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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1872
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  ザリガニの鳴くところ 《ネタバレ》 
彼女の名はカイア・クラーク、通称湿地の娘。ノースカロライナ州、ほとんど人がやってこないような鬱蒼とした湿地帯で、今にも潰れそうな一軒家に住む若い女性だ。彼女が幼い頃、アル中の父親の暴力が原因で母親は家出、3人の兄や姉もみな彼女を残してこの地を去ってしまった。そのうち父も酒に溺れた挙句、カイアを残して失踪。誰のことも信じられなくなったカイアは、以来この地でたった独りで生きてきた。自分の殻に閉じこもり、近所の雑貨店の老夫婦ぐらいとしか会話を交わさないカイアはいつしか町の人たちから、「湿地の娘」と呼ばれ、ずっと奇異の目で見られてきたのだった――。ある日、そんな彼女が住む湿地帯の火の見櫓から、町の裕福な家の一人息子が転落死を遂げる。原因は不明。だが、警察の執念の捜査で逮捕されたのは被害者と付き合いのあった、カイアだった。果たして、彼女が本当に彼を殺したのか?事件の噂を耳にした老弁護士のもと、注目の裁判が始まるのだったが……。生物学者でもある作家が表した世界的ベストセラーを映画化したという本作、なかなか面白そうだったので今回鑑賞してみました。見ているだけで汗が滲んできそうな湿地帯を舞台に繰り広げられる、そんな様々な愛憎渦巻くドラマは見応え充分。社会から孤立し、豊かな自然をまるで母のようにして育ってきたカイアという主人公は、今まで見たことがないような魅力的なキャラクターでした。家族たち全員から裏切られ、社会からも蔑まれてきた彼女がそれでも愛を求めて少しずつ足を踏み出してゆくところは思わす感情移入せずにはいられません。この物語の根底にある、横柄で独善的な男社会への自主的な拒絶とその結果としての孤立化というフェミニズムなテーマもなかなか深い。ただ、純粋にミステリー作品としてみれば、少々残念な点もチラホラ。長編小説を映画化した際の弱点が幾つか散見されるのが惜しいところでした。物語の核となる殺人事件の状況が分かりづらいせいで、肝心の法廷劇がいまいち盛り上がりに欠ける。彼女の生い立ちがかなり特異過ぎて、殺人事件よりもそちらの方が気になって仕方がない。僕は彼女の家庭環境と殺人事件のミステリー部分がなんだか巧く噛み合っていないような印象を受けてしまいました。きっと原作ではそこら辺を丁寧に描写しているのでしょう。でも、映画の方はそのプロットを追うあまり、全体的に駆け足になり過ぎてしまった感が強い。特に最後の数十年に及ぶ夫婦生活をたった5分に纏めるオチは、駆け足過ぎるにも程がある(笑)。おかげで驚愕の真相にも余韻に浸るヒマもなかったです。あと30分長くなっても良かったので、もっと彼女のその後の人生を丁寧に描いてほしかった。久しぶりにこんな魅力的な主人公と出会えただけに残念!
[DVD(字幕)] 6点(2024-02-07 10:05:14)
2.  サイレント・ナイト(2021) 《ネタバレ》 
クリスマスを祝うために郊外の一軒家に集まったとある家族とその友人たち。ワインやケーキを持ち寄り、それぞれの子供たちにプレゼントも贈り、食後ノリノリのクリスマスソングでダンスに興じ、小さな問題を抱えながらも楽しそうに過ごす彼ら。だが、ときおり彼らの表情には拭い難い悲しみや絶望感が垣間見えるのだった。何故なら、世界の終末がもうすぐそこまで迫ってきているから――。突如として発生した有毒ガスが全世界を覆いつくし、ほぼすべての生物が今まさに死滅しようとしているのだ。ガスを吸った者は、全身から血を垂れ流し、強烈な苦痛の中でもがき苦しみながら死んでゆく。解決法は何もない。政府が施した救済は、せめて楽に死ねる自殺用毒薬を全国民に配布するというものだけ。明日の朝になれば、この家も毒ガスに浸食されてしまうだろう。パーティーが終われば、子供たちを含むみんなで薬を呑む覚悟をしていた彼らだったが……。終末を迎えつつある世界で最後の晩餐に臨むとある家族の葛藤を終始淡々と見つめたホーム・ドラマ。そんな特異な設定と、キーラ・ナイトレイをはじめとする何気に豪華なキャストに惹かれ今回鑑賞してみました。前半1時間は、この主人公たちのクリスマスパーティのビデオ映像を延々と見せられて、正直死ぬほど退屈でした。例えるなら、あまりよく知らない赤の他人のホームビデオをひたすら見せられてる感じ。これで『8月の家族たち』のように、芸達者な役者陣による鬼気迫るような演技の応酬みたいなもんでもあればきっと面白くなったんでしょうが、それもなし。後半から終末ものとして悲愴感が漂い始めるけれど、それも既視感バリバリのよくあるネタばかりでいまいち盛り上がりに欠ける。まあやりたいことは分かるんだけど、どれもこれも中途半端で映画としては正直そんなに面白くはない。ラース・フォン・トリアー監督の鬱3部作の一作『メランコリア』をどれもこれも大幅にスケールダウンしたような印象の作品でございました。
