日の盟友、戦いを通じて結ばれた戦車乗りたちが転校・制服まで揃え駆けつける一大決戦。これぞ正に王道って展開が大好きだ。   多勢に無勢だろうが最後の一両まで戦い抜く殲滅戦、雲の下に拡がる平原から高地、長くうねり続く道、乃木希典「203高地はイカン」、森林、丘を奔る風、飛来する轟音と黒煙に覆いつくされる恐怖、降りしきる雨と殿(しんがり)、別れを意味する“日本語”での挨拶、森の中にいた砲撃の正体、ユーリー・オーゼロフ「ヨーロッパの解放」よろしく琴の弦を弾くように戦車が空を飛び、その戦車がまたカタパルトの要領で味方を射出し、少しでも隙間があれば瓦礫の中を突っ切り、柱で翻弄し、線路の先に向って飛び込みぶちかます!   籠城によって迷路と化す遊園地、何も無い水辺が予告する奇襲、蘇るスティーヴン・スピルバーグ&ロバート・ゼメキス「1941」の観覧車先輩がブチ破る包囲網、戦車版「機関車トーマス」、偽装し、建物をぶち抜き、「荒野の七人」さながらの音楽と追撃時の平行移動(ジョン・スタージェスが炸裂させたジョン・フォードを髣髴とさせる馬のアクション)で西部の街を走破し、誘い込み、道が狭けりゃ自らを削り、橋の下からどてっぱらにぶちかまし、ジェットコースターを駆けめぐり撃って撃って撃ちまくる。  積み上げられた土嚢、砲撃を思いとどまらせるもの、無言で交わされる指示・視線、頂上からトンネルまで走って走って走り、空を揺れる船、砕け散る椅子、一撃によって爆走しぶつけられる決着!
[DVD(邦画)] 9点(2017-01-09 22:25:32)(笑:1票) (良:3票)
5.  かたつむり 《ネタバレ》 
ルネ・ラルーの短編。 後の「ファンタスティック・プラネット」等に繋がる摩訶不思議な空間。  揺れる球体の上に立つ無数のものたち、揺れが止まりオープニングへ。  球体に近づくと街、畑に。 水を撒くもの、如雨露に座り込み植物を見る。 木の枝で支えを作ったり、歩きまわったり、釘を刺して磁石で吊るしたり、風船で吊ったり。違う、そうじゃない。  涙を流すとその涙で突然元気に。 飛び踊るように喜ぶ。男も玉ねぎをあてながら涙を流しまくる。曇り空、誰の骨?、自ら金槌を打ち付ける機械を背負い込んでまで続ける。 成長していく作物、家を呑み込むように。  無数のかたつむりの出現、消え失せるもの、巨大化する恐怖、移動して車や電車を破壊しまくり人間を殺しまくる。伸縮する触角、押し寄せる恐怖。 静かな街と夜の営みを邪魔するように侵入する来訪者たち。 かたつむりの体ごと呑み込まれる。 触手のように伸び、誘い、絵を点滅させて吸い込むように。 逃げ遅れるもの、亀裂が入り破壊される街、飛び散る瓦礫、廃墟となった街。 ゆうゆうと過ぎ去る災害。 災害は性行して数を増やし、糸を張り、沈黙する。  次の人間はビルを作り、畑を耕し、次の食を欲するものたちを呼び寄せる。おい、じじいwwww
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-09 16:23:23)
6.  火宅 能「求塚」より 《ネタバレ》 
イジー・トルンカに師事した川本喜八郎が、極限まで極めた人形アニメーションの傑作。「鬼」や「道成寺」等も必見だ。  能の「求塚」を題材に、人形、草、火、水、そして光と影が生物のように蠢めいていく。  ナレーション、霧の中の道を歩く旅人の脚、ふと編笠をあげて横を見ると、若い娘たちが談笑しながら農作業に精を出していた。 一本一本ものを取り、仕事仲間に微笑むような素振り。一本一本ものを取り、仕事仲間に微笑むような素振り。樹木といった風景は素朴な絵柄で描かれる。  セリフもナレーションによって語られる。  霧の濃い薄野原、ふと振り向くとその奥から現れる謎の女。 光の無い眼、不気味な黒髪がたわみ、男は薄をかきわける脚と彼女に吸い込まれるように誘われる。  項垂れた冷たき表情から、精気に満ちた過去を女は「告白」し始める。 籠の中で跳ねる鳥、木の下で眼を閉じ想いを馳せる者、馬に乗り木の枝を首元に差し込みながら想う者、桜の木々を飛び回る鶯。  迫り来る男たちの表情・視線、それに軽く挨拶をし流すように去っていく。恐ろしいが故に流してしまう。  口を開けたまま何を祈っているのか、両手で顔を覆い悩み、蝋燭の火が文を焼き尽くし、火の玉となってぶつかり合う男心、その間で揺れる乙女心。  