1. とらわれて夏
《ネタバレ》 アデルとヘンリーは母子相姦にでもなりそうなほど支え合っている関係。 ひょっとしてフランクが二人の前に現れなかったら、このまま二人は依存し合い、世間から離れてふたりきり引きこもりの日々になり、ヘンリーも自立したり家族を持つことができず、年老いた母とその年金をあてにして生きる独り身の息子…という未来もあり得ただろう。 そこへ、フランクが現れた。 アデルは愛息ヘンリー一筋だったが、もう一度人生をやり直す相手に出会え、希望に輝き出す。 しかし、ここでかわいそうなのはヘンリー。 父親のように感じられたフランクが、恋人のように大切にしていた母を奪う相手…という葛藤。 ラブラブな二人に、自分は捨てられるのでは…という不安。 そして自分は決して踏み込みうることのない母の性的な部分に、フランクはあっけなく入り込み、夜になると”リズム”を刻んでるのだ…という、思春期ならではの悶々とした思い。 ぶっちゃけ、フランクとアデルは自分ら都合で息子を彼らの逃避行の道ずれにして、学校の初日に授業に出させなかったり、いきなり転校させたり、アデルがやってることは児童虐待案件である。 ヘンリーは普通ならグレちゃいそうな酷い扱いだ。 でも、フランクが現れたおかげで、アデルは彼が服役中もずっと待ち続けていた姿を見てヘンリーはそんな母の様子に諦めをつけられた。 父親のもとで育ち、どうやらパートナーにも恵まれ、フランク仕込みのパイを作るシェフにもなって自立できた。 ヘンリーにとって、こういう展開でしか、乳離れはできなかったのだ。 そして十数年を経てアデルのもとにもフランクが戻り、この母子はハッピーエンドを迎える。 時間と悲しみは費やされたが、フランクのおかげで、母子の本来あるべき姿になれたといううまいオチだと私は思う。 (ちなみに、序盤で母子がスーパーに出かけた時、ハラボテの女性が映っていた時、私はなんか引っかかるものがあった。 なぜここでハラボテ女? でも、それは伏線だったわけですね。) 少年時代のヘンリ―役の子は実にお顔といい表情といい適役。 母親を大切にするマザコンフェイス、基本的にノーが言えない弱気そうな眉と目元、彼が息子役ではなかったら、点数も下がっていたと言ってもいいくらいの逸材だ。 [インターネット(字幕)] 9点(2020-10-03 16:52:49) |
2. ドリームハウス
《ネタバレ》 一家惨殺事件が起きた家で起きる怪しげな出来事の数々・・・前半までは特に目新しい展開もなく、淡々と過ぎてゆく。 しかし、ダニエルクレイグが精神病院の録画映像で自分が写っているのを見てガクゼンとした場面を皮切りに、イッキにジェットコースターが加速し始めた。 右へ左へ振り回され、スピンだツイストだ、これでもかこれでもかと、複数のプロットが高速でぶち込まれ、遠心力でこっちの思考回路が吹っ飛ばされそうになっていく。 ダニエルが録画映像の中に自分を見つけたときは「あ、シャッターアイランド形式ね?」と思い、「ダニエルが犯人じゃん!」と思いきや、どうやら彼ではないと分かってくると、まともに見えていた奥さんが急に狂気の人に見えてきて「あ、アザーズ形式か?」と思い、「奥さんが犯人じゃん!」と思いきや、結局そうではないという展開。 過去の名作のデジャブ感を鑑賞者に与えつつ、どれでもないという、なかなか油断ならない脚本。 しかし一方では、ダニエルが地下室で一家惨殺討論会をしていたパリピたちを追い出したときに「空き家じゃんよ!」と言われたのが実際その家にダニエル一家が住んでないからだということや、ダニエルの家にスープを持ってきた向かいの家のナオミワッツが階段にいたダニエル妻をシカトして立ち去ったのが、ダニエル妻がそもそも幽霊でそこにいないからだという「あ、シックスセンス形式ね?」