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 > かたゆき さんの口コミ一覧
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1872
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  クーリエ 最高機密の運び屋 《ネタバレ》 
彼の名は、グレヴィル・ウィン。英国の中堅企業で働くごく普通のセールスマンだ。愛する妻とまだ幼い一人息子に恵まれ、平凡ながらも幸せな日々を過ごしている。東西冷戦が激化し始めていたこの時代、それでも彼は得意の語学力を活かし、東欧諸国にもそのビジネスチャンスを拡げていた。定年後の安らかな老後だけを楽しみに、家族のため日夜仕事に精を出していたある日、彼は政府の役人と名乗る人物から会いたいと打診を受ける。商務庁の人間だと待ち合わせ場所に向かったグレヴィルは、そこで待っていた人物に衝撃を受けるのだった――。彼らはなんとMI6とCIAに所属する、いわゆるスパイだったのだ。「ソ連のある高官が西側に寝返ろうとしている。彼と接触するためにはソ連に怪しまれない人物が必要だ。平凡なビジネスマンであるあなたはまさに適役。どうだ、国に貢献してみないか」。彼らの提案に最初は難色を示すグレヴィルだったが、現実味を帯びる核戦争の危機に触発され、渋々スパイとなることを決意する。モスクワへと赴き、当局の監視の目を搔い潜って情報を持ち帰るグレヴィル。もちろんバレると命の保証はない。何度もソ連へと行き来するうちに彼の神経は徐々に擦り減ってゆき……。キューバ危機に見舞われた東西冷戦期を舞台に、核戦争を回避するためにスパイとなったある平凡なセールスマンを描いたサスペンス。実話を元にしただけあって、この全編に漲る緊張感は凄まじかった。いつどこに監視の目が光っているかも分からず、部屋に一人でいるときも盗聴器の存在を常に意識しなければいけない。それでも国のため家族のために任務を遂行する、もともと普通のセールスマン……。圧し潰されそうな重圧から次第に家族と険悪となってゆくというのは皮肉極まりない。そんな難しい役をリアルに演じたベネディクト・カンバーバッチの熱演が光る。そんな中、同じく世界の未来の為に祖国を裏切るソ連高官との次第に深まってゆく絆。当局から疑いの目を向けられるようになり任務も遂行不可能となったのに、それでも彼を亡命させるためもう一度モスクワへと渡る決心をした主人公の決断は重い。そこからはまさに息詰まるようなシーンの連続で自分も固唾を吞んで見守るしかなかった。ただ、惜しいのは拘束されてからの後半。妻がようやく彼に会いにモスクワへとやってくるところが意外とあっさりで、ここをもっと踏み込んで描いてほしかった。地獄のような収容所生活で彼が正気を失わずにいられたという重要な場面、何ならここをクライマックスにしても良かったのでは。げっそりと痩せてしまったカンバーバッチの演技が見事なだけに、惜しい。誰もが不安を抱えて生きていた当時、核戦争を回避するために自分を犠牲にしてまで動いてくれた人がいた――。その事実に改めて畏敬の念を感じざるを得ない、なかなかの秀作であった。
[DVD(字幕)] 7点(2023-03-10 09:00:30)
2.  グレイマン 《ネタバレ》 
常に死と隣り合わせの危険な任務ばかりを請け負う、CIAの極秘部隊、通称「グレイマン(見えない男)」。その正体はいつでも使い捨てに出来る凶悪な元犯罪者ばかりで構成された部隊だった。CIA高官にスカウトされて獄中生活から抜け出して以来、30年も人知れず活躍しているエージェント、シックスもその一人。今回彼にくだされた任務は裏社会で暗躍する武器商人の暗殺。簡単に終わるミッションのはずだった。だが、標的であるはずの犯罪者は殺される直前、彼にあるものを渡し、衝撃の告白をする。「俺もお前と同じグレイマンだ。CIAは俺たちをハメようとしている。頼む、このデータを公にして組織に復讐してくれ」――。すぐさまCIAの幹部によって、最重要ターゲットにされてしまったシックス。世界中の暗殺者に命を狙われながらも、陰謀を暴くために世界を駆け巡る彼だったが……。巨大な陰謀に巻き込まれた凄腕エージェントの活躍を世界的スケールで描いたエンタメ・アクション。監督はマーブルアベンジャーズシリーズを幾つも手掛け、現代エンタメ映画界を牽引するルッソ兄弟。自分は、アンチアベンジャーズの人間なんでこの監督の名はもちろん知っていたのですが、今回初めて鑑賞してみました。いやはやこれが素晴らしいエンタメ映画に仕上がっていて、めちゃくちゃ面白いじゃないですか!!冒頭から怒涛のように続くアクションシーンが終始キレッキレでサイコーに楽しかったです。「どうやって撮ってんだ、これ」という空間を自由自在に動くカメラワーク、誰がどこで何をしているかがちゃんと分かるように計算されつくした編集、とにかくお金を掛けたであろうゴージャス&スタイリッシュなアクション。もうどれもこれも完璧でした。特にプラハでのカーチェイスは最近観たアクション映画の中では出色の名シーン。世界を救うためとは言え、さすがに破壊しすぎちゃいまっかという突っ込みはナシですね(笑)。まぁストーリーは王道中の王道で驚きなど一切ないベタなものだけど、ライアン・ゴズリングをはじめとする登場人物がみんな魅力的なので最後までワクワクしながら観れちゃいます。あのクリス・エバンス演じる冷酷非道なのに何処かお間抜けな悪役もいい味出してましたね~。ただ、上司が2人も自己犠牲で死んじゃうのはやり過ぎかな。ここは1人で良かったように思う。あと、ペンチで爪を剝がすシーンは痛いから止めて!とは言え、自分は充分大満足。アベンジャーズシリーズも一段落したようだし?ルッソ兄弟、これからはこんな面白い映画をいっぱい撮ってね!