吹き荒ぶ風、女を賭けた狩り、射抜かれるものから流れ出る鮮血が川を流れ、恐怖と哀しみが黒い影となって女の顔を覆う。  霧の中へ揺れ消えていく羽衣、闇夜の塚の前で抱き合う憎しみを超えた者たち、互いに抜き放ち、接近し、空間を真紅に染め上げる。  祈る者に近づく火の玉、火の玉は白い化身となって接近する。  漆黒の空間で輝く白装束、華、鮮血に染まった男たち、火の鳥は黒くなり、ついばみ血まみれにし何もかも焼き尽くす。  断崖に押し寄せる波、投げ出される命、海の底にまで拡がる火炎地獄。 強すぎる愛が、暴走する火炎となって愛した者に襲い掛かる哀しさといったらない。  白く美しい乙女は、最後まで両手を合わせて祈りながら去っていく。まるで相談を聞いてくれた旅人に礼を言うように…。  まばゆい夜明け、赤く染まる大地。
[DVD(邦画)] 9点(2016-09-04 05:38:34)
7.  ガリヴァー旅行記(1902) 《ネタバレ》 
ジョルジュ・メリエスの短編「ガリバー旅行記(ガリヴァー旅行記)」。  メリエスの作品で「月世界旅行」と共にクローズ・アップが使われた数少ない作品の一つ。今回はカラーフィルム版を鑑賞。  いきなり巨大な老人が街の中に現れて徘徊している場面から始まる。いや、ランプで辺りを照らしながら歩く彼にとっては「街が小さい」のだろう。どうやらこの爺さんがガリヴァーらしい。 彼は気づくと拘束された状態で寝ており、橋の上では複数の小さな人々がガリヴァーを見下ろし、手に持った武器で威嚇している。男の尻に矢が刺さりまくり、そのショックでガリヴァーは目覚める。  街の住人に受け入れられたガリヴァーは、彼のサイズにあった椅子や机を用意してもらい食事を堪能する。巨大な樽を牽引し、梯子をよじ登りリレーで飲み水をコップに注ぐ人々。 そこに現れた王様の一向、彼らが運んできた籠をヒョイと持ち上げ、梯子をよじ登ってきた王様?らしき人々がお姫様?を紹介し談笑を交える。直後に建物で火災が発生、ガリヴァーも机の上の水が入ったガラスの瓶?を噴射して消化を手伝う。  その次はいきなりカードの賭けを楽しむ人々のクローズ・アップ。一体何なのかと見ていると、机の上にガリヴァーの姿が現れる!今度はガリヴァーにとって「大きな」国に来てしまったようだ。巨大な人々に囲まれて何かを祈るように喋るガリヴァーの姿、彼の声は巨大な人々には小さすぎて届かないようだ。梯子を上るが手の風圧で簡単に転げ落ちてしまう。上には上がいるものだ。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-07-28 17:16:21)
8.  壁の破壊 《ネタバレ》 
世界で初めて逆再生といった技術を取り入れた作品。 映画が誕生した初期からこんな試みをしていたのか!流石リュミエール兄弟だ。  崩れかかった壁を取り囲み破壊にかかる男たち、壁に機材をあて、機材のハンドルをぐるぐると回して押し倒そうとする。男たちもつるはしや棒で押すのを手伝い、壁を倒す!もうもうと辺りに立ち込める煙、倒れた壁をさらにつるはしで崩していく。  そこから逆再生がはじまり、みるみる壁が元通りになっていく。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-28 17:03:40)
9.  カイロの紫のバラ 《ネタバレ》 
ウディ・アレンが「探偵学入門」へのオマージュを捧げた作品。 俺は「カメレオンマン」や「ハンナとその姉妹」ほど惹かれなかったが、日本ではこの作品が最も評価されているウディ・アレンの映画だそうだ。 そんなに良いですかねえ。「探偵学入門」の独創的な面白さには届いていないと思うのだけど。俺が単にキートンのアクション映画の方が退屈しなかったというだけなのかも知れないが。  逆にアメリカでは「アニー・ホール」とかあの辺が絶賛されているそうだ。俺には理解できない。「カメレオンマン」とかが好きな俺はそれが悔しくてしょうがない。ミア・ファローが好きだから余計に(「ハンナとその姉妹」もミア目当てで見たらハマッてしまったクチなんです)。  映画館のポスターを見つめる女性、夢見心地の彼女を空き缶の音が現実に引き戻す。現実はろくでもない夫との生活。職場でも失敗ばかり、映画だけが楽しみだ。  