1. 東京物語
《ネタバレ》 何というか、「映画」を超越した唯一無二の作品に出会うことが出来たといったらちょっとオーバーかも知れませんが、とにかく観ていて心の奥底からいろいろな感情が静かに湧き上がってくるのを抑えることができませんでした。何なんでしょうか、この観ているものの心を捉え、自分自身を省みさせ、そして全てを受け入れてくれるようなこの感覚は・・・・。 この思いを上手く言葉にできないのがもどかしいですね。しかし、何というか葬儀後、兄や姉の行動に不満を述べる香川京子を諭す原節子の言葉と、その後のシーンでの笠智衆の「ええんじゃよ,それで。」は本当に心に沁みましたね。 これから、何回も観返したい作品です。 [DVD(邦画)] 10点(2008-10-28 20:09:29) |
2. 遠い夜明け
《ネタバレ》 人種差別に対する激しい怒りが湧き上がってきました。既に南アフリカのアパルトヘイトは廃止されていますが、このような愚かな制度が20世紀の終盤まで残っていたという人類にとって悲しい事実を描いた映画として後世に残すべき作品だと思います。 ラストにビコのように不審な死(拷問死?)を遂げた活動家の一覧がテロップで流れ、非常に衝撃的でした。 [DVD(字幕)] 9点(2007-12-01 19:18:42) |
3. 突入せよ!「あさま山荘」事件
《ネタバレ》 あさま山荘事件を警察サイドから、生々しく描いていて非常に面白かったです。連合赤軍以外にも、マスコミや世論、そして警察自身と戦わなければならなかった大変さが伝わってきました。しかし、これだけの大事件にも関わらず、縄張り意識やメンツ、肩書きなどに拘りまくっている警察組織の状況を見せられると非常に暗澹とした気分になってしまいますね・・・・・。 ちなみにこの作品には、連合赤軍の姿(人物・思想等)は殆ど出てきません(銃口くらい)。是非、逆に警察の姿が殆ど出てこない若松孝二監督の「実録・連合赤軍」と合わせて見ることをお勧めします。 [DVD(邦画)] 9点(2007-11-04 20:32:46) |
4. 独裁者と小さな孫
《ネタバレ》 野映画を思わせるような、どこかユーモラスを感じさせながらも乾いたタッチで、残酷な寓話を描きつづけているのですが・・・ 最後に「独裁者を殺したところでどうにもならない、踊らせるのだ」というセリフに監督の熱い思いがこめられていて、非常に感銘を受けました。 [DVD(字幕)] 8点(2016-10-23 00:35:40) |
5. トラック野郎 望郷一番星
《ネタバレ》 「下品こそこの世の花」という鈴木則文監督の言葉通りの下品極まりない痛快娯楽映画です 今、こんな作品を発表したら社会問題になってしまいそうなくらいの下品さですが、今の日本に必要なのはこの作品が持つ強烈なパワーではないかなとも思います。 [DVD(吹替)] 8点(2015-02-11 23:53:57) |
6. トラック野郎 御意見無用
《ネタバレ》 知的な役も、この作品のような破天荒な馬鹿(褒め言葉です)も見事に演じ切れる菅原文太という役者の凄さは日本映画の宝であったと思います。こういう、破天荒で下品極まりないけれども、実は我々観客の抱えている、日常生活への不満や哀愁を上手く拾って、パワー全開で吹き飛ばしてくれるような痛快な作品が、本当に好きでたまりません。 [DVD(邦画)] 8点(2014-12-03 00:45:44) |
7. トリノ、24時からの恋人たち
《ネタバレ》 美しいトリノの街を舞台にした、全編映画愛に満ち溢れたとても素敵な作品でした。幻想的でセンスの良い映像に浸ってしまいました。内容も中々こじゃれた感じで良かったと思います(まあ、とある場面でベルルスコーニを持ってきたのは見事だと思いました)。 フランチェスカ・イナウディがジーン・セバーグを彷彿させるようなショートカットで非常に魅力的でした。 トリノの国立映画博物館がとても魅力的なシチュエーションで一度行ってみたくなりましたね。あと、フィボナッチ数列の奥の深さをもう少し探ってみようかと思いました。 [DVD(吹替)] 8点(2010-11-13 23:50:20) |
8. トラ・トラ・トラ!