[DVD(字幕)] 4点(2024-01-25 09:33:26)
3.  ザ・コントラクター 《ネタバレ》 
怪我が原因で除隊を余儀なくされた元凄腕海兵隊員ジェームス。妻と子供を養うために少しずつ重ねてきた借金は膨れ上がり、もはや破産寸前まで追い詰められていた。住み慣れた家も手放さざるをえなくなり、このままでは家族は路頭に迷ってしまう。追い込まれたジェームズは、政府からの極秘の依頼を請け負う民間軍事会社の面接を受けることに。難なく採用されたものの、その任務はどれも常に危険と隣り合わせの命懸けのものだった。妻の心配を振り切り、最初の任務をこなすためドイツへと渡ったジェームズ。だが、それは後戻りできない危険な世界へと彼を引き込むのだった……。罠にハメられアメリカの情報機関から追われる羽目に陥った元海兵隊員の活躍をダイナミックに描いたエンタメ・アクション。人気俳優クリス・パインが主演を務め、昔懐かしのキーファー・サザーランドが共演しているということで今回鑑賞してみました。冒頭は良かったと思うんですよ、これ。任務中の怪我が原因で休養を余儀なくされた主人公、しかも追い打ちをかけるように療養中に使った筋肉増強剤のせいで除隊にまでなってしまう。そして、間の悪いことに彼に告げられる同僚の不慮の死……。追い詰められた彼は、最後の手段だと避けていた民間軍事会社にコンタクトをとる。ここまでの流れは緊迫感もリアリティもあって、まるで社会派映画を観ているようでした。「あれ、これってもしかして掘り出し物かも?」――。そんな僕の期待もここまででした。肝心の任務が始まってからは、これがもう見事なまでにぐずぐずに。あんなに準備して下調べも完璧にしていたはずなのに、いざ任務が始まってみるとこれがもう行き当たりばったりもいいところ。すぐに警備員に通報されて警察が駆けつけてくると結局施設は燃やしちゃうわ、森で激しい銃撃戦をやらかしちゃうわ、肉弾戦で乗り切ろうとした仲間はほとんど死んじゃうわ、これの何処が超一流の傭兵たちやねん(笑)。しかも肝心のそのアクションシーンもいまいちキレが悪く、自分はちっとも楽しめませんでした。挙句、最後に明かされる黒幕の存在も容易に読める代物のうえ、無理やりすぎて到底納得できません。余りにもグダグダ過ぎて、後半はもはや眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。緊迫感あふれる冒頭部分は良かったんですけどねぇ。
[DVD(字幕)] 4点(2023-09-14 07:39:52)
4.  ザ・ディープ・ハウス 《ネタバレ》 
「幽霊屋敷 in 池の底」。それ以上でもそれ以下でもないお話(笑)。物語は、再生数を稼ぐことしか頭にないユーチューバーカップルが、より刺激的な映像を求めて、森の奥深くにある湖の底に眠っているいわくつきの廃墟へと侵入するってだけの内容です。でも……、この水の中という舞台設定が技あり!!こんなにベタベタな内容なのに、これが湖の底というだけでこんなに面白くなるなんて意外でした!気持ちの悪い魚が不気味に泳ぐ水の底で誰もいない廃墟へと入ってゆくシーンがとにかく怖い。家具や食器がゆらゆら漂ってるリビングとか今にも何かが飛び出てきそうでヤバかった。そして地下室で明らかに拷問を受けたであろう死体を発見する主人公カップル。でも、彼らは何か違和感を感じてふと呟く。「どうしてこの死体はこんなキレイなままなの?まるでさっきまで生きていたみたい……」。ここからラストまでもうヒィィィって感じで見入っちゃってました。ゆらゆらとゆっくり近づいてくる水死体がこんなに怖いとは。ここに酸素ボンベの残量が残り僅かだという水中ならではの要素も加わって、最後は普通に手に汗握っちゃってたし。何気に色んなゴミとか藻屑が漂う水の中なのに画面がずっとキレイで見やすかったのもポイント高い。アイデア一発勝負ながら、なかなか面白かった!ビール片手に真夏の熱帯夜に観るのに最適な映画、お薦めです。
[DVD(字幕)] 7点(2023-09-06 08:31:19)
5.  ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ 《ネタバレ》 
