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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 2517
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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101.  紳士協定 《ネタバレ》 
自由の国アメリカにおけるユダヤ人差別は『サウスパーク』を見れば判りますが、今も存在していますし、この映画から半世紀以上経った今も、ラストで主人公の母が見てみたいと言った世界なんぞ、どこにもありません。これは差別というものの実態の話ではなくて、差別意識の問題に真正面からぶつかった熱い映画。差別する人の問題だけではなく、差別される側の意識の問題、差別はいけないと言う人々の問題をも総括して、差別が作り出される事の構造的な問題を根本から曝け出そうとしています。差別されない安全な立場に置いた身からこそ生まれる偽善を暴き、更なる差別を生むのが差別を卑屈に受け入れる意識であると暴き、悪意であれ善意であれ、自ら線を引く行為そのものが差別というものなのであると主張します。主人公が取った行動もまた安易であり肯定されるものではなく、登場人物それぞれが意識を前に進めてゆくという展開に感動しました。差別問題を包み隠す状態はむしろ現代に顕著ですから、これは今こそ必要な映画なのかもしれません。時代を越えた骨太な映画です。もっとも、この世から差別なんか永遠になくなりゃしないでしょうけれど。お互い悪口言いつつ存在を認めあえるような世の中でありゃ、それで十分なんですけどねぇ。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-30 17:32:25)
102.  シュレック2 《ネタバレ》 
ああ、ネコたんっ! もうネコたんの存在だけで10点あげちゃいたいくらい。ネコたんんんっ!! ま、冷静に判断して、と。前作にあったディズニーコンプレックス、前作が認知されて余裕が出てきたせいか、さすがに今回は見られません。その代わりに大挙して登場するのが映画パロディ。で、問題は、多くがベタ、一部マニアックな、そのパロディが映画を動かしてゆく力になってしまっている点。まるで「裸の銃を持つ男」や「スパイ・ハード」みたい。前作はおとぎ話パロディという、世界・世代共通のネタで物語が動いていたのですが、今回はオタクさんが喜んでやっちゃってるよ、というネタも多数で(「スト2」まで出された日にゃ・・・)、同じニオイを持つ者としては笑いを共有しつつも、それでいいの?という疑問が湧いてきます。本筋そのものは前作以上にシンプルというか、シンプル過ぎて面白味に欠けますし。クライマックスのケリのつけ方なんて、「え?何が起こったの?」って。あの魔法が「アバダ・ケダブラ」クラスだって事を先に説明しといてくれないとねぇ(と、一部の人にしか判らない事を書く時点でこの映画を批判する権利ナシかぁ?)。あと、CGは、リアルなモデリングが中心で、まだ独自の映像世界の構築に至っていない感じですね。意識してピクサー的な表現に走るのを避けているのかもしれませんが、前作ほどではないにしろ、その、固体が配置されてます的な映像に違和感がつきまといました。アメリカでアニメ史上最大のヒットという事で期待しましたが、やっぱりこんなモンか、って印象でした。でも、ネコたんは最高なんです。ネコたんは。
[映画館(字幕)] 5点(2009-03-24 23:37:50)(笑:1票)
103.  少年メリケンサック 《ネタバレ》 
