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プロフィール
コメント数 2399
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  THX-1138 《ネタバレ》 
ジョージ・ルーカスという人は、『スター・ウォーズ』シリーズ以外では長編映画第一作である本作と二作目の『アメリカン・グラフィティ』しか監督していないんですね。その記念すべき商業映画初監督作なんですが、正直言って退屈な学生映画のレベル(実際のところルーカスが学生時代に撮った短編がもと)としか言いようがないけど、その映像イメージは71年製作とは思えない斬新性に満ちていると言えます。この若造の才能を見抜いて出資したコッポラはさすがです。でも駆け出しの頃とは言っても、ルーカスがこんな作家性を持っていたとは驚きですね、まるでゴダールが撮ったみたいな感じすらしますからね。でも登場人物が男女問わず全員スキンヘッド、顔面がミラーマスクになっている白バイ隊員みたいなアンドロイド警官などのイメージは、後世に少なからぬ影響を与えているんじゃないかと思います。「これじゃあハリウッドでは稼げない」と賢明に判断して作風をガラッと変えた『アメ・グラ』、そして『スター・ウォーズ』という大金脈を掘り当てるんだから、やはりルーカスはただ者じゃなかったわけです。彼のこの後の作品では“THX”や“1138”が隠しワードみたいに使われているし、これって「初心忘るべからず」という彼なりの戒めなのかな。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-04-10 21:39:12)(良:1票)
2.  天国から来たチャンピオン 《ネタバレ》 
そうか、天国にはコンコルドに乗せられて超音速で行っちゃうのか、コンコルドはとっくの昔に引退してるし現在ではどの旅客機に乗せてもらえるのかな?やっぱエアバスなのかな。それより劇中でウオーレン・ベイティの演じるジョー・ペンドルトンが告げられる本来の命日は2025年3月20日、あと2年なんですね。現在85歳とけっこうなお歳になっているベイティ、もしこの日付が本当の命日になったらバズるかもしれませんね、すいません不謹慎をお許しください(笑)。 “古い革袋に新しい酒を詰める”じゃないけど、この映画は41年の『幽霊紐育を歩く』のリメイクなんですね。本来はボクサーが主人公だったのでモハメド・アリを起用して撮るはずが大人の事情でポシャり、アメフト選手に設定変更してベイティ自身が主演することになったそうです。彼は大学時代はアメフトの花形選手だったそうで、どうりでプレイ姿がさまになっているわけです。お話し自体もハートウォーミング+ラブコメの路線が強調されて、そこが本作の成功に繋がったのかな。別人の肉体に乗り移ってもベイティ自身が演じるという手抜きというか苦肉の策みたいな撮り方、これは自分には最後まで違和感が拭えませんでした。でもコーチや恋人にジョー・ペンドルトンの魂を感じさせたのに、ジョーとしての記憶は霧消して天国に召されてゆくラストは切ないもんですね。クラリネットをフューチャーしたデイヴ・グルーシンのテーマ曲にもジンと来るものがあります。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-03-16 23:00:03)
3.  鉄砲玉の美学 《ネタバレ》 
東映との提携作品とはいえ、今は亡きATGが唯一製作したヤクザ映画として観ると貴重。監督は中島貞夫ですけど、サウンドトラックに頭脳警察を起用するところなどATGっぽさが感じられます。渡瀬恒彦の他は、東映ヤクザ映画の常連は川谷拓三と小池朝雄ぐらいしか男優では顔を見せないので、一段とATG風味が濃厚となっています。渡瀬は聞き取りにくいほど早口な河内弁でまくし立てるチンピラで、これは好演です。彼が商売のネタにしていたのが“これ以上大きくならないウサギ”なんですが、こいつらがキャベツをむしゃむしゃ喰ってどんどん成長してゆくのが可笑しい。鉄砲玉になって宮崎に乗り込んでからも、拳銃と軍資金100万円を貰っているのに大して暴れもせずけっきょく自分の遊興にのめり込むだけ、対する宮崎地元の組織も渡瀬の属する組織の意図が見え見えなだけに、何をされても大人しく恭順の意を見せるだけ。低予算を逆手にとったような実録ヤクザ映画ファンが怒りそうな何も起こらない展開、とくに中盤はタイアップしたホテルに気を使ったようなシーンの連続なのが鼻じらむところです。中島貞夫は当時の東映ヤクザ路線でも深作欣二のような本流ではないのですが、彼本来の志向としてはアヴァンギャルドに親和的だったみたいな感じです。鉄砲玉・渡瀬の死に方としてはもっと壮絶かつ無様な方が良かったのにとつくづく思います、これじゃまるで『真夜中のカーボーイ』のダスティン・ホフマンと一緒じゃないですか(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-02-25 23:25:38)
