21. ケイン号の叛乱
《ネタバレ》 海軍での問題艦長というと、ホーンブロワー・シリーズを思い出します。本作はかなりいいできだと思いますが、最後に結局「部下に問題があった」とするのは、どうなんでしょう。どうせなら、クイーグが精神を病むに至った「海軍艦長」という職責そのもの、つまり軍の体質そのものを問題に挙げてほしかったところです。とはいえ、問題のある上司というのは現代の社会でも通用する話なので、そういう点では示唆に富んでいると思います。キースの恋愛がいかにもおまけという扱いだったのも残念でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-07-17 19:21:18) |
22. 刑事コロンボ/悪の温室<TVM>
《ネタバレ》 本作の脚本を書いたジョナサン・ラティマーは本職のミステリー作家でして、そのせいかどうか通常のパターンを外してきています。偽装誘拐でコロンボを殺人の前に登場させるという試みは面白いですし、最後の証拠品が今回の事件とは何の関係もないというのも、意表を突いていてよかったと思います。ウィルソン刑事を登場させたのも効果的でした。しかし今回の犯人も魅力に乏しい。そもそもどうやって生活しているのかが不明。蘭を売れば金になるでしょうが、甥の財産をかすめ取ろうというのですから、それも考えられません。浮世離れを通り越して現実離れしています。また、何かというとキャシーに嫌みを言うのもいただけません。こういうところでかなりマイナスになってしまいました。 [DVD(字幕)] 6点(2013-09-11 22:38:34) |
23. 刑事コロンボ/死の方程式<TVM>
吹き替えで聞くと、野沢那智の怪演でロジャーはイッちゃった人みたいですが、原語だとそんなこともありません。むしろ化学博士で弁護士の資格も持っている、頭脳犯というイメージが湧いてきます。とはいえボンボン育ちのためか、冷静になりきれないところが欠点。その辺のバランスが意外と面白かったです。馬脚を現すのが、あっさりすぎるかとも思いますが。ゲストがけっこう豪華な点も評価できますが、アン・フランシスはちょっとトウが立っているかも。まあ、ジェームズ・グレゴリーの相手なら、適切かもしれませんが。ちなみに、本作の山田康雄吹き替え版は、話に聞いたことがありません。実際にあれば新発見でしょうね。 [DVD(字幕)] 6点(2013-07-27 20:50:13) |
24. 源氏九郎颯爽記 白狐二刀流
《ネタバレ》 『瞼の母』をレビューした時、「この監督の作品をほかにも見てみたい」と書いていたのを思い出して鑑賞。しかし、期待したほどでもなかった。それなりに面白いカットもありましたが……。お話としては、「役人と結託した悪徳商人VS庶民」という構図の、典型的娯楽時代劇。その庶民側につくヒーローが、両者を超越した存在(本作では義経の末裔)であるというところも、よくある設定です。ということでそれなりに楽しめますが、序盤がかなりつまらない。全般的にセリフが聞き取りにくいうえ、話が進まないのでイライラします。源氏九郎が襲われてからやっとそれらしくなるのですが、ずいぶんスロースターターでした。その間由利徹らのギャグを入れたり、なぜかフラメンコが出てきたりとお笑い路線で行っているのですが、ちょっと外したか。そうしたところも含め、ギクシャクした感じは否めません。よかったのは、悪役の柳永二郎や岡譲司が魅力的だったこと。それでこそヒーローが映えるというものです。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-03-04 22:21:36) |
25. 刑事コロンボ/ホリスター将軍のコレクション<TVM>
《ネタバレ》 かなりできがよくないという記憶があったのですが、見直したらそれほど悪くもなかったです。ふつうに楽しめました。本作はミステリーよりもドラマ志向で、ヘレンの生活やホリスター将軍のプライドの高さなどが描かれています。しかし時間が長くないためか、少々食い足りない。盛り上がりに欠けるのです。ミステリーとしては、問題の拳銃がよくわからない。将軍はダットンを撃つ時、展示するための品物を詰める箱から銃を取り出していました。ということは、最初から展示することは決まっていたのでは? 「大事な思い出の品を手放すはずがない」というコロンボの言葉と矛盾します。もし複製を作っておいて、それを展示品とし、本物はひそかに自分で保管しておくというのならわかります。しかしコロンボによると、複製は最初からなかったということですし、このあたりがよくわかりません。そんなこんなで、悪くはないと思いますが、決していいできとも思えません。 あと印象に残ったのは、スザンヌ・プレシェットのメイク(アイシャドウ)が濃いことと、当時からすでにリモコンテレビが存在したということ。ヘレンの家はけっこう裕福な感じですが、お金はどうなっているんでしょう? これもまた不思議。 [DVD(字幕)] 6点(2013-03-01 22:24:46) |
