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1.  追憶(1973) 《ネタバレ》 
長い間こんな良い映画を見逃していたのかと悔しい気もするが、「赤狩り」や「迫害と偏見」の意味が分かる年頃になってから鑑賞して良かったとも思う。 「赤狩り」はまさしくナチスの「ユダヤ迫害」にも似た言論闘争と人権迫害の嵐で、チャップリンでさえ「米国追放」(「ローマの休日」の脚本家が偽名を使った話は有名) 命や生活を賭ける程の主義をもたないハベルの言動は、その時代の大多数の人間の姿だったろう。 しかしケイティは無視できない。今では彼女のような勇気ある者が正しかったと分かっているが、当時は非難と罵倒を浴びた。 ハベルもそれが分かっている。「妥協しろ」というが「君は間違ってる」とは言わない。本心は変わって欲しくもない。だから苦しい。 美人ではないが才気と魅力にあふれたケイティはまさにバーブルにぴったり。 ハベルの再婚した妻は美人だが魅力なし;(美人は三日で飽きるぞ~) 「大衆受け」しか考えない今では作れない良質な映画。何よりハベルを演じる男優さんがいないのではないだろうか? 下手な男優が演じると「高給生活にしがみついて良心と妻娘を捨てた上流階級の軽々男」になりかねない; 遅ればせながら、レッドフォードが顔だけでなく「品」のある役者だったのだと気付いた。
[地上波(字幕)] 8点(2014-03-23 16:39:10)(良:1票)
2.  ツーリスト 《ネタバレ》 
この映画に足りないのはセンスだべ;ストーリーは期待してないからせめて二大大物俳優を活かした「おしゃれな会話」とか。「昼下がりの情事」の音楽隊みたく「まぬけな子分」とか。変なこだわりをもった「マニアな敵」とか。しゃれっ気満載にして欲しかった。それでこそ美しいベニスの背景やゴージャスな世界が生きてくるというもの。このところのハリウッド映画の脚本は劣化がひどすぎる(ストライキ起こされた時のやつか?)ジョニーもジュリーも好きですが、キャストは才能ある新人さんにした方が良かったかな。いかに美女とはいえジュリーはピンチに見えんのよ;胸の谷間からナイフだしてブスッと敵をやっつけそうなんだもんよ;
[地上波(吹替)] 5点(2013-04-14 16:28:28)
3.  つぐない 《ネタバレ》 
自分が加害者である、と認める事は人の罪を許すのと同じぐらい難しい。彼女は小さい頃はあんなに独裁的だったのに、すっかり変わっていた。人を思いやる心をもち、人の悲しみも罪も美しさも理解していた。「救済」を行う決意も固めていた。自分の罪を認め、一生を償いに捧げる覚悟をしていたからだろう。その勇気は相当なものだと思う。「つぐない」とは、決して許されない事を前提に行うべきものである。「許される」為に行う償いは、償いではなく、その時点でその人に許される資格はない。無期懲役の囚人が「仮釈放」の申請を自ら行う事が出来ないのと同じように(申請する時点で「仮釈放」の資格はない、と判断される為)彼女はそれを分かっていた。自分の罪を認め、決して忘れぬように決めていたに違い無い。だが、病気の為に彼女は「忘れる」ようになってしまう。だから、世界中の人に「自分の罪を知ってもらい、覚えてもらう」為に小説を書いたのではないだろうか?決して「許される」為に書いたのではないと思う。最後の結末の変更は読者の為であろう(彼女の他人に対する優しさが感じられる)彼女のした事は取り返しのつかぬ事体を招いてしまった。しかし、誰にでも起こり得る事である。その時、彼女のように勇気をもって「自分の罪を認められる」人が、何人いるだろうか?「罪の告白」はかなりの勇気と覚悟を必要とする。罪を自覚し、一番苦しんでいたのは彼女であろう。最後まで彼女は苦しみ続ける事を選んだ。それが「つぐない」なのだから…加害者の苦しみと哀しみを美しく描いたこの作品は稀な映画であると思う(蛇足ながら…いくら美しいからって監督、キーラにタバコ吸わせすぎです;)
[DVD(字幕)] 7点(2009-08-18 10:42:34)(良:2票)
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