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1.  コーダ あいのうた 《ネタバレ》 
“CODA”=“Children of Deaf Adults”『聴覚障害者を親に持つ健常者の子供』。専門用語だとは思いますが、そんな言葉があるんですね。また音楽用語でcodaは『曲の最後尾に付けられる終結部分』という意味でもあるそうです。ツェッペリンの最後のアルバムがCodaでしたね。健常者にしてロッシ家の末っ子・ルビーが、家族と暮らした最後の年の物語です。  家庭内で、これほどにセックスの話題がおっ広げられてるのに、まず驚いてしまった。病院で2週間セックス禁止が言い渡されるトコなんて、あんな年頃の娘に説明したらグレてしまうぞ?と心配したり、耳が聞こえないんだから仕方ないと思う反面、そもそも筆談すればルビー居なくても良いのでは?なんて真面目に考えてしまった。けど、モトがフランスの映画のリメイクだと知って、あのシーンは性ネタのコメディ部分なんだと、何故か納得。  健常者目線で観始めた本作。徐々にルビーの目線で観えてくるようになり、遂には聴覚障害者の目線を体験させてくれる。 発表会に来た両親と兄。周りの様子から手拍子をしてみたり。劇中何度か聞いたルビーとマイルズのデュエットの音を消し、お父さんの近視の表現だろうか、ぼやけたステージ。周りの反応で歌の中身を感じるお父さん。ここでお父さんがぐっと近くに感じられ、車の荷台で喉に手を当てて歌を聴く姿に、娘を思う父親がひしひしと感じられました。このシーンいいなぁ。最後お父さんが言葉で送り出すのもいい。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-04-25 21:51:36)(良:1票) 《新規》
2.  ゴジラ(1954) 《ネタバレ》 
日本ほど特撮怪獣が沢山創られた国はないでしょう。主にウルトラ怪獣ですが、ゴモラ、ゼットン、バルタン星人と、きっとどの世代でも名前くらいは知っているんじゃないでしょうか?そんな中で、元祖であり王者と言える怪獣がゴジラです。 私はちょうどゴジラ空白の世代でした。小さい頃、ウルトラシリーズは沢山再放送されていましたが、ゴジラ映画は観たことなくて。子供向けの雑誌などから『人類の味方として、悪い怪獣と戦う正義のゴジラ』なんてイメージがあった程度でした。そんな中“まだ白黒映画の時代、最初のゴジラは人類の敵だったんだよ。そして今度公開されるゴジラ('84)も、悪者なんだよ。”なんて聞いて、何かとても不思議な感じでした。  本作を最初に観たのは20歳くらいの頃です。街の焼ける様子、逃げ惑う人々から、まだ戦後間もない印象をとても強く感じました。公開年は、戦争が終わって僅か9年。でも僅か9年でここまで復興している日本の逞しさと、ゴジラという巨大なモンスターを創り上げた日本の受けた傷の深さが感じられました。 アメリカの水爆実験が生んだ怪獣ゴジラが、本土に上陸して無目的に都市を破壊する。令和に入った現在に至るも、唯一無二の被爆国として、当事者のアメリカ人を主要人物に出すことなく、原水爆を表現した作品と言えるでしょう。  どうしても後年のシリーズ化したゴジラのイメージに引っ張られていたため、今回始めてゴジラのデザインが理解できた気がしました。モノクロ映像のゴジラの、黒くゴツゴツしたあの皮膚は、水爆の高熱で表皮が焼け焦げてたんですね。 背中のヒレは皮膚に刺さったガラス片でしょうか。そしてゴジラは苦しみの叫び声を上げながら、自ら焼け野原にした東京の街を彷徨います。 本作公開の僅か9年前に、他国により自分の国が焼かれる地獄を観た人々が作った地獄絵図。この映画からは、他国に国を焼かれた恨み節より、日本をここまでしてしまった、原爆が落ちるまで戦争を続けてしまった、自ら国を焼け野原にしてしまった、そんな自責の念が感じられます。  山根教授のゴジラを保護し、生命力の研究をするべきだという主張は、今なお放射能被害に苦しむ被爆者たちを救うことが出来たらという気持ちからでしょう。そう考えるとオキシジェン・デストロイヤーは、例えるなら苦しみから逃れるための安楽死に思えます。 芹沢教授がオキシジェン~の研究成果ごと死を選んだ結末は、どんなに苦しくても前だけを見て生きていく。そんな日本の決意にも思えます。 本作を観てどう思うかは人それぞれですが、戦争で受けた傷を娯楽映画にしてしまう日本人のパワー。創意工夫。結果本作は、世界でいちばん有名な日本映画の一つになりました。
[ビデオ(邦画)] 8点(2024-04-03 23:51:41)(良:3票)
3.  荒野の用心棒 《ネタバレ》 
