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1.  グレン・ミラー物語 《ネタバレ》 
“The Glenn Miller Story”邦題ままですが、固有名詞の人名の前に、冠詞の“The”が付いてますね。なので『“あの”グレン・ミラーの物語』みたいな意味合いかと思います。  曲のタイトルは分からなくても、聞けば「あぁ、この曲!」ってなる名曲の数々が、誕生のキッカケとともに軽快に流れてきます。 そしてグレンとヘレンの恋愛模様…というか、ほぼほぼグレンが強引にヘレンを引きずり込むような強引さでグイグイ進む2人の関係。 更にルイ・アームストロングだけでなく、ジーン・クルーパやベン・ポラック、アーヴェル・ショウといった当時のジャズ界の巨匠が本人役でドカドカ出てくる贅沢な映画。ジャズの知識が殆ど無いので知らなかったけど、なるほど、ジャズ版ブルース・ブラザースのような映画でしょうか。  没後10年、バンドマン・グレンの功績と、ヘレンとの交際・生活を映画というカタチで残す手段として、とてもスタンダードな創りです。当時彼の死因・事故原因は不明だったので、不明のまま(生々しい事故再現も避けた)にするのも正解に思います。きっと、誇張された美談・トラブルも入れていないと思うので、淡々とした印象はありますが、この映画の目的として、グレンの家族や友人が集まって、彼との思い出を振り返る映像作品にすることだったと思うので、良い思い出や、苦労を乗り越えた話を集めて、綺麗に一本の映画にまとまっています。
[DVD(字幕)] 6点(2024-03-13 08:24:07)
2.  グッドフェローズ 《ネタバレ》 
“GoodFellas”『気の置けない奴ら』。日本のヤクザ界の『兄弟』っぽい意味でしょうか?男同士の友達に使われるようです。 マフィアが日ごろ遊んで、好き放題やって暮らしている訳ではなく、きちんと仕事をする対価として、一つ格上の上質な暮らしをしていることがよく分かる。上下関係やルールはもちろんあるし、イタリア系かそうでないかで出世出来るかも決まる。ヘンリーの立場はマフィアの中でもチンピラの部類だと思うけど、人気のレストランで予約なしに席を作ってもらえる立場というのは相当優越感を感じられそう。  ファミリー内での付き合いが多くて、やれ結婚式だのお祝いだのとパーティの連続。これって夏のBBQとか冬のスキー泊とか強制参加させられる、時間外の付き合いを強要するブラックな会社みたいで私には無理。インドア派の私はお家帰ってボーッとしていたいって思ってしまいます。 そして家族同然の付き合いをしていながら、殺し殺されも日常に組み込まれている異常さ。警察の腐敗ぶりも、彼らが増長する原因になってましたね。  この映画といえばジョー・ペシ演じるトミー。この映画の印象がとても強くて、私の中ではジョー・ペシは、どこでキレるか解らない怖い男。トミーは仲間目線でも一般人目線でも、どの立場で鑑賞しても怖い。この映画の血生臭さはトミー絡みがほとんど。バッツ殺しが最後まで付きまとうのが、またマフィアの世界の怖いところに思えました。  だけどトミーのアクが強すぎて、ヘンリーは板挟み状態で右往左往するサラリーマンのようにも。これで真面目な性格なら(マフィアに真面目もクソもないが)良いけど、別宅に女囲ってるし、ボスに禁止されている麻薬に手を出すし、結局は自分が一番なところがクズらしい。で最後は証人保護プログラム。まるで借金して遊ぶだけ遊んで自己破産するダメ人間。エンディングのシド・ヴィシャス版マイウェイが印象深い。
[ビデオ(字幕)] 6点(2024-03-11 23:01:53)
3.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》 
“Crash”『衝突』。多数の登場人物が、さっきまで自分とは無関係だった人と衝突することで、様々な影響を受ける群像劇。 こういう、誰かの行いが、他の誰かに影響を与え、連鎖していく映画ってとても好きです。点と点がどんどん結びついていく快楽とでも言うんでしょうか?そして人間は誰しも多面性を持っていて、善と悪だけでは別け切らない部分も、うまく表現できていたと思います。 この一本の映画で、登場人物の連鎖が綺麗にまとまることはなく、劇中で全てが完結していないのも、たくさんの人物の中から一部を抜粋しただけな感じがよく出ていました。  この映画を観て思ったのは、アメリカでは他人を人種で区別することでしょうか。黒人、アラブ系、メキシコ人、アジア人。怒りをぶつける時は、本人には変えようのない人種の部分を攻撃する。まぁ、日本でも職業とか学歴とかでマウント取るような人、居ますものね。公開された時代の関係もあるけど、銃砲店でのファハドへの暴言は酷い。ダニエルの入れ墨を見たジーンの反応は、過剰ではあるけど気持ちはわかるかな。  魔法のマントは2回観て2回とも泣けました。ファハドには奇跡。奇跡には理由があるけど、それを言わないドリ。ドリが銃砲店のあの短い時間で、数ある弾丸の中から“あの”赤い箱を選んだのは、彼女の職業が深く関係していたことに、2回目で気が付きました。 トムがピーターを撃つ。普段善人なトムの裏の顔とも言えるけど、善人だからこそ、ああするしか無かったとも言えるなぁって。誰も見てないんだから正当防衛になるよう、ピーターを路上強盗に仕立てる小細工とかも出来たろうに。 次もう一度観たら、また新たな気付きがあるかもしれません。
[DVD(字幕)] 8点(2024-03-11 20:31:42)
4.  クレイマー、クレイマー 《ネタバレ》 
