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1.  グランド・ホテル 《ネタバレ》 
偶然ホテルに宿泊して居合わせた五人の出会いと別れを描く群像劇。医者から余命幾許と知らされ、残りの人生を楽しむために来た老人クリンゲライン。経営悪化した会社を合併によって乗り切ろうと画策する社長プライジング。人気低迷に悩むプリマドンナ、グルシンスカヤ。薄給を嘆く秘書フレムヘン。紳士だが、借金があり盗みを働く自称男爵。 それぞれの人生が最初は精妙に、やがて濃密に絡まりあってゆく。 クリンゲラインの勤める会社の社長がプライジング、プライジングの雇って秘書がフレムヘン、フレムヘンが好意を抱いたのが男爵、男爵の盗みの対称がグルシンスカヤの真珠、グルシンスカヤが恋に落ちたのが男爵。そして最後には劇的な展開を迎える。プライジンガが男爵を殺害し、フレムヘンとクリンゲラインが一緒にパリに旅立ち、グルシンスカヤが男爵の死を知らされないまま去る。ひと騒動もふた騒動もあったのに、ホテルは何事もなかったかのように存在し、次々とやってくる新しい客を受け入れる。ホテルは神の視座だ。神の視座から、複数の人生の縮図を鮮やかに写し出して見せたのが本作の長所だ。人物描写が丁寧で判り易く、場面展開がなめらかなのも良い。 庶民の羨やむ一流ホテルに泊まる人も不幸を抱えているという視点が当時は斬新だったのだろう。このような凄まじい人生劇を見せられた視聴者は心を動かされ、自らを顧みることになる。人生を考える暗示が詰まっている。人によって、共感する人物、共感出来ない人物、様々だろうが、誰か一人には共感するだろう。それが群像劇の強みだ。 本作の肝は、男爵がグルシンスカヤに惚れることだ。真珠を盗みに入った部屋で女が絶望の淵に沈む姿を見て、正体を現し、真珠を返し、愛を告白する。これで物語が大きく動き出し、このことが最終的に男爵の息の根を止める結果になるという悲劇の端緒となる。突然の告白に戸惑いながらも、夢見るような眼差しをする女優は印象的だが、男優の演技はどこか冷めていて、情熱が伝わらなかった。中年の恋はどうしても色眼鏡で見てしまう。 最初と最後に給仕長の男子誕生の挿話がある。人生の縮図の象徴であり、本当によく出来た脚本だと思う。名作の名に恥じない。ただし、クリンゲラインの大袈裟な酔っぱらいの演技が鼻についた。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-09 02:12:11)
2.  くじけないで 《ネタバレ》 
柴田トヨはいまの高齢化社会を象徴するような詩人だ。90歳で詩作を初め、98歳で初詩集出版。徐々に認められ、「百歳の詩人」として一躍有名になった。過去に例をみないことだ。詩の特徴は、なんといっても言葉からにじみでる“優しさ”だろう。うまい、へたを越えている。映画は、時折トヨの詩を織り交ぜながら、その半生を丁寧に描いていく。 劇的な人生を送ったわけではないが、それなりに起伏がある。実家は裕福な米屋だったが、大正の米騒動で家が傾き、奉公に出された。最初の結婚が夫の暴力などにより縁切りになった。空襲のさなか、二番目の夫となる大工の男性から求婚される。そして息子、義一という子宝に恵まれた。息子もやがて結婚。その息子夫婦との関わり合いを中心に物語は進行する。嫁はしっかり者だが、この息子というのが曲者なのだ。 若いときに小説家をめざすが挫折。結婚するものの、定職にはつかず、時に職を得ても長続きしない。競馬、競輪、パチンコなどギャンブルが趣味。妻の保険外交員としての稼ぎが家計を支えている。父親と顔を合わせれば喧嘩をし、母親にはギャンブルの資金を無心にくる。いわゆる問題児、馬鹿息子の類だが、“根はいい人”。90歳過ぎて精気の失せた母を気遣い、脳の活性につながると詩作を勧め、添削も行う。そして何とかお金を都合し、詩集出版にこぎつける。 柴田トヨは人生を完走した人だ。詩という言葉の翼を得て、あるときは乙女時代の想い出を、ある時は夫への愛情を、ある時は母の強さを、ある時は自然と生命の賛美を、陽だまりのような優しさで綴った。