4.  ディア・ハンター 《ネタバレ》 
ハリウッドでヴェトナム戦争を初めて本格的に描いた作品というよりも、恐怖のゲーム“ロシアン・ルーレット”を世に知らしめた功績(?)の方が大でしょう。このロシアン・ルーレットはヴェトナムにもヴェトナム戦争にもなんの関係もなく、ラスヴェガスでロシアン・ルーレットが行われるという脚本があって、それをプロデューサーが無理くりヴェトナム戦争に結び付けたのがそもそもの成り行きだったみたいです。戦場の真っ只中や陥落寸前のサイゴンでロシアン・ルーレット賭博に熱狂するヴェトナム人を見せられると「どんだけロシアン・ルーレットが好きやねん、ヴェトナム人は」と誰だって嫌悪感を催すはずで、そりゃヴェトナム人が怒るのは無理ないでしょう。 ストーリーは三部構成になっていますが、ストーリーテリングは三時間も上映時間があるのにけっこう雑な感じもあります。ピッツバーグ郊外の故郷からヴェトナムの戦場への切り替わりが唐突なのはまあ編集上のテクニックかもしれませんが、戦場での三人の捕虜になるまでの経緯がすっ飛ばされ過ぎです。デ・ニーロはクリストファー・ウォーケンやジョン・サヴェージとは違う部隊(特殊部隊か)であるのは明確ですけど、三人が戦場で再会したら次の場面では捕虜になって水牢みたいなところに押し込められているってのは展開が速すぎ。この映画、前半の結婚式までのシークエンスやロシアン・ルーレットの場面はくどいほど長いのに、人間関係の描写には手を抜いているような感じがしてならないのです。 ヴェトナム戦争で人生を狂わされた三人ですが、やはりデ・ニーロの演技がいちばん光っています。スティーブンとニックは明らかにあっちの世界に足を踏み入れた感じですが、抑えた演技で通しますけどマイク=デ・ニーロがもっとも狂気に満ちている気がしました、さすが「頭のおかしいキャラを演じさせたらデ・ニーロの右に出る者はいない」です。故郷では仲間内ではもっとも紳士的ですけど、時おり理解不能な哲学的(?)なことを言い静かに怒りを爆発させる。戦場では絶えず二人を攻撃的なほど叱咤し、ロシアン・ルーレットにも恐れを見せずに挑む。ヴェトナムですっかり人が変わってしまったと言えばそれまでですが、復員してからもどこに行くにも軍服姿で通す。唯一狩りのときだけは私服に戻りますが、いわば素に戻った彼はもはや鹿を仕留めることができないのでした。ニックを連れ戻すためにサイゴンに戻るマイクですけど、もはや廃人同然のニックとロシアン・ルーレットの勝負をするというところに、マイク=デ・ニーロの訳の分からない狂気が迸ります。 20年ぶりぐらいに観返してみて、しょうじき初見のときのような感動は薄れ、なんか粗が眼についてしまいます。でも、ヴェトナム戦争の傷がまだ生々しかったアメリカ人には、名曲“カヴァティーナ”で始まりそして幕を閉じるこの物語に打ちのめされたのは理解できますね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-10-17 22:55:36)
5.  電撃脱走・地獄のターゲット 《ネタバレ》 
主演は60年代から活躍する怪優オリヴァー・リード。この人は名匠キャロル・リードの甥という血筋ながらも、数ある出演作で正統的なヒーローを演じたことが一度もないんです。言ってみれば、コッポラの甥であるニコラス・ケイジの英国版という感じでしょうか。容貌魁偉で筋肉ムキムキ、典型的なゴリラ俳優です。本作で彼の舎弟分となるのがイアン・マクシェーン、現在でもいろんな作品でバイ・プレイヤーとして活躍中です。実はこの人肉体はともかくとして風貌がオリヴァー・リードにそっくりで、私は『空軍大戦略』に出演していた彼のことをてっきりオリヴァー・リードだと長いこと勘違いしていたぐらいです。この二人に絡むのがジル・セント・ジョン、『ダイヤモンドは永遠に』にボンドガールとして出演したぐらいで、これまた典型的な悪女キャラの女優です。本作はこの濃ゆいトリオの相乗効果のおかげで、B級ながらも独特のテイストを持っています。 