人々がにぎわう映画館お雰囲気が良い。 「カイロの紫のバラ」というトーキー映画。どうでもいいけど胸揺れすぎだろwwwジーン・ハーロウだってここまでデカくねえぞww  黒人のメイド、エジプトのカイロの遺跡?を探検、ホールで美しい歌声を響かせる女性。好きな映画は何度でも見に行ってしまうものだ。    益々現実の夫に失望、髪型がそっくりの同僚、辛いことがあっても映画が忘れさせてくれる。  そんなある日、映画の人物が突然話しかけてくる。映画から人間が飛び出し、次元の壁を通り抜ける!共演者たちと観客もおまえら普通に会話すんなよwww  「探偵学入門」ではキートンみずからスクリーンに飛び込んでしまう。夢が本物となって目の前に現れるファンタジックな展開。  映画の中のヒーローと楽しい一時を過ごす、廃墟で語り合う、影の表現、ホールでゆったりと踊る、レストランで食事、車に乗ってドライブ(未遂)、教会に行ったり、教会で殴り合ったり、キスまでしちゃって彼女も映画の中に連れて行ってしまうのだから歌姫も気絶。共演者「早く戻れ(憤慨)」 人物が戻ってくるまでソファでくつろいだり酒をのんだりと過ごす共演者たち。取材陣まで押し掛け観客も律儀に待ち続ける。その前にフィルムが焼けちまうぞ・・・w   本物の役者と映画の中でしか生きられないキャラクターの出会い。ミアは本物とも楽器を弾いたり歌ったりと夢の一時。だが同じ人間でも中身はまったく違う。彼女にとっては浮気してしまったようなものだろうか。同じ人間とした事なのに罪悪感が伴ってしまう。   夫からの卒業、そして夢との卒業。彼女が最後に見る映画はフレッド・アステア主演の「トップ・ハット」なのだから。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-14 13:20:43)(良:1票)
10.   《ネタバレ》 
「簪(かんざし)」。題名にもそう書いてあるのに肝心の“簪”はまったく映されない。 「按摩と女」を思い出す部分が多い。林道を歩くシーンからはじまりとにかくテンポが良いし面白い。夏に見たくなる傑作だ。特にスリリングなリハビリ風景は見物だ。  芸人?たちがズンチャカズンチャカ賑やかに歩いてくる。ロングショットで捉える視線、日差しが照りつける真夏の暑さ、林道の日陰の涼しそうな様子。  宿についてマッサージをしてくれる按摩目当てで人々もお祭り騒ぎ。きゃっきゃっきゃっきゃとうるせえww そういえば冒頭で語り合う二人というのも「按摩と女」だった。あの映画は按摩の男が二人、この映画は普通の女性が二人で、按摩は完全な脇役だ。 せっかく静かに本を読んでたのに騒ぎで怒るお父さん。 他の人は「賑やか」「五月蠅い」「景気が良い」「派手」と様々な捉え方、このやり取りを何回もやるのが笑える。「また怒られちゃった」    何度もかけられる電話、届く手紙、リハビリ風景。  フロントへの電話、女たちに独占されてやって来ない按摩さん、男どもの風呂浴びは水浴びのようにも見える(しかし野郎の入浴シーンばっかりだ)、「情緒が足の裏に突き刺さる」怪我。 「退屈しのぎに喋りたい」とはまさにこの映画を表すような一言。何かと五月蠅い父親。  簪の主から手紙、パーマに簪とかww まだ見ぬ女性に期待を寄せる男ども、なんつーデリカシーの欠片もない会話。よくもまあ奥さんがいる前でこんな会話をできるなコイツらわ。しかも美人の嫁の前で。 情緒的イリュージョンw  笠智衆と田中絹代の演技が本当に良い。嫌味ったらしくないというか、くどくないというか。清水宏の映画は良いなあ。「みかえりの塔」の笠智衆も良かった。  なんだか見合いでもさせるような雰囲気、足をひきずる男を手を取ってエスコート、服の違いで時間の経過を伝える。 リハビリに付き合う女性、木を目指す男を傘をさして不安そうに見守る女の視点。子供たちの声援、音楽までムードを引き立て無駄にサスペンスフル。松葉杖を置くのはどれくらい歩けたかを一目で判断するため。  子供たちの嫉妬が可愛い。木登りで距離を置く子供たちの主張をしっかり聞いてやるのが良い。男の姿がないので杖はしっかりと渡したらしい。 静かに囲碁をたしなむ、絶対に来ない按摩、幾度も書かれる手紙、いびきの競争とか五月蠅いことこの上ない。それを応援すんなww  「いびきかぁ五月蠅いなあ」 おまえが言うな。  朝の河原で体操、洗濯、水浴び、リハビリ再び。