その優しさがあればこそ、息子夫婦は決して母を見捨てなかったし、それが稀有な高齢詩人の誕生につながった。トヨの詩は三人の合作ともいえるだろう。彼女の詩は優しさだけではない。人生に前向きな姿勢が人生の応援歌として読者の心をゆさぶるのだ。「九十八歳でも恋はするのよ/夢だってみるの/雲にだって乗りたいわ」詩人の特質は、みずみずしい感性と豊かな想像力であり、年齢は関係ないことを証明している。 出演者の演技が自然で良い。脚本も無理がなく好印象。感動させようという過度な演出は薄い。登校拒否の少女や患者を救えなくて苦悩する若い医者の挿話も上手に取り込んでいる。残念なのは、冒頭場面だ。手振れカメラによる超顔アップとパンの連続の演出意図が不明である。
[映画館(邦画)] 8点(2013-11-04 13:00:43)
3.  グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版 《ネタバレ》 
ジャックとエンゾの海物語と、ジャックとジョアンナの陸物語を軸に物語は進む。エンゾは素潜り大会で優勝することに生き甲斐を感じている。海の魅力に憑りつかれて、恋人は精神集中を妨げる存在でしかない。ジョアンナは平均的な女性で、ジャックに一目惚れ。ジャックは自由人というより求道者。母は不在、父は漁で事故死し、天涯孤独で育つ。人づきあいや恋愛に疎く、社会人として未成熟。海の魅力というより”魔力”に憑りつかれている。エンゾからは「人間より魚に近い」と言われる。彼にとって素潜りは海の意識(宇宙意識)と繋がる方法。「海の中にいると辛い」理由は「上がってくる理由が見つからないから」。深海は全ての生物の生まれた故郷であり、自分もいつかは胎内回帰するように母なる海に還りたいという宿望がある。深海「グラン・ブルー」には死を超えた何か(理想郷)があると信じている。彼のイルカへの愛は常軌を逸したもの。ジョアンナと初対面のとき「前に会ったね、君はイルカに似ている」という。テレパシー能力の持ち主で、イルカへの愛と女性への愛が同質化している。イルカの写真を見せて「僕の家族」。イルカと手信号など使わなくとも交信可能。元気のない水族館のイルカを勝手に連れ出し、海でリハビリさせる。ベッドに寝ている恋人そっちのけで、海で一晩中イルカと遊ぶ。一方恋人との交信は不得手で、恋人の言うことを聞こうともしない。そんなある日悲劇が起きる。エンゾが素潜り事故で亡くなったのだ。ジャックは遺言通り、エンゾをグラン・ブルーに還してやるが、その戻りに彼も潜水病にかかり、生死の狭間をさまよう。その夜ジャックは不思議な幻影を見た。天井から荒海がのしかかるように侵入し、部屋を満たすのだ。そこには不安や恐怖はなく、イルカは楽しそうに泳いでいる。天啓を受けた彼は船で素潜りできる沖に向かう。グラン・ブルーに何があるか確かめるためだ。恋人は止めるように懇願するが、聞く耳を持たない。妊娠の事実を告げても同じ。諦めた彼女は「行きなさい、私の愛を見てきて」と送り出すしかない。彼がグラン・ブルーに達すると、イルカが迎えにきていた。こうして彼は彼岸の人となった。この映画に癒し効果があるのは、海やイルカの美しさもそうだが、主人公のように家庭や社会生活の煩わしさを捨て去り、自然に還りたいという願望を充足させてくれるから。このジャンル唯一孤高の作品。 
[DVD(字幕)] 8点(2012-09-14 06:44:06)
4.  蜘蛛女(1993) 《ネタバレ》 