“Per un pugno di dollari”『一握りのドルのために』。夕陽のガンマンの原題に繋がってます。 『西部劇のイーストウッドと言えばこの作品』って勝手に思ってたくらい、例の鉄板のシーンが印象的です。 監督自身が認める黒澤作品のオマージュ映画だったことから、まず用心棒を観ないことには何とも評価が難しいかもしれませんね。  「あっちにバクスター、そっちはロホス。真ん中に俺」意味は解らないけどカッコいい。「俺の馬が怒ってるから謝れ」なんて、メチャクチャな言い掛かりがマカロニ・ウエスタンらしくて良い。ロホスとバクスターの2大勢力を手玉に取って、抗争に持っていく巧みさが痛快。 けど、ジョーに都合よく事が運びすぎる気がするなぁ。兵士2人の死体を墓場に配置するのは良いけど、アレどう見ても墓に伸し掛かった死体にしか観えないのに、両陣営撃ち合い始めるなんて。 ジョーが両陣営にフリーパスなのも、あの狭い街でそんなに器用に出来るのかなぁ?とか。…でも借金の方に取られた女房の監禁先が、親子が住んでた家の向かいにある(だよね?)くらいだからなぁ。ゴロツキのアジト2つと酒場と棺桶屋しかない変な街なのが、生活感を排除したマカロニ・ウエスタンらしいかな。  BTTF2にも登場する鉄板。その辺の適当な板かと思ったら、結構手を掛けて作ってたのね。ラモンが西洋甲冑の胸を綺麗に撃つのが良い前フリになってますね。でもあんなに何発も撃ってたのか。鉄板に当たる音でバレそうな気がしないでもないけど、そのツッコミは野暮でしょうね。
[DVD(字幕)] 6点(2024-03-20 20:43:20)
4.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
ゴジラは“日本を襲う破壊の象徴”です。初代ゴジラは原爆。シン・ゴジラは東日本大震災。そして本作のゴジラは太平洋戦争(※書き方として東京大空襲と迷いましたが)でしょうか。 圧倒的な物量を誇るアメリカ軍を相手にした戦争は、まさにゴジラを相手に戦うようなものだったことでしょう。 最初のゴジラは軍人だけの基地に出てきました。そしてより巨大になって本土に上陸し、街を壊して人を踏み潰します。 戦争は軍人同士が海の向こうで戦うものだと思っていたのに、空襲で自分の家が焼かれ、家族が殺される。アメリカ軍の無差別爆撃とゴジラの破壊行為。両者にどんな違いがあるだろうか。  三丁目の夕日の、少し前の日本が舞台。帝国海軍も警察予備隊も無い、自衛能力のない時代の日本とゴジラの戦い。役目を終えた軍艦が呼び起こされ、日の目を見ることのなかった戦闘機が空を舞う映像は、過去のゴジラ作品のどんな秘密兵器よりもアツい展開でした。 焼け野原から徐々に復興していく東京の町並みと、少しずつ生活も安定してきて、家族になっていく敷島と典子。ようやく前を向いて生きていこうとした矢先…自分が死ぬのが怖くて特攻出来なかった敷島。彼が特攻しなかったから家族が死んだわけではないけど、戦うべきときに戦わなかった報いが、後々重くのしかかる。因果応報。終わらない戦争。 人間ドラマに重点を置いた本作、後半涙腺緩みっぱなしでした。説明が丁寧だから、展開は読めるんです。それでも涙が出てきます。ありえない最後も全然受け入れられました。エンドロールが始まっても、ほっぺが涙でベチャベチャです。想像以上に良いものを観せてもらいました。    さて。彼女に何があったのか。彼を突き飛ばした後、あの勢いで吹っ飛んだんだから、五体満足なハズはない。 街に飛び散ったゴジラの肉片には、強い放射能だけでなく、強い再生能力も有している。首筋のアレは、飛び散ったコレなんだろう。 何か不吉な未来を暗示しているようにも思えるけど、私は“マイナスを乗り越えてきた日本人”を表しているんだと思った。 どんなに傷つき、どんなに破壊されても立ち直ってきた日本。過去の被害を隠すこと無く、むしろ吸収して乗り越えてきた日本人。戦争、原爆、大地震も乗り越えた日本人は、ゴジラによる未曾有の破壊を受けても、それさえも吸収して乗り越える力があるんだ。という意味だと解釈しました。 …ただもし今後『ゴジラ・ゼロ』とか続編があるなら、解釈変わるだろうけど。
[映画館(邦画)] 8点(2023-11-21 00:00:20)
5.  高校生ブルース 《ネタバレ》 
オープニングの4バカ(あ、ウルトラマンタロウの人だ!)、女子の生理日チェックに、もっとヌードや性行為が売りの、ロマンポルノ的な映画かと思っていたけど、大人に成りかけの子供が妊娠してしまうという、当事者の悩みと苦しみが丁寧に描かれていて、エロスよりそっちに関心が向かってしまい、観終わって心がズシンと重くなる内容でした。 スラッとしてスタイルと姿勢が良く、顔立ちが整っていて、今の目で観ても美しい関根恵子。当時15歳にしては大人びて観える。 彼女の表情が演技演技していなくて、例えば昇に妊娠を告げる不安げな表情。佐伯のオジサマに嫌悪感を示す表情。とてもデビュー作は思えない。  興味本位で美子と関係を持って、妊娠を告げられて動揺する昇の台詞。責任を背負いたくない感じがよく出ている。 それでもスラックスにネクタイで、妊娠の本を読んだり産婦人科に行ったりと、子供なりに何とかしようともがき苦しむ姿が生々しい。堕胎費用を工面しようと、美子にも家族にも内緒でバイトするところなんか、自分が撒いた種、美子の妊娠を無かった事にする努力がリアル。内田喜郎がこれまた見事に演じていた。賢そうで内気っぽく、イザって時に頼りなさげなところが、イケメン五十嵐とまるで違う。でも目に力があるなぁ。窓際から美子を見る姿に、昇が何を思っているのか手に取る様に解る。  クライマックスの体育倉庫の衝撃。本当に、痛いんじゃないか?これ、演技なのか?関根恵子、演技でこんな表情出来るのか?デビュー作で。若干15歳で。 昇の苦しそうな表情から、徐々に遠慮が無くなる負の感情も伝わってくる。自分が撒いた種なのに、まるで逆恨みのように。延々と続く苦しみの表現に思わず目を伏せたくなってしまうが、目が離せない。映像の力が凄い。 硫酸。いつも笑っている少女。微笑ましいカップル。そして今の自分。「~これから始まるのよ…」オープニング同様、堂々と胸を張って歩く美子が美しい。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-01-12 23:00:31)