[インターネット(字幕)] 8点(2023-01-26 07:06:30)(良:1票)
3.  クライ・マッチョ 《ネタバレ》 
彼の名は、マイク・マイロ。かつて超一流のロデオ・スターとして一世を風靡したものの、落馬事故をきっかけに引退を余儀なくされた哀しい男だ。以来、酒に溺れて生活は荒廃、家族も次々と離れていき、今や一人切りの孤独な老後を過ごしている。そんな侘しい生活を送っていた彼の元にある日、かつて自分の雇い主だった牧場主が訪ねてくる。「今からメキシコに向かい、元妻のところで暮らしている俺の息子を連れ戻してくれないか?」――。藪から棒にそう告げる牧場主。詳しく話を聞いてみると、13歳の息子は実の母親から虐待を受けていて今すぐにでも連れ戻しに行きたいが、自分がメキシコへと入国すれば逮捕されるらしい。かつてどん底だった自分を救ってくれた恩もあり、マイクは仕方なく依頼を引き受けることに。使い込んだオンボロ車でメキシコ国境を越えたマイク。教えてもらった地で、彼はすぐにスラムで違法な闘鶏賭博に入れ込む息子ラフォと出会う。突然の提案に当初は反発していたラフォだったが、元カウボーイだというマイクの人柄にほだされ、新天地アメリカへと向かうことを決意するのだった。たった一人の相棒である鶏のマッチョとともに……。落ちぶれたロデオスターと孤独な少年、そして一匹の鶏との逃避行を終始淡々と見つめたロードムービー。齢90になる、もはやハリウッドの生ける伝説クリント・イーストウッドの最新作ということで今回鑑賞。これまでの長いキャリアに裏打ちされたであろう熟達の演出はもはや世界遺産クラス。無駄を削ぎ落したシンプルな脚本、ちょっとした登場人物に至るまでちゃんと個性豊かに描き分ける巧みな演出、警察やギャングに追われながら国境を目指す2人の緊迫感溢れる逃走劇。どれもこれも安定の面白さで、最後まで楽しんで観ることが出来ました。メキシコの雄大な大自然の映像も終始美しく、のどかなメキシコの田舎町という雰囲気も渋い。ただ、最大の問題はキャスティング。やはり90歳を過ぎたイーストウッドが主演というのは無理があったのでは。もう歩くのがやっと、話すだけで息が乱れているのが丸わかりで、さすがに見ていて痛々しい。彼がギャングと喧嘩しようとしたり暴れ馬に乗ろうとしたり人妻と一戦交えようとしたりと現役バリバリなことをしようとするところは、違う意味でハラハラさせられちゃいました。特に近年、高齢ドライバーの事故が社会問題となっている日本の感覚で観ると、やはり彼が一人で運転するシーンは普通に観れませんね。とは言え、映画というファンタジーとして観れば、人生の深い哀歓を感じさせる渋味に満ちた本作、長年育ててきたヌカ床で作った漬物をじっくり味わうような気持ちで鑑賞してみるのも良いだろう。
[DVD(字幕)] 6点(2022-12-05 07:46:36)
4.  グッド・ナース 《ネタバレ》 
彼は本当にいい看護師だった――。ニュージャージーの総合病院で働き始めたエイミーは、女手一つで幼い子供を育てるシングルマザー。自身も心臓の疾患を抱え、経済的な余裕もない彼女は無理をして勤務を続けていた。そんなある日、新たに採用された看護師チャーリーが彼女の同僚として配属される。患者のことを最優先にした勤務態度と真面目な性格、何よりきめ細やかなサポートにエイミーはすぐに彼に親近感を抱くようになるのだった。休日には自宅に招き、娘も含めた家族ぐるみでチャーリーと親しくなってゆくエイミー。自身の病気のことや彼が離婚し子供と離れ離れに暮らしていること、2人はそんなプライベートのことまで話せる間柄になってゆく。そんな折、2人が働く部署である患者が突然死する。容態が安定している中での不意の出来事。病院が調査した結果、ある不穏な事実が明らかとなるのだった。亡くなった患者には大量のインスリンが投与されていた――。いったい誰が患者を故意に死なせたのか。警察の殺人課刑事が捜査に乗り出す中、エイミーはチャーリーのある不審な行動を目にしてしまう……。病院を転々とするある看護士が、行く先々で患者に劇薬を投与し何十人も殺害していたという衝撃的な実話を元に描いたサスペンス・ドラマ。そんなにわかには信じがたい事実を元にしているだけあって、この全体に漲る緊張感はなかなかのものでした。何処かデビッド・フィンチャーを髣髴とさせるしっとりとした映像がこの陰鬱とした物語をより重厚なものへと昇華させている。生活に追われるシングルマザーを演じたジェシカ・チャスティンの抑制の効いた演技もリアリティ抜群。信じていた友人の本当の姿を知って徐々に追い詰められてゆく主人公を淡々と演じていて、観ているこちらまで息苦しくさせるほどでした。対する、殺人容疑を掛けられる同僚看護師役のエディ・レッドメイン。得体のしれない彼の存在感もなんとも不気味で、この二人の静かな腹の探り合いは最後まで気が抜けません。特に娘たちが彼に懐いてしまっているのが観ていて辛い。果たして彼はなぜにこんな冷酷無比な犯行を起こしてしまったのか――。最後まではっきりとした答えを提示しないのも人間心理の深淵を垣間見るようで、なんとも言えない後味を残してくれます。ただ、作品として全体的に冗長な面も否めません。事実を元にしている分、結論は分かっているのでさすがにこのお話で2時間超えは長い。明らかに無駄なシーンや長すぎる場面がちらほら。もう少しコンパクトに纏めてくれたらより完成度の高い作品になっていたであろうに。惜しい。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-11-24 07:02:00)(良:1票)