邦題通り、開始から三分の一はオリヴァー・リードとイアン・マクシェーンの脱獄するまでの描写に費やします。ジルはリードの妻で、刑務所に面会に来て「わたし男ができて妊娠したの、だから離婚して」と身も蓋もないことを言い出します。この面会シーンは、アクリル・ボードに映るジルの表情とリードを同じ向きで撮影したスプリット・フォーカスで、B級映画とは思えない凝った映像でこの映画の中でもっとも印象に残ったショットです。でももっとすごいのは逆上したリードが素手でボードを突き破ってジルを絞め殺そうとする次のシーンで、普通なら「やり過ぎでしょ」となりますが、オリヴァー・リードなら出来そうな感じです。というわけで、裏切った女房を殺したい一心で脱獄するわけです。リードが刑務所にぶち込まれたのは強奪事件を犯したせいで、その時の収穫20万ドルはどこかに隠していて、弟分はどうもそれがお目当てみたい。でもリードは女房を殺すことに夢中で、強奪金の隠し場所についてはガードが固い。リードが脱獄して早々に入手するのが、モーゼル・ミリタリーという渋すぎる銃です。こいつはストックが付けられて自動小銃みたいに連射もできる優れもの、でも劇中ではその後あまり使われていなかったのは残念でした。 銃を手にいれた凶暴なリードには女房は簡単なターゲットだったはずでしたが、ところが物事はそう簡単には進みませんでした。後半にはちょっとしたどんでん返しまであり、つまりは女房ジル・セント・ジョンはやはり一筋縄ではいかぬ悪女だったというわけです。無常観が漂うラストはニューシネマ風でしたが、全編に英国ノワールらしい暗さがいい雰囲気でした。脚本家は『殺しの分け前/ポイント・ブランク』を書いた人で、町山智浩氏によると両作は語り口を変えた同じ話しだということです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-10 21:29:47)
6.  デモン・シード 《ネタバレ》 
最近ではすっかり現実的なお話しになってきたAI・人工知能ものは『2001年宇宙の旅』を持ち出すまでもなく昔からSF映画の格好のネタでしたが、その中でもこの映画に登場する人工知能プロテウスが突拍子なさでは№1でしょう。なんせ無機物のマシーンであるくせに、人間の女に自分の子供を産ませようとするんですから!このプロットはもちろん知ってましたが今まで観る機会がなかった私、下世話ながら一番の関心は「人工知能がどうやってエッチをするの?」ってことでした(笑)。なんせ胎ます相手があの『赤い影』のジュリー・クリスティーですからね、そりゃ期待しますよ。ところがそこは見事に期待外れ、最大の疑問の「精子はどうするの?」も端末さえあれば何でもできるプロテウスくんが実験室で精子を作成しちゃうんですから、そりゃあ何でもありです。 しかし自分が今まで観てきたAI・人工知能ものSFの中では、このプロテウスくんがもっとも怖い暴走AIでした。初っ端からストレートな要求を開発した科学者に突き付けてくるのですが、それを重要視しないこの博士がこの映画の最大のツッコミどころであることは間違いなしです。あと70年代の作品なのでケチをつけるのは酷ですけど、プロテウスの思考を表現するビジュアルが陳腐かつシュールなのが痛い。感じから言えば、同時代の『アルタード・ステーツ』の視覚効果の劣化版というとこでしょうか。 ラストのバッド・エンドは観ていて想像の範囲内でしたが、全体にしまりがない演出のせいでかなり損しているなと感じました。この時代なら、ロバート・ワイズあたりが監督していたら傑作になっていたかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-10-27 22:18:29)
7.  デイジー・ミラー 《ネタバレ》 
時は19世紀半ば、ヨーロッパ暮らしの長いブルジョワ階級の米国人青年が、スイスの保養地でNY住まいのお嬢様と知り合いになる。青年は彼女に一目惚れしてしまうが、次の滞在地ローマで再会すると、彼女はその自由奔放な言動で社交界では鼻つまみ者あつかいされていた。 原作は文豪ヘンリー・ジェイムズの中編小説、それをピーター・ボクダノヴィッチが正面から映像化したいわゆる文芸映画です。ジェイムズは米国人ですが、米国で生活するよりヨーロッパ暮らしの方が長かった米国文壇でもちょっと変わったポジションの作家です。デボラ・カーの有名なホラー映画『回転』の原作者でもあり、私は長いことこの人は英国人でホラー作家だと思っていました(無知ですみません)。