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1.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 
ゾンビ映画なのに監督のゾンビ愛が全然感じられない。こういう自主制作っぽいので言えば『桐島…』の方がゾンビ愛あるかも。それらしい設定を適当にくっつけた、悪く言えばオイシイとこだけパクった、駄目シナリオじゃないでしょうか? 日本軍の実験って話はアリだけど、どうして西洋のオカルトに結びつけてしまったのかなぁ…ゾンビ発生の原因といえば、宇宙からの怪光線、科学薬品、生物兵器。このあたりがお約束です。 ゾンビ映画の起源はロメロ・ゾンビ。バタリアンやバイオハザードなんかもそうだけど、死人が蘇るファンタジーに、リアリティを持たせたから、今のゾンビ映画史があるのに、血で書いた五芒星じゃオカルトだよ。とてもじゃないけど映画好きの作ったゾンビ作品とは思えませんでした。    『ONE CUT OF THE DEAD』という番組の裏側から、日暮監督が、映画好きの延長ではなく職業監督になってしまった理由が観えてくる。元女優の奥さんは役に入りすぎるため引退を余儀なくされ、映画好きな娘はこだわりが強すぎて撮影現場をクビになる。妥協に妥協を重ねて続けてきたであろう、今の監督の仕事。職業監督は自分の“好き”を入れちゃ駄目なんですね。 イケメン俳優に自分で「作品の前に番組なんです」って言っていたのに、カメラが回ると「これは俺の作品だ!」ってアドリブ。最初の鑑賞では笑えて、複数回鑑賞後はアツいものを感じました。 このシーンをカメラ(モニター)越しに観ていた真央は、きっと神谷くんだけを観ていたんでしょう。あんな熱演を終えて戻ってきた父にも素っ気ない。  こんなどうしようもない作品の中で、監督は何故か五芒星にこだわりました。思えば本当のゾンビの起源はブードゥー教=オカルトなんですよね。日暮監督はゾンビ映画好きのお約束を敢えて入れず、コッソリとオリジナリティを入れようとしたのかもしれません。 「日暮さ~ん。作品の前に、番組なんです」機材の故障で、オチをアッサリ捨てるプロデューサーに、食って掛かる日暮監督。普段の父を知っているだけに、驚いてる真央の表情がイイんだこれが。父の番組なんてチャンネル変えてしまうくらい、どうとも思っていないのに、カメラには映らないところで繰り広げられる作品への情熱。真央が考える“戦場”で戦っている父の姿。  愛を感じないゾンビ映画の裏側に、息を殺して潜ませた監督の作品愛。トラブル続きの中、どうにか完成させるために奔走するスタッフ。そして最後に父を支えた家族愛。事前にオチを知る事もなく、また期待が高まり過ぎることもなく、無事、上田監督が観せたいものを観ることが出来ました。心から笑えて、ほっこり出来ました。そして『私は映画が大好きだわ』って、再認識出来ました。
[映画館(邦画)] 8点(2024-04-10 23:58:47)(良:1票)
2.  ガープの世界 《ネタバレ》 
“The World According to Garp”『ガープの目から見た世界』。ストーリーを文字で起こしてみると、かなり悲壮感漂う内容。にも関わらず、明るくて可笑しくて、不思議な映画です。 観せかたも斬新で、OPののんびりとした『ホエン・アイム・シックスティ・フォー』にのって、ゆっくり空を舞う赤ちゃん。のどかですね。幼いガープの空想で、父親がアニメーションで出てくるのもほのぼのしてます。交通事故のシーンは衝突音とと静止画。ウオルトにゆっくりズームするカメラで、何が起きたかを連想させるのも上手い手法です。  ガープの出生はかなり衝撃的で、ジェニーの話に驚くとともに、校長先生の「君は死にかけている男をレイプしたのか!?」にとても共感してしまう。こんな人がベストセラー作家になって女性解放運動の中心人物になるのは、世の中は物事の一面だけを見ているんだなって思えました。 エレン・ジェームズ運動。エレン本人が望まないのに運動を続け、自分の舌を自ら切り落とす抗議運動は、本人たちの自己満足でしか無い。女性の自立は望ましいことでも、その方法は間違ってるんじゃないの?って、そんなメッセージにも思えました。  ガープも自己中な男で、クッシーとの関係を続けながらヘレンを口説こうとします。結婚後も最初に浮気したのはガープなのに、疑われると逆ギレ。子供の寝顔を見て「最高に幸せだ」なんて、どの口が言うのか。一時停止を無視する乱暴運転の男にキレるくせに、自分は無灯火運転で事故を起こす。ベビーシッターとの一件がバレてないからって、いつまでもヘレンを許さないガープの人間性は褒められたものじゃありません。 クッシーとプーの姉妹。Poohはうんこで、Cushyは快適=快楽。音がPussyに似てるってのもある?一人はガープに快楽を与え、もう一人は死を与えた。 この映画の中では一番異彩を放つロバータが、一番マトモです。  …なんか全然まとまりが悪いですね。まとめられない所がこの映画のレビューっぽいかな?空を飛びたい少年が、人生の最後にヘリで運ばれて、何か上手くまとまった感じに思える。そういう、捉えどころのなさもこの映画の魅力かと…
[地上波(吹替)] 8点(2024-02-12 18:21:18)
3.  カンニング・モンキー/天中拳 《ネタバレ》 
