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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 823
性別 男性

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1.  ウォール・ストリート 《ネタバレ》 
ストーリーはかなり甘いように思えるが、これはこれで嫌いではない。ゲッコーも変わるように、オリヴァー・ストーン監督も変わってしまったのだろう。諸手を挙げて歓迎したいようなチェンジとは思えないが、年齢を重ねれば、このチェンジも仕方はないか。このご時勢に、不毛なマネーゲームを強烈に繰り広げても観客は滅入るだけかもしれない。目先の利益を追うのではなくて、“家族の繋がり・家系の繋がり”や“次世代型環境テクノロジー”という将来を見据えたテーマを掲げている。 甘いと感じられる点は以下のようなものか。 ゲッコーとジェイコブとの関係、ゲッコーの心変わりとゲッコーと娘ウィニーの仲直り、ジェイコブとウィニーの仲直り、ブレトンに対する追い込み方など。前作は様々な要素が描かれており、それらをきちんと消化していたが、本作は様々なことを盛り込みすぎて、やや消化不良になったように思える。 ジェイコブは前作のバドとは異なり、野心家ではなく“良い人”キャラクターであり、深みには欠ける。金の魔力や重力に負けるような弱さのある男でもなく、ただのお人よしがゲッコーにいいように騙されただけ。得意技も『風説の流布』だけであり、あれが何度も通用してしまうのは芸がない。ただ、ゲッコーにもブレトンにも格が劣るようなイメージだが、彼のお人よしの良心がゲッコーを変えたとも捉えることはできる。もっともウィニーが好きになる人なので、野心溢れる普通の証券マンではおかしいだろう。前作のようなゲッコーとバドとの関係を同じように描いても、ストーン監督は意味はないと考えたのかもしれない。 前作では「金のためには母親までをも売り飛ばす」と罵られたゲッコーだったが、金のためにリアルに娘を裏切る辺りはゲッコーらしさがよく出ている。握手を求めても怪訝そうにされたり、娘からは「あなたの名前に昔のような価値はないわ」と言われる状況から、業界を仕切る口笛じじいに頼られるまで、見事なまでのカムバックを果たしている。ただ、カムバックを果たしてもどこか満たされない想い、崩壊してしまった家族や失ってしまった息子を、娘夫婦や孫というカタチで再建できるという想いが彼を変えたのだろう。何度も失望させられた父親や、自分に嘘を付いたジェイコブをあっけなく許すウィニーの心情は理解しにくいが、娘から母親になるというチェンジが彼女を変えたと解釈できなくもない。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-28 00:18:52)(良:1票)
2.  ウォール街 《ネタバレ》 
人間の野心、金の魔力・重力、師弟関係、親子の絆、恋愛関係、企業に対する愛着など、様々な要素が描かれている良作といえる。 労働者層と富裕層を分ける大きな壁、その壁を乗り越えるために、超えてはならない一線を超えて、戻ることができなくなった男たちの生き様が描かれている。 ゲッコーは、ブルースターの資産に目をつけていたが、バドを騙す気はそれほどなかったのではないかと思う。ゲッコー流の思考から考えると、再建させるよりも資産整理した方が、楽に金が儲かるというジャッジを下しただけのように思える。その思考にはもちろんバドの気持ちや組合や従業員のことなどは含まれてはいないことは確かだろう。 ゲッコーはブルースターを整理することで、自分はもちろんのこと、バドもバドの父親も多少儲けることができるから問題ないと踏んだのだと思うが、金では買えない長年積み重ねてきた時間が企業には蓄積している。金を儲けるという“欲”の対抗軸として、本作にはフォックス家の家族の絆や恋愛感情、企業に対する愛着や連帯感のようなものを盛り込んでいる。これらについては、ゲッコーが持ち合わせていない事柄であり、持ち合わせていないからこそ、彼が計算できなかった事柄だろう。 ゲッコーももちろん家族持ちだが、その気になれば母親をも売り飛ばすと罵られたように、金>家族という考えに間違いはなさそうだ。『友達が欲しかったら、犬を飼え』というゲッコーのセリフも良い。 ただ、ゲッコーも機械ではなく人間であるためか、感情があるようだ。野心のために限界を超えるバドにのめりこみ過ぎたような気がする。ゲッコーは自分に似ているところがあるバドに、自分を投影してしまったのだろう。問題は、彼はバドであり、ゲッコーではなかったということだろう。 バドとダリアンの二人の関係の危うさも面白いところだ。金と恋愛感情というものを天秤にかけた時、ストーン監督は単純に恋愛感情の方が勝るという描き方をせずに、貧乏時代には戻りたくないと破局させていることは面白い。愛があれば金がなくても大丈夫とキレイごとで片付けに、やっぱり金の魔力の大きさ、金の重力という重さが見え隠れしている。父親はその日に生きる金があればよいと言えるが、贅沢を知った女性にはそれは無理ということのようだ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-02-28 00:11:40)(良:1票)
