1. コックと泥棒、その妻と愛人
この映画を観るという判断をした時点で、それなりにマニアックな人だと思うので、観た人の評価が総じて高いのはしかたがない。 私はとにかくレストランものが好きで、タイトルだけで選んだために面食らった。なんだ、これは。 重苦しい。息苦しい。焦げついたシチュー鍋の底みたいな映画。 食と性は根源にして原罪。そこに通じるグロテスクと悲哀が全編のダークさ、時折の原色で描き尽くされる。そう、「尽くされる」というにふさわしい徹底さ加減。 これはこれでいいと思う。私の好みでは断じてないが。 5点(2003-12-30 19:50:22) |
2. 御法度
ネタバレ もっともっとつまらないかと思っていたが、意外に意外、それほど悪くなかった。松田龍平が美しいとは到底思えないのだが、あの作品全体の怪しさはなかなか独特でおもしろい。テーマが男色にほぼ絞られており、下手な武士道や下手なドラマがない分、分かりやすく、映画的に完成している。幻影と現実の倒錯のまま終わっていくラストも悪くなかった。まとまりのいい作品と言えるだろう。 7点(2003-12-03 23:54:11) |
3. ゴスフォード・パーク
危険なぐらい退屈だった。 「8人の女たち」みたいのを期待してわくわくしながら観たが、これといった見せ場もなく、ただ登場人物が多いばかりで良い意味でのサスペンス性は皆無に近い。 意味のない人物、意味のないモノ、意味のないエピソードが多すぎる。食わせモノの映画だ。 3点(2003-11-28 18:18:34) |
4. 恋するための3つのルール
ヒュー・グラントという俳優が、私はあまり好きでないのだけれど(単純にタイプじゃない)、でも、彼の出ているラブコメはおもしろいものが多い。 それでも、決してヒュー・グラントという人が魅力的だとは思えなかった。日本人を含めて、ヒュー・グラントが大好きな女性はたくさんいるのに。 で、この「恋するための~」を観て、気がついた、ヒュー・グラントという人は、「結婚したい男」なのだな、と。こういう人と結婚すると幸せにしてくれそう、っていうタイプの優しくてマジメな好青年を演じたら、天下一品なのだ。(ブリジット・ジョーンズは例外) この映画の中では、マフィアの娘と婚約したヒューが、シカゴ出身の「ミッキー・ブルー・アイズ」なる架空の人物になりきろうとして、無理に「R」を発音しないようにする、という大爆笑シーンがある。このとき、ヒューの「悪っぽく見せたくても、絶対無理!」っていう好青年ぶりが強調されてしまうんだけれども、それで初めて、ヒューの魅力というものを理解することができた。 ブラッド・ピットが無知ゆえの無垢を演じた「ジョー・ブラックをよろしく」で、それでもいたずらっぽくセクシーな瞳を隠し切れない(それはキャスティングの狙ったところだろうけど)ところから見ても、ブラッド・ピットにヒューのような役回りはぜーったいに無理なのだ。ぜーったいに。 ヒュー・グラントに「結婚するなら・・・」という視点を見出した私は、間違いなく年をとったと思う。これからはもう少し好意的にヒュー・グラントを見ることができるかもしれない。 でも、やっぱり、私はブラッド・ピットの方が好きだし、まだまだ「結婚するなら・・・」なんて言葉は使いたくないな~と、寄る年波に無駄なあがきをするのだった・・・。 にしても、邦題の「恋するための3つのルール」がなんだったのか、作品中ではまったく出てこない・・なんで?原題は「Micky Blue Eyes」。 6点(2003-11-22 15:46:22) |
5. 恋人たちの予感
ネタバレ 腐れ縁めいたふたり。会うたびぶつかってしまうふたり。でも、年とともにお互いの価値を認め合えるようになるふたり。そしてやがて、ともにお互いしかないと気づくふたり。コトが起こった次の朝、逃げ腰になっちゃうのは男の方、それで女が怒り出すと、「君は大事な友達だから・・・」なんて焦っちゃうのもまた男。 「もうすぐ40才になっちゃう」と言ってぐちゃぐちゃになって泣く32才(設定)のメグ・ライアン。微妙な年頃の、結構リアルな感情が描かれていて、大人が憧れる理想のラブストーリーに仕上がっている。 9点(2003-11-22 14:44:47) |