ジャックは風采の上がらない軽輩の刑事、給与の低さを嘆く。妻を愛しているが、女と快楽には人一倍弱く、マフィアに情報を流して大金を得、愛人とよろしくやっている。大金は将来の夢のためにとってある。彼の売った情報が偽情報になったことから窮地に陥る。ここから転落人生が始まる。マフィアのボスからも、女殺し屋からも狙われる。最終的に罠にはまり愛人を誤射してしまう。妻は女殺し屋に殺される。汚職がばれて逮捕される。怒りに満ちたジャックは、全ての元凶である女殺し屋を射殺する。ジャックは別の身分をもらい、夢であった食堂を開く。そこで年に2度、妻と落ち合う約束の日に幽霊と出会うのを待っている。 ◆コメディタッチなのに悲惨な内容なので反応に窮してしまう。監督の意図として悪女をスタイリッシュに描こうとして、そこだけが突出してしまったのだろうか?原題は「Romeo is bleeding」色男は血まみれという意味だ。それとジャックの喪失感が半端じゃない。「失ってしまったときに、はじめて、失ってしまったものの大切さがわかる」「本当の幸せは、何気ない毎日の積み重ねの中に、ひっそりとある。その大切さがわかるのは、それが逃げたときだ」 これをテーマにするのならもう少しシリアス路線にすべきだったと思う。日本の題名は「蜘蛛女」キャッチフレーズは「愚かな男の死骸がゴロゴロ」。女殺し屋を主人公にしてユーモア路線を暗示している。女殺し屋のやる事なす事みんなギャグにしか見えない。しかし最後には女三人は死んでしまう。その内二人はジャックが殺す。女殺し屋のはちゃめちゃぶりとジャックの転落ぶりが見どころだが、両者は噛み合わない。やはりコメディで、ハッピーエンドに路線変更した方が良いと思う。 ◆気になったのは、妻が「あなたを安心させるある物をタンスに入れておいた」と言い残し、それはアルバムと結婚指輪だった。ところがアルバム中にはジャックの浮気現場を写した写真も入っていた。浮気調査をしていたのだ。これをどう解釈すべきか? ◆待ち合わせ場所は「フェニックスのホリデー食道、国道10号線」。ジャックがその食堂のオーナーに収まっているのは、店を継いだということか。
[DVD(字幕)] 7点(2011-09-21 05:46:51)
5.  暗いところで待ち合わせ 《ネタバレ》 
設定はユニークで魅力的だと思いますよ。殺人事件の重要参考人の男が盲目の一人暮らしの女の家に上がり込む。女は男がいることに気づくが慌てるようなことはせず、さりげなく料理を作ってあげる。男も掃除をしてあげたり、外出のとき女をサポートしてあげる。共に相手を気遣っているところが良いですね。それでいて口を一切きかないところがユニークです。普通なら警察か誰かに相談しますね。相手の事情を察して、話しかけてくるまで待つという女の優しさが素晴らしいです。そういうタイプの女であることが画面から伝わってきます。男も普通は事情を説明しますよね。濡れ衣なのですから。でもそうしない理由があります。キャラが立っているという事。男は中国人のハーフで、日本の社会に溶け込めない。女は盲目になった上に両親を亡くして一人暮らし。共に辛い状況ですね。そんなトラウマを持つ二人が出会って、奇妙な関係ながら心の交流を持つ。淡い恋愛感情もあると思います。人間ドラマとしては深みがあります。 でもサスペンス部分が弱い。最初観客には男が犯人だと思わせるのですが、どうみても犯人には見えない。凶悪でもなく、どちらかというと引き籠り傾向がある。もう少し犯人らしくみせる演出が欲しかった。そして真犯人が分ってからも全然怖くないです。そもそも犯人は何故殺人を犯したのでしょうか?動機を教えてください。恋人の背後には男がいるわけで、そこの割って入って背中を押すなんてことは出来ないでしょう。また男に顔を目撃されるのも確実なのですから、ありえない犯行です。それを電車の運転手が見てないというのもありえません。自分の目の前で突き落されたわけですから。ホームですから減速していた筈です。せめて男か女かくらいの判断はつくでしょう。 不自然な点としては、盲人なのに照明を使っているところ。転落した鍋をダッシュして手で受け止めるのは不可能と思えるところ。犯人の心情が描けていないところ。犯人と二人きりのときに犯人を追いつめるところ。犯人があっさり犯行を認めるところ。女が首を絞められる場面で、妙な映像(女から見た犯人)を挿入するところ。ちなみに「メランザーネ」はイタリア語で茄子。
[DVD(邦画)] 6点(2011-09-17 01:52:21)
6.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 
