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 > かたゆき さんの口コミ一覧
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1888
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  クロエ・グレース・モレッツ ジャックと天空の巨人 《ネタバレ》 
この映画、けっこう前に観たのだけど(もちろんクロエちゃん目当て♪笑)、そのあまりにもトホホな内容にレビューを書く気力すらなくなって、そのままずっと放置プレイしてきました。なんで、映画の内容は思いっ切りうろ覚えの状態で今回レビューを書こうと思うので、もし間違いがあったとしても大目にみてください(笑)。さて、そんなまだほとんど無名だったころのクロエちゃんがほんのチョイ役で出演するタイトルに偽りありまくりな本作なのですが、これって本当に21世紀に作られた映画なの?怒りを通り越してもはや呆れるくらいびっくりするほどチープなんすけど!!「CG?何、それ?」と言わんばかりの思いっ切りスタジオのセット感満載の天空の城に現れる、「これの何処が巨人やねん!!」と思わず突っ込まざるをえない、これまた着ぐるみ感MAXの〝ちょっと大き目の人〟。魔法の豆を食べて人間になったという設定(こちらも単に全身タイツ着ただけ!)のウザいガチョウ男。その場その場でテキトーに考えたようなぬる~いストーリー展開……。昔、小学校の教室でみんなで見させられた、NHK教育の教材番組を見ているような気がしちゃいました(笑)。巨額の予算を投じて創り上げられた、ブライアン・シンガー監督の同名のスペクタクル・ファンタジー作品の何億分の一くらいの制作費&労力しか使ってないんじゃないのってくらい、もはや映画と呼ぶのさえ躊躇われるほどのトホホ作品でしたね、これ。いやー、この作品で唯一評価出来るところといえば、やっぱりまだ幼き少女であった頃のクロエちゃんのその貴重な雄姿を拝めることぐらいでしょう。のちに彼女が大ブレイクを果たす、『キックアス』のヒットガール役への大抜擢に繋がったであろう、キレのあるアクションと世の多く(?)の男性のロリ心をくすぐるそのキュートな可愛さだけは大変良かったです(出番は少なかったけどね)。というわけで、その部分をのみ評価して4点。それ以外は、一秒たりとも観るべき価値はないっす。
[DVD(字幕)] 4点(2024-05-31 16:34:41)
2.  グランド・ピアノ 狙われた黒鍵 《ネタバレ》 
演奏を一音でも間違えたらお前を殺す――。5年前、熟練のピアニストでも弾きこなすのが難しい難曲「ラ・シンケッテ」に果敢に挑んだものの失敗に終わり、以来スランプへと陥っているかつての天才ピアニスト、トム。再起をかけ、彼は今回復活コンサートを開くのだった。満員の聴衆たちや自分を今まで支えてくれた愛する妻らが見守る中、緊張した面持ちでグランドピアノへと向かうトム。ところが楽譜を開いてみると、そこには彼を脅迫する謎のメッセージが……。「少しでも間違えたら僕と妻の命はない?」。狙撃銃の赤外線スコープが冷酷に見つめる中、トムは再び「ラ・シンケッテ」へと挑むことに。果たして犯人の目的とは?そして、彼は無事にコンサートを成功させ再起を図ることが出来るのか?何処にも逃げ場のないコンサート会場で、謎の犯人によって追い詰められていくそんなピアニストの孤高の戦いを描いたサスペンススリラー。これまで色んな場所に主人公を閉じ込めてきたソリッドシチュエーションスリラーも、とうとうここまで来たかって感じっすね(笑)。まあはっきり言って設定にアホほど無理がある(ピアニストが公演中に「ちょっと忘れ物したんで」と何度も楽屋に引っ込むってアリなん?笑)とかはこの際目を瞑るとして、けっこう華やかなコンサート会場で小気味良く展開されるストーリーや、イライジャ・ウッドとジョン・キューザックというそこそこ豪華な役者陣、90分という適度な尺、そして物語を華麗に彩るクラシックの名曲群…、と、肩の凝らないエンタメ映画としてぼちぼち楽しめました。犯人の真の目的が「え、なんやねん、それ?!」とずっこけちゃうくらい変てこりんなのもぎりぎり我慢しましょう。ただね~、それまで潜んでいた犯人が急にステージ上に姿を現しちゃうクライマックスでのこの半端じゃないグダグダ感にはさすがの僕も我慢の限界が……。ここはやはり、「表向きはコンサートは大成功のうちに終わり、その裏で犯人は何だかんだで捕まって、トムは無事に再起を果たすことが出来たのでした。パチパチ」って感じのオチにしてくれんとカタルシスが得られませんて!それに何ですのん、あのへんてこなラストシーンは(笑)。という訳で、そんな普通の人なら「金返せ!」と怒り狂いそうになるだろうトコも笑って観てくれる、大らかな映画愛に満ちたマザーテレサのような映画ファンの方なら充分に楽しめると思います。4点。
[DVD(字幕)] 4点(2024-01-25 13:21:24)
3.  グランド・イリュージョン 《ネタバレ》 
ある日、フードをかぶった謎の人物によって集められた、凄腕のマジシャンやメンタリストたち。1年後のラスベガス、彼ら4人は“フォー・ホースメン”と名乗り満員のドーム会場で華麗なマジックショーを開催していたのだった。その場で、「これから地球の裏側にある銀行を襲い、金庫に保管された金を全額この場に降らせてみせましょう」というあり得ないマジックを宣言。実際に札束の雨を会場へと降らせ拍手喝采を浴びるフォー・ホースメンのメンバーたち。惜しまれつつも舞台から降りると、当然のようにFBIやインターポールの捜査員たちに拘束されてしまう。だが、どんなに捜査しても証拠――マジックのタネや仕掛けは見つからなかった。証拠不十分で釈放されたメンバーは、捜査員たちを嘲笑うかのように第二のショーの開催を高らかに宣言するのだった。マジックの種明かしを専門にする元マジシャンや彼らのスポンサーである大富豪らも巻き込んで、フォー・ホースメンの狂乱の舞台が再び幕を上げる――。豪華絢爛な映像や有無を言わさぬスピーディなストーリー展開で魅せる、マジックを題材にしたエンタメ狂想曲。いやー、率直に言ってかなりの「大味」でしたね、これ。手品やイリュージョンの醍醐味って、「これっていったいどうやってるんだろう?」という知的好奇心をくすぐる華麗なまでの〝騙された感〟にあると僕は思うんですよ。でも、本作での「これっていったいどうやってるんだろう?」の答えが、「はい、いろいろ能書きを垂れてますが、ま、皆さんお気付きの通り全部CGで画像処理してます」ではやっぱり興醒めですって。後で種明かしされる仕掛けも、リアリティ皆無のなんだかこじ付けめいた言い訳がましい代物ばかり…。だいたい、モーガン・フリーマンに言われて「あ、地下にこんな施設があったのか…。全く気付かなかった」ってあの捜査員たち無能すぎるっしょ(笑)。仕掛けに綻びが生じそうになったら、全部催眠術で万事解決って、なめてんのか!おい!それに、作中で散々連呼される“ミスディレクション”ですが、はっきり言ってあのどんでん返しのオチから観客の目を上手く逸らせてるとは到底思えない。う~ん、いくら頭空っぽにして観るべきエンタメ映画とはいえ、これではさすがに観客をナメてるとしか言いようがないっす!監督、CGやゴージャスな画なんかで観客をごまかす前にもっと脚本をしっかり練ってください!