“Kramer vs. Kramer”『原告クレイマー氏と被告クレイマー氏の裁判』。むかーし観た時は、夫婦の離婚ばかりに目が行っていたけど、その根底に女性の社会進出があったのね。夫サイドで話が進むから、いきなり離婚を切り出されたテッドが、今までやったことのなかったフレンチトースト作るのに悪戦苦闘する様子が、なんともコミカルに観えたっけ。自宅に連れ込んだ会社の同僚が素っ裸でビリーに挨拶するとこなんて、笑えるような、困ってしまうような…軽快なテーマソングも相まって、重いテーマだけどスルスル観られます。 今風に言うと、仕事と育児の両立がどれだけ大変かをシュミレートして観せる映画なんだけど、当時は“女の仕事(家事)を男がするのがどれだけ大変か”に重きを置いているように思えます。『女性が社会進出するっていうことは、男性が女性の仕事をすることですよ。』と。新規事業を任されるくらい、会社に期待されていたテッドが、育児が原因で結果を出せず、あっさりクビになるところも怖い。  映画を見る限り、ジョアンナが耐えられなかった部分、夫婦生活におけるテッドの落ち度が描かれません。突然、ビリーを置き去りに出ていって、ずっと音沙汰もなかったのに、今度は一方的にビリーの親権を取り戻そうと裁判を起こす。何とも身勝手に観えますが、テッド視点だからというのと、これほどの行動を起こさないと、女性からの離婚は難しい時代だったのかもしれません。 別居から離婚中の1年半ほどの間に、ジョアンナがどういう生活をしているかの描写はありませんが、彼氏が出来て、かなりの高収入で働いています。裁判の結果も『そうなるよな…』って思えます。 最後のフレンチトーストの手際の良さが印象的でした。私は本作を30年くらい前に観てたんですが、結末を思い違いしていました。判決通りジョアンナがビリーを引き取ったものとばかり… なので今回、ビリーの気持ちも理解できて『母親を失って、今度は父親と家を失うのか』と可哀想に思っていたところ、ジョアンナの選択。勝負に勝って試合に負ける。結末こうなってたんだと納得すると共に、自分の記憶のあやふやさに苦笑い。  この映画の主題は、離婚のゴタゴタより、当時の女性の社会進出が進んだ結果のシミュレートを、女性に観せるのが目的の映画なんじゃないか?と思いました。男の方が出て行き、残された女が子供を抱えて苦労する話は、いつの時代もあったと思います。今回は逆で、女が出て行きます。 結果的にジョアンナ・クレイマーは、自由を手にする代わり、クレイマー姓で積み重ねた数年間の全てを失います。突然育児を押し付けられたテッドは、最初は悪戦苦闘するものの、最後は手際よくフレンチトーストを焼きます。つまり『大変だけど男にも育児は出来るんだよ』と。乱暴な言い方をすると『離婚したら女は全部を失うよ?それでも良いの?』と。当時のフェミニストは、この映画をどう観たんでしょうか?
[ビデオ(字幕)] 7点(2024-03-11 16:59:17)
5.  クリムゾン・タイド 《ネタバレ》 
“Crimson Tide”『深紅色の潮流』。うん、解るようで解らない。アラバマ大のフットボールチームを中心とした、スポーツチームの愛称なんだそうな。うん、舞台はUSS.アラバマだけど、なんでこの映画のタイトルにしたのか、解るようで解らない。 潜水艦映画に良い作品は多いですが、この映画も例に漏れずです。ゴチャゴチャ思ったこと書いてるけど、面白いです。 いよいよ核戦争か?という緊張感の中、通信不能に陥って、艦内を二分する争いに…劇中、ロシアのクーデターも、本国からの指令も添え物になり、外界から孤立した艦内では、ベテラン艦長とエリート副長の判断能力の戦いとなっていく。  艦内の緊張感についつい見落としがちだけど、叛乱軍のアクラ型原潜は何してたんだ?アラバマは通信障害を抱えていたけど、通常なら魚雷攻撃される以前に、核攻撃中止命令を受信していたはず。同時刻アクラ型にも、叛乱はロシア軍により鎮圧されたって情報は入っていたと思うんだけど?なんでアラバマ撃ったん?そっちも通信障害?まぁ、潜水艦映画は地味になりがちだから、ほんのちょっぴり派手さの華を添えたんだろうね。 ※もしかしたらクーデター失敗後、未だに任務を遂行、核の発射準備をしているアラバマをヤバいと思った米ロ両国首脳が、近くに居たアクラ型にアラバマ撃沈を命じた可能性も…?  それより何より驚いたのは、食事中の原爆の話題。「広島と長崎に原爆を落としたのは間違いか否か?」って。上手く答えを濁すハンター副長と、ズバッと言うラムジー艦長。当時の日本軍には逆転勝利の目はない状態。にも関わらず、戦争が長引いてアメリカの若者がじわじわ殺されるのを防ぐために、非戦闘員を含め、一瞬で21万人も殺した作戦。文明人であるなら、それが正解だったとは思ってほしくない。 叛乱軍ラドチェンコの核攻撃対象は、アメリカ本土だけでなく日本も入っているって、もう何なの?アメリカ人もロシア人も。どんだけ日本に核落としたいの?…とかって映画の面白さと関係ないところが気になってしまう今日このごろ。 世界を滅ぼす能力がある艦なら、ワンちゃん乗せるスペースあるなら、通信手段の2つや3つ、余分に積んどこうよ…頼むわもう…
[地上波(吹替)] 6点(2024-03-04 22:27:00)
6.  クイック&デッド 《ネタバレ》 