6.  言の葉の庭 《ネタバレ》 
水面にちょんちょんと葉っぱを点けるカエデの葉。ゴツゴツしたアスファルトに染み込みきらない水たまり。『アニメーションでこんな事も表現できてしまうんだぜ!』って言葉が聞こえて来そう。 映像の美しさもここまで来ると、市販目的ではないモーターショーのコンセプトカーのようだ。  27歳の女教師ユキノ。この年齢を出してしまったのは、短い上映時間で少年の告白に“越えられない壁”を感じさせるよう、無理やり用意した感じがしてしまった。23歳とかだったらタカオの若々しい言葉の勢いで押し負かせそうだし。 バイトして時々授業をサボる15歳の少年、しかも自分の学校の生徒と、教師になって5年ほどの社会人とで恋愛を描く事自体、ちょっと無理な感じがしてしまう。タカオをせいぜい2年生に、ユキノを年齢不詳(裏設定で実は27歳。はアリだと思う)に出来なかったものだろうか? 授業をサボってる制服の少年の隣で、その高校を欠勤している教師が金麦を飲む光景。公の場で未成年者に素足を触らせる女の光景。あの庭園のベンチが2人にとって異世界だったとして、ユキノの脇の甘さ、隙のある女感が出ていた。それはタカオに対してではなく世間に対して。ここに少年が素足を触るドキドキはあっても、誰かに見られるかも?のドキドキが乗っかってないのが、残念というか…イジメというある意味世間体に押し潰されて辞める人なのに。  伊藤先生というのは妻帯者だろうか?遊んだ女を体良く追い出す為の優しい言葉。そんな男でも他に相談する相手がいないユキノ。 タカオの告白を大人らしく受け流した後に、裸足で追いかけて転んで抱きついて泣き出して。綺麗なんだけど、ソコまでしか描かないのはズルくないか?綺麗な所までしか描かず、その後2人で部屋に戻ったのか、泣きやんでお別れしたのか。2人で散歩に行ったのか。 そんなのどうでもいいでしょ?と言われればその通りなんだけど、なんか「そのコンセプトカーの売りの電動ドアが壊れたら、どうやって出入りするの?」の回答が出ない程度のもどかしさを感じた。もっと言うと、創った人でさえ答えを用意してないであろう所に、新海さんの短編映画の癖を感じてしまった。 そうは言っても、万人受けする市販車もきちんと作れるんだから、すごい才能を持った人だわ。
[地上波(邦画)] 5点(2022-12-18 22:32:00)
7.  心の旅 《ネタバレ》 
-Regarding Henry- “ヘンリーに関して言えば”  この映画、20年くらい前、深夜にたまたまテレビでやってて、ハリソン・フォードが頭撃たれるところから観出して、ついつい先が気になって最後まで観ちゃったんだよね。暇な時の深夜映画の魔力って、凄いね~。  常勝の凄腕弁護士ヘンリー。妻のサラもママ友キャロルの娘が寄宿学校に不合格だったことを喜んでる。ヘンリーに限らず、この夫婦は競争に勝つことでいまの家庭を維持している。いつも困ったような顔してる娘のレイチェル。競争に勝つ力がある両親に比べ、何とも幸薄そうな子。 一発(正確には2発)の銃弾から生活が一変。今までの生活がリセットされる。常勝の宿命に縛られた、というか支えられていた生活からの開放。今まで無視していたドアマンと挨拶し、家政婦に喜びのハグをする。車で素通りしていた街並みを歩き、庶民のジャンクフードを買食いする。  いつも陽気な理学療法士ブラッドリーはフットボールで膝を壊し、再出発の人生を謳歌している。フットボールが人生の全てだったが、人の手助けをする今の人生を悔やんでない。「試合に勝ってたら伝説だったな」勝ってたら過去の栄光を引きずってたけど、負けたから開き直れた。 行き過ぎた競争化社会から、自分の身の回りを見つめ直そう。競争で勝っても幸せは掴めないのかもよ?そもそも幸せは、もう掴んでいるのかもよ?あなたにとって本当に大事なものって何?そんな問い掛けの映画に思えた。 『卒業』のマイク・ニコルズが、今回、公の場から強引に連れ出したのは最愛の娘。  「チョットイイデスカ」日本のサラリーマンたちと何やら打ち合わせをしていた所長チャーリー。 『フィールド・オブ・ドリームズ』でも思ったけど、やはり当時の日本はアメリカにとって脅威だったんだな。過去の戦争で打ち負かした国が、今はアメリカに侵食して来ている。ベトナムでは戦争に負けた。世界のランキングでアメリカはまだ勝ってるけど、そんなの、いつまでも続かないかもよ?ずっと勝ち続けるために無理するより、ちょっとリセットしない?競争しないでも、今のアメリカは充分に豊かだよ。  “ヘンリーに関して言えば” 裁判で証拠隠滅してても、お世話になった会社に不利な証拠を係争相手に渡しても大丈夫。 最初に発した言葉が「リッツ!」でも周りは上手く勘違いしてくれるし、奥さんまでダブル不倫してても、ふぐ料理に誘った思い出があれば大丈夫。 今後は身の丈にあったマンションで、新しい仕事で、親子3人+犬一匹、仲良く楽しく暮らしていくんだよ。 さて、あなたは?