[DVD(字幕)] 4点(2024-01-22 12:43:03)
4.  グッド・ネイバー 《ネタバレ》 
お調子者の目立ちたがり屋でとにかく今が楽しければいいという、今時の若者コンビ、ショーンとイーサン。再生回数を稼ぎたいあまり人に迷惑かけたり嫌がらせしたりする動画を面白おかしく撮ってそれをネットで公開する彼らは、いわゆる〝迷惑系ユーチューバー〟だ。今回彼らが目を付けたのは、向かいの家に独りで暮らす偏屈なお爺さん。町の噂によると、酒を飲んで暴力を振るい奥さんに捨てられたんだとか。しかも犬の散歩をしている人やゴミ出ししている近所の奥さんにことあるごとに暴言を吐いたりと、もはや町の厄介者扱い。こいつになら何をしても大丈夫――。そう確信した彼らは、爺さんが買い物に出ている間に家中にカメラを取り付け、様々ないたずらを仕掛けてはそのリアクションに大笑いするのだった。だが、しばらく見てゆくうちに彼らは言いようのない違和感を覚え始める。急にバッドを持って暴れだしたり、何もないはずの地下室に何時間も閉じこもっていたり……。もしかしてこの爺さんはとんでもないサイコ野郎なんじゃないのか。少しでもフォロワー数を稼ぎたい彼らは、格好のネタに徐々に暴走してゆくのだった。今時の迷惑系ユーチューバーと孤独な老人とのそんな息詰まるような駆け引きをスリリングに描いたスリラー。というお話を聞いて、まず真っ先に思い浮かべるのは、同じくワンアイデアのみで撮られたものの、そのエッジの効いた描写でスマッシュヒットを飛ばした『ドントブリーズ』でしょう。ここで思いっ切りネタバレすると、観客にそう思わせといて、最後の最後にそれを根底からひっくり返すあのオチは確かに秀逸。伏線の張り方も巧いし、裁判のシーンを差し挟むことで観客にミスリードを誘う見せ方もいい。まあそのオチありきの映画なので、問題となるのはそこまでの過程。正直、それが僕にはちょっと微妙に感じてしまいました。主人公の青年とこの爺さんとのやり取りが最後まで地味で一向に盛り上がらない。ここらへん、もっと面白く出来たんじゃないでしょうか。また、奥さんとの過去を描く回想シーンが随所に差し挟まれるのも、この爺さんの得体のしれない不気味な感じを半減させてしまっている。スリラーとして、これでは勿体ないと言わざるをえません。アイデア自体は秀逸だっただけに、何とも惜しい作品でございました。
[DVD(字幕)] 5点(2023-09-16 22:41:53)
5.  グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 《ネタバレ》 
王族との結婚を夢見る人々は、その本当の意味を分かっていない――。ハリウッドで名実ともにトップクラスの人気を誇っていた名女優、グレース・ケリー。モナコ公国の王子と恋に落ちた彼女は、多くのファンから惜しまれつつも引退し、伝統と外聞をもっとも重んじる王族の一員となったのだった。本作は、そんな煌びやかな女優の世界から権謀術数渦巻く政治の世界へと身を投じた彼女の苦難に満ちた半生を描いた伝記映画だ。というわけで、グレース・ケリーというもはや伝説と化した人気女優役をこれまた現代ハリウッドでトップクラスの地位にいる二コール・キッドマンが演じたということもあり、なかなか興味深いものを感じてこの度鑑賞してみました。観想は……、いやー、これがもう見事なまでに底の浅ーーい凡作でありました。駄目な伝記映画の典型的な例が見事なまでに揃っていて、もう目も当てられません。駄目な点①史実として起こったことをただ時系列順に並べただけで映画として観客に伝えたいテーマがまったく絞られていない。グレース・ケリーという一人の女性の人生とはいったいなんであったのか。優れた伝記映画は、彼女の人生の本当の意義を観客に分かりやすく伝えるための明確なテーマが強固としてあるのだけど、本作にはそれがいっさいありませんでした。これじゃ事実を再現しただけの映像を単に羅列しただけに過ぎません。駄目な点②主人公の人生の転機となる重大な選択に説得力がいっさいない。本作でいえば、グレースがヒッチコックの新作映画への主演を諦め公妃としてそして母としてモナコに仕えることを決意するシーンがそれにあたるのですが、それがほとんど葛藤もないままにあっさり心変わりするものだから観客としては「え、そんな簡単に決めちゃうん?」と興醒めすること半端ない。駄目な点③物語のクライマックスとなる主人公の最後の演説の言葉がまったく心に響かない。彼女の苦悩がほとんど描かれていないのに、結論が「愛が私を強くしたのです!」って…。思わずずっこけそうになっちゃいました(笑)。という訳で、どこからどう見ても完全に凡作です。お年を召しても相変わらずお美しいニコール・キッドマンの美貌に免じて+1点。
[DVD(字幕)] 4点(2023-08-31 13:46:56)
6.  クーデター 《ネタバレ》 