3.  ウッドストックがやってくる! 《ネタバレ》 
1969年という“時代”の雰囲気をなんとか再現しようと頑張っていることは評価したいところ。 あの頃のアメリカの“自由さ”というものが伝わってくる。 現代においては、何事においても便利な世界にはなったが、何か大切なものを失ってしまったような気がしてならない。 自由を謳歌する精神や、熱狂するようなクレイジーさや、人と人との繋がりというものが失われてしまったのではないか。 法律や規律を守ることはもちろん大事なことだが、悪い意味で行儀良くなってしまったのかもしれない。 主人公の父親もラストで語っていたが、生きているのか死んでいるのか分からないような状態が、現代のような気がする。 ドラッグやフリーセックスが正解とも言えないが、生きているという実感が現代に欠けているような気がしてならない。 映画としては、興味深いイベントが描かれているため、集中して鑑賞できるが、手放しで絶賛するほどの面白さはないと思われる。 多数のユニークなキャラクターが登場しているが、どのキャラクターも活かし切れていないという印象であり、中途半端に映る。 登場してきて会話して終わりか、登場してきて騒いで終わりのパターン。 サブキャラクターは登場するだけでよく、核となる主人公の成長ストーリーと捉えることもできるが、それも曖昧な仕上りとなっている。 ウッドストックフェスティバルを経験することにより、人間的に成長して、地元や親元を離れて旅に出るという流れが、心に訴えてくるほどのデキではなかった。 母親との関係や、ユダヤ人やゲイについても踏み込めていないか。 イベントの描き方としても、祭りの後に残る疲労感やゴミの山というものはきちんと描かれているが、イベントの苦労や障害も簡単に描かれており、バタバタしている間に、なんとなくイベントが始まり、なんとなくイベントが終わったという印象も残る。 実際にその通りだったのかもしれない、また主題から離れているのであえてカットしているのかもしれないが、この点についても物足りない。 また、当時の映像を使えなかったのか、使いたくなかったのか分からないが、肝心のミュージックシーンもないというのもやや拍子抜けか。 1曲くらいはきちんと聴きたかったところだ。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-14 23:20:18)
4.  ウディ・アレンの夢と犯罪 《ネタバレ》 
「ウディ・アレンの重罪と軽罪」が好きなので、この手の作品は嫌いではない。 しかし、正面から“罪の意識”を捉え過ぎてしまった感が強く、ストレートに描き過ぎてしまったような気もする。 “悲劇”にも面白いものはあるが、遊びも捻りもなく、本作はあまりにも現実的に描き過ぎてしまったようであり、疲労感が残る映画ともいえる。 罪を犯す前から“罪の意識”に苦しむ弟が、犯罪後にも“罪の意識”に苦しむのは、かなり重過ぎる。 逆に、ラストはアレンらしいといえばアレンらしいが、あっさりとし過ぎている。 “兄弟”という設定が上手く噛み合っていかなかったようにも思える。 犯罪前には、一方は“罪の意識”に苦しみ、他方は“罪の意識”を感じないが、犯罪後には、それが逆転するような仕掛けもあってもよかったのではないか。 また、同じような道を歩いていた兄弟が一つの事件をきっかけに、光と影という全く異なる道を歩み始めるような展開や、光と影という全く異なる道を歩んでいた兄弟が一つの事件をきっかけに光と影が逆転するという展開の方が、映画らしい気がした。 しかし、本作は延々と弟が罪の意識にさいなまれて不眠症に陥り、兄がその弟に悩まされるだけだ。 ユニークさや不条理さもなく、現実的な苦悩を見せ付けられても、重々しさは堪能できるものの、面白みはさすがに感じにくい。 さらに、二人の“夢”であったような「カサンドラズ・ドリーム」号の取扱もやや微妙。 この小さな“夢”を得ようとした結果、どんどんと欲求がエスカレートしていくにしたがって、どんどんと落ちて破滅していく姿も見たかったところ。 小さな欲求によって小さな代償を払い、次第に戻ることの出来ない大きな代償へと上手く繋がっていくようなところはなかった。 また、調べてみるとカサンドラは、100%当たるのに誰も信じないという呪いが掛けられた予言者であるらしい。 トロイの木馬も予言したらしいが、誰も信じずにトロイの民は破滅したらしい。 そういう意味をタイトルに込めたのだから、兄の恋人の舞台の設定や彼らの父親にそういう予言者の役割を担わせるべきだろう。 父親は意味深なセリフを発していたが、あれでは弱いのではないか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-05-09 12:37:42)(良:1票)
5.  ウルフマン(2010) 《ネタバレ》 
