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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1872
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  子宮に沈める 《ネタバレ》 
「実際に起きた「大阪二児餓死事件」を基に、家庭という密室の悲劇を描いた衝撃作」という前提を取り除いたら、後に残るのはさして中身のないただただ悲惨な事実を再現しただけの映画。自分の率直な感想を述べさせてもらうと、それ以上でもそれ以下でもありません。幼い子供がこの状況に置かれたら必ず母親を求めて泣き喚き、声を枯らせて助けを求めると思う。ゴミにまみれた小さな部屋の中でドアも窓も全てふさがれ、面倒を見てくれる大人も食べるものもない状況に置かれた子供は、きっと極限の不安感から悲鳴に近い声を上げ続けるはず。でも、この映画にそんなシーンは一切ありません。ただ淡々と静かに「お母さん、お母さん」と呼び続けるだけ。今の時代、3、4歳の子役にそこまでの演技をさせるとコンプライアンス的にまずいと言うことで恐らくそのようなシーンを撮らなかったのだろうけど、そういったシーンが撮れないのであればこの映画は作るべきではなかったし、実際に起きた事件を基にしたと謡うのであればやはり子供が泣き喚くシーンは絶対に入れなければならなかったと思う。これは社会を震撼させた衝撃的な事件をただ表面的になぞっているだけで、メッセージ性もテーマとしての深みも非常に浅いと自分は感じてしまった。実際にあった悲痛極まりない事件を基にしたという誰も正当な評価をしづらい前提を建前に、これは監督の自己顕示欲を満たすため、なおかつ幾ばくかの金儲けのために撮られた映画だと思う。邦画でよくある難病系のお涙頂戴映画よりも、とてもいらやしい下劣なものを感じ取ってしまった。正直、この監督の人間性は下劣だと思う。
[DVD(邦画)] 4点(2024-03-01 09:01:50)(良:1票)
2.  SHE SAID/シー・セッド その名を暴け 《ネタバレ》 
ハリウッドを震撼させた、有名映画プロデューサーによる女優へのセクハラ疑惑。その件数は一つや二つではなく、しかも何十年も前から日常的に繰り返されてきたというのだ。映画業界で絶大な権力を持つその男の前では無力な一俳優やスタッフがいくら被害を訴えても黙殺されるだけ。長年泣き寝入りを強いられてきた多くの被害女性たち。だが、2016年、当時のニューヨークタイムズの記者が地道な取材を重ねてゆくと、そんな不都合な事実が少しずつ明らかとなってゆく。これまで自らの思いを必死に抑え込んできた数多くの被害女性たちは、次第に勇気を出して声を上げてゆくのだった――。のちに大きな社会ムーヴメントとなるMeToo運動のきっかけとなった、ハーヴェイ・ワインスタインによるセクハラ事件。本作は、そんな映画業界のみならず全世界に大きな衝撃を与えた事件を描いた社会派ドラマだ。まだ事件が明るみになってから数年しか経過していないこともあり、関係者の多くがいまだ映画業界で働いていること、加害者であるワインスタインがのちに有罪判決を受け現在服役中であること、日本をはじめ今も多くの国で過去の性被害が問題になっていること、そんな物凄くナイーブな問題を正面から扱った本作のテーマは意義深いことだと思う。これまで多くの女性たちが泣き寝入りをせざるをえなかった社会の構造的な欠陥を、地道な取材によって告発した主人公たちの勇気ある行動は称賛に値する。ただ、本作を映画という芸術的側面で論評させてもらうと自分はそこまで評価できなかった。これは、いくら社会的関心が高いテーマだとは言え、実際に起こった出来事をただ忠実に再現しそれを時系列順に並べたからといって必ずしも面白い映画とはならない典型的な例ではなかろうか。事実をただ羅列するのではなく、観客の興味をとらえより多くの人々の心に届けるための演出を行うのが監督やスタッフたちの役割だと自分は思う。今回本人役で登場したアシュレイ・ジャッドがクライマックス、自らも実名をあげて告発記事に名を連ねる決心をするシーンも、そこまでの丁寧な描写や伏線も何もないせいで唐突感がぬぐえず、いまいち心に響かない。これはひとえに脚本と演出のせいだろう。数年前にアカデミー賞を受賞した、カトリック教会内部での神父による性的虐待を描いた『スポットライト/世紀のスクープ』との違いはここにある。ここまでセンシティブなテーマに勇気をもって取り組んだ監督の熱意には好感が持てるだけに、惜しい。
[DVD(字幕)] 5点(2024-01-25 10:50:56)
3.  ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 《ネタバレ》 
もうシリーズの世界観から完全に外れちゃって、もはや『ミッション・インポッシブル(+恐竜)』みたいな感じになってましたけど、これはこれでけっこう面白かった!恐竜に追いかけられながらの街中バイクチェイスシーンは、やぱテンション上がりますなぁ。旧シリーズのメインキャストががっつり大活躍するのも好印象。あと、恐竜だけでなく今回は巨大イナゴの大群に追いかけられるシーンがあったのも自分はけっこう好きでした。イナゴの動きとかめっちゃリアルでなかなかグロかったーー!まぁ3日も経てば完全に忘れてしまいそうな内容でしたけど、エンタメ映画としては充分及第点。うん、そこそこ面白かったです!!