“The Quick and the Dead”即死…かと思いきや『生者と死者』って古い言葉の使い方でした。 西部劇の決闘を、1対1の生き残りトーナメント形式(正しくは何て言うんだろう?)にした本作。ちょうど世界的に格闘ゲームが流行ってた時代、決闘開始前にそれぞれの個性がしっかり紹介されてるから、どっちが勝つのかワクワクして観られました。 そして“女ガンマンが主役のウェスタンもの”というのも他に思いつく作品がなく、かなり印象深い映画です。 あんな砂だらけの荒野なのに、シャロン・ストーンがピシッと綺麗。どうしてドレスなんか持ってるんだ?なんで日焼けしないの?なんて細かい事は言いっこなしです  何より主演男優賞俳優3人は豪華。しかもクロウもディカプリオもまだ大ブレイク前。なのに作品のキーパーソンとして起用しているのは、サム・ライミ監督の先見の明かもしれません。 日曜洋画劇場か何かで観た時は、漫画チックな演出と、どっちが勝つのか?どうやって勝つのか?って、結構ワクワクして観た記憶があります。今回2度目で、筋書きがある程度記憶にあったため、安心して観ていられました。言い方を変えると初見時が一番楽しめる映画とも。  『対戦して生き残ったほうが勝ち』。いきなり第2試合からルール変更。結構美味しいコンテンツでシリーズ化も狙えたろうに、これじゃ続編を創れません。登場人物死んじゃうから。無理して創るとハイランダーみたいになったでしょう。逆に言えば、思い切りよく、この一作で出すモノ全部出し切ったとも言えます。 シャロン・ストーンの勇ましさとチラ見せの美学。脇を固める俳優陣の豪華さ。安直だけど他に思いつかない設定。スピーディーな展開。 やることのない休日に観ると、良い暇つぶしになると思います。こういう映画を創るのも才能ですよね。
[地上波(吹替)] 6点(2024-02-24 12:03:25)
7.  グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版 《ネタバレ》 
“Le Grand bleu”『雄大な青』。日本では公開当時“Great ”とし、アメリカでは“BIG”にしてます。グレート・ブルー当時大流行しましたね。それが数年後グラン・ブルーに名を変えてリバイバル上映。私はどちらもきちんと観ること無く現在に至りましたが、ジャック・マイヨールとかエンゾとかって名前は知ってるくらい、知名度の高い映画です。 父親の事故のシリアスさから生真面目な映画かと思いきや、コメディ要素も入っていて、リュック・ベッソンらしいなって思いました。 振り返ると『あ、この子ジャン・レノの子供時代だな』って一発で分るのも面白い。ジャン・レノってどの映画でもジャン・レノですね。  ジャイアンとのび太の友情スポ根ものかとも思いましたが、それ以上に海への愛が異常なほど強いですね。登山家とかもそうですが、命を懸けてまで未踏の領域を目指す気持ちって、どこから産まれるのか? イルカへの愛も強く感じます。イルカと心を通わせられるジャック。イルカを家族として写真を持ち歩き、イルカに似た女性(言われてみれば似てるかって思いました)を好きになる。ジョアンナとの初めての夜、寝てる彼女放っぽって一晩中イルカと遊ぶなんて『そこまで・・・』って思ってしまいます。余談だけど日本チームが滑稽に描かれてるのは、やっぱクジラとか食べるからかなぁ?  ジャックの海愛・イルカ愛は、人魚姫の逆バージョンのようにも思えますが、父親が危機たときに、いち早く状況を察知したのも、彼にはソナーのような能力があるんでしょうか。安直な言い方をすると『丘で産まれたイルカの物語』ですかね。 子供の頃の海の夢は、命懸けで浮上する怖い夢に見えましたが、エンゾを見送った後は夢の中のほうが居心地が良さそうです。何時からか(最初からか)、「海底は怖い、上がってくる理由が見つからないから」と。そんな感覚は私の理解を超えますが、この映画を観ていると、何となくですがその気持が(私には理解できないってことが)わかるような、そんな気がします。最後ジョアンナの話も聞こえてるのかどうか…イルカに誘われて向かう深海は、私には真っ暗闇に観えましたが、ジャックにはきっと雄大な青に映っているんでしょう。
[DVD(字幕)] 6点(2024-02-24 11:00:08)
8.  グラディエーター 《ネタバレ》 
“Gladiator”『剣闘士』。ですね。 巨大な闘技場で剣闘士が殺し合う。これもう、少年ジャンプの格闘漫画ですよね。私の世代はみんな大好きだと思います。主人公が普通の奴隷でなく立派な過去があり、暴君に家族を殺された復讐劇という勧善懲悪もの。戦いの舞台も、地方の小闘技場から中央の巨大コロッセオへ。自分や仲間もどんどんキラキラ装飾が増えていく。敵の甲冑も不気味なのから強そうなのまで。そんで戦車だ、寅だ、伝説の剣闘士だとグレードアップしていくのも、まさにジャンプの王道展開。優れた娯楽性です。  CGで表現の自由度が大幅に上がった、今からおよそ四半世紀前。本作以降、古代ローマ時代(とその近辺)を舞台とした映画が幾つか制作されていますが、この映画こそが知名度・完成度共にいちばん優れていると思います。 この年代辺りを頂点に、以降、猫も杓子もCGで創られるようになっていきます。それはそれでお金が掛かるんだろうけど、どんなに凄い映像でも『あ、これCG表現だな』って解ると、途端に安っぽく感じてしまいます。 本作ではコロッセオやローマ都市の俯瞰図といった、実物で再現できないものをCGで補っているのが解ります。そして昔ながらの実際に作られたセットに、豪華な衣装。本物の馬車に戦車に装飾品やら小物やら。つまり、メチャクチャお金が掛かってるのが感じ取れます。映画観るのにどうせお金を払うなら、CGのアニメじゃなく、ゴージャスな本物を観たいもの。本作はそんな欲求を満たしてくれます。  マキシマス将軍が家族の復讐を果たし、悪のコモドゥスを倒して、ローマに一筋の平和が訪れ、仲間の奴隷は故郷へと帰っていく。シンプルで良いですねぇ。ストーリーは創作部分がたっぷりで、本作を史実と比べるのは無意味だと感じます。本作をキッカケにイメージを膨らませて、史実に興味を持つのが正しい見方でしょうね。でもこの時代の人の名前って、長くてみんな似てて、難しいなぁ。