5.  クローブヒッチ・キラー 《ネタバレ》 
惨劇は10年前に終わったはずだった――。アメリカの平凡な田舎町を恐怖に陥れた連続殺人事件。犯人は何の罪もない女性宅に忍び込むと被害者を縛り上げ、激しい暴行を加えた末に首を締めて殺害する。その冷酷な手口と、事件現場に必ず特徴的な縛り方の紐を残してゆくことから、警察は「巻き結び殺人鬼(クローブヒッチ・キラー)」と呼び、懸命に行方を追っていた。だが、慎重な犯人はほとんど証拠を残さず、ただ被害者だけが増えていった。ところがある日を境にぱったりと犯行が止む。犯人は裁きを受けぬまま、それから10年もの月日が流れ、次第に人々の記憶からも薄れていった――。信心深い厳格な両親の元、妹とともに暮らすタイラーは、ボーイスカウトに所属する平凡な男の子。同じくボーイスカウトの指導員を務める堅物の父とそれなりに幸せな日々を過ごしている。そんなる日、タイラーは父親の隠していた荷物の中から、女性を縛る猟奇的なポルノを発見してしまう。そればかりか、10年前の殺人事件の被害者と思しきポラロイド写真を見つけてしまうのだった。「もしかして、父さんが連続殺人鬼なのか?」。そんな疑問を抱いたタイラーは、同じく事件を追う謎めいた少女とともに真相を探り始めるのだが……。平穏な田舎町を舞台に、10年前に住民を震撼させた猟奇殺人鬼の謎を巡り、不信感を深めてゆくある親子を描いたサスペンス・スリラー。家庭的で世間体もいい父親がもしかしたら連続殺人鬼かもしれない。そんな疑念を抱いた主人公が密かに父親の過去を探るシーンは、なかなかにサスペンスフル。家族そろってのディナーの前に必ず神への感謝を捧げる信心深いはずの父が実は病的なサディストだった…というのは、なんともいや~~~な感じですね。息子の疑念に気づいた父が権威を振りかざして説教をするシーンも何だか不気味で、この2人に漂う緊張感はただ事ではない。それまで全幅の信頼を置いていたはずの父の別の面を見てしまうという、思春期にありがちな少年の心理を巧く突いたサスペンスだったんじゃないでしょうか。ただ、残念だったのはことの真相が判明する後半の展開。余りにも捻りがなさすぎるそのまんまな真相は、ちょっと肩透かし感がありました。致命的なのは、クライマックスで何故か時間が遡り、息子の視線で物語が語りなおされるところ。映画として一番盛り上がるシーンで話の腰が折られてしまうので、何だか消化不良感が半端ない。しかもその息子のエピソードもまるっきり予想通りで何も驚きがないし、どうしてこんな演出にしちゃったのかはなはだ疑問。最後のオチも胸糞悪いだけでさして深くもない。ここはスリラーとして、もっと観客を恐怖のどん底に叩き落して欲しかった。前半の展開がすこぶる良かっただけに残念!!
[DVD(字幕)] 6点(2022-11-02 07:55:36)
6.  グリード ファストファッション帝国の真実 《ネタバレ》 
低価格を売りにアパレル業界を席巻したファストファッションブランド、モンダ。その創業者にして一代で巨額の富を築き上げたリチャード・マクリディの半生を、彼を取材するジャーナリストの目線で描いた社会派コメディ。普段私たちが安く買っているTシャツやズボンの裏側には、低賃金で長時間労働を強いられている発展途上国の貧しい人々の犠牲があるという本作の主張は確かに分かります。ますます拡がってゆく富裕層と貧困層との格差がさまざまな悲劇を生み出しているという、現代の社会問題をシニカルに見つめるその抑制の効いた効いたスタンスもいい。ただ、それが映画としての面白さに繋がっているかというと正直微妙。世の不条理に鋭く迫る社会派ドラマなのか、それとも毒気の効いたブラックコメデイなのか、そのどちらにも振り切れていないので、最後までなんとも居心地の悪い鑑賞後感でございました。実在の有名人を幾つも出して混乱と狂騒を極めてゆくパーティーとかももっとやり過ぎなくらい無茶苦茶やってくれても良かったような。最後のライオンのくだりも生々しくていまいち笑えない。ただ、「この笑えない現実はこれからも続いてゆく、私たちが安い服を買い続ける限り」という最後のオチは皮肉が効いていてなかなか良かった。胡散臭い成金経営者を飄々と演じたスティーブ・クーガンもバッチリ嵌まっていて大変グッド。普段私たちが安く買っている様々な商品の裏側を知れるという意味でも観てよかったかな。とは言え、自分は近々、ユニクロに秋服を買いに行く予定なんですけどね(笑)。すんません、安月給なもんで!!