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-09 09:16:43)
4.  シラノ 《ネタバレ》 
19世紀に初演されたフランスの名作戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を元に、自らの外見にコンプレックスを持つある一人の剣士の長年にわたる片思いを美麗に描いたミュージカル。監督は、現代的な解釈で古典的名作を幾つも蘇らせてきた名匠、ジョー・ライト。このお話って確か、主人公は鼻が物凄く大きいことにコンプレックスを持っててそのせいで好きな人に告白できず何年も片思いに苦しめられるって設定だったよね。でも、本作でシラノを演じるのはピーター・ディンクレイジ。持って生まれたハンディを乗り越え、実力で今の地位を築いた個性派俳優。とにかく彼の自身の境遇を重ね合わせたかのような、周りの偏見や同情を圧倒的な力で捻じ伏せるかのような熱演が素晴らしかったです。心から愛する女性が自身の後輩に想いを寄せていると知った時に見せる彼の切なそうな表情には思わず感情移入してしまいました。それでも彼女の幸せを願って、後輩との仲を取り持とうとする主人公。自分の恋心を納得させたいがため、彼からの手紙だと偽って自らが書いた恋文を何通も彼女に渡すシーンには胸がぎゅうぎゅう締め付けられますね。監督、モテない男の気持ちをよく分かってらっしゃる。癒えたはずの僕の心の古傷がズキズキ疼いちゃいましたわ(笑)。肝心のミュージカルシーンはいかにもジョー・ライトらしい、煌びやかで華のある場面の連続でもはや抜群の安定感。中世フランスの宮廷を再現した、ゴージャスで美しい映像には思わず乙女のように見惚れてしまいました。殺伐とした戦場シーンも何処か気品を感じられて、この計算された統一感は素晴らしいですね。ヒロインを演じた、ヘイリー・ベネットのいかにも恋に恋する自由奔放な感じもグッド。男を振り回す典型的な小悪魔感が憎たらしいけど、でも悔しいけど魅力的でした。彼女と彼女が想いを寄せるイケメンとシラノがベランダ越しに会話するシーンは、それぞれの情熱と諦念が交錯する素晴らしい名場面。片想いの切なさに苦しんだことがある全ての人にぜひ観てもらいたい、なかなかの秀作でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2023-03-10 10:01:48)
5.  シニアイヤー 《ネタバレ》 
チアリーディング部のキャプテンとして、恋に友情にと青春を謳歌していたリア充女子高生、ステファニー。だが、プロムクイーンを目指して練習に励んでいたまさにその日、彼女はライバル同級生の策略により、瀕死の重傷を負ってしまう。意識不明となって病院へと担ぎ込まれたステファニーはなんとそれから20年も昏睡状態のまま月日が流れてしまうのだった――。20年ぶりに目覚めた彼女は意識こそ17歳のままだが、その外見は年相応のぽっちゃりとしたおばさん体形。スマホやSNSといった当時はなかった先端技術にも戸惑うばかり。でもステファニーは持ち前の明るい性格から、すぐに失った月日を取り戻そうと前を向いて生活し始める。高校へと戻り再びチアリーディングを始めた彼女は、もう一度プロムクイーンを目指して努力を重ねるのだが……。17歳で昏睡状態となってしまった女子高生が20年ぶりに目覚めたことから巻き起こる騒動を終始軽快に描いた青春コメディ。まぁ完全なる出オチ映画ではあるけれど、レベル・ウィルソンのすっとぼけた存在感で前半はけっこう面白かったですね。病院で目覚めた彼女が鏡に映った自分の姿を見て「ちょっとこのおばさん、誰?」と看護師に聞くシーンとか普通に笑っちゃいました。それが自分だと分かった瞬間、失神するなんてレベル・ウィルソン以外がやったら絶対すべってたでしょうね。ツイッターやインスタグラムといった当時なかった技術との世代間ギャップで笑いを取るのもベタながらあり。行き過ぎたポリコレからかなり窮屈となってしまった現代社会を揶揄するネタもけっこういいとこついてる。ただ、結局それだけの映画なので後半のグダグダ具合はちょっと観てられないレベル。特にこの主人公の自己チューっぷりには見ていて腹立って来ましたわ。『ディープ・インパクト』を観ながらライバルをやり込めるために悪態つきまくるシーンは率直に最悪。映画館で思いっ切りでかい声でネタバレ叫ぶなんて一番やっちゃいかんことでしょ!深刻なテーマをあくまで軽く扱うのも良いとは思うけど、さすがにちょっとやりすぎ。最後のエンドロールで撮影風景を楽しそうに流すのも、なんか仲間内のハッピー押し売り感がウザかったです。前半はそこそこ面白かったんですけどね~。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-02-13 08:31:18)
6.  死霊館 悪魔のせいなら、無罪。 《ネタバレ》 
なんかホラー演出がそんなに怖くなうえにお話のテンポも悪く、自分はさっぱり楽しませんでしたーー。もっと法廷劇をメインに描いた方が良かったんちゃう??