[DVD(字幕)] 8点(2024-02-18 16:19:37)
9.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 
これは戦国時代を舞台とした怪談(オカルト・ホラー)映画じゃないでしょうか。この映画から強く感じたのは“恐怖演出の巧みさ”でした。寂しい荒野に建つ『蜘蛛巣城跡』の木碑、野太い声の男性合唱が不気味。木碑が霧に覆われ、巨大な城に変わることで、観ている者を戦国時代に導きます。『乱』でも圧巻だった重さを感じさせる城。騎馬武者が駆ける力強さ。足軽の走る音。黒澤監督の描く戦国時代表現は、今観ても臨場感がありますね。 冒頭部分の合唱は、鷲津と三木が蜘蛛手の森で迷った際の、老婆の枯れた声の独唱と対になっています。予言を残し、忽然と姿を消す老婆と小屋から、不気味な怪談話へと誘導されていきます。藤巻が自害した“開かずの間”の、血の跡の生々しさ。時鳥の鳴き声。浅芽の歩く衣擦れの音。  この、映画館(私は部屋だけど)から戦国時代へ、更に怪談の世界へと誘導する演出が見事です。 物語を極力単純にする(それでいて飽きさせない)ことで、観るものに余計なことを考えさせない。=現実に引き戻させない。黒澤監督は映画を観るものを、自然とその世界に入り込ませる技術に秀でていると感じます。  終盤、戦に備える両陣営の豪華さと、鷲津の演説に盛り上がる戦演出。鳥の大群が場内に入る不吉な空気と、気が狂った浅芽の怪演出。 最後は娯楽映画として、きちんと驚かせてくれました。有名な無数の矢衾の画は圧巻です。 鷲津の最後は、戦のいち場面でありながら、観るものに恐怖を感じさせ、蜘蛛手の森が動くのは、鷲津の目には怪(道理がない話)でありながら…。凄い。  本作では『“戯曲”に“能”を取り入れる』試みがされていて、開かずの間で密談する場面、鷲津と浅芽の、能面のような、まばたきをしない演出が映えます。 後年の黒澤映画では、役者の顔に寄らない、いわゆる“引き”の画が多くなるため、何か『芸術作品を観せられている』感が強くなってしまったように感じたけど、白黒映画時代の黒澤作品は“娯楽映画”として、単純に楽しめます。 今回DVDで鑑賞。字幕があることで台詞の理解が補強されました。
[DVD(邦画)] 9点(2024-02-17 11:44:01)
10.  クレージーモンキー/笑拳 《ネタバレ》 
“The Fearless Hyena(笑拳怪招)”『恐れ知らずのハイエナ(笑う拳が不思議なことを招くよ)』。制作順で行けば、翌年のヤングマスターの一作まえ。ジャッキーのカンフーシリーズ後半の作品です。ジャッキーが配給会社やロー・ウェイと、作品の方向性の違いで揉めていた時期だと考えると、タイトルに『笑』は絶対入れたかったんでしょうね。  そして私にとってはジャッキー映画デビュー作。最後まで観せてもらえたことから、土曜日(次の日学校休み)のゴールデン洋画劇場だったんだと思います。コミカルなジャッキーの表情、仕草。カンフーの不思議な動きに、一発で魅了されました。私だけでなくクラスの殆どの人にとって初ジャッキーで、学校ではジャッキーの話題でもちきりでした。 初めて観た当時、まだ子供だった私は、八本足は作中の飴細工みたく本当に8本足がある妖怪か何かで、ジャッキーは鉄の爪率いる悪の組織から八本足を守る、正義のお兄ちゃんなんだと思ってました。  ジャッキー・ブームの立役者の本作ですが、拳法のゴッコ遊びでは、笑拳はイマイチ人気が無かったようです。動きにインパクトのある酔拳や蛇拳に比べ、どう闘って良いか解らない拳法だからでしょうか?そう言えばパッケージのあの笑った構えと、泣きながら抱きついてくるカッコ悪い技くらいしか覚えてません。そもそも笑拳って何?って話ですよ。爺ちゃんや八本足が、ニヤニヤ笑ったり拗ねて抱きついたりって、ちょっと気持ち悪い。  笑拳=ジャッキーが創ったデタラメな拳法…ではなくて、洪家鐵線拳がベースだそうです。鐵線拳は、カンフー・ハッスルの、腕に鉄輪をはめたおじさんの技です。実際、鐵線拳に、腰を落として両手を広げて「アババババァ」って声を出して笑う、あの構えがありました。 前作の酔拳がウケた大きな要因に“格闘技とは思えない珍妙な動き”があったと思います。なので、2匹目のドジョウじゃないけど、鐵線拳をコミカルに大幅アレンジして、喜怒哀楽の構えという、珍妙な拳法にしたんでしょう。設定的には対鉄の爪に特化した特殊拳法ってところでしょうか? 久しぶりに観たDVDはブロードウェイ版だそうで、石丸博也さんでなく山野井仁さんでした。 でも思ったよりしっくりしてたわ~~ ハーハッ!クレイジ-マーンキー♪
[地上波(吹替)] 6点(2024-02-06 21:33:10)
11.  グランド・ホテル 《ネタバレ》 
