1. イルカの日
《ネタバレ》 イルカが言葉をしゃべってる時点で、そこはかとなくイヤな予感がしてくるのだけど、そしてそのイヤな予感とは、「最後はイルカ同士が英語で会話するようになっちゃうんじゃないか」ということなのだけど、さすがにそうはならず、ホッといたしました。 大体、あの口の構造で、複雑な子音を持った言語である英語をしゃべるというのが、我々英語オンチには信じられないのですが、いや、あの程度でも通じるんだから、もっと自信を持ってよいのかな、と。映画に全然関係ない話ですね、すみません。 人間には誰からも怖がられるであろう顔立ちのジョージ・C・スコットが、イルカにはどうやら好かれているらしくって、この辺り、一見奇妙なキャスティング、ではあります。彼が白いTシャツ姿で首にタオルをかけていると、ステテコ姿のオッサンにしか見えないんですけどね。その彼がこういう、動物と交流する役をやる、というのが、妙味と言えば妙味、でしょうか。ただ、ひとり顔に迫力があり過ぎて、他のヒトがイマイチ目立たない。 一方で、イルカの演技、泳ぐ姿、ってのは、これはさすが、作品の大きな見どころになってます。 あとは、サスペンスとしてもう少し盛り上げてくれれば・・・大統領暗殺という大事件のハズなのに、どうもホノボノとした感じで、悪党どもも最後まで穏やかな表情のまま爆死していく、ってのは、コレ、どうなんでしょうね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-02-27 10:07:38)(良:1票) |
2. 伊豆の踊子(1974)
顔は若き日の三浦友和なのに、声は宇野重吉、というのがモーレツに違和感があって、これだけの違和感を味わえると、ちょっと得した気分(笑)。老いた主人公が若き日を回想するような設定なもんで、仕方ないと言えば仕方ないんですけども、ただ、当時の宇野重吉より今の三浦友和の方が年配のハズなんですけど、今の三浦友和にもこのジジイ声は絶対、似合わないですよね。 それはともかく。嬉し恥ずかし、三浦友和の初主演、そして山口百恵の初主演、の作品。もうとにかく、初々しすぎて。百恵さんについては、個人的には宇崎竜童路線「以前」の印象があまり残ってないもんで、あーそうか、こんなにイモ娘だったんだっけか、とかしみじみ思っちゃうのですが(阿木燿子&宇崎竜童は、ホントにいい仕事したと思います)、全編通じて、三浦友和がオドオド、山口百恵がオドオド、見てて、とても演技とは思えません(百恵さんについては、演技にしてはあまりにヘタ過ぎて、かえって演技に見えなかったりする…?)。 でもこれがやっぱり、演技、なのよね。まさかまさか、最終的にはこの二人が結婚するなんて、じゃあこのオドオドした態度、そしてあのラストは、何だったんだよ。と言いたい気持ちにさせられたら、映画の勝ち。 ・・・ところで、笑点メンバーだった(メンバーのまま死んじゃった)小圓遊さんも、澄ました顔で出演してますねえ。これがいちばん、懐かしかったりします。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-07-21 20:52:49) |
3. 1941
スピルバーグという人は、80年代に入ると、いかにもアカデミー賞欲しい欲しい的な作品を監督するようになりましたが、結局、90年代まで取れませんでした。多分、その前にこの『1941』なるアホバカ映画を撮ってしまったので、映画の神様の逆鱗に触れ、バチが当たったのでしょう。 面白いのにね。 いや、もう、まともにストーリーらしいものはなくって、ひたすら変な人たちが現れ、ひたすらドタバタを繰り広げるだけ。なんですが、ラストに向けてそれらがちゃんと収束していき、盛り上がっていく、その楽しさたるや、もうこれはスピルバーグの最高傑作ではないか。とは思いませんが、でも実に楽しいのです。 それに、ジョーズのパロディから始まる本作ですが、むしろ、後の作品を彷彿とさせる先取りのような作品にも思われて。インディ・ジョーンズシリーズを思い起こさせるシーンが散見されますし、クライマックスの観覧車、こりゃA.I.か。それに、本作と太陽の帝国、監督作で2度も日本軍を題材に取り上げるなんて、まあ物好きというか何というか、変わってますねえ。 という訳で、本作はもしかして、「スピルバーグが映画の中でやってみたかったこと」が最も豊富に詰め込まれた作品なのではないか、と。しかし自分のやりたいことを詰め込むのでは誰にも相手にされないので、以降の作品では、一応みんなが喜びそうな物語を提供したうえで、その中に描きたいものを盛り込んでいくようになったんでしょう。 ただし、本作におけるこのアホバカの流れは別途、ユーズドカーへと繋がり、バックトゥザフューチャーとして結実していくことになります。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2016-11-05 03:55:38) |
4. 怒りのガンマン/銀山の大虐殺