[DVD(字幕)] 4点(2022-10-26 07:15:38)
7.  17歳の瞳に映る世界 《ネタバレ》 
ペンシルバニアの田舎町で平凡な毎日を送る17歳の高校生オータムは、何処にでもいるような普通の女の子。保守的な両親の元、スーパーのレジ打ちのバイトをしながらただなんとなく日々を過ごしている。そんなある日、オータムはもう一か月以上も生理が来ていないことに気づく。密かに訪れた町の産婦人科で診察してもらった彼女に告げられたのは、妊娠10週目という事実。予想もしていなかったことに思わず動揺してしまうオータム。とてもじゃないが両親に話すことは出来ない。そもそも産んで育てる勇気もない。だが、彼女が暮らすペンシルバニアでは、未成年の妊娠中絶には両親の同意が必要だった。ここから遠く離れたニューヨークに行けば、お金さえ払えば手術を受けられる――。ネットで調べてそのことを知ったオータムは、唯一の親友でバイト仲間のスカイラーとともに夜行バスへと乗り込むのだった……。中絶手術を受けるためにニューヨークへと向かう17歳の2人の少女の旅路を終始淡々と見つめたガールズ・ロードムービー。そんななんともネガティブなお話なのに、あまり暗さを感じさせないのはこの監督のリリシズムに満ちた詩的センスによるところが大きい。それぞれに孤独を抱えたこの少女たちの旅路は終始不安定で今にも壊れてしまいそうな危うさが漂っているのに、非常に美しく洗練されている。この感性はなかなかのもの。親身になって相談に乗ってくれていると思っていた、地元の産科医のおばちゃんがゴリゴリの中絶反対派だというのもリアル。一日で終わると思っていた手術が、この産科医の誤診のせいで二日かかってしまうというはなんとも皮肉ですね。すぐにお金もなくなり、泊まるあてもなくなって次第に追い詰められてゆく2人。親友がお金を稼ぐために会ったばかりの男とキスをするシーンで、柱の陰で主人公と密かに手を繋ぐところはとても切ない余韻を残してくれます。この二人の友情が永遠に続けばいいと願わずにはいられない名シーンでした。他にも、中絶前にカウンセラーが幾つも質問する中で、最初は服用している薬だとか病歴だとかだったのが最後の方で男の暴力についての質問に変わってゆくシーン。最初は気丈に振る舞っていた主人公が次第に涙をこらえられなくなるところも、男の身勝手な欲望への女性たちの静かな怒りが感じられ色々と考えさせられます。全てが終わったあと、空虚な笑顔で会話する2人、虚しさと充実感が入り混じって何とも切ない。エンドロールで流れる歌がまた染みます。とにかく2人の等身大の魅力にやられました。シスターフッド映画の新たな地平を拓いた、なかなかの秀作と言っていいんじゃないでしょうか。この監督、これから要注目ですね。
[DVD(字幕)] 8点(2022-10-18 04:15:50)
8.  ジェントルメン(2019) 《ネタバレ》 
引退を決意した麻薬王の資産を狙って、それぞれに蠢き始めた暗黒街の〝紳士たち〟を終始軽快に描いたクライム・サスペンス。マシュー・マコノヒーやコリン・ファレル、それに懐かしのヒュー・グラントなど豪華な面々がそんな個性豊かなワルたちをのびのびと演じております。監督は、この手のジャンルを得意とするガイ・リッチー。と言う訳で今回期待して鑑賞してみました。うーん、期待が高すぎたのか、なんかイマイチな出来でしたね、これ。とにかくテンポが悪い!探偵と麻薬組織の幹部がボスの秘密をめぐってひたすら駆け引きを繰り返す会話劇が物語の縦軸となり、そこから過去の話が回想形式で再現されるという本作の構造。これがうまく機能してないんじゃないかな。この先面白くなりそう!ってところでいちいち現在のシーンに戻るので、なんか集中力が途切れちゃうんですよね。演技派でならしたマシュー・マコノヒーだけにタメの演技を多用しているのもテンポの悪さに拍車をかけているような?お話自体はそこそこ面白かっただけに、もう少し見せ方を頑張ってほしかったです。うーん、次作に期待!