[DVD(字幕)] 6点(2022-10-03 06:00:55)
7.  クライム・ゲーム 《ネタバレ》 
1950年代のデトロイドを舞台に、自動車産業のとある機密情報を記した書類をめぐって暗躍する犯罪者たちを描いたクライム・サスペンス。監督は、この手の分野を得意とするベテラン、スティーブン・ソダーバーグ。ベニチオ・デル・トロをはじめとする豪華なキャスト陣に惹かれ、今回鑑賞してみました。なんですが、最後まで何とも分かりにくいお話でしたね、これ。たくさん出てくる登場人物たちも誰が誰だか分かんないし、彼らがいったい何がしたかったのか最後まで観てもさっぱり分かりませんでした。眠気に負けず頑張って観ましたが、正直観る価値はなかったかな。
[DVD(字幕)] 3点(2022-10-01 04:03:11)
8.  クライシス(2021) 《ネタバレ》 
近年アメリカで社会問題となっている、極めて依存性の強い鎮痛剤オピオイドをテーマにした社会派サスペンス。ゲイリー・オールドマンとアーミー・ハマー共演ということで今回鑑賞してみました。物語は、製薬会社からの依頼で臨床試験に臨みつつも新薬の致命的な欠陥を見つけてしまう大学教授と麻薬組織の壊滅を目論む囮捜査官、そして薬によって大切な一人息子を失くしてしまった母親を相互に描いてゆきます。つまりは、群像劇。利益優先の製薬会社から事実を隠蔽するように求められた大学教授の葛藤や、麻薬組織に潜り込んだ捜査官のいつばれるか分からない緊迫感などはそれぞれよく描けていたと思います。ただ、この三つの物語が有機的に絡み合っておらず、最後まで何ともちぐはぐな印象になってしまうのが本作の弱点。麻薬捜査官と息子を失くした母親の物語は一応最後の方でリンクしますが、大学教授の話は最後まで残りの二つと完全に切り離されています。それに大学教授のエピソード以外は、オピオイド関係ないような気がするんですけど……。きっと元はこのインサイダー告発者となる大学教授のお話だけがあって、でもそれだけじゃ地味だということで後になってこの二つのエピソードを足したんでしょうね。それならそれでもっと脚本を練るべきだったのでは。群像劇としても社会派サスペンスとしても何とも中途半端なお話でございました。
[DVD(字幕)] 5点(2022-08-09 04:59:06)
9.  クワイエット・プレイス 破られた沈黙 《ネタバレ》 
音を出したらすぐ即死!!という極限の恐怖を描いたモンスターパニック第二弾。完全なる出オチ映画だった前作は、設定こそ荒唐無稽で突っ込みどころ満載だったけれど、勢いと見せ方でそこそこ面白かった記憶があります。対して続編となる本作はどうなんでしょうね。アクション、映像、脚本、どれもが前作よりパワーダウンしているような印象を拭えませんでした。もっとラスボス的なやつを登場させるとか、人類が反転攻勢に出られる画期的な武器を手に入れるだとか、そういった新しい要素が欲しかったところ。これじゃ前作の二番煎じにすぎませんやん。ま、前作同様、絶対に音を出せない緊張感というのは充分伝わったし、モンスターのCGとかはそこそこ迫力があってそこらへんは良かったと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2022-06-24 03:45:55)
10.  グリーンランド -地球最後の2日間- 《ネタバレ》 
地球のほぼ真横を通り過ぎる巨大彗星クラークの接近を控え、にわかに天体観測ブームで沸くアメリカ。糖尿病を患う一人息子を抱えた一級建築士のジョンもまたその一人だ。仲の良い友人や親戚たちを集め、そんな史上最大の天体ショーを自宅で楽しもうとした矢先、彼のスマホに謎のメッセージが届けられる。「これは大統領アラートだ。訓練ではない。この連絡がきたのは、地下シェルターへの避難を許された選抜者のみ。繰り返す、これは訓練ではない」――。その直後、州最大の大都市に彗星の破片と思われる巨大隕石が直撃するのだった。遠く離れた地であるジョンの自宅も爆風で激しく揺れ、何が何だか分からぬままパニックへと陥る近所の人々。すぐさまニュースで確認すると、これはアメリカだけではなく、世界各地の大都市も同じように隕石の直撃を受け壊滅してしまったらしい。すぐさま指示された空港へと向かうジョンとその家族。だが、そこでジョンは病気の息子は乗せられないと告げられてしまうのだった……。巨大彗星衝突により滅亡の危機にさらされてしまった世界を舞台に、決死の覚悟で生き延びようともがくある家族の姿を描いたパニック・アクション。主演を務めるのは、男臭い役柄がウリのジェラルド・バトラー。まぁ昔からよくある隕石衝突型のディザスター・ムービーなのですが、映像はそこそこ迫力があってけっこう楽しめました。本作のポイントは、これまで一個だった隕石が小さな破片が幾つも連なった彗星であるところ。おかげで隕石衝突の醍醐味が何度も味わえてお得感倍増。まあそれが予算の都合か、ほとんどテレビニュースの中の小さな場面でしか見られないのはご愛敬ですけどね(笑)。ただ、お話が最後までずっと一本調子だったのがちょっと物足りなかったかな。主人公家族が逃げて離れ離れになって暴徒に襲われてまた逃げて……の繰り返し。もう少し違うエピソードも見たかったような。こういうパニックものって基本群像劇になりがちなんですけど、本作もそうした方が良かったように僕は思いました。とはいえ最後の無数の隕石衝突の映像は迫力あったし、家族愛に絞った脚本もベタですけどそこそこよく出来ていたし、普通に面白かったです。少なくとも最近のローランド・エメリッヒ作品なんかよりは楽しめました。