“Grand Hotel”とは、欧米において、その地域の最上級ホテルを指す…みたいです。日本では最上級=グランドとは限らないけど、まぁ、その地域の『格が高めなホテル』には違いなさそうです。 主要登場人物の5人は、たまたま同じ日々をこのホテルで過ごし、その後の人生が変わってゆく。今でこそもっともっと複雑な人間関係が絡む映画も出来ているが、90年以上も昔の映画だけにシンプル。当時斬新な作品として世に登場したこの群像劇は、今の目では目新しさはあまり感じられないけれど、それは後年、色んな作品で散々弄り倒さ(パクら)れたスタイルだからだろう。  この映画のキモとなるところは、登場したときには思いもしなかったカタチで、ホテルを後にするところ。そして全員がハッピーエンドじゃないところ。グルジンスカヤの希望からの絶望は描かれることがないけど、真相や結末はホテルを出てから、エンディングのその先の話となる。 私はこの映画のような格式高いホテルに連泊したことがないので解らないけど、泊まり客同士で、あんなに交流を持つものなんだろうか? みんな富裕層なので、同族意識のようなものがあるのだろうか? 温泉大浴場にて ??「こんにちわ!」私「あ、こんにちゎ…」 ??「地元の方ですか?」私「え?はぁ…まぁ…へへへ」 ??「私、大阪から来たんですよぉ」私「え?あ。へ、へえぇ~~・・・おおさか・・・」 大阪人「・・・」私「・・・」 大阪人「さって、先に上がりますね~じゃ!」私「あ、どうも・・・」 う~ん…ここ10年でも挨拶程度しか記憶がない。私が人見知りすぎるのかな?…恐るべし富裕層のコミュ力。  そんな私からすると、やはり庶民の代表のようなクリンゲラインが共感を得やすかった。死ぬ前の豪遊。クリンゲライン目線で、今まで見上げるだけだった富裕層と同じ目線で同じ景色を観て、ゲームや酒に興じる。その先に待つ第二の人生。 彼の寿命が伸びるとは思えないけど、残りの人生に良い変化をもたらせた一人だろう。 じゃあ、クリンゲラインが手に入れたものって?グルジンスカヤが一転して希望に溢れた理由は? 人生の価値の有る無しを感じる基準って、結局“金”と“異性”なのかなぁ…?いやあと“時間”も大事。絶対。
[DVD(字幕)] 6点(2024-01-19 22:29:59)
12.  クライマーズ・ハイ(2008) 《ネタバレ》 
歴史に残る大事故を地元新聞社の中から観る。当時の空気、あの時の夏の暑さを追体験する作品としてとても良く出来ていて、グイグイ引き込まれ、最後まで飽きることなく観られました。 日航機墜落事故は“夏休みの終わりの方の大事件”として覚えてます。多くの人とともに坂本九が亡くなったこと。生存者がヘリに釣り上げられる映像のインパクト。垂直尾翼の無い123便の写真。大人が読む週刊誌には生々しい現場の写真が多数載っていたとか。 ネットのない時代、いわゆるスクープ写真の載った雑誌が売れた時代。当時の報道の過熱ぶりが本作からも感じられました。  でも本作のメインは墜落事故自体ではなく、事故を取材する新聞社の内側。劇中何度もでる“大久保・連赤”は14年も前の事件で、社内上層部にはいわゆる当時の“レジェンド”たちがデカい顔をしている。等々力が若手に“読者は記者の姿を見ている”ことを延々と語っている、あの面倒くさい空気。そんなの良いから無線機入れろよって言えない環境。気に触った一言をいつまでも引っ張って設けた宴席、土下座の蒸し返し。昭和っぽい暑苦しさが良く出てました。 事故自体の経緯を俯瞰して観せてくれる作品ではなく、あくまで記者目線で事件を追う。私は事故の全体像を当時の記憶で補完出来たけど、若い人には説明不足に思えるかもしれない。『大統領の陰謀』もそんな創りだったなぁ。あっちは基礎知識がないからチンプンカンプンだったわ。 佐山の「…出来すぎじゃないですか?」から抜きネタ不掲載の流れ。悠木の信念「チェック、ダブルチェック」の結果として不掲載は納得だけど、社長じゃないけど恥の上塗りから辞表。乗客の手記でおしまいって、そこから先描かないんだ。最後のテロップ、隔壁じゃないなら何なのか、何を隠してるのかも、匂わすだけでも知りたいところだけど…  息子から「僕のかわりに」と渡される石。現代パートの悠木が大事に持っている石。悠木が空港で子供と別れてからの事故。乗客名簿の子供の名前で手が止まるとこ。なんだろうこの流れ。『子供が死んだのか?』って思って観てしまった。私のようなポンコツには説明が足りなかったか、ミスリードにハマったのか解らないけど、ストーリーに集中できなくなってしまった。 集中できないもう一つに要因が、話の流れと無関係に挿入される現代パートの登山部分。最後にまとめて入れても良かったと思うし、何なら無くても良かった。息子は事故と無関係だし、息子のことは最初と最後しか出てこない。一緒に山を登るのが安西の息子というのも説明不足に思える。 あと社長のセクハラと安西の病状。悠木の母親の話も、中途半端に掘り下げる必要性もね。社長が悠木を犬として扱っている描写、佐山に悠木の陰口を漏らすとことか、145分も尺使って書ききるつもりも無いなら、入れなくても良かったかも。 むしろ日航機事故に特化した映画にしたほうが良かったんじゃないかなぁ。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-01-03 11:52:05)
13.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
“Gran Torino”『フォード・トリノの一部車種の愛称』。日本だとスカイラインの、GT-Rじゃなくジャパンとか鉄仮面だと思う。 ウォルトはアメリカの輝かしい時代を生きた世代だ。'50年代に青春を過ごし、朝鮮戦争で戦ったのちフォードの工場で働き、愛する奥さんと二人の息子。郊外のニュータウンに一戸建てを持った男の余生、成れの果て。 2000年代、アメリカは様変わりしていた。ニュータウンは寂れて老朽化し、残っているのは老人とヨーロッパの移民系。金のある白人はもっと利便性の良い地域に移り住み、代わりに入ってくるのはアジア人。若者は移民や黒人のギャング。奥さんに先立たれ、息子はトヨタに勤めていて、孫はみんな馬鹿。  当時イーストウッドは78歳。いつ死んでもおかしくない年齢の男から観たアメリカの小さな街。あの街はアメリカの縮図。ウォルトは決して裕福ではない。