[地上波(吹替)] 7点(2022-09-18 12:27:57)
8.  今夜、ロマンス劇場で 《ネタバレ》 
素材は日本版・逆カラー・オブ・ハート。ローマの休日とニュー・シネマ・パラダイス&キネマの天地&蒲田行進曲で味付けして、最後はタイタニックも加えてと、なんだかいろんな映画が混ざった不思議な映画に感じました。 それでいてこの映画自体の味(素材の味みたいな)があまり感じられず、モト映画が感じられた途端に、この映画が薄っぺらい作品に思えて、拒絶感が出てくる。というのも解る気がします。  カラー・オブ・ハートを持ってくるなら、モノクロとカラーの違い、美雪の中の苦悩や不便さをもっと丁寧に書くとか出来たろうに、古い映画の登場人物って記号に使われるだけ。劇中雨を降らせてるから、私なんかは化粧が落ちるんじゃないか?と展開先読みしたけど、単に虹を出したかっただけだったり。化粧が落ちない説明も特にないくせに、ラムネこぼした時にアッサリ化粧が落ちたりとか、処理の甘さが目について、消化不良に感じてしまった。 他にも、美雪を演じた現実の女優さんは?とか、女優さんのことは健司気にならないの?とか、美雪が消えたあとの『お転婆姫と三獣士』の中身は?とか、フィルムを売るって話は?とかそういう素朴な疑問点を丁寧に書くのも、映画を面白くする要素に思えたんだけど、バッサリ割愛するんだもんなぁ… 北村一輝のキャラ(俊藤龍之介)はとっても面白くて、大物感やセリフの説得力、当時の映画業界の勢いと役者のスター性を感じられてとても良かった。もっとストーリーに絡んでほしかったし、何なら彼も“あっちの世界の人”にしてくれても良かったかも?  エンディングについて、健司と生涯を伴にしたって物語は、一般的なロマンス映画では選ばない選択だと思うのでとても良かったと思う。周りに『介助もしない遺産目当ての孫娘』と思わせるなんて。でも当然これってハッピーエンディングとは言えない、現実的に辛い道を選んだわけで、あの最後のシーンまでに、二人の間に気の遠くなる時間と、もどかしさがあったんだろうと想像されるのも、意外性があって良かった。 二人きりの病室で、美雪が消えて、健司が天寿を全うし、現実世界の二人の物語は終わります。ここで終わりなんです。  ここから先、みんな勢ぞろいの舞踏会は、アレあくまで健司が仕上げた“今夜、ロマンス劇場で”の脚本、創作なんですね。でもなんか『健司が死後に映画の世界に行って美雪と触れ合えた。』みたいに観えてしまいます。たしかに蛇足だ。 モトの結末(たぶん健司が劇場で美雪に触れて消える)から、社長の注文で『結末だけはハッピーエンドにしてくれ』と。 病床の健司が看護婦に話すお話も映画の脚本の話であり、本当の二人の物語は誰にも語ってません。ロマンス劇場の支配人もそうしたように。 あと私としては、舞踏会の劇場支配人は高峰節子(支配人が愛した女優)と手を繋いでいてほしかったな。 現実世界で生涯触れることの出来ない辛い道を選んだ健司にとって、脚本を完成させて、美雪との物語を人に観せるということは、二人の秘密を他人と共有することであり、二人だけの物語の終わりを意味しているから、いくらハッピーエンドに書き換えてるとは言え、ホンネはどう思っていたんだろ? この映画、素材自体がいい味出してると思います。もう少し丁寧に創っていれば、2010年代を代表する邦画の名作にもなったと思う。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-08-21 14:42:13)
9.  ゴンドラ 《ネタバレ》 
風景がとっても綺麗なんだ。昭和末期の懐かしさもあるんだけど、「あ、この景色をもう少し観ていたいなぁ」って思ってたら、思いのほか長回しで観せてくれる。そのため、ゆったりとした気持ちで観ることが出来たわ。 初潮が来たのに頼れない母親。話題にもしない親子関係。1人で淡々とナプキンを買い、淡々と水着を洗う無表情の11歳が悲しすぎる。象徴的に視界を遮るブラインド。親子どちらも見たくないものは見ない、2人とも、都合の良いものだけを見るブラインドを持っている。 セリフがないから最初何を考えているか解らない窓拭きの青年と、孤独な少女。2人が出会い、再会し、夜の公園で語り、雨の夜に泊まり、2人きりの旅行へ・・・どう考えたって青年の不満が爆発するとかして、2人とも不幸な結末になることを想像してしまう。  地面に書いた楽譜を消す清掃車。メトロノームの音の奥で夫婦喧嘩。大好きな父親との思い出は、夫婦喧嘩の場面ばかり。夢の中のかがりは黄色のドレス。家庭も学校も現実がイヤすぎて、“もう無理”って意味の黄色信号なんだろう。黄色が象徴的に使われている。 良の優しい言葉に、最初しばらくはツンツンと不機嫌に答えていたのに、段々打ち解けて、良について次々質問するかがり。「青だよ」徐々に心も開いていく。かがりなりのお礼だろうか、良の海の話を絵に描くかがりが可愛らしい。無愛想に現金を渡してた子が、徐々に心を開いていく過程が丁寧に書かれている。グラスの水に広がる青い絵の具も、かがりの安心感や安らぎの現れかもしれない。 高熱を出したときも夫婦喧嘩していた両親。ここでは赤が使われている。母親の服装も赤。かがりの限界を超えたんだろうな。  〜※レビュー数が少ない作品にも関わらず、ここから先はかなりのネタバレを含むので、出来ればこの作品を観てから、読んでみて下さい。〜   東北の田舎で、良のお母さんが作った素朴なご飯をみんなで食べる。「この魚美味しい」こんな事言いそうにない子だと思ったのに。 不安の象徴だった蜘蛛が、ここでは良の実家を守っている。大きい浴衣でニコニコ笑顔。家の中が笑いに包まれて、観てるこちらの心もほぐされる。 山道や海岸を延々と歩く2人の映像。何のドラマも起きない、特にセリフもない時間だけど、すっごく心地よい。おにぎり美味しそう。 これさ、ラピュタ以降のジブリが何度もトライしている、リアル路線の完成形じゃないかな。伊藤監督というのか。長編映画初監督作品で、コレって凄いことだと思う。ノスタルジーの押しつけを感じない自然の心地よさ。  かがりの両親は最後、どうなったのかな。あの建物は何だろう?警察?裁判所?あのベンチの距離から2人の再婚は考えにくいから、かがりの親権を父親に譲ったのかな?って勝手に想像。 スクラップ・アンド・ビルドで建造物だらけの住みにくい都会。田舎を捨てて東京に集まっていく若者たち。廃れた田舎で以前のままの生活を続ける高齢者。若者の居なくなった学校は壊してそれっきり。そんな田舎で壊れたゴンドラを、別の壊れた船の板で直す良は、まるで父親との関係を修復しているようだ。 「もう帰るトコなんて無いの」から「帰りたくないなぁ」に。かがりの気持の変化が、セリフの少ない映像で充分に表現されていたと思う。 そんなかがりに良が送った言葉「どんど晴れ!」。「君が好きだ」とか「ずっと居て良いんだよ」とか「2人で頑張ろう」なんてありきたりの言葉でなく、『めでたし、めでたし。』って意味の方言。素晴らしいセンス、言葉のチョイスだと思う。 チーコを海に還して、かがりの心にも帰る田舎が出来た。だから東京に戻ってもきっと頑張れる。純真無垢な2人に私まで元気を貰えたわ。 さぁ明日から私も頑張ろう。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-07-29 00:07:43)