[DVD(字幕)] 5点(2022-06-17 02:48:01)
9.  JUNK HEAD 《ネタバレ》 
たった一人で脚本から美術から撮影から編集から果ては声まで手掛けた孤高のクリエーターが、7年もの歳月を掛けて創り上げたというストップモーション・アニメ。この常人にはおおよそ思いつけないだろうぶっ飛んだ世界観や、キモさと可愛さが絶妙に同居するキャラデザインなどは何だか癖になる魅力があり大変良かったです。特にクスコという謎の食べ物をもらうシーンなんか絶妙に気持ち悪い!!でも最後まで魅入っちゃうのは、この監督のユーモアセンスがよく分からないなりにクスリとさせられてしまうからなのかな。まあ自分はそこまで熱狂的に嵌まるほどでもなかったですが、充分楽しめました。三部作みたいなので、もちろん全部観ますぞー!!でも、本作完成までに7年、単純に計算して完結編完成まではあと14年かかるってことですな…。そのころまで生きてられるかな……(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2022-05-08 04:08:59)
10.  幸せへのまわり道(2019) 《ネタバレ》 
彼の名は、フレッド・ロジャース。アメリカで30年以上にわたり人気を博してきた子供向け長寿番組で、ずっとMCを務めてきた名司会者だ。優しい語り口と明るい歌声、そして何よりあくまで子供の視点に立ったスタンスで幅広い世代から親しまれてきた。そんな彼はある日、とある社会派ジャーナリストから取材を受けることに。ロイド・ボーゲルと名乗る彼は、早速フレッドの仕事場であるテレビのスタジオへとやってくる。だが、彼は明らかに顔面を殴られた痣があり、何とも不機嫌な様子で早く取材を終わらしたがっていた。いたく興味を惹かれたフレッドは、逆に彼に質問を浴びせかける。聞き出してみると、なんと彼は姉の結婚式で久しぶりに会った実の父親と激しい口論となり、殴り合いにまで発展してしまったのだという。取材はそのまま終わったものの、彼のことが気になったフレッドは後日、取材の延長ということで彼と再び会うことに。子供のように純粋な好奇心から話を聞くフレッドに、ロイドは淡々と語り始める。父が過去、幼かった自分と病弱な母を残し、他の女の元へと逃げ出してしまったことを――。実話を元に、アメリカでもっとも有名な人気司会者と家族との確執を抱えた中年ジャーナリストとの交流を暖かな目線で見つめたヒューマン・ドラマ。アメリカでは知らない人はいないとも言われるそんな人気司会者を演じるのはベテラン俳優トム・ハンクスで、なんと20年ぶりにアカデミー賞にノミネートされたということで今回鑑賞してみました。というか、そんなに久しぶりのノミネートなんですね。なんか毎年受賞してるくらいのイメージだったんですけど、それは僕の思い込みでした。確かに長年のキャリアに裏打ちされたであろう彼の演技は抜群の安定感で、このフレッド・ロジャースという人物を知らない僕でも「ああ、確かにこの人は長年多くの人に親しまれたんだろうなぁ、こんなに大らかで見ているだけで癒される人は滅多にいないだろう」と思わせるほどの説得力がありますね。そんな彼が、ある日偶然出会った短気で偏屈な中年男の心を徐々に開いてゆくというのはベタですけど、なかなか面白かったです。特に、この大らかな人物の周りの人が「あれで昔は短気だったのよ」と語らせるとこもさりげなくて巧い。全体的に子供向け番組のような演出を差し挟んでくるのもそこまで違和感なく、逆にこの地味なお話を魅力溢れる物語へと昇華させることに成功している。うん、観終わるころにはほっこりしている自分がいましたわ。まぁお話としてはあまりにもストレートで若干パンチに欠ける気がしなくもないですが、なかなか良かったんじゃないでしょうか。監督は、前作でもそんなうまくいかない人生に疲れた人たちを終始暖かな目線で見つめたマニエル・ヘラー。この人の作風は僕の好みと合うようなので、これからも追いかけていこうと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2021-10-01 07:02:29)
11.  ジョン・F・ドノヴァンの死と生 《ネタバレ》 