26. 県庁の星
はい、皆さんのおっしゃるとおりです。とにかく予定調和でご都合主義。だから全体を通しての印象が軽いし、これならテレビでいいでしょ、ということになります。まあ、それなりに面白いことは確かだし、見ていて飽きるということはありませんでした。積極的に高く評価しようとは思いませんが。これは大人(サラリーマン)のためのファンタジーだと感じました。ただ、最後の知事の行動とか妙にリアルなんですよね。本気にした観客が実際に行動に移すのもどうかと考えたんでしょうか。 私はテレビで見たのでこの点数ですが、お金を払って劇場で見たらもっと低い点数です。残念ながら、劇中の県庁さんのような志が映画そのものから感じられませんでした。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-07-14 22:42:58)(良:1票) |
27. 原子力潜水艦浮上せず
《ネタバレ》 これはパニック映画……とは言えませんね。だいたい登場人物の大半が軍人ですから、非常時にパニックに陥るようでは困ります。一応タイムリミット・サスペンスになるのでしょうが、けっこう時間があるので、助けられる方も余裕です。しかしそれでは映画にならないと、都合よく(?)アクシデントが起こり、救出作業は遅れて犠牲者も増える。このあたりの展開が、リアルな演出とちぐはぐになってしまったと思います。話の先がけっこう読めてしまったのも残念。後半登場するゲイツ大佐がなかなかナイスなキャラクターで、完全に主役のチャールトン・ヘストンを食ってしまいました。こういういいところもあるのですが、どうもインパクトに欠けます。最後はアメリカ海軍の宣伝みたいになっちゃいましたし。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-11-02 19:11:01) |
28. 源氏物語(1951)
《ネタバレ》 そもそも『源氏物語』って嫌いだし、当時の宮廷女性たちが勝手に作り上げた理想の男性にきゃーきゃー言っていた、いわばライトノベルなんじゃないかという風にしか思っていません。文学としてありがたがるとか、よくわかりません。この映画でも、光源氏がとっかえひっかえ女性と関係を持つだけで、さして面白くない。エピソードの連続なのですが、話が平板でメリハリがありません。途中で源氏が右大臣の刺客に襲われ、返り討ちにするところがありますが、まったくそぐわなくて笑ってしまいます。脚本は与謝野晶子の現代語訳を参考にしているようで、セリフは全て現代語。当時の言葉をそのまま話されても困るのでこれでいいと思いますが、ほとんどファンタジーの世界の物語なので、これもちょっと違和感を感じました。吉村公三郎の演出は、特に光の使い方がよく印象的ですし、モノクロの撮影も美しいと思いますが、とりえはそれくらいでしょうか。大映創立十周年の豪華キャストがもったいないです。 [地上波(邦画)] 5点(2017-01-07 22:07:42) |
29. 劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日
《ネタバレ》 NHKの番組は、気になるテーマの回だけ見ています。「歴史に名を残さなかった人々の生活を取り上げる」というコンセプトは好きです。この劇場版でも、そのあたりはとりあえずキープできていたようで、その点はよかったです。 が、映画となるとやはり何か「大事件」を起こさないといけないようで、タイムスクープ社の社員が茶器を手に入れようとする展開になるのですが、無理やり感があってちょっとどうかと思います。これに伴って沢嶋たちが他の時代にもワープするわけですが、いちいち現地の人間と騒動を起こすのも、単に騒々しいだけでした。島井宗叱の改心など、お話としてはいい部分もありますが、全体としてかなりご都合主義の展開で、まあ半分コメディと思えば楽しめないこともないでしょう。出演者では、上島竜兵とカンニング竹山のお笑い2人がいい味を出していました。 結論としては、やはりテレビの30分の方が面白いと思います。作品のフォーマット自体が映画向きではないと思うんですよね。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2014-10-28 19:51:33) |
30. 刑事コロンボ/構想の死角<TVM>