1950年代、長年音楽業界の第一線で活躍してきた伝説的ジャズシンガー、ビリー・ホリディはある困難な事態に直面していた。黒人を中心にロングセラーを記録していた彼女の代表曲にして人種差別を告発する問題作「奇妙な果実」。激しい公民権運動に揺れるアメリカ政府はこの曲を問題視、社会の秩序を乱すとしてコンサートでは歌わないよう彼女に圧力を掛けてきたのだ。だが、幼い頃から黒人たちの理不尽な現実を目の当たりにしてきたビリーは、政府のそんな圧力にも負けず、堂々と歌い続ける。次第に黒人差別闘争のシンボルへと祭り上げられてゆくビリー。業を煮やした政府は、彼女を麻薬不法所持の容疑で逮捕するのだが……。実話を基に、そんな反骨の女性シンガーの生涯を力強く描いたヒューマンドラマ。監督は、デビュー以来黒人としてのアイデンティティを追求し続けてきたリー・ダニエルズ。確かに描きたいテーマも分かるし、この不遇の生涯を生きた女性の魂の遍歴を現代に蘇らせたいという監督の想いも充分に伝わってきました。ビリー・ホリディを演じたアンドラ・デイの真に迫った熱演も素晴らしく、本来は歌手である彼女の魂のこもった歌声も胸にくるものがある。アカデミー賞ノミネートも納得。ただ、純粋に一本の映画としてみれば、自分は正直微妙と言わざるを得ませんでした。とにかく説明不足。冒頭から、彼女が歌手としてどれほど成功しているのか、またどのような政治的立場にあったのか、基本的な部分がいまいち掴めず物語にうまく入り込めません。彼女が刑務所から出所したあと、如何にして全国ツアーに出るに至ったのかもその経緯がよく分からない。政府からの圧力を逃れるため?単純に人気に陰りが出たから?たくさん出てくる登場人物も誰が誰なのかさっぱり掴めず、またその相関関係も極めて分かりずらいため、自分は中盤からほとんど置いてけぼり状態でした。特に、語り手なのか何なのかよく分からない、あの潜入捜査官みたいな黒人男性はいったいなんだったのでしょう。もう少し丁寧な演出を心掛けてほしかった。興味深い題材だっただけに、惜しい。
[DVD(字幕)] 5点(2023-06-12 08:39:46)
6.  ザ・ロストシティ 《ネタバレ》 
ゆる~~~~~い映画でした。
[DVD(字幕)] 3点(2023-06-05 10:54:51)
7.  THE BATMAN-ザ・バットマン- 《ネタバレ》 
誰もが知る孤高のヒーロー、バットマンの活躍をダーク&ノワールに描いたクライム・サスペンス。何処かコミカルだったティム・バートン版、完全にエンタメに振り切ったジョエル・シューマカー版、そして哲学的な深みさえ感じさせる演出で映画史にその名を刻んだクリストファー・ノーラン版。今回のバットマンはそのどれとも一線を画する、かなり濃厚で陰鬱な内容でございました。例えるなら、サイコサスペンスの名作『セブン』の世界にバットマンが紛れ込んだら?という感じですかね。もはやバットマンは『セブン』のブラッド・ピットみたいな立ち位置で、ゴードン警部とのバディっぷりなんてモーガン・フリーマンとのそれを髣髴させます。ただ、それが意外にもけっこう嵌まってました。正直、あんまり期待せずに観始めたんですけどこの重厚な雰囲気にすっかりやられ、中盤からはどっぷりとこの世界に浸っている自分が居ました。心に闇を抱えるブルース・ウェインを演じたロバート・パティンソンもかなり嵌まっていて、暗い隠れ家で秘書とごそごそ話しているシーンなんてもはやヒーロー側じゃなくて悪の一味なんじゃないかと思うほど(そのうち悪魔でも召喚するんちゃうかって感じでした!笑)。もはや『セブン』ばりに悪の手先をさまざまなグロい手法で制裁してゆくリドラーをはじめ、キャット・ウーマンやペンギン男というお馴染みのキャラクターもそれぞれキャラ立ちしていて大変グッド。ただ、3時間は長い!クライマックス辺りはさすがにダレちゃいました。もう少しコンパクトに纏めてくれたらより楽しめたと思うんですけどね。とはいえ、このダークな雰囲気は嫌いじゃなく、総じて自分は楽しめました。ジョーカーが登場するであろう次作、期待して待ってるよ!
[DVD(字幕)] 7点(2022-08-19 06:46:02)
8.  THE INFORMER 三秒間の死角 《ネタバレ》 
自由と引き換えにFBIの潜入捜査官となった元犯罪者の男が、様々な組織の思惑と陰謀により再び刑務所へと舞い戻ってしまうというお話。全編を覆うひりひりするような緊張感はなかなかのものだったし、ロザムンド・パイクやクライヴ・オーウェンといったベテラン勢の熱演は見応えありました。特に、犯罪組織とFBI双方に嵌められ、刑務所で孤立無援となってしまう主人公の焦燥感は息が詰まるほど。ただ、それに対して脚本がいまいち。話が無駄にややこしいうえに、後半になるにつれどんどんとサスペンスが盛り下がってゆくというのが映画として致命的。主人公が最後にどうしてそんな行動を取ったかもよく分かんないし、なぜ、最後の最後でクライヴ・オーウェンが捕まったのかも意味不明。ストーリーの見せ方をもっと考えてほしかった。残念!