彼の名は、ジョン・F・ドノヴァン。数々のテレビドラマや映画に出演し、多くのファンを得ていた人気俳優だ。だが、順風満帆だった彼の人生はある日、一つのスキャンダルから転落の道を歩み始める。出演予定だった映画は全て降板、酒に溺れた挙句暴行事件を引き起こし、やがて自宅の浴室で死体となって発見されるという最悪な結末を迎えてしまうのだった――。そんな彼は生前、英国に住むある無名の11歳の少年と文通をしていた。シングルマザーの母とともに貧しい生活を送る少年ルパートが何気なく書いたファンレターに、ドノヴァンが返事を書いたのが始まりだった。以来彼とルパートとの文通は100通以上に及び、お互いの何気ない日常や鬱屈した想いを赤裸々に書き綴っていた。それも彼の死で終わりを告げたはずだった――。時は流れ、彼と同じ新進俳優となったルパートはそんな彼とのやり取りを綴った本を出版する。それは各方面で話題となり、幾つものインタビューの依頼が舞い込むことに。取材の場となったプラハで、彼は語り始める。ジョン・F・ドノヴァンとの濃密な交流といじめられていた幼き日々、そして衝撃的な彼の死の真相を……。カナダの俊英グサヴィエ・ドラン監督が、少年時代に憧れの存在だったレオナルド・ディカプリオに手紙を書いたという思い出を基に描くミステリー・ドラマ。物語は、主人公であるルパートが彼と手紙のやり取りをしていた少年時代と、大人になり彼と同じ俳優となった現代、そして虚飾に塗れたハリウッド・スターの内幕を相互に行き交いながら進んでゆきます。そういう複雑な構成のお話なのに、分かりやすく整理された脚本と全編に散りばめられた幾つもの謎によって、最後までぐいぐい引き込ませるのは監督の高度な演出力によるもの。率直にこの監督の才能は確かなものだと思います。張られた伏線を最後に全て回収する鮮やかな手腕も知的でアイロニカルに満ちた会話も、そして気品のある美しい映像も…。でも、僕は個人的にいまいち嵌まれませんでした。なんだかこの監督って、自分の才能に凄く自信があるんでしょうね。例えば、少年時代の主人公が雨の降るロンドンで母親と再会を果たすシーン。急にスローモーションとなって抱き合う親子に流れる、女性ボーカルの「スタンド・バイ・ミー」。確かに凄くセンス溢れる美しいシーンだとは思うんですよ。でも、僕は素直に感動するより先になんだかこの監督の、「どうだい?俺の感性ってお洒落で新しいだろ」とでも言いたげなドヤ顔が透けて見える気がします。いわゆる、鼻につくってやつです。全編こんな感じで、僕は素直に楽しめませんでした。僕にとって、「その才能は充分に認めるけれど、いまいち好きになれない監督」がまた一人増えたようです。
[DVD(字幕)] 6点(2021-06-03 05:30:18)(良:1票)
12.  ジュディ 虹の彼方に 《ネタバレ》 
『オズの魔法使』で一世を風靡した人気子役、ジュディ・ガーランドのその後を実話を基に描いた伝記映画。昔懐かしのレニー・ゼルウィガーがそんな落ちぶれたかつての人気女優を演じ、見事アカデミー賞を受賞したということで今回鑑賞してみました。なんですが、肝心の脚本がいまいちな出来でしたね、これ。とにかくこのジュディ・ガーランドという一人の人間への掘り下げ方が圧倒的に浅い!優れた伝記映画には、この人の人生とはいったいなんであったのか、その生涯を通じて何を追い求めたのか、そういったテーマが強固としてあるものだけど、残念ながらこの作品にはそのようなテーマ性が一切感じられませんでした。これではただ事実を羅列したにすぎません。また、ところどころにある回想シーンの挿入の仕方がどれもセンスが悪く、現在のシーンとうまくリンクしきれていないので何ともちぐはぐな印象。もっと子供のころの華々しい時代の真実を掘り下げて描くべきだったのではないか。ただ、レニー・ゼルウィガーの演技はさすがにアカデミー賞を受賞しただけあって、なかなか真に迫っておりました。って、これって演技じゃなくて彼女の素なんじゃないのなんて思ったりもしましたが(笑)。女優ってどんなに汚れ役を演じていようと、これは「演技」なんだという何処かに気品のようなものを感じさせるものだけど、本作での彼女の演技はそのまんまな感じでちょっと観ていて痛々しかったです。という訳でなんだかいろいろと残念な出来の作品でありました。
[DVD(字幕)] 4点(2021-03-07 03:33:48)(良:1票)
13.  真実(2019) 《ネタバレ》 