怪我でまだまっすぐに出来ないが、力強く大地を踏みしめる脚!   後半は戦争の足音が近づいているのが会話で語られる。 髪を下して涼む姿がちょっと色っポイ。こうして見るとおばさんてほど老けてないんだよね。まだ若々しさのある女性って感じ。  傘をさして原っぱで会話、日陰、「日に焼けた」と差し出す腕、何処か不安げな横顔は彼女を追うという男がここに来ないかどうか感じているのだろうか。 河に駆けられたまがりくねる橋、おじさんのリハビリを実況、意外と速い流れの上で必死にバランスを取る、見守る方も駆け寄りたいのを我慢する。どうしてこんなにもスリリングなリハビリ描写なんだろう。  男を女がおぶる力持ち、不安定な岩場を歩く脚。余計にスリリングだ。按摩にまで実況せんでいい! 隣の部屋では別の女性がすやすや寝ている、待ちくたびれた友人の艶かしさ。どうして着物はこんなに色っポイんだろう。  洗濯ものを取り込みかがんで泣き出してしまう、涙は顔を洗って拭う、冒頭の騒いでた娘たちが隣の部屋にまで来て「うるさあいっ!」お父さんのいびきもうるさあいっ!! 小声で「えい」と可愛い脅かし方。  クライマックスを飾る階段でのリハビリ。時間経過、一段一段確実に上っていく脚、大分まっすぐになってきた、リハビリの終わりは彼女との時間の終わりでもある。階段を一緒に上らず見守ってしまった心の距離。  一人寂しく男がリハビリをした道を歩いていく後姿・・・。 
[DVD(邦画)] 9点(2015-07-12 14:01:36)
11.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 《ネタバレ》 
銀河から集まったアウトロー集団の大暴れを描く快作。 ダークで主人公がウジウジするようなアメコミは嫌だ、頭からっぽで楽しめるのが見たい!という面々が撮った痛快なカウンターパンチ。  それはかつての西部劇といった娯楽映画にも通じる流れ。 「真昼の決闘」という退屈なクソリアリズム西部劇は御免だよ、という人々に向けて撮られた痛快な傑作「ヴェラクルス」や「リオ・ブラボー」といった流れを思い出す。  ただ、最近のアメコミはダークさとツッコミどころにも溢れた従前たるアクション映画の傑作・良作の方が多い。数十年前より遥かに進歩している事は確かだ。  要は雰囲気の問題。 とにかく単純明快で楽しいのが見たいという人に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を全力でオススメします。   冒頭の病室における別れとレクイエム、膨大な過去が眠るであろう遺跡でダンス、そして踊るようなバトルとそれを盛り上げる“音楽”。 「キック・アス」にも参加したベン・デイヴィスの軽快なキャメラワークも良い。冒頭のお葬式ムードが嘘みたいに馬鹿馬鹿しくなっちまった(褒め言葉)。  時代を超える魂のリズム!クラシックが何百年の時を超えるように、音楽は時代を選ばないし、好きなものに過去も未来も存在しない。その人にとっての現在進行形。それは映画でもアメコミでもアニメでも、すべての娯楽に共通する醍醐味だ。  「スクービー・ドゥー」や「ドーン・オブ・ザ・デッド」の脚本・「スーパー!」を監督したジェームズ・ガンの演出は楽しい。 今まで参加してきた作品にあった暴力性(ヴァイオレンス)の快感。それを子供も楽しめる生粋のエンターテインメントに仕上げている。 クラシックとアクションが弾ける瞬間!  音楽とダンスは戦闘前にアドレナリンを高めるおまじない。俺には天国のママンがついているぜっ!アジトに殴りこんで獲物を奪い逃げていく見事さ、グリーン姉さん(検索する際は細心の注意を)の大立ち回り、刑務所での大騒ぎと大脱走、次々に増えていく面子。  最愛の人の手を握ってやれなかった幼き頃の悔しさ、今度はもう離さない!たとて氷点下の宇宙だろうと!  え? 横でその他大勢の正義のために立ち上がった面々がアボーンしまくっているって? 主人公のスルースキルがありえないんだぜって? ここまでCG使うならいっそフルCGにしてくれた方が違和感なかったって? 細かい事は気にするな!ツッコミどころの多さもまた楽しんだもん勝ちの娯楽よぉ!  ラストで“生まれ変わった”者が踊りあげる生命のダンスも可愛い&グッとくるじゃないか。  特に好きになったキャラは宇宙海賊ヨンドゥのオッサン。 地味に無双するわクイルたちの事も何だかんだ言って気にかけてくれる。 流石に原作漫画のモヒカン族(インディアン)スタイルはNGだったか。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 21:08:19)(良:1票)