日頃、「桜」の歌を出す男性アーティストにロクなヤツぁいねえ!と思ってたりして(該当する諸アーティスト並びにファンの皆様、ごめんなさい)、なので、かんなの彼氏に大笑い。出だしは会話も快調、バカが突っ走っていて面白かったのですが、なんかワリとすぐにグダグダな映画になってしまいましたねぇ。つまらなくはないけれど映画の温度が期待したほど上がってゆかない感じ。キム兄の延々と温度が低い演技、アレはアリなんでしょうか? 彼が結局最後までちゃんと弾けてくれないので(佐藤浩市にしてもハジけきれてないのですが)、胸にヘンなモノがいつまで経ってもつっかえて残っちゃう。宮崎あおいとユースケの高速回転に比べて映画全体は鈍重、という印象です。『デトロイト・メタル・シティ』と部分的にカブってて、パワーが及んでないという感じですし、時代を笑えるほど今という時代を活写できてなくないか?ちょいと野暮でないか?という気もします。ついでに1979年にあのGS風はないわぁ。GS→BCR→レイジーの10年以上の年月を一絡げにしちゃっちゃあねぇ。まあしかし、笑いどころはあちこちにあったので、ユルくグダグダながらも最後まで楽しめる映画ではありました。ヒマ潰しにどうぞ。
[映画館(邦画)] 6点(2009-02-21 18:00:46)
104.  じゃりン子チエ
原作に忠実過ぎる、っていうのは意外に退屈なモンなんだなぁ、というのを思い知った映画です。これが小説の映画化ならば、そのイメージの相違を楽しめたりもするのですが、マンガをかなりきっちり忠実に表現したキャラクターデザイン、画面構成となると、あとは「いやもう物語的には判ってるから、なんか他の事してくんない?」って思ってしまって。『ゴジラの息子』あたりが数少ないお楽しみポイント、みたいな。声に関しては、テツは最高、チエやおばあはんもいい、でも他はどうしても芸人さんの顔が見えてきてしまうなぁ、って感じでツラいものがありました。思うに高畑演出って毎回どうも関西の浪花節的なノリで、関東な私には鼻に付いてしまって馴染めなかったりするのでしょうかねぇ。原作の方は10巻くらいまでは好きだったんですけどね。あ、初日プレゼントのセル、併映の『フリテンくん』を貰って思いっきり萎えた記憶が・・・
[映画館(邦画)] 5点(2009-01-15 20:01:10)
105.  GSワンダーランド 《ネタバレ》 
サイケなファッションの栗山千明がデカいサングラス越しに日劇を見上げる冒頭から、シネスコ画面いっぱいに展開するGSワールドは夢のような世界でした。色調、画調まで含めて当時のGS映画風だったり(なのでシネスコなのは当然)、『ヤァ!ヤァ!ヤァ!』だったり、芸能ニュース映画だったりして、めくるめく60年代の夢の世界に、「ここは天国ですか?」みたいな。自分の中で神映画降臨!?といった風情でした。ところが残念ながら、映画は後半、青春映画として、そして時代を描く映画としてマジメであろうとしてしまい失速。こちらがせっかくヒートアップしているというのに、作る側がどんどん水をかけて冷ましてるような状態になってしまって、なんか登場人物同様、作る側も色々と諦めてしまったのかいな・・・って印象が。GSは確かに浪費されて消えていった時代の徒花。だけど、今、それを冷めて描いてしまうような時代でも、世代でもないでしょ? 団塊世代の自嘲的な自己完結映画じゃあるまいし。むしろ、こんなケリを付けられたくはないですわなぁ。もっと熱くバカでいいのになぁ。とっても残念。あ、ラストシーン、私は辛うじて日劇の生のステージを知ってる世代なので、アレはないわなぁ、と思いました。つるーんとしたただの舞台じゃなくて、カマボコ型のステージの左右にオーケストラボックスが開いてる(縁に小さな電飾が点いてるの)状態をちゃんと見せてくれないとねぇ。
[映画館(邦画)] 7点(2008-11-25 20:06:16)(良:1票)
106.  JUNO/ジュノ 《ネタバレ》 