一言でいうともったいない映画。題材や雰囲気は良く、キャスティング、メイクアップ、音楽は一流を揃えているのに、上手く活かし切れていない。名前は耳にするメイクアップの達人リック・ベイカーによる変身シーンだけは評価できるが、あのシーンも完全に活かし切れているかといえば疑問も残る。一部はもちろんCGだろうが、CGではないメリットを活かしたいのに、CGっぽい仕上がりになっているような気がする。本物の手作業のレベルの高さをアピールして、昨今のCG映画とは違うということを示して、本作を何故今リメイクするのかという理由を浮き彫りにできないものか。 結局、スピードと音で誤魔化すという“逃げ”に打って出るしかなかったようだ。 ストーリーは盛り上がりに欠け、全体的に“深み”が欠ける点が問題だろうか。ホラー映画とはいえ、やはりキャラクターの内面が充実しないといけない。本作の展開ならば、『父と息子の関係』と『主人公とヒロインの関係』に重厚さを加えないと映画に“深み”が増さないだろう。 『父と息子の関係』については父親の歪んだ愛情のようなものが描かれてしかるべきではないか。母親を殺してしまった負い目、息子を殺したくない想い、自分のような存在になって欲しくないという気持ちとともに、自分のような存在になって欲しいという複雑な感情などを入れ込むことが可能だったはずだ。息子を愛していたのか、憎んでいたのかすら、自分にはよく分からなかった。 『主人公とヒロインの関係』については、この二人の関係がある程度深みが増すような仕上がりが望ましい。ラスト付近の展開もいったい何をしたかったのか不明すぎる。助けたいのか、襲われたいのか、何がしたかったのだろうか。ジプシー女に呪いについて聞きにいったが、あまり意味はなかったような気がするので、呪いを解く方法でも彼女から聞きだして、ストーリーを膨らましてもよかったのではないか。呪いを解こうとする想いと襲われるかもしれないという恐怖が入り混じった複雑な感情を込めて欲しかった。獣の中に潜んでいるはずの人間性を信じたいが、信じきれずに撃ち殺すものの、人間の感情が残っていた狼男は彼女を襲うつもりはなかったというようなベタな“悲劇”のような仕上がりでもよかったのではないか。『人間と獣との境界』のようなセリフが多用されていたが、そのようなテーマに沿った仕上がりにはなっていないだろう。
[映画館(字幕)] 4点(2010-05-03 12:29:14)(良:1票)
6.  ウルヴァリン:X-MEN ZERO 《ネタバレ》 
正直いって、「X-MEN」シリーズはそれほど好きではない。 自分とブライアン・シンガーとの相性の悪さもあるが、純粋に楽しめる作品に仕上がっておらず、アクションエンターテイメント作品としてはどことなくヌルさを感じていたところである。 ただ、監督が代わったこともあってか、「ファイナルディシジョン」からは面白いと評価できるようになった。 このような経緯もあり、それほど期待していなかった本作だったが、何も考えずに楽しめる合格レベルのエンターテイメント作品に仕上がっていると感じられた。 それぞれのミュータント能力を活かしたバトルシーンは上手くかつ熱く描かれており、見せ場がたっぷりだ。 また、意外と丁寧な作品作りがなされていたことも好感がもてる。 戦場でしか生きることができなかった兄と弟の間に、微妙なズレが生じていくことを一連の戦争の歴史の中で描き出している点は上手いの一言。 さらに、兄と弟の関係や姉と妹の関係も描かれているのも面白い。 兄弟でいくらいがみ合っていても仲直りできてしまう点や、妹のために自分の愛さえも犠牲にできてしまう点など、切っても切れない“血”という宿命の面白さも感じられる。 ウルヴァリンと恋人の関係(特に名前に刻まれた想い)や、老夫婦とウルヴァリンの関係なども、短いながらも心にきちんと残るように丁寧に描かれており、監督の力量が窺われる。 命名の由来のエピソードは完全には理解できなかったが、恋人の“月”と引き裂かれた“ウルヴァリン”は、ローガンの方ではなくて、恋人の方だったというのは面白い。 確かに、孤高となり静かに夜に輝き続ける“月”と、孤独なローガンの姿は少々ダブるところがあるかもしれない。  展開は恐ろしいほど拙速なものとなっているが、極力無理がないように上手く編集されている。 各キャラクターの心情や動機を窺うことができるほど、心の深い部分まではきちんと描きこまれていないのは確かなことだが、エンターテイメント作品なので、この程度でも許されるのではないか。 しかし、ウルヴァリンが記憶を失うという“既定路線”に対して、上手くリンクできなかったことが悔やまれるところか。 「そうなっているのだから、しょうがない」と取って付けたような仕上がりにせざるを得なかったのはもったいない。 “続編”という手段もあるので、あまり急がなくてもよかったのではないか。
[映画館(字幕)] 7点(2009-09-12 23:21:05)
7.  ウォッチメン 《ネタバレ》 
原作未読。ザック・スナイダー監督作だけのことはあり、ビジュアルには文句がない。 練りに練られた映画であり、デキ自体は素晴らしいが、原作未読者にはあまりにも情報量が多すぎる上に、あまりにもストーリーがぶっ飛びすぎていて、付いていくのが精一杯だ。ストーリーは一本の線に収束されるように作られており、捨てる部分がないという気持ちは“理解”できるが、あまりにも詰め込め過ぎではないか。オジマンディアスの行動に“理解”はできるが、“賛同”もできないのと同じように、本作の作りには“賛同”はできない。ヒーローモノに必要不可欠な純粋な悪役が不在のため、軸の不安定さがあり、映画を面白くさせておらず、飽きる観客も増えるのではないか。 ただ、面白い点もいくつか見受けられる。 「ヒーローの限界」「この世の中はジョーク」「理解できない行動を起こすという人間の奇跡」というのは面白い部分だ。 