12.  かもめ食堂 《ネタバレ》 
この映画の大らかさが好きな人は、きっとカウリスマキの大らかさも好きになってくれると思う。 ただ、カウリスマキがフィンランドの町並みから社会の底辺や人々の闇も捉えるのに対し、この映画は太陽の光を注ぐように明るい、何処か陽気な雰囲気を終始貫く。  水のイメージとカモメたちのイメージから始まり、一人一人客が増えていくように、徐々にハマッていく作品だ。  地を歩くカモメ、かもめ、かもめ、かもめ。  ガラガラのレストラン、窓を隔て、女の耳に御夫人たちの噂は入ってこない。  客も来ないので居眠り、一人で泳ぐ、日課の合気道・・・よく一ヵ月も持ってたのが不思議なほど暇そうな顔で登場してくる。  「ガッチャマン」の歌を通じて出会う様々な人々、ニャロメを着た青年。頭から歌詞がスッと出てこず、止まる指。それが奇妙な巡り合わせで再びペンが入っていく歌詞。 歌が繋げる。   渋いオッサンのコーヒー講座、ちょっと怖いかもめの絵(「ムーミン」風?)、久々に食べる故郷の味に泣く、 アラスカ、タヒチ、ハモる女二人の談笑、森で花摘み、おにぎりを食べ、それを珍しそうにじっと見つめる人々。  ターヤ(Tarja Markus)のエピソードが一番面白かった。 無言でいつも店を睨み、入ったかと思うと無言で盃をグイッ、無言で見つめ合う。お?イメージ通り酒も強いのか?と思った瞬間にバッターンと倒れる。 胸にためこんでいた思いを打ち明け、帰らぬ夫の事を想いながら藁人形に釘を打ち込む。夫のTVも視界も砂嵐状態。  人魂のように揺れる電灯、サングラスで休日を満喫。ターヤもスッキリしたのか、大分女性らしい格好に。  泥棒を合気道で打ちのめす場面。この映画で唯一と言ってもいい対人へのアクション。しかしそれでもっと大きな事件が起きそうで起きない、この緩さ。  赤ん坊のようにコーヒーメイカーを大事抱きかかえる、黄金のように輝く花。  食堂もプールも孤独ではなくなった彼女の姿を映して物語りは締めくくられる。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-08 19:22:52)
13.  亀も空を飛ぶ 《ネタバレ》 
バフマン・ゴバディは「酔っぱらった馬の時間」も凄かったが、「亀も空を飛ぶ」は圧倒的だ。  まず冒頭の強烈さからして引き込まれる。 風、曇り空、水面、下を向いて歩く崖の上の少女、すべてに絶望したような眼差し、その少女に向かって叫ぶかのように始まるオープニングの歌、そして亀の甲羅が映し出され、物語は彼女が崖の上に来るまでの過程を描きはじめる。彼女は崖下に飛んでしまうのだろうか。それとも・・・。この断崖の少女は、劇中度々映される。  戦争で大人たちは混乱し、子供たちは大人に頼る事なくたくましく生きている。戦災孤児たちの表情の凄味、活き活きとした様子。片足が曲がっていても松葉杖でヒョコヒョコと歩く姿。 TVを見るために率先してアンテナ組み立て、大人も巻き込む叫んでの演説、砲弾の薬莢が山積みになったゴミ捨て場を散策したり、地雷の撤去に精を出したり、銃を買出し土嚢を積んで射撃訓練を行ったり。  草の上に立てられるアンテナがもたらすアメリカの情報。異国へのあこがれ、自分たちをここまで追い込んだ張本人たちへの憎悪、恐怖。  そんな彼らの前に、冒頭の少女が姿を現す。彼女は夫のように両手を失った少年を連れ添い、背中には幼子を抱えるが、何処か奇妙だ。彼女はいつも幼子に対して複雑な眼差しを送る。 胸にしまいこんでしまった戦争の記憶、トラウマ、それを思い出させる幼子の存在。愛情と憎しみの間で揺らぐ。 幼子は何もしていない。ただ、存在するというだけで“わずらわしい”という不幸。幼子を守るのは彼女だし、それを殺そうとするのも彼女だ。自殺を思いとどまらせるのも、死にたいと思うのも幼子の存在。 彼女の事情を知らない者には、育児放棄気味の女にも見えただろう。 