外国人は皆殺しだ――。東南アジア某国。転職を機に、愛する妻とまだ幼い2人の娘と共にこの地に赴任してきたジャック。11時間にも及ぶフライトを終え、会社が用意した高級ホテルの一室にチェックインした彼らは、新たな地で人生の再スタートを切るはずだった。だが、翌日、ジャックは街の異変をすぐに感じ取る。中断されたままのテレビ、いつまで経っても接続されないネット、街を忙しなく行き交う軍部隊、不穏な住民たち…。やがて、〝彼ら〟がジャックの目の前に現れるのだった。鉈やピストル、軽機関銃で武装し、外国人抹殺を叫ぶ血走った目の暴徒たちが…。すぐさま家族と共に脱出を図るジャックだったが、街は一夜のうちに彼らに占拠されていた。はたしてジャックたち家族は無事に国外へと脱出できるのか?パッケージやキャスティングからいかにもB級感ぷんぷんのそんな本作なのですが、ピアーズ・ブロズナンが出ているということで今回鑑賞してみました。冒頭こそ、これぞアジアでございと言わんばかりののっぺりとしたカメラワーク、無意味なスローモーションの多用等々先が思いやられていたのですが、暴徒と警官隊が暴動を起こしてからはもう畳み掛けるように続くアクションシーンの連続にけっこう惹き込まれて観ている自分がいました。何をするか分からない残虐非道な暴徒たちが暴れまわる中、幼い2人の娘と共に決死の覚悟で逃げ惑う主人公に素直にハラハラドキドキ。救援に来たと思いきやいきなり銃を乱射してくるヘリコプターの襲撃に始まり、隣のビルに乗り移るために娘を無理やり放り投げたり、家族と一緒に死体に隠れて敵を遣り過ごしたり、変装して小さなバイクに乗り込んだ彼らが群集が暴れまくる夜の街に繰り出したり……。と、なかなかハードなアクションの連続で観客をぐいぐい惹き込む展開はなかなかのもの。「これは思わぬ掘り出し物かも!?」と思いながら観ていたのですが、後半息切れしたのか、アクションが幾分かスケールダウンしてしまったのが残念でした。特に僕は、P・ブロズナン演じるCIA職員ハモンドの薄っぺらさが気になりました。国際政治の裏舞台で常に死と隣り合わせで生きてきたスパイはもっと冷徹であってしかるべき。それが、「俺たちのせいだから君たち家族を全力で助けてやる」と命まで投げ打って主人公家族を救出するというのはさすがに甘すぎやしませんか。このハモンドの行動にもう少し説得力を持たせてほしかった。と、そこらへんが気になりましたが、それでも娯楽作としては充分水準に達していたと思います。第三世界を舞台にした、重厚な軍事アクションとして観て損はないでしょう。
[DVD(字幕)] 6点(2023-06-12 09:43:27)
7.  クリムゾン・ピーク 《ネタバレ》 
いつかその時が来たら、“クリムゾン・ピーク(深紅の丘)”に気をつけなさい――。19世紀末、アメリカ。幼いころに母親を失くし、以来裕福な父親の元で大切に育てられた少女イーディス。幼いころから何不自由なく暮らしてきた彼女は、ちょっぴり世間知らずで夢見がちな女の子だ。年頃の美しき女性へと成長したある日、彼女はイギリスからやってきたトーマスという名の準男爵と出会う。どこか胡散臭い彼に父は警戒心をあらわにするが、何処か影のあるトーマスにイーディスは次第に心惹かれていくのだった。そんな折、父が浴場で謎の死を遂げる。天涯孤独となってしまったイーディスは、トーマスと結婚し彼の故郷であるイギリスへと移り住むことを決意する。子供のころから姉と二人きりで過ごしてきたという彼の館は、寂れた郊外にひっそりと佇み、年代物の家具調度品や古びた芸術品で溢れ返る大豪邸だった。だが、イーディスはまだ知らない。そこが、冬になると真っ赤な赤土が染み出し、降り積もった雪を真紅に染めてしまう禍々しい地であることを……。古びた洋館を舞台に、そんなうら若き女性が迷い込むことになる淫靡で怪しげな世界を妖艶に描いたゴシック・ホラー。僕のこよなく愛するダーク・ファンタジーの傑作『パンズ・ラビリンス』を生み出した鬼才ギレルモ・デル・トロ監督の最新作にして、『パンズ~』の系譜を色濃く受け継いだ本作をもうワクワクしながら鑑賞してみました。いやー、いいですね~、いかにも彼らしいこのおどろおどろしい世界観。蟻が蝶の死骸を食い漁る様をアップで映し出したり、廊下の暗がりから骸骨のような幽霊が迫ってきたり…。ミア・ワシコウスカが身に纏う衣装の美しさも相俟って、そんなモダンで壮麗な世界に僕はもうどっぷりと浸かりきってしまいました。圧巻はやはり、彼女が移り住むことになるシャープ家のその細部まで造り込まれた美術でしょう。何かが潜んでいそうな暗い影がいたる所に存在し、廊下には何処に連れていかれるのか分からない古びたエレベーター、天井に穿たれた大きな穴からは常に埃が雪のように舞い落ちる…。もう見事としかいいようがない。ただ、そのように世界観は確かに素晴らしかったのですが、肝心のストーリーの方がちょっと弱かったのが残念。物語の随所に繰り返される母親の警告がいまいち効果的に使われていないし、幽霊の扱い方もなんとも中途半端。うーん、惜しい!とはいえ、クライマックスでの真紅の血や土がそこかしこに迸る血みどろ展開はまさにデルトロらしい残酷な美しさに満ち満ちていて(頬にナイフとかもう痛々しいったらありゃしない!笑)、そこらへんは大変満足でございました。
[DVD(字幕)] 7点(2023-05-01 12:40:20)