黒澤映画としては最も重厚な作品。全編を貫く陰惨で怪異で重苦しい雰囲気。鷲津は権勢欲の虜となり主殺しと裏切りの罪を犯した。森の物の怪が未来を予言し、妻が謀反をそそのかしたということがあるが、根底には人間不信がある。戦闘と裏切りと死を繰り返す戦国の修羅の世に生きる武者にとって、人間性を失わずにいるのは難しい。人を信じることが出来ないで過ごす人生は、心が休まることがなく、灼熱に焼かれるような苦しみの連続だろう。物の怪の予言は戦死した武者の亡霊が復讐を企てたもの。鷲津が特別野心が大きく、心が弱かったわけではない。たまたま欲望の陥穽に落ち、魂が悲運の蜘蛛の巣に絡み取られてしまったのだ。 ◆原作では主人公は華々しく戦闘に討つて出て戦死するが、本映画では裏切りにより、刀を抜く間もなく惨めに射殺される。より惨めな死に様を提示することにより、道を踏み外した人間の愚かさ、因果応報の恐ろしさを見せつける。原作の洞窟の三人の魔女を糸車の老婆と武将の亡霊に改変したのも成功している。日本人にしっくりくるのだ。 ◆次の場面が省略されている。①北の館の前主が謀反に失敗し、自決して、部屋が血染めになる場面。②鷲津が眠っている主を槍で殺害する。③鷲津の使いの暗殺者が僚友三木を襲って殺す。④鷲津の妻の死産と狂ってゆく様子。最後にどうなるのか。⑤最終戦闘場面。何れも死を描く場面。考えて見れば、死が直接描かれるのは鷲津の矢だるま場面だけ。それでもいたたまれないほどの陰惨な印象が残るのは映像の力によるものだろう。白黒なのに血が夢に見るほど怖ろしく見える。凄惨な場面をあえて排除したのは監督の観客への配慮だろうが、どこか物足りなさを感じる。鑑賞後。どこかぶつ切り感が残るのだ。想像させるのは重要なこどだが、バランスが難しい。 ◆独特の映像美には讃嘆するしかない。それだけで十分鑑賞の価値あり。もし監督がホラー映画を撮ったら、とてつもなく怖いものが出来上がっただろう。 ◆違和感を覚えたのは、鷲津と三木の二人だけで森を抜けて城に向かう場面。いくら戦闘が終了したとはいえ、準戦闘状態にある中で大将が単騎で行動するはずがない。しかも別々の場所を守る二武将が揃って登城などありえない。二人だけ本隊とはぐれたなどの設定にすればよかった。
[DVD(邦画)] 8点(2011-01-24 22:03:36)
7.  雲のむこう、約束の場所 《ネタバレ》 
日本が南北分断し、北海道が蝦夷と呼ばれる独立国。そこにそびえるユニオンの塔は平行宇宙により世界を書き換えるという超絶兵器。平行宇宙はどういうわけか緩やかにしか機能せず、ほとんどが佐由理という少女の夢の中に吸い込まれる。佐由理は原因不明で3年間眠り続けており、彼女が目覚めると世界が滅びる。浩紀は佐由理を目覚めさせるために、自作の飛行機で塔に侵入。佐由理は目覚め、直後爆弾を発射、塔は崩壊する。塔はかつて浩紀と拓也のあこがれの場所で、いつか飛行機で佐由理をそこに連れてゆくと約束していた。説明不足が目立つ作品だ。佐由理の特殊さは、塔の設計者が佐由理の祖父だからとしか説明がない。爆弾一発で崩壊するなら、いつでも簡単に攻撃できたはず。なんともあっけないラストだ。塔の開発者は登場しないし、あの塔が製作できたなら、もっとすごい兵器を持っていてもおかしくないはずだが、それもなし。しょぼい世界観。そもそも戦争だ、宣戦布告だと騒いでいるのに、登場人物の緊張感のないこと。拓也と研究員の女の恋愛は物語に絡まないのでカットすべき。全体に危機感がないので、だから観ていてのめり込めないのだ。また浩紀と拓也のバイト先の社長岡部がテロリストの親分であったり、拓也の通う研究室の室長と岡部が旧知の仲だったり、拓也が国家保護下の佐由理を研究室から簡単に連れ出せたり、中学生二人がジェットエンジン飛行機と製作できたりと、いい加減なご都合主義も目立つ。二人のうちどちらかが特殊能力を持っているとか、権力を利用できる立場にあるとかすればよかったのだ。浩紀と佐由理が夢でつながっているのは愛があるからと説明できるが、計画に反対だった拓也の態度が急に変わったのはどう説明できるのか?加えて、時間軸の違う断片を細切れに見せられるので、観ていて疲れる。もっと整理できたはず。ラストだが、戦争が始まってから飛行機が出るのでは遅いだろう。戦争を回避するために塔を爆破させるのなら理屈は通るし、感情移入しやすい。結局彼らは戦争に一役買っただけだ。青臭い学園恋愛映画としてのエッセンスは備えていて、そこが救いだ。回想シーンで始まるので郷愁を誘い、昔の約束を守るという主題が良い。バイオリンの小物も上手に使っている。恋愛メインで、SF戦争ものをスパイスに使うやりかたが間違っている。SF戦争メインで、恋愛を絡める程度でよかったのだ。 