登場人物は欧州社交界にたむろする米国人が多いのですが、そういうジェイムズの作風もありみんな米国人らしくない感じなのが面白いです。 奔放なヒロインであるデイジー・ミラーを演じているのがボクダノヴィッチのミューズであるシビル・シェパードです。彼女の大づくりな顔立ちが好みではなく敬遠していた自分でしたが、19世紀コスプレが見事なほど似合っていて目を見張りました。彼女のケバい容姿とヴィクトリア調のドレスは素晴らしく相性が良くて、現代劇よりも遥かに魅力的です。奔放と言ってもアメリカ的な自由な振る舞いをヨーロッパでも直さないというだけのことで、ここら辺にヨーロッパとアメリカの文化の衝突をテーマにしていたジェイムズらしさが出ていると思います。ボクダノヴィッチはローマなどでロケをして美しい映像を追及していますし、室内シーンでは演技者の主観を鏡に映して表現していろいろ凝った技を見せてくれます。お話し自体はあまり盛り上がるイヴェントもなく、ヒロインが熱病(たぶんマラリヤ)にかかってあっけなく死んでしまうというのがある意味サプライズです。 ヒロインと男二人の三角関係のお話とも言えますが、その中でたびたび言及されるのが「婚約」というワードです。主人公にヒロインが最後に残した言葉も「私はあの方とは婚約していませんでした」でしたが、この「婚約」とはひょっとして肉体関係の隠語なんじゃないかと思えてなりません。19世紀の上流社会ならあり得る言葉遣いかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-10-08 22:58:14)
8.  テンタクルズ 《ネタバレ》 
テンタクルズと聞くと昔からウルトラQのエピソード『南海の怒り』に登場する大蛸スダールを思い出しちゃうんです。怪獣図鑑ではスダールの解説として「酢ダコにしたら1000人前(1万人分だったかな?)になる」とあり、そもそも酢ダコ一人前とはどれくらいの量なんだろうか、そして果たして美味いんだろうか、と子供心にも疑問を持って今でも引きずっています(笑)。 底抜け超大作としてあまりに有名な本作ですけど、蛸の見せかた自体は水中撮影を使ったりして思ったよりまともです。肝心の大蛸テンタクルズですけど、こいつは怪獣と言うほどの大きさではありません。下手くそな撮り方のせいでどれくらい大きい蛸なのかイマイチ判りづらいのですが、ヨットを襲う海中からの映像を見る限りではせいぜい全長5メートルという感じで、酢ダコにしたらせいぜい100人前でしょうか。そもそも“超大作”という宣伝文句からして日本の映画会社の誇大広告で、どこにもカネをかけた痕跡が観られません。オールスター・キャストと言うのも錯覚で、スターと呼べるのはヘンリー・フォンダぐらいで、シェリー・ウィンタースとジョン・ヒューストンはちょっと違うでしょうって感じで、後はほとんどがイタリア人と観てすぐ判る俳優がアメリカ人を演じています。たぶんこの映画の製作費の3分の1ぐらいはフォンダのギャラだと思いますが、これがまた酷い手抜き演技なんです。出番自体が2シーンだけでひとりで電話してるだけ、絡むのもイタリア人俳優がひとりだけなんです。そして中盤以降は突然すがたをくらましてまるで彼の存在すらなかったかのように映画は進行してしまうんです。ヒューストンとウィンタースも同じ様にフェード・アウトしちゃうし、この監督はちゃんと最後まで映画創りに関わったんだろうかと不思議でなりません。 この映画が“底抜け”の殿堂に鎮座しているのは、蛸の特撮がチャチとかいうわけじゃなく、あまりにお粗末な脚本のおかげなんだということは理解できました。でもほとんど同時期の『オルカ』をしっかりパクっているところなんかは、さすがイタリア映画界と言うほかありませんね。でもさすがにこれを映画館でカネ払って観てしまったら、たぶん暴れたでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2015-06-20 22:55:36)(笑:1票)
9.  テレフォン 《ネタバレ》 