“Half a Loaf of Kung Fu(一招半式闖江湖)”『カンフー半分でも無いよりマシ(半人前の世渡り)』でしょうかね? テレビのロードショーでジャッキー映画がバンバン流れて、学校で流行ってた時期に公開された作品です。 親に連れて行ってもらって観てきた友達が羨ましかったぁ。  当時テレビで観たんですが、普通に面白かった印象。「ジャッキーがー、拳法の秘伝書をー、カンニングしながら闘うのがー、面白かったです!」って子供みたいな感想で、あまり印象に残ってないのが正直なところ。どんな内容だったっけ? 今回観たのはレンタル版DVDで吹替無し。冒頭、演舞というかコントをするジャッキー。それがすごく長っっがい。意味の分からないコントが5分もだよ、何だこれ?なんかシュール。子供だったら飽きてしまうな。 主人公ゴン。出てくる度に前髪パッツンのオカッパだったり、センター分けだったり、ボサボサだったり、マユに掛かるほどの毛量だったりと前髪が安定しない。ラスボスがカツラだったのもあるし、もしかしたら当時の香港でカツラ・ネタが流行ってたのかもしれない。 登場人物がたくさんで覚えきれない。って思うけど、結構上手に処理されてて、「あれ?あの人どうしたっけ?」ってことが少ない。何かデッカイ事してくれそうな、銀魂の神楽みたいなオレンジ髪男もアッサリ負けたっけ。 師匠の弟子(ゴンから観て兄弟子ポジション?)のディーン・セキが結構活躍してるのも珍しい気がする。  だけど敵も味方もこんなに沢山出した意味は解らない。この時期のジャッキーはシリアス路線からコメディ路線に舵を切りたかったそうで、「俺に共鳴してくれるカンフー俳優仲間が、こんなにいるんだぜ」ってアピールするための映画だったのかも? 妄想だけどジャッキー派の地固めの第一歩で、そのためロー・ウェイが面白くなくて公開を遅らせた…として考えると、少し興味深い。 う~ん、これは吹き替えで観てナンボな作品かもねぇ~ア~イマ カンニンマンキーャ ハッピ カンニンマンキー♪
[地上波(邦画)] 4点(2024-01-13 12:56:27)
4.  かもめ食堂 《ネタバレ》 
フィンランドという非日常空間で繰り広げられる日本人女性の日常。不思議な雰囲気とやんわりとした空気が、なんか良いのだ。 何でその話?って思えるオープニングのナレーション。太った猫の死と痩せた母の死。美味しそうに食べる太った生き物に弱いって話から、遠巻きに店を見る太めな現地女性3人組。このお話はどこに向かっていくのかな?  サチエがフィンランドに来た理由。ミドリにもっともらしい理由を話すけど実はその場の思いつき。「ここならやっていけると思った」と言うけど、結局サチエが日本を出てここに来た理由は不明。小さいけど綺麗なお店。ピカピカの食器に調理器具。統一感のある北欧家具。サチエ、お金はあるんだな。 ミドリがお店をガイドブックに載せて宣伝したり、現地の人向けのおにぎりの具を考案するのに対し、売上にまるで執着がないサチエ。ダメなら辞めます。ってのは、自信があるからというより、サチエは自分を曲げて商売に熱を入れるんじゃなく、好きなことをやってる今が大事なんだろうな。だから明日世界が終わっても良いような毎日を送っているんだろう。   目をつぶって地図を指差したミドリは、ムーミンが好きなくらい。親の介護が終わったマサコもエアギター選手権で興味を持ったくらい。サチエ含めみんなフィンランドに絶対のコダワリはない。 3人とも過去に何かがあって日本を出てきている。3人ともそんな過去をリセットして、たまたまここで出会って、同じ時を過ごしている。 夫が出ていった中年女性、コーヒーの煎れ方を教えた中年男性。共に過去をリセットして、これからリスタートするかどうかってところ。  食堂のメインはとんかつや唐揚げ、鮭の塩焼きといった日本食。ソウルフードのおにぎり。おにぎりにはシャケ、梅、おかか。 おにぎりにトナカイやザリガニを入れても合わない。こちらから無理に合わせるのではなく、自分に合うものを選んでもらう。 そんな生き方がしたくて、サチエはこの地で店を始めたんだろう。 日本を離れた彼女たちの生き方が、この映画自体が、遠い異国のフィンランドから、日本人に向けて発信されているメッセージのように思える。 そんなメッセージを受け取る勇気も行動力もなく、ただ忙しい日常に流される毎日だけど。 サチエの「いらっしゃい!」がとても心地よい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-08 14:46:44)
5.  カラー・オブ・ハート 《ネタバレ》 
“Pleasantville”『プレザントヴィル』ってドラマのタイトル。地名で『愉快な町』とかって意味で、実際アメリカに幾つか同名の町があるので、きっとよくある田舎町の名前。 現実から異世界に行く&小さな町が主人公の影響で変わっていく映画というと、もう結構出尽くした感があったけど、こんなのも創れるんだって、かなりショックを受けました。私はケーブルテレビで遅れて観たけど、この作品、公開当時はどれくらい話題だったんだろう?もっと認知度高くても良いような、そんな印象です。  BTTFのように過去に行く物語の亜種として、視覚的にはカラーからモノクロの世界に行くんだけど、過去のドラマの“中の”世界。というのは面白い着目点です。紙は燃えないし、本は真っ白だし、メインストリートの先はメインストリートの始点。“本当の赤”みたく、お互いにモノクロなのも理解してます。カラーになったベティをファンデーションで助けるなんて、この世界観だからこそのアイデア。 デイビッドはバッドを演じ、ジェニファーはメアリー・スーを演じます。パターンとして、二人が時間が止まってる世界を壊さないように役を演じて、あれこれトラブルが有りつつも、最後は自分たちもモノクロ世界も壊さずに、無事現実に帰ってくるのが定石…だと思ってたところ、どんどんカラーが入ってきて、取り返しの付かない展開になっていきます。それも最初はカラーになっていくのがスカッと爽快で、だけどどんどん歪みが生まれていくのも上手いです。最初から最後まで『この先どうなっていくんだろう?』の連続でした。  最後も綺麗でした。古き良き'50年代から、世界が広がる'60年代へ。銀色の都市間高速バスが時代の変化を感じさせます。その後は退廃の'70年代に向かうのが想像できるけど、ドラマの世界の彼らはそんなこと知りません。一人残ったジェニファーも、たぶん詳しくは知りません(※今まで勉強してなかったのと、あの世界に未来の本は無いから)。