[DVD(邦画)] 5点(2009-11-09 15:27:34)
8.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》 
娯楽映画ではない。心の中では触れ合いを求めているのに、お互いの不信感のせいで、衝突(クラッシュ)してしまう人々のお話。不信の原因は人種の違い、文化の違いが大きい。英語が話せないからコミュニケーションが取りづらい。不信を増長させるのが銃の存在。不信が恐怖にまで拡大する。黒人は英語を話すが、犯罪者が多いので信用されない。黒人も白人を嫌う。ハリウッド映画を観るかぎり、人種や文化の違いによる衝突は永遠に続きそうです。希望はサンドラの「あなたは親友よ」と言った場面。あれは理屈ではなく、抱き合ったときに自然に出てきた感情。肉体が触れ合えば情も移る。単純なことだけど重要。透明マントで娘は助かったが、そのことで店主はあの娘は自分のために降りてきた天使だと思う。何と信じやすい人だろうか。そのキレやすい性格とあいまって、将来が思いやられる。というか殺人未遂で逮捕だろう。正義感の強い白人が、根の善い黒人青年を射殺するのは悪趣味と思った。観客に衝撃を与えるための演出。二人は同じお守り持っていて、そのせいで悲劇が起こった。皮肉にもほどがある。死んだ黒人の兄が刑事で、その母は兄より弟を愛している。兄は不当に扱われる。親子の間にもクラッシュがある。兄は思慮深く、清濁併せ呑むことのできる「大人」である。が、セックス中に電話を取ったり、母に「今白人をやってる最中だ」などと空気読めない発言をする。弟の敵は討てそうもない。タイ人を開放し、お金を恵んでやった黒人は、いつ成長したのか。ちょっと説教されただけ。未消化です。ディロンの差別意識は根深く、やみそうにありません。全体的に皆さんキレすぎです。もっとリラックスしましょう。本質的なことを言えば、「他人を信用するとは、自分を信用すること」。心を磨き、自分を確立することが未来を切り拓きます。脚本に作為が目立ち、人間の本質を描いているとは思いませんでした。皆さん後半で性格が変りすぎです。またタイ人を知性のない非文明人のように描いていますが、あれこそ人種差別による偏見ではないでしょうか。脚本にもクラッシュを発見。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-20 13:43:08)
9.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 
従来にない怪物映画で、新境地に達していると思う。ホラー的要素よりも、社会風刺に重点を置いています。簡単に言えば、突如現れた怪物に娘を攫われた家族が必死に救出する物語の中にギャグを取り入れ、結局娘は助からない物語。視聴者を驚かすために用意したとしか思えないバッド・エンドの代償として、浮浪児が助かり、家族になります。米軍に対する怒り(毒物の不法投棄、ウィルスの勘違い、突然の軍事介入)や政府、マスコミへの批判など盛りだくさんです。オマヌケ家族のキャラが際立っているのが共感できます。まぬけ=愛されるいうことを再認識しました。天才バカボン一家に似てますが、違うのは、母親不在という点。その代わりに娘が母性を存分に発揮し、怪物から浮浪児を守ります。ここは見せ場でした。エイリアン2が頭をよぎりましたよ。大学は出たけどデモばかりに出て、就職できないが、火炎瓶作りが得意な弟、アーチェリーの選手の妹など、ラストの対決シーンへの伏線が効いています。