ヒーローは火事から住民を救ったり、ギャング達をなぶり殺しにはできるが、世界を核戦争から救うことはできるのかという命題に対して、皮肉的ともいえる答えを提示している点は面白い。ヒーローの限界を知っていたコメディアンに世界地図を燃やされた際のオジマンディアスの目がとても印象的だった。 ヒーローの新たな一面や、善と悪との表裏一体性は確かに感じられるおり、この部分は評価すべきか。 また、「西部劇役者が大統領選に出馬する」ように、この世界は確かにジョークなのかもしれない。ロールシャッハのようなジョークが効かない人間にとっては、生きづらい世の中になったということだろうか。キーン条例制定により、ヒーロー活動を禁止されても、引退せずに地道に活動を続けてきた彼だからこそ、現実を受け入れることはできなかったのだろう。彼のような生き方が否定されるべきではないことは本作を通して描かれていると思われる。 さらに、人間は滅亡すべき存在なのか、救われるべき存在なのかという点にも触れられている気もした。 計算上では理解できない人間の本質や、人間という存在の奇跡的な面が描かれているが、こうした哲学的なテーマに飛んだりするので、本作を理解することが難しくなっているともいえる。 これらために、本作はまさに見る者によって、形が異なるロールシャッハといえる作品に仕上がっている。
[映画館(字幕)] 6点(2009-04-19 22:36:20)(良:3票)
8.  ウォーリー 《ネタバレ》 
決して「つまらない」とは思わないが、「どこか物足りない」と感じたのも正直な感想だ。 ピクサー作品のうち、「Mr.インクレディブル」や「カーズ」を非常に高く評価しているが、あれらの作品で得られた満足感のようなものが得られなかった。 甘いケーキを「美味しい」と食べる人がいる一方、甘いものなど食べられない辛いものが好きという人がいるように、これは“相性”の問題なのかもしれない。 子どもをメインターゲットにしているアニメ作品を「甘すぎる」と批判するのはナンセンスすぎるが、自分にはどうにも甘すぎた。 自分がアニメ作品を楽しめる純粋さを失ってしまったのだろうが、「環境破壊」でも「人間の過ち」でも「人類のツケ」でもよいが、ピリリと辛い“展開”が欲しかった。 「人間もロボットもみんなハッピーになりました」「地球は元のとおり自然を取り戻しました(砂嵐の解決はあったか?)」メデダシメデタシというだけで果たしてよかったのかなあという気持ちが残った。 自然を破壊しくしたのは人間のはずなのに、一部のロボットが悪者となって、自然を消滅させようというのもどことなく違和感がある展開だ。 そういう教訓めいたことは抜きにして、ウォーリーとイヴの二人を楽しめばよいのだが、この二人の関係についても上手くはハマれなかった。 ウォーリーの“孤独”のようなものを上手く感じ取ることができなかったからだろう。 ゴキブリの友達がいて、仕事があり、趣味が豊富なウォーリーからは“孤独”よりも“生き生き”とした感情すら伝わってくる。 ユニークなキャラクターにしすぎるあまりに、ほんの少し方向性を間違えてしまったのではないか。 また、イヴという友達を得たあとの“幸福感”、植物を回収してイヴが活動を停止してしまった“喪失感”のようなものも描かれているものの、ウォーリーの心のうちを感じ取れるほどではなかった。 やはり、CGキャラクターの限界のようなものがあるのか。 ウォーリーの心のうちを感じ取る前に、ストーリーがどんどんどんどんテンポよく進みすぎてしまったために、上手く感じ取れないという問題もあったか。 中盤以降は、わくわくする様な展開ではなくて、好みではないドタバタした展開も目立ち、やっぱり“相性”が悪かったという想いが強い。 ただ、映像は圧巻の一言。 特に、ウォーリーとイヴの宇宙空間での二人のダンスは素晴らしかった。
[映画館(字幕)] 6点(2009-01-12 23:13:15)
9.  ウォンテッド(2008) 《ネタバレ》 
現実離れした馬鹿げたマンガ的な世界観であるが、個人的には好みのストーリーと世界観だった。 独特の自虐的なユーモアを交えつつ、勢いのあるストーリー展開によって、強引にこの世界観に引き込まれてしまった。 多少の無理や無茶も、許容できてしまうほどだ。 製作陣がきちんと独特の世界観を作り上げた成果だろう。 スタイリッシュな映像もまたこの世界観を構築する一役を買っている。 アンジェリーナ・ジョリーはさすがの存在感を放っていた。 彼女の妖しい魅力がなければ、本作のイメージも大きく失われていただろう。 彼女がいたから、なんでもありの世界が許容されたのかもしれない。 現実離れした彼女の存在が、現実離れした本作の“扉”を開ける“鍵”のような存在になっており、この“鍵”がなければ、あの世界観に上手くハマり込むことはできない。 マカヴォイの代わりはいても、ジョリーの代わりはいなかっただろう(ジョリーのファンではなく、ファンになるつもりもない)。 彼女の最後の選択も納得できるものに仕上がっている。 自分の過去を話し、彼女に刻まれた刻印を示すことで、本当の自分は、幼いころにとっくに死んでいるという気構えであり、彼女はこのシステムと心中する覚悟があるのがよく分かる。 彼女を主役にしたスピンオフを作ってもヒットするのではないか。 父親に関しては上手いミスリードを観客にさせることができたので、組織に関してももうちょっと上手いミスリードをして欲しかったところだ。 あの描き方では、見ていて組織が破綻しているのが分かり、組織の秘密が分かっても驚きを感じることはできなかった。 伏線の張り方が下手というわけではないが、もうちょっと観客の頭を信用してもいいのではないか。あれでは分かりやすすぎる。 もうちょっと使命感のある組織ということを強くアピールして、さらに観客をミスリードさせてもよかった。 ラストの仕掛けに関しては物足りないと思ったが、オチ自体はあれ以外考えられず、多少の無理を承知で、あのオチを選んだものと思われる。 フリーマンが誤解するようなストーリーを変に小細工して作るよりも、オチを優先させた思い切りの良さも評価したいところだ。 ストーリーがおかしな部分はあるが、細かいところを描くべき映画でもなく、ストーリーよりも映像を優先させることが大事と考えたのだろう。