だけど彼らの世界は私たちの世界とは違うので、同じ道を辿るとは限りません。プレザントヴィルがデイビッドが暗記するほど観てきたドラマの通りにならなかったように、彼らが向かう世界は素晴らしい'70年代かもしれない。 そして現実に戻ったデイビッドも成長しているのも嬉しいおまけで、あんな世界を体験しただけに、そこに説得力もあります。消えたジェニファーをどう説明するのか。あっちの世界もこっちの世界も、先のことはわかりません。だけどとても希望に溢れた終わり方でした。  結構完璧な作品です。完璧過ぎてアラが少ないのが、かえって“創りもの感”を感じます。エンディングのジョージがビルに変わるとことか、こういうのリメイク作でやるなら解るけど、ちょっと捻り過ぎかも。 あのテレビ修理の爺さんが何度か出てくるのは蛇足だった気がします。「おめーがリンゴ食ったからだー!」って言われても、いまいちピンときません。最初すぐ現実に戻ろうとしたけど戻れなくて、最後アッサリ戻ってしまうのは、リモコンの問題でなく爺さんの気分次第?1~2週間経ったから?う~ん… 『この先どうなるかわからない』映画なんだから。爺さんは最初と最後(帰っていくところ)だけで、あとは自分たちの選択した結果にしてほしかったかな。 ゲイリー・ロスの初監督作品。そのため力が入りすぎて、作品愛が溢れてしまったんだと思うところ。かなり好きな映画です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2023-12-02 09:50:10)
6.  カンナさん大成功です!(2006) 《ネタバレ》 
“미녀는 괴로워”『美人はつらいわ』。ちなみに200ポンドは90.7185kgなんだって。 デブでブス。どっちも整形で解決しちゃうんだな。脂肪吸引だけして痩せたらアラ私って綺麗…とか、美容整形だけして体型は根性で痩せるとか、どっちかでも良かったような。声だけはそのままなのね。 サンジュンが良い奴なのかが掴めず。なんでカンナのことを悪く言うシーン入れたのかな。あんな男、整形で綺麗になって見返す対象程度で良いんじゃない?  犬を捨てるシーン、カンナ身勝手だなぁって思ったけど、その後サンジュンが飼ってるのはナイス。嬉しそうなカンナが良い感じ。三ジュン、悪ぶってるけど根は良い奴ってことか? アミが意地悪で嫌なヤツなんだけど、地道に歌の練習してるのに感心したところの、鬼の首を取ったかのような嫌がらせ… ジョンミンが安定の良心キャラなんだけど、最後整形しちゃうんだぁ…韓国では美しいことが、いろんなモノを手に入れる条件の一つなのかなぁ? どうにも、表も裏もどっちも好きになれるキャラクターが居なかった。サンジュンのカンナのホンネ、秘密を知ったアミの嫌がらせは、もう少しキャラを許せてしまうようなフォローを入れてほしかったかな。それが無いから『あの件は置いといて』って感じで、もう一歩感情移入できないままだった。 最後の方FOするアミより、ピンク髪の娘がカンナを認めててほっこりしたわ。  一時期、韓流ブームの時って、向こうの美人はみんな同じ顔(整形顔)してて不思議だったわ。美に対するベクトルが一緒だから、目指す目標も一緒になってしまう結果、同じような顔になるらしい。そんな中カンナは自然な整形をしていたってことなのかも? あれだけ整形が浸透している韓国で、整形した女を悪く言う風習があるのも意外だったかな。お互い納得して整形を認める文化だと思ってた。 ブロンディのカバー曲が良かったわ。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-11-24 23:25:50)
7.  カンフーハッスル 《ネタバレ》 
“功夫”『カンフー』。これは良いとして英題“Kung Fu Hustle”『カンフーぺてん師』??…ハスラーのハッスルだと思うんだけど、こんな訳で良いのかなぁ?まぁ、シンはハッタリだけのチンピラ。豚小屋砦の達人5人も正体を隠してた。最強の火雲邪神も奥の手はインチキ。シンに秘伝書を渡した仙人も…だからまぁ、これで良いのか。  少林サッカーが大好きなので、この作品も素直にハマれました。斧頭会に囲まれて絶体絶命の場面で3人の達人が立ち上がるシーンは鳥肌ものの格好良さ。DVDでここばかり何度もリピートしてしまいます。シンと相棒も安定の面白さ。痛面白いナイフ投げのシーン最高。アイス売りの娘から小銭を奪うところ、相棒がラムネを差し出すところで胸がジーンとなってしまう。 少林サッカーと比べ、序盤のボス殺害シーンがちょっと残酷で少々鼻に付いてしまうけど、琴の暗殺者が猫を切るシーンがまたセンス良くて、ここは良い意味で裏切られた気分。このシーンのミスリードのために序盤に残酷シーン入れてたのかなぁ?って思えるくらい。猫上手い。  漫画チックに脚をクルクルさせてのチェイス・シーンとかは、まぁ、私はあまり得意ではありません。気持ちがすとんと落ちたところで唇ブルブルのシン。こういうのも、ちょっと…達人3人のカンフーは素晴らしかったけど、それを凌駕する大家夫婦のカンフーが体技ではなくCGメインなのも、最初ちょっと残念に思ってたっけ。今ではそんなに嫌いじゃないけど。 火雲邪神は強敵感があっていい味出していたわ。シンとの対決もアツいものがあったけど、やっぱ最後はCG合戦かぁ。 シンは大家夫婦の死んだ息子。って訳じゃないんだよね?たぶん。  ただね、ツッコミどころはいっぱいあるけど、キラリと光るセンス。他の映画じゃやらないであろう、ウケるかスベるかギリギリのギャグ。観終わった後の満足感。笑いあり涙ありの99分間。少林サッカー同様、当時のチャウ・シンチー映画には不思議なパワーがあるんですよ。
[地上波(吹替)] 7点(2023-11-22 22:52:45)
8.  仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督) 《ネタバレ》 