[DVD(字幕)] 4点(2022-08-09 04:55:21)(良:1票)
9.  ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 《ネタバレ》 
悪をもって悪を征す!あの死をも恐れぬ〝超極悪部隊〟が帰って来た!様々なヒーローたちによって刑務所にぶち込まれた、イカレ頭の極悪人たちを寄せ集めて作られた、その名も「決死部隊(スーサイド・スクワッド)」。今回彼らが送り込まれたのは、政情不安に揺れる南米の小さな島国。ここで良からぬことを企んでいる反米政権の野望を阻止せよというのが今回の任務だ。娘のために依頼を引き受けた武器のプロフェッショナル、ブラッドスポート。正義のためなら殺人も辞さない孤高のヒーロー、ピースメイカー。凶悪な人喰いサメ人間であるキングシャーク、ナナウエ。世界中のネズミを自由に操ることが出来るラットマスター、クレオ。全身から七色の水玉を発射できるポルカドットマン、アブナー。そして、次に何をするか全く予想が出来ない危険なギャルビッチ、ハーレイ・クイン。数々の困難を乗り越え、島の中枢へと辿り着いた彼らは、あるマッドサイエンティストの危険な研究に巻き込まれてゆく……。映画としてはポンコツだったものの、ハーレイクインという凄まじくキャラ立ちしたクソビッチ(失礼!)なアンチヒロインを生み出したエンタメ映画の続編。さして期待はしていなかったのですが、世間の評判がすこぶる良かったので今回鑑賞。うん、前評判通りめちゃくちゃ面白かったです!!全くもって華のないメンバーが登場する冒頭、「大丈夫かいな…」という不安も束の間、あっさり彼らが全滅するシーンから掴みはバッチリ。特に手足を取り外せるだけが能力のTDKと変なイタチ男が泳げなくて死ぬところはもう爆笑。そこから本家の主人公が登場してからは怒涛の展開。最後まで息つく暇もないほど楽しませてもらいました~。特に槍を持ったハーレイクインが花びらを巻き散らしながら男どもを薙ぎ倒してゆくところは、最近観た映画の中でも屈指の名シーン。『キックアス』のヒットガールに匹敵するほどで、もうこのシーンだけでご飯何杯でもいけます。そんな彼女に他のキャラが負けているかと言えば全くそんなこともなく、誰もが如何なく自らのキャラを発揮させているのも見事!特に出オチかと思われたキングシャークが、最後まで見ると一番かわいく思えてくるから不思議です。ネズミ女も何気に可愛いし、一番地味な水玉男もその妄想世界で楽しませてくれます(オカンいっぱい!笑)。監督は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を撮ったジェームズ・ガン。なるほど、この全てのキャラクターへの並々ならぬ拘りは、この監督の特性だったのですね。最後、それぞれの能力を駆使したヒトデ怪獣との闘いは最高にテンション上がっちゃいました。むちゃくちゃやっているように見えて、実は細部まで緻密に計算された演出も素晴らしいとしか言いようがない。うん、もう一度言いますが、サイコーに面白かったです。ホント、あのポンコツな前作はなんだったんだ(笑)。
[DVD(字幕)] 9点(2022-08-01 07:44:53)(良:2票)
10.  ザ・スイッチ 《ネタバレ》 
高校でチアリーディング部に所属するミリーは、今どきの冴えない女の子。一年前に父を亡くして以来、酒に溺れがちな母親とガミガミうるさい警察官の姉と3人で暮らしている。学園主催のダンス大会を明日に迎えたその夜、誰もいないグラウンドで母の迎えを待っていた彼女の背後に怪しげな影が忍び寄る。その正体は、前の晩に4人もの同級生を殺した凶悪な連続殺人鬼ブッチャーだった。咄嗟に気づいて逃げ出すもすぐ捕まるミリー、そして無情にも振り下ろされるナイフ……。だがその後、事態はミリーの予想を遥かに越えた展開を見せる。「あたし、あの殺人鬼と心と身体が入れ替わってる!」――。なんとブッチャーが持っていたナイフは古代アステカで呪術用に使われていた魔法のナイフだったのだ!人智を越えた力により、殺人鬼と身体が入れ替わってしまったミリー。しかも24時間以内に再びナイフを使わなければ永遠にこのままだという。女子高生となり再び人を殺し始めたブッチャーを追って、ミリーはすぐさま行動を開始する。だが、彼女の外見は指名手配犯そのもの。当然警察も教師も誰も助けてくれない。何とかして信じてもらえた親友二人とようやく殺人鬼である自分を見つけたミリーだったが……。落ちこぼれ女子高生と凶悪な連続殺人鬼の身体が入れ替わってしまったことから起こる騒動をコメディタッチで描いたサスペンスホラー。監督は、終始キレのいい演出でスマッシュヒットを飛ばした『ハッピー・デス・デイ』のクリストファー・ランドン。前作同様、この監督のエンタメに徹したスタンスと数々の名作ホラーへの愛に満ちたリスペクトには素直に感動。冒頭、死亡フラグがばきばきに立ったリア充カップルが容赦なく殺されるシーンからもう掴みはばっちりです。特に、見た目はおっさんながら中身は女子高生という、下手な人がやったらもう目も当てられない結果になりそうな難しい役を飄々とこなしたヴィンス・ヴォーン!この人が巧すぎて、最後の方にはもう女子高生にしか見えなくなっちゃいました。初恋の男の子とのファーストキスのシーンには、おじさん思わず胸キュン!なんか自分の中で謎の何かが目覚めそうになっちゃいましたわ(笑)。それに殺人鬼に狙われる被害者の皆様が全員ちょっとやな奴なのも罪悪感が湧かなくて、ここら辺観客への配慮が感じられますね。しかもその殺され方がどれも適度にグロいのも大変グッド。ただ、最後の展開はちょっと蛇足感が強くて個人的にいらんかったように思う。とは言え、終始気軽に楽しめる青春ホラーの佳品。興味のある方は是非ご覧あれ。