[映画館(字幕)] 7点(2008-09-23 12:35:20)(良:1票)
10.  ヴィデオドローム 《ネタバレ》 
グロテスクで意味不明な映画というわけではなく、完全には理解できないけど「メディアの危険性」に警鐘を鳴らしている作品。かなり時代を先取りした良作ではないだろうか。おそらく当時の人は、突飛すぎていてあまり理解はできなかったと思うけど、今観れば少しは理解できると思う。 現代社会を踏まえれば、本作に描かれていることは大部分が現実化していると思う。 本作でジェームズウッズが体験したことを現代に置き換えると、「インターネットやDVDを通じて反社会的かつ、より刺激的な画像や動画に多くの人が群がる(劇中では「ビデオドロームへの関心」)」→「現実(リアル)と擬似(ヴァーチャル)の区別がつかなくなる者の増加(劇中では「ジェームズウッズの妄想」)」→「リアルとヴァーチャルの区別がつかなくなることによる犯罪の増加(劇中では「ジェームズウッズのテレビ局襲撃」)」→「現実からの逃避(メディアの世界にのみに生きるひきこもり)(劇中ではラストで「ジェームズウッズが自己の肉体を殺して、テレビ(ビデオ)の中で生きようとしたことの現われ」」という流れになると思う。 また、何年もの前に亡くなった俳優やミュージシャンが、亡くなった数年後でさえもCMに出演したり、CDを続々とリリースし、亡くなっているにも関わらず、まるで生きているかのような活動をする現象も、オブリヴィアン教授で見事に表現していると思う。 25年もの前に、このようなメディア社会の未来をずばり描いている点は凄いとしかいいようがない。 しかしながら、そうは言っても、刺激的な画像や映像によって、人々を反社会的な行為に走らせないようにしているのも事実だろう。人々はメディアを通じて疑似体験することにより、暴力的な衝動や性的な欲求を緩和することができ、犯罪が抑止されている。 本作は、その両面をカバーしているのではないか。メッセージ的には刺激的なメディアによる暴力行為増加への警鐘を鳴らすとともに、視覚的にはより暴力的な映像を駆使することにより、人々の暴力的な欲求を抑える働きをみせていると思う。 だから、クローネンバーグの映画はいつもグロテスクで暴力的なのではないだろうか。
[DVD(字幕)] 7点(2006-08-29 00:27:02)(良:3票)
11.  ウディ・アレンの重罪と軽罪 《ネタバレ》 
観た感想を言葉で表すのは難しい映画。様々なテーマが織り込まれており、かなり深い作品になっている。アレン監督作品の中でも好きな作品の一本。 悲劇的な作品なんだけれども、どことなくコメディとも捉えることができる。まさに「悲劇+時間=コメディ」のような作品。 既婚者であるジュダとクリフがそれぞれ妻以外の別の女性を愛してしまったことの悲劇をはっきりと対照的には描かずに、ぼんやりと比較しながら描いている点が面白い。 殺人という重罪を犯し、モラルや良心と葛藤しながら、結局は罪の意識を克服してしまい、罰せられることなく家族と幸せに暮らす成功者のジュダを演じたマーティンランドーの演技が実に繊細で見事だ。 潜在的には「ドロレスを殺したい」と強く思っているのに、弟に対して「殺しをして欲しい」と頼まずに、弟からの提案に仕立てている点がジュダらしい。自分の良心を傷めないようにしている。幼い頃の家族の団欒シーンで「誰が殺人の話をしたのか?」とジュダが自分の家族に聞き、「君だろう」と答えられるシーンと上手くリンクしていると思う。殺人を持ちかけたのはジュダ本人だと自らに思い知らしめる見事な手法。 また、そこにはいないはずの盲目になりつつある司祭のベンを自分の良心に見立てて、会話するシーンも素晴らしい演出だ。 ジュダを通して、罪の意識に向き合い、モラルや神、良心と葛藤しても、結局は罪を悔いることなく見事に逃げきれてしまう、現代における「神やモラルの不在」をアレンは嘆いているのだろう。 ジュダだけではなく、モラルを欠いているレスターは大成功を収め、ハリーという素晴らしい女性と結婚することができる。 一方、「神やモラル」を重んじる司祭のベンは盲目となり、人生の深みを知る哲学者のレヴィー教授は自殺をする。アレンは、神は盲目となり、モラルは死んだと伝えているのではないか。そして、ラストには、アレン演じるクリフは一人どん底の状況に陥っていく。クリフは「神やモラル不在」を嘆くアレン自身の姿なのだろう。 個人的に思うのは、クリフはもっと「モラル」を重んじるキャラクターか、「モラル」の選択を迫られるキャラクターにした方がより分かりやすくなったように思える。
[DVD(字幕)] 9点(2006-08-18 00:18:28)