それとは対照的に、少年の方は両手が無い代わりに脚や首で仕事をこなし、首で幼子を“抱きかかえる”。幼子も彼を信頼して両手でしがみつく。慣れた口つきで地雷を引き抜く作業。  地雷探知機が不気味に鳴く小高い丘。金でも掘り当てるように人々は地雷を掘り続ける。 自分たちの友人を殺し、脚を奪ったのも地雷だし、ソイツが食いつなぐための貴重な収入源でもある。敷き詰められた掘り出し物。 それとも、憎むべきは地雷を埋めて行きやがった人間そのものだと割り切っているのだろうか。  彼らは同情もいらないし、同情するくらいなら金をよこせという心意気とタフさ、辛い過去を背負い時には投げ飛ばして前へ前へと進み続ける。それを投げ飛ばせなかった少女の悲劇。  自転車は移動手段であり、荷物を運ぶ荷台であり、クラクションで子供を安心させ、地雷探知機であり、身代わりでもある。犠牲になったのだ・・・。  鉄条網の境界線、脚を銃に見立てて見張りを挑発するのも幼子を命懸けで庇うため。 戦車の砲塔は上下して人々を見下ろす椅子になり、戦車の墓場は子供たちの遊び場だ。ドラム缶のような薬莢。これが雨のように降っていたのかと思うと怖い。その砲弾が空けた穴は水たまりに。 人を恐怖に震わせたであろうヘリも、今度は希望をバラ撒くために飛ぶ。  死への欲求がエスカレートする少女の恐怖。幼子を岩場に紐でくくりつけたり、放逐したり。地雷原に迷い込んでしまう恐怖。幼子はその恐怖を知らない、知っている者は騒ぎに騒いで泣き叫ぶ。あの瞬間の息の詰まる時間、粉塵が予想させる絶望。  彼は怒ってもいい。あれだけ必死になって助けたというのに・・・。見舞いの金魚もなんの慰めにもならない。 アメリカ軍の到着によって、この戦争はひとまず終わりを迎える。“ひとまず”であり、彼らの戦後は今も続いているのである。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-04 21:06:37)(良:1票)
14.  風(1928) 《ネタバレ》 
この作品のリリアン・ギッシュはとにかく可愛いく、美しく、怖い。  列車からはじまるファーストシーン。外は猛烈な風が吹き荒れ、ちょっとでも窓を開けようものなら風がビュッーと砂を撒き散らして人々に襲い掛かる。  列車におけるレティとロディの出会い、 レティを迎えに来た兄のビバリーとお爺さん。奥さんが牛の解体をする傍らレティとコーラの子供たちはとても仲良く遊ぶ。あたしがこんな仕事をやっているって時にこの女は…とでも言いたげな表情。だからってそんな血まみれの手じゃ子供じゃなくたって驚くわ。  ダンスパーティー、レティを誘惑するロディの再登場、コーラの嫉妬の爆発、そこにサイクロン(竜巻)まで来る。避難所が常設されている辺り頻繁に来るのだろう。西部劇で竜巻に襲われる作品は貴重。幸いな事に竜巻で被害は出なかったが、レティが悩む度に画面に映される風は絶えない。  レティはコーラの虐めに耐えかねて家を出る。そして何を思ったか近くに住む荒くれ者のライジと婚約。ライジは喜んでレティを受け入れるが、レティはまだライジに心を許す覚悟をしていなかった。衣服を脱ごうとするレティ、ライジは既に夫になっているので遠慮はしない、レティはまだ恥ずかし気な様子。いやもうちょっと遠慮しろよライジ…抱きしめる時もちゃっかり胸に腕を回しやがって(終盤)。  ライジは不器用ながらもレティの夫になろうと努力するが、心が中々通じない事に苛立ちを募らせる。レティもまた吹き止まない砂嵐で徐々に神経をすり減らしていく。  二人の心が通じ合わず距離が開いた様子を足だけで伝える。レティは太陽が照りつける熱さ、砂嵐に怯えてどんどん神経をすり減らす。めまいがし、風で家が揺れ、窓ガラスが割れ、その衝撃でランプが倒れて火が付く!火の熱か音かレティは正気に戻って慌てて火を消す。もう彼女の精神状態は限界。そんな時に再びレティの前に姿を現す衰弱したロディ。それを運んできたのは兄のビバリーとお爺さんだった。ビバリーもお爺さんも去ってしまい、回復したロディはレティを再び誘惑する。レティは相次ぐ風、幻影、好色漢のショックで気を失ってしまう。  翌朝。嵐は去るが風は依然強いまま。レティは昨夜の出来事を思い出し、去ろうとするロディに向って…。ここからが怖い。埋めた筈の者が風によって砂の中から顔を出す瞬間…ゾッとする場面。男が扉を開け、レティに向う…!
[DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2015-01-19 18:30:03)
15.  風が吹くとき 《ネタバレ》 
「スノーマン」もちょっぴり切ない話だったけど、この話も凄い切ない。でも、凄く良い作品だと思う。  コレが“コメディ”だと言われてちょっと驚いた。だって、確かにシェルターが簡素すぎて、政府の言う事を真に受ける姿はブラックだなあと思ったけど、二人が放射能で徐々に力尽きていき、ずた袋被って、互いに手を取り合うでもなく狭く暗いシェルターの中で静かに息を引き取っていくところなんてもう・・・俺さあ、子供ながらに泣いちゃったワケよ。  関係ないけど、何故かこんな事を思い出した。 いつだったかガキの頃、水の中で溺れた時があってさ。口や鼻に水がどんどん入ってくるじゃんか?それを水泳の帽子で顔を被って止めようとすんだけど、帽子は網目で水が止まるワケないのにさあ。子供ながらに必死だったよ。何でもいい、誰か助けてくれって・・・あれが死を感じるって事なのかな。 劇中の二人も、解っていても“何でもいいから”すがりたかったんだと思うよ。多分。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-29 22:45:11)
16.  からくりの君 《ネタバレ》 
うおお~まさかまさかこの作品のレビューページがあろうとは、いやはやありがたい。登録して下さった方、本当にありがとうございます。  さて、藤田和日郎の「からくりサーカス」の前身となった短編を元に作られたこの逸品。 藤田のアニメ化は「うしおととら」もあるが、この「からくりの君」は作画も演出もキャストも最高。 冒頭の忍たちが死地から脱する場面、彼等を追う化物を一刀両断する謎の鎧武者は、巨大な葛篭から“ばこおおんっ”と飛び出す。それを糸によって操る可憐な少女。ギャグシーンの可愛さもあって本当に可愛いっす。オマケに水浴びのシーンは作画陣の力の入れようもありエロい。藤田の作画は可愛いが熱血すぎて色気にやや欠けるが、アニメでは動き、仕草で男の勲章をばこおおん(ry 野郎共の鼻に力入れすぎな気もする。  「HELLSING」のウォルターのピアノ線でも思ったけど、あれでまったく糸が絡まないのがスゲえ。つうかスゲエ欲しい。 もっと凄いのが、いくら当時の日本人女性が は い て な い とはいえあんなダイナミックに股をグワッと開いて恥じらいが無いというか男らしいというか。  そして綺麗だった若本こと若本規夫の素晴らしい演技、1回はヤケになって欲情するが、事情を知って“仇討ち”に助太刀する義理と忠義の漢! 人形たちのダイナミックな戦闘、流麗な作画、最後まで高密度で面白かった。これで「からくりサーカス」のOVAシリーズやんねえかなあ・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-26 21:39:10)
17.  COWBOY BEBOP カウボーイビバップ 天国の扉 《ネタバレ》 
大規模なバイオテロ事件をめぐりビバップ号の面々がシリーズ随一の賞金首・ヴィンセントを追う。  エレクトラvsスパイクのモップによる徒手空拳、「マクロスプラス」を思い出すソードフィッシュのドッグファイト、フェイのおっぱ(ry  スパイクもワケ有りなモジャモジャ頭だったが、ヴィンセントはもっとワケワカメでヤバイ奴。  ヴィンセントがフェイを強姦しなかったのはナノマシンの後遺症で息子がアウトか単なる美学か女に興味がないのか脚本家の都合(ry  近未来では余計に全時代のクラシック・コレクションと化したているであろう複葉機がガンガン飛んでフィナーレを締めくくる。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-22 23:47:00)
18.  蒲田行進曲 《ネタバレ》 