“The Man In The Iron Mask”『鉄仮面の男』おぉ、スケバン刑事2とかの元ネタで、実際にそういう人物が存在したんだ、へぇ~~。三銃士のその後、鉄仮面伝説、ルイ14世の秘密。複雑になりそうなお話なのに、とても分かり易い娯楽映画でした。 何度か映画化され、テレビアニメにもなっていた『三銃士』。私も基礎知識としてどこかで観ておくと、よりこの映画を楽しめたんだろうなぁ。よく知らないんだよなぁ…。時の人ディカプリオが、横柄な悪人ルイ14世と、心優しいフィリップの2役を演じますが、ホント顔つきを観ているだけで、どっちの役か解るくらい、見事に演じ分けています。この一本でディカプリオを2倍楽しめる構成になっています。  さて、三銃士の筋を知らない私は、この物語の主人公が誰だか解らないのです。この映画のウリ(主演俳優)は間違いなくディカプリオなんですが、ルイが主役というのは違う気がしますね。じゃあフィリップか?ってなりますが、彼は自分の意志で動くというより、両陣営の操り人形な感じです。なので三銃士(四銃士)が中心人物になるんでしょうけど、ダルタニアンが主役か?というと、どちらかというと悪に加担する側なので違うような…。 映画の中の悲劇としては、ラウルとクリスティーヌの悲恋なんだけど、どちらもアッサリと最後を迎えるため、印象が薄いです。クリスティーヌももっと抵抗してほしかったし、ルイももっと威圧的に悪党らしくがっついてほしかった。アトスが一時期フィリップの父親代わりになりそうですが、主役かというと、どうも違う。ポルトスは主役ってガラじゃないから、消去法でアラミスになるのかなぁ?うぅ~ん…  歴史モノにしてはライトな創りで、クソ真面目な作品でも無いんだけど、かといってコメディ要素が強調されるでもない。好き嫌いは結構ハッキリ出る作品かもしれません。見せ場とか演出とかが、近年のマーベル系ヒーロー映画に近い気がしました。 忠臣ダルタニアンの秘密。これはマズいでしょう。物語上、ダルタニアンが一番悪い人になってしまっている気がします。
[DVD(字幕)] 5点(2023-11-16 23:09:50)
9.  カッコーの巣の上で 《ネタバレ》 
“One Flew Over the Cuckoo's Nest”どうやら『キチガイ病院から1人飛び出した』って意味のようです。 目がギョロギョロしたクリストファー・ロイドに常にニコニコしてるダニー・デビート。他の作品を観ていなければ、こういう人なんだと思えてしまうほどのリアルさ。決められたルーティーンで薬を飲んで、徘徊したりゲームをしたり。社会生活が困難な人たちを、一か所に集めてまとめて家畜のように管理する。そんな印象を受けてしまう。 意思疎通の難しい精神病患者たちと、患者を機械的に管理するラチェッド婦長ら看護側。患者相手にはフェアとは思えない多数決と連帯責任。詐病のマクマーフィ目線で、患者側から精神病院を観る。だけど強制入院と自由入院が混在していて、その中に刑務所から移送されたマクマーフィが居るのが不思議。自由入院のチェズウィックも電気ショック受けてるのもなんか不思議。  ワールドシリーズのテレビ観戦にバスを強奪しての釣り船ツアー。やってることはメチャクチャだけど、マクマーフィに影響されて患者たちが自分の意志でまとまっていく様子が何とも清々しい。喋れないフリをしていたチーフが、マクマーフィだけに対し喋ったときは「おぉ~~!!」ってなったわ。ってか、チーフの一挙手一投足に「おぉ~~!!」ってなってしまう。 このままマクマーフィと仲間たちで、何か凄いこと(?)を達成してしまうんじゃないか?って、方向性が解らないけど、彼らの中で何かが進展していく感じがとっても心地良い。クリスマスの翌朝の、まさに“祭りのあと”感。『あぁ、全部終わったんだな』って空気。ビリーの悲劇。ちょっとした歯車の狂いからすべてが終わってしまう重たさ。  2人で脱走しようと誘われるチーフ。かつて大きかったチーフの父親は、抑圧されて酒に溺れ、どんどん小さくなって殺された…チーフはそうは言わず、始末された。と。その話にピンときてないマクマーフィ。 かつてインディアンは広大な土地を追われ、狭い居留地に押し込められ過去がある。その後一転して、'50~'70年代には、都市移住計画という名の同化政策のもとに、居留地さえ追われることになる。移住した先は仕事もなく頼れるものもない、貧困と差別の世界。そんな時代にチーフは、見せ掛けの自由を手放し、精神病院に入ることを選んで、今に至る。 舞台は'63年とのことだけど“ロボトミー手術”なんて、あったんだなぁ。理論だけで実在しない施術だと思っていたわ。 手術によって物も言えず、体の自由を奪われたマクマーフィに、精神病院に自ら入ったチーフ自身を重ねたんだろう。病院のシステムに抗い続けたマクマーフィの精神を開放し、自分の力で自由を手に入れる。 『飛び出した』のは『1人』。だけどその1人はマクマーフィの精神であり、インディアンの精神でもある。
[DVD(字幕)] 9点(2023-11-16 00:16:46)
10.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 