アメリカってのは、その信仰ゆえに意外に保守的であったりして、なので実態はともかくとして、映画で高校生の妊娠を描くのは実は勇気が必要なのかもしれません。あえて映画では宗教上の思想に言及していませんけれど、ジュノが堕胎という選択をしていたとしたら、そりゃもう黙ってはいない人々続出な世界でしょうから、そういう意味ではただ少女の妊娠を題材にしただけでもセンセーショナルな内容かも。が、いかんせん甘いというか、それでいいんかい?という違和感が終始つきまとう映画でして。性善説に基づくこの映画では結果的に命が軽いんです。妊娠から出産までが越えるべき障害のようで、ドラマ的に収まるべきところに収めただけで、そこに本来生じた筈の沢山の問題が、さらりさらりと流れてしまって、ジュノや周囲の子供、そしてそれを取り巻く大人や、大人になれない大人について語る事はできても、肝心の命については語れなかった、と。多方面に配慮すると、この程度で限界ですかい? 単なるコメディだからと逃げますかい? あと、男という存在についてやたら言い訳がましさを感じてしまったんですけど。これで良し、でいいのか? というか、ジュノはあれで成長したと言えるのかなぁ? 一人勝手気ままな思考・行動を暴走させた挙句に自己完結して、周りは何故か全員そのジュノをあったか~く許容しただけに見えるんですけど。アルジェントネタとか、微妙に笑えましたけどね。
[映画館(字幕)] 5点(2008-06-18 11:16:51)(良:1票)
107.  少林少女 《ネタバレ》 
ひとことで表わせば「なかみなきもの」。映画全てがカタチだけで全く心が入ってません。ここまで面白そうな題材をつまらなく撮れる才能のなさというのも珍しいですが、つまりは既存の要素を寄せ集めて繋げただけ。毎度の小ネタと凝ったアングルを撮るのには腐心しても、映画として面白くしよう、いや、そもそもキチンと映画として完成させようとする意識はとっても低いとしか思えません。主旋律からして『死亡遊戯』もどきと『少林サッカー』ラクロス版とでボヤけていて、少林拳の話かと思いきや、ラクロスがメインな展開で、だけどクライマックスでラクロスはどうでもよくなって結局は蛇足になっちゃう。とりあえず画面に登場させておけば、それでいいと思っているかのような魂のない登場人物が大挙して右から左へ流れてゆき、それは主役クラスにまで及ぶ始末。コウちゃんですらキャラとしての魅力がちっとも感じられないんですから。そして肝心のアクションシーンがとっても退屈(これも既存のイメージを流用しつつ、オリジナルに遠く及びません)な上に呆れるほどにクドく、マズい料理を無理矢理沢山食べさせられるような映画でした。ついでに『少林サッカー』のキャラそのままで見て下さいとばかりに、この映画としてのキャラ作りを放棄していたりまでするのは、流石に馬鹿かと。仲村トオルの大学の裏側が、まんまこの映画の存在を象徴しているようで、自虐かよ!って。本広映画、フジテレビ映画が大好き!って人向け。って、そんな人いるのかいな? 舞台挨拶のあった回だってのに映画が終わって拍手ゼロ、っていうのが、相当マズいわぁ、こりゃ、って感じでして。軽部さんが「まわりに面白さを宣伝してください」って言ってたケド、無理!
[映画館(邦画)] 3点(2008-04-26 16:33:21)
108.  ジャンパー 《ネタバレ》 
お気楽な娯楽映画、ってところで。登場人物が揃いも揃ってあまりお利口ではないのが、見ててちょっとイライラします。特殊能力を持った者と、その力に対抗しようとする者との戦いが、ストイックなものではなくってドタバタです、みたいなのは、見ててなんだかなぁ、って。クライマックス手前の仲間割れなんてコメディになっちゃいますしね。お前ら『ゼイリブ』ごっこしてんのかよ!みたいな。意味ありげで広く深い背景があるように見えて、その実あれだけの人間のみで映画が済んじゃう薄さにも唖然。組織的な背景がまるで見えませんが、一応政府が絡んでるんだったら、ラスト、あんな終わり方でいいワケない気がするんですけど。あと、やたらに短い上映時間だけど、ローマ旅行のあたりなんかはダレ場なのよねー。アクションシーンはカメラぶんぶん振りまくって何やってんだか判りゃしないし、ヘイデンもB級スターの仲間入りざんすか?みたいな程度の映画ではありました。
[映画館(字幕)] 5点(2008-03-01 22:35:45)
109.  幸福のスイッチ 《ネタバレ》 