深作欣二の最高傑作は「軍旗はためく下に」や「代理戦争」「暴走パニック 大激突」辺りだと思うが、この映画も初めて深作ワールドを味わった思い出深い作品だ。  映画ではなく「映画」を劇中で演じるシステムの人情劇。 「嘘の世界をいかに本物に魅せる」かが堪能できる。  冒頭の“夜”を創り、幕末の志士達が殺し合う戦場を再現する場面。  舞台の上を駆けるようにノビノビと演技する俳優陣。 日本映画の斜陽化が顕著と言われた時代だったらしいが、登場人物たちの顔つきを見ているとそんな暗いイメージが湧いて来ない。役者魂とやらが全力で伝わって来る。  軽妙なリズムに合わせて青春、性交、ヴァイオレンスにストーリーを進めるやり方は流石。  ピカピカの汚しも何も無い衣装に身を包む主役、 ボロを被りながらも、主役を盛り上げようと必死に食らいつく脇役やモブ。 そこにスポットを当て対比させる話が面白い。  ジェームズ・ディーンをDisりにかかるシーン。さすが深作怖いもの知らず(褒めてる)。 「人一人殺すぞ~!」と子供のように眼をキラキラ輝かせる監督。 この映画の時代設定は、日本映画が黄金期だった1950年代~60年代だろうか? この頃はこういう事サラッと言える監督がいっぱいいたんだろうなあ・・・。  そして命懸けの「階段落ち」。 それを実際にやり遂げた俳優の伝説を元に作られたそうだ。 それをやれば生きるか死ぬか。だけど女房食わせるためなら死んでやらあ!そんな覚悟が伝わる迫真の演技!  ちょっと気合の入りすぎた雄叫びも多々あるが、そこが「これ映画だから!」と全力で唄うこの映画の魅力であろう。  だって「仁義なき戦い」の監督だし。 「マジに受け取ってんじゃねーよバーカ!」と監督が問いかけているような気がする。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 22:05:30)
19.  ガス燈(1944) 《ネタバレ》 
正直イングリッド・バーグマンは余り好きじゃなかった。  恐らく「カサブランカ」などというアホくさい恋愛ドラマを先に見てしまったせいだろう。   ところが「ガス燈」のバーグマンは見直した・・・いや惚れた!  あの心を吸い寄せられるような目の演技。  家族を殺され、愛していた筈の男に騙され、ノイローゼになって追い詰められていく様・・・彼女の目は光を失っていく。  だが真実を知った時の彼女の燃えるような瞳。  「あの野郎よくも・・・今に見てなさい・・・!」復讐心ではなく、冷ややかな眼と口舌でグレゴリーを罵るポーラの凄さ。目!眼だよ眼!!  グレゴリーの不気味な優越感に浸ったあの黒目が、唖然として丸くなっていくあの時の目。 「やられた!」というグレゴリーの眼。 そしてポーラの「ざまあみさらせ」という最高に冷たい視線・・・勃起したわ。    ラストシーンの「おや、まあ」には不覚にも笑ってしまった。あの瞬間に解放される感じが良かった。 ジョージ・キューカーは女を撮らせたら世界一ですね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 21:41:35)
20.  海外特派員 《ネタバレ》 
ヒッチコックといえば不気味な建物、不気味な人物、疑惑の連続、二重三重のドラマ、豪快なアクション、パニック、そして鳥。 前作「レベッカ」はプロデューサーのセルズニック色が強く、リミッターをかけられたかのようにヒッコック色は薄めだった。 今作からは誰の邪魔も無し、やりたい放題! その全てを満遍なく取り揃えた感じの良作。ジョエル・マクリーもカッコイイ。  序盤のあらましで地盤を固め、事件が起きた瞬間からの盛り上がりをじっくり描く。 最初は少々退屈だが、主人公がいきなり派遣されるわ、コンタクトを取ろうとした要人を襲う悲劇・そこから車での追走劇(一瞬とはいえ唸るように走るチェイスの迫力!)、風車小屋におけるサスペンス、塔から“落ち”れば飛行機も落ちる。クライマックスは「救命艇」を思い出す。  第二次世界大戦前夜までの駆け引き、開戦直後の混乱を描いた本作。 実際1940年の前年から第二次大戦は勃発。 イギリス本土は「バトル・オブ・ブリテン」におけるドイツ空軍との死闘の真っ只中。 故郷イギリスの苦境を憂いたヒッチコックの怒りと執念、叫びが伝わって来る映画でもある。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 19:54:59)
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