10.  小鳥たちのいない花園 《ネタバレ》 
すごく暇な時に『まだレビュー数0の作品』のトップに、たまたまこの作品名があり、どんな映画だろう?と検索したら、某動画配信サービスで丸々全部観られるのを発見。短い作品だし観てみました。 時代はバブル真っ盛り。男女数人がホテルの一室に集まり、ドラッグキメてパーティのつもりが…みたいな内容。服装から髪型から、何もかも懐かしい…  短編映画なのでインパクト重視の創り。最初のスクーターの事故回想シーン(リアリティはともかくだけど)はインパクト大。その話を聞いて盛り上がってるんだから、全員偏った趣味(&性癖)の人達の集まりのようだ。 この集まりの目的が乱交なのか、集団自殺なのか、イマイチ伝わらなかった。自分の体を切らせる客の話で「今度私にも紹介して」とか言ってたと思うから、運悪く薬が効きすぎての事故なんだろう。  子供の頃、ギニーピッグとかってリアルな暴力描写がウリのビデオ(未見)があったけど、本作はその進化系だろうか。実際の凶悪犯罪により、過激な描写に制限が掛かっている時代、内蔵とかのグロ描写は極力避けて(でも血まみれのドバドバです)、笑顔で殺し合う男女(薬のせいだけど)を思いっきり撮ってみたい。そんな監督の心の声が聞こえてきそうな作品だ。 だけど正直、映画の中の彼らがどうなろうと、一切興味を持てなかった。映画的には1人くらい薬の効いてないマトモな人を置いてほしかったけど、出てくるのは似た者同士。金と時間がありすぎて、普通の娯楽に飽きたのか、人の死を喜んで話すような若者たちが、他人を傷つける事なく勝手に殺し合うんだから、もう好きなようにしてくれと。  そもそも万人受けを狙っていない短編映画なので、この映画を観るよう誰かに頼まれた訳でもないのに、自分の意志で勝手に観て、私には合わないからと、低い点を付ける事に、ちょっぴり申しわけ無さすら感じるわ。 こういう映画は好きな人たちで勝手に盛り上がれば良いんだわ。この映画の男女のように。
[インターネット(邦画)] 2点(2022-07-26 22:56:43)
11.  極道の妻たち 《ネタバレ》 
ヤクザ映画の人気シリーズなのは知っていたけど、今回が初見。・・・思いの外レビュー数も多くないのね。 映画を観ていなくても岩下志麻=極妻のイメージだけは浸透していて、この一作目で、彼女がどのような経緯でヤクザの女房になり、組員に慕われ、恐れられる姐さんになったか。そんなプロローグに興味があったけど、もう初っ端から肝の座った姐さんだった。  「あの世へ行って本家の親父さんの許しを貰ってきとくんなはれ」美味い話なのに仁義を通す。姐さん格好良いなぁ。 「あんた、指詰めなあかんなぁ」パット練習しながら、目も合わせずに言い放つ迫力。まるでゴッドファーザーのような立場、相談っぷり。極道の厳しさと女性の優しさと併せ持つ環のキャラクターは、マンネリ化していたヤクザ映画の中で、異彩を放つ新鮮なキャラクターだったことだろう。 しかし岩下志麻とかたせ梨乃の取っ組み合いが観られるとは思わなかった。  環と真琴の姉妹、真琴が杉田に惚れる過程と、環が巨大なヤクザ組織の跡目争いが同時進行し、この2つの話が上手い具合に絡み合って、壮絶な結末を迎える。やくざモノって言うと、○○会だの△△組だのって組同士の対立に、傘下組織がいっぱい絡んで複雑なものが多い印象だけど、この映画は案外解りやすく思えた。清水宏次朗演じるチンピラとお父ちゃんの関係、柿沼組長襲撃の経緯とか、掘り下げると色々面白そうだったけど、余計なものを排除した結果、判り易く、姉妹の争いに集中出来るストーリーになっているんだと思う。  血みどろで壮絶な、それでいて悲しい結末に、環と真琴のその後の物語も気になってしまった。パート2観ようと思ったけど、この話の続編じゃなくオムニバスのようで。岩下志麻が復活する4作目も、この話の続きではないみたいで…監督も変わってるし、どうしようかな。 “鬼龍院花子の生涯”観るほうが良いのかな。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-06-18 15:38:52)
12.  荒野のストレンジャー 《ネタバレ》 
-High Plains Drifter- “高原の放浪者”ハイプレーンは地名(地域名)かもしれません。 売られた喧嘩は買ってしまう凄腕のさすらいガンマン。これ最初のレイプがなければ案外普通の“偶然立ち寄った街を救うさすらいのガンマン”映画かも知れない。当時は『西部劇だし多少やり過ぎ感はあるけど…』って感じだったのかな。中盤以降特に関係ない話だし、あまりここに拘ると全体像を見失うのかも。  湖の畔のセットっぽい街に、3人の無法者が復讐にやってくる。銃が沢山あれば町の人達で何とか出来そうだけど、ただ凄腕ってだけで用心棒を殺したガンマン1人を雇う保安官。町のもの全部無料にするなら、金鉱という隠し財産があるなら、もっとちゃんとした人を雇えそうだけど。 街に雇われてやりたい放題のガンマン。インディアンに毛布やお菓子をごっそり与え、保安官と町長をモーデカイにして、納屋の壁をパーティのテーブルに作り変えさせ、ラーゴの街看板を地獄と書き換え、建物をペンキで真っ赤にする…これがまた明るい赤で、恐怖の演出というより、インスタ映えしそうな可愛い赤い街になってしまった。 さて3人の無法者はパーティ会場や赤い建物なんて気にもせず街を占拠。ガンマンもどこかに行ってしまい、町民は戦わず逃げるばかり…やられたい放題やられる町民。う~ん、あのトレーニングは何だったのか?  結局名乗ること無く街を立ち去るガンマン。無念にも殺された保安官ダンカンの・・・何かなんだろう。 しかし鞭で打ち殺すって、銃で撃ち殺すより残酷で、それを羊のような大人しい町民みんなが見ている目の前でやらせてたっていうのは、正義ってなんだろうって思わせる。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-05-30 13:25:00)
13.  ゴースト/ニューヨークの幻 《ネタバレ》 