8.  グッドナイト・マミー(2014) 《ネタバレ》 
オーストリア郊外に建つ一軒の豪華な別荘。社会からほとんど隔離されたこの館には、双子の兄弟ルーカスとエリアスが自由気儘に暮らしていた。顔はもちろん背丈も髪型も体型も着ている服もほとんど同じな彼らは、どこに行くにも一緒の仲良し兄弟だ。そんな彼らが住む館に、手術を終えたばかりの母親が久しぶりに帰ってくる。だが、包帯で顔をぐるぐる巻きにされた彼女は以前とは性格ががらりと変わっていた。常に神経を尖らせ、ちょっとしたことに怒りをあらわにし、あろうことか二人に手を上げるまでになってしまったのだ。「あの人は本当のママじゃない」――。そう確信した兄弟はママの本当の正体を探り始める。そんな2人もとある秘密を抱えていて……。パッケージの感じからもっとB級寄りのハリウッド的エンタメ・ホラーだと思って観てみたら、まさかのヨーロッパ系アート作品でちょっとびっくり。冒頭からBGMや具体的な説明は一切なし、ぶつ切りに編集された静かな映像が淡々と続いていき、気軽な感じで見始めた僕は「あぁ、こっち系の映画かぁ」と頭を切り替えるのがなかなか大変でした。と、最初こそその余りに淡々とした展開に眠気が隠し切れなかったのですが、後半、徐々にこの兄弟の背景と狙いが分かってくるにつれ、この作品に漂う不穏な空気にじんわりと冷や汗が…。いやー、この胸糞悪い感じはいかにもヨーロッパ的ですね。胸糞悪映画の巨峰『ファニー・ゲーム』や『マーターズ』を観た時のことを思い出してしまいました。と、確かに完成度は高かったのですが、その2作品に比べるとあまりにお話がシンプル過ぎてやや深みに欠けたのが残念。ホラーでいくのかアートでいくのか、ちょっと軸が明確でない感じもして、僕はそこまで好きにはなれなかったです。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-17 08:57:42)
9.  クリミナル 2人の記憶を持つ男 《ネタバレ》 
国際的テロリストの大規模なテロ計画を追っていたCIA捜査官ビリー・ホープ。だが、彼は重要な情報を保持したままテロリストに捕まり拷問の末に命を落としてしまうのだった。なんとしてもテロを阻止したい彼の上司は考えた末、ある計画を実行に移す。一人の脳科学者の協力を得て、なんと死んだはずのビリーの記憶を刑務所に収監されていた凶悪な犯罪者の脳に移植しようというのだ――。訳も分からぬまま脳外科手術を受け、ベッドで目を覚ました犯罪者ジェリコ。真相を知った彼は、テロ情報を教える前に隙を突いて逃げ出してしまう。久しぶりに自由の身になったジェリコは、湧き上がってくる暴力衝動の赴くまま危険な街へと繰り出してゆく。だが、次第に甦ってくるビリーという男の記憶が彼の失われた良心を大いに揺さぶり始めるのだった…。今まさにテロを実行しようという危険なテロリスト、テロを阻止するためならどんな犠牲をも厭わないCIA、感情を亡くした狂暴な犯罪者、そして悲嘆に沈む殺された捜査官の家族。死んだはずの一人の男の記憶を巡ってそれぞれの思惑が複雑に交錯する中、テロ予定時刻は着々と迫ってくる…。こういう荒唐無稽なお話を大真面目に描くという試みはなかなか興味深く、冒頭から緊迫感もあって、つかみはばっちりでした。渋めどころの役者陣を揃えたキャスティングも非常に豪華で大変グッド。ケビン・コスナーとトミー・リー・ジョーンズとゲイリー・オールドマンが同じ画面に収まるとそれだけで画力が凄いですね。ただ、それも前半まででした。後半からこの荒唐無稽な設定の無理がたたったのか、明らかに脚本が破綻し始めるのです。特にCIA、このたった一人の犯罪者を簡単に逃がしすぎ!!こんな無能なのにこれでテロリストなんか捕まえられるわけねーって。それに捜査官の奥さん、簡単に犯罪者に侵入されすぎ!!一回目は分かるのだけど、さすがに二回目はセキュリティコードを変更しましょうよ。あとK・コスナー演じる犯罪者、簡単に良心に目覚めすぎ!!金を手に入れたいのか奥さんを慰めたいのか、何がしたいのかさっぱり意味不明。肝心のテロリストたちも存在感なさすぎ!!何のためにテロをするのかもいまいちピンとこないので、この濃い役者陣の中で存在感が薄い薄い。そして、ラストのオチは噴飯ものの酷い代物でした。こんなに部下を殺されてんのにCIA、こいつを雇うんかーい(笑)。ハリウッドのレジェンド俳優たちの豪華共演に+1点。
[DVD(字幕)] 5点(2022-12-22 11:25:44)
10.  KUBO/クボ 二本の弦の秘密 《ネタバレ》 
江戸時代の日本を舞台にしたファンタジックなクレイ・アニメ。僕のこよなく愛する『コララインとボタンの魔女』の制作会社が手掛けたということで今回鑑賞してみたのですが、残念ながら僕は全く嵌まらなかったですね、これ。何が駄目かってまずは脚本。例えば登場人物がたくさん出てくるのですが、その誰もがいったい何のために行動しているのかよく分からないのです。主人公クボは三種の武具を手に入れるために冒険の旅に出る。でも、その武具を手にしたらいったいどうなるのかがいまいち分かりづらい。なので物語にうまく入り込めませんでした。対する悪役の月の帝にしても、何故そんなにこの主人公を付け狙うのかもちょっとよく分からない。最後になんか天国に行って不老不死になるとか急に言われても説得力がないですって。あと、主人公クボを含め登場するキャラクターの誰も彼もに魅力が乏しいのもいただけない。サルなんてホントにただのサルだし、クワガタのサムライなんてさしてカッコよくもないしそもそもどうしてクワガタ?最後はまさかの悪役記憶リセットでみんな仲良く仲直りって…。うーん、映像はさすがのクオリティなんで5点ってとこですかね。