ちょっとダサめのテーマ曲、どっかで聴いたと思ったら、『キル・ビル』で引用されておりましたと。という点以外にはこれといって特筆すべきこともない作品なのですが、リー・ヴァン・クリーフがいかにもリー・ヴァン・クリーフらしいアクの強い貫禄を見せてくれるので、彼のファンならば(いるとしてだが)、悪くないんじゃないでしょうか。例のややダサいテーマ曲に乗って始まる冒頭、馬車の行く手を阻む武装集団。脱獄犯を追いつめようとしているらしい。で、やおら馬車から降り立ち、彼らの中を闊歩するのが、我らがリー・ヴァン・クリーフ。一見シブいのだけど……物影に隠れ脱獄犯を待ち構える彼らに対し、横を通り過ぎるごとにいちいちしょーもないチョッカイをかけていくのが、シブいというよりまるでコメディ。と思ったら、逃亡犯の方が胸のすく小粋なアクションでその場を逃げ切り、ついにはBGMまで陽気な音楽と化し、本当にコメディ調になっちゃいます。でまあ、くだんの逃亡犯氏は、かつて町を牛耳る一家の親分を殺害したということで、その息子たちに狙われているのだけれど、本人いわく、それは濡れ衣だと。元保安官のリー・ヴァン・クリーフも、彼は無実だ、オレは真犯人を知っていると。一体真犯人は誰なのか。って、観てれば丸判りなんですけれど、勿論それでいいんです。むしろ、実は予想外の人間が犯人でした、なんていうオチだったら、みんな怒りまっせ。予想通りの展開に、予想通りの決闘シーンへ。黒ずくめの主人公に、白ずくめの敵役。ダサいテーマ曲が流れ、それなりに盛り上がるのに、ラストでコメディ調の音楽に戻ってしまうのは、本当にこれでいいんでしょうかね~~。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-12-18 22:54:16) |
5. 犬神家の一族(1976)
私にとって「子供の頃からの“定番”映画100本」のうちの一本(あと99本もあるのか?)。昔から、こういう、“古い日本”みたいな雰囲気って、スゴく怖かったよ、いや今でも怖い。大人になった今では、これがちょうど「我慢できるレベルの怖さ」なので、ちょうどよい面白さ。古い日本の怖さ、不気味さを味わいに、今では、週末にはロクスッポ映画も観ないで、寺社仏閣を探訪している、私なのであります(昔怖くて観られなかったホラー映画やプロレスを、今楽しんで観ているのと同じ)。そういう、日本の伝統、怨讐、因縁、などが全開の、この映画の雰囲気が、タマラナイ。不気味な雰囲気に対しての、ミステリとしての合理性というものは、もちろん存在するのだけど、フーダニットとして見れば、「こんなんやったら誰が犯人でもいいやんか」という、例によって例のごとき禁句が出かねない。しかししかし、ここではそれがかえって、何やら避けがたき運命論的な恐怖があり、まさにこれぞ日本的「因縁」の世界。さてさてさて。そこに、無意味なまでの実験的撮影テクニックが入り込み、不思議でコワくて楽しい世界が広がるのが、この映画の個性、この映画の魅力。だからこそ、私的“定番”映画、なのですね。あと、今観ると、島田ヨーコが最高ですね。この濃い濃い女優陣のなかで、いかにもハカナゲで幸薄そう、こういう存在をみると、うーむ、ますます不幸になって欲しくなる(笑)。ああ、子供の頃にはこんなコト考えなかったのだけどなあ。ウチの子供にはそういう変態的な感覚は持って欲しくない、できれば加藤武のように真っ直ぐ育って欲しいので、持ちネタとして「ヨシ、ワカッタ!」というのを、今、子供に一生懸命教えています。なんのこっちゃ。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2008-07-05 20:26:06)(笑:1票) |
6. 怒れるドラゴン・不死身の四天王
四天王(?)のキャラを明確にさせようとしているのには好感が持てるけど、そのせいで前半はなんだかゴチャゴチャしております。クライマックスの四天王(?)揃い踏み、4人並んで対決の場に赴くカッチョいいシーンでは、観ている側も肩の荷が下りたような一種の開放感が。振り返ればどうでもいい内容なのに、なんでこうもゴチャゴチャしたオハナシになってるのやら・・・。4人のキャラ立ちもなかなかのもんですが、敵役の、サムライの血を引くチンさんが秀逸。戦いの前には手に持っていた黒扇子(中央に「武」の文字が)をビリビリ破く。手に持っていない場合には、懐からわざわざ出して破く。戦いが終われば懐から新しい扇子を出す(手品師みたいだ)。さらにチンさんの手下には虚無僧スタイルの4人の戦闘員。川で泳ぐ時にも、頭に被った編み笠ははずさない。大したもんだ。編み笠の下にも忍者マスクをつけているのだから、はずしても一向にかまわないハズなんだけど。彼らこそ四天王と呼ぶに相応しいです。クライマックスの死闘。ニワトリ小屋での戦いは、ニワトリが踏みつけられて圧死しないかとヒヤヒヤしてしまいますが、多分、何羽かは踏まれたんでしょう、ナンマイダ。そして、唐突に終わる戦いに、我々はずっこけるのでありました。 [地上波(字幕)] 7点(2007-06-10 15:50:35) |
7. イレイザーヘッド
エド・ウッドの『グレンとグレンダ』を観てた時に何故か思い出してしまったのがこの映画。だいぶ影響受けてるんじゃないかと思ったんですが気のせいかしら。とは言え雰囲気は全然違って、なまじカネをかけたら出せないんじゃないかというような、すさんだ雰囲気が充満してます。一歩間違えれば、観るに耐えない素人作品になりかねないところですが、本作はさすがテンションを維持してます。赤ちゃんがかなりヤな顔しててどうにも忘れられん。 7点(2003-08-30 19:48:39) |
8. いちご白書
私は学生運動とは縁の無い世代です。学生運動に対する感情としては、憧れが無いと言えば嘘になりますが、ほとんど嫌悪の情です(当然、憧れ故の嫌悪でもあるのですが)。だもんでこの映画の受け止め方も、それに沿ったものになってしまうわけです。言葉を変えれば、あくまで当時を描いた映画であって、世代を越えて普遍的に訴えるような面には乏しいという印象を受けます。勿論、それもまた映画のあり方であって、決して悪い事ではないと思いますけどね。カメラの凝り方が、むしろ時代を感じさせて、ちょっとレトロな味わいもあります。 6点(2003-07-27 01:12:44) |