-Ghost- “(その場に居るはずなのに)居ない人” まぁ日米ともに“幽霊”で通じますが、解釈のニュアンスが微妙に違う気がします。 NYの広いマンションに住む銀行マンが、夜中の2時にろくろ回す美人の彼女とセックスしたり、満員のエレベーター内で感染症ジョーク飛ばしたり、観たくもないマクベス(チケット幾らするのよ)観たりして殺される映画。…たぶん3回位観てるけど、こんな印象でした。フジテレビのトレンディ・ドラマみたいな主人公の生活感の無さが、とっても嫌いだったんだと思う。 今回10数年ぶりに観ましたが、こんなに面白くわかりやすく、よく出来た映画だったんだ。CM、前評判、観る前から色眼鏡で観ていた自分の浅はかさ。当時からレビュー書いてたら、今とむかしで全然違う感想になってる作品だと思う。  口座データの異変と手伝おうとするカール。撃たれたことに気が付かず犯人を追いかける主人公。親友が犯人。物を動かす力。インチキ霊媒師が持つホンモノの能力。伝えたい事が伝えられないもどかしさ。地下鉄のゴーストとの交流。銀行にオダ=メイ。伏線の回収と意外な展開がギュッと詰まっている。ゴーストの設定を事細かに説明せず、サムとオダ=メイ、数人のゴーストの行動で理解させる“観せる技術”。  カール(上半身ハダカ)の策にハマってキスしてしまうモリー(ノーブラ)。そこに偶然サムとの写真がパタリと…何かをキッカケに思いとどまるという、誰でも経験しそうなこと。そのキッカケがゴーストの仕業かも?日本だと虫の知らせなんて言うけど、なんか妙に説得力を感じてしまった。 地下鉄のゴースト。恐らく地縛霊で、恐らくずっと天国にも地獄にもいけない存在。会話とコミュニケーションが出来たのに、急に意思疎通が出来なくなる所、なんか可哀想に思えた。黒い死神?に連れて行かれたらどうなるのか?サムは光に包まれてどんな世界に行くのか?映画を観てもサム目線での理解しか出来ないけど、怖いだけじゃないゴーストの存在する世界は、ゾンビ映画並みに創作意欲を沸き立たせる見事な設定。  オダ=メイの体を借りて抱き合うサムとモリー。こんっっなに綺麗なシーンだったのか。過去何回か視聴して何とも思わなかったのに、今回初めて涙が出た。 点数ちょっと甘めかもだけど、これくらい良い映画に思えました。
[地上波(吹替)] 9点(2022-05-22 16:08:14)
14.  コンスタンティン 《ネタバレ》 
キアヌの代名詞的なアクション映画シリーズって、これだっけ?と、ジョン・ウィックと間違えて視聴。ヘビースモーカーで青白い顔したキアヌのキャラと、ダークな宗教観と夜の街がバッチリ決まってて、思いの外楽しめた。  社会の裏側でワラワラと存在するハーフ・ブリード。事件に巻き込まれる美女。悪魔を倒す聖なる武器。特殊能力を持つ主人公と、そんな能力のない仲間。これは、私の好きな某ヴァンパイア映画によく似た世界観とストーリーではないか。スプリンクラーが印象的に使われるのも、悪く言えば既視感だけど、コレはコレで。あっちはマーベル、こっちはDCコミックが原作なんだね。  ハーフ・ブリードの倒し方がバッチリ決まっていて、倒す為の聖なる武器の数々がアツい。十字架の銃にメリケンサック。キーキー虫やドラゴンの息といった小物まで、まるで007のQの発明品のような面白さがあった。シリーズ化してたら、次はどんな武器が出てくるか楽しめたと思う。  羽の生えたガブリエル登場で思い出した。あれ?これ一回観てる。でも最初の方初めて観た気がしたから、きっとテレビで流れてたのを途中から観たんだろうな。その、ガブリエル役のティルダ・スウィントンの“人じゃない感”が凄く印象に残ってた。 その手があったか!なルシファーの選択。最後のガム。よくまとまっていて面白かった。 最後のチャズがよく解らなかったな。モトから?新たに?ハーフ・ブリードが定員制で、ガブリエルの席が空いたからそこに収まったってことなら、バルサザールの席も空いたからって感じに、続編が作られそうだったけど…
[DVD(字幕)] 6点(2022-02-10 10:42:53)
15.  50回目のファーストキス(2018) 《ネタバレ》 
常夏のハワイらしい日差しの強さを、敢えて白飛びで表現するところが良いね。毎日変わる色とりどりのアロハシャツも良い。行ったこと無いけど、良いところなんだろうな。 『四季がないからバレない』その結果がもたらす良し悪しはともかく、出てくる人がみんな良い人で、親子に留まらず瑠衣の為を思って毎日細工をしている。リアリティはともかく、気持ちの暖かくなる映画。 大輔との触れ合いで、瑠衣の服が毎日変わっていくところ。無意識に瑠衣の気持ちに変化が起きているように思えて良かったと思う。 記憶が続かない自分に子供が出来ることへの不安。毎日自分のお腹を見て驚く事への不安は、想像しただけで恐ろしく悲しい。  リメイク作品とのことで、モトの方も観てみたいと思った。福田監督といえば、クドいくらいに笑いを取ろうとして、そこが私の好みに合わないこともあるんだけど、今回は作品のテンポを壊すほどには感じられず、程々の味付けに思えた。その辺りモトの方はどんな塩梅だったのか気になった。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-01-30 00:45:47)
16.  ゴルゴ13(1973) 《ネタバレ》 
イラン(革命前の最後の王朝時代)というのが良いですね、日本との合作だけど、イランの映画は始めて観た。この時代のテヘランは、けっこう発展した豊かな大都市に見える。 そして健さんの引き締まった上半身。鋭い眼光。そして健さんのベッドシーンは、短いとは言え初めて観た気がする。健さん意外みんなイラン人。本作は日本語吹き替えだけど、撮影現場では何語が飛び交っっていたんだろう?想像すると面白い。 また登場人物は現地の俳優さんを使っているらしく、wikiを辿ると、皆さんの活躍の記録(ペルシャ語?読めん)があった。  ただ作品内容は、原作者、映画製作者、原作ファン、健さんファンの、誰も得しないような創りに思える。 ゴルゴ13といえば、もっとゴッツい西洋人並みの体格なイメージがあって、見るからに細身の東洋人な健さんは、当時のヤクザ映画で活躍していた、いつもの健さんにしか見えなかった。  ゴルゴらしい狙撃のシーン。ターゲットの顔が解らない。“マックス・ボアは小鳥が好き”ヒントをモトに、鳥かごを撃つゴルゴ。小鳥が懐いた奴がターゲットだ!…って展開は、ゴルゴ13らしくて盛り上がった。ここでビシッと決めてたら、そこそこ楽しめる短編映画になっていたかもだけど、ゴルゴ仕留め損なうし。狙撃中に敵の返り討ちに合って負傷とは、なんともゴルゴらしくない。 その後、現地俳優(アマン夫婦とキャサリン)の活躍?と観光地巡り?も入れて、ちょっとテンポダラケたけど、最後の狙撃はビシッと決まってた。でも、なぜ小鳥まで殺したのかゴルゴ!?