広いとは言えない建売りの家をピカピカにして、小さな庭の芝を刈り、欠かさず国旗を掲揚している。グラン・トリノも当時大人気のマッスルカーってほどではなく、燃費の悪い中型のアメ車。ウォルトはアメリカの中流家庭の、プライドの塊のような男。  また'50年代の白人文化を過ごしてきた世代からの警告のカタチも取っている。白人中心のアメリカ社会も、アメリカ中心の世界も、今後更に変わっていく。 奇しくも公開年に起きたのが、サブプライム・ローン問題を起点としたリーマン・ショック。今の時代のウォルトのような中流以下の住宅ローン債務が焼き付いて、大手銀行が破綻するまでのダメージに発展し、アメリカ経済がどん底に落ちていった最中の公開。  この街の若い白人は、スーの友達のようなナヨナヨした白人しかいない。移民たちを受け入れて行くしかない現実がある以上、どんな人達と共に生きていくかを考えなくてはいけない。世界の警察だったアメリカは、他民族に銃を向けるのではなく、他の方法で解決をしなければいけない。 ギャングと戦う決意をしたウォルトは、白人の誇り高いスピリットは神父に残し、アメリカの輝かしいプライド(グラン・トリノ)はタオに残した。 最後ウォルトの手に残ったのはジッポーライター。これもまた、アメリカが世界に誇った古き良きアメリカ製品の象徴であり、消えゆくタバコ文化の象徴。
[DVD(字幕)] 8点(2023-12-23 11:24:57)
14.  九龍の眼/クーロンズ・アイ 《ネタバレ》 
“警察故事 續集”『警察物語 続編』。え待って九龍は?九龍城が舞台でないの?これ?最後まで九龍城砦いつ出てくるんだろう?って期待してしまったよ。前作の『国際警察』ってタイトルのいい加減さはwikiで見たけど、これもかい。エンディングの歌が『英雄故事』だったので、今回観たのは日本公開版だった模様。  出る車出る車ほぼ三菱の自動車。警察も悪党も一般人も、トラックもワゴンもセダンもハッチバックも三菱とことん感謝祭。メインスポンサーだからだけど、当時の香港にきらめくシチズン、富士フィルムのネオン。キヤノンのカメラ、ソニーのオーディオ。日本企業が元気で、良いものをどんどん取り入れる香港の元気さが溢れてます。いまのスマホの時代に、地球の裏側のニュースを即時に知ることよりも、日本製品があふれる当時の映像の方が、世界との距離が近くに感じられる気がします。  前作の直後から始まるストーリーで、チェン(チャン?)と警部と署長のやり取りが面白く、それぞれの立場で部下や上司を動かす工夫とかが、上手いなぁって思う。警部の「私が居なければ署長はあまり怒らない」とか、実際会社でもそういう場面ありますもんね。『私は死んでも市民を守る覚悟です』の3連打なんて最高です。この警察署の物語をず~~っと見ていたい気持ちになりました。あ、みんなで一面ピンクの文字だけ新聞読んでるの、なんか変。  ストーリーは、中盤からの路線変更の大手術の影響がモロに出ていて消化不良。もともと、この頃のジャッキー映画にストーリーを期待してはいけないんだけど、やっぱり“撮りたいスタントシーンありき”で、それらを繋げ合わせた感を強く感じます。ポリス・ストーリーなのに。ジャッキーが特別班(一見ゴロツキだけど…?)のリーダーになるけど、彼らの目立った活躍は取り調べで女性3人が大暴れするところくらいで、あれだけ人数出したのに活かしきれてないかな。 前作に引き続き、出るたびに痛めつけられるメイ。爆竹投げられたりバイクで車に突っ込んだりと、今回も酷い目にあってるけど、映画的に一番酷いのは水鉄砲をチェンが避けて自分に掛かるシーン。あれ銃だったらチェンのかわりにメイ死んでるし。 ジャッキー映画ではNGシーンはお約束だけど、マギー・チャンの流血はドン引きしてしまう。う~ん…彼女が無事生きてたってだけで、ビックモローの事故並みにショッキングな映像でした~~~ホンチ!!
[インターネット(字幕)] 6点(2023-06-03 14:05:10)
15.  黒いオルフェ 《ネタバレ》 
“Orfeu Negro”『黒人のオルフェ』うん、良い邦題です。 オルフェって奥さんのエリディスが大好きな人なんです。新婚早々に死んでしまったからってこともあるんでしょうが。それが本作のオルフェは婚約者が居て、エリディスは言ってしまえば浮気相手。しかも隣人の従姉妹ときた。この設定は脳内がぐわんぐわんしますね。  現代のオルフェはイイ男なんでしょうけど、ミラと結婚した理由が見えない。なんか、モテ男が街一番の美人の女と適当にくっついたようにしか思えない。で、一目惚れなのか運命なのか、田舎娘のエリディスにアッサリ鞍替え。しかも婚姻届出したその日に。従姉妹のセラフィナは、オルフェとエリディスの関係をバックアップしたり、この人もどこかぶっ飛んでる。ミラの目を盗んでカーニバル中イチャイチャするオルフェとエリディスに、ちょっともやもやしてしまった。原作では奥さんの役柄が浮気相手になるだけで、こんなに冷めた目で観てしまうものなのか。  神話ベースっぽいトコを探すとギターに書かれた『オルフェは私の主人』の文字。幾星霜の時を超え、琴はギターに変わって、現代に転生したんでしょう。オルフェとエリディスは他人に。エリディスを殺す毒蛇はガイコツの男に… 妻を生き返らせようと、冥府深く下っていく場面は、逆にビルの12階まで登っていく設定に。これ富裕層は海岸沿いの平地に住んで、貧民層(ファヴェーラ)は高地に住むリオデジャネイロを模したんでしょうか。 高地から見下ろすリオの街。当時のカラーフィルムが映し出す少々荒い画が、異国感を強く感じさせて美しかったです。  ギターを弾く少年と、踊る少女はオルフェとエリディスの生まれ変わりでしょうか?じゃあもうひとりの少年は…ガイコツの男?