[DVD(字幕)] 6点(2022-02-07 23:31:27)
11.  グッド・ネイバー 《ネタバレ》 
お調子者の目立ちたがり屋でとにかく今が楽しければいいという、今時の若者コンビ、ショーンとイーサン。再生回数を稼ぎたいあまり人に迷惑かけたり嫌がらせしたりする動画を面白おかしく撮ってそれをネットで公開する彼らは、いわゆる〝迷惑系ユーチューバー〟だ。今回彼らが目を付けたのは、向かいの家に独りで暮らす偏屈なお爺さん。町の噂によると、酒を飲んで暴力を振るい奥さんに捨てられたんだとか。しかも犬の散歩をしている人やゴミ出ししている近所の奥さんにことあるごとに暴言を吐いたりと、もはや町の厄介者扱い。こいつになら何をしても大丈夫――。そう確信した彼らは、爺さんが買い物に出ている間に家中にカメラを取り付け、様々ないたずらを仕掛けてはそのリアクションに大笑いするのだった。だが、しばらく見てゆくうちに彼らは言いようのない違和感を覚え始める。急にバッドを持って暴れだしたり、何もないはずの地下室に何時間も閉じこもっていたり……。もしかしてこの爺さんはとんでもないサイコ野郎なんじゃないのか。少しでもフォロワー数を稼ぎたい彼らは、格好のネタに徐々に暴走してゆくのだった。今時の迷惑系ユーチューバーと孤独な老人とのそんな息詰まるような駆け引きをスリリングに描いたスリラー。というお話を聞いて、まず真っ先に思い浮かべるのは、同じくワンアイデアのみで撮られたものの、そのエッジの効いた描写でスマッシュヒットを飛ばした『ドントブリーズ』でしょう。ここで思いっ切りネタバレすると、観客にそう思わせといて、最後の最後にそれを根底からひっくり返すあのオチは確かに秀逸。伏線の張り方も巧いし、裁判のシーンを差し挟むことで観客にミスリードを誘う見せ方もいい。まあそのオチありきの映画なので、問題となるのはそこまでの過程。正直、それが僕にはちょっと微妙に感じてしまいました。主人公の青年とこの爺さんとのやり取りが最後まで地味で一向に盛り上がらない。ここらへん、もっと面白く出来たんじゃないでしょうか。また、奥さんとの過去を描く回想シーンが随所に差し挟まれるのも、この爺さんの得体のしれない不気味な感じを半減させてしまっている。スリラーとして、これでは勿体ないと言わざるをえません。アイデア自体は秀逸だっただけに、何とも惜しい作品でございました。
[DVD(字幕)] 5点(2022-02-02 05:01:43)
12.  グレタ GRETA 《ネタバレ》 
始まりは、電車の中で拾った小さなバッグだった――。NYの片隅で友人とともにルームシェアをしている若い女性、フランシス。レストランでウェイトレスをしながらそれなりに充実した毎日を過ごす彼女だったが、それでも一年前に病気で亡くなった母のことを未だ引きずっていた。そんなある日、彼女は電車の中に置き忘れられた小さなバッグを拾う。中にあった身分証を確かめてみると、持ち主はグレタという名の初老の女性。たまたま家が近所だったので、フランシスはバッグを返すために彼女の家を訪ねてみる。するとグレタは素直に喜んでくれ、お礼に一緒にお茶でもしないかと誘ってくるのだった。特に断る理由もなかったフランシスは、そのまま彼女の身の上話を聞くことに。愛する夫を亡くし、一人娘もパリへと留学して今はしがない独り暮らしだという彼女に、フランシスは思わず同情してしまう。犬を飼うよう勧めてみたり、一緒に食事をしてみたりと次第に距離を縮めてゆく二人。だが、フランシスは知らなかった。実はグレタは日常的に嘘をつき、しかも娘と同じ年頃の若い女に異常なまでの執着を示すサイコパスであることを……。都会で暮らす平凡な女の子が、偶然知り合った初老の女性に執拗なまでに付き纏われ恐怖のどん底へと叩き落とされる姿を描いたサイコ・スリラー。人気若手女優クロエ・グレース・モレッツとフランスのベテラン女優イザベル・ユペールの豪華共演ということで今回鑑賞してみました。監督は、この手のサスペンス映画を得意とするニール・ジョーダン。率直な感想を述べさせてもらうと、もう全く新味のない最初から最後まで既視感満載のベタベタな内容でしたね、これ。母親を亡くした若い女性が、同じく娘を亡くした女性にストーカーされ、挙句監禁されて強制的に娘代わりにさせられてしまうというお話。それ以上のものはなんにもありません。おまけに話のテンポが悪く、主人公が間抜けな行動を取り続けるので観ていて若干イライラしちゃいました。見所と言えば、やはりベテラン女優イザベル・ユペールの恐怖のストーカーおばさんっぷりかな。神経症資質なサイコパスを見事に演じ切っていて、さすがの貫禄。ショパンのレコードに合わせてダンスを踊りながら、クロエちゃんを痛めつけるさまはなかなか気持ち悪かった。チョンバされた小指の切断面に注射器を刺すシーンはさすがにやり過ぎ感あったけども(笑)。という訳で彼女の熱演に+1点って感じです、はい。
[DVD(字幕)] 5点(2021-06-15 00:30:14)