これまでの半生を赤裸々に綴った自伝『真実』を出版することになったフランス往年の名女優ファビエンヌ。だが、その原稿を読んだ彼女の娘である脚本家リュミールは憤慨するのだった。何故ならそこにはファビエンヌの都合の良いことばかりが書かれていたからだ。特に、彼女と因縁浅からぬ関係にあった今は亡き女優への言及が一切なかったことに怒りを隠せなくなったリュミールは、夫と子供を引き連れ、今住んでいるアメリカからフランスへと里帰りすることに。だが、横柄で自己中心的な母親は開き直るばかりで原稿の書き換えには一切応じないという。次第に苛立ちを募らせてゆくリュミール。果たして、彼女たち親子に隠された本当の真実とは?カンヌでパルムドールに輝く日本の名匠是枝裕和がフランスを舞台にして、そんな確執を抱えた親子の交流を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。昔から僕とはどうにも相性の良くない監督の作品だったのですが、カトリーヌ・ドヌーヴとイーサン・ホーク目当てでこの度鑑賞してみました。いやー、今回も見事に僕は嵌まらなかったですね、これ。ドラマティックな展開などほぼ皆無、これっぽっちも興味の持てないお話がただひたすら淡々と続き、僕は最後まで眠気が止まりませんでした。別に映画に娯楽性ばかりを求めてるわけではありませんが、もう少し観客を楽しませる工夫があっても良いのでは?最後のオチもモヤモヤするばかりでちっともスッキリしませんし。うーん、こればかりは相性の問題なので如何ともしがたい。ただ、往年の名女優を演じたカトリーヌ・ドヌーヴはお歳を召されてだいぶ貫禄がつきましたね~。「めちゃくちゃヒョウ柄のセーターが似合いそう」って思ったのは僕だけ?……すんません、完全に余談でした(笑)。
[DVD(字幕)] 4点(2021-02-09 03:06:07)
14.  シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション 《ネタバレ》 
あのもっこりヒーロー、冴羽遼が帰ってきた!!しかも遠く海を越えたフランスでまさかの実写化というのですから驚きです。ジャンプ黄金時代のドンピシャ世代としては、なんだか地雷臭プンプンでしたが今回鑑賞してみました。いやー、ここまで原作へのリスペクトがビシバシ感じられるとは往年のファンとしてとにかく嬉しい!よく見つけてきたなという原作とほとんど違和感ない役者陣のルックスも見事!まあ内容の方は完全にすっからかんでしたけど(笑)。とにかく下ネタ満載で最後までずっとお下品一直線だったのもちょっときつかったかな。シティーハンターって漫画やアニメだからあのお下品な内容でも見ていられたけど、実写にするとやはり下品さが勝っちゃうんですよね~。とは言え、エンディングでの「ゲットワイルド」が流れるタイミングは完璧!それでチャラになるくらいテンション爆上がりしちゃいましたわ。原作ファンなら一見の価値ありです。
[DVD(字幕)] 6点(2021-02-01 05:39:16)
15.  ジングル・ジャングル 魔法のクリスマスギフト 《ネタバレ》 
弟子の裏切りによって全てを失ってしまった偏屈な玩具職人が、孫の魔法の力を借りて再起を果たすという超王道クリスマス・ファンタジー。主人公を演じるのがオスカー俳優のフォレスト・ウィテカーということで今回鑑賞してみました。なんですけど、いやー、もうこれでもかってくらいベッタベタな内容でしたね、これ。最初から最後まで先の読めるストーリーにどっかで何度も見たようなミュージカルシーンの数々、そして一切個性の感じられないステレオ・タイプな登場人物たち……。正直に言って、この手の分野の大御所であるティム・バートンの作品から一切の毒を抜いたような超絶薄っぺらい内容でした。最後に明かされる、このお話を読み聞かせるお婆ちゃんの正体はきっとアレなんだろうなぁと思ってたら、本当にそのまんまのオチで思わず苦笑しちゃいましたわ。とは言え、けっこうお金が掛かっているであろう、仕掛け絵本を模したファンタジー・シーンはさすがのクオリティだったし、ミュージカルシーンもぼちぼち楽しかったので、何も考えずに観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2021-01-15 23:13:53)
16.  シカゴ7裁判 《ネタバレ》 
1968年、シカゴにおいて史上類を見ない裁判が始まった。被告となったのは、生い立ちも人種も所属団体も異なり、その思想信条も全く違う7人の男たち。罪状は、民主党大会の近くで行われた平和的なデモを組織的に煽り、過激で暴力的な行動に走らせたという、いわゆる共謀煽動罪。最高で懲役10年にもなるこの罪で起訴された彼らは、本当に有罪なのか?そして本当に彼らは事前に共謀したという事実があったのか?彼らの裁判を通して炙りだされるのは、当時のアメリカが抱えていた根深い病巣だった……。本作は、そんな実際にあった裁判をモデルにしたエキサイティングな法廷劇だ。監督は、事実を基にした社会派ドラマを幾つも手掛けてきたアーロン・ソーキン。