《ネタバレ》 このラスト、やっぱりダメでしょう。この犯人は異常にプライドが高く、自分ではすぐれたトリックを考えられないと言われた結果、「あれは自分が考えた、だからすべてわかっている」と答えてボロを出したとされていますが、あらかじめそうした知識を以て見ても、そんな人物には思えません。なのでこちらはなにがどうなったのか理解できず、鳩が豆鉄砲を食ったようキョトンとするだけです。これはシナリオが悪いのか、演出が悪いのか、おそらく両方でしょう。あと、マフィアに罪をなすりつけるのに、嬉々として自分から説明していては、かえって怪しまれるというものでしょう。こんなに駆け引きが下手でよく交渉係が務まったと感心します。犯人のフランクリンに関しては破綻が多いし、魅力も感じられません。スピルバーグの演出は、アップを多用したり光を使ったりと、画作りは面白いのですが、すでに述べたように人物造形はうまくいっていないようです。第1の事件のトリック自体はいいのですが。 [DVD(字幕)] 5点(2013-01-26 20:41:12) |
31. 激突!<TVM>
《ネタバレ》 評判がいいようですが、正直なところとても退屈。特に主人公の独白がおもしろくない。カフェのシーンとかスクールバスのあたりなど、車が走っていない場面は中だるみ。また、主人公が必死になればなるほど、彼がバカに見えてきて、こちらもバカバカしくなってきます。よかったのはヘビ好きのおかみさんがやっているスタンドのところくらい? 終盤、主人公がその気になってもっとも盛り上がるはずのところも、特にどうということもなく冷静に眺めていました。ともかく全編にわたって、スリルもサスペンスも感じません。まあこれは、私が車を運転しないからかもしれません。 映像はスピルバーグらしく凝ったところがありますが、裏返せばあざといことこの上なし。 まあなんにせよ、アメリカでなければ撮れない映画でしょうね。というか、こういうアイデアが出てこないでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-10-31 10:26:10)(良:1票) |
32. 刑事コロンボ/黒のエチュード<TVM>
《ネタバレ》 『刑事コロンボ』シリーズは基本的に90分枠なのですが、第2シーズンから120分ものも放送することになり(広告収入が上がるらしい)、そのテストケースとして本作には90分版と120分版の両方が存在します。今回両方を見比べることができたのですが、登録されているのは120分版の方なので、そちらをレビューします。 改めて見てみると、音楽関係がムチャクチャですね。ジョン・カサヴェテスの指揮のひどさは言うまでもないです。あれで演奏できるとは、さすがプロ。それとも、音はあとで入れたのでしょうか。しかしそれだけでなく、ベートーヴェンの「田園」を楽章の途中から(カメラを回して)演奏するとか、管弦楽曲のあとに弦楽器だけの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」を演奏するとか(しかもコンサートの最後の曲らしい)、およそ常識的にはありえません。ありえないといえば、コンサートが夜から始まる場合、普通は午後にリハーサルを行い、出演者はそのまま楽屋で待機するものです。車で行かなければならないような自宅に戻るというのも考えられません。本作のスタッフは、クラシック音楽に関しては全くの素人のようです。 また、証拠品であるはずの“遺書”の上から改めてタイプするというのも考えられない。ここまで来ると開いた口がふさがりません。私は映画やドラマに完全な整合性を求めるわけでありませんし、むしろ傑作と呼ばれる作品には、なにがしか常識を超越したところがあると思っているのですが、これはあまりにもひどすぎると思います。 しかし本作を必要以上に持ち上げている人もいるようですが、それは単にゲストがジョン・カサヴェテスだからでしょう。「構想の死角」と似たようなパターンです。たしかにカサヴェテスは悪くないと思いますが、それだけで高く評価できるわけではありません。 とにかくこれは脱力系というか、失笑ものの話でした。 [DVD(字幕)] 4点(2013-08-25 10:08:43) |
33. 刑事コロンボ/もう一つの鍵<TVM>
《ネタバレ》 『刑事コロンボ』では犯人が女性の場合ドラマ中心になるという特徴があります。本作もそのパターンですが、どうもドラマの要素が弱い。これは時間が短いということもあるのでしょうが、豹変したあと経営者としても女性としてもダメということで、魅力がありません。倒叙ものでは犯人の占める部分が大きいですし、そのドラマを描くとなるとなおさら。しかし肝心のご当人に魅力が感じられないのでは、どうしようもありません。 ミステリーとしては、新聞と鞄とか靴底の芝生とか、コロンボの目の付けどころは面白いのですが、いかんせん最後の決め手が簡単すぎ。これもドラマ中心のしわ寄せかもしれませんが、結局ミステリーとしても魅力に欠ける話になってしまいました。ベスが最後コロンボに銃を向けるというのも意味がなく蛇足。ここまで徹底してダメ犯人というのは、かえって潔いかもしれませんが。 [DVD(字幕)] 4点(2013-07-13 22:47:36) |