“男勝りなお姫様”の元祖だろうか。そもそもの初登場が崖の上での仁王立ちである。 ただそっちの画より、湧き水のところで太平と又七が初めて雪姫に会うところ、こっちの画の方が黒沢監督が観せたかったんだと思う。太腿を観せてからの振り向きの構図。脚から胸、顎にかけての女性独特の美しい線とキリッとした顔。この構図一枚こそが“男勝りなお姫様”を表現する画なんだと思えた。宮崎駿監督の“男勝りなお姫様”でよく観た構図のモトは、この映画だったんだと思う。 一国のお姫様だから、その辺の女とは違い、高く綺麗な声質…なのに、男勝りなことを言う雪姫。彼女の独特な話し方は、恐らくそういう演出でしょう。上原美佐は経験不足ではあるけれど、決して実力不足ではないと思う。  一つ不思議に思ったのが、最後に本来の姫の姿の戻ったときの、画面一杯に寄った画が無いこと。落ち延びている最中のキリッとした眉の時とは違い、姫らしく眉や髪を整えた美しいお姫様の顔なのに、何故か寄って撮らない。ここは恐らく、太平と又七側から見た目線のためで、お姫様の顔を間近に観るなんて恐れ多い。という演出かもしれない。劇場の大画面で観ていたら、印象も違ったかもしれないけれど。  戦に間に合わなかった二人の百姓目線で進んでいく序盤はとてもわかり易く、展開も早い。秋月、山名、早川。聞いてるだけではこんがらがりそうだけど、砂に書いた丁寧な領地の説明。そこに放られる金塊。『七人の侍』の野武士の人数同様、解り易く胸躍る演出にグイグイ惹き付けられる。 題名にもなっている隠し砦が燃やされ、最後の抵抗をする秋月の老将らの最後はバッサリ割愛するのも、取捨選択が絶妙と言える。文句なしの前半。  ただ良くも悪くも百姓娘のその後なんかもバッサリ。というのは、少々味気なさを感じてしまった。太平と又七それぞれに金一枚づつあげれば良いのに。なんて思ったりも。いや、そういう予定調和にしない所もまた、黒澤映画の味わい深さなのかもしれない。 後半、三船の馬術の素晴らしさ、火祭りの躍動感に目を奪われつつも、『隠し砦の三悪人』という題名に少々違和感を感じてしまうのも事実。三悪人って誰のことだったんだろう? 普通に考えて太平と又七と真壁なんだろうけど、最後の雪姫・真壁・田所がズズイと寄ってくる場面を観ると、もっと別な解釈もあるような気がしてしまう。
[DVD(邦画)] 7点(2023-11-12 23:39:55)
11.  ガタカ 《ネタバレ》 
“Gattaca”劇中の宇宙局の名前。DNAの基本塩基の頭文字、G・A・T・Cを組み合わせた造語だそう。 核酸塩基には5番目の頭文字ウラシル (U)というのもあって、このUはDNAにはほとんど含まれず、RNAを構成(G・A・U・C)する基本塩基だそう。遺伝情報を永久保存するDNAと、一次保存するRNA…まぁあまり掘り下げてもだけど、不確定要素の話になっていきそうです。  '97年の映画だけど、登場する車が'60~'70年代くらいに作られた、当時考えられていた未来チックなデザインの車。ヘッドライトが何故か緑色。この映画公開時の時間軸の未来ではなく、'60年代くらいから観た未来の世界を、遡って表現したんだと思われる。 だから最後、リアリティある宇宙服でなく、空想科学SFの宇宙旅行らしくスーツで旅立つんでしょう。レトロフューチャー感が味わい深い。  アントンが遠泳で負けたのは、引き返すことを考えたから。そんな考えの「適正者」ばかりの世の中では、想像を超える世の中にはならないんだろうな。 エリートのヒューゴと、彼より年上の部下。彼は不適格者だろうな。だけどこの刑事の直感と執念で事件は解決する。 銀メダルで終わったジェロームの苦悩。適性者が買って当然の競技に、どうして順位を付ける必要があるのか。今思うと対戦相手は不適正者だったのかな。  生まれた瞬間にどんな病気の可能性があって、推定寿命まで伝えられる怖い未来。ビンセントにとって30歳が人生のゴール。 でも、だからこそ、どんな無茶をしても“土星のタイタンに行く”事をゴールに出来たんだろうね。帰ってくることを考える必要のない、片道切符の目標。 あまりお金掛かってないけど、ツッコミどころも探そうと思えばたくさんあるけど、人生が長いから忘れがちだけど、努力の瞬間の積み重ねが夢を叶えることを再認識させてくれる映画です。
[DVD(字幕)] 7点(2023-11-05 16:12:48)
12.  学校 《ネタバレ》 
卒業間近を現在として、過去のエピソードを交えていく創り方が上手い。悪く言えばツギハギなんだけど、生徒一人ひとりを中心に時間を行き来することで、生徒と学校の関わりもきちんと観えてくる。それをもし時間軸に沿ってエピソードを紹介していったら、恐らくダラダラした展開になっていたと思う。 修(誰かのサブキャラとしてしか出てない)やチャン(ピンポンのチャイナのコーチの人だな。でも本作では悪いイメージしか持てない。)のエピソードが割愛されたようにも思うけど、生徒7人+黒井&田島先生を均等にするか、悩んだ結果のイノさんメインの映画だったんだろう。後半に向けてイノさんと仲間たち感が強く出ていた。  イノさんの田島先生への気持ちに対し、上辺だけのあまりに雑な方法で説得しようとする黒井先生に対し、酔っ払ったイノさんの、言葉一つ一つが説得力があった。『口じゃ上手く言えない気持ちを文章で伝えよう』凄い説得力のある手紙の授業。イノさんのラブレターへの返事を、言葉で説得しようとしちゃダメでしょう黒井先生。教師は絶対の存在ではなく、学校は教師が生徒に勉強を教え、教師も生徒から人生を教わる場なんだなぁって思ったわ。  イノさんの死について語り合うホームルームに、学校で過ごす時間の、何が大事だったかの多くが集約されていた気がする。社会に出たら目的のある会議とカタチだけのミーティング、あとは酒の席だからなぁ。懐かしいなぁホームルーム。答えがない時間の如何に大切な事だったか。あと給食美味しそうだった。 あ、でも奈良の起源がウリナラにはビックリしたけど、やっぱりデマでした。この時代、自虐史観とか君が代不起立とか、教育現場が可笑しな方向に舵取りしてた時代だったなぁ。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-11-04 02:06:20)
13.  風と共に去りぬ 《ネタバレ》 