[DVD(字幕)] 5点(2022-11-07 08:46:22)
11.  クローブヒッチ・キラー 《ネタバレ》 
惨劇は10年前に終わったはずだった――。アメリカの平凡な田舎町を恐怖に陥れた連続殺人事件。犯人は何の罪もない女性宅に忍び込むと被害者を縛り上げ、激しい暴行を加えた末に首を締めて殺害する。その冷酷な手口と、事件現場に必ず特徴的な縛り方の紐を残してゆくことから、警察は「巻き結び殺人鬼(クローブヒッチ・キラー)」と呼び、懸命に行方を追っていた。だが、慎重な犯人はほとんど証拠を残さず、ただ被害者だけが増えていった。ところがある日を境にぱったりと犯行が止む。犯人は裁きを受けぬまま、それから10年もの月日が流れ、次第に人々の記憶からも薄れていった――。信心深い厳格な両親の元、妹とともに暮らすタイラーは、ボーイスカウトに所属する平凡な男の子。同じくボーイスカウトの指導員を務める堅物の父とそれなりに幸せな日々を過ごしている。そんなる日、タイラーは父親の隠していた荷物の中から、女性を縛る猟奇的なポルノを発見してしまう。そればかりか、10年前の殺人事件の被害者と思しきポラロイド写真を見つけてしまうのだった。「もしかして、父さんが連続殺人鬼なのか?」。そんな疑問を抱いたタイラーは、同じく事件を追う謎めいた少女とともに真相を探り始めるのだが……。平穏な田舎町を舞台に、10年前に住民を震撼させた猟奇殺人鬼の謎を巡り、不信感を深めてゆくある親子を描いたサスペンス・スリラー。家庭的で世間体もいい父親がもしかしたら連続殺人鬼かもしれない。そんな疑念を抱いた主人公が密かに父親の過去を探るシーンは、なかなかにサスペンスフル。家族そろってのディナーの前に必ず神への感謝を捧げる信心深いはずの父が実は病的なサディストだった…というのは、なんともいや~~~な感じですね。息子の疑念に気づいた父が権威を振りかざして説教をするシーンも何だか不気味で、この2人に漂う緊張感はただ事ではない。それまで全幅の信頼を置いていたはずの父の別の面を見てしまうという、思春期にありがちな少年の心理を巧く突いたサスペンスだったんじゃないでしょうか。ただ、残念だったのはことの真相が判明する後半の展開。余りにも捻りがなさすぎるそのまんまな真相は、ちょっと肩透かし感がありました。致命的なのは、クライマックスで何故か時間が遡り、息子の視線で物語が語りなおされるところ。映画として一番盛り上がるシーンで話の腰が折られてしまうので、何だか消化不良感が半端ない。しかもその息子のエピソードもまるっきり予想通りで何も驚きがないし、どうしてこんな演出にしちゃったのかはなはだ疑問。最後のオチも胸糞悪いだけでさして深くもない。ここはスリラーとして、もっと観客を恐怖のどん底に叩き落して欲しかった。前半の展開がすこぶる良かっただけに残念!!
[DVD(字幕)] 6点(2022-11-02 08:08:04)
12.  グリード ファストファッション帝国の真実 《ネタバレ》 
低価格を売りにアパレル業界を席巻したファストファッションブランド、モンダ。その創業者にして一代で巨額の富を築き上げたリチャード・マクリディの半生を、彼を取材するジャーナリストの目線で描いた社会派コメディ。普段私たちが安く買っているTシャツやズボンの裏側には、低賃金で長時間労働を強いられている発展途上国の貧しい人々の犠牲があるという本作の主張は確かに分かります。ますます拡がってゆく富裕層と貧困層との格差がさまざまな悲劇を生み出しているという、現代の社会問題をシニカルに見つめるその抑制の効いた効いたスタンスもいい。ただ、それが映画としての面白さに繋がっているかというと正直微妙。世の不条理に鋭く迫る社会派ドラマなのか、それとも毒気の効いたブラックコメデイなのか、そのどちらにも振り切れていないので、最後までなんとも居心地の悪い鑑賞後感でございました。実在の有名人を幾つも出して混乱と狂騒を極めてゆくパーティーとかももっとやり過ぎなくらい無茶苦茶やってくれても良かったような。最後のライオンのくだりも生々しくていまいち笑えない。ただ、「この笑えない現実はこれからも続いてゆく、私たちが安い服を買い続ける限り」という最後のオチは皮肉が効いていてなかなか良かった。胡散臭い成金経営者を飄々と演じたスティーブ・クーガンもバッチリ嵌まっていて大変グッド。普段私たちが安く買っている様々な商品の裏側を知れるという意味でも観てよかったかな。とは言え、自分は近々、ユニクロに秋服を買いに行く予定なんですけどね(笑)。すんません、安月給なもんで!!