主演には、エディ・レッドメインをはじめ、ジョセフ・ゴードン・レビットやジョン・キャロル・リンチといった新旧実力派の豪華な面々。この監督の前作『モリーズ・ゲーム』にはあまりいい印象は持てなかったのですが、なかなかどうして、本作は最後まで充分見応えのある良質の法廷劇に仕上がっておりました。とにかく脚本が素晴らしい!物語の芯となるのは、あくまでシカゴ・セブンと呼ばれた彼ら(最初はここにブラック・パンサー党の黒人幹部も含んだ8人でしたが)の公判なのですが、随所に事件当時の映像を差し挟むことでメリハリがつき、最後まで非常に観やすく、かつ考えさせられるというなかなか密度の濃い内容となっております。それまでほとんど面識のなかった立場も年代も違う被告人たちが、優秀な検事や偏見に塗れた判事によって徐々に追い詰められ、次第に疑心暗鬼から仲間割れへと発展してゆく過程も非常に丁寧。後半、次々と明らかになる、新たな証拠や新事実、そして決定打となる新証人の存在などの見せ方も充分にドラマティックで最後まで全く飽きさせません。主要キャストを務めた俳優陣もそれぞれいい仕事してます。特に後半、出番は短いもののかなり重要な役回りでマイケル・キートンが登場したのは嬉しいサプライズでした。果たして真実はどうだったのか――。個人の感情や思想など簡単に握り潰そうという国家権力、そして後先考えずただ己が正義のために暴走してしまう市民団体、その双方に改めて空恐ろしいものを感じます。最後は若干、過剰なまでの大団円へと導こうとするその手法に鼻白むものはありましたが、総じて満足度は高い。なかなか完成度の高い法廷劇の逸品でありました。8点!
[DVD(字幕)] 8点(2020-12-21 08:30:27)(良:1票)
17.  ジェミニマン 《ネタバレ》 
引退を決意したばかりの超一流殺し屋が逆に命を狙われた!世界トップクラスの腕を誇る彼を追い詰めた者とは果たして誰なのか?その正体は、実は最新鋭のクローン技術で作り上げられた若き日の彼そのものだったのだ!長年の経験を最大限に活かしたベテラン殺し屋と粗削りながらも才能豊かな若手殺し屋。お互い超一流の自分との命をかけた闘いの火ぶたがいま、切って落とされる……。という、いかにもB級なぶっ飛び設定のSFエンタメ・アクション。最新鋭のCG技術で再現された若き日の自分と戦う主人公には、これまたいかにもな人選のウィル・スミス。これで監督がポール・W・S・アンダーソンやリュック・ベッソンといった〝いかにも〟な人だったらたぶん観なかったんでしょうけど、本作の監督はなんと何度もアカデミー賞の栄誉に輝く名匠アン・リーということで今回鑑賞してみました。なんですが、正直イマイチな出来でしたね、これ。とにかく最後までテンポが悪すぎ!こういう頭空っぽにして観るべき荒唐無稽系SFアクションは、もっとサクサク進んでくれないと。だって肝心のクローン殺し屋クンの正体が分かるのは、映画の中盤を過ぎたあたりってさすがに遅過ぎですわ~。あとアクション・シーンが全体的にどれも地味だったのも物足りなかったです。やはりアン・リー監督の丁寧で品の良い演出は、こういうB級作品には不向きだったってことでしょうね。けっこう期待していただけに残念でした。
[インターネット(字幕)] 4点(2020-12-13 00:02:25)
18.  ジュリアン(2017) 《ネタバレ》 
両親が離婚調停中で、母親の元に引き取られた10歳の男の子、ジュリアン。裁判所の取り決めにより、彼は週末ごとに父親と会うことを義務付けられていた。でも、ジュリアンはこの父と過ごす時間が憂鬱で仕方がない。何故なら、横柄で自己中心的な父親は気に入らないことがあるとすぐ癇癪を起こし、何かとトラブルが絶えないからだ。その週末もジュリアンに妻の現在の住所を執拗に聞いてくる父親。するとジュリアンは恐怖心から思わず、父親に口を割ってしまう。そして、それが悲劇の始まりだった――。複雑な家庭環境に生きる幼い少年ジュリアンの鬱屈した日々を描いた哀切なヒューマン・ドラマ。まあ言いたいことは分かるし、こんな単純なお話なのに最後まで淡々と見せきる監督の手腕はなかなかのものだし、それぞれの家族のドラマも非常に丁寧に描かれていたしで、充分好感は持てるものの、いかんせんお話の方がオーソドックス過ぎますね、これ。別れた夫が嫉妬に狂って暴走し、最後は一線を越えて銃を手に家へと押しかけてくる……。確かにジュリアンたち当事者にとっては非常に切実な問題なのは分かります。ですが、この手のお話は今も世界中に溢れ返っているわけで、敢えて誤解を恐れずに言えば、あまりにもひねりがなさ過ぎではないでしょうか。人が何故物語を求めるかと言うと、やはり悲劇的な現実を乗り越えられるような希望を、その作品の中に見出したいからだと僕は思うのです。対して本作、結局最後は偶然の重なりによって主人公は助かるというオチ。これでは、「ジュリアン、運が良かったね」と言う感想しか残りません。やはり映画である以上、主人公には酷い現実を乗り越えるために何らかの行動を起こしてほしかった。社会的弱者の切実な思いに寄り添って映画を創ろうというそのスタンスには好感が持てるだけに、もっとフィクションの力で魅せて欲しい。