樹里っぺ史上、最もカワイくない樹里っぺが見られる映画です。ほぼ全編。どれくらいかっていうと「アタシ、上野樹里に似てるってよく言われるの」「あー確かに(うーん、かなり微妙・・・)」ってくらいなレベルの、樹里っぺ・・・なの?みたいな。メイキング見ると、撮影の合間では確実によく画面で見る樹里っぺなんですけどねぇ。そう考えると、カメラマンに才能がまるでない、のではなくって実は彼女ってば役を演じきる才能が凄いのだなぁ。さて、映画はベタで古典的です。斬新さなんてのは一切ナシ。携帯だのプラズマテレビだのの存在で辛うじて時代が判るってくらいに、一体いつの映画よ?状態。でも、そのベタさをホカホカと楽しめました。雷の夜あたりまでは。その後に続く浮気話部分、蛇足もいいとこじゃありません? 映画に対する興味がそこ以降急速に薄れてしまい、まだ終わんないの?って感じてしまい。浮気話を入れるのなら入れるで、雷前に組み込んでおくべきだと思いました。あと、このお父さんのサービスの姿勢は、必ずしも正しいとは思えません。「お客様は神様です」で人の情を重視しちゃう事が、良き結果をもたらすなんて考えるのはとっても甘い、甘すぎるぞ。優しくされた人間は、優しさを返すのではなく、更なる優しさを求めるばかり、それが現実。そこら辺、浮世離れした映画屋らしい脚本だわ。「これこそが商売の正しき姿勢だ」なんて基準にされちゃ、世のサービス業、たまらんですよ?
[DVD(邦画)] 5点(2008-02-21 11:13:14)(良:1票)
110.  少年ケニヤ(1984) 《ネタバレ》 
大林監督のセンスに、作画スタッフが全くついてゆけてないという感じがしました。元々が「ダメな時の東映動画」クオリティですから「線がいっぱい描かれた原画が動く」とか「線画だけの映像」とか「画面の一部だけを作画してある」とかいう特殊な状態が、単なる手抜き以上のものに見えてこないという悲しさ。原作のレトロな、時代ゆえの味わいも表現レベルが低いとパッとしない地味なアニメにしかなりません。クライマックスの突如SFな暴走は当時の大林監督の好不調の激しい波の、あまりよろしくない面が出たって感じですが、ああいう見せ場でも作らないと単調で仕方ないといった感じがあったのも事実で。併映が『スヌーピーとチャーリー・ブラウン』、当時の混沌としたアニメブームを象徴していた感じでした。
[映画館(邦画)] 4点(2007-12-16 23:15:27)
111.  シュレック3 《ネタバレ》 
まあ毎度のシュレックですね。今回もそこそこ。今回は1作目のようなおとぎ話パロディも2作目のような映画パロディも薄めで、どちらかというと物語とキャラ頼りになってる訳ですが、まず物語は盛り上がりに欠けるかなぁ。計画もなく突入して捕まる、というパターンを1作の映画の中で3度も繰り返すのはさすがにダメでしょ。いちいち腰を砕く展開になる訳ですし。あんだけ物語のブレーンにいっぱい名前連ねてて、どうしてそんな脚本になっちゃうんだか・・・。キャラ的にはシュレックがごくごく常識的小市民に納まっている点で、もはや魅力が喪失しちゃってるという感じ。脇キャラの方がよっぽど魅力的ですわ。ボンクラ映画ファンな私的には、『死ぬのは奴らだ』とクライマックスのスーパーヒロインモノの流れにピクリ!と反応しましたけど、それくらいですねぇ。モデリングもモーションも格段に進化した『シュレック』ですが、作品そのものはひどく保守的な道を歩んでるなぁ、という印象でした。
[映画館(字幕)] 5点(2007-07-01 20:48:55)(良:1票)
112.  主人公は僕だった 《ネタバレ》 