“Gone with the Wind”『行ってしまう』を『去りぬ』とするところに、当時の人のセンスを感じます。 タイトルの『風』って何でしょうね?自然に発生するもの。人に変化をもたらすもの。恋愛。家族。結婚。離婚。死別。戦争。発展。時代…どの時代でも変わらないもの。あぁ『川の流れのように』の『川』と同じような使われ方かな?日本人にも根付いた考え方で、とても共感しやすい発想ですよね。  2:30もの序曲から始まる、雄大、壮大なタイトルと激動の時代。時代の流れに翻弄される登場人物たち。雑草のようにたくましく生き抜く主人公。世界大戦が始まる年に創られ、日本では戦後復興後に公開された本作は、戦中戦後を生き抜いた人たちに多くの共感を持って受け入れられたことでしょう。 そして美しく奥行きのあるカラー映像。今観ても美しさを損なわない完璧な構図。テレビCMなんて無い時代、ポスターと広告の数点の写真、せいぜい観た人の感想しか情報が無い中、まるで“動く絵画”のような映像を劇場の大画面で観せられるんだから、観るものの度肝を抜いたことは容易に想像出来ます。 激動の時代と一人の女性の半生。まるでNHKの大河ドラマと連続テレビ小説をミックスさせたような物語。大河も朝ドラも共に'60年代から始まっているけど、この映画の影響ってかなり大きかったんじゃないかな?  映像の美しさは文句なし。キング・オブ・カラー映画とも言える本作。私は公開から60年近く経って観た訳だけど、まず想像と全然違ったスカーレットの人物像に驚いた。何とまぁワガママで自分本意な女だろう?これじゃ朝ドラの主人公としては大不評だろう。 そして南北戦争を題材にしているのに、戦闘シーンはほぼ皆無。せっかくのスケールの大きさも、後方の負傷兵と焼けた街ばかりが目に入る。これじゃ大河としてパッとしない。今なら映像美だけの映画扱いされそうだけど、それでも、ウケた。 スカーレットの生き様に共感した、当時の女性の支持が大きかったんだと思われます。  ウーマン・リブが叫ばれるちょっと前の時代。映画の中ではもっとずっと昔の時代。誰と結婚しても好きな男のことだけを考え、子供が生まれても“オンナ”を捨てなかった女。このオンナ像は当時の女性たちに、センセーショナルに受け入れられたことでしょう。 天使のようなメラニーを男社会の世の理想とするなら、自由奔放なスカーレットは当時の声なきオンナたちの理想。 有名なポスター観てください。レットがスカーレットを抱いた構図。『美しい女を捻じ伏せるハンサムな男のラブロマンス』に見える。たくましいレットと、か細いスカーレットの肩幅の違いを強調しつつ、最後の最後まで振り回されるのはレットの方。 男社会の中『主人公には共感できないけど、映像は凄い大作映画』を隠れ蓑に、世の女性たちは、声を出さず、したたかにこの映画を支持し、自分の中のスカーレット(=オンナ)を育んでいったに違いない。
[DVD(字幕)] 8点(2023-11-03 11:46:02)
14.  風立ちぬ(1976) 《ネタバレ》 
百恵ちゃんと三浦友和の共演4作目。前作『絶唱』と同じく、死に別れる運命の若い男女の物語。 原作小説からのアレンジとしては達郎も徴兵されて戦争に行くというところ。お互いに相手を思いながら、自分の死についても向き合うという環境だけど、この設定が上手に活かされたかどうか。 出征のとき、電話で節子の父に、周りに聞こえないよう受話器を抑えて、生きて帰ることを約束する達郎。一方で節子の訃報を聞き逃した達郎への優しい嘘。当時は戦場には死にに行くもの。たった今、娘を亡くし、婿になるはずの達郎も、帰るあてのない戦場に行く父の辛さ。  このタイトルから、どうしても宮崎駿の映画と比較したくなってしまうけど、観たの公開時だったから、忘れてること多いしなぁ。改めて観てからにしよう。でもどちらも太平洋戦争期に時代設定をアレンジしているね。  百恵ちゃんと言えば『赤いシリーズ』の印象が強く、本作も結核という病が2人を引き裂くところなんか、想像したまんまだ。 不治の病モノは当時の流行りだったかもしれないけど、日本の文学をアイドル主演で映画化し、若者にはとっつきにくい文化を、親しみやすく継承する試みとしてはアリだとも思う。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-10-24 01:14:04)
15.  カサブランカ 《ネタバレ》 
“Casablanca”邦題まま。モロッコの大都市。当時はフランス領で、戦時中は仏が独に占領されたため、ヴィシー政権下。 学生時代、ハンフリー・ボガート(ボギー)って名前だけは結構知られていて、映画観たこともないのに、渋くてかっこいい男の代表みたい扱いだったわ。 名台詞『そんな昔のこと覚えていない』『そんな先のことは分からない』、そして『君の瞳に乾杯』は、40年以上経った日本の高校生でも知ってました。もちろん映画から直接でなく、バラエティ番組や漫画からとかだけど、それでも凄い浸透具合。 初見は割と最近。バーグマンとボガードではかなり年齢差を感じてしまったけど、ボギー当時まだ42歳か、あの渋さで私より年下か…  さて劇中4回も出てくる『君の瞳に乾杯』(※私が観たDVDでは1回めは『謎の美女に乾杯だ』だった)。“Here's looking at you, kid.”は「君のような可愛い子を見つめることが出来ることに(乾杯!)」みたいなセリフですね。つまり『君に逢えた(これから先の)俺は、なんて幸せなんだろう』って意味だと思いました。1度めは出会った時。2度めはパリを旅立ち結婚しようとした時。ともに回想シーンです。 3度めは現代のカサブランカで、ラズロとの間で揺れ動くイルザに言うセリフ。自分のもとに戻ってきたイルザに言うので、復縁の意味にとれますが、リックの表情を観ていると、前2回のように笑顔はありません。自分が今後どうするべきか、頭では解っていたんだと思います。 そして4度め、別れのシーン。パリの思い出を胸に生きていく事を決めたリック。イルザの居ないカサブランカで、ずっと時が止まっていたリックが、いよいよ、この狂った世界で自分がするべき事の為に立ち上がります。 “As Time Goes By”『時が経っても』イルザに逢えた幸せは失われない。という考えに至ったんでしょうね。  プロパガンダ映画として、自分の国土を守るためとか、直接的な利益が手に入らないながら、ヨーロッパでの戦争に参加するアメリカの立場として、正義という名の美学のための参戦というのが、イングリッドの次回作『誰がために鐘は鳴る』と被る部分だわ。 ドイツ軍人の合唱「ラインの守り」を打ち消すフランス人たちの「ラ・マルセイエーズ」の大合唱。シンプルながら自国を思う気持ちを高揚させる。