[DVD(字幕)] 7点(2022-05-31 05:43:15)
11.  サンダーロード 《ネタバレ》 
やることなすこと何もかもがうまくいかない中年警察官ジムの悪戦苦闘の日々をほろ苦いユーモアを交えて描くヒューマン・ドラマ。まあやりたいことは分かるんですけど、自分はイマイチ好きになれませんでした、これ。恐らくこの作品に嵌まれるかどうかの試金石となるのが、冒頭、母の葬儀でブルース・スプリングスティーンの名曲「涙のサンダーロード」を踊ろうとする主人公が、ラジカセの故障で無音のまま踊るシーン。ここを面白いと思えるかどうかで、この映画の評価が変わるんでしょうね。自分は無理でした。なんかリアルにイタい人が変なことをしている感じで何とも痛々しくて見てらんないです。もっと全盛期のジム・キャリーばりに突き抜けてくれないと笑うに笑えませんって。その後も、この主人公が何か問題が起こると癇癪ばかり起こして周りに不平不満をぶちまけるところも好きになれませんでした。挙句、にっちもさっちもいかなくなると自棄を起こして酒に逃げる……。そりゃ嫁も逃げるし仕事もクビになりますわ。あと、最後のあの唐突な展開は何なんですか?伏線も何もあったもんじゃない意味不明な悲劇に唖然とするほかありませんでした。というわけで、自分は最後までちっとも楽しめませんでした。こればっかりは好みの問題なので如何ともしがたい。
[DVD(字幕)] 4点(2022-03-08 03:30:31)
12.  ザ・ハント(2020) 《ネタバレ》 
ある日、目が覚めると何故か知らない森の中にいた12人の男女。口には猿ぐつわを嵌められ、身分を証明できるようなものは全て没収、携帯も何もない状態で放置された彼ら。戸惑いながらも開けた場所へとやって来た彼らに突然、今度は何の前触れもなく銃弾が浴びせかけられるのだった。さらにはいたるところに仕掛けられた罠、張り巡らされた有刺鉄線、どこまでも追いかけてくるドローンなどが彼らを追い詰める。無慈悲にも次々と命を落とす仲間たち。果たしてこれはなんなのか?彼らを〝ハント〟してくる奴らは何者なのか?そして、彼らと一緒に放置された服を着せられたブタには何の意味があるのか?ある日突然、不条理な事態に放り出された何の関係性もない12人の男女と彼らを執拗に付け狙うハンターとのバトルをノンストップで描いたバイオレンス・アクション。冒頭から容赦なく描き出される残虐描写の連続にまず戸惑わされました。当然のように飛び散る血液、吹き飛ぶ肉片、思わず目を背けたくなるような痛々しい暴力の嵐……。主人公だと思われた人物が次々と虫けらのように殺されてゆくのを見て、正直鑑賞を後悔したほどなんですけど、本当の主人公が登場したあたりからがぜん面白くなります。なるほど、これは全てこの主人公の反撃のカタルシスを見せるための前振りだったのですね。確かにこの反吐が出そうになるほど酷いハンターを次々と血祭りにあげてゆく主人公の登場にはだいぶスカッとさせられました。いやー、なかなか巧い脚本と演出だったんじゃないでしょうか。まぁストーリーなんてあってなきが如しなんですけど、全体的に新保守主義とリベラルの対立という現代アメリカの深刻な政治状況を揶揄する内容になってるのも面白い視点だと思います。最後の主人公とラスボスとの最終決戦なんて、そんな政治的な対立も結局は殴り合いで解決しちまえという如何にもアメリカンな感じもシニカルでナイス!!ラストの主人公の行動はさすがにやりすぎ感はありましたけど。監督は、結局エロとグロを描きたいだけなのにそこに妙に政治的主張をぶっこんでくる作風が僕にはどうにも印象の良くなかったクレイグ・ゾベル。でも、今回はその趣味の悪さがいい方向に向いたようです。うん、なかなか面白かった。まぁ次はまたどうなるか分かんないですけどね。
[DVD(字幕)] 7点(2021-10-02 03:00:53)
13.  ザ・ビースト(2019) 《ネタバレ》 
彼の名は、フランク。世界を股にかけて希少動物や人気動物を捕えては動物園などに売り飛ばす猛獣ハンターだ。今回ブラジルの熱帯雨林へと赴いた彼は、思いがけない大物を捕えることに成功する。それは全身キレイな白い毛で覆われたホワイトジャガー。アメリカ本国へと持ち帰ってその筋のルートへと売り飛ばせば莫大な金が手に入るのは明らかだった。頑強な檻に閉じ込めたジャガーとともに意気揚々と巨大タンカーへと乗り込んだフランクだったが、そこで予想だにしない事態に見舞われるのだった――。精神に異常をきたした元米軍特殊部隊員で冷酷な殺人鬼であるラフラーをアメリカへと護送するために、連邦捜査官たちが乗り込んできたのだ。嫌な予感を感じながらもタンカーで大海原へと乗り出すフランク。彼のそんな懸念は見事的中し、ラフラーは見張りの隙を突いて易々と船内へと逃げ出すのだった。恐ろしいことにラフラーは、船内の檻に閉じ込められていた獰猛な猛獣たちまで開放してしまう。当然そこには狂暴なホワイトジャガーも含まれていた……。果たして彼らの運命は?巨大タンカーの密閉された船内で、逃げ出した凶悪犯のみならず猛獣たちにまで追い詰められる船員や捜査官、そして荒くれ者の猛獣ハンターたちのサバイバルを描いたパニック・アクション。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演で送る、いかにもB級なそんな本作、あまり期待せずに今回鑑賞してみました。まあいつものニコラス・ケイジ印の低予算・低クオリティの内容でしたね、これ。とにかく演出のキレが悪い!逃げ出したレクター博士もどきのサイコな殺人犯とホワイトジャガーをはじめとする猛獣たちにダブルで襲われるというのが本作の売りなんでしょうけど、どちらもまあショボい。出っ歯の殺人犯なんてとても元凄腕の特殊部隊員に見えず小者感が半端ないし、ホワイトジャガーのCGも今どきびっくりするくらいの低クオリティ。こいつらが同時に襲って来たってスリルが倍増するどころか逆に相乗効果でよりショボくなっちゃってます。なので、最後まで全く盛り上がらないままダラダラと終わっちゃいました。ま、いつものニコケイブランドの映画って感じです。