《ネタバレ》 真珠湾攻撃に至るまでの日米間の駆け引きやそれぞれの思惑や諸事情がしっかりと描かれていて見応えのある作品でした。日本が騙し討ちのように奇襲をかけた加害者で、アメリカが何も知らない加害者であるといったような単純化がされていないことも評価したいと思います。まあ、日本外交の詰めの甘さの酷さと第二次世界大戦に参戦するための大義名分が欲しいアメリカの思惑が重なってしまったということですね・・・・・・。 戦闘シーンもCGなど無くてもド迫力でしたね。また、真珠湾攻撃成功後の山本五十六の深刻な表情も非常に印象的でした。 しかし、この映画の後でなぜ「パール・ハーバー」のようなしょうもない作品が作られるのか、不思議でなりませんね。 [地上波(字幕)] 8点(2009-12-29 23:55:29) |
9. 灯台守の恋
《ネタバレ》 観終わった後、何度も思い返す度にじわじわと心に響いてくる作品ですね。荒れた海に聳え立つ灯台の姿、いろいろな意味で荒涼としたブルターニュの風景、いろいろな愛情の姿、アルジェリア戦争の傷跡・・・・いろいろな要素がさりげなくストーリーの中に置かれていて、それらがうまく混じりあって素晴らしい作品に仕上がっています。 ブルターニュ地方にケルト文化が息づいていることとか、灯台守の仕事の様子などいろいろ知ることができたのも良かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-11-05 21:24:01)(良:2票) |
10. 時をかける少女(1983)
《ネタバレ》 アイドル映画としても大林宣彦の作品としても良く出来ている角川映画の代表作。 とにかく、あの大林作品特有の甘酸っぱい雰囲気と尾道のどこか懐かしい風景、そして原田知世が見事にマッチしていて見ていて非常に心地よかったですね。 [地上波(邦画)] 8点(2009-03-24 19:00:32)(良:1票) |
11. ドイツ零年
《ネタバレ》 とにかく、戦争の傷跡が生々しく残っているベルリンの街の姿に衝撃を受けましたね。この映像だけで、敗戦という重く厳しい状況が痛いほど伝わってきました。ナチスドイツの敗北、占領という状況の中で、混乱し苦しむ市民の姿が非常に痛々しく描かれています。 そして、その中でエドムンド少年のあまりにもやるせない物語が冷徹なタッチで進んでいきます・・・・・。 救いの無い展開は見ていて辛くなりますが、いろいろと考えさせられる貴重な映像作品です。 [ビデオ(字幕)] 8点(2007-12-20 18:45:17) |
12. 逃亡くそたわけ-21歳の夏
映画館でチケットを買う時にちょっと言うのが恥ずかしい題名ではありますが、観て損はしないとっても爽やかな青春ロードムービーでした。美波と吉沢悠の躁鬱コンビの絶妙なやりとりが本当に良いです。あと、なんといってもTheピーズですね、もう素晴らしすぎます泣けてきます。 九州各地の風景がとても印象的なのですが、特に地名等のクレジットは出ないので絲山秋子さんの原作(文庫本も出ています)も合わせて読むことをお勧めします(2人が辿ったルートが地図で出ています。)。二人の背景や心理描写も細かく描かれているので、作品の理解が深まると思います。 [映画館(邦画)] 8点(2007-11-14 18:00:44) |
13. ドリームガールズ(2006)
《ネタバレ》 アメリカ芸能界のインサイド・ストーリーを、豪華キャストと素晴らしい音楽で綴ったこれぞエンターテインメントといった感じの映画でした。 日本でもおなじみのダイアナ・ロス、シュープリームスやモータウン関連のアーティスト達がモデルになっているとあってとても興味深く見ることができました。 ところどころに、アメリカの人種差別問題が顔をのぞかせていて、そういう部分でも興味深い作品でしたね(キング牧師のLPのギャグはなかなか面白かったです)。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-05 00:12:46) |
14. Dolls ドールズ(2002)
