21. インサイド・マン
《ネタバレ》 ああこりゃあ、作り手がオチを過信しすぎているよなあ。 「どうだ驚いたか!すげーと思うだろー。」と喜ぶあまりに、作品としての出来に手を抜いてしまった結果、初めて見せられた人間は「なんだかなあ」と思うようなものになってしまっている。 銀行強盗の話に唐突に「ナチス」を出してくるあたり、強引だよなあ。「だから盗んでもいいんだ」って言われてもなあ。だいたい私は犯罪賛美ものは好かんのだ。スパイク・リーだからがまんして見たのに。 はっきりいって、ナチとかじいさんの過去なんか出さずに、「銀行強盗です。金目当てです。んで、頭使います。」ってことでよかったのに、と思う。せっかくのジョディ・フォスターも中途半端な役回り。哀れなユダヤ人を食い物にしてのし上がったじいさんと同じく、じいさんと組んだマデリーンも同じように「その道」の階段を登り富と力を貯えてゆくんですか、なるほど。それがどうなの。何を思えばいいの。 なんだか知らないがアラブからアルバニアまで出てくるあたり、人種が入り乱れてのいつものスパイク・リーらしさは感じるが、「25時」のように鑑賞後までじんわり来るような視聴後感はゼロ。即忘れてしまいそう。 しかし、監禁と暴行が完全に無視されて、「物が盗られなかったからいいじゃん」てな感覚には映画とはいえついていけぬ。スパイク・リーの考える正義とはそんなんでいいのかアメリカさんよ。身体の自由の権利はどこへ。 [DVD(字幕)] 5点(2006-10-13 23:50:32)(良:3票) |
22. IZO
《ネタバレ》 三池って人のことはよく知らないが、団塊の世代っぽいな。違うかしら。それでは私が斬りましょう。三池さんてきっと、小さい頃はいじめられっ子でさ、体も細くて病弱だったわけ。そんで、大人になってからも、いろいろいじめられたと本人は思っていてさ、いじめたやつを見返したくて怨念で死にきれないのよ。そんでこんなものつくっちゃったの。特に体が大きい奴とか、チンピラとかに怖い目に合わされてさ、「天誅」下さないといられないわけ。こんなふうにしか解釈できないけど。「体制」とか言ってるけど、「自分をいじめたやつへの仕返し」でしょうよ。「システムを破壊する」がテーマなら、運営している人間を殺すところを見せるだけではナンセンスなだけだ。「位相」って意味不明だし。あえていうなら「僕より強い奴と弱虫な僕」の力関係のことですか?とにかく変なおっさんの歌がうるさい。それと中山一也がマッチョすぎて二流プロレスラーにしか見えない。あの股間プロテクターはなんなの?? 貞操帯に見えてしまう。→「パッチギ」鑑賞後。やっぱり「痛くない」のは三池さん自身がケンカ慣れしてないからでは。 [DVD(吹替)] 5点(2006-01-13 22:51:33) |
23. いつまでも二人で
《ネタバレ》 面白くはないですね。ゆる~いです。 人が死なないからユルいとかいうことではなくて、それぞれのキャラの悩み苦しみが生きていない。「ここで不妊に苦しんでください」「ここで嫉妬に燃えてください」という感じが強くしてしまうのです。 ロージー役に黒髪ショートの女を当てるという安易さがこの作品のユルさをよくあらわしています。 洋モノに黒髪ショートの女が出てきたら、そいつの一人勝ちでモテまくるということです。その場合、恋敵はごくフツーの西洋人女のことが多い。私はこのパターンが大嫌い。 お盛んな男女がいろいろな組み合わせで励んでいる映画ということしか思い浮かばないですね。 それにしても、あの管理職氏は当然の職務を果たしているだけなのにあんな目に遭うなんて理不尽極まりないと思います。公私の区別がつかずに仕事中に抜け出すのが当然の権利だと思っているヤツは嫌いです。マジメに仕事をしている人にたいして、融通の利かないヤツとひとくくりにしてみんなでバカにする作り手はもっと嫌いです。お互い浮気をしたくせに、妊娠が発覚したら何事もなかったように元に戻るというお粗末な筋書きで、全体的にバカしか出てこない映画ですね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-03-05 15:38:20) |
24. 硫黄島からの手紙