うーん、ここ数年の中では最も映画館で見た事が失敗って思った作品かも。お金よりも時間が勿体ないや。オープニングからしばし続くCGの合成はステキでした。まあ、それだけ。荒唐無稽な基本設定が存在しながら、哲学的な方向に走るって点では『マルコビッチの穴』みたいですが、タイトルや予告編からはそんなカラーは見えませんでしたからね。単なるコメディだと思ったのに。誰かの声が自分の行動や心理をいちいち解説してみせる、この起点は面白いのですが、主人公の原因追及が心理学から文学研究へと向かうとやたら理屈っぽくなっちゃう。それでも推理ものの如く解明していって、という展開ならばいいのですが、死か文学的価値の破棄かの選択肢を迫られるに至って、何を言ってるんだか、って感じになってしまい。いかにも物書きの思考から生まれた物語って感じです。大体、映画をトレースしただけではとてもではないけれど名作文学になりそうな気がしなかったりするのはどうもねぇ。単なるマクガフィンなんでしょうけどさ。でもでも、私にとってこの映画の最大のマイナスポイントは紹介文を読んだだけで一生絶対に見る事はないと決めていた『モンティ・パイソン 人生狂騒曲』を、ほんの部分だけでも見せられてしまった事ですね。最悪の気分。本当はそれだけでも0点付けたいところなんですけど。
[映画館(字幕)] 2点(2007-05-20 21:22:50)(良:1票)
113.  神童 《ネタバレ》 
原作と映画とは別物という意見もございましょうが、原作を頭の中から消し去って映画を見る事なんて不可能な訳で、だから別物として見るべきという意見は少々乱暴に思えてしまうのですよね。で、この映画、基本設定で大きく違うのが、うたが原作では小学生だけれど、ここでは中学生になっている点。これによって物語全体に大きな違いが生じているように思いました。奔放な小学生はわがままな中学生へと変わってしまったようでもあり、それ以上に大きいのが、ワオのうたに対する視点が原作の「普通の子供でありながら天才」な状態に、映画では微妙に異性に対する恋愛感情が加わっているようで、それは「神童」という核からの通俗的なブレを生じさせている感がなきにしもあらずで。それでも、原作のダイジェストの如き説明不足な急展開や、母親の存在が物語に占める割合の極端な軽減があったにしても、音が織り成してゆくドラマの盛り上がりは充分に映画的な感動を呼ぶものでした。それゆえ、クライマックスのコンサート後の展開はどうしたことかと。頂点からの突如の絶望、そして仄かな希望へと至る原作の展開は激しく改変されたのですが、あそこで一体うたに何があったのか、原作を読んでいない人がはっきり判るのでしょうか? 全ての音を無くしてしまうくらいの表現があったのならば良かったのですが、いかんせん不明瞭。うたとワオの物語に集約させた脚本は、ラストに至って作品世界を矮小化してしまった気がして残念でなりません。「大丈夫、あたしは音楽だから」はワオにとってだけの音楽ではなかったと思うのですが。
[映画館(邦画)] 6点(2007-05-06 22:10:30)
114.  Gガール/破壊的な彼女 《ネタバレ》 
20世紀フォックスファンファーレ&シネマスコープファンファーレに続いて描かれるのは、ちょっと古き良き時代の都会派ラブストーリー風なニューヨークの風景と音楽。ところがすぐに一転して今度はVFXバリバリのアメコミスーパーヒーロー風に。カッコいいメインタイトルがバーン!と出てきたかと思ったら、映画本編は更に下ネタと、そして恐ろしい女の嫉妬が程よくブレンドされた、とても面白いバランスで組まれた作品となっていまいした。スーパーヒーローものとしてもラブコメディとしても、メチャクチャ変化球でありつつも、本質はきっちり捉えているんですよね。毎度使い古され過ぎて食傷気味なスーパーヒーローの苦悩ネタも、ここまでズバリ明確にセックスを基準として語られると痛快ですらあります。元々はナードなヒロインが、スーパーパワーを身に付けてしまった事でなんとも判り易く到達した二面性、それがもたらす悲喜劇はひとつひとつが突飛ながらも共感の範囲内にきっちり収まっていたりします。カッコ良くも恐ろしいユマ・サーマンの、ぎりぎりな憎めなさ加減の絶妙なこと。初期のライトマン作品はハンパなスタイルがあまり好きではなかったのですが、最近のライトマンはしっかり一流のおバカ映画を撮ってくれるので、なんか好感が持てます。いちいちそれっぽい本格派な音楽が、ヘンなおバカ映画をマトモに感じさせてしまうあたりは、ハリウッド映画の風格かな。この展開だったら、当然そうなってくれるよね?ってこちらが期待した通りにピタッ!と決まったラストシーンに、あー、大変面白いモノを見せて貰いました、と満足。惜しいのはヒロインが何故正義の道を選んだのか、大悪人がどう悪なのかの2点が描かれていない事。そこまでフォローしてくれていれば満点だったんですけどね。