と思わせる場面もちょこちょこ出てきて、これについてはシックスセンス同様に”二度目の確認作業を入れた鑑賞が楽しい”系のつくりになっていて、好意的に楽しませてもらった。 殺す相手の家を間違えるという、ある意味”狙われて殺される”よりも悲劇性の高い事件を発端にした悲劇の連鎖が続くが ●殺す相手間違われて殺されるダニエル妻子 ●失意のもと自縛霊となってダニエルの前にしつこく現れるダニエル妻子 ●事件がトラウマとなり現実を受け入れられず精神疾患になるダニエル ●妻子への愛着がトラウマとなり幽霊依存になるダニエル というダニエル側のメイン悲劇に ●離婚の真剣争いで夫に命を狙われているナオミワッツ ●両親のピリピリ感に挟まれて、空気読むのが大変な娘 というナオミ側の難儀がからんでくるわけだが、そのカラミからの~、家燃やされて呪縛霊の居場所がなくなることによってダニエルの幽霊依存が強制終了!と、家燃やそうとしたナオミ夫が焼け死んでナオミ側の問題も強制終了!という、両家の問題を数分でかたづけちゃうスピーディーなオチづけにはのけぞった。 ところでこれは私の想像なのだが、ナオミとダニエルはプラトニック不倫だったのではないかな?ダニエルは妻子にも優しいけど、誰にでも優しいのだと思う。夫との不和で悩んでいたナオミに対してもそうで、一線は越えずとも、普通のお向かいさん以上の気持ちを抱きあってたと思う。 そうでなければ、精神病院みたいな荒くれた場所にわざわざダニエルの付き添いで来たりもしないし、もはや”友達づきあい”していたダニエル妻がいないのにわざわざスープを彼のところに持ってくる理由も思い浮かばない。 何かとダニエルの身の上を心配し、何かと彼の行動を見守っている。そして、ナオミ夫が本性を表す直前でふたりは抱き合ってもいる。あのナオミの髪をクシャっとさせるように抱くハグは、通常のハグより何かがあると、女のカンで感じた。 ナオミ夫が、自分ちの離婚騒動とは関係のないダニエルを階段から蹴り落とすにしても、そこには「嫁を寝取られた」と思っている男のイライラを感じさせるのだ。 不倫プロットまでぶち込んでくると、もうまとまりがなくなりすぎてしまうので、ニュアンスだけを漂わせる形にしたのだろう。 でもこの二人の関係性があってこそ、ダニエル一家と、ナオミ一家が深くリンクし、そして、最終的に両者同時に問題が強制終了というスッキリとしたまとめ方ができたのだと思う。 さてそれでは二度目の鑑賞をしてこよう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-01-17 15:36:46)(良:1票) |
3. トランス(2013)
《ネタバレ》 本編の95%までは、見ていて「現実と催眠世界、どっちがどっちなんだ」感でいっぱいで、こういうのって、こみいっていてイヤ、という気持ちだけでした。でも残り5%のところ(絵画が盗まれた経緯)から一転、ぐいーっと引き込まれましたよ。 ワルのリーダーだったカッセルが一変、恋に悩めるイイ男になってるしw 特ににラストシーンの”私のことを含めてすべてを忘れたいならトランスのアイコンを押せばいい。さぁどうする?” という女催眠療法士のメッセージに「おす・・・・か、いや、おさないでおくか・・・いやでもなー・・・うーーん・・・さぁどうしたもんか?」と、手のひらを開いて上に向け「まったく困ったね」のポーズをするカッセルは実に印象的で、私のなかにある印象的なラストシーンのトップ10に入りそうな予感がしますよ。 95%までは2点で、のこり5%でイッキに7点にはねあがりました。ただ、女催眠療法士が、カッセルもカマヴォイもイレをあげてしまうほどの魔性の女か?っていう感じだったので、そこで1点減点で6点になりました。女療法士が白人美人だったらよかったのになです。私の好み、イメージとしては、ひと昔前のユマサーマンとかスカーレットヨハンソンみたいな知的謎の美女系が適役。 褐色女優が白人男優の恋愛対象として登場していいのはホラーとアクション映画だけだというのが、私の偏見ですよ。それ以外のジャンルで褐色女優に白人男優がホれるという設定は違和感しかないです。 [DVD(字幕)] 6点(2015-03-22 09:33:39) |