[DVD(字幕)] 6点(2022-10-13 07:33:22)
13.  靴職人と魔法のミシン 《ネタバレ》 
彼の名は、マックス・シムキン。何処にでも居るような平凡な靴職人だ。代々受け継いできた街の小さな店舗で馴染みの常連客相手に、細々と営業を続けている。幼いころに家を出て行った父の代わりに、今やすっかり年老いた母親の面倒をずっと見続け、気がつくとけっこうな歳になっていた。今まで一度も結婚したことはなく、もちろん子供もいない。自分の人生にそれなりに満足しているはずだった。そんなある日、彼の愛用しているミシンが急に壊れてしまう。業者に依頼すると、修理に窺えるのは早くても明日の朝になるらしい。「そいつは困った。今日中に直さなけりゃいけない靴があるのに…」。仕方なくマックスは地下室に降りると、古ぼけたミシンを見つけてくる。父の代からあるその年代物のミシンは何とか使えそうだ。だが、彼は知らなかった。そのミシンには謎の力が宿っていて、直した靴を履くと持ち主とすっかり同じ外見になれることを――。ハンサムなプレイボーイ、黒人のチンピラ、移民の中国人、ガタイの良いおかま、さらには腐った死体まで、靴さえ手に入れば誰にでも変身できることに気付いたマックス。以来彼は平凡な日常を抜け出し、赤の他人へのなりすまし生活に嵌まり込んでゆく。そんな折、街の再開発に絡む地上げ屋の不正行為に巻き込まれて…。魔法の力を手に入れた平凡な靴職人が巻き起こすそんな騒動を飄々と描いたファンタジー・コメディ。と言う粗筋を聞いて、もっとディズニーっぽい感じの誰もが楽しめるファミリー的な内容かと思いきや、意外にもこれってブラックなネタ満載の毒気の効いたコメディだったのですね。けっこうな下ネタやグロネタが頻繁に出てきます。例えば、プレイボーイに扮した主人公が美女とシャワーを浴びようとするシーン。早く服を脱ごうと焦るものの、靴を履いたままズボンは脱げないことに気づいちゃうとこは思わず笑っちゃいました。そうかと思うと、今や認知症を患う母のために父が遺した靴を履いて三十年ぶりに夫婦水入らずのディナーを演出すると言う急に切ないエピソードを放り込んでくるのもいいセンスしてます。ただ残念だったのは、脚本の細部に「?」な部分が多いこと。特に主人公の隣人で、親友でもある床屋の存在。彼が非常に重要な秘密を隠していたことが終盤で明らかとなるのですが、肝心のその内容が容易に読める上にいまいち腑に落ちない。今まで主人公にこのことを秘密にしていた理由に全く説得力が感じられないんです。ここらへん、もっと工夫してほしかった。とはいえ、このノスタルジックな雰囲気(孤独な靴職人を演じたアダム・サンドラーがまさに嵌まり役!)も良かったし、ぼちぼち面白かったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2022-03-28 11:34:40)
14.  グッド・ボーイズ(2019) 《ネタバレ》 
現在、思春期真っ只中の12歳の男の子、マックス。近所の仲の良い友達二人と「ビーンバッグ」というグループを組み、ひたすらカードゲームとエロ話に明け暮れる冴えない毎日。ネットでエロ画像を検索してその生々しい内容にショックを受けたり、近所の高校生カップルを覗き見してるのを見つかって追いかけまわされたり…。そんな悶々とした日々を送っていたマックスはある日、ビッグ・ニュースを耳にする。なんと前から気になっていた女の子が明日の夜、クラスメイトたちとのパーティーでキス・ゲームに参加するというのだ。「大変だ!!憧れのあの子が、誰か他のヤツとキスしてしまうかもしれない!!」――。それを聞いて頭と何処かが爆発しそうになったマックスは、とにかく彼女の唇を守るためにビーンバッグのメンバーとともにパーティーへの参加を決意するのだった。でも、キスなんてどうやってしたらいいか分からない。勉強のために、お父さんの仕事用のドローンを使い、近所のヤリ〇ンで有名な女子高生の家を観察することを思いついたマックスは、さっそくビーンバッグのメンバーを集め、作戦を実行に移すのだった。だが、呆気なく反撃に遭った彼らは逆に彼女たちに弱みを握られてしまい……。思春期を迎えたばかりの男の子が、憧れの女の子とキスするために繰り広げる大冒険を下品なギャグ満載で描いた青春コメディ。天才子役として人気を集めるジェイコブ・トレンブレイ君が、そんな悶々少年を演じているということで今回鑑賞してみました。まあ全く期待していなかったのですが、意外や意外、なかなか面白いじゃないですか、これ!!子供にこんなことさせていいのかってくらい、お下品なネタがてんこ盛り。でも、それがいちいち笑えるのがナイスですね~~。少年たちが大人のおもちゃを手にあーだこーだ言うとこなんて思わず笑っちゃいましたわ。好きな子に渡すネックレスを忘れちゃったので、代わりにアナルビーズをプレゼントするシーンなんてサイコーでした。一番笑ったのが、キス・ゲームで隣のカップルがディープキスし終わった後によだれが糸引いてるのを見て、ドン引きしている黒人の男の子!こいつ、かなりいい味出してましたわ。と、お下品100%の内容かと思ったら、最後はまさかの切ないエピソードを放り込んできていい意味で裏切られました。少年から少しずつ大人の世界へと足を踏み入れた彼らは、それぞれ自分の居場所を見つけてゆく…。永遠だと思っていた自分たちの友情が、ちょっとずつすれ違っていくというラストはなんとも切ない。キレのいいギャグで大笑いさせて、最後はほろりとさせてくれる、いわばエロ版『スタンド・バイ・ミー』とも言うべき作品。なかなか楽しませていただきました。お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2021-09-06 20:27:17)(良:1票)
15.  グレタ GRETA 《ネタバレ》 