[DVD(字幕)] 4点(2021-08-09 05:39:15)
14.  散歩する侵略者 《ネタバレ》 
それはある日突然、日常生活へと紛れ込んできた――。これから地球へと侵略を開始しようという宇宙人が現地を調査するために行動を開始したのだ。地球を支配する人類がいったい何を考えどのような生活を送っているのか、その概念を知るために日本へと遣わされた三人の宇宙人は、それぞれ選んだ人間の意識を乗っ取ることに成功する。どこにでも居るような平凡なサラリーマン、高校生の男女、彼らの身体を使い、宇宙人は人類が使う言葉とその概念を奪うために街へと繰り出す。恐ろしいことにその概念を奪われた人々は、それらの言葉や概念を理解できなくなってしまうのだった。「家族」「所有」「仕事」……。様々な言葉とその概念を奪われ、次々とおかしくなる人たち。社会が少しずつ混乱へと陥ってゆく中、宇宙人にガイドとして指名されたイラストレーターの妻や社会派ジャーナリストはそれぞれに行動を開始するが……。静かに行動を起こした宇宙人によって徐々に侵略されゆく人類をユーモラスに描いたSFドラマ。数々の賞に輝く監督の代表作と言うことで今回鑑賞してみたのですが、正直自分には何がいいのかさっぱり分かりませんでした。なんかそもそもの設定に無理があるような気がするんですけど、これ。だって言葉とその概念を知るために調査を開始したのなら、普通に考えて最初は会話も出来ないんじゃないでしょうか。例えば映画の最初の方で、宇宙人の一人である松田龍平が妻に「敬語は止めて」と言われるシーン。普通に「分かった。敬語は止める」って答えてましたけど、え、敬語の概念は知ってたってこと?それなのに家族や自分という言葉の概念は知らない。この違いの基準は何なのでしょう。それにSFなのに画が大変地味なのもいただけない。概念を奪うときの画も、指を頭にかざすだけってショボすぎじゃないですか。せめてここはCGでも使って、指が伸びて脳の中に入り込むような刺激的な映像が欲しかったところ。映画としてようやく盛り上がってきたクライマックスもなんかいまいちセンスを感じませんでした。あのジャーナリストが戦闘機に空爆されるシーンなんて、ほぼコントで正直寒かったですし。挙句最後の、「人類の愛の偉大さに気づいた宇宙人」というオチにいたっては思わず失笑しちゃいましたわ。この監督の映画は初めて観ましたが、という訳で自分には全く合いませんでした。
[DVD(字幕)] 4点(2021-07-27 02:03:16)
15.  ザ・ピーナッツバター・ファルコン 《ネタバレ》 
ダウン症を患い、幼いころからずっと施設で暮らしてきた22歳の青年、ザック。家族にも見捨てられ、ずっと独りで生きてきた彼の主な話し相手は、昔話と愚痴だらけの老人ばかり。そんな生活に嫌気が差したザックは、長年の夢を叶えるためにパンツ一丁で脱出を図る。その夢とは、昔大人気だったプロレスラーの元を訪れて弟子となり、華々しくリングデビューを果たすことだった――。何とか脱出に成功したザックは途中、荒くれ者の漁師タイラーと出会う。仲間の漁師の獲物をネコババしていたことがばれ、地元を追われたという彼とザックは意気投合し、いつしか旅をともにすることに。かたやプロレスラーとなる夢を叶えるため、かたや新天地で自身の生活を立て直すため。社会のはみ出し者同士のそんな二人のどかなの旅路は、当初は順調に進んでゆく。だが、彼らを追う施設職員や地元の漁師たちが迫ってきて……。アメリカ南部の田舎町を舞台に、ダウン症の青年と貧しい漁師とのそんなのどかな逃避行を描いたロード・ムービー。非常にベタな内容ながら、この全編に漂う暖かな雰囲気は終始心地良く、最後まで気持ちよく観ることが出来ました。主人公をはじめ、ままならない現実に翻弄されながらもそれでも前を向いて生きていこうとする登場人物たちがみんな魅力的で大変グッド。荒くれ者の漁師の兄を巡る不幸な過去をさらりと描写する回想シーンのさりげなさも巧い。まあ確かに物語が都合よく進みすぎ、登場人物誰もが簡単に仲良くなりすぎといった欠点も大いに目に付く作品なのですが、それを補って余りある魅力がこの作品にはあります。その一つが主人公ザックの目的の人物であったプロレスラーの人。今や落ちぶれ酒浸りの中年となったこのプロレスラーが最初はそっけない態度を示すのですが、自分を信じてやって来た主人公のために昔の衣装とメイクを施し車で追ってくるシーン。なんとも微笑ましい魅力に溢れていて、僕は不覚にも涙してしまいました。うん、みんなカッコ悪くてしょーもなくてどうしようもない人生なのかも知れないけど、それでもみんな頑張って生きている。そんな当たり前のことを改めて思い出させてくれる、ヒューマン・ドラマの佳品でありました。お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2021-03-03 01:04:55)(良:1票)