[映画館(字幕)] 8点(2007-02-17 21:08:01)(良:2票)
115.  純愛中毒 《ネタバレ》 
最初からどういう展開になるのかな?とあれこれ予想を立てて見ておりました。同時に事故って、ってあたりで、ああこれは兄の方が・・・と、まあこれは読めるのですが、問題はそこからのだるだる~んとした展開で更に「と見せかけておいて、もうひとひねり」まで読めてしまう事ですね。ミステリータッチではありますが、そもそも入れ替わりっていうのを前提としている時点で説得力のないオハナシなワケで、その上、矛盾しているところ、納得できないところを強引にねじ伏せてしまっているので、ちょっと受け入れるにはキツいなぁ、と。むしろ中盤までの描き方をコミカルに描いた方が意外性が出たんじゃないでしょうか。あんなにいかにもなんかありそうな勿体付けた描写じゃ、もうひとヤマありますよ、って宣言しているようなものですし。これをキッチリ納得させるためには、お兄さんとの関係をもっとしっかり描いておくべきだったでしょうね。才能まで完全コピーできるだけの関係って一体どういう状態だったのよ?って。先が読めてしまうとひたすらダルい映画です。
[DVD(字幕)] 4点(2006-12-22 01:29:14)
116.  親切なクムジャさん 《ネタバレ》 
復讐三部作の完結編、という感じで子供の誘拐、腎移植、犬になる等、キャストまで含めて前2作からの引用、パロディが満載。そう言った意味ではこれ単体ではなく、通して見た方が楽しめると思います。復讐心の生み出す悲劇や虚しさを描いてきたこれまでの作品から、この映画は更に俯瞰して、それでも汚れてしまう事を選ばざるを得ない人々の、滑稽で哀しく切ない物語になっていました。無垢でいられる事の難しさ、エゴや弱さを嘆きつつも神の視点まで高めて肯定する、この監督の頂点に至る作品だったと思います。更に凝ったカメラワークや技法は、もはや匠の技。ちょっとブラックな笑いを挿入する部分まで含めて、私には心地良く、こんな題材であるにも関わらず、見ていて不思議に癒される映画でした。イ・ヨンエさんの一筋縄ではいかない揺らぎの演技が作品に大きく貢献していたと思います。重ねて書きますが、「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」を順に見た上で「親切なクムジャさん」で1セットとして完結する感じがして、なので評価は前2作の存在を前提とした上での点数です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-12-06 01:59:53)
117.  人生の逆転 《ネタバレ》 
ネタとしては「ん?どこかで聞いたような見たようなハナシですよ」って感じですね。切羽詰ったダメな男があるきっかけで何故か全く違う成功している自分になってた、って。この映画の場合はパラレルワールドの自分と入れ替わっている訳ですが、ただ成功を享受するのでなく、もう一人の自分もまた切羽詰まった状態で、それを修復しなければならない、ってところが面白かったです。人生の選択の相違によって、全く違う生活を手に入れていたけれど、自分という人間はどの世界にいたところで、やはり自分以外の何者でもなかった、という至極真っ当な物語が嫌味なくストレートに描かれえていて、誠実な映画だと思いました(いろんな人の職業や会社が異なっている部分なんかは説明ナシでしたけど)。元の世界に戻ってからのドラマは、忘れかけてた伏線がきっちり活かされて、つい感動させられちゃいました。本編がハッピーエンドで終わって、ああ良かった面白かった、でも、もう一人の方は、あっちの悲惨な世界に行ってしまって、一体どうしてたんだろうなぁ?っていう疑問もエンドクレジットでキッチリと描いてくれて、胸のすく思い。ちょっとした拾い物映画、という感じでした。