[DVD(字幕)] 7点(2023-10-23 23:50:03)
16.  ガス燈(1944) 《ネタバレ》 
“Gaslight”邦題まま。ガス灯の街灯は国内でも限られた場所でしか見られないけど、もっと灯がゆらゆらしてるもんだと思っていたわ。 また、相手を自分の思うままに操るために、相手の記憶や正気に疑いをもたせるような、些細な嫌がらせをする心理的虐待を、“Gaslighting”『ガスライティング』と言うそうな。この作品と、元になった同名の演劇から、'70年代に生まれた言葉だそう。公開当時はこの心理的虐待を、なんて呼んでたのかな?  映画ではポーラ側の視点となるけど、ブローチ紛失や手紙の行方など、グレゴリーのやってることが、かなりえげつない。客人を追い返し、落ち込ませ、急に外出しようと言い不安にさせ、サプライズだとホッとさせ、大喜びのところを絵が無くなったと叩き落とす。今で言う“モラハラ”だ。更に追い打ちを掛けるように家政婦に確認。この時代にここまでネチネチした“モラハラ”を題材にした映画(演劇)を創る懐の深さが凄い。  一方でグレゴリーの目的が宝石強盗(泥棒?)で、それを成すための執拗な『ガスライティング』だった。というのがこの物語の顛末だけど、アリスの姪と結婚して、宝石のある家に住むことも出来たなら、ポーラに対し、そこまで回りくどい嫌がらせをする必要があったのか疑問。消えた手紙と、元から無かった手袋の片方。出来過ぎにも思えるけど、一本のサスペンスとして上手に伏線を回収出来ていた。 ただもちろん、この映画の見どころはサスペンスの結末(オチ)ではなく、徐々に精神的に追い込まれ、弱っていくイングリッドを愛でる映画…なんて少々悪趣味な気もするけど、そっちだと思う。 最後助けを求めるグレゴリーに、立場が逆転したポーラが突然まくしたてる展開にはビックリ。「おやまぁ!」って感じ。 印象深い顔つきのナンシーが、若きジェシカおばさんだったのにも驚き。
[DVD(字幕)] 6点(2023-10-23 22:42:11)
17.  ガール・ネクスト・ドア 《ネタバレ》 
“The Girl Next Door”『隣の家の女の子』。“24 -TWENTY FOUR-”のキム・バウアーの子が主演と聞いたら観たくなる気持ちも解る日本劇場未公開作品。 モテない主人公の隣にスゲー可愛い子が引っ越してきた!でもってやることが破天荒!って、かなりありがちなスタート。それは良いとして、ダニエルがマシューを好きになる理由がイマイチよく解らない。個人的にはここをもっと、納得出来る理由を用意してほしかった。  実はAV女優!?良いね、マシューの価値観を根底からひっくり返す展開は面白いと思う。でもだからって即モーテルは生徒会長マシュー君の決断としては短絡的だし、過去を忘れてマシューと向き合おうとしてたダニエルったって、そもそもマシューの何に惹かれたのかが解らなくて… どう観ても悪者なケリー登場。物語はどんどん進んでいきます。もう“Next Door”である必要も無くなってます。何でしょう、CMで興味を持って観だしたドラマが、実は全然思ってたのとは違うくて、毎週どっちに向かって進んでるんだか、よく解らなくなるドラマを、ダイジェストで観てる感覚です。  マシューとダニエルの恋の行方より、ドラッグでヘロヘロ状態のスピーチと、盗まれた25,000ドルをどう穴埋めするかの話が中心になってしまい、ますますマシューの何に惹かれたのかが解らなくなります。これ設定が幼馴染なら解るよ?昔から隣りに住んでたとか。でもダニエルのセンセーショナルな登場と、急激な恋愛関係の割に、後半“友情の3脚関係”に持っていくのは、ちょっと強引な方向転換な気がしました。だからリムジンで二人が初めて結ばれても、どうにも気持ちは盛り上がりませんでした。  エリシャ・カスバートは“24”のキム役をやる前『こどもおもしろメカニック』って教育番組のレポーターをしてたそうです。 そんなキャリアの彼女が“性教育”ビデオを作る映画に出るなんて、ちょっと面白そうだけど、彼女ビデオには出てないんだよな…
[DVD(字幕)] 4点(2023-10-16 23:59:47)
18.  華麗なるギャツビー(2013) 《ネタバレ》 
“The Great Gatsby”『偉大なるギャツビー』。オリジナルは観ていませんが、レッドフォードにディカプリオ。主演俳優の美しさから邦題は『華麗=(The Brilliant)』の方にしてみたんでしょうかね?ジェイの繊細さが滲み出ていますが、タイトルとしては一代で富を築いたスーパー金持ちギャツビー氏って方に掛かってる、The Greatなんだと思います。誰が監督か特に意識しないで観てるうちに「これ、○○監督かな?」って特徴ある監督っていますよね。バズ・ラーマンとティム・バートンはすぐ解る気がします。  さて、謎多き大金持ちのギャツビー氏。そんな人が隣人だとニックでなくても興味が出てくると思います。ただね、彼がパーティを開く理由、そこに住む理由が紐解かれるたびに、ギャツビーを形成する鎧が剥がれていき、丸裸になる頃には、過去の恋に生きる単なる臆病な男になってしまいます。デイジーの過去の恋愛までを否定させるでなく、それを受け入れた上で新たな交際を始めるならともかく…なところです。  嫌になっちゃって「トムもうここに居たくない!」って叫んじゃうデイジー。あぁこれが最近学んだ“蛙化現象”か。ここからサスペンスっぽくなるけど、最後の方、ニックからの電話にスンとした顔して執事を見上げてるデイジーがまたとっても印象深い。これが、まだデイジーにも未練があって、会場に行きたいけど、でもトムが…ってなら物語としてアリだけど、彼女の感情の中で、完全に終わったんだなぁ~って顔。悲しすぎる。  華麗なるギャツビー役がディカプリオで良かったのか、ちょっと疑問です。やはり彼の美少年全盛期に比べ、顔つきがふっくらして、目には迫力があります。貧しい生まれで、戦場を生き抜き、禁酒法の裏社会で財を築いた偉大なる人物の顔つきはしていますが…