[DVD(字幕)] 5点(2020-10-06 05:00:57)
19.  ジョジョ・ラビット 《ネタバレ》 
彼の名は、ジョジョ・ベッツラー。アドルフ・ヒトラーを心の底から信奉し、現在敗色濃厚なドイツの最終的な勝利を日々神に願い、そしてユダヤ人を劣等民族だと信じて疑わない、愛国主義の見本のような10歳の少年だ。だが、ドイツ少年団のキャンプに参加した際、彼はウサギを殺せという命令を実行できず、ジョジョ・ラビット(臆病者)と言う不名誉な渾名を付けられる。そればかりか、手榴弾の扱いを誤り、大怪我を負ってしまうのだった。周りの友達が皆、戦地へと駆り出される中、彼は母親とともに自宅療養を余儀なくされる。空想の中の友達である〝アドルフ・ヒトラー〟と空しい日々を過ごすジョジョ。ところがある日、彼は自宅の屋根裏に謎の少女が密かに暮らしていることを知るのだった。「間違いない、彼女はユダヤ人だ」――。すぐにでも秘密警察に知らせようとするジョジョだったが、この件には母親が深く関わってることが分かり、彼は苦しい板挟みに陥ってしまう…。第二次大戦末期、時代の空気によってナチスの信奉者となった少年とユダヤ人少女との密かな交流をコメディタッチで綴ったヒューマン・ドラマ。アカデミー作品賞にノミネートされ、世間の評判もすこぶる良かったので今回鑑賞してみました。いや、噂に違わぬ素晴らしい出来でしたね、これ。ナチスのホロコーストと言う非常に重いテーマを扱いながらも、最後までコメディタッチの軽いノリを貫き通したのは英断だったと思います。なにより笑いのセンスがすこぶる良い。ナチスの秘密警察が人に会うたびに一から「ハイル、ヒトラー」を繰り返すとこなんて思わず笑っちゃいました。飄々とネタを披露するサム・ロックウェルもナイスな仕事ぶり。ブラックな発言を繰り返すあの太った女性なんて、もはや吉本新喜劇のノリですね。悪趣味一歩手前のぎりぎりのラインを突くこのユーモアのセンスはなかなかのものがありました。もちろんそれだけではありません。時代の空気なので仕方ありませんが、このジョジョと言う少年があまりにもナチスを信じ切っていて最初は嫌悪感爆発。でもその後、このユダヤ人の少女に徐々に心を許してゆき、次第に洗脳が解けて、やがて彼女にほのかな恋心を抱くとこなんてホント巧い。彼女のためにジョジョが書く手紙も切なすぎます。スカーレット・ヨハンソン演じる彼の母親のエピソードなんて涙無くしては見れません。惜しいのは、彼の空想上の存在である〝アドルフ〟がいまいち巧く機能していないところぐらい。笑って泣けて最後は深く考えさせられる、素晴らしい作品でありました。
[DVD(字幕)] 9点(2020-08-28 00:00:26)
20.  シー・ユー・イエスタデイ 《ネタバレ》 
白人の警察官に、ただ黒人と言うだけで虫けらのように殺された兄を救うため、自作のタイムマシンを使って何度も過去へと遡る女子高生を描いたSFサスペンス。『バタフライ・エフェクト』や『オーロラの彼方へ』と言った過去改変タイムパラドックスものに、昨今の深刻な人種差別問題をスパイスとして振りかけるというこのアイデアは、新しいと言えば新しい。全体を彩るレゲエ・ミュージックも、このともすれば重くなりがちな物語を明るい青春ものへと中和させることに成功している。主人公の黒人少女が魅力的なのも大変グッド。こういう作品のお約束――こっちを救うとあっちがえらいこっちゃというのも、ベタながらなかなか面白かった。ただ、ラストがあまりにも投げっ放しなのが本作の残念なところ。もう少し「起承転結」をしっかりと考えて、脚本を練って欲しかった。冒頭、マイケル・J・フォックスがちょい役でちょっとだけ出ていたのは嬉しいサプライズ。結論としては、ま、ぼちぼちってとこでした。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-08-25 23:02:23)(良:1票)
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