父はカンドゥの弾の数え間違いで命を落としますが、その前に息子を溺愛しているシーンがあるので、悲惨さはありませんでした。息子のためなら生命を平気で投げ出す大きな愛情が感じられました。脇役のユニークさは特筆ものです。仮斎場でずっこけたのをごまかしてアナウンスする細菌部隊員、カンドゥの話をまじめに聞くと思わせてウィルスによる幻想と判断する米軍医師、助けると見せかけて裏切る借金まみれの先輩、役立たずと見せかけて意外に活躍する浮浪者など、ニヤリとしますね。みなストーリーにしっかり絡んでいます。残念なのは、浮浪児の兄貴分。店は荒らしても、金は盗むなと浮浪児のモラルを教えていましたね。是非生き残ってもらいたかったです。さて、ラストですが、カンドゥは成長したのでしょうか?髪の毛が黒くなり、料理を作り、店番も眠らずに出来てました。毒ガスを浴びたせい?ウィルスに関する米軍の弁解など意に介せず、食事にくらいつくのは庶民の雑草のような力強さの象徴でしょうか。それとも真実を見ようとしない暗愚な庶民の象徴でしょうか。いろいろと考えさせられます。さて怪物ですが、登場シーンでインパクトがあったものの、出現するたびに慣れて、怖くなくなるのは欠点です。次々と新しい生態を描いて、観客をはらはらさせるべきでした。十分楽しめる映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-09 03:29:10)(良:2票)
10.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
コワルスキーの設定はよかった。愛する妻に死なれた頑固老人。頑固すぎて息子や孫からは愛されていない。神父にも毒舌を吐く。朝鮮戦争で殺人をしたことが心の重荷になっている。血を吐き、残り少ない人生。こんな老人が、隣に引っ越してきたアジア系(モン族)の子供たちを交流することで人間味を取り戻してゆく。子供(タオ)も老人を師として仰ぎ、成長してゆく。この辺りの描写はうまいです。ユーモアも効いています。だめなのは、悪人たちの設定が安易すぎること。タオやスーと親戚なのだから、強姦はしないでしょ。強姦されて、顔がボコボコにされているのも不自然に感じました。(強姦シーンを映さなかった良識は認めます)このような場合、警察に連絡して逮捕すればいいですね。家に自動小銃を打ち込んでますし。立派な殺人未遂です。そもそもコワルスキーが太った不良を殴ったのに激怒したわけですから、コワルスキーを襲うはずです。どうして隣家を襲ったのか、不思議でなりません。コワルスキーはわざと丸腰で乗り込み、自分を撃たせますが、それが本当の解決でしょうか。命を粗末にしているとしか思えません。余命いくばくもないから、許されることでもないでしょう。英雄行為には見えませんでした。死んでも家族には愛されないままというのもまずいです。タオに車をあげましたが、別の不良グループに脅し取られるのが落ちです。またヘタレのタオが、強引なまでに復讐殺人しようと主張するようになるのも違和感がありました。別キャラになってしまっています。ところで、コワルスキーが銃を突きつけたのはモン族不良グループではなく、黒人グループでした。ですからラストのライターを取り出すシーンの伏線にはなっていません。この黒人グループをそのまま悪役にすればよかったのに。細かいことですが、タオはどうやってコワルスキーの車を盗もうとしていたのでしょうか?キーなしで発車させる方法を知っていたとは思えませんが。途中までよかったのに残念です。相手を殺すか、自分が死ぬかしか解決がないはずがありません。たかが不良グループのために命を犠牲にすることはないでしょう。
[映画館(字幕)] 5点(2009-06-30 23:05:12)(良:5票)
11.  クローバーフィールド/HAKAISHA 《ネタバレ》 
