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高橋幸二さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 25
性別 男性
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1.  追憶(2017) 《ネタバレ》 
本作が訴えていることは、「家族とは血の繋がりではなく、愛を注ぐことだ」ということだろう。作中では解体と再生のイメージが何度か繰り返され、それが家族の解体と再生を象徴する。 冒頭で、家族関係にない5人による家族同然の生活が描かれる。うち4人は、家庭的に恵まれない境遇だ。ところが擬似家族は、ヤクザの登場により動揺し、ヤクザ殺しによって解体される。 次に、母になり切れなかった女として、四方清美、四方美那子、仁科涼子が登場する。清美は息子の篤を捨てた過去があり、篤に疎まれ、自責の念に苛まれる。美那子は、篤との子を流産してから夫婦仲に亀裂が生じる。涼子は獄中で娘を産んだが、娘は母が誰かを知らない。そしてこの3人とは対照的に、妊娠中の田所真理が登場する。 篤は涼子から「忘れなさい」と言い含められ、過去の記憶から逃げてきたが、啓太だけは運命と向き合ってきた。あれほどの事件があった地を購入し、新居を建てるとは、よほど心を強く持たなければできないことだ。「解体」業を営む彼による、喫茶「ゆきわりそう」解体シーンは、人々が思い出にさよならを告げる瞬間でもあるが、真理の出産と新居建設とを合わせ、新たな再生を予感させる。だとすれば、妻に少しだけ心を開いた篤も、過去の記憶とようやく向き合えたことから、夫婦仲も再生するのではないか。涼子の娘を慈しんだ啓太の行動も、父の悟を亡くし母が投獄された川端梓を、篤夫婦が引き取って新たな家庭を再編するのではないかと示唆しているように思える。 降旗康男監督は、聖母マリアのイメージを求めて安藤サクラを抜擢したという。イエスは人々の罪を背負うため十字架で血を流したが、涼子は子供たちの罪を背負うためナイフを抜いて返り血を浴びた。子供たちは涼子のため、涼子は子供たちのために大きな犠牲を払い、その結果擬似家族は解体され、美しい思い出もトラウマに変わった。だが篤は、過去の記憶とようやく向き合えたことで、少年時代の思い出を「追憶」として受け容れられたのだろう。 ラストシーンで篤を胸に抱く涼子は、作為的にマリアを思わせる水色のマフラーを着用している。実の娘に愛されることはなかったが、子供たちに惜しみない愛を注いだ彼女が、最後に「母」としての愛を得たのだ。  イエスは彼らに答えて言われた。「私の母とは誰のことですか。また、兄弟たちとは誰のことですか。」「見なさい。私の母、私の兄弟たちです。神のみこころを行う人は誰でも、私の兄弟、姉妹、また母なのです。」 (マルコ福音書3章34・35)
[CS・衛星(邦画)] 8点(2018-03-31 20:15:03)
2.  ツナグ 《ネタバレ》 
■女子高生の嵐は、学芸会の主役を親友の御園に奪われてしまう。傷ついた嵐は、彼女がいつも自転車で通う道に水を撒き、凍らせて怪我させようと企む。ところが御園は本当に転倒し、車に撥ねられて死ぬ。 ■嵐は、同じクラスの歩美君が生きている者と死者を逢わせる「ツナグ」をやっていることを知り、御園が自分のしたことを知っていて誰かに話されると困るので、一度しか降霊できないルールを逆用し、自分が御園に逢えば彼女はほかの人に逢えなくなると考えた。 ■だが降霊した御園は、何も知らないようだった。嵐は告白できないまま別れる。最後に「歩美君に伝言を聞いて」と言われた嵐は、歩美から「道は凍ってなかったよ」と聞かされる。御園は何もかも承知で、嵐が切り出すのを待っていたのだ。御園は本当は歩美に逢いたかったのに、嵐に謝罪のチャンスを与えてくれたのだった。事態を悟った嵐は、歩美に「朝まで御園のそばにいてあげて!」と叫ぶが、夜明けが来てしまう。死者が降霊できるのは夜明けまでなのだ。 ■まず初めに、降霊してきた御園は歩美に「そのコート、かっこいいね」と言った。すでに死んだ御園にとって、それが口にできる精一杯の愛情表現だった。ところが嵐も歩美にツナグの依頼をしたとき、同じことを口にしたと御園は聞かされる。御園は主役の座だけでなく、歩美のことも嵐に奪われると察知した。御園は別れ際に、歩美に「歩美君は悔いがない生き方をしてね」と言う。死者はその運命を受け容れ、この世に未練を残してはならないのだ。 ■物語は最後に、学芸会「櫻の園」のシーンに至る。嵐演じるラネーフスカヤ夫人は、生家の没落を受け容れられず、ロパーヒンに「行かないで、お願い!」と懇願する。しかし最後には運命を受け容れ、「私の青春、私の幸福。さようなら」と生家に別れを告げ、娘に名を呼ばれると「今行きますよ」と言う。この台詞は本来なら、御園が言うはずだった。「行かないで、お願い!」という台詞は、歩美が着くまで消えないでいてほしい、それが邪悪な思いを抱いて逢おうとした自分のせめてもの償いだとする嵐の心情であり、「私の青春、私の幸福。さようなら」という台詞は、この世への執着を捨て旅立って行く御園の心情と、見事な相似を成している。死んだ者と生き残った者が、それぞれの運命を受け容れて「今行きますよ」と前に進んで行く、その橋渡しをするのがツナグなのだ。
[地上波(邦画)] 6点(2014-05-11 20:04:29)
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