13.  グッド・ボーイズ(2019) 《ネタバレ》 
現在、思春期真っ只中の12歳の男の子、マックス。近所の仲の良い友達二人と「ビーンバッグ」というグループを組み、ひたすらカードゲームとエロ話に明け暮れる冴えない毎日。ネットでエロ画像を検索してその生々しい内容にショックを受けたり、近所の高校生カップルを覗き見してるのを見つかって追いかけまわされたり…。そんな悶々とした日々を送っていたマックスはある日、ビッグ・ニュースを耳にする。なんと前から気になっていた女の子が明日の夜、クラスメイトたちとのパーティーでキス・ゲームに参加するというのだ。「大変だ!!憧れのあの子が、誰か他のヤツとキスしてしまうかもしれない!!」――。それを聞いて頭と何処かが爆発しそうになったマックスは、とにかく彼女の唇を守るためにビーンバッグのメンバーとともにパーティーへの参加を決意するのだった。でも、キスなんてどうやってしたらいいか分からない。勉強のために、お父さんの仕事用のドローンを使い、近所のヤリ〇ンで有名な女子高生の家を観察することを思いついたマックスは、さっそくビーンバッグのメンバーを集め、作戦を実行に移すのだった。だが、呆気なく反撃に遭った彼らは逆に彼女たちに弱みを握られてしまい……。思春期を迎えたばかりの男の子が、憧れの女の子とキスするために繰り広げる大冒険を下品なギャグ満載で描いた青春コメディ。天才子役として人気を集めるジェイコブ・トレンブレイ君が、そんな悶々少年を演じているということで今回鑑賞してみました。まあ全く期待していなかったのですが、意外や意外、なかなか面白いじゃないですか、これ!!子供にこんなことさせていいのかってくらい、お下品なネタがてんこ盛り。でも、それがいちいち笑えるのがナイスですね~~。少年たちが大人のおもちゃを手にあーだこーだ言うとこなんて思わず笑っちゃいましたわ。好きな子に渡すネックレスを忘れちゃったので、代わりにアナルビーズをプレゼントするシーンなんてサイコーでした。一番笑ったのが、キス・ゲームで隣のカップルがディープキスし終わった後によだれが糸引いてるのを見て、ドン引きしている黒人の男の子!こいつ、かなりいい味出してましたわ。と、お下品100%の内容かと思ったら、最後はまさかの切ないエピソードを放り込んできていい意味で裏切られました。少年から少しずつ大人の世界へと足を踏み入れた彼らは、それぞれ自分の居場所を見つけてゆく…。永遠だと思っていた自分たちの友情が、ちょっとずつすれ違っていくというラストはなんとも切ない。キレのいいギャグで大笑いさせて、最後はほろりとさせてくれる、いわばエロ版『スタンド・バイ・ミー』とも言うべき作品。なかなか楽しませていただきました。お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2021-06-07 05:07:33)(良:1票)
14.  グッド・シリアルキラー 《ネタバレ》 
あなたの毒親、殺します――。とある高校でスクールカウンセラーとして働くエバンは、来る日も来る日も様々な問題を抱えた生徒たちの悩みを聴いていた。家庭内暴力を繰り返す親や性的虐待を抑えられない父親、そんな理不尽でやり切れない話を聴き続けるうちに彼はある日、とある決断をするのだった。それはこの手でそんなろくでもない親たちに裁きを下すこと。生まれたばかりの我が子を抱え多少育児ノイローゼに陥っている妻を残し、エバンは夜な夜なそんな親たちを拉致監禁し、自らの手で天誅を下してゆく。だが、捜査を担当する刑事は、次第に彼へと疑いの目を向け始めて……。という、ワンアイデアのいかにもB級なそんな本作、あんまり期待せずに今回鑑賞してみました。なんですが、これがまあこちらの下がりに下がった期待をさらに下回る残念な出来の作品でありました。ストーリーなんてあってなきが如し、ただひたすら髭もじゃで不愛想なおっさんが人を殺して埋めるだけ。物語に深みもなければ意味もない、かといって「面白かったぁー」と思えるような娯楽性などもまったくなし。ただひたすら単調で退屈!なんだかニコラス・ウィンディング・レフン監督の作品をかなり劣化させたって感じですかね。「グッド・シリアルキラー・ファミリー」誕生!というような最後のオチに至っては、あまりにテキトー過ぎて怒り狂いそうなっちゃいました。観るだけ時間の無駄の凡作です、はい。
[DVD(字幕)] 3点(2021-05-06 01:00:21)
15.  グリンゴ 最強の悪運男 《ネタバレ》 
無責任で女好きな社長にはめられ、仕事も愛する妻も失う寸前の冴えないサラリーマン、ハロルド。そんな八方塞がりの自分の人生に一発逆転を図るため、彼はあるとっておきの方法を思いつく。それはメキシコ出張中にマフィアに拉致されたと見せかけ、多額の保険金をせしめようという偽装誘拐。意を決して計画を実行に移した彼だったが、そこにホンモノのマフィアも現れ、さらには社長が雇った殺し屋や麻薬をアメリカへと密輸しようという運び屋まで絡んできたからさあ大変。最強の悪運男、ハロルドの運命は?そんな冴えない中年サラリーマンのドタバタを描いたコメディタッチのクライム・ドラマ。シャーリーズ・セロンを筆頭に、ジョエル・エドガートンやアマンダ・セイフライドといった何気に豪華なキャスト陣に惹かれ今回鑑賞してみました。まあやりたいことは分かるんですよ、これ。デビュー当時のガイ・リッチー監督作のような、軽妙なタッチのスラップスティック劇。でも、残念ながら演出のキレやスピード感が圧倒的に足りていません。無駄に分かりにくいうえに最後までテンポの悪いストーリー展開に終始睡魔が……。それに魅力的な登場人物がほとんど居なかったのも致命的。華のある役者陣に引っ張られて最後まで観ていられましたが、さして面白くはなかったです。