[インターネット(字幕)] 5点(2023-04-22 00:24:15)
16.  グリーン・デスティニー 《ネタバレ》 
“臥虎藏龍”『伏せる虎・隠れる龍』=まだ世に出ていない才能の持ち主。みたいな意味のようです。邦題はムーパイの碧名剣を表したんでしょう。まぁ、竹林や野山の緑が目に鮮やかなので、本作の映像を脳内で蘇らせる邦題になっていますね。 私の中では中国の歴史ファンタジー物の先駆けの印象が強いけど、『武俠映画』というカテゴリ分けがあったのは今回初めて知りました。 ジャッキー・チェンがカンフー+スタント映画に傾倒していった一方で、ワイヤーアクションとCGをミックスして、こんな美しい映像を創るなんて!と、当時驚いたものでした。  アクションは見応え充分。もちろん本格カンフー映画じゃないから、役者さんの演武と言うより演舞かな。最後のイェンが空を飛ぶCGを観ての通り、まだあのレベルのCGの時代に、ワイヤーを駆使するなどして、とても綺麗な舞に仕上がっていたと思います。武術家とイェンの食堂の乱戦はテンポも良くてカメラもバッチリ決まっていたし、シューリンとの姉妹対決は色んな武器の特性を活かした闘いが観られて、割と長時間なんだけど飽きさせない。この場面の重たい棍棒が持ち上がらないの、可愛い。続くムーパイとの竹林の舞も、綺麗なんだよな。竹の細い部分にちょこんと乗っかってるのが幻想的。登場人物が空を舞う時に余計な効果音を入れないのも、ファンタジーっぽくって良いですね。  ストーリーは正直良くわかりません。あまりにも良い所で出てくる神出鬼没のムーパイ。名前も容姿も中ボス・クラスなジェイド・フォックス。あとやっぱりイェンの行動がとにかくメチャクチャで…結婚式から家を飛び出して、気が付けばさすらいの剣士みたいになってるのって、急展開過ぎてどこか観飛ばしたのかと思ったわ。まぁでもそういうご都合主義っぽい所も、ファンタジーっぽくて良いですよね。 ストーリーより何より、今考えると中国・香港・台湾・米国の合作ってところが一番ファンタジーかも?
[地上波(吹替)] 7点(2023-04-12 23:41:10)
17.  クィーン 《ネタバレ》 
“The Queen ”と書いて『エリザベス女王』と言って良いでしょう。本来女性の王を指していますが、エリザベス女王は昨年秋に亡くなり、いまご存命なのはデンマークの女王のみ。ただ今後ヨーロッパ各国の王位継承者である“王女”が“女王”に在位してくるそうな。 ダイアナ元妃が亡くなってから10年後に創られたこの映画。イギリス王室の内部をかなり赤裸々に、人間味ある人物として描いています。エディンバラ公とエリザベス王太后はダイアナを嫌っているし、チャールズ皇太子は自己中。この辺、自虐的とも言える、王室を綺麗に描きすぎないさじ加減が、とても上手いなぁって思いました。  本作公開の前年にロンドン五輪開催が決まり、イギリスが一丸となって盛り上げていきたい時。王室始まって以来の大スキャンダルだったダイアナ元妃の事故死に、映画としてメスを入れる行為。それも主役はダイアナではなく女王とブレア首相(当時は現職)にして。イギリス人がこの映画を観て『キレイゴトじゃん』って思っては、シラケムードになっていたところ。※余談ですが私は『フクシマ50』にそれを感じてしまいました。  伝統に縛られ頑なな王室と、国民感情に沿うように歩み寄らせるブレア。印象的な鹿の最後。自らも鹿狩りに参加する一方で、偶然目にした美しい雄鹿が仕留められたことにショックを受け、お忍びで鹿と対面し、仕留めた客人に“おめでとう”と伝えるように言い残す。そんな“公”の一面しか見ることの出来ない女王にも“私人”としての感情もある事を、改めて国民に観せている。 バッキンガム宮殿の前の、花束の少女とのやり取り。ブレアとキャンベルとのやり取りで、国民の女王に対する気持を見事に一体化してきました。  『裸の銃…』なんかでも笑いのネタ扱いだった女王。国民感情と乖離した古いイギリスの象徴だった女王を、愛すべき国民の女王まで昇格させたキッカケとして、この映画は大成功だったと思います。 国民に愛され、国民を愛する女王像の再構築。その映画的アプローチはまさにこの映画から始まり、ロンドン五輪開会式でのボンドとの共演に繋がっていく。見事です。
[映画館(字幕)] 7点(2023-03-26 14:37:27)
18.  グレムリン 《ネタバレ》 
“Gremlins”=機械の中で悪さをする小悪魔。イギリス空軍が発祥らしいので歴史は浅く、当時の人面犬やトイレの花子さんみたいな存在だったのかも。ギズモの可愛さとグレムリンの不気味さが程よくて、テンポの良さとバカバカしさもあり、ちょっと背伸びした子供には丁度いい怖さがあって、『3G対決』の学校人気では一番好評だったように思います。  今改めて観ると、こんなにグロかったっけ?ってなりました。ある意味ヒロインのケート以上に活躍するお母さん。ミキサーに電子レンジと、子供の頃は素直に『おぉ!ナイスアイデア』って思ってたけど、アレに生き物を入れたらどんな死に方するのか?って好奇心を満たすのが目的だろうか?なんて、怖い想像をしてしまった。 そしてケートのお父さんの死の真相。もしかしたらこの映画で一番怖いのが、この話かもしれない。小さな町であんな死に方をしたら、結構町中に広まってそうだけど、何にせよケート可哀相。 ストライプの最後。ネチッこくジワジワと死んでいく様子を丁寧に表現。ほとんど骨になって倒れる時の、白くなった目玉がプルンッ!って踊るところが当時の技術力の高さかな。  グレムリンがみんなで白雪姫観ながら合唱してるのが可愛い。その後のスクリーンに写ったビリー達を襲ってくるシーンも上手い。アレだけの騒動で犠牲者がディーグル婦人(悪人)だけってのも、後味悪くしない工夫かも。 パブでグレムリンの接待をして以降、フィービー・ケイツの頬が赤いんだけど、どうやらバイクで遊んでて転倒した際に出来たものらしい。しかしグレムリン、ビールとか飲んでたけど、増殖しないのかな? 最後ギズモが古物商の老人に連れて行かれるシーンが、凄くクリスマスっぽくて好き。