[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-06-12 21:48:34)
19.  カリートの道 《ネタバレ》 
“Carlito's Way”邦題まま。 逮捕前のカリート・ブリガンテの武勇伝についてはあまり語られないけど、もうアル・パチーノってだけで大物のマフィアでカリスマ性があったんだろうって想像できますね。そんな男が5年ぶりにシャバに戻って、カタギとして生きようとする。 時代が変わってベニー・ブランコのような(カリートから見て)チンピラが大物を気取っている。サッソが言う「彼は20年前の君と一緒じゃないか。」おそらく街もマフィアの世界も何も変わっていなくて、カリートの居ない間に時間だけが過ぎただけ。悪党は次の時代の悪党に代替わりし、古い悪党は沙汰される。ただカリートは自分の進むべき道を考え、ただそこに向かって進もうとしていた。 昔からの仲間、ラリーン、クラインフェルド、サッソ、パチャンガ。昔の仲間に大なり小なり裏切られるカリート。ここだっておそらく昔と何ら変わっちゃいない。カリートの価値観、進む道が変わっただけ。  クラインフェルドのクズっぷりが素晴らしい。カリートの刑期を短縮させるなど、それなりに有能な弁護士なんだろうに、突発的な行動が後先考えてなくて驚く。だけどトニーの脱獄の手助けがフランク一人だけって、マフィアって人材不足なのか?あれじゃクラインフェルドだって暴走するわ。でもカリートを道連れにする意味が…何かさせるつもりじゃなかったのかな? オープニングから撃たれるカリート。この場面がどこで出てくるのか?と思ったら一番最後だった。この映画で結末を映画のアタマに持ってきた意図が私には良く分からず。パチャンガがあの場面でカミングアウトする意図も私には分からず。ただカリートの脱出劇の緊張感。『楽園への脱出』看板と踊るゲイルの美しさは『ユー・アー・ソー・ビューティフル』と相まってとても美しかった。さすがデ・パルマ。  ブロードウェイを夢見ていたゲイルは、ストリッパーに身を落として働いていた。想像と違う現実のゲイルに、カリートは少なからずショックを受けたはず。 サプライズでゲイルに会いに行き、格好つけて帰ろうとしたときのゲイルの言葉。ドアチェーンを引きちぎるのは、想像していた自分の姿とは違ったはず。 最後の夕焼けの海岸で踊るゲイルは、あくまでカリートの理想とする将来像。自分抜きにでもバハマで幸せに暮らすゲイルを想像してのことなんだろう。 だけどきっとゲイルはバハマには行かないはず。カリートが死に、何のツテもなく身ごもったゲイルが、見知らぬ土地で一人生きていく未来は想像できない。マフィアの世界から足を洗おうとしても抜け出せなかったカリートと一緒で。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-04 22:43:57)
20.  帰ってきたヒトラー 《ネタバレ》 
“Er ist wieder da”『彼が帰ってきた』。この映画、とても内向きというか、ドイツ国内・ドイツ国民向けに作られた映画に思えます。移民に困っていたドイツ人の中にフツフツと湧いていた不満を、思い切った登場人物にぶった切ってもらう。 ヒトラーを頭ごなしに“悪”とみなす(と思われた)現代社会に、ヒトラーを置いて直接話させてみたらどうなるか?ドキュメンタリー風な撮影から、思いのほか好意的な人が多いことに驚いた。でもこれ、台本なしの会話にしても半分ジョークとして答えてるようにも思えるのと、モキュメンタリーの可能性も否定できない。エンディングで顔が黒塗りの人もいれば、顔出しでナチス式敬礼してる人もいて、何かそんなリアリティが却って造り物っぽく思えたかな。 この映画の目的・着地点は『誰もが知る悪のハズのヒトラーが、何故か民衆の心を掴んで現代社会で受け入れられていく』ことで、本当のハプニングを楽しむ映画ではないだろう。  バラエティ番組に初登場した時の長い沈黙は、ヒトラーのカリスマ性をしっかり感じさせた。そして低俗なテレビ番組の批判。彼の演説に引き込まれる観客。笑わせる所で笑い、考えさせられる所で考える。過去から学んだハズのドイツ人が、解決できない今の問題の答をヒトラーに求める。 実際『シェパード・ダックスから純血のシェパードは生まれない』の話は説得力があるというか、その通りだと思う。最近の多様性を変に認める世の中の動きに怖さも感じる。単一民族というその地域に根づいた人種の境界線を否定するような、曖昧に濁して混ぜてしまうような恐ろしさ。面と向かって移民受け入れを否定することが悪のように思われる世の中。多様性の行き着く先が、ネットで目にする『日本の地方都市の国道』の、同じチェーン店ばかりのツマラナイ風景になるようにも思える。それはそれで恐ろしい。  ただ、ヒトラー×ナチスがユダヤ人に対して行った極端な政策の反動から、昨今の思い切った政策を行えないドイツの弱さに繋がっているとも言えるかもしれない。日本も同じかもしれないけど。 言いたい不満を自分が言えない代わりに、ズバッと言える行動力あるカリスマを支持する。1933年、ヒトラーは暴力と恐怖でドイツを支配したのではなく、民衆の自由意志で選ばれて首相になった。それもまた恐ろしい。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-05-09 23:33:01)(良:1票)
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