[DVD(字幕)] 4点(2021-03-26 02:20:21)
16.  グッド・ライ いちばん優しい嘘 《ネタバレ》 
長びく内戦の影響により、難民キャンプで過酷な生活を余儀なくされていたスーダンの少年少女たち。先の見えない生活に希望を見失いかけていたある日、政府の救済処置によってアメリカへと移住することが決定する。それまでアフリカの狭いエリアしか知らなかった彼らが、いきなりボストンの大都会で暮らし始めることに――。今まで電話もスーパーマーケットもマクドナルドすら知らなかった彼らは、突然の豊かな生活に戸惑いを隠せない。それでも親切な支援者の協力により、住むところも仕事も見つけることが出来た彼らは、アメリカでの生活に少しずつ馴染んでゆく。だが、長く続いた内戦の苦しい記憶は簡単には彼らを解放してくれない。そう、彼らには自分たちの命を守るために自らを犠牲にして兵士に囚われた仲間の存在があったからだ。そんな彼らが過去を乗り越えるために吐いた〝優しい嘘〟とは?実話を基に、そんな過酷な境遇で育った少年少女たちの人生を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。冒頭から展開される、兵士たちによって両親や兄弟を殺された彼らの苦難に満ちた半生にはただただ圧倒されるばかり。その地で平穏に生きていただけなのに、たったそれだけで銃を向けられ愛する者を殺されてしまった子供たち。人間の愚かさに、改めて戦慄させられてしまいます。それでも前を向き、ただ「生きていたい」という切実な想いだけを頼りに希望を捨てなかった彼らの姿には心揺さぶられるものがあります。ただ、肝心のアメリカに辿り着いてからの後半部分には僕は残念ながらそこまで嵌まれませんでした。実話を基にしたから仕方ないのかも知れませんが、なんとも地味。事実を改竄しろとまでは言いませんが、それでももう少しドラマティックに脚色しても良かったのでは。それに主要登場人物たち誰もが紋切り方で魅力に乏しいのも残念。もう少しそれぞれのキャラクターに個性を与えて欲しかった。社会の片隅で声にならない悲鳴をあげている社会的弱者たちに寄り添って映画を創ろうという監督のその思いには好感が持てるだけに、なんとも惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2020-12-01 02:30:52)
17.  黒い司法 0%からの奇跡
1990年代、警察の杜撰な捜査によって死刑判決を受けた黒人男性の冤罪を晴らすため、執念の活動を続けた若手弁護士を実話を基に描いた法廷劇。監督は、生き辛さを抱えた社会的マイノリティを優しい視線でもって見つめ続ける新鋭デスティン・ダニエル・クレットン。まあ観る前からおおよそ予想はついてましたが、開始10分で「あぁ、またこの感じの内容かー」とその既視感満載なお話に少々げんなり。具体的に述べさせてもらうと、①舞台はまだ黒人への偏見が色濃く残るアメリカ南部で、②警察の杜撰な捜査で冤罪判決を受けた黒人男性のために、③都会のエリート大学を卒業した理想に燃える若手弁護士が、④白人たちの執拗な嫌がらせにも屈せず、⑤無罪を勝ち取るために頑張るというお話。過去に何度も何度も制作されてきたこのパターンをどのような角度で映画化するかがその監督の腕の見せ所だろうけど、本作は真っ向勝負の直球ストレートで挑んでおります。でも、ちゃんと見事に勝利しておりました。ベタベタなお話で結末だっておおよそ予測がつくものなのに、最後まで観客をぐいぐい引き込むこの監督の演出力の高さは相当なもの。なにより特徴的なのは、物語の中盤で死刑囚の執行シーンをかなり詳細に描いているところですね。このシーンのおかげで物語がぐっと引き締まり、最後まで全く気が抜けません。偏見に満ちた白人たちの嫌らしさもしっかりと描いており、特に悪役である検事の如何にも俗物なところもなかなか巧い。唯一惜しいのは、ブリー・ラーソン演じる助手がいまいち活用できていなかったことくらい。総じてこの監督の才能は確かなものだと思います。最初にげんなりしたとか言ってごめんちゃい(笑)。ラスト、エンドロールの合間にさらりと説明されたところによると、主人公の隣にいた死刑囚もまた冤罪で後に無罪となって釈放されたとのこと。ここで話を戻すと、最初に何度も観たようなお話だと書きましたが、そのほとんどは実話を基にしたものだったということを忘れてはなりません。つまり、このような無実の罪で投獄された黒人がいかに多いかということです。アメリカの司法制度がどれだけいいかげんなものだったかが分かり、なんとも空恐ろしい気分になります。エンタメ映画として充分な面白さを有しながら、そんな社会問題についても深く考えさせられる、なかなか完成度の高い秀作でありました。8点!