北野映画の集大成といっても過言ではないと思います。正直、今後北野武はこの作品を超える映画は撮れないんじゃないかと思います(期待はしていますけど)。 菅野美穂が凄く良かったですね [映画館(邦画)] 8点(2007-07-28 17:41:35) |
15. 東京原発
《ネタバレ》 面白いし、原発の抱える問題も知ることができてためになる「一粒で2度美味しい」映画です。 いくら原発が安全だと言っても、放射性物質自体は非常に危険なことに変わりは無い訳ですからリスクが0になる事はありえないんですよね。それで、何か起こって想定外でしたでは済まない話ですから・・・・・。 [DVD(邦画)] 8点(2007-06-25 19:18:06) |
16. 時計じかけのオレンジ
《ネタバレ》 何というか、いろんな要素が詰まっていて何度も反芻してしまう映画ですね。特に音楽の使い方が非常に素晴らしいと思いました。 ストーリーも、不良少年の心の変化を描いているだけでなく、政治家の権力争いの醜さなんかも風刺していたりして非常に面白かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2007-05-06 16:15:42) |
17. トランスアメリカ
《ネタバレ》 観る前は、ちょっと微妙なテーマだなと思っていたんですけど、非常に楽しめる作品でした。性同一性障害・児童虐待・民族や宗教の問題等出てきますが、重くなりすぎずユーモアを交えて描いているのが良かったと思います。(ブリーの実家の場面は本当に面白かったですね。) しかし、トビーは虐待のトラウマが残っているんでしょうね・・・・。希望がもてるラストではありましたが、ちょっと気がかりになりました。 [映画館(字幕)] 8点(2006-12-31 00:19:50) |
18. 24アワー・パーティ・ピープル
《ネタバレ》 映画全体が大好きなUKサウンドで満ち溢れていて、とても楽しかったですね。ニュー・オーダーは学生の頃聞きまくってたんで、ジョイ・ディビジョンやイアン・カーティスの出てくるシーンはとても興味深かったです。(当時はUKインディーの情報は、ロッキング・オンとかの雑誌でしか得られなかったですからね・・・・。) ハッピー・マンデーズのくだりは凄いですね、まさにロックンロールというかハチャメチャというか・・・。 しかし、この作品は何も知らない人が見たら訳わかんないでしょうねw ベズがUFOで現れたりするシーンとか 「ベズって何だ?」って感じじゃないですか?(まあ、知ってても謎の人物ですけどw) とりあえず、パンク・ニューウェーブ以降のイギリスの音楽が好きな人は必見です! [DVD(字幕)] 8点(2006-12-08 11:59:45) |
19. 東京ゴッドファーザーズ
《ネタバレ》 ありきたりな表現ですが、本当に寒い冬にぴったりな心温まる作品でした。様々な人間の弱さの描写とそれを覆い隠すような雪の描写がとても嵌っています。 日々、何かと思うようにいかない生活をしている身にとっては、こういう最後に全て丸く収まるストーリーには憧れてしまいますね・・・・・・。 [地上波(邦画)] 8点(2006-11-30 19:47:06) |
20. トンマッコルへようこそ
《ネタバレ》 敵対する兵士達が、トンマッコルの平和な雰囲気の中で徐々に打ち解けていく様子がとても 心に残りました。ファンタジックな映像と久石譲の音楽もとても素晴らしかったです。 ただ、印象に残ったのがトンマッコルの村長が、どうやって村民を統制しているのかと聞かれ「たくさん食わせることだ」と答えていることです。これは要するに、トンマッコルは理想郷というよりも、豊かで争う必要がないので平和な状態にあるだけだということなのかなと解釈したんですが、これってまるで日本みたいだなと感じてしまいました。豊かさ(格差社会と言われてはいますが・・・)、非武装(一応)、外の戦争より内の問題が重要等々共通点が多いような気がしました。 しかし、南北の兵士達が打ち解けるのはいいんですが、戦闘シーンで「南北連合軍」とか言い出して米軍機を撃ち落したりするのはちょっと行き過ぎなような気がしましたね。ちょっと残念でした。 [映画館(字幕)] 8点(2006-11-25 22:40:24) |