[インターネット(吹替)] 3点(2022-01-26 23:32:10)
17.  この子の七つのお祝いに 《ネタバレ》 
たまたま最近、産まれたばかりの子供を誘拐して育てる映画が続いたけど、こちらのお母さんは娘に復讐を植え付けるという、最悪の幼少期を過ごさしている。 -この子の七つのお祝いに- は、童謡の“とおりゃんせ”の歌詞の一部からだろう。子供の死亡率が高かった昔のこと、七歳までの子供は神と人の中間みたいな存在と考えていたらしく、無事に七歳を過ぎれば、その子は大人になるまで成長できる。との言い伝えがあって、七五三のお祝いなんかがその名残らしい。  作中の本当の麻矢も四ヶ月で亡くなっている。“鼠に噛まれて”という今の時代では考えにくい悲劇が、戦後の貧しい時代をまざまざと感じさせる。真弓は精神を病んでいたにもかかわらず、誘拐したきえを七歳まで(=人としてきちんと生きていける年齢まで)育て上げること、復讐を植え付けることをを生きる糧としていたんだろう。たぶん真弓は、自分の幸せを奪った高橋の元妻のみやこが死んだことも知らずに死んだんだろう。  手相占いの才があるゆき子が、手形をモトに父を探す設定も、親子の手相(遺伝)で謎解きするのも面白い。けど手相や手形が重要なキーワードなら尚の事、幼少期の自分の手相が他人(本当の麻矢)のものだって、気が付かないものだろうか?手相って子供と大人で特徴が消えるくらい変わるんだろうか?って思う反面、自分が真弓の子じゃないなんて、母を疑う気持ちもなかったんだと思うと、“操り人形”ゆき子の生涯がとても悲しく思える。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-01-13 21:34:18)(良:1票)
18.  ゴーストバスターズ(1984) 《ネタバレ》 
-Ghost Busters- “幽霊撃退業者” 今年のクリスマス映画に選んだのがコレだったんだけど、あんまクリスマス感無かったや。 公開された'84年のクリスマス・シーズンには、本作とグレムリン、'84ゴジラで『3G対決』って言われて賑わってたっけ。 ユニークなマシュマロマンのキャラ人気から、学校ではこのゴーストバスターズが一番人気だったけど、観た人の反応はどこかイマイチな印象だったような。  3人組が大学をクビになって、ゴーストバスターズを始めるのは良いし、街にゴーストが溢れてる展開も面白い。あんなゴーストが身近にワラワラと居たら、そりゃワクワクするよ。 だけど話が進んでいくと、なんだか違和感が。主人公達の捕まえたゴーストたちが、いわゆる電源オフで逃げ出せるような捕獲方法なのはどうなんだ?もし停電でも起きたら、ペックが電源を落とすまでもなくゴーストが逃げ出していたと思うと、ゴーストバスターズの処理方法、管理方法って杜撰じゃないかな。 一度捕まえたゴーストが散らばっても、まぁ一度捕まえた連中だしって思うけど、話がゴーザの復活になってくると、もう街は放ったらかしで、戦いの場はディナのマンションだけと、だんだんスケールダウンしていく感じ。  レイのズボンを下ろすゴーストとか印象深かったけど、アレ結局なんだったのかな。最後ゴーザを倒して、街は平和になったぜ!って感じのエピローグのあと、緑のゴースト(スライマーというのか)が飛んでいくの、映画のエンディングでは有りがちだけど、あれって街に放たれたゴーストたちとゴーザは無関係ってこと?じゃあ街にはまだまだゴーストがわんさと居るの?あんな大団円っぽい終わりなのに? 4人目のウィンストンを入れた意味も謎。10人グループの中の3人が主役とかなら解るけど、4人グループの3人が主役って、どういうメンバー設定だろ?  人気があったから2が作られたのはともかく、のちのちリブート作や同窓会的な続編まで作られる事に驚く。…そこまでオイシイ作品かなぁ? シリーズはともかく、本作品は飄々としたビル・マーレイの魅力と、まだまだ仕事を選ばないシガニー・ウィーバーの体当たり演技は今見ても色褪せない。 そして印象的なテーマ・ソングはもちろん、フル装備で人混みを駆けていくゴースト・バスターズ。夜のマンハッタン橋を走るECTO-1(専用車)などなど、数年に一度観たくなるシーンも多く、魅力的な作品ではある。
[地上波(吹替)] 5点(2022-01-01 17:13:04)
19.  極道めし 《ネタバレ》 