12.  ウォーク・ザ・ライン/君につづく道
シンプルな人間関係で、味付けも薄いかもしれないが、正攻法で勝負して、素材の良さを活かしきっている。 シンプルな演出によりホアキンの演技のよさを最大限引き出した。 ホフマンのカポーティの演技を観ていないが、ジェイミーフォックスが前年に主演男優賞 を受賞していなかったらと、悔やまれる巡り合わせ。まだまだチャンスはあるでしょう。
[DVD(字幕)] 6点(2006-07-09 17:24:43)
13.  Vフォー・ヴェンデッタ 《ネタバレ》 
この映画をみて、「板垣死すとも自由は死せず」という言葉を思い出した。 奇抜な仮面やナイフアクションにも目を奪われるが、「自由」や「正義」について真正面から問いた、かなり骨太の作品。 アメリカを植民地化したり、イギリスが独裁国家になっていたりと、映画では大げさに描かれているかもしれないが、偏向的な情報操作などある意味ではあり得ない世界ではないかもしれない。 政治的メッセージの強さだけでなく、もちろんラストのアクションも見応えがあり、それだけでなく、ラブストーリー的な要素や、同性愛などの差別、メディアの在り方等も散りばめられた、かなり深い作品となっていると思う。 どういう社会であれ、その社会を創りあげた責任は個々人にあり(「誰がこんな社会にしたのかは鏡をみるべき」)、社会を変えるのも一人のヒーローの力ではなく、個々人の力によらなくてはならないという当然だけど力強いストレートなメッセージには単純に惹かれた。 また、「V」を具体的に描くのではなく、象徴的な存在として描かれているのもよい。「V」とは一人の男でも、無敵なヒーローではなく、社会を変えようと思うすべての人が「V」なのだから。
[映画館(字幕)] 9点(2006-04-24 02:02:12)(良:1票)
14.  ヴェラ・ドレイク 《ネタバレ》 
本作は2004年のアカデミー賞監督賞、主演女優賞、脚本賞にノミネートされた映画である。 確かに冒頭の数分を観ただけでも分かるマイクリーの素晴らしい演出に、イメルダ・スタウントンも迫真の素晴らしい演技をしていた。脇の役者も皆よい演技をしていた。 劇場では感動して泣いていた人も見られ、決して悪い映画ではないと思うが、あえて点数についてはちょっと低めにしたい。 個人的にマイクリーに対して深い思い入れはないのだが、彼の監督作「秘密と嘘」「人生は、時々晴れ」は点数云々とは別にして、本当に素晴らしい映画だと思った。 「家族」「夫婦」などをテーマにし、そのテーマを深く見つめた結果のいわゆる「落としどころ」という感じの‘告白’が観るものの胸を打つというのが彼の映画の特徴ではないだろうか。 この映画にも確かに落としどころはあるようにも見えるが、あまり心には響かない。というよりも響く前に終わってしまったというのが正直な感想である。 映画のポイントがピンぼけになっているとしか思えなかった。 ヴェラの行為は確かに人助けではあるが、脱法行為である。その彼女の長年の秘密は家族である息子、娘、夫でさえも知ることはなかった。その秘密を知ったときに、家族がヴェラに対する気持ちがどのように変化していくのかについてポイントをもっと絞った方が良かったのではないか。 夫や息子が物分かりが良すぎるのが問題だ。怒りや不信などがあってこそ、はじめてヴェラを本当に許せるようになれるのではないか。本作でも、もちろん夫は内面では怒り、息子も「恥だ」と母を蔑んだが、心の動きを描くに際して、比重や扱いが軽すぎやしないだろうか。 なぜヴェラがそのような行為をするのかという彼女の気持ちに対して、家族は真摯に向き合っていないのも本作に入り込めない理由になっている。 また、堕胎行為に対する是非、例えば法廷にて彼女が救った女性などを証人にたてて情状酌量などを訴えるということ、をあえてぼかした創りになっているが、これについて描くべきか否かは正直悩むところであるが、家族の心の変化にポイントをきちんと置いていないのでやや疑問かなと感じる。 彼女の行為に対して、どのように心を整理すればよいのかを‘家族’と同様に考えるためにも、堕胎の是非も描いてもよかった気がする。 この映画のセリフにあったように「白か黒か」で映画を観る人には向いていないと思う。
[映画館(字幕)] 4点(2005-08-06 23:26:06)
15.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 
序盤の凄まじく圧倒的な迫力は鳥肌モノであり、傑作の予感さえ漂わせていたが、どんどんとあらぬ方向にストーリーが進む。しまいには、あまりのご都合主義に「理屈じゃない。頭で考えるな。感じろ。感じるんや。」と自分に言い聞かせていたが、最後のラストでやってはいけないこと(微生物のことではない)をやってしまい一気に興ざめをした。 ストーリーとしては①真の勇気とは何か②ティムロビンスの存在③地球人の宇宙人への攻撃の描き方についてやや疑問を感じる。 ①については、宇宙人に対して無鉄砲に戦うことが勇気ではない。戦わずに家族を守るということも本当の勇気といえるのではないかというメッセージが込められていたと思う。その対立軸としてロビーという存在が必要だった。したがってトムには最後までロビーを説得させる必要があったのではないか。仮に説得できなかった場合にはロビーを死なせる必要があったと思う。