みなさんけっこう辛い評価ですけど、自分はけっこう好きなんですがね、この映画。まずこの原作者、『合衆国最後の日』や『ダイ・ハード2』を書いた人だけあってスリーパー・エージェントが全米に潜伏しているというプロットが秀逸です。それをピーター・ハイアムズやスターリング・シリファントが脚色しているので面白くないはずはないんだけど、彼らの作業自体はあまり上手く事が運ばなかったみたいで、けっこう癖のある脚本になっちゃったという感じです。だいたい何十年も前から爆薬を用意(それも身近なところに)しているなんてちょっとご都合主義もいいとこです。ドナルド・プレザンスの不気味なキャラは良いんだけど、彼の行動の動機や背景がすっぽり抜け落ちているので凄味が出てません。タイン・デイリーのキャラも、最後まで事件の本質に絡まないので全然必要のないキャラで終わってしまいました。ブロンソンとリー・レミックのカップル・エージェントもけっこう冷酷に殺人を実行しちゃうんで感情移入しにくいところです。 まあドン・シーゲルらしいB級スパイ・アクションとして観れば充分愉しめると思いますし、やはりラストのオチは粋ですよね、ここは得点が高いです。
[DVD(字幕)] 6点(2015-05-22 22:48:32)
10.  でんきくらげ  可愛い悪魔 《ネタバレ》 
渥美マリの軟体動物シリーズくらげ編の第二弾です。前作『でんきくらげ』とはなんの関連もなく、これはシリーズ六本通しての特長ですが渥美マリの演じるキャラは全部別人と言うわけです。それにしても、渥美マリはこの年(70年)に軟体シリーズだけでも五本も撮っているんですよ、あだ花的ではありましたが彼女こそは大映最後のスター女優だったということでしょう。 内容はと言えばこれがかなりの珍品で、薄っぺらい風俗描写に乗って渥美マリが目まぐるしく色んな経験を積むというお話しです。増村保造の名作の脚本を数多く手掛けた白坂依志夫が書いた脚本とはとうてい思えないストーリーなんです。大雑把に言うと『いそぎんちゃく』シリーズの渥美マリは男は好きだがそれ以上にカネに執着して貯金が大好きというキャラでしたが、本作ではとにかくカネを使って遊ぶのが大好きな女なんです。それが大した苦労もせずにヌードモデル、マッサージ嬢、CMモデルと次々に仕事が舞い込みカネには不自由しないんです。そういやいつもとパターンが違い水商売だけはやりませんでしたね。活発で良く喋るというキャラですが、その分渥美マリに芝居をさせるのでその大根ぶりがまた際立っちゃってます。お色気と言っても日活がロマンポルノ路線を始めようかという時期ですから、これじゃあ大映がつぶれたのも当然の帰結だったと思います。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2015-01-31 22:58:36)
11.  でんきくらげ
はい、渥美マリと言えば『でんきくらげ』、この超絶的に素晴らしいネーミングは彼女の代名詞みたいなものですね。監督は増村保造で彼は軟体動物シリーズを二本撮っているんですよね。いかにも彼が好みそうな題材なんですが、まあなんというか“監督が気乗りしないで撮りました”って感じがモロにこちらに伝わってくるんですよ。増村保造もさすがに渥美マリじゃあ手の入れようがないとあきらめてしまったんですかね。そりゃあ若尾文子が主演の方が撮る方も観る方も力の入れ方が違ってきますが、この頃にはこの役やるにはさすがに若尾も歳とり過ぎてるし、そしていくら増村保造がメガホンとると言ってもこんな映画に出るはずありませんよね。でも滅茶苦茶だけど妙に愛嬌のある根岸明美のお母さんやエロ爺だけど江戸っ子ダンディという風情の西村晃とか、脇を固める役者は光ってましたね。でもいちばん残念だったのは、シリーズ初期と較べて渥美マリの脱ぎっぷりが悪くなってきたことでしょうかね。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2015-01-30 21:23:06)(良:1票)
12.  デュエリスト/決闘者 《ネタバレ》 
R・スコットの監督デビュー作にして、映画の神が降臨した傑作。観るたびにため息をつかされる荘厳なラスト・シーン、そしてデュベールがアデルに求婚するシーンで二人の馬までがまるでキスするかの様に頬をすりよせるカット、これらが偶然に撮れたなんてもう神のなせる業だったとしか言いようがないです。剣を使う闘いにはR・スコットのこだわりがよく出ています。特に馬小屋の中でサーベルを使って決闘するシーン、騎兵のサーベルがあんなに重たいものとは知りませんでした。まるでマチェーテか青龍刀を振り回している様な感じでド迫力です。 決闘が罪であるというのは近代市民社会を律する秩序の原点の一つであり、ナポレオン帝政のフランス社会がこの原則を受け入れてゆくのが二人の軍人の立身出世と没落を通して不思議な静謐感を持って描かれています。フェローはもともと決闘マニアだったので、デュベールと決闘を始めたころは大した理由づけは無かったのだが、最後の方では彼との決闘が皇帝ナポレオンとともに没落してゆく自身のレーゾン・デートルとなってしまう。そして王党派として新時代にも席が与えられるデュベールとは対照的に、骨の髄までボナパルティストだったフェローは生ける屍となってしまうのが痛々しい。三角帽をかぶって呆然と立ちすくむフェローの後姿は、過去の人となった廃帝ナポレオンそのものです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-05-14 21:04:48)
