81. 白ゆき姫殺人事件
《ネタバレ》 率直に言ってしまうと"映画"として面白くなかったです。多分目指した所は現代版『羅生門』だと思うのです。数々の証言に信ぴょう性は無く、真相は藪の中に隠されていると言う、そういうストーリーです。ただ『羅生門』の方は事件の真相そのものに観客が疑いを抱く様になっている優れたミステリであったのに対し、本作は誰の目から見ても証言者の勝手な想像だろうと断言できることまで無闇矢鱈に藪の中に放り込む。例えば、証言者の一人、満島栄美が色々想像する話ってのは本当に想像でしか無い訳で、そんなものを映像で見せられても無駄に尺が長くなるだけだと思います。そのある事ない事想像する大衆の怖さを描いている作品でもあるのだから全くの無駄とは思えませんが、「そんな想像見せるならサッサと次の証言者の話に移ってくれない?」と思ってしまいました。 そして非常にキツかったのがワイドショーのシーン。意図はわかるんです。憶測の情報を基に勝手にある人物を容疑者として扱うワイドショー(数年前にみ○も○たが非道い憶測をしてましたね)、またその元となるネットの問題性。でもそのワイドショーの映像をわざわざ5分以上も見せる必要があるのでしょうか?普段あまりワイドショー番組を観ないので、このシーンはとても辟易しました。映画として必要なのは分かるけど、映画として全然面白くなかったです。 あと超バリアフリーな、わかり易ーい演出方法も正直どうなんだと思います。この映画は基本的に証言者のナレーションに合わせて進んでいきますが、例えばある証言者が「その時、私は見たのです。彼女が笑っているところを!」と言った時に、容疑者が「(ニヤリ)」と笑うシーンにはこっちが笑ってしまった。そんなシーンばっかり。 文句ばっかり書いてますが、要所要所でTwitterに興じる大衆の愚かさを描いた後に、終盤近くで美姫と夕子がロウソクを点滅させてお互いに繋がっていることを再確認するシーンは素晴らしいと思いました。Twitterもロウソク遊びも他者と交信し繋がりを持つという意味では同じですからね。でもそれって多分原作(未読)にある要素だろうし、映画化作品の良さとは別でしょうが。 [映画館(邦画)] 3点(2014-03-31 00:56:54)(良:2票) |
82. 6デイズ/7ナイツ
ハリソン・フォードのオレオレ詐欺のような映画。ただしアン・ヘッシュは可愛いですね。相変わらずショート・ヘアーが似合ってました。しかしそれだけ。 [地上波(吹替)] 3点(2009-01-04 22:32:12) |
83. ジュリエットからの手紙
《ネタバレ》 画面はとにかく美しい。確かに美しい……が、それだけな気がしました。その他は余りにも陳腐で平凡なストーリーが続くとしか言いようがありません。なぜそう思ってしまったのか?それは普通の恋愛映画には必ずあるモノが欠けているからでしょう。それは"障害"です。この映画のソフィーとチャーリーには、物語上で必要な絶対的な障害がまるで感じられないのです。唯一の障害らしい存在がフィアンセのヴィクターですが、彼との関係もチャーリーに合う以前から影がありましたし、障害とは言えないでしょう。つまり「ローマの休日」での身分の差、「プリティ・ウーマン」での住む環境の差、「カサブランカ」での社会的立場の差、それに相当するものがスッポリと抜けているんです。そんなラブストーリーが面白い訳が無い。最後にロミオとジュリエットのバルコニーでの逢引を真似していますが、ロミオとジュリエットは家柄が違うという障害があるからこそ、あのシーンは盛り上がるのであって、彼らがどこで逢引しても盛り上がるんです。バルコニーという舞台だけ真似たって何の意味もありません。唯一映画らしいなと思えた点はヴァネッサ・レッドグレーヴが本当のロレンツォに合えた瞬間にまるで少女の顔になっていた演技でしょうか。でもあの女優さん、最初に出てきた時から結構明るい感じのおばあちゃんでしたから、やっぱり微妙かな。ずっとしかめ面してた老婆が、最後に少女の顔になるってんなら感動しそうですが。 [映画館(字幕)] 1点(2011-05-26 22:27:39) |
84. 食堂かたつむり
個人的に雰囲気先行型の映画が好きではありませんので、厳しい評価を付けました。こういう世界にトリップ出来る人は良いのでしょうが、私は倫子を取り巻く環境に全く魅力を感じませんでした。 しかも必要の無い様な演出が多い事も鬱陶しい。不必要な部分を全部削って90分位にしたら、嫌いな作品にならなかったのかもしれません。 飯が美味そうだったのが唯一良かったです。 [映画館(邦画)] 1点(2010-02-20 01:34:25) |
85. 少林少女
全てが酷すぎる。映画の進行に頭がついていけません。ここまで酷い脚本の映画は久々に観たような気がします。こんな脚本に巨額をつぎ込むフジテレビは絶対どうかしてます。 あと酷かったのが、アクションシーンの表現です。「マンガ的表現はマンガの中で行うから優れているのであって、実写では必ずともそうではない」という事です。一昔前に日本のマンガ的な演出を取り込んだハリウッド映画(例:マトリックス)が大ヒットしました。それは全然かまいません。でも実写でオーラが体から染み出たり、水中から回転しながら飛び出したり、なんかよく分からんけど登場人物が空を飛んだりすると、誰がどう見ても不自然でしょ!こんな演出を本気で考えた十川誠志は猛省しろ! [地上波(邦画)] 1点(2009-04-30 09:22:18) |
86. しんぼる
《ネタバレ》 松本人志が神の存在になる過程を態々90分もかけて描いた問題作。映画でもって自分を神にしちゃうって、どんだけ自己愛が強い人なんでしょうねぇ。結論から言うと恐らくやりたかった事は、キューブリックの「2001年宇宙の旅」の真似ごとだったんでしょう。しかし流石にこれは撮影、脚本、演出において、映画として公開するには問題がありすぎる。この人、ホントに映画の撮り方の勉強等をしてから作っているんでしょうか。その位、簡単に言うと下手くそ。先ずオープニングで車が一本道を走ってくるシーンから駄目ですが、何よりカメラをぐらぐら無駄に揺らし過ぎ!ぐらぐら揺らすのが最近の流行りだとでも思っているのでしょうか?密室劇のパートとの対比を出したかったんでしょうが、全然対比になってないよ!だってプロレスの試合シーンからカメラ固定されるんだもん。意味が分かりません。 脚本に関しては、最早崩壊レベル。崩壊というか、松本人志がずっと叫んでいるだけなんで、脚本云々の問題じゃないです。脚本も酷いですが、彼の演技も正直映画として見られる質では無いんじゃないでしょうか。大日本人の時は、まだ観れましたが、本作は観ている間余りにも苦痛でした。 誰も作ったことの無い映画を作ろうとする気概を持つのは結構ですが、それをするには多少は映画作りのノウハウ位は学んでおくべきだと思うんです。「2001年宇宙の旅」は話の複雑さだけでなく、映像面でも素晴らしかった。ちゃんとした技術の上に実験があるのです。彼がもし三作目を作る気があるのなら、松竹はその前に彼を映画学校に放り込んでください。 [映画館(邦画)] 0点(2009-09-13 02:01:36) |