[地上波(吹替)] 6点(2022-12-29 23:26:52)
19.  グリーンブック 《ネタバレ》 
- Green Book(=The Negro Motorist Green Book) -  “グリーンによる黒人ドライバーのための旅行ガイドブック”。著者が黒人の作家ビクター・グリーンさんなので、グリーンブック。 黒人への人種差別がまだまだ色濃い時代に、白人運転手が黒人ピアニストを乗せてアメリカ南部を移動する。考えただけでもとても興味深いロードムービーで、アカデミー作品賞受賞の快挙含め、ドライビング・ミス・デイジーやレインマンが思い浮かぶ。  「ワオ!ケンタッキー州でケンタッキーフライドチキン!!」子供のように興奮するトニーにすっかりやられてしまった。あのチキンの大きさ。なんと食べごたえの有りそうな姿。こないだ買ったセットのやつは、一番大きいのでも私の握りこぶしより小さかったぞ。私の学生時代と比べても絶対小型化してる。 あぁでも食べたくなるなるケンタッキー。初めての人にも食べやすいドラムから渡すの、トニーの優しさだよね。ドンが美味しそうに食べて、キールも勧められて…チキン食べる時のベストな流れだよね。骨の処理で距離が縮まって、その後の「(紙コップ)拾いなさい」で見事に落ちてる。素晴らしい。ただ当時、空き缶でさえポイ捨てが日常茶飯事だった(であろう)時代に、紙コップごときで車戻すか?というと、さすがに創作だろうなとは思う。  楽しく観終わって、映画界やドンの遺族から批判的な意見が出ていたことを知り、ちょっと複雑な気持ちになった。映画としてとても面白く、まとまりも良く、テーマも伝わり、ドクター・シャーリーにとても興味も持てて、当時の黒人差別に理不尽さを、充分に感じとれたからだ。 “映画ではあのように表現していたけど、本来はこうだった”なら批判も解るけど、“本来はあぁではなかった。と思う”だけでは、良い物語を潰すことは出来ても、創ることは出来ない。あの時代に紙コップを拾うのを、有り得ないと批判するのではなく、映画としてのデフォルメとして楽しく観て、映画が伝えたい何かを少しでも吸収できたら、それは良い映画と出会えた。って言えるんじゃないだろうか。 最終公演の決断から、オレンジバードで楽しそうにスタインウェイ“じゃない”ピアノを弾くドンに嬉しくなった。帰り道の警官。トニーの家と、テンションどんどん上がってハッピーに終わるこの映画が、私は大好きだぁ!
[CS・衛星(字幕)] 9点(2022-11-27 22:06:08)(良:1票)
20.  クラッシャージョウ 《ネタバレ》 
公開当時のCMとかで、全編ガンダムⅢ並みに綺麗な映像で「さすが映画だ、TVアニメとは格が違うなぁ」って思ったっけ。 当時はまだアニメというと子供向けの作品が多い時代。そんな中でクラッシャージョウは対象年齢が中高生向けに思えて、小学生の私には難しいかな?なんて観る機会を逃し、今回ようやく観ました。  改めて思うのは、この時代のアニメって画が柔らかいですね。メカにしても戦艦の巨大感や戦闘機の軽快な動き。そのどちらの表現も似合うミネルバの動きに、当時は思いもしなかった“手作り感”が感じられる。キャラクターも柔らかさが良く出ていて、同じ安彦キャラのガンダムオリジンと比べ、活き活きして観える。安彦さんの一番脂が乗っていた時期ってのもあるけど、アニメの手書き技術の成熟期って感じ。 当時のアニメーターの技術と才能が溢れているが故だろうか、スタッフや他のアニメキャラが登場する“遊び”や“内輪受け”が随所に出てきて、正直、作風に対して五月蝿い印象だけど、今の私より若い安彦さんたちが不眠不休な中で、楽しんで創ってたんだろうな。って思わせる。40年後の今ではなく、公開時にリアルタイムに楽しんでもらうものとして創ってるなって。そんな中、劇中劇としてゲスト出演するダーティペアの力の入り様。高千穂小説の挿絵がそのまま動くのは嬉しいファンサービスだったことだろう。  映画の中身の話、なんにもしてないですね。昨晩観たのに『ここが良かった』ってところが出てこないんです。個性豊かな海賊たちも最後はアッサリで、勿体ない気がしたかな。白衣一枚のマチュアがジョーに「あなた、お幾つ?」って聞く(私には)意外な流れに、面白くなりそうな予感があったけど、話はワープ装置に逸らされて、アルフィンのヒガミでお茶を濁されて終わり。マチュアを単なるお色気担当の客寄せパンダにするんでなく、彼女の内面の魅力を描いていれば、もっと印象に残る作品になったかもしれない。 高千穂遙が嫌いだった(公開後の話)ってのはあるけど、当時の技術力と安彦キャラがこの映画の魅力の大部分を締めている気がする。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-11-04 09:52:26)
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