13.  デリンジャー(1973) 《ネタバレ》 
ジョン・デリンジャーはW・オーツの映画史に残るような当たり役、実物の写真と見比べてみればそっくりぶりが良く判ります。対するメルヴィン・パーヴィスはB・ジョンソン、これはパーヴィスにはちょっと老け過ぎているのが難点ですかな。つまり『ワイルドバンチ』のゴーチ兄弟が敵味方に分かれて死闘を繰り広げるわけです。 ベイビー・フェイス・ネルソンたちが一味に加わってからの暴れっぷりは凄まじい限りで、中盤の隠れ家で繰り広げられる銃撃戦は並みの戦争映画を凌駕しています。ダンディーなデリンジャーと、自分が新聞の一面に載らないと言っては怒り手入れで民間人が死んでも意に介さないパーヴィス、どっちがどっちだか判らない“天使と悪魔”ぶりです。殺伐としながらも詩情が随所に感じられる実録ギャング映画の傑作です。
[DVD(字幕)] 8点(2012-12-11 20:31:13)(良:1票)
14.  デカメロン 《ネタバレ》 
「パゾリーニ艶笑三部作」のトップバッターは、ボッカチオのご存知「デカメロン」と来たもんだ! それまでの“コミュニスト・パゾリーニ”としての難解な映画から、“詩人パゾリーニ”が前面に出た作風で、とことん明るいタッチながら随所に見せる中世的で詩的な映像は、パゾリーニの美的センスを堪能させてくれます。のっけからフランコ・チッティとニネット・ダヴォリが登場で、中でもダヴォリはパゾリーニが大好きなウンコまみれになって笑わせてくれます。出てくる俳優は素人が多いのですが、それにしても男優たちの歯並びのすごさは圧巻です(笑)。中には上下合わせても前歯が一本しかない人もいたりして、「わざわざこういう歯並びの人を探してきたのかな?、まさか撮影のために…」と真剣に考え込んでしまいました(笑)。女優(と言うか裸体)も素人起用が多いのですけど、みんな日焼けで水着の跡が付いているのは中世イタリアではあり得ないので不自然でした。原作にはない画家役でパゾリーニ自身が狂言回しを演じるのですが、「なぜ私は作品を作るのだ、夢見ているときの方がずっと素晴らしいのに?」と美しい言葉で独白するラストは、完全に“詩人パゾリーニ”の素に戻ってました。
[DVD(字幕)] 7点(2011-10-24 00:31:53)
15.  天国の日々
ただ息をのむばかりの素晴らしい映像に圧倒されました。マジック・アワーの残照が照らす雄大な自然は、たしかに評判通りの美しさで映画史に残る偉業でしょう。マリックの演出は人間関係については意図的なのか非常に淡泊で、この映画は映像抒情詩として観た方が楽しめます。モリコーネの音楽も、いつもとは毛色の違った感じですが心に沁み入ります。それにしてもリチャード・ギアという俳優は、大根のくせして出演作には恵まれていますね。
[DVD(字幕)] 8点(2010-02-08 20:26:00)
16.  デス・レース2000年 《ネタバレ》 
まず驚かされるのが、登場する五台の車のデザインのショボさで、将に小学生の漫画レベルです。2年後に『ロッキー』で天下をとるスターロンが頭の悪い悪役で出ていますが、彼の車のデザインときたら、フロントグリル正面にでっかいナイフ、ヘッドライトのところにトンプソン短機関銃をそのままくっつけたという抱腹絶倒さですよ。いかにも低予算らしく、全米横断殺人レースという割には山の中や田舎ばっかり走っていますし、結構スピード出してるなと思いきやロースピード撮影の早回しでした。また音楽がひどく安っぽくいのですが、冷静に考えると却ってこの映画のチープなテイストにあっているかなとも思えます。ストーリーは思ったよりトンデモ度が低かったので肩すかしを食いましたが、出てくるねえちゃんたちが無意味に脱ぎっぷりが良いので、5点献上いたします。
[DVD(字幕)] 5点(2010-01-02 11:12:42)
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