4. トレヴィの泉で二度目の恋を
《ネタバレ》 シャーリーマクレーンの、口のまわりのシワシワとか、もともとちっちゃかったオメメが、年を重ねてますますちっこくなってるとか、「甘い生活」の再現シーンで見せる、がっつり太くてでも枯れ木のようにシワシワで水分のない二の腕とか、とにかくもうシャーリーの姿が痛すぎて、そればかりに気がいってしまった。 おいらくの恋を描いた作品はいろいろあるが、男性については何歳になってもダンディ度が上がるだけであまり痛さを感じない。 実際のところ、アラ還俳優でいえば、ジョージクルーニーは17歳下の女性と結婚しちゃえるくらい魅力は衰えてないわけだし、ブルースウィリスは23歳年下、アレックボールドウィンは26歳年下、70歳前後の俳優でいえば、ハリソンフォードは23歳年下、リチャードギアは34歳年下の女性と結婚できるくらいイケ続けてる。(ギアなんて68歳で子供まで生まれるとかどういう肉体) しかし女についていえば、60を超えてしまえば、お年寄り同士の当人達がよければすべてヨシみたいな恋愛はもちろんあるだろうし否定はしないけど、やっぱりシャーリーおばあさんの水分の抜け切った枯れ木の二の腕や、スリットからのぞく枯れ木のような太い足を見て、寒気がゾワゾワしないではいられない。 「ジュリエットからの手紙」という私が好きな映画でも、60超えのおばあさんの恋が描かれているが、こちらはフィジカルな面をいっさい前面に出していないため、とてもすがすがしく見られた。 しかしながらこの映画は、シャーリーの肉体やら、イチャイチャを、おりゃおりゃと画面上で見せられて、まるで水分が抜け切ったマドレーヌを皿に乗せて目の前に置かれ「さぁどうぞ」とニコニコされているような、とにかく”受け付けない感”が半端なかった。 シャーリーのかわいらしさは健在であることは認めるから、ここまで肉体をさらさないでも彼女の魅力を引き出せるいい台本が作れなかったのかなと思う。 あと、プラマーにとっては彼女が二度目の恋かもしれないが、シャーリーにとってはプラマーは二度目の恋じゃないことは間違いないと思う。日本語タイトルの不覚。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2019-02-13 10:11:00) |
5. ドント・ブリーズ
《ネタバレ》 主人公とおじいちゃんとの攻防の流れは、いたってありきたり。 あともうちょっとのところで、おじいちゃんに捕まってアアアアア・・・とかもう見飽きる。 最初の1名はけっこう早めに死んだけど、残り2名とおじいちゃんはストーリーをひっぱるためにほぼ不死身という設定もなんかキツイ。殺されたと思っても「ま、どーせまた起き上がるんだろ」ってなる。 これじゃまるでゲーム版「バイオハザード7」のジャックおじさん。(分かる人だけ分かる) 屋外に出るのに、いちいちカギでどうにかしようとしないで窓ぶちやぶって出ろやとか、突っ込みどころがテンコモリなのだけど、その中でも特に、おじいちゃんが、赤ちゃん産ませたら開放するとか言ってるけど、あんなボロ家で盲目の1人暮らしでいつクタバってもおかしくないキチガイジジイがどうやって1人で子供育てるんだ? シンプルに謎。 殺戮シーンもぜんぜん怖くないからホラーって感じでもないし。 サムライミが製作してても、ハズレはあるんですね。 [インターネット(字幕)] 1点(2018-09-27 11:50:40) |