[DVD(字幕)] 7点(2006-11-26 00:31:30)
118.  JSA
人である前に国民でなければならない世界、言葉も肌の色も同じなのに国家の名の元で、敵対し殺しあう人々。今現在、現実に存在する問題を描いているだけに、痛みを感じる物語でした。日頃、北朝鮮を世界の脅威、危険な国家として捉えていますが、そこに生きる人々が「自分達とは違う生き物ではない」という当たり前の事を教えてくれます。周りを海で囲まれた国に住む私には、実感が伴いにくいのですが、国と国を隔てる線は、歴史が刻んだ深い傷なんだと思いました。と書きつつ実際、映画見てる間いちばん大きかった感情ってのは、イ・ヨンエさん萌え。
[映画館(字幕)] 7点(2006-11-08 22:09:10)
119.  春夏秋冬そして春
キム・ギドクって人がどういう人だかも、これがどんな映画だかも全く知らないままに見ました。お坊さんと少年の心暖まる物語だと思ってたら、あらあらまあまあ・・・。生生流転、諸行無常、諸法無我、涅槃寂静、なんだかアタマの中に四文字熟語浮かびまくりな映画でございました。四季を通して描かれる人と生命と自然との関わりを通して信仰ってそもそもナンなんでしょう?みたいな事を見つめさせてくれます。隔絶された空間を舞台にしながら、その外側に広がっている俗世間に生きるということを映し出してゆく、ちょっとステージ高めな映画。まあ、ちょいとお坊さんにしろお弟子さん?にしろ、極端な行動に出過ぎる感はありましたけれど。お坊さん、ちょっとジェダイマスター入ってましたねぇ。あんたぁ、オビ=ワンか、ヨーダか、って。と、結局俗っぽい感想に至るあたりが私の限界か・・・。お後がよろしいようで。
[DVD(字幕)] 7点(2006-11-08 22:05:14)
120.  7月24日通りのクリスマス 《ネタバレ》 
同じ中谷美紀主演の近作「嫌われ松子の一生」に技法として似ているところが結構あって、でもこちらは描き方がハンパなので明らかに見劣りしてしまっています。どうせ少女マンガ的なる世界を題材にしているのだから、もっと徹底的にやってしまえばいいのに、って思いました。リスボンと長崎のイメージとを重ねてゆく描き方なんて面白いのだから、もっと激しくクロスさせて欲しかったですし。それに、笑いのシーンを沢山散りばめてあるのですが打率2割程度、みたいな、微笑と苦笑とで殆どを占める感じ。これまたハンパ。あと、中谷美紀が冴えないジミなオンナ、ってのもなかなか納得できませんわねぇ。あのもしゃもしゃ髪のメガネ顔でも充分魅力的でないかえ?って。むしろ変身してからの方がつまんなくなって。舞台のライティングの中に立つシーンなど、アレは演劇のライティングとしてはアリなのかもしれませんが、映画じゃフラットでべたーっとして魅力的に見えませんわ。ラストのライトアップもハンパにジミだし。あと、樹里っぺがのだめとキャラ被り。でも、ひとりひとりのキャラクターに愛着を持って楽しんで見られたので、欠点は多いけれどもイイ感じの映画でした。実家の喫茶店の面々なんて、リアリティ全然ありませんが、ああいう作り物なカンジも好き。失敗したっていいじゃない、って主張は共感しちゃいます。モテない地味オンナが不釣合いな恋をするって「電車男」の逆バージョンで、スタッフも「電車男」まんまで、やっぱり電車がモチーフになってたりして、だから「電車女」ってタイトルでもいいような映画です。だけど路面電車なので「チンチン電車女」かな。ってそれじゃ勘違いしたお客さんしか見に来ませんね。
[映画館(邦画)] 6点(2006-11-03 20:26:58)
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1220.87%
2421.67%
31234.89%
431912.67%
548419.23%
654521.65%
745518.08%
829811.84%
91827.23%
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