囚人には貴重なご馳走、おせちの一品を賭けた戦い。 如何に聞き手の食欲をソソるか?が本作の醍醐味なハズ。だから聞く人に味が伝わりやすいメニューで勝負するハズ。南の海鮮BBQのように、聞き手に伝わらない残念話を交えつつ、“もう一人の囚人”である私が鑑賞後“そうそう、あれ美味しいよな、よしこれから食べるか!”と思わせなきゃいけないんだけど、それが何故か、母ちゃん、息子、飲み屋の女、元カノと、食べ物あるあるより、ホロリと来る人情話ばかりを入れてきた。  原作はいわゆる“飯テロ漫画”だったけど…オムライスにカレーを掛けるまではアリとして、奥にカルボナーラとなると未知の味になる。何よりガチッと厚い卵に覆われた、粘土みたいなオムライスはシズル感がまるで無い。普通のお母さんが作るようなオムライスのビジュアルで良いのに。 土鍋ごはんに産みたて卵(あのオレンジの黄身は美しかった)に醤油だけで充分なのに、バターに焼いたとうもろこし…余計なもの混ぜ過ぎ、入れ過ぎだ。そしてこの元ホストの食べ方が汚い。食べ物を含んだ口の中見るの苦手。でもこれは役者さんの演技のせいではなく、『勢いよく食いながら全身で悲しめ』とか、監督なりの要求であんな事になったんだろう。  原作では大体ひと晩で淡々とバトルが行われたのを、何日も跨ぐモンだから、飯話の合間にオナラとかウンコとか食欲減退シーンを挟んでくる。アレ面白いと思ったんだろうか? チャンコが手紙を食うのも意味が解らない、ってか怖い。それで栗原が独房に入るけど、後ろ手に縛られて食事を犬食いさせられるとか、暴れた栗原が顔ボコボコになるまで暴行受けたりとか…日本の刑務所であんなこと実際あるの?田中要次が人情刑務官っぽく出てくるけど、あの暴行で全部ブチ壊し。 栗原がしおりにした仕打ち(しおりの家に女連れ込むとか)も許せるものじゃなかった。そもそも社会で悪さをした囚人たちが、今まで一番美味かったものの話をする時、つい滲み出る人間臭さがこの物語の魅力だと思っているから、栗原の出所後(お勤めを果たしたあと)がどうであろうと…  俳優さんは皆さん頑張ってるし、牛のアニメ?は工夫の跡が見えたけど、地方の古民家でロケするお金がないからセット。時期的に海岸で撮影できないからセット。人気漫画が原作のグルメ映画だから、時間もお金もケチったって、そこそこお客は入るだろう的な内容。もっと丁寧に作っていれば『極道めし2』も創れただろうに、もったいない。
[インターネット(邦画)] 2点(2021-11-25 01:35:44)
20.  獄門島(1977) 《ネタバレ》 
戦後を舞台にしたシリーズだから、軍に徴用された釣り鐘のエピソードとか、復員兵詐欺とか、戦後特有の空気がいい雰囲気だ。 “獄門島”という名前、その由来、そして本家・分家の争いと、犬神家同様に怨念渦巻くドロドロした内容が想像できる。オマケに海賊の生き残りまで上陸している。小さな島で犯人が解らない殺人事件が起きてる割に、思いのほかのんびりした雰囲気で話は進んでいく。 床屋に現れる鵜飼、黙っていると不気味なのに、しゃべるとナヨっとして不気味さぶち壊し。3人娘が揃ってキチガイの役だって、いまいち解ってなくて、単に(当時の)今風な、大人の話の通じないギャルなんだなって観てしまった。花子が殺されても、残る2人とも雰囲気があのまんまだったから、なんか拍子抜けしてしまったというか、観てて緊張感が無かったというか… お小夜が一番不気味。草笛さん綺麗。与三松の弟を念じ殺したとか、恐い。本鬼頭に居座るお小夜を座敷牢に入れて狂い死なせるなんて、こんな怖い話をなぜ映像化しなかったのか。同じ座敷牢で飼い殺されてた与三松。鍵を開けられてから行方不明だったと思うけど、どこで何してるんだろう?見逃したかな?  俳句をモトにした殺人(というか死体の残し方)は、過去2作同様印象的なんだけど、金田一シリーズを現代の怪談映画然としているのは、殺人や死体の内容と言うより、その舞台となる家や村から漂うおどろおどろしい空気が大事なんだな。って思った。絵面がカラッと爽やかになったために、精一杯おどろおどろしさを演出するための、あのオープニングの不気味な絵だったのかもしれない。あと島に掛かる夕陽の上に、上手い具合に雲が掛かって、まるで鬼の目のように見えるシーンは恐くて美しい。よくあんな画が撮れたよ。  犬神家の大ヒットから、当時横溝作品の実写化が盛んだったとは聞いていたけど、まさか公開直前に獄門島がテレビドラマ化されるなんて。それで犯人を変えざるを得なかったんだろうか? 石坂金田一のシリーズ3作目にして、昭和21年の事件との事だから、犬神家の前の年が舞台。この辺り、今だったら“○○ビギニング”とか“○○エピソード0”とかってやりそうだけど、特段シリーズとしての関連性も、説明もなく物語は進む。でも最後お七に、これからどこに行くかわからないと言っているから、東京で探偵をやる以前の話ってことになる。ウィキであらすじ読んだら、金田一はこの事件をキッカケに探偵事務所を開いたらしい。けどわざわざ「探偵の経費で落とせる」ネタを入れるためだけに、この辺の筋を曖昧にしたのかな。  たぶん映像で一番印象に残るのは電線のスズメだと思う。あれは可愛い。小林昭二のフンドシ姿も素晴らしい。それ以上に公開前の“特報(トレーラー)”の短い動画の、坂口良子がトンデモなく可愛い。出番は4秒くらいだけど、You Tubeにあると思うので、興味があれば是非。
[DVD(邦画)] 5点(2021-10-03 21:46:34)
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