ロビーを生かすということはロビーの行動を肯定してしまっていることになる。ロビーに限らず、自分が期待した「家族愛」という視点がかなり欠けてしまっている気がして残念だ。ラストは「済まない。ロビーを死なせてしまった」というトムのセリフを期待したのに…。それにしても人間ドラマに関しては感動させられる部分は微塵もなかった。 ②については、彼が本当に死ぬべき存在だったのかが理解できない。殺されるほどのpanicとcrazyっぷりが足りないのではないか。彼の存在に価値をつけるとすれば宇宙人侵略という危機にかこつけて、火事場泥棒的に自己の欲望を満たそうとする者という扱いにすれば良かったのではないか。この関連としては、人々のパニックぶりと暴徒化という視点は描かれているもののオリジナルに比し扱いが薄くモノ足りない。この視点は非常に重要だと思うのでもっと厚めに扱って欲しかった。 ③確かに本作はトムの目線で終始ストーリーが進むため、軍による宇宙人との戦いを描く必要はないと意見もあるが、そうだとすれば手榴弾や「鳥がいるぞ」等は蛇足のような気がする。「観客が何を期待するか」と「ラストのオチ」を重視すれば、オリジナルのように核兵器を使うというのは論争があろうかと思うが、地球側の攻撃力の強さを示した方がよかったのではないか。破壊力のある攻撃が全く効かない相手が微生物という微小なものによって滅ぶという落差こそが観客の驚きとなるのではないだろうか。
[映画館(字幕)] 7点(2005-07-03 00:51:31)
16.  宇宙戦争(1953) 《ネタバレ》 
見方によって違うとは思うが、正直いって本格的な作りに驚いた。本作が50年前の映画とは思えない。鑑賞前は、特撮技術については稚拙で子供だましでショボイものを見せられるかと思う と不安で一杯だったが、そんな不安は吹き飛んだ。 もっとも訳の分からない緑色の光線を発しながら動く物体がワイアーで吊しているのがバレバレであったりしているが、そういう技術的な問題でもないだろう。技術を超えた情熱を感じる。「恐怖」を描こうとする情熱は今も昔も変わらない。むしろ昔の方が情熱は高かったのではないかとも思える作品だと感じる。あの宇宙人の描き方としても「サイン」の宇宙人とどんな違いがあっただろうか。 その他に、この映画の特筆できる点としては以下の二点が挙げられる。 まず一点目としては、「宇宙人の恐怖」だけではなく、「パニックによる暴徒の恐怖」を描いていること。さすがに「宇宙人」に対する恐怖は現実的な問題ではなく、技術的な問題もあるため、正直いって今の人々に対してそれほど恐怖を与えることはないが、「パニックによる暴徒の恐怖」は現実的な問題だ。天変地異によりいついかなるときにでもパニックを起こすことはあり得る話である。これには現実的かつ相当な恐怖を感じざるを得ない。 もう一点としては、人類の叡知が否定され、もっとも身近なものにより物事が解決された点だ。人類の科学的な叡知である核兵器によっても対抗できず、人類の文化的叡知である宗教であっても何の助けにもならない。それらで解決できなかったことが、ウィルスという我々の身近にありながら、自然の驚異という未知なものにより解決されるというのは素晴らしい発想である。宇宙という未知な問題と自然という未知な問題を同時に描かれている点も特筆できるところだろう。 あまりストーリー上では発展していない印象だが「愛」についても描こうと努力している点も誉められるし、あまり目的を明らかにせずにひたすら地球を破壊し続けたり、対話を求めても問答無用に殺傷する宇宙人の姿にも、冒頭恐怖を感じなかったと述べたが、やはりある程度の恐怖を感じずにはいられない。
[DVD(字幕)] 6点(2005-06-30 00:41:09)
17.  海を飛ぶ夢 《ネタバレ》 
「尊厳死」という難しいテーマをじっくりと真正面から描きこんだ素晴らしい作品。 「生きるとは何か」「死とは何か」「人は誰のために生きるのか」「不治の病に対する向き合い方」「病人と家族の関係」など様々なテーマに向き合っている。 以下ネタバレ。議論があるとは思うが、個人的にはラスト付近は不満がある。 やや表面的というか、あっさりと描きすぎている感じがする。これは「尊厳死」といってもやはり「自殺」であることには変わりがない。その自殺を美化するのは避けようという監督の考えがあったからではないかとは思う。 本作を見るのは、健常者だけではない。同じ境遇を抱える人も見るだろう、そんな人達に対して「死」を美化させないようにしている気がする。 ラモン自身も、死んだ後に来世のようなものを期待はしていない。はっきりと「死んだ後は何もない」とロサに語っているのが印象的だった。 個人的に一番考えさせられたのが、ラモンとフリアが選択した手段の違いだ。 フリアも尊厳死を望んだが、直前になり死への恐れが彼女を襲ったのと、夫の献身的な愛がそうさせなかったのだろうか、彼女は「死」という選択を選ばなかった。あれほど分かり合えたラモンのことですら忘れてしまうことが彼女にとって幸せなのか、生きているといえるのかどうか。 確かに夫は彼女の死は望んでいないだろう、自分のことですら何もかも忘れてしまっても生きてさえいればそれだけで満足だと思っているかもしれない。 フリアは自分自身よりむしろ夫のために生きる決意をしたと思う。 一方、ラモンも素晴らしい家族に囲まれている。兄のホセ、ホセの妻マヌエラ、二人の息子ハビ、そして父ホアキン。ラモンは残される彼らのことを考えなくてはいいのかと思う。 あれほどユーモアに溢れ、素晴らしい詩を書くラモンが死ぬことなんて誰も望んでいないはずだ。特に兄のホセは「死」を現実問題としてきちんと受けとめている点が胸を打つ。 しかし、人は誰かのために生きるのではない。人は自分自身のために生きるのだと改めて感じた。自由を失い、夢を失い、好きな人に触れることもできないそんな人生に果たして意義を見出すことができるのか。 自分をプラスに導くための死という考えは、映画の中だけでなく確かに社会として向き合わなくてはならない問題なのかもしれない。 