始まりは、電車の中で拾った小さなバッグだった――。NYの片隅で友人とともにルームシェアをしている若い女性、フランシス。レストランでウェイトレスをしながらそれなりに充実した毎日を過ごす彼女だったが、それでも一年前に病気で亡くなった母のことを未だ引きずっていた。そんなある日、彼女は電車の中に置き忘れられた小さなバッグを拾う。中にあった身分証を確かめてみると、持ち主はグレタという名の初老の女性。たまたま家が近所だったので、フランシスはバッグを返すために彼女の家を訪ねてみる。するとグレタは素直に喜んでくれ、お礼に一緒にお茶でもしないかと誘ってくるのだった。特に断る理由もなかったフランシスは、そのまま彼女の身の上話を聞くことに。愛する夫を亡くし、一人娘もパリへと留学して今はしがない独り暮らしだという彼女に、フランシスは思わず同情してしまう。犬を飼うよう勧めてみたり、一緒に食事をしてみたりと次第に距離を縮めてゆく二人。だが、フランシスは知らなかった。実はグレタは日常的に嘘をつき、しかも娘と同じ年頃の若い女に異常なまでの執着を示すサイコパスであることを……。都会で暮らす平凡な女の子が、偶然知り合った初老の女性に執拗なまでに付き纏われ恐怖のどん底へと叩き落とされる姿を描いたサイコ・スリラー。人気若手女優クロエ・グレース・モレッツとフランスのベテラン女優イザベル・ユペールの豪華共演ということで今回鑑賞してみました。監督は、この手のサスペンス映画を得意とするニール・ジョーダン。率直な感想を述べさせてもらうと、もう全く新味のない最初から最後まで既視感満載のベタベタな内容でしたね、これ。母親を亡くした若い女性が、同じく娘を亡くした女性にストーカーされ、挙句監禁されて強制的に娘代わりにさせられてしまうというお話。それ以上のものはなんにもありません。おまけに話のテンポが悪く、主人公が間抜けな行動を取り続けるので観ていて若干イライラしちゃいました。見所と言えば、やはりベテラン女優イザベル・ユペールの恐怖のストーカーおばさんっぷりかな。神経症資質なサイコパスを見事に演じ切っていて、さすがの貫禄。ショパンのレコードに合わせてダンスを踊りながら、クロエちゃんを痛めつけるさまはなかなか気持ち悪かった。チョンバされた小指の切断面に注射器を刺すシーンはさすがにやり過ぎ感あったけども(笑)。という訳で彼女の熱演に+1点って感じです、はい。
[DVD(字幕)] 5点(2021-06-15 23:05:38)
16.  グッド・シリアルキラー 《ネタバレ》 
あなたの毒親、殺します――。とある高校でスクールカウンセラーとして働くエバンは、来る日も来る日も様々な問題を抱えた生徒たちの悩みを聴いていた。家庭内暴力を繰り返す親や性的虐待を抑えられない父親、そんな理不尽でやり切れない話を聴き続けるうちに彼はある日、とある決断をするのだった。それはこの手でそんなろくでもない親たちに裁きを下すこと。生まれたばかりの我が子を抱え多少育児ノイローゼに陥っている妻を残し、エバンは夜な夜なそんな親たちを拉致監禁し、自らの手で天誅を下してゆく。だが、捜査を担当する刑事は、次第に彼へと疑いの目を向け始めて……。という、ワンアイデアのいかにもB級なそんな本作、あんまり期待せずに今回鑑賞してみました。なんですが、これがまあこちらの下がりに下がった期待をさらに下回る残念な出来の作品でありました。ストーリーなんてあってなきが如し、ただひたすら髭もじゃで不愛想なおっさんが人を殺して埋めるだけ。物語に深みもなければ意味もない、かといって「面白かったぁー」と思えるような娯楽性などもまったくなし。ただひたすら単調で退屈!なんだかニコラス・ウィンディング・レフン監督の作品をかなり劣化させたって感じですかね。「グッド・シリアルキラー・ファミリー」誕生!というような最後のオチに至っては、あまりにテキトー過ぎて怒り狂いそうなっちゃいました。観るだけ時間の無駄の凡作です、はい。
[DVD(字幕)] 3点(2021-05-06 01:05:22)
17.  グリンゴ 最強の悪運男 《ネタバレ》 
無責任で女好きな社長にはめられ、仕事も愛する妻も失う寸前の冴えないサラリーマン、ハロルド。そんな八方塞がりの自分の人生に一発逆転を図るため、彼はあるとっておきの方法を思いつく。それはメキシコ出張中にマフィアに拉致されたと見せかけ、多額の保険金をせしめようという偽装誘拐。意を決して計画を実行に移した彼だったが、そこにホンモノのマフィアも現れ、さらには社長が雇った殺し屋や麻薬をアメリカへと密輸しようという運び屋まで絡んできたからさあ大変。最強の悪運男、ハロルドの運命は?そんな冴えない中年サラリーマンのドタバタを描いたコメディタッチのクライム・ドラマ。シャーリーズ・セロンを筆頭に、ジョエル・エドガートンやアマンダ・セイフライドといった何気に豪華なキャスト陣に惹かれ今回鑑賞してみました。まあやりたいことは分かるんですよ、これ。デビュー当時のガイ・リッチー監督作のような、軽妙なタッチのスラップスティック劇。でも、残念ながら演出のキレやスピード感が圧倒的に足りていません。無駄に分かりにくいうえに最後までテンポの悪いストーリー展開に終始睡魔が……。それに魅力的な登場人物がほとんど居なかったのも致命的。華のある役者陣に引っ張られて最後まで観ていられましたが、さして面白くはなかったです。
[DVD(字幕)] 4点(2021-04-05 17:47:30)
18.  グッド・ライ いちばん優しい嘘 《ネタバレ》 
長びく内戦の影響により、難民キャンプで過酷な生活を余儀なくされていたスーダンの少年少女たち。先の見えない生活に希望を見失いかけていたある日、政府の救済処置によってアメリカへと移住することが決定する。それまでアフリカの狭いエリアしか知らなかった彼らが、いきなりボストンの大都会で暮らし始めることに――。今まで電話もスーパーマーケットもマクドナルドすら知らなかった彼らは、突然の豊かな生活に戸惑いを隠せない。それでも親切な支援者の協力により、住むところも仕事も見つけることが出来た彼らは、アメリカでの生活に少しずつ馴染んでゆく。だが、長く続いた内戦の苦しい記憶は簡単には彼らを解放してくれない。そう、彼らには自分たちの命を守るために自らを犠牲にして兵士に囚われた仲間の存在があったからだ。そんな彼らが過去を乗り越えるために吐いた〝優しい嘘〟とは?実話を基に、そんな過酷な境遇で育った少年少女たちの人生を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。