[DVD(字幕)] 8点(2020-10-01 01:34:41)
18.  クロール -凶暴領域- 《ネタバレ》 
アメリカフロリダ州に、史上最大規模のハリケーンが襲来!現地の人々に避難勧告が出される中、連絡の取れなくなった父親を捜して当地へと訪れた娘のヘイリー。轟々と吹き荒れる嵐の中で、ヘイリーは昔住んでた家で床下に倒れている父を発見する。どうやら売りに出した家のことが心配で様子を見に来てしまったらしい。父を救うため、すぐさまヘイリーは増水した川の影響で徐々に水嵩が増す床下へと下りるのだった。だが、彼女はまだ知らない。その水の中には凶悪な殺人ワニたちがうじゃうじゃ蠢いていることを――。間一髪で床下の鉄パイプの隙間へと逃げ込んだヘイリー親子。少しでも身を乗り出せば、瞬く間にワニたちの餌になることは明らか。だからと言ってこのままここに居れば、いずれは溺れ死んでしまう。果たして、彼女たちは再び無事に日の光を見ることは出来るのか?激しい嵐の中で孤立した親子が、凶悪なワニたちを相手に決死の覚悟でサバイブする姿を描いたパニック・ムービー。明らかに低予算で撮られただろう、そんないかにもなB級映画なのですが、この手の作品のポイントはちゃんと押さえられており、最後までぼちぼち楽しんで観ることが出来ました。何よりワニたちの造形がけっこうリアルで、しかもちゃんと?主人公がパクリパクリと噛みつかれ全身血みどろになるとこなんて容赦なくて良い。ここらへん、かつて『ピラニア』と言う、血みどろジェットコースターおバカムービーの快作を撮ったアレクサンドル・アジャらしいですね。死亡フラグ立ちまくりのあのコソ泥三人組が案の定、血みどろな最期を迎えるとこもナイスでした。ずっと一軒の家の中だけでほぼ物語が完結しちゃうというスケールの小っちゃさはご愛敬ですけど(笑)。ただ、主人公を助けに来た友達の警察官まで犠牲になっちゃうのはやり過ぎかな。それに、内容が最後まであまりに直球過ぎるのもちょっと物足りなかったですかね。もう少し、この作品ならではと言う一捻りが欲しかったところ。とはいえ、こういう肩のこらないB級パニック・ムービーとしては充分及第点。真夏の熱帯夜にビール片手に楽しむ分にはうってつけの映画でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-08-21 17:02:13)
19.  靴職人と魔法のミシン 《ネタバレ》 
彼の名は、マックス・シムキン。何処にでも居るような平凡な靴職人だ。代々受け継いできた街の小さな店舗で馴染みの常連客相手に、細々と営業を続けている。幼いころに家を出て行った父の代わりに、今やすっかり年老いた母親の面倒をずっと見続け、気がつくとけっこうな歳になっていた。今まで一度も結婚したことはなく、もちろん子供もいない。自分の人生にそれなりに満足しているはずだった。そんなある日、彼の愛用しているミシンが急に壊れてしまう。業者に依頼すると、修理に窺えるのは早くても明日の朝になるらしい。「そいつは困った。今日中に直さなけりゃいけない靴があるのに…」。仕方なくマックスは地下室に降りると、古ぼけたミシンを見つけてくる。父の代からあるその年代物のミシンは何とか使えそうだ。だが、彼は知らなかった。そのミシンには謎の力が宿っていて、直した靴を履くと持ち主とすっかり同じ外見になれることを――。ハンサムなプレイボーイ、黒人のチンピラ、移民の中国人、ガタイの良いおかま、さらには腐った死体まで、靴さえ手に入れば誰にでも変身できることに気付いたマックス。以来彼は平凡な日常を抜け出し、赤の他人へのなりすまし生活に嵌まり込んでゆく。そんな折、街の再開発に絡む地上げ屋の不正行為に巻き込まれて…。魔法の力を手に入れた平凡な靴職人が巻き起こすそんな騒動を飄々と描いたファンタジー・コメディ。と言う粗筋を聞いて、もっとディズニーっぽい感じの誰もが楽しめるファミリー的な内容かと思いきや、意外にもこれってブラックなネタ満載の毒気の効いたコメディだったのですね。けっこうな下ネタやグロネタが頻繁に出てきます。例えば、プレイボーイに扮した主人公が美女とシャワーを浴びようとするシーン。早く服を脱ごうと焦るものの、靴を履いたままズボンは脱げないことに気づいちゃうとこは思わず笑っちゃいました。そうかと思うと、今や認知症を患う母のために父が遺した靴を履いて三十年ぶりに夫婦水入らずのディナーを演出すると言う急に切ないエピソードを放り込んでくるのもいいセンスしてます。ただ残念だったのは、脚本の細部に「?」な部分が多いこと。特に主人公の隣人で、親友でもある床屋の存在。彼が非常に重要な秘密を隠していたことが終盤で明らかとなるのですが、肝心のその内容が容易に読める上にいまいち腑に落ちない。今まで主人公にこのことを秘密にしていた理由に全く説得力が感じられないんです。ここらへん、もっと工夫してほしかった。とはいえ、このノスタルジックな雰囲気(孤独な靴職人を演じたアダム・サンドラーがまさに嵌まり役!)も良かったし、ぼちぼち面白かったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2020-07-12 00:33:32)
20.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 
ソウル中心部を流れる大きな河に突如として現れた謎の怪物、グエムル。恐ろしいその怪物によって理不尽にも引き裂かれてしまった、ある家族の物語をノンストップで描いたモンスター・パニック映画。普段、韓国映画は全くと言っていいほど観ないのですが、同監督の最新作が世界中の映画祭を席巻しているということで、今回鑑賞してみました。確かに、細部にまで拘ったであろう監督の映像センスには圧倒されましたし、アクションシーンも最後までキレッキレだったし、何より肝心のモンスターの造形が絶妙に気持ち悪いのも大変良かったのですが、やっぱり僕はこの韓国映画独特のノリがどうにも苦手だなと再認識してしまいました。いかんせん、このオーバーアクト気味の過剰演出が鼻について仕方ない。合同葬儀で、娘を失った家族が泣き叫ながらドロップキックするシーンなんて、「うーん、なんだかなぁ」って感じでした。こればっかりは国民性の違いなんでしょうけど。ストーリーの見せ方や家族一致団結してのクライマックスなどは監督の才気が漲っていて大変良かったんですけどね。
[DVD(吹替)] 6点(2020-01-31 00:57:32)
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