手ぶれカメラ映像を映画として観るのはつらいなあ。「クローバーフィールド」は放射能汚染マークで核を暗示しており、最終的に核兵器を使用して怪物を退治、かつてセントラルパークと呼ばれた場所は、クリーバー畑となってしまいましたという意味でしょうね。怪物映画としてはつまらない部類に入ります。怪物の姿があまり写りませんから。怪物はビルを破壊する大型怪物、弱っちい蜘蛛型小怪物、それに最後にカメラに正面顔が映った中型怪物の3種類でしょうか。プラス、ウイルスですね。どうも焦点がしぼりきれてないですね。大怪物だけではパニック度が低いので出してみましたという安易な設定と思います。 この映画は突然不条理に、恐怖のどん底に突き落とされた人間を描くことをメインに据えているのでしょう。そういう意味ではある程度成功しています。途中でテープの消し忘れ部分が写され、現代の恐怖とのコントラストがいい効果をあげていますね。ドキュメンタリー手法の勝利です。しかしそれならば、生命の危機を感じ逃げ惑いながら、どうしてカメラをまわし続けるのかという理由づけが欲しいところです。あのカメラマンはジャーナリストであるとか、プロのカメラマンであるとかの設定にすればよかったのです。それだけで説得力が増すではありませんか。 パニックシーンは、戦闘機が都市に爆弾を落すシーンで始まりますが、それまでにヘリの拡声器による非難警報が散々出ているはずで、これに気づかなかったというのは不自然な気がしました。 結論として、斬新さを追求するとこういう撮影手法が出てくるのも道理ですが、観づらいというのは欠点です。
[DVD(字幕)] 5点(2009-02-28 20:41:56)(良:2票)
12.  クライマーズ・ハイ(2008) 《ネタバレ》 
終始緊張感が持続し、見ごたえのある映画でした。 フィクションといいながら、実際にあった飛行機事故の生々しい記憶があるので、それに負うところが大だと思います。 記者の仕事っぷりはたっぷり堪能できますね。 他社とのスクープ合戦をしながら、毎日締め切りが夜12時とか1時ですから、大変です。 実際の事故のときは、遺体確認場所である体育館が修羅場となったのですが、その場面はカットされています。 事故現場は再現されていても、遺体は見せません。 また遺族はおろか、泣く人の姿も描かれていません。 そこがちょっと肩透かしです。 事故を知らない人にとっては悲惨さが伝わりません。 それで、精神的におかしくなり、事故で死んだ記者に感情移入できないのです。 主人公堤の家庭問題がサブストーリーですが、よくわかりませんでした。 最初はてっきり堤の子供が飛行機に載っていたのかと思いました。 そうではないけど、子供は仲たがいをして親には会いにこない関係になっている。 母親はかつてパンパンをしていて、新聞社社長の愛人だという。 それらがうまく消化されていない印象です。 監督は何をいいたかったのか? そもそもあんな独善的なセクハラ社長はいないでしょ。 現代の話は一切カットしてもよかったと思います。
[映画館(邦画)] 7点(2008-07-12 21:51:45)(良:2票)
13.  グリーンマイル 《ネタバレ》 
内容はいいんですが、脚本に切れがないですね。 ここでとまどい、ここで怒って、ここで泣いてときちんと場面を用意してくれればいいんですが、 次々と見る側の感情が変化させられるような作りで集中できません。 不要な部分をカットして見せ所を盛り上げる必要があります。 内容は、スティーブン・キングの傑作といってもいいほど深いものがありますね。 悪役の演技が非常によかったです。 
[地上波(邦画)] 7点(2008-05-10 23:59:02)
14.  Coo/遠い海から来たクー 《ネタバレ》 
退屈な原作による退屈なアニメ。 フランス人が見たら大激怒すること間違いなしのとんでもストーリー。 (日本人がこんな風に描かれていたらどうおもいます?) 子役の声優がとてもへた。山口智子もいまいち。 見せ所がなくシリアスな展開がだらだらと進む。(忠実に原作をなぞっているだけなのだが) アニメーションもしょぼい、しょぼい。 子供が見ても退屈するとおもうわ。 最後恐竜出しすぎ! 
[DVD(邦画)] 1点(2008-04-29 08:51:17)
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