冒頭から展開される、兵士たちによって両親や兄弟を殺された彼らの苦難に満ちた半生にはただただ圧倒されるばかり。その地で平穏に生きていただけなのに、たったそれだけで銃を向けられ愛する者を殺されてしまった子供たち。人間の愚かさに、改めて戦慄させられてしまいます。それでも前を向き、ただ「生きていたい」という切実な想いだけを頼りに希望を捨てなかった彼らの姿には心揺さぶられるものがあります。ただ、肝心のアメリカに辿り着いてからの後半部分には僕は残念ながらそこまで嵌まれませんでした。実話を基にしたから仕方ないのかも知れませんが、なんとも地味。事実を改竄しろとまでは言いませんが、それでももう少しドラマティックに脚色しても良かったのでは。それに主要登場人物たち誰もが紋切り方で魅力に乏しいのも残念。もう少しそれぞれのキャラクターに個性を与えて欲しかった。社会の片隅で声にならない悲鳴をあげている社会的弱者たちに寄り添って映画を創ろうという監督のその思いには好感が持てるだけに、なんとも惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2020-12-09 04:13:13)
19.  黒い司法 0%からの奇跡
1990年代、警察の杜撰な捜査によって死刑判決を受けた黒人男性の冤罪を晴らすため、執念の活動を続けた若手弁護士を実話を基に描いた法廷劇。監督は、生き辛さを抱えた社会的マイノリティを優しい視線でもって見つめ続ける新鋭デスティン・ダニエル・クレットン。まあ観る前からおおよそ予想はついてましたが、開始10分で「あぁ、またこの感じの内容かー」とその既視感満載なお話に少々げんなり。具体的に述べさせてもらうと、①舞台はまだ黒人への偏見が色濃く残るアメリカ南部で、②警察の杜撰な捜査で冤罪判決を受けた黒人男性のために、③都会のエリート大学を卒業した理想に燃える若手弁護士が、④白人たちの執拗な嫌がらせにも屈せず、⑤無罪を勝ち取るために頑張るというお話。過去に何度も何度も制作されてきたこのパターンをどのような角度で映画化するかがその監督の腕の見せ所だろうけど、本作は真っ向勝負の直球ストレートで挑んでおります。でも、ちゃんと見事に勝利しておりました。ベタベタなお話で結末だっておおよそ予測がつくものなのに、最後まで観客をぐいぐい引き込むこの監督の演出力の高さは相当なもの。なにより特徴的なのは、物語の中盤で死刑囚の執行シーンをかなり詳細に描いているところですね。このシーンのおかげで物語がぐっと引き締まり、最後まで全く気が抜けません。偏見に満ちた白人たちの嫌らしさもしっかりと描いており、特に悪役である検事の如何にも俗物なところもなかなか巧い。唯一惜しいのは、ブリー・ラーソン演じる助手がいまいち活用できていなかったことくらい。総じてこの監督の才能は確かなものだと思います。最初にげんなりしたとか言ってごめんちゃい(笑)。ラスト、エンドロールの合間にさらりと説明されたところによると、主人公の隣にいた死刑囚もまた冤罪で後に無罪となって釈放されたとのこと。ここで話を戻すと、最初に何度も観たようなお話だと書きましたが、そのほとんどは実話を基にしたものだったということを忘れてはなりません。つまり、このような無実の罪で投獄された黒人がいかに多いかということです。アメリカの司法制度がどれだけいいかげんなものだったかが分かり、なんとも空恐ろしい気分になります。エンタメ映画として充分な面白さを有しながら、そんな社会問題についても深く考えさせられる、なかなか完成度の高い秀作でありました。8点!
[DVD(字幕)] 8点(2020-10-14 14:01:47)
20.  クロール -凶暴領域- 《ネタバレ》 
アメリカフロリダ州に、史上最大規模のハリケーンが襲来!現地の人々に避難勧告が出される中、連絡の取れなくなった父親を捜して当地へと訪れた娘のヘイリー。轟々と吹き荒れる嵐の中で、ヘイリーは昔住んでた家で床下に倒れている父を発見する。どうやら売りに出した家のことが心配で様子を見に来てしまったらしい。父を救うため、すぐさまヘイリーは増水した川の影響で徐々に水嵩が増す床下へと下りるのだった。だが、彼女はまだ知らない。その水の中には凶悪な殺人ワニたちがうじゃうじゃ蠢いていることを――。間一髪で床下の鉄パイプの隙間へと逃げ込んだヘイリー親子。少しでも身を乗り出せば、瞬く間にワニたちの餌になることは明らか。だからと言ってこのままここに居れば、いずれは溺れ死んでしまう。果たして、彼女たちは再び無事に日の光を見ることは出来るのか?激しい嵐の中で孤立した親子が、凶悪なワニたちを相手に決死の覚悟でサバイブする姿を描いたパニック・ムービー。明らかに低予算で撮られただろう、そんないかにもなB級映画なのですが、この手の作品のポイントはちゃんと押さえられており、最後までぼちぼち楽しんで観ることが出来ました。何よりワニたちの造形がけっこうリアルで、しかもちゃんと?主人公がパクリパクリと噛みつかれ全身血みどろになるとこなんて容赦なくて良い。ここらへん、かつて『ピラニア』と言う、血みどろジェットコースターおバカムービーの快作を撮ったアレクサンドル・アジャらしいですね。死亡フラグ立ちまくりのあのコソ泥三人組が案の定、血みどろな最期を迎えるとこもナイスでした。ずっと一軒の家の中だけでほぼ物語が完結しちゃうというスケールの小っちゃさはご愛敬ですけど(笑)。ただ、主人公を助けに来た友達の警察官まで犠牲になっちゃうのはやり過ぎかな。それに、内容が最後まであまりに直球過ぎるのもちょっと物足りなかったですかね。もう少し、この作品ならではと言う一捻りが欲しかったところ。とはいえ、こういう肩のこらないB級パニック・ムービーとしては充分及第点。真夏の熱帯夜にビール片手に楽しむ分にはうってつけの映画でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-02 16:30:29)
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