[映画館(字幕)] 8点(2005-04-17 02:23:40)(良:1票)
18.  ウッディ・アレンの愛と死
アレン監督作品の中では珍しく金が掛かってそうな作品。 あんなに大量な爆弾を爆発させたりするような映画を創っているとは思わなかった。 まあ、大砲に隠れた後のオチはお約束みたいなものでしたが。 この映画を観ている間も観た後も結局何を言っているのかは確かによくは分からない。 テーマが「神の存在・不存在」なのか「殺人という不道徳」を扱っているのか…。 「人生の幸福」についても語っているし悩まされる。 もっとも描きたかったのは、題名通り「愛と死」なんだろうけどねえ。 色々詰め込ませようとして散漫になってしまったのかとも考えられる。 一応、アレンがラストで概括的にまとめているのでそれが一番参考になるかな。 「人間は結局、精神と肉体であり、死は終末ではないが、要はくさらずに生きる事。愛について重要なのは量ではなく質だ。」ということらしい。 受けた印象としては、「死」については意識することも、恐れることもせずに精神と肉体の満足が得られるような人生を生きろ、どうせ最後には皆死ぬのだからというようなメッセージかなと個人的には感じた。 なかなか哲学的なものとアレン特有のユーモア(黒人の指揮官、戦場での応援、ホットドッグ等)を交えた面白い作品にはなっているとは思う。 しかし個人的には死神とアレンがクルクル踊りながら終わるラストのバカバカしさがやっぱり好きだな。
5点(2005-02-11 23:14:04)
19.  ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう
結局何も教えてくれなかった気がするのは自分だけだろうか。 しかし未知なものは未知なままにしておきましょうというメッセージだけは受け取ったつもり。 7話のうち秀逸なのは7話の「射精のメカニズム」でしょう、これについてはだいぶ教えてもらったかな。 これだけなら9点をつけても良いほど素晴らしい斬新な出来。 脳内で繰り広げられる会話には味があるし、ただ一人で踊りまくる「快感」や神父の格好をした「罪悪感」、イタリア料理嫌いの「胃」もいい存在。 仲間想いの精子達や歌をともに歌いながらチカラを合わして必死に取り組む姿には一種の感動を覚える。 「俺だけ場違いでは」「言い訳用意」のセリフもかなりツボにはまったな。 あとは7話ほど素晴らしい話はなかったけど、乳が襲ってくるやつは個人的にはあのくだらなさは好き。 羊はアレンが演じなかったため、変なリアリティが出て良かったと思う。 あの役者は眼で困惑を演じたり、手の動きで感情の動きを描いていたのが良かったと思う。 羊を真顔で探しながら「ハニー」と言うのにはかなり笑った。 しかしラストのオチ「ウール洗剤」はちょっと弱いだろう。 あとのストーリーについては工夫は随所に感じられるものの、ネタやオチはだいぶ弱いかなと思う。全体を通して観れば高得点にはならなかった。
5点(2005-01-10 20:03:39)(良:3票)
20.  ウディ・アレンのバナナ 《ネタバレ》 
監督初作品の「泥棒野郎」のハイレベルの笑いから打って変わって、二作目ではやや滑り気味の笑いに終始している感がある。 冒頭での大統領暗殺での最後の一言「ファシスト、独裁者め」や、両親に外国へ行く説得をする際に手術を受けている人のセリフ「今日芝居に行くから」にはどのように笑えばよいのか多少苦しむ。 その他にもオペレッタ拷問や「CIA」を「UJA」といい間違えるのは大抵の日本人としては笑う余地がない冗談かもしれない。 とは言っても、法廷でのシーンは、フーバーのようになかなか冴えている部分も多かったと感じる。 しかし、この法廷でも一人二役のシーンは少しうざいなと思うし、飛び入りで入ってきたやつも昭和のギャグのようだった。(30年前に創られているので確かに昭和のギャグなのだろうが。) やや面白いかなと感じた部分は無意味な通訳や主な輸出品が赤痢だったり、全員に麻酔かけたり、食料品オーダーくらいだろうか。 一方、ストーリーは、中途半端なラブストーリーと中途半端な政治風刺がミックスされ、中途半端なグダグダ感は否定できない。 ヒロインが主人公に対する思いと同様に、何か物足りないと思わせる結果となっている。 それがアレンの狙いだったら凄いけど。 しかしラブストーリー部分はその後の「アニーホール」等の映画に何か繋がっているようなものも感じられた。 まあ、見所は何と言ってもシルベスタースタローンとウディアレンとの共演に尽きるかもしれない映画ですね。  
3点(2005-01-08 20:05:17)
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