16.  さようなら、コダクローム 《ネタバレ》 
決定的なミスを犯し、長年勤めてきた会社から解雇を言い渡された音楽プロデューサー、マット。首を繋ぎとめるために会社から提示された条件、それはライバル会社から二週間以内に人気バンドを引き抜いてくることだった。生活のために、その人気バンドと何とかコンタクトを取ろうとするマットだったが、どうにもうまくいかない。そんな折、思いもよらぬ知らせが彼の元に届くのだった――。過去に色々あって長年疎遠にしていた彼の父親ベンが、末期の肝臓癌を患い余命幾ばくもないというのだ。高名な写真家でもあった父は、息子に最後の願いがあるらしく、それはもうすぐサービスが終わる古い写真フィルム「コダクローム」を現像するために、カンザスまで運転してほしいというものだった。母親とのかつての辛い日々を思い、頑として首を縦に振らないマット。そんな彼にベンのマネージャーは、驚きの条件を提示してくる。なんとその人気バンドに会わせてもいいというのだ。仕方なく願いを引き受けた彼は、父の専属看護師である女性とともにカンザスへと旅立つことに。だが、偏屈な父は何かというとトラブルを引き起こし……。長年の葛藤を抱えた父子が、最後の旅路をきっかけにお互いの人生を見つめなす姿をノスタルジックに描いたロード・ムービー。名優エド・ハリスが、そんな口数の減らない偏屈爺さんを演じているということで今回鑑賞してみました。なんですけど、僕はものの見事に嵌まらなかったですね、これ。とにかく登場人物誰もに魅力がなさ過ぎます!特に、エド・ハリス演じるこの爺さん。人の嫌がることばかりして自らトラブルを招いているのに一切反省の態度を見せないとこに、もう見れば見るほど嫌悪感が湧いてきちゃいました。これがロード・ムービーの名手とされるアレクサンダー・ペインの作品なんかだと、この爺さんに何処か憎めない魅力がでるものだけどそんなのは一切ありません。もうひたすらクソじじい(笑)。また、展開もベタ過ぎます。長年憎み合ってた父子が数日旅しただけで最後にはすっかり和解して、女性看護師ともいい仲になっちゃうって都合がよすぎますわ。主人公も目的の人気バンドとようやく会えたのに、それを父をちょっとからかわれただけでキレて帰るってあまりにもアホ過ぎます!いやいやプロなんだから、それぐらい我慢しろよ!んで肝心のそのフィルムに映っていた写真も、これだけ引っ張んだからさぞかし驚きのものが映ってるんだろうなと思ったら、まさかのそのまんまの家族写真…。捻りがなさ過ぎだっちゅーの。エド・ハリスの渋さに惹かれて最後まで観ましたが、僕にはどうにも退屈なだけの作品でありました。
[インターネット(字幕)] 4点(2021-01-16 22:30:27)(良:1票)
17.  ザ・プロム 《ネタバレ》 
多感なティーンエイジャーたちの年に一度のお楽しみ。それは、学校主導で行われる華やかな祭典、ザ・プロム。だが、そんなお祭りが開催直前になって中止の危機に追い込まれる。原因は、あるLGBTQの女子生徒が恋人である女の子と出席すると公言したからだ。法的な問題からその生徒だけを出席禁止にすることも出来ず、保守的な学校側はプロム自体の中止を宣言。賛成派・反対派を巻き込んで一大議論を巻き起こす――。そのことを偶然テレビで知った、落ち目のブロードウェーのミュージカル・スターたち。評判のよくない新作公演の宣伝のために、彼らはとっておきの方法を思いつくのだった。それは現地へと趣き、彼女たちを全面的に支援すること。当初は売名目的だったブロードウェーのスターたちだったが、女子生徒の切実な想いを知ってその心境に徐々に変化が訪れる……。という、内容自体は昔からよくある超王道の青春学園ミュージカルなのですが、本作のミソはそこに昨今流行りのLGBTQ問題を絡めたこと。まあ正直それだけのもんなんですけど、やはりそこは本場のハリウッド。全編を彩る楽曲やダンスシーンのクオリティの高さはなかなかのものでした。ニコール・キッドマンやメリル・ストリープといったベテラン女優たちの熱演もあって、もう最後までゴージャスで煌びやかで観ているだけでわくわくしちゃいますね。ベタですけど、僕はぼちぼち楽しんで観ることが出来ました。ただ、途中にキリスト教批判のような楽曲が出てきたときはびっくりしましたけど。まあ内容的にごりごりのキリスト教保守派ははなから観ないであろうとの判断なのでしょうけど、なかなか踏み込んだその歌詞にスタッフたちの覚悟を感じました。ミュージカル好きな方、社会問題に関心のある方、メリル・ストリープやニコール・キッドマンのファンの方は見て損はないと思います。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-01-14 05:02:38)
18.  殺人の追憶 《ネタバレ》 
血も凍るような残虐な方法で殺人を繰り返す連続殺人鬼を追って、執念の捜査を続ける対照的な刑事を描いたサイコ・サスペンス。監督は後に外国語映画で初のアカデミー作品賞を受賞するポン・ジュノ。という訳で今回鑑賞してみたのですが、うーん、正直微妙な出来でしたね、これ。確かにこの陰鬱でダークな世界観はかなり作り込まれていて、爽快感など皆無の絶望的なラストなども充分見応えはあったと思うのですが、いかんせん長すぎますわ。無駄なエピソードが多すぎる上に、ストーリーがあっちへ行ったりこっちに行ったりとちょっと脱線しすぎで途中のダレ具合が半端ないです。なんかこの監督の悪い面が出ちゃったように感じました。デビッド・フィンチャー監督の『セブン』と『ゾディアック』を足して二で割ったような印象ですかね。内容的にもその二作のちょうど中間あたりって感じでした。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-15 03:42:34)