《ネタバレ》 …ひとことでいうなら、「ハリウッド映画ですね」だ。 だってさ、作り手に日本人が一人も入っていないじゃないの。脚本は2世だか3世だか、どうせ味噌汁の味も知らないようなアメリカ人でしょ。で、ハギスだスピルバーグだ。 やはり、よその国の兵隊のことを勝手に描く、ということで、かなり遠慮しいな内容となっているのは仕方ない。「ラストサムライ」よりはなんぼかマシという程度であって、これはれっきとしたメイドインアメリカ。なじみの日本人俳優が出ているからといって、ごまかされてはいけない。 まずもって、二宮演じる西郷の、その振る舞いおよびメンタリティーの有り得なさ。下っ端の日本兵が、こんな生意気なワケがない。これは、まんまアメリカの兄ちゃんの感覚を「若いやつはどこでもだいたいこんなもんやろ」と持って来ただけ。 ケン・ワタナベ。これはもう、見事なまでにハリウッド受けすることだけを考えたそのまんま。大正もしくは明治生まれの日本人将校が、こんなハタから見てわかりやすいかっこよさを発散するワケないじゃないか。ダメ。映画「東京裁判」でも見て、「本物」の振る舞いをちょっとでも勉強してみたのか、ケン・ワタナベよ。それとも国内受けなんてことは、もはや関係なしか。 本物に見えたのは最後まで付き従った「藤田」のみだった。 で、ひとつだけ、イーストウッドが「勝負」に出たな、と驚いたシーンは捕虜虐殺。これを入れるというのは、アメリカ国内の逆風を計算に入れているということだから。 さて、太平洋戦争末期、北方領土のどこかの島で、似たような実話があったという。それは、陸軍中野学校(スパイ養成所として有名)卒業生の士官が指揮をとった最後の戦いで、弾薬も兵力も乏しい中、中野学校得意のゲリラ戦法を駆使して、ソ連軍に対し驚異の粘りを見せた。そして、無駄死にを防ぎ、決して玉砕を許さなかった、という。 私は、「硫黄島」を見ながら、その実話を思い出さずにいられなかった。その防衛戦のことを思うと、栗林の指導者としての優秀さが全く伝わってこないような、盛り上がらない脚本にはがっかりだ。(かといって、〝有終の美〟を追求する所までいってるワケでもなし) …クリントはさあ、「硫黄島」は日本の製作サイドで作ってもらって、対抗作で「星条旗」を当てる、というふうに、なんでできなかったのだろ。クロサワが死んでいるせい? ↓花守湖さん、同感です。 [DVD(字幕)] 4点(2007-06-29 01:00:11)(良:3票) |
25. イーオン・フラックス(2005)
《ネタバレ》 なんにしてもこういうのを見るとマトリックスの1とつい比べてしまう。 作り手とて同じ思いだろうなあ。 ストーリーの核である「イーオンはキャサリンのクローンで元はトレバーの妻」というのをサラッと出しすぎる。そんで「400年間キャサリンへの思いを引き継いできたというトレバーの悲しみと苦しみが生み出す重み」がゼロ。 ついでに「妹を殺されたキャサリンの悲しみと恨み」も全然描けていない。 もっとついでに「あんな地べたから遠いとこで400年間も人間離れした生活をし続けているキーパーの精神世界と重み」も、ポッスルウェイトという怪優を使っていながら猫に真珠豚に小判。 とにかく軽いですねー。 セロンはわりとお尻が大きいのでアクションには向かないのではないかと思った。 [DVD(字幕)] 4点(2006-10-07 21:05:15) |
26. インパルス
《ネタバレ》 デブ寸前のテレサ・ラッセルが、タイトなセクシー衣装に無理やり体を押し込んで撮った息苦しい(そういう面では)一作。そんな腹回りでボディラインを見せて大丈夫かとハラハラさせられていまいちノレない。 「デブラウィンガーを探して」では本格的なデブと化していたので、太りやすい体質なんだろう。 女性監督らしく、セクハラ問題を盛り込んでいるのだが、公私においてありとあらゆる男性に触られまくるロティーは、すでにちょっと触られたぐらいでは拒否すらしなくなっていて、囮捜査の売春婦役と現実が区別つかなくなってしまったのがペロンにのこのこついていった大きな理由。 検事に「(触られるのは)それは正しくない」と言われても「そういう男なんでしょ」と動じないふりをする。「いちーち抗議するほど大したことじゃないじゃない」と思っている。 小さな間違いを最初のうちに糺しておかないと、つもりつもってセクハラOK女から売春婦の真似までするようになってしまう。カウンセラーとの会話でそのへんの心の問題が解決されるのかと思いきや、フツーに二流サスペンスとして終わらせてしまったあたりがうーん、不発だ。 彼女がセクハラに対して不感症になっていることが事件に絡んでいるわけだから、もっと突っ込んで描いて欲しかったと思う。だいたい初対面の仕事仲間とすぐ寝る事自体が壊れているが、こういう展開はもううんざりだなあ。せっかくの女性監督作品なのにさ。とにかくもう仕事仲間に手を出すのはやめましょう。仕事中にキスするのもやめましょう。承諾なしに触られたら訴えましょう。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2008-07-23 17:20:14) |
27. インビジブル2
《ネタバレ》 これはバーホーベンの名前だけ飾って、つられた客を騙して見せようとしただけの低予算の駄作映画なのだった。監督も脚本も凡才以下である。 スレーターはここのとこ本当にB級のチョイ役ばかりやっているがどうしたのか。カレの今後の俳優人生がちょっと心配。 [DVD(字幕)] 2点(2007-06-24 13:25:41) |