19.  最後の追跡 《ネタバレ》 
長びく不況の影響ですっかり活気を失ってしまったテキサスの田舎町。ある日、その地でちんけな連続銀行強盗が発生する。目出し帽を被った二人組の犯人は、地方銀行の小さな支店へ押し入ると束ねられていない紙幣のみを奪って逃走。そんな一見、無計画で荒々しい犯行を実行したのは、貧困に喘ぐ前科者の兄と家族を抱えた弟のハワード兄弟だった――。定年を間近に控えたテキサス・レンジャーの老捜査官マーカスは、すぐさま捜査に乗り出す。ネイティブ・アメリカンの相棒とともに地道な捜査を重ね、着実に犯人へと迫ってゆくマーカス。すると、一見無軌道にも見える彼らの犯行には、実は緻密に考え抜かれた計画が隠されていることに気付くのだった……。構造的な不況に喘ぐテキサスを舞台に、銀行強盗を繰り返す無法者兄弟と彼らを執念の捜査で追う老レンジャーの追跡劇を緊迫感溢れる展開で魅せるクライム・アクション。主演にはハリウッドのベテラン俳優ジェフ・ブリッジスと人気若手俳優クリス・パインやベン・フォスター。脚本は、『ボーダーライン』や『ウィンド・リバー』と言った社会性の強い犯罪劇で幾つもの賞に輝くテイラー・シェリダン。いかにも彼らしい考え抜かれた脚本の力が光るクライム・ドラマの逸品に仕上がっていましたね、これ。最初こそ、行き当たりばったりで犯行を重ね、金を得るとカジノへと走るというこの兄弟の破天荒ぶりを強調しておきながら、次第に彼らの緻密な計画が明らかとなる。それは、サブプライム・ローンで土地を奪われた貧困層の声にならない魂の叫び。相変わらずこの人は、経済発展から取り残されたアメリカの地方都市に生きる人々の怒りをその脚本執筆の原動力にしてますね。道端に幾つも掲げられた銀行の融資の看板と、そのそばの「イラクに三度も行ったのに見返りナシ!」と言う落書きが極めて象徴的。クライム・サスペンスとして一級の完成度を誇りながら、社会問題へもちゃんと深い洞察を見せるという高度な技を見事にやってのけている。主演のこの三人だけでなく、ちょい役で登場する食堂のウェイトレスやカジノの娼婦など誰も彼も血の通った人間として描き分けることにも成功しています。良い映画って、こういう細かいところにまで手を抜かない姿勢がやはり大事なんだと改めて思わされました。最後、追い詰められた兄弟がそれぞれ辿ることになる哀しい運命。兄は血を分けた唯一の兄弟のため、弟は愛する家族のため、それぞれの方法でただこの貧困の連鎖を断ち切ろうとしただけなのに…。いやはや、なんとも切なく深い余韻を残してくれました。アカデミー賞ノミネートも納得の非常に完成度の高い社会派サスペンスの秀作と言っていいでしょう。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-07-02 21:10:21)
20.  ザ・ディスカバリー 《ネタバレ》 
近未来、ある一人の老科学者が発表した報告が世界に衝撃を与える。なんと、死後の世界の存在が科学的に証明されたというのだ。そのハーバー博士の報告によると、人間が死ぬと人の意識はまだ何処かは分からないが何らかの別世界へと移行するらしい。だが、彼の報告は、世界に新たなる危機をもたらすのだった――。人生に幻滅した人々が次々と自ら死を選ぶようになり、僅か数年で世界中の自殺者が400万人を突破してしまったのだ。世界中から殺到する非難の声を避けるように、人知れず行方をくらませるハーバー博士。小さな島の打ち捨てられた館を買い取った博士は、そこに多数の信奉者を集め、小さなカルト集団のようなものを結成する。信者たちの前で、生きる意味を語り続ける博士。そこに博士の息子である脳神経外科医と自殺願望を持つ若い女が新たにやってきて……。死後の世界が科学的に証明された未来社会、大量の自殺者が続発する中で生きる意味を問い続ける人々の葛藤を描いたSFスリラー。その特異な設定だけ聞いて、アイデア一発勝負のB級SFだと思って今回鑑賞してみました。いわゆる『フラットライナーズ』の大風呂敷版みたいな。ところが意外にもこれって、かなりスピリチュアル寄りのヒューマン・ドラマだったのですね。冒頭からひたすら続く、「死後の世界は本当にあるのか?」「人は何のために生きるのか?」と言う新興宗教の勧誘ビデオみたいな内容に、僕は終始あくびが止まりませんでした。登場人物たちも、やたらうじうじ悩んで自殺したがってる人たちばかりでもう暗いったらありゃしない!物語は結局、この博士たちが死後の世界がどんなものなのかを映像に収めようとするところがメインになるのですが、その死後の世界の映像も暗くて見辛いしセンスなんて欠片もありません。何ですか、あの脳波を測る機械のダサいフォルムは。最後の衝撃のオチだけは技ありでけっこう良かったのですが、いかんせんそこまでの流れが悪すぎます。それにこのオチなら、もっと観客の不安感を煽る巧い見せ方が出来たはず。アイデアは良かったのだろうけど、監督のセンスと実力が致命的なまでに不足しているせいで何とも残念な仕上がりになっちゃってます。名優ロバート・レッドフォードと人気若手女優ルーニー・マーラの豪華共演に+1点!
